JP2004143101A - 抗ウィルス剤 - Google Patents

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  • Heterocyclic Carbon Compounds Containing A Hetero Ring Having Nitrogen And Oxygen As The Only Ring Hetero Atoms (AREA)
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Abstract

【課題】新規な抗ウィルス剤を提供する。
【解決手段】式I
Figure 2004143101

(ここで式I中、R、Rは、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜4の低級アルキル基、炭素原子数1〜4のアシル基及び炭素原子数1〜4のアシルオキシ基からなる群から任意に選択される)で表される2−アミノフェノキサジン−3−オン誘導体又はその薬理学的に許容される塩若しくはエステルを有効成分として含有する抗ウィルス剤、或いは、
式II
Figure 2004143101

(ここで式II中、R、Rは、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜4の低級アルキル基、炭素原子数1〜4のアシル基及び炭素原子数1〜4のアシルオキシ基からなる群から任意に選択される)で表される3−アミノフェノキサジン−2−オン誘導体又はその薬理学的に許容される塩若しくはエステルを有効成分として含有する抗ウィルス剤。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒト又は動物のためのウィルス性疾患の治療、発症予防、感染予防に有用である抗ウィルス剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、フェノキサジン誘導体である、2−アミノフェノキサジン−3−オン誘導体及び3−アミノフェノキサジン−2−オン誘導体は、ガン細胞に対して強い抗腫瘍活性を示すことが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)。
しかし、これらフェノキサジン誘導体が、それら以外の疾患に対して有効であることは知られていない。
【0003】
【特許文献1】
特開平02−193984号公報(第4頁左下欄、第2−7行)
【特許文献2】
特許第3290172号明細書(第5頁左欄、第32−40行)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、2−アミノフェノキサジン−3−オン誘導体及び3−アミノフェノキサジン−2−オン誘導体の新規な用途を提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、式Iで表される2−アミノフェノキサジン−3−オン誘導体又はその薬理学的に許容される塩若しくはエステルを有効成分として含有する抗ウィルス剤を提供する。ここで式I中、R、Rは、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜4の低級アルキル基、炭素原子数1〜4のアシル基及び炭素原子数1〜4のアシルオキシ基からなる群から任意に選択される。
【0006】
式I
【化3】
Figure 2004143101
【0007】
また、本発明は式IIで表される3−アミノフェノキサジン−2−オン誘導体又はその薬理学的に許容される塩若しくはエステルを有効成分として含有する抗ウィルス剤を提供する。ここで式II中、R、Rは、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜4の低級アルキル基、炭素原子数1〜4のアシル基及び炭素原子数1〜4のアシルオキシ基からなる群から任意に選択される。
【0008】
式II
【化4】
Figure 2004143101
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の抗ウィルス剤は、式Iで表される2−アミノフェノキサジン−3−オン誘導体を有効性成分又はその薬理学的に許容される塩若しくはエステルを有効成分として含む。
【0010】
式I
【化5】
Figure 2004143101
【0011】
式I中、R、Rは、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜4の低級アルキル基、炭素原子数1〜4のアシル基及び炭素原子数1〜4のアシルオキシ基からなる群から任意に選択され、好ましくは水素原子、炭素原子数1〜3の低級アルキル基、炭素原子数1〜3のアシル基及び炭素原子数1〜3のアシルオキシ基からなる群から任意に選択される。好ましくは、Rがメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、メトキシ基、エトキシ基、メトキシメチル基、エトキシメチル基から選択され、Rがメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、メトキシ基、エトキシ基、メトキシメチル基、エトキシメチル基から選択される。さらに好ましくは、Rがメチル基かつRが水素原子であり、あるいはRがエチル基かつRが水素原子である。
【0012】
また、本発明の抗ウィルス剤は、式IIで表される3−アミノフェノキサジン−2−オン誘導体又はその薬理学的に許容される塩若しくはエステルを有効成分として含む。
【0013】
式II
【化6】
Figure 2004143101
【0014】
式II中、R、Rは、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜4の低級アルキル基、炭素原子数1〜4のアシル基及び炭素原子数1〜4のアシルオキシ基からなる群から任意に選択され、好ましくは水素原子、炭素原子数1〜3の低級アルキル基、炭素原子数1〜3のアシル基及び炭素原子数1〜3のアシルオキシ基からなる群から任意に選択される。好ましくは、Rがメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、メトキシ基、エトキシ基、メトキシメチル基、エトキシメチル基から選択され、Rがメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、メトキシ基、エトキシ基、メトキシメチル基、エトキシメチル基から選択される。さらに好ましくは、Rが水素原子かつRがメチル基であり、あるいはRが水素原子かつRがエチル基である。
【0015】
本発明の抗ウィルス剤で使用しうる塩は、例えば無機塩として、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;銅塩、亜鉛塩などの金属塩類;有機塩として、ジエタノールアミン塩、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール塩、トリエタノールアミン塩などのアルカノールアミン塩;モルホリン塩、ピペラジン塩、ピペリジン塩などのヘテロ環アミン塩;アンモニウム塩、アルギニン塩、リジン塩、ヒスチジン塩などの塩基性アミノ酸塩を挙げることができる。ここで、塩基性アミノ酸は、D−体、L−体或いはこれらの混合物であってもよい。
【0016】
本発明の抗ウィルス剤で使用しうるエステルとしては例えば、蟻酸エステル、酢酸エステル、プロピオン酸エステルを挙げることができる。
【0017】
式IまたはIIで表される化合物は、好ましくは特許第3290172号公報、特開平02−193984号公報に記載の方法に従い製造されるが、これらに限定されない。
【0018】
本発明の抗ウィルス剤は、ウィルスの感染を抑制する効果がある。本発明でいう「抗ウィルス剤」とは、ウィルス性疾患の治療、発症予防、感染予防の目的に使用される薬剤を包含する。
【0019】
本発明の抗ウィルス剤は、ヒト又は動物(イヌ、ネコなどのペット;ウシ、ウマ、ブタなどの家畜;ニワトリなどの家禽;マグロ、ハマチなどの魚類など)のために使用される。
【0020】
本発明でいうウィルスは特に限定されないが、以下に示す分類に含まれるウィルスを包含する。以下、本発明でいうウィルスについて説明する。
【0021】
ウィルスは、核酸の性状によって、RNAウィルスとDNAウィルスに二分される。
A.RNAウィルス
RNAウィルスは、1本鎖RNAウィルス及び2本鎖RNAウィルスに二分される。
1)1本鎖RNAウィルスは、ウィルス遺伝子自身がmRNA活性を担うプラス鎖RNAウィルス、ウィルス遺伝子に相補的な遺伝子がmRNA活性を担うマイナス鎖RNAウィルス、及びRNA−DNA型に更に細分化される。
a)プラス鎖RNAウィルスは、エンベロープ(外被)の有無により更に細分化される。プラス鎖RNAウィルスであってかつエンベロープの無いウィルスとしては、ポリオウィルス(Poliovirus)、コクサッキーウィルス(Coxsackie virus)、ヒトライノウィルス(Human rhinovirus A)、A型肝炎ウィルス(Hepatitis A virus)、脳心炎ウィルス(Encephalocarditis virus)などを含むピコルナウィルス科(Picornaviridae)、及びカリシウィルス科(Caliciviridae)、科は未分類であるE型肝炎ウィルス(Hepatitis E virus)などを含む。プラス鎖RNAウィルスであってかつエンベロープの有るウィルスとしては、シンドビスウィルス(Sindbis virus)、風疹ウィルス(Rubella virus)などを含むトガウィルス科(Togaviridae)、日本脳炎ウィルス(Japanese encephalitis virus)、黄熱ウィルス(Yellow fever virus)、C型肝炎ウィルス(Hepatitis C virus)などを含むフラビウィルス科(Flaviviridae)、及びコロナウィルス科(Coronaviridae)などを含む。
b)マイナス鎖RNAウィルスはエンベロープを有し、狂犬病ウィルス(Rabies virus)、水疱性口内炎ウィルス(Vesicular stomatitis virus)などを含むラブドウィルス科(Rhabdoviridae)、エボラウィルス(Ebola virus)、マルブルグウィルス(Marburg virus)などを含むフィロウィルス科(Filoviridae)、センダイウィルス(Hemagglutinating virus of Japan)、はしかウィルス(Measles virus)、RSウィルス(RS virus)、おたふくかぜウィルス(Mumpus virus)などを含むパラミキソウィルス科(Paramyxoviridae)、インフルエンザウィルス(Human influenza virus) などを含むオルソミキソウィルス科(Orthomyxoviridae)、腎症候性出血熱ウィルス(Hantaan virus)などを含むブニヤウィルス科(Bunyaviridae)、及びリンパ性脈絡髄膜炎ウィルス(Lymphocytic choriomeningitis virus)などを含むアレナウィルス科(Arenaviridae)などを含む。
c)RNA−DNAウィルスはエンベロープを有し、ヒトT細胞白血病ウィルスI型(Human T−cell leukemia virus type I)、ヒト後天性免疫不全ウィルス(Human immunodeficiency syndrome virus)などを含むレトロウィルス科(Retroviridae)などを含む。
2)2本鎖RNAウィルスは、エンベロープが無く、ロタウィルス(Rotavirus A)などを含むレオウィルス科(Reoviridae)、及びビルナウィルス科(Birnaviridae)などを含む。
【0022】
B.DNAウィルス
DNAウィルスは、1本鎖DNAウィルス、不完全2本鎖DNAウィルス及び2本鎖DNAウィルスに分類される。
1)1本鎖DNAウィルスはエンベロープが無く、ヒトパルボウィルス(Human parvo virus)、ブタパルボウィルス(Porcine parvo virus)、イヌパルボウイルス (Canine parvo virus)、B19ウィルス(B19 virus)、アデノ関連ウィルス2(Adeno−associated virus 2)などを含むパルボウィルス科(Parvoviridae)などを含む。
2)不完全2本鎖DNAウィルスはエンベロープが無く、B型肝炎ウィルス(Hepatitis B virus)などを含むヘバドナウィルス科(Hepadnaviridae)などを含む。
3)2本鎖DNAウィルスはエンベロープの有無により更に分類される。エンベロープを有する2本鎖DNAウィルスとしては、単純ヘルペスウィルス(Herpes simplex virus)、サイトメガロウィルス(cytomegalo virus)、EBウィルス(EB virus) などを含むヘルペスウィルス科(Herpesviridae)、ワクチニアウィルス(vaccinia virus)、伝染性軟属腫ウィルス(Molluscum contagiosum virus)などを含むポックスウィルス科(Poxviridae)、及びイリドウィルス科(Iridoviridae)などを含む。エンベロープの無い2本鎖DNAウィルスとしては、ポリオマーウィルス(polyoma virus)、SV40(SV 40)、JCウィルス(JC virus)、ヒトパピローマウィルス(Human papilloma virus)などを含むパポーバウィルス科(Papovaviridae)、ヒトアデノウィルス(human adenovirus)などを含むアデノウィルス科(Adenoviridae)などを含む。
【0023】
本発明の抗ウィルス剤は特に、一本鎖RNAウィルスまたは一本鎖DNAウィルスに有効である。本発明の抗ウィルス剤は特に、エンベロープの無いRNAウィルスまたはDNAウィルスに対して有効である。更には、本発明の抗ウィルス剤は、一本鎖RNAウィルスであってかつエンベロープの無いウィルス、或いは一本鎖DNAウィルスであってかつエンベロープの無いウィルスに対して顕著に有効である。
【0024】
本発明の抗ウィルス剤によるウィルスの感染を阻止する作用機構は明らかではないが、ウィルスの増殖、複製を阻止することによると考えられる。
【0025】
本発明の抗ウィルス剤は、一般的な医薬製剤の形態として用いられうる。該製剤には、通常使用される充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、崩壊剤、表面活性剤、滑沢剤などの希釈剤、或いは賦形剤を配合することができる。本発明の抗ウィルス剤は、各種の形態が治療目的に応じて選択でき、その代表的なものとして、錠剤、丸剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、カプセル剤、坐剤、液剤、懸濁剤などの注射剤、点眼剤、または軟膏剤が挙げられる。
【0026】
錠剤の形態に成形する担体としては、慣用されている各種の担体を使用することができる。例えば、乳糖、白糖、ブドウ糖、塩化ナトリウム、尿素、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ酸などの賦形剤;水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、セラック、メチルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドンなどの結合剤;乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、デンプン、乳糖などの崩壊剤;白糖、ステアリン、カカオバター、水素添加油などの崩壊抑制剤;第4級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウムなどの吸収促進剤、グリセリン、デンプンなどの保湿剤;デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイド状ケイ酸などの吸着剤;精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ酸末、ポリエチレングリコールなどの滑沢剤を使用できる。さらに錠剤は必要に応じ通常の剤皮を施した錠剤、例えば糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フィルムコーティング錠或いは二重錠、多層錠とすることができる。
【0027】
丸剤の形態に成形するに際しては、担体としてこの分野で従来公知のものを広く使用できる。その例としては、ブドウ糖、乳糖、デンプン、カカオ脂、硬化植物油、カオリン、タルクなどの賦形剤;アラビアゴム末、トラガント末、ゼラチン、エタノールなどの結合剤;ラミナラン、カンテンなどの崩壊剤を使用できる。
【0028】
カプセル剤は、常法に従い、通常有効成分化合物を上記で例示した各種の担体と混合して硬質ゼラチンカプセル、軟質カプセルなどに充填して調製される。
【0029】
坐剤の形態に成形するに際しては、担体として従来公知のものを広く使用できる。その例としては、ポリエチレングリコール、カカオ脂、高級アルコール、高級アルコールのエステル類、ゼラチン、半合成グリセライドなどを挙げることができる。
【0030】
注射剤として調製される場合、液剤、乳剤及び懸濁剤は殺菌され、かつ血液となど張であるのが好ましい。これらの形態に成形するに際しては、希釈剤としてこの分野において慣用されているものをすべて使用できる。例えば、水、エタノール、マクロゴール、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類などを使用できる。なお、この場合など張性の溶液を調製するに充分な量の食塩、ブドウ糖またはグリセリンを医薬製剤中に含有せしめてもよく、また通常の溶解補助剤、緩衝剤、無痛化剤などを添加してもよい。
【0031】
軟膏剤として調製される場合には、この分野で従来公知の油性基剤を広く使用することができる。例えば、ラッカセイ油、ゴマ油、ダイズ油、サフラワー油、アボカド油、ヒマワリ油、トウモロコシ油、ナタネ油、メンジツ油、ヒマシ油、ツバキ油、ヤシ油、オリーブ油、ケシ油、カカオ油、牛脂、豚脂、羊毛油などの油脂類;ワセリン、パラフィン、シリコン油、スクワランなどの鉱物油;イソプロピルミリステート、n−ブチルミリステート、イソプロピルリノレート、アセチルリシノレート、ステアリルリシノレート、ジエチルセバケート、ジイソプロピルアジペート、セチルアルコール、ステアリルアルコール、サラシミツロウ、鯨ロウ、木ロウなどの高級脂肪酸エステル、高級脂肪族アルコール及びワックス類、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸などの高級脂肪酸;炭素原子数12〜18の飽和又は不飽和脂肪酸のモノ−、ジ−、トリグリセライド混合物である。本発明の抗ウィルス剤では、これら基剤を1種単独で或いは2種以上混合して使用してもよい。
【0032】
本発明の抗ウィルス剤には、慣用の添加剤、例えば金属石鹸、動物・植物抽出物、ビタミン剤、ホルモン剤、アミノ酸などの薬効剤、界面活性剤、色素、染料、顔料、香料、紫外線吸収剤、保湿剤、増粘剤、酸化防止剤、金属イオン封鎖剤、pH調整剤を必要に応じて適宜配合することができる。
【0033】
また、本発明の抗ウィルス剤は、洗浄液中に配合することができ、例えば口腔洗浄剤、眼洗浄剤、膣洗浄剤として有用である。
【0034】
洗浄剤として調製する場合には、この分野で通常用いられているものを配合することができ、例えば陽イオン性、陰イオン性、両イオン性、非イオン性の各種の界面活性剤;高級アルコールなどの油剤;カチオン化セルロースなどの毛髪柔軟剤;グリセリン、プロピレングリコール、ソルビット、マルチトールなどの保湿剤;メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコールなどの粘度調整剤;加水分解コラーゲンなどの皮膜形成剤;エタノールなどの溶剤;クエン酸、塩酸などのpH調整剤;酸化防止剤;金属封鎖剤;殺菌剤;防腐剤;無機塩;抗フケ剤;ビタミン剤;色素;香料を任意に組み合わせて使用できる。
【0035】
本発明の抗ウィルス剤は、スプレー塗布、刷毛塗りなどの方法や布雑巾、ウェットティッシュ、ペーパータオル、おしぼりなどに含浸させ或いはエアゾールとして用いるなどして、医療用具、医療器具、壁、床、日用品・一般用具類(例えば、家具類、メガネ、食器など)の清拭に用いることができる。本発明の抗ウィルス剤は、衣類、食品、食器、ガーゼ、シーツ、おむつ、カーテンなどの洗浄剤、仕上げ剤、柔軟剤、漂白剤などに添加することによって、抗ウィルス効果を発揮することもできる。また本発明の抗ウィルス剤は、石鹸、シャンプー、リンスなどの浴用剤に添加することによって、抗ウィルス効果を発揮することもできる。
【0036】
本発明の抗ウィルス剤を、カーペット、カーテン、衣類などの繊維に予め塗布することにより、抗ウィルス作用を持つカーペット、カーテン、衣類などを製造できる。また本発明の抗ウィルス剤を、空気清浄機などの機械内部或いは活性炭に含有させることにより抗ウィルス作用を有する空気清浄機などを製造できる。
【0037】
本発明の抗ウィルス剤の配合量は、その効能効果を有する限り特に限定されないが、通常、本発明の抗ウィルス剤を含む組成物中に0.0001〜10重量%程度、好ましくは0.001〜5重量%程度含有させるのがよい。また、本発明の抗ウィルス剤を含む洗浄剤組成物として用いる場合には、適宜希釈して用いても良いため、有効成分化合物の含有量を0.0001〜90重量%程度とすることができ、好ましくは0.001〜5重量%程度とするのがよい。
【0038】
本発明の抗ウィルス剤の使用方法は、特に制限はなく、各種製剤形態、患者又は使用者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度などに応じた方法で使用される。例えば錠剤、丸剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤及びカプセル剤の場合には、経口投与される。また注射剤の場合には単独で又はブドウ糖、アミノ酸などの通常の補液と混合して静脈内投与され、更に必要に応じて単独で筋肉内、皮内、皮下もしくは腹腔内投与される。坐剤の場合には直腸内投与される。外用剤の場合には患部に塗布される。洗浄剤として用いる場合には、その種類及び形態に応じて、常法に従って使用される。
【0039】
本発明の抗ウィルス剤の使用量は、用法、対象となる患者又は動物或いは、使用者或いは動物の年齢、性別その他の条件、疾患の程度などにより適宜選択されるが通常、有効成分化合物の量が、一日当たり体重1kg当たり、約1〜20mg程度となるようにするのがよく、1日に1〜3回程度に分けて使用されるのがよい。
【0040】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0041】
製造例1及び2で使用したウシヘモグロビン溶液は、下記に従い製造した。1.2Lのウシ血液を遠心分離機(SCR−20BS型、株式会社日立製作所製)で遠心分離(10,000×1分)し、上清の血漿部分を除去し、約500mLの赤血球を得た。この赤血球に対して、4倍容量の0.9%塩化ナトリウム水溶液を加えて十分に攪拌し、遠心分離(10,000×1分)した。この上清を除いて得られる約500mLの赤血球浮遊液に対して、3.0Lの蒸留水を添加した。室温で10分放置した後、遠心分離(10,000×20分)を更におこない、ヘモグロビンを含む上清を回収し(約3L)、これをウシヘモグロビン溶液として使用した。
【0042】
製造例1(2−アミノ−4,4a−ジヒドロ−4a,7−ジメチル−3H−フェノキサジン−3−オンの合成)
1.2gの2−アミノ−5−メチルフェノール(粉末、東京化成工業株式会社製)に100mLの蒸留水を加えて十分に攪拌した。引き続き200mLの0.2規定塩酸水溶液を加えて、完全に2−アミノ−5−メチルフェノールを溶解した。該溶液を攪拌しながら、400mLの0.1規定水酸化ナトリウム水溶液を少しずつ滴下した。pH7.0になった時点で、すぐに該溶液を3Lのウシヘモグロビン溶液に添加し十分に攪拌した後、37℃で120時間保持した。引き続き、該反応液に対して約3倍容量のメタノールを添加し、ヘモグロビンとタンパク質とを変性させた。変性したヘモグロビンとタンパク質は、遠心分離機(SCR−20BS型、株式会社日立製作所製)で遠心分離し(8,000g×5分)、上澄みを得た。この上澄みを、ロータリーエバポレータ(NE型、東京理化器械株式会社製)を用いて、濃縮した。濃縮した試料(約300mL)を50%エタノールで膨潤させたセファデックスLH20樹脂(アマルシャム・ファルマシア・ジャパン株式会社製)を充填したカラム(内径7cm×高さ70cm)に付した。溶出は50%エタノール(容量/容量)で行い、一定時間毎に分画した。第4番目の黄褐色のバンドを回収し、ロータリーエバポレータで溶出溶媒を減圧下留去した。その結果、約300mgの茶褐色の粉末化合物を(合成物I)を得た。得られた化合物の純度を薄層クロマトグラフィーにより確認した(Kieselgel 60 F254、メルク株式会社製、Rf値 0.5、展開溶媒 クロロホルム:アセトン=4.5:1.5(容量:容量))。このようにして得られた合成物Iは、H−NMR(270MHz、型番JEOL JMNM−GX270、日本電子株式会社製)、13C−NMR(50.3MHz、型番Varian XL−200、バリアン株式会社製)、UV(型番U−2000、株式会社日立製作所製)、IR(型番IR−700、日本分光株式会社製)により、構造決定をした。その分析値は、以下の通りである。
【0043】
H−NMR(270MHz、DMSO−d、25℃)δ(ppm):1.10(s,3H,−CH)、2.27(s,3H,Ar−CH)、2.98(d,1H,J=15.6Hz,−CH)、3.18(d,1H,J=15.6Hz,−CH)、6.05(s,1H,=CH−)、6.36(brs,2H,−NH)、6.71(brs,1H,Ar−H)、6.79(brd,1H,J=7.8Hz,Ar−H)、7.09(d,1H,J=7.8Hz,Ar−H)。
【0044】
13C−NMR(50.3MHz、DMSO−d、25℃)δ(ppm):20.88(q,−CH)、21.97(q,Ar−CH)、49.18(t,−CH)、70.86(s,−C−O−)、105.86(d,Ar−CH)、116.48(d,=CH−)、122.96(d,Ar−CH)、125.42(d,Ar−CH)、132.63(s,=C−)、136.49(s,Ar−C)、143.77(s,Ar−C)、146.31(s,Ar−C)、160.70(s,N=C)、191.40(s,CO)。
【0045】
UV(λMeOH max)(nm、(ε)):226(15.2)、272(9.8)、403(18.6)。なお、0.3mgの合成物Iの粉末を1mLのメタノールに溶解させ、さらにこの溶液0.1mLを採取し、2mLのメタノールで希釈した後、吸収スペクトルを測定した。
【0046】
IR(λνKBr max)(cm−1):3400、3330、3180、2930、1965、1625、1582、1535、1490、1395、1370、1310、1290、1270、1230、1145、1125、1105、1060、880、855、840、810。
【0047】
合成物Iは2−アミノ−4,4a−ジヒドロ−4a,7−ジメチル−3H−フェノキサジン−3−オン(以下、「製造例1の2−アミノフェノキサジン−3−オン」という)であることが、H−NMR、13C−NMR、UV、IRの各分析値より同定された。
【0048】
製造例2(3−アミノ−1,4a−ジヒドロ−4a,8−ジメチル−2H−フェノキサジン−2−オンの合成)
1.2gの2−アミノ−4−メチルフェノール(粉末、東京化成工業株式会社製)に100mLの蒸留水を加えて十分に攪拌し、引き続き200mLの0.2規定塩酸水溶液を加えて、完全に2−アミノ−4−メチルフェノールを溶解した。該溶液を攪拌しながら、400mLの0.1規定水酸化ナトリウム水溶液を少しずつ滴下した。pH7.4になった時点で、すぐに該溶液を3Lのウシヘモグロビン溶液に添加し十分に攪拌した後、37℃で144時間保持した。引き続き、該反応液に対して約3倍容量のメタノールを添加し、ヘモグロビンとタンパク質とを変性させた。変性したヘモグロビンとタンパク質は、遠心分離機(SCR−20BS型、株式会社日立製作所製)で遠心分離し(8,000g×5分)、上澄みを得た。この上澄みを、ロータリーエバポレータ(NE型、東京理化器械株式会社製)を用いて、濃縮乾固した。乾固した上澄みに対して300mLのアセトンを加えてアセトン溶解成分を溶解して、該アセトン溶解成分を除去した。引き続き、塩を除くために、アセトン不溶の褐色の残留物に対して300mLのメタノールを添加して、褐色成分を抽出した。褐色成分を含むメタノール抽出液(約300mL)を、ロータリーエバポレータで減圧下約50mLまで濃縮した。この濃縮液を50%メタノールで膨潤させたセファデックスLH20樹脂(アマルシャム・ファルマシア・ジャパン株式会社製)を充填したカラム(内径7cm×高さ30cm)に付した。溶出は50%メタノール(容量/容量)で行い、一定時間毎に分画した。第2番目の褐色のバンドを回収し、ロータリーエバポレータで溶出溶媒を減圧下留去した。その結果、約200mgの暗褐色の粉末化合物(合成物II)を得た。得られた化合物の純度は薄層クロマトグラフィーにより確認した(逆層、Rf値 0.45、展開溶媒 クロロホルム:アセトン=4.5:1.5(容量:容量))。このようにして得られた合成物IIは、H−NMR(270MHz、型番JEOL JMNM−GX 270、日本電子株式会社製)、13C−NMR(50.3MHz、型番Varian XL−200、バリアン株式会社製)、UV(型番U−2000、株式会社日立製作所製)、IR(型番IR−700、日本分光株式会社製)により、構造決定をした。その分析値は、以下の通りである。
【0049】
H−NMR(270MHz、DMSO−d、25℃)δ(ppm):1.30(s,3H,−CH)、2.78(s,3H,Ar−CH)、3.20(d,1H,J=14.9Hz,−CH)、3.40(d,1H,J=14.9Hz,−CH)、5.82(s,1H,=CH−)、6.90(m,3H,Ar−H×3)。
【0050】
13C−NMR(50.3MHz、DMSO−d、25℃)δ(ppm):20.40(q,Ar−CH)、24.03(q,CH)、51.81(t,−CH)、72.00(s,−C−O−)、101.71(d,=CH−)、117.00(d,Ar−CH)、116.44(d,Ar−CH)、124.72(d,Ar−CH)、125.62(s,Ar−C)、132.16(s,Ar−C)、139.08(s,Ar−C)、147.03(s,=C−)、158.79(s,N=C−)、193.66(s,CO)。
【0051】
UV(λMeOH max)(nm、(ε)):267(11.12)、282(9.08)、306(sh)(8.55)、348(13.62)。なお、0.5mgの合成物IIの粉末を1mLのメタノールに溶解させ、さらにこの溶液0.1mLを採取し、2.2mLのメタノールで希釈した後、吸収スペクトルを測定した。
【0052】
IR(λνKBr max)(cm−1):3450、3060、2980、2930、1725、1620、1590、1550、1460、1430、1280、1250、1110、1060、950、890、810。
【0053】
合成物IIは3−アミノ−1,4a−ジヒドロ−4a,8−ジメチル−2H−フェノキサジン−2−オン(以下、「製造例2の3−アミノフェノキサジン−2−オン」という)であることが、H−NMR、13C−NMR、UV、IRの各分析値より同定された。
【0054】
実施例1
ベロ細胞(Vero cell:アフリカミドリザルの腎細胞の一種、国立医薬品衛生試験所細胞バンク室より入手)を10%胎児子ウシ血清(FCS、シグマ製)を含むα−MEM培地中に懸濁し、2×10−5〜3×10−5濃度になるように96ウェルプレート(12穴×8列、旭テクノグラス株式会社製)上に播種した。播種したベロ細胞を、5%CO存在下、37℃で2日間培養した。
【0055】
試験当日、製造例1の2−アミノフェノキサジン−3−オンを20mMになるようにDMSOで溶解した。該溶液を、1、2、4、8及び16μMになるようにα−MEM培地で希釈した。各濃度の2−アミノフェノキサジン−3−オンを含むα−MEM培地を、ベロ細胞にそれぞれ添加して静置した(試験群)。1時間後に培地をアスピレータで吸引除去し、5%CO存在下、常法に従いTCID50(50% Tissue Culture Infectious Dose)が見られる希釈濃度に37℃でポリオウィルス(Poliovirus)を含む原液を希釈して、ベロ細胞に1時間感染させた。上清をアスピレータで吸引除去した後、再び各濃度の2−アミノフェノキサジン−3−オンを含むα−MEM培地を添加した。
【0056】
5%CO存在下、37℃で培養し、添加の2日後に、ベロ細胞の破壊が見られたことを確認した。上清をアスピレータで吸引除去した後、4%パラホルムアルデヒドを含む生理食塩水を使用して、ベロ細胞をプレートに固定した(2時間、25℃)。固定液をアスピレータで吸引除去した後、0.5%クリスタルバイオレッド液を添加して細胞を染色した(1時間、25℃)。染色後、生理食塩水で細胞を3回洗浄し、風乾した。乾燥後、細胞に取り込まれた色素をエチレングリコール(100%、100μl)を使用しプレートを震動させて抽出した。プレートリーダー(EL340型、バイオテクインストルメンツ株式会社製)を使用し、577nmでの吸光度(OD)を測定した。
【0057】
対照として、2−アミノフェノキサジン−3−オンを含まないDMSO溶液(対照群)を用いて上記と同じ操作を行い、577nmでの吸光度を測定した。
それらの結果を図1に示す。
【0058】
図1に示されるように、対照群(0μM)では、ポリオウィルスを含む原液を約64倍に希釈した場合、ベロ細胞が50%破壊された。一方、試験群(1、2、4、8及び16μM)では、ポリオウィルスを含む原液を約14〜約28倍希釈した場合、ベロ細胞が50%破壊された。このことから、ベロ細胞を50%破壊するために、試験群では対照群に比べて濃い濃度でポリオウィルスを感染させることが必要であることが判る。従って2−アミノフェノキサジン−3−オンは、ポリオウィルスの感染を阻止している。
【0059】
実施例2
実施例1のポリオウィルスをブタパルボウィルス(Porcine parvo virus)に変えて同じ試験を行った。その結果を図2に示す。
【0060】
図2に示されるように、対照群(0μM)では、ブタパルボウィルスを含む原液を約64倍に希釈した場合、ベロ細胞が50%破壊された。一方、試験群(1、2、4、8及び16μM)では、ブタパルボウィルスを含む原液を約7〜約32倍希釈した場合、ベロ細胞が50%破壊された。このことから、ベロ細胞を50%破壊するために、試験群では対照群に比べて濃い濃度でポリオウィルスを感染させることが必要であることが判る。従って、2−アミノフェノキサジン−3−オンは、ブタパルボウィルスの感染を阻止している。
【0061】
実施例3
ベロ細胞(Vero cell:アフリカミドリザルの腎細胞の一種、国立医薬品衛生試験所細胞バンク室より入手)を10%胎児子ウシ血清(FCS、シグマ製)を含むα−MEM培地中に懸濁し、2×10−5〜3×10−5濃度になるように96ウェルプレート(12穴×8列、旭テクノグラス株式会社製)上に播種した。播種したベロ細胞を、5%CO存在下、37℃で2日間培養した。
【0062】
試験当日、製造例2の3−アミノフェノキサジン−2−オンを20mMになるようにDMSOで溶解した。該溶液を、1、2、4、8、16及び32μMになるようにα−MEM培地で希釈した。各濃度の3−アミノフェノキサジン−2−オンを含むα−MEM培地を、ベロ細胞にそれぞれ添加して静置した(試験群)。1時間後に培地をアスピレータで吸引除去し、5%CO存在下、TCID50が見られる希釈濃度に37℃でポリオウィルス(Poliovirus)を含む原液を希釈して、ベロ細胞に1時間感染させた。上清をアスピレータで吸引除去した後、再び各濃度の3−アミノフェノキサジン−2−オンを含むα−MEM培地を添加した。
【0063】
5%CO存在下、37℃で培養し、添加の2日後に、ベロ細胞の破壊が見られたことを確認した。上清をアスピレータで吸引除去した後、4%パラホルムアルデヒドを含む生理食塩水を使用して、ベロ細胞をプレートに固定した(2時間、25℃)。固定液をアスピレータで吸引除去した後、0.5%クリスタルバイオレッド液を添加して細胞を染色した(1時間、25℃)。染色後、生理食塩水で細胞を3回洗浄し、風乾した。乾燥後、細胞に取り込まれた色素をエチレングリコール(100%、100μl)を使用しプレートを震動させて抽出した。プレートリーダー(EL340型、バイオテクインストルメンツ株式会社製)を使用し、577nmでの吸光度(OD)を測定した。
【0064】
対照として、3−アミノフェノキサジン−2−オンを含まないDMSO溶液(対照群)を用いて上記と同じ操作を行い、577nmでの吸光度を測定した。
それらの結果を図3に示す。
【0065】
図3に示されるように、対照群(0μM)では、ポリオウィルスを含む原液を約64倍に希釈した場合、ベロ細胞が50%破壊された。一方、試験群(1、2、4、8、16及び32μM)では、ポリオウィルスを含む原液を約14〜約28倍希釈した場合、ベロ細胞が50%破壊された。このことから、ベロ細胞を50%破壊するために、試験群では対照群に比べて濃い濃度でポリオウィルスを感染させることが必要であることが判る。従って、3−アミノフェノキサジン−2−オンは、ポリオウィルスの感染を阻止している。
【0066】
実施例4
実施例3のポリオウィルスを、ブタパルボウィルスに変えて同じ試験を行った。その結果を図4に示す。
【0067】
図4に示されるように、対照群(0μM)では、ブタパルボウィルスを含む原液を約64倍に希釈した場合、ベロ細胞が50%破壊された。一方、試験群(1、2、4、8、16及び32μM)では、ブタパルボウィルスを含む原液を約7〜約32倍希釈した場合、ベロ細胞が50%破壊された。このことから、ベロ細胞を50%破壊するために、試験群では対照群に比べて濃い濃度でポリオウィルスを感染させることが必要であることが判る。従って、3−アミノフェノキサジン−2−オンは、ブタパルボウィルスの感染を阻止している。
【0068】
【発明の効果】
2−アミノフェノキサジン−3−オン誘導体及び3−アミノフェノキサジン−2−オン誘導体、並びにそれらの薬理学的に許容される塩及びエステルは、種々のウィルスに対して有効であるため、抗ウィルス剤として有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1における、2−アミノフェノキサジン−3−オンの濃度と、ポリオウィルスがベロ細胞に感染してベロ細胞を50%破壊するときのポリオウィルス原液の希釈倍率との関係を示す。
【図2】図2は、実施例2における、2−アミノフェノキサジン−3−オンの濃度と、ブタパルボウィルスがベロ細胞に感染してベロ細胞を50%破壊するときのブタパルボウィルス原液の希釈倍率との関係を示す。
【図3】図3は、実施例3における、3−アミノフェノキサジン−2−オンの濃度と、ポリオウィルスがベロ細胞に感染してベロ細胞を50%破壊するときのポリオウィルス原液の希釈倍率との関係を示す。
【図4】図4は、実施例4における、3−アミノフェノキサジン−2−オンの濃度と、ブタパルボウィルスがベロ細胞に感染してベロ細胞を50%破壊するときのブタパルボウィルス原液の希釈倍率との関係を示す。

Claims (7)

  1. 式I
    Figure 2004143101
    (ここで式I中、R、Rは、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜4の低級アルキル基、炭素原子数1〜4のアシル基及び炭素原子数1〜4のアシルオキシ基からなる群から任意に選択される)で表される2−アミノフェノキサジン−3−オン誘導体又は薬理学的に許容される塩若しくはエステルを有効成分として含有する抗ウィルス剤。
  2. がメチル基であり、かつRが水素原子である、請求項1に記載の抗ウィルス剤。
  3. 式II
    Figure 2004143101
    (ここで式II中、R、Rは、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜4の低級アルキル基、炭素原子数1〜4のアシル基及び炭素原子数1〜4のアシルオキシ基からなる群から任意に選択される)で表される3−アミノフェノキサジン−2−オン誘導体又はその薬理学的に許容される塩若しくはエステルを有効成分として含有する抗ウィルス剤。
  4. が水素原子であり、かつRがメチル基である、請求項3に記載の抗ウィルス剤。
  5. 一本鎖DNAウィルスに対して有効である、請求項1〜4のいずれか一に記載の抗ウィルス剤。
  6. 一本鎖RNAウィルスに対して有効である、請求項1〜4のいずれか一に記載の抗ウィルス剤。
  7. エンベロープの無いウィルスに対して有効である、請求項1〜4のいずれか一に記載の抗ウィルス剤。
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