JP2012112393A - 内燃エンジンの効率を改善する装置及び方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明による装置は、空気又は混合気の供給源に連結され且つ開放状態と閉鎖状態とを有する入口/出口ポート(9)と、低減された容積を有する燃焼室(7)を有する。入口/出口ポート(9)は、開放時、空気又は混合気が燃焼室(7)及びシリンダ(3)に流入すること又は流入したり流出したりすることができるように制御され、閉鎖時、空気又は混合気が燃焼室(7)及びシリンダ(3)に流入したり流出したりすることができないように制御される。入口/出口ポート(9)が閉鎖するときに燃焼室(7)及びシリンダ(3)内にある空気又は混合気の容積は、入口/出口ポート(9)が閉鎖され且つピストン(1)がシリンダ(3)内部の下死点位置にあるときに定められる燃焼室(7)及びシリンダ(3)の容積よりも小さい。
【選択図】図9a
Description
「空気標準ディーゼルサイクル」で作動する自動車用ディーゼルエンジンは、36%〜42%の効率を有する。
船舶用ユニット等の大形エンジンは、50%に達する高い効率を有する。
しかしながら、2ストロークエンジンの効率は低く、その効率は、22%を超えることは殆んどない。
・新しい複雑な部品又は装置、特に可動部品の追加の必要性を最小にし又はなくし、
・既存の構成要素に対する識別され可能性のある有用な修正をできるだけ制限し簡素化し、
・可動部品、機構、及び制御システム内の干渉を最小にし又は好ましくはなくし、
・現在の従来エンジンのストロークの動作によるプラスの効果を最大にし、
・最小コスト、好ましくはより少ないコスト又は追加コストがない、新しいエンジンへの導入が容易であり、
・最小コストで既存のエンジンに導入が可能であり、
・最高効率を達成し、
・大気に与える自動車産業の「環境的」影響を改善する。
・従来エンジン又は新しいエンジンの「出力サイクル」ストローク(吸入ストローク、圧縮ストローク、出力及び膨張ストローク)の動作の全ての原理を維持すること、
・いかなる新しい可動部品の追加も伴わず、いかなる既存の構成要素も除去しないこと、
・従来エンジンの現在の基本的な設計、構造及び動作の原理を維持すること、
・使用燃料による有用なエネルギーの抽出を著しく改善するように、いくつかのストロークの動作を少しだけ分割し又は拡張して、これらの作動及び効果を再構成すること、
・より少ない冷却水又は空気しか必要としないこと、
・修正された新しいエンジンの設計及び製造のためにいなかる超過コストも追加しないこと、修正エンジンの設計及び構成を習熟した後に実際にコストを低減することができ、また大型で高価な冷却システム、排気システムの必要性が軽減され、燃料消費量が減少し、極めて高いオクタン価の燃料の必要性を軽減することができること、
・これらのエンジンの効率及び性能を高めること、「空気標準オットーサイクル」を使用するガソリンエンジンでは、効率が約25%から40%を超えるまで増大させること、「空気標準ディーゼルサイクル」を使用するガソリンエンジンでは、効率が約38%から48%を超えるまで増大させること、
である。
本発明の実施形態は、エンジンの個々の入口/出口ポート(吸入バルブ)の開閉を制御する位置において、カムシャフト機構又はその機能を有するその他の代替装置の円形スパン(金属の拡張部(hump))を増大(拡張)させることによって、既存のカムシャフトを変更(修正)する。修正が必要となるのは、入口/出口ポートを作動させるカムのみであり、排気口を作動させるカムは修正されないままであることに注目すべきである。カムは通常、カムシャフトに取付けられる。修正されたカムは、断面が実質的に長円形である部分を含む。好ましくは、カムの断面は、実質的にデカルト卵形の断面である。修正は、ピストンの運動存続期間において、各入口/出口ポートの開放を、次のように延長させるべきである。
b.ピストンが上死点(TDC)から下死点(BDC)まで移動する間、入口/出口ポートを開放したまま保つ。
図7の点A(上死点(TDC))から点B(下死点(BDC))までを参照すると、任意のシリンダの入口/出口ポートは、シリンダがピストンと共に吸入ストロークを上死点(TDC)で開始する瞬間に、カムシャフト機構によって開放される。次いで、ピストンは、下死点(BDC)まで移動し、シリンダを空気と燃料の混合気(或いは噴射式燃料供給の場合には空気のみ)で満たし、過給式の空気と燃料の混合気の場合には、入口/出口ポートの開放により、シリンダに空気と燃料の混合気を供給することを可能にする。
図7の点B(下死点(BDC))から点Cまでを参照すると、入口/出口ポートは、強制的に開放を保ち続け、シリンダの下死点(BDC)に達した後のピストンは反転して上死点(TDC)に向かって所定の距離にわたって移動し(上述した項目c参照)、所定の距離は、必須ではないが理想的には上死点(TDC)と下死点(BDC)との間の距離の約30〜60%であり、ピストンは、一定の割合の容積の空気と燃料又は空気のみを、未だ開放されている入口/出口ポートを介してシリンダから排出して、空気と燃料の供給管に戻す。
[ii−1]排出ステップ(セクション)
図7の点B(下死点(BDC))から点Cまでであり、上述した項目cと同じ。
[ii−2]圧縮ステップ(セクション)
図7の点Cから点A(上死点(TDC))までである。
a「空気標準オットーサイクル」であるガソリンエンジンの場合、8〜10であり、
b「空気標準ディーゼルサイクル」であるディーゼルエンジンの場合、22〜26である。
a「空気標準オットーサイクル」であるガソリンエンジンの場合、8〜10であり、
b「空気標準ディーゼルサイクル」であるディーゼルエンジンの場合、22〜26である。
「排出セクション」(上述した項目[i−1]参照)と、
「圧縮セクション」(上述した項目[i−2]参照)と
に分割することによって、増大された実用的膨張比を達成するように、シリンダのこれら2つのセクションの分割線を設計し且つ制御する好適な機会を提供し且つ作成し、増大された膨張比は、
「ガソリンエンジン」の場合、15〜22になり、
「ディーゼルエンジン」の場合、35〜50になる。
各図面の図7、図8、図9、図9a、図10、図11、及び図12を参照すると、燃焼室の容積は、圧縮比を回復するために減少される。従来エンジンにおいては、圧縮比は、ピストンが上死点(TDC)位置にあるときのシリンダ及び燃焼室の容積に対しての、ピストンが下死点(BDC)位置にあるときのシリンダ及び燃焼室の容積の比である。
[b]上死点(TDC)及び下死点(BDC)の位置を(A1及びB1へ)変えることもできる固定死容積、すなわち、実質的に非圧縮性の部材23を、各ピストンの上面(ピストンヘッド)(シリンダC1)に付加する。これは、内燃エンジンの内部で生じる圧力及び温度で実質的に非圧縮性であり且つ耐熱性を有する必要がある。この部材は、シリンダ内でのピストンの動作を妨げないために、燃焼室内に固定されるように取付けられる必要がある。
[c]ピストン(シリンダC1)のストロークを点A1と点B2の間に変更し、ストロークが通常の下死点(BDC)及び上死点(TDC)位置を越えて拡張されるようにする。
ピストンが拡張された上死点(TDC)位置にあるときには、燃焼室の容積は、上死点(TDC)位置にあるピストンの非拡張位置と比べて減少される。
[d]上記及び他の選択肢の組合せ。
a「空気標準オットーサイクル」であるガソリンエンジンの場合、8〜10であり、
b「空気標準ディーゼルサイクル」であるディーゼルエンジンの場合、22〜26である。
[仮定]
・エンジンは「空気標準オットーサイクル」(4シリンダ、4ストローク、ガソリンタイプ)である。
・エンジンの作動サイズは2000cc(立方センチメートル)であり、各シリンダは、2000/4=500cc(立方センチメートル)の作動容積を有する。
・元々の設計圧縮比は、下死点(BDC)から上死点(TDC)までのピストンの完全移動に対して9.5であった。
・従来のシリンダのための圧縮室のサイズ、即ち、容積(Vcomp)は、58.8ccである(次式参照)。
例えば、シリンダに対して膨張比22が要求される場合、燃焼室の容積(Vc)に要求される物理的低減の見積りを、次に示す。
Vc=23.8cc
であり、燃焼室のサイズに要求される更なる低減は、
29.4−23.8=5.6cc
である。
・約9.5の膨張比を達成する。
・燃焼ガスの圧力は、7.5MPa(75bar)を超える値から約0.45MPa(4.5bar)又はこれを僅かに超える値まで低下する。
・燃焼ガスの温度は、2400Kを超える値から約1250K(場合によっては約1400K)まで低下する。
・圧力は、開始時点において、0.45MPaよりも高く、恐らくは0.6MPaよりも高く、終了時点において、約0.15MPaまで低下する。
・温度は、開始時点において、1250Kよりも高く、恐らくは1400Kよりも高く、終了時点において、約950Kまで低下する。
既存の車両への修正は、次のように導入される。
[a]ピストンストロークを増大させる(図9のシリンダC1参照)。
既に設計されているピストンの移動距離(ストローク)を有する既存の作動エンジンのストローク長を、必要な圧縮比9.5を得るように修正することは、極めてむずかしく、極めて高コストであろう。
「b」各ピストンの上面に、適正な死容積を付加する。これは、ピストンを実際に交換することによって可能である(図9のシリンダC1参照)。
現在の設計上の制約、及び、上死点(TDC)とエンジンカバー(ヘッド)との間のギャップがごく僅かであることにより、この方策も導入することは容易ではないかもしれない。
[c]その代わりに、各シリンダの既存の容積に、死容積を付加することによって、燃焼室のサイズ(ピストンが上死点(TDC)に達した時のピストンよりも上方のサイズ)を低減させる(図9のシリンダC2参照)。
この手段は、実施がそれ程難しくなく、また、それ程高コストでもなく、(後述するように)エンジン(自動車)の性能を大幅に改善することが期待される。固体金属片等の死容積の位置及び形状は、燃焼室内部の選択された適当な位置に固定される。
[d]必要に応じてこれらの選択肢を任意に組合せる。
[e]既存のエンジンカバー(ヘッド)を、燃焼室容積を低減した新しいエンジンカバーと置き換える。
この修正事項は、より単純で直截的である。修正事項は、熟練した工学設計及び手段を用いて含められる。
・全体のエンジンサイズを既存レベルに維持し、
・既存エンジンのシリンダのボア及びストロークを維持し、
・上記エンジンの他の構成要素に影響を与えることなしに、燃焼室のサイズを一定の割合で低減させ(死容積)、
・シリンダ内の作動空気と燃料の混合気の容積を(必須ではないが、理想的には30%〜60%だけ)低減し、空気と燃料の混合気の圧縮比を現在のレベルに維持し、
・膨張ストローク(燃焼ガスの膨張)のために全シリンダサイズを利用し、従って、燃焼ガスの膨張比を大幅に増大させる。
ガソリンエンジンの場合、15〜22であり、
ディーゼルエンジンの場合、35〜50である。
・燃料の放出エネルギー(燃焼ガス中の)からかなり大きい(場合によっては15%より高い)追加の有効エネルギーを抽出し、抽出される有効エネルギー(機械的効率)を現在のレベルから増大させることができ、
ガソリンエンジンの場合、現在の22%〜28%から40%よりも高いレベルに、
ディーゼルエンジンの場合、現在の36%〜42%から50%よりも高いレベルに増大させる。
新しい概念を適切に説明し、「空気標準サイクル」の効率及び性能の改善がどのように達成されるかを示すために、(例えば、4ストロークガソリンエンジンに対する)全「出力サイクル」の構成要素及び作動についての詳細な分析と説明が必要であろう。出力サイクルのステップを、次に示す。
最小の原理が「空気標準ディーゼルサイクル」に対しても適用可能である。
[ii]従来エンジンに対する修正について<実際的な物理用語を用いて説明し、修正エンジンの作動について説明する。
[iii]「空気標準オットーサイクル」に対して修正された作動及び性能について分析する。
[iv]両方の「空気標準出力サイクル」の動作結果を比較する。
図1、図2、及び図5〜12を参照すると、「空気標準オットーサイクル」に従って作動しているキャブレター型4ストロークガソリンエンジンについての説明は、自動車産業においてよく知られており、以下の説明は、主として従来エンジンの作動と修正を行った同じエンジンの作動との必要な比較を目的としたものである。
従来エンジンの4ストロークの各機能は、通常、ピストンの全ストローク(シリンダの一方の端部、即ち、上死点(TDC)から他方の端部、即ち、下死点(BDC)までの上記ピストンの運動)中に完了される。これらのストロークを、次に示す。
ピストンが上死点(TDC)から下死点(BDC)まで移動するとき、新鮮な空気と燃料の混合気をシリンダ内に吸入し、又は、ターボ及び正圧過給の場合には、シリンダ内に充填する。
[b]圧縮ストローク
空気と燃料の混合気の圧縮は、好ましい条件を出力サイクル内に誘起するために実施され、燃焼燃料から最大量の有効エネルギーを抽出するのを助けて、最良の効率を達成する。このストロークは、ピストンが下死点(BDC)から上死点(TDC)に移動する間に実施される。
[c]出力サイクル
これは「空気標準出力サイクル」の最も重要なステップであり、燃焼空気と燃料の混合気の熱エネルギーを有効な機械仕事に変換する。本サイクルは、ピストンが理想的に上死点(TDC)に置かれ、入口/出口ポートと排気バルブの両方が閉鎖された時点から実施される。
[d]排気ストローク
これは、燃焼ガスをシリンダから排出して、新鮮な空気と燃料の混合気の導入を可能にし、次のサイクルを実施するのに必要なステップである。このサイクルは、ピストンが下死点(BDC)に接近している間に実施され、入口/出口ポートは閉鎖され、ピストンが下死点(BDC)に接近している間、排気バルブを所定の位置で開放して、燃焼ガス(排気バルブが開くとかなり膨張する)を最小量のエネルギーで排出するのに十分な時間を許容する。
「空気標準出力サイクル」及び「空気標準ディーゼルサイクル」の多数の作動因子、特に、2300℃(2600K)よりも高い値に(瞬間的に)達する可能性のある「出力サイクル」の開始時及びその間に燃焼ガスの極めて高い温度によって、燃料燃焼から放出される熱エネルギーのかなりの損失をもたらす。一般的に、燃料から放出される熱エネルギーを、2つの主要部分に分割し、かかる主要部分を次に示す。
・有効エネルギー(自動車移動、流体の圧送、その他のような、エンジンの使用目的のために用いられるエネルギー)。
・損失エネルギー(エンジンの使用目的のために利用されないエネルギー)。
η=Eu/Et ・・・(式1)
ここで、
ηは、エンジンの熱効率であり、
Euは、必要な仕事を実施するのに使用できる有効熱エネルギーであり、
Etは、消費燃料から放出される全熱エネルギーである。
「空気標準オットーサイクル」の場合、22〜28%の範囲内であり、
「空気標準ディーゼルサイクル」の場合、36〜42%の範囲内である。
[a]排気燃焼ガス中の残留熱エネルギーと、
[b]冷却水又は冷却空気に対して失われる熱エネルギーと、
[c]エンジンの部品及び構成要素を作動させるための機械的損失である。
エンジン効率及び性能の期待され且つ特許請求の範囲に記載した改善を図示し、説明し、実証するために、従来の「空気標準オットーサイクル」と修正された「空気標準サイクル」の両方に関係する熱力学、動作、及び作動原理を分析し、修正を説明し、達成される結果を比較することが必要である。従って、以下の説明に、
[i]現在の従来条件下における作動ストロークと結果の説明と、
[ii]修正を加えた場合の同じ作動ストロークと結果の説明と、
[iii]結果の比較
が含まれる。
図1、図2、図3、図4、図5、及び図6を参照のこと。
現在及び将来の「空気標準サイクル」(ガソリンエンジン)の作動における圧縮比を9.5(好適且つ実用的な比率)と仮定する。エンジンの各ストロークの比較を、以下に説明する。
[A−1]従来エンジンの「空気標準オットーサイクル」の場合、図7では、上死点(TDC)から下死点(BDC)までであり、図1,図2,図3,図4,図5、及び図6では、点Aである。
このストロークは、シリンダを新鮮な空気と燃料の混合気で満たすために行われ、ほとんどの場合、作動中に極めて小さなエネルギーしか必要ではないと考えられ、エネルギー要件又は放出の観点においてニュートラルストロークとして扱われる。
・修正エンジンでは、上死点(TDC)から下死点(BDC)まで、シリンダへの空気と燃料の混合気吸入(吸気)と同じ原理が適用可能である。エネルギー要件に大きな差違はない。
・しかしながら、ピストンが下死点(BDC)に達すると、反転して上死点(TDC)に向かって戻り、入口/出口ポートは、開放され続ける。従って、ピストンが上死点(TDC)に向かって移動するとき、入口/出口ポートが閉鎖される時点まで、ある割合の量の空気と燃料の混合気をシリンダから供給管に排出し、この時点において、ピストンは、下死点(BDC)から上死点(TDC)までの距離の約30%〜50%の所定の距離にわたって移動する。
・ピストンは、全作動サイズ(ストローク)の50%を満たすと仮定する。
・この動作もあまり多くのエネルギーを必要とせず、無視される。
空気と燃料の混合気を必要な圧縮比まで圧縮する原理は、従来エンジンに対しても、修正エンジンに対しても適用可能である。
圧縮ストロークの間、修正により、シリンダ自体は、ピストン動作(運動)の2つの別個のセクションに分割される。
下死点(BDC)から点Cまで(シリンダの下側部分であり、ストロークの約30%〜60%)、ピストンが移動している間、空気と燃料の混合気の一部をシリンダから空気・燃料分配器(供給システム)に排出して戻し、このセクションの間、入口/出口ポートは開いたままであり、このセクションの終了時に閉鎖する。
点C(上述の位置)から上死点(TDC)(シリンダの上側部分)までであり、ピストンが移動して、圧縮ストロークを行い、この間、入口/出口バルブ及び排気バルブは共に閉鎖されている。シリンダ内の空気と燃料の混合気の量は、全シリンダ作動サイズ(ストローク)の約50%である。
[A]「空気標準オットーサイクル」である従来エンジン
従来エンジンの動作では、空気と燃料の混合気の圧縮は、ピストンの下死点(BDC)からの運動によって行われ、ピストンは、上死点(TDC)に達すると、圧縮ストロークを完了し、空気と燃料の混合気又は単に空気の全量を燃焼室内に押し込む。このプロセスには、かなりの量のエネルギーを必要とし、温度及び圧力両方の断熱上昇を引き起こす。
理論上の圧力上昇は、次式(2)に従う。
P1は、吸入ストロークの終わり及び圧縮ストロークの開始における空気と燃料の混合気の圧力であり、理想的(通常)には0.1MPa(1bar)であり、
P2は、圧縮ストロークの終わり及び出力ストロークの開始(燃料の点火前)における空気と燃料の混合気の圧力であり、
V1は、吸入ストロークの終わり及び圧縮ストロークの開始における空気と燃料の混合気の容積(シリンダ及び燃焼室の全容積)であり、
V2は、圧縮ストロークの終わり及び出力ストロークの始めにおける空気と燃料の混合気の容積(燃焼室の容積)であり、
Kは、CP/CVを表す定数であり、空気ではK=1.4であり、
CPは、定圧下における空気の比熱、
CV−空気の定容比熱である。
T1は、吸入ストロークの終わり及び圧縮ストロークの始めにおける空気と燃料の混合気(大気)の温度であり、
T2は、圧縮ストロークの終わり及び出力ストロークの始め(空気と燃料の混合気の点火前)における圧縮空気と燃料の混合気の温度である。
修正エンジンの圧縮ストローク(プロセス)は、それに対応するエネルギー要件並びに圧力及び温度上昇を有する「空気標準オットーサイクル」で説明したことと同様に実施される。
圧力は、2.33MPa(23.3bar)であり、
温度は、710Kである。
従来エンジンの場合、図1、図2、図3、図4、図5及び図6において、点Bから点Cを経て点Dで終了する。
修正シリンダの場合、同様に、図3、図4及び図6において、点Bから点C、点Dを経て点Eで終了する。
このストローク中、従来エンジンと修正エンジンの両方に対して、次の2つの同時プロセスが起こる。
「空気標準オットーサイクル」では、図1において点Bから点Cまであり、
「空気標準ディーゼルサイクル」では、図2において点Bから点Cまでである。
[a]遙かに高い圧縮比に起因して、「空気標準ディーゼルサイクル」は、極めて高い燃焼圧を有する。
[b]「空気標準ディーゼルサイクル」では、空気と燃料の混合気の自己着火であるのに対し、「空気標準オットーサイクル」では、電子式点火システムを有する。
[c]燃料導入(噴射)式ディーゼルエンジンでは、ピストンが上死点(TDC)から下死点(BDC)までの距離の約20〜30%で移動する間、燃料噴射を、ほぼ一定の所定圧力(圧縮圧に近接した)に維持するように制御することができる。
[d]このプロセスは、燃焼ガスからより多くの有効エネルギーを抽出し、サイクルの効率を増大させる助けとなる。
この「出力サイクル」の分析において、以下のように仮定する。
[a−1]空気と燃料の混合気の点火は、カムシャフト及び点火プラグの動作によって開始される。
[a−2]空気と燃料の混合気の点火(燃焼)とエネルギーの放出は、同時プロセスである。
[a−3]上記プロセスは、一定容積(燃焼室内の容積)において起こる。
[a−4]燃焼ガスの比熱は、750K+の温度で、1K・グラム毎に1.15ジュール(0.275cal)である。
[a−5]空気と燃料の混合気の密度は、1.14g/lである。
[a−6]供給燃料の発熱量は、1グラム当り46.872ジュール(11200cal)である。
[a−7]供給エネルギーは、基準状態の空気の1リットル当り2720ジュール(650cal)である。
・燃料消費のより実用的な燃焼状態
・排気ガス中約2〜4%の過剰酸素
・燃料燃焼のより良好な状態
である。
Tincrease=2720/(1.150ジュール/g・K × 1.14g/l)=2075K
であり、ここで、
1.150は、空気の比熱(ジュール/g・K)であり、
1.14は、298Kにおける空気の密度である。
Tth com=710+2075=2785K
である。
注意すべきことは、理想空燃比16の条件下での理論上の理想的温度(Tth id)はかなり高く、3200Kよりも大きい。
P2/P3=T2/T3 ・・・(式4)
に従った圧力上昇をもたらし、ここで
P3は、空気と燃料の混合気の燃焼後及び全理論放出熱のこれらのガスへの伝達後の燃焼ガスの圧力であり、
T3は、空気と燃料の混合気の点火後及び全理論放出熱のこれらのガスへの伝達後の燃焼ガスの温度である。
2.33/P3=710/2785
P3=9.13MPa(91.3bar)
[i]圧力は、9.13MPaである。
[ii]温度は、2785Kである。
[i]点火の瞬間(好ましくは、ピストンが上死点(TDC)に達する直前)の正確なタイミング(調整)を効果的に維持することが難しい。
[ii]燃料燃焼を完了するために時間を要する(極めて迅速であるのが好ましく、ピストンが上死点(TDC)を通過した直ぐの下死点(BDC)に向けて移動し始める間)。
[iii]非常に高温のガス(2400Kよりも高い温度)からシリンダ壁(金属)及び冷却水又は空気への熱伝達。
これは、不可避因子であり、全ての試みは、排除ではなく、熱損失を最小にすると共に、エンジンの効率及び円滑な作動(出力サイクル)を維持するためのものである。
「空気標準オットーサイクル」において、前述した空気と燃料の混合気点火(又はディーゼルエンジンの場合の自己着火)、エネルギー放出、及び温度上昇は、修正したエンジンに対しても同様に実施される。
圧力は、9.13MPaである。
温度は、2783Kである。
従来エンジンの場合、図1、図2、図3、図4、図5、及び図6の点Cから点Dまでであり、
修正エンジンの場合、図3、図4、図5、図6の点Cから点Dを経て点Eまでである。
従来エンジンと修正エンジンの動作間の主要な熱力学的相違点は、膨張ストロークにおいて生じ、以下に示す。
膨張ストローク開始時における実際の温度を2400Kと仮定する。
膨張ストローク開始時における実際の圧力を7.5MPa(75bar)と仮定する。
図1、図2、図3、図4、図5、図6の点Cから点Dまでである。
膨張ストロークの終了時(下死点(BDC))の温度を以下に示す。
Eex=(1250−288)×1.150ジュール/g・K=1106ジュール/g(265cal/g)
注意すべきことは、燃焼ガスの比熱は、より高い温度においては僅かに高くなると予想される。
排出されるエネルギーのパーセンテージ=(1106/(2720/1.14)×100=46.35%
これは、排気ガスと共に失われる極めて大量のエネルギーである。
PD=1250/288=0.43MPa(4.3bar)
この場合も同様に、これは極めて高い圧力であり、有効に利用できる場合、特にその圧力がシリンダ全容積の燃焼ガスに加えられると、これに比例した機械的仕事を行うことができる。
図3、図4、図5、図6の点Cから点Dを経て点Eまでである。
燃焼ガスは、制御された条件下で、従来サイクルの膨張セクションの終点から始まる、別の9.5倍の燃焼室サイズ(図3及び4の点Dから点Eまで)だけ断熱的に膨張し続ける。このことは、導入された燃料の燃焼プロセスを完了し、以下に示すように排気温度を著しく低下させる助けとなる。
EEXmod=(950−288)×1.150j/g・K=761ジュール/g(182cal/g)
排出されるエネルギーのパーセンテージ=(761/(2720/1.14)×100=31.89%
46.35−31.89=14.46%
注意すべきことは、噴射式自動車の場合、燃料の噴射は、シリンダサイズの30%〜60%を満たす空気の実際の量の修正に対しても調整することが必要である。
[A]従来エンジンの「空気標準オットーサイクル」の場合、ピストンは、図7では、下死点(BDC)から上死点(TDC)であり、図1、図2、図3、図4、図5、図6では、点Dから点Aまで移動する。
このストロークは、シリンダから外部環境に燃焼ガスを排出し、そのシリンダを次のサイクルに準備させるために行われる。このストロークは、毎分1600回転(1600RPM)よりも低いエンジン(クランクシャフト)速度において高いエネルギーを必要とせず、また、排気バルブのサイズに依存する。しかしながら、エンジンへのエネルギー入力が増大し、その結果出力ストローク(燃焼ガス膨張)の終了時における燃焼ガスの残留圧力及び温度が著しく上昇すると共に、エンジン速度が増大すると、燃焼ガスをシリンダから外へ排出するエネルギー要件が増大する。エンジン速度が約3000RPMに達する時までに、燃焼ガスの排出プロセスは、ピストン及びクランクシャフトから最大で0.1MPa(1.0barを上回る)の圧力を必要とする可能性がある。
シリンダ内の新鮮な空気と燃料の混合気の容積の著しい低減、及びその結果生じる修正エンジンの出力ストローク(燃焼ガス膨張)の終了時における残留圧力及び温度の著しい低下に起因して、燃焼ガスを排出するためのエネルギーに対する要求は、6000RPMを更に上回るエンジン(クランクシャフト)速度においても無視できる。
・従来エンジンと比べて、主要動作パラメータを維持し改善しながら、作動温度の全体の著しい低下に起因した冷却水又は冷却空気に対する熱損失が減少する。
2000ccサイズのエンジンについても空冷のみで十分であると立証することができる。
・極めて高い圧力及び温度をストロークの上方1/4部分に限定することにより(より楽な作動条件)機械的損失が少ない。
・より多くの熱エネルギーを有効な機械的仕事に変換することにより、冷却水又は冷却空気の必要性がより小さい。
・上記第1のNo.1で述べたように、同じグロス馬力を得るための燃焼ガスの量が少なく(恐らくは、40%よりも多く)、温度がより低いことに起因して、排気管の条件があまり厳しくない。
・エンジンの作動をより円滑にするために、将来の4シリンダエンジンのクランクシャフト上のクランク配置は、180°の現在の好ましい構成配置(図11)と比べて、互いに角度90°で配置することができる。
・同じ正味制動馬力を得るのに必要な燃料が遙かに少ない内燃エンジンの高い効率によって、大気へのCO2及び他の汚染物質のエミッションが大幅に低減される。
・より高い温度条件下でシリンダ自体における燃料の燃焼を完了するのに遙かに多くの時間を許容することにより、大気への有害物質及び不完全燃焼物質のエミッションが著しく少ない(量及び品質共に)。
・従って、このようなエンジンの作動から環境条件がより好ましくなり、且つ著しく改善される。
圧縮比が低い場合の影響を示すために、上記と同じ分析を圧縮ストローク開始時にシリンダが60%充填される場合に対して行う。圧縮ストローク開始時にシリンダの60%が空気と燃料の混合気で満たされる場合、新しい圧縮比を次に示す。
圧縮比=9.5+(9.5×0.6)=15.2
EEXMod=(1000−288)×1.150ジュール/g・K=820ジュール/g(196cal/g)
EEXMod=(820/(2720/1.14)×100=34.37%
節約されるエネルギー量は、46.35−34.37=11.65%である。
この圧力はまた、「空気標準オットーサイクル」(ガソリンエンジン)の従来の運転で生じる圧力よりも著しく低い。
図3及び図4に示した「出力サイクル」は、新しいタイプの「空気標準出力サイクル」であり、これはこの出力サイクルの膨張ストロークを従来の「空気標準オットーサイクル」及び「空気標準ディーゼルサイクル」の両方の膨張ストロークを超えて大きく拡張することができ、これら両方とは実質的に異なる。
[i]従来の吸入ストロークを以下に分割する
[a]充填段階
上死点(TDC)から下死点(BDC)まで移動するピストンがシリンダを空気と燃料の混合気で満たす(入口/出口ポートは開いている)。
[b]排出段階
上記ピストンが下死点(BDC)に達して、上記段階[a]に従ってシリンダを空気と燃料の混合気で充填すると、ピストンは、反転して上死点(TDC)に向かって移動し始め、下死点(BDC)及び上死点(TDC)間の距離の約30%〜60%の所定距離にわたって移動し、入口/出口ポートはこのセクションの間は開いたままである。この段階中に、ピストンは、空気と燃料の混合気の比例部分を排出して燃料配給(供給)管内へ戻す。
入口/出口ポートは、下死点(BDC)と上死点(TDC)の間の全距離の30%〜60%の所定距離の終わりに対応するピストン位置において閉鎖される。
[a]排出段階
ピストンが下死点(BDC)から移動して、上述した項目[i][b]に従って下死点(BDC)と上死点(TDC)との間の所定距離を移動する期間である。
[b]圧縮段階
ピストンが所定距離(上記段階[a]で説明したような)から移動して、対応するシリンダの上死点(TDC)に移動する(シリンダの上半部分にわたる)期間である。
[a]出力サイクルの膨張ストロークと、これに応じた燃焼ガスの膨張比とを従来の「空気標準オットーサイクル」及び「空気標準ディーゼルサイクル」両方のこれらを超えて大幅に拡張する。
これは、対象のエンジンが最大効率を得るようにエンジンの膨張比を選択する機会を実際に提供する。
[a]排気ストロークは、エンジンの従来動作と同様であり、対応するピストンが下死点(BDC)から上死点(TDC)まで移動する間に行われる。しかしながら、主な相違点は、排気される燃焼ガスの実際のサイズにあり、これは修正エンジンにおいて低圧低温で遙かに小さい。従って、燃焼ガスをシリンダから外に排出するための出力要件が遙かに小さくなる(無視できる)。
この「空気標準アタラ修正サイクル」で作動するエンジンは、実際に行われている分類、表現を次に示す。
・アタラ修正30では、シリンダは全サイズの70%充填される。
・アタラ修正40では、シリンダは全サイズの60%充填される。
・アタラ修正50では、シリンダは全サイズの50%充填される。
・アタラ修正60では、シリンダは全サイズの40%充填される。
更に、シリンダの他の全ての選択された充填は、アタラ修正35、アタラ修正38、アタラ修正42、アタラ修正45、その他である。
これらは通常小型エンジンであり、自動二輪車(高速移動車両)に適用される。しかしながら、本修正は2ストロークエンジンに対しても上手く適用され、これらのタイプのエンジンに関連する効率、性能、及び環境問題を改善することができる。
[a]4つの作動ストローク全ては、クランクシャフトの完全な1回転中に行われる。
[b]排気バルブは存在しない。
[c]燃焼ガスの排気は、各シリンダの下方セクション内の長手方向スロットを介して起こる。
[d]空気と燃料の混合気はほとんど圧縮されず、正圧下でシリンダに供給される。
[e]シリンダ内に供給される空気と燃料の混合気は、燃焼ガスの排出も行う(排気プロセスストローク)。
[f]これらのエンジンの効率は通常、極めて低い。
・クランクシャフトの完全回転(角度で360°)毎において、点A(図12)から始まる修正エンジンの2つのストローク(ストローク)は、従来エンジンと比較して、次のように行われる。
・出力サイクルは出力ストロークから始まると仮定する。
[A]従来エンジン:
ピストンは、上死点(TDC)から点Cまで(図12a)、及び点Aから点Cまで(図12b)移動する。
圧縮された空気と燃料の混合気の点火が始まり、燃焼ガスの温度及び圧力が大きく上昇し、これにより燃焼ガスが膨張して、ピストンを上死点(TDC)から点Cまで押し下げる(図12a)か、又はクランクシャフトの角度経路上の点Aから点Cまで移動させる(図12b)。
膨張比は、8〜9である。
この場合もまたピストンは、上死点(TDC)から点Cまで(図12a)、及び点Aから点Cまで(図12b)移動する。
圧縮された空気と燃料の混合気の点火により燃料燃焼が始まり、燃焼ガスの温度及び圧力が大きく上昇し、これにより燃焼ガスが膨張して、ピストンを上死点(TDC)から点Cまで押し下げる(図12a)か、又はクランクシャフトの角度経路上の点Aから点Cまで移動させる(図12b)。
膨張比は、16〜18である。
[A]従来エンジン
ピストンは、点Cから下死点(BDC)まで移動して点Cまで戻り(図12a)、更に点Cから点D1まで(図12b)移動する。
ピストンが点Cに達してこれを越えると、排気スロットの上部線(縁部)を更に超え、依然として高圧状態で且つ極めて高温の燃焼ガスは、それぞれのシリンダから排気管、次いで外部の大気に流出し始める(極めて高速度で)。このプロセスは、ピストンが移動して下死点(BDC)(図12aの点D)に達し、反転して上死点(TDC)に向けて戻り点D1(図12a)に達する間継続し、点D1において、ピストンは、排気スロットの上縁部を通過し、排気プロセス(ストローク)を終了する。
この場合もまたピストンは、点Cから下死点(BDC)まで移動し、点Cまで戻り(図12a)、更に点Cから点D1まで(図12c)移動する。
ピストンが点Cに達してこれを越えると、排気スロットの上部線(縁部)を更に超え、依然として高圧状態で且つ極めて高温の燃焼ガスは、それぞれのシリンダから排気管、次いで外部の大気に流出し始める(極めて高速度で)。しかしながら、燃焼ガスの排出圧力及び温度は、類似した従来の2ストロークエンジンの排出圧力及び温度よりもかなり低い。このプロセスは、ピストンが移動して下死点(BDC)(図12aの点D)に達し、反転して上死点(TDC)に向けて戻り、点D1(図12a)に達する間継続し、点D1においてピストンは、排気スロットの上縁部を通過して、排気プロセス(ストローク)を終了する。
[A]従来エンジン
ピストンは、点Cから下死点(BDC)まで移動し、反転して点Cまで戻り(図12a)、更に点Cから点D1まで(図12b)移動する。
ピストンが下死点(BDC)、点D(図12b)に達し、充填(吸入)バルブが開くと、空気と燃料の混合気は、正圧下でシリンダ内に充填され、燃焼ガスを排気スロットを介して排気管及び外部に押し出す。このプロセスは、ピストンが点C(図12a)及び点D1(図12b)に達するまで継続する。燃焼ガスの置換えは完了していないが、大部分の燃焼ガスがシリンダから外へ押出されることが期待される。
・ピストンが点C(図12a)に達すると、充填バルブは閉じられる。
・シリンダは、新鮮な空気と燃料の混合気で点C(図12a)まで充填される。
この場合もまたピストンは、点Cから下死点(BDC)まで移動し、反転して点Cまで戻り(図12a)、更に点Cから点D1まで(図12c)移動する。
ピストンが下死点(BDC)、点D(図12a及び12c)に達し、充填(吸入)バルブが開くと、空気と燃料の混合気は、正圧下でシリンダ内に充填され、排気スロットを介して燃焼ガスを排気管及び外部に押し出す。このプロセスもまた、ピストンが点C(図12a)及び点D1(図12c)に達するまで継続する。燃焼ガスの置換えは完了していないが、大部分の燃焼ガスがシリンダから外へ押し出されることが期待される。
ピストンが点C(図12a)に達すると、充填バルブ(入口/出口バルブ)は開いたままであり、ピストンが点E(図12c)に達すると閉じられる。
これにより、上記ピストンは、一部の空気と燃料の混合気を点Cから点C1(図12a)まで(点D1から点Eまで、図12c)、シリンダから排出することが可能になる。
−シリンダは、上死点(TDC)から点C1(図12a)まで新鮮な空気と燃料の混合気で充填される(従来エンジンの作動サイズの40%〜60%)。
[A]従来エンジン
ピストンは、点Cから上死点(TDC)まで(図12a)、及び点D1から上死点(TDC)点Aまで(図12b)移動する。
ピストンは、空気と燃料の混合気を燃焼室内に圧縮し、要求される圧縮比8〜10を達成する。
ピストンは、点C1から上死点(TDC)まで(図12a)、及び点D1から点A(上死点(TDC))まで(図12c)移動する。
ピストンは、空気と燃料の混合気を燃焼室内に圧縮(従来シリンダの作動サイズの約40%〜60%)し、要求される圧縮比8〜9(燃焼室の低減された容積で)を達成する。
・排気ガス温度を著しい低下させる(恐らくは、400Kよりも大きい、例えば1400Kから1000Kを下回る温度まで)。
・従来エンジンと比べて主要動作パラメータを維持し改善しながら、作動温度の全体の著しい低下に起因した冷却空気に対する熱損失が減少する。
・極めて高い圧力及び温度をストロークの上方1/4部分に限定することにより、機械的損失が少ない。
・第1の修正で述べたように、同じグロス馬力を得るための燃焼ガスの量が少なく(恐らくは、40%よりも多く)、温度がより低いことに起因して排気管の条件があまり厳しくない。
・同じ正味制動馬力を得るのに必要な燃料が遙かに少ない内燃エンジンの高い効率によって、大気へのCO2のエミッションが大幅に低域される。
・より高い温度条件下でシリンダ自体における燃料の燃焼を完了するのに遙かに多くの時間を許容することにより、大気への有害物質及び不完全燃焼物質のエミッションが著しく少ない(量及び品質共に)。
・排気圧力を大きく低下させた結果として、エンジンノイズが大幅に低減される。
下記事項に従い、「空気標準オットーサイクル」で作動する従来エンジンと、修正されて「空気標準アタラ修正サイクル」で作動する同一エンジンとの性能を比較する。
・2000ccサイズの4ストロークガソリンエンジンを仮定する。
・エンジンが2400RPMで作動していると仮定する。
・圧縮比は、9.5である。
・供給燃料が1リットル当り2720ジュール(650cal)である。
・エンジン効率が25%と仮定する。
[主要動作指標]
1kg・m=10ジュール(2.39cal)
従って、改善された性能は、同量の燃料に対して同一物理サイズのエンジンで2つの「出力サイクル」において達成される出力として表現することができる。
1.6×10=16km/リットル
Claims (15)
- 内燃エンジンの燃焼室(7)及びシリンダ(3)内の空気、又は、空気と未燃焼燃料の混合気の容積を制御するための装置であって、
(a)空気、又は、空気と未燃焼燃料の混合気の供給源に連結され、開放状態と閉鎖状態とを有する入口/出口ポート(9)と、
(b)前記シリンダ内に収容されたピストン(1)と、
(c)燃焼室と、を有し、前記燃焼室の容積は、内燃エンジンがガソリンエンジンの場合には内燃エンジンが15〜22の膨張比を有するように構成され、内燃エンジンがディーゼルエンジンの場合には内燃エンジンが35〜50の膨張比を有するように構成され、
前記入口/出口ポートは、開放時において、空気又は空気と未燃焼燃料の混合気が前記燃焼室及び前記シリンダに流入すること又は流入したり流出したりすることができるように制御され、閉鎖時において、空気又は空気と未燃焼燃料の混合気が前記燃焼室及び前記シリンダに流入したり流出したりすることができないように制御され、
前記入口/出口ポートが閉鎖するときに前記燃焼室及び前記シリンダ内にある空気又は空気と未燃焼燃料の混合気の容積は、前記入口/出口ポートが閉鎖され且つ前記シリンダ内部の下死点位置にピストンがあるときに定められる前記燃焼室及び前記シリンダの容積よりも小さい、装置。 - 上死点位置における前記ピストンの位置は、前記燃焼室の容積を定める、請求項1に記載の装置。
- 更に、前記燃焼室の容積を定めるエンジンヘッドを有する、請求項1に記載の装置。
- 前記ピストンが下死点位置から上死点位置に向かって移動するとき、圧縮ストロークの少なくとも一部分の間、前記入口/出口ポートが開放状態を維持し、空気又は空気と未燃焼燃料の混合気が前記燃焼室及び前記シリンダから出ることができるようにする、請求項1に記載の装置。
- 前記ピストンが上死点位置から下死点位置に向かって移動するとき、吸入ストロークの少なくとも一部分の間、前記入口/出口ポートが閉鎖されて、更なる空気又は空気と未燃焼燃料の混合気が前記燃焼室に入ることができないようにする、請求項1に記載の装置。
- 更に、前記入口/出口ポートを開くためのカムと、
前記入口/出口ポートを閉鎖するためのバネと、を有する請求項1に記載の装置。 - 前記カムは、前記ピストンの下死点位置に対してオフセットされる、請求項6に記載の装置。
- 吸入ストロークの間、前記ピストンヘッドが、上死点位置から下死点位置へ向かう距離の実質的に40%から実質的に70%の間の位置に移動したとき、前記入口/出口ポートが閉鎖するように、前記カム及びバルブが構成される、請求項6に記載の装置。
- 前記ピストンの圧縮ストロークの間、前記ピストンヘッドが、下死点位置から上死点位置へ向かう距離の実質的に30%から実質的に60%の間の位置に移動したとき、前記入口/出口ポートが閉鎖するように、前記カム及びバルブが構成される、請求項6に記載の装置。
- 前記燃料は、天然ガス、液化石油ガス、ガソリン、灯油、ディーゼル燃料、軽質又は重質ガス油、残油、アルコール、エタノール、バイオ燃料、水素のうちの何れか1つ又はそれ以上を含む、請求項1〜9の何れか1項に記載の装置。
- 内燃エンジンがガソリンエンジンの場合には8〜10の圧縮比を有するように、内燃エンジンがディーゼルエンジンの場合には22〜26の圧縮比を有するように、前記入口/出口ポートが制御される、請求項1〜10の何れか1項に記載の装置。
- エンジンの1サイクル中において前記入口/出口ポートが閉じるときに前記燃焼室及び前記シリンダの内側に位置する空気、又は、空気と未燃焼燃料の容積は、エンジンのその後のすべてのサイクル中において前記入口/出口ポートが閉じるときに前記燃焼室及び前記シリンダの内側に位置する空気、又は、空気と未燃焼燃料の容積と実質的に同じである、請求項1〜11の何れか1項に記載の装置。
- 内燃エンジンであって、
(a)少なくとも1つのシリンダ(3)と、
(b)少なくとも1つのピストン(1)と、
(c)前記シリンダ又は前記各シリンダに連結される燃焼室(7)と、を有し、前記燃焼室の容積は、内燃エンジンがガソリンエンジンの場合には内燃エンジンが15〜22の膨張比を有するように構成され、内燃エンジンがディーゼルエンジンの場合には内燃エンジンが35〜50の膨張比を有するように構成され、
(d)更に、空気、又は、空気と未燃焼燃料の混合気の供給源に連結され、開放状態と閉鎖状態とを有する、各燃焼室のための少なくとも1つの入口/出口ポート(9)と、
(e)各入口/出口ポートを制御する回転カム(17)と、を有し、
前記カムが、前記ピストン又はそれぞれのピストンの下死点位置に対してオフセットされ、
前記入口/出口ポートは、開放時において、空気又は空気と未燃焼燃料の混合気が前記燃焼室及び前記シリンダに流入すること又は流入したり流出したりすることができるように制御され、閉鎖時において、空気又は空気と未燃焼燃料の混合気が前記燃焼室及び前記シリンダに流入したり流出したりすることができないように制御され、
前記入口/出口ポートが閉鎖するときに前記燃焼室及び前記シリンダ内にある空気又は空気と未燃焼燃料の混合気の容積は、前記入口/出口ポートが閉鎖され且つ前記シリンダ内部の下死点位置にピストンがあるときに定められる前記燃焼室及び前記シリンダの容積よりも小さい、内燃エンジン。 - 内燃エンジンを修正する方法であって、
内燃エンジンは、入口/出口ポート(9)の開放と閉鎖を制御するための制御装置(17)と、ピストン(1)と、シリンダ(3)と、燃焼室(7)と、エンジンヘッドとを有し、
前記入口/出口ポートを、開放時において、空気又は空気と未燃焼燃料の混合気が前記燃焼室及び前記シリンダに流入すること又は流入したり流出したりすることができるように制御し、閉鎖時において、空気又は空気と未燃焼燃料の混合気が前記燃焼室及び前記シリンダに流入したり流出したりすることができないように制御するように、前記制御装置を修正する工程を有し、
前記入口/出口ポートが閉鎖するときに前記燃焼室及び前記シリンダ内にある空気又は空気と未燃焼燃料の混合気の容積は、前記入口/出口ポートが閉鎖され且つ前記シリンダ内部の下死点位置にピストンがあるときに定められる前記燃焼室及び前記シリンダの容積よりも小さく、
更に、前記燃焼室内部に固定されるように取付けられた実質的に非圧縮性の部材(21)、又は、前記ピストンの上面に固定されるように取付けられた実質的に非圧縮性の部材(23)を追加する工程、又は、前記燃焼室の容積を減少させるように前記エンジンヘッド又は前記ピストンを交換する工程、又は、前記燃焼室の容積を減少させるために前記ピストンのストロークを下死点位置及び上死点位置を越えるように延長する工程を有する、方法。 - 内燃エンジンを修正するためのキットであって、
燃焼室内部に固定されるように取付けられた実質的に非圧縮性の部材(21)、又は、ピストンの上面又はピストンに固定されるように取付けられた実質的に非圧縮性の部材(23)と、
入口/出口ポートを、開放時において、空気又は空気と未燃焼燃料の混合気が前記燃焼室及び前記シリンダに流入すること又は流入したり流出したりすることができるように制御し、閉鎖時において、空気又は空気と未燃焼燃料の混合気が前記燃焼室及び前記シリンダに流入したり流出したりすることができないように制御する装置と、を有し、
前記入口/出口ポートが閉鎖するときの前記燃焼室及び前記シリンダ内にある空気又は空気と未燃焼燃料の混合気の容積は、前記入口/出口ポートが閉鎖され且つ前記シリンダ内部の下死点位置にピストンがあるときに定められる前記燃焼室及び前記シリンダの容積よりも小さい、キット。
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