以下、本発明の実施の形態について、その実施例を図面に基づき説明する。図1は本発明の実施例としての自動両替装置1の正面側概観図、図2はこの自動両替装置1の背面をその扉を開けた状態で示す背面側外観図である。
図1に示すように、自動両替装置1は、タッチパネル2と、紙幣入出金口3と、硬貨取出口4と、包装硬貨取出口5と、カード挿入口6と、明細票取出口7と、取引状態表示部8を備える。タッチパネル2は表示部と操作部を兼ねており、ユーザーへの案内表示を行い、ユーザーから操作を受け付ける。ユーザーは、タッチパネル2の表示を見ながら両替に関する種々の指定、例えば、所望する両替総額や、所望する硬貨金種等を指定する。タッチパネル2は、こうしたユーザー操作を受けて、両替開始の旨や上記した種々の指示を後述の主制御部17に送信する。
紙幣入出金口3と硬貨取出口4および包装硬貨取出口5は、タッチパネル2のユーザー操作を受けてそれぞれ次のように所定の機能を果たす。紙幣入出金口3は、シャッターの開閉を経てユーザーの紙幣の投入(紙幣受入)、並びにユーザーへの紙幣放出に関与する。本実施例の自動両替装置1は、高額紙幣を低額紙幣および硬貨に両替することを想定していることから、ユーザーからの硬貨受入は不要である。よって、硬貨取出口4と包装硬貨取出口5は、共にユーザーへの硬貨放出に関与すればよく、シャッターの開閉を経て、硬貨取出口4は両替されたバラ硬貨をユーザーに放出し、包装硬貨取出口5は両替された包装硬貨をユーザーに放出する。ここで包装硬貨は硬貨を一定枚数重ねて柱状に包装したものであり、「棒金」とも呼ばれる。カード挿入口6は、ユーザーからのカード(例えば、両替カードや顧客カード)の挿入を受け、明細票取出口7は、取引の明細票をユーザーに放出する。取引状態表示部8は、自動両替装置1の状態が取引運用中か、あるいは取引中止状態であるかを表示する。なお、上記したタッチパネル2の案内表示や紙幣入出金口3等のシャッターの開閉は、後述の主制御部17により制御される。
図2に示すように、自動両替装置1は、その背面側に背面扉18を開閉自在に備え、当該扉と装置筐体内に、紙幣処理部11と、包装硬貨処理部12と、バラ硬貨処理部13と、係員パネル部14とを備える。紙幣処理部11は紙幣の取込み、鑑別、搬送、繰出し等を行なう。包装硬貨処理部12は包装硬貨の鑑別、搬送、放出等を行なう。図3は包装硬貨処理部12を概略的に斜視にて示す説明図である。図示するように、包装硬貨処理部12は、互いに切離し、結合可能な構造を持ったフィーダ部21とワゴン部22から構成される。フィーダ部21は、自動両替装置1における包装硬貨取出口5(図1参照)の下方に位置し、包装硬貨処理部12が担う包装硬貨の鑑別や搬送、放出等のうち、包装硬貨の搬送・放出機能を果たす。つまり、このフィーダ部21は、昇降式のバケット23を備え、ワゴン部22が有する後述の金種別トレー25から包装硬貨を1本ずつこのバケット23に受け取り、その受け取った包装硬貨を、包装硬貨取出口5の下方の包装硬貨取出口24まで搬送してその放出に関与する。
ワゴン部22は、本願における取引モジュールの一具体例を構成し、左列包装硬貨モジュール22Lと右列包装硬貨モジュール22Rとを備える。この左右の包装硬貨モジュールは、それぞれ多段に金種別トレー25を備え、各段の金種別トレー25に金種ごとの包装硬貨を両替取引のために保管する。多段に並ぶ金種別トレー25は、それぞれ傾斜して配設され、その傾斜により包装硬貨をトレー前端側、詳しくは上記したフィーダ部21のバケット23の側に転動させる。また、金種別トレー25は、各段ごとに保管する包装硬貨の金種が設定されており、本実施例では、上から2段目までの金種別トレー25は、所定本数の1円の包装硬貨を保管収納する。3段目と4段目の金種別トレー25は5円の包装硬貨を、5段目から7段目の金種別トレー25は10円の包装硬貨を、8段目と9段目の金種別トレー25は50円の包装硬貨を、10段目から12段目の金種別トレー25は100円の包装硬貨を、13段目と14段目の金種別トレー25は500円の包装硬貨を、それぞれの金種ごとの所定本数ずつ保管収納する。なお、金種ごとの金種別トレー25の段数は、自動両替装置1の設置環境に応じて種々変更可能である。例えば、商店街であれば、比較的少額の釣り銭用硬貨の両替の所望頻度が高く、住宅地域では高額硬貨への両替要望が高いと想定されるので、こうしたことを考慮して金種別トレー25の段数や、金種ごとのトレー段数の振り分けを行うようにすることもできる。
上記した左列包装硬貨モジュール22Lと右列包装硬貨モジュール22Rの両包装硬貨モジュールは、一体となってワゴン部22を構成するものの、後述する引出禁止ソレノイド33等による包装硬貨の払出一時停止を経て、両替取引の運用からソフト的或いはハード的にそれぞれ個別に除外可能とされている。この運用除外については、引出禁止ソレノイド33等との関連から後述する。また、左列包装硬貨モジュール22Lと右列包装硬貨モジュール22Rの両包装硬貨モジュールは、それぞれの金種別トレー25にて共に包装硬貨を両替取引の運用のために保管することから、両替取引の運用においては、一方の硬貨モジュールは他方の硬貨モジュールと代替え可能となる。その一方、紙幣処理部11については、紙幣払出機構のソフト的或いはハード的な停止により、両替取引の運用から除外可能ではあるものの、両替取引のために保管する現金の種別が相違するので、具体的には紙幣を保管するので、両替取引の運用においては、左列包装硬貨モジュール22L或いは右列包装硬貨モジュール22Rと代替え不可となる。
図2に示したバラ硬貨処理部13は硬貨の鑑別、搬送、放出等を行なう。このバラ硬貨処理部13についても、バラ硬貨払出機構のソフト的或いはハード的な停止により、両替取引の運用から除外可能ではあるものの、両替取引のためにバラ硬貨を保管するので、両替取引の運用においては、左列包装硬貨モジュール22L或いは右列包装硬貨モジュール22Rと代替え不可となる。係員パネル部14は操作部と表示部とを兼ねており、例えば、紙幣や硬貨の補充や回収、あるいは自動両替装置1のメンテナンスの際に銀行の係員等によって操作される。例えば、銀行の係員等(以下、これらを総称して、適宜、保守要員と称する)が背面扉18を開けて係員パネル部14を操作すると、その操作内容によって、自動両替装置1は、その一切の両替取引の運用が中止となる取引中止状態とされたり、後述するように両替取引の運用を一部規制した運用継続状態とされる。
この取引中止は、例えば天災や人災等により或いは装置全体の異常発生により、一時的に一切の取引を中止せざるを得ないような場合が想定され、両替取引の規制運用は、後述する不足硬貨補充の場合や装置の一部箇所の故障(例えば、一部の包袋硬貨出金機構の故障等)の場合が想定される。そして、取引中止状態となると、取引状態表示部8およびタッチパネル2(図1参照)の表示が取引中の表示から取引中止の表示に変わる。この取引中止の原因が取り除かれると、保守要員による係員パネル部14での復旧完了操作を経て、自動両替装置1は取引状態となり、取引状態表示部8およびタッチパネル2は、その表示を取引中止表示から取引表示に変える。その一方、硬貨補充や装置一部箇所の故障により両替取引の運用を一部規制した運用継続状態では、取引状態表示部8およびタッチパネル2の表示は取引表示のままである。この場合の両替取引の一部規制の様子やタッチパネル2の表示の詳細については後述する。なお、包装硬貨処理部12の後面にも扉を設け、当該扉を開けて包装硬貨の補充などの操作を保守要員が行う構成としてもよい。
ここで、自動両替装置1による両替取引の大まかな流れについて説明する。ユーザーによりカード挿入口6(図1参照)にカードが挿入されると、タッチパネル2は、取引開始キーを含む案内表示を行う。ユーザーによる取引開始キーの押圧操作を経て両替取引が開始され、まず、自動両替装置1は、紙幣入出金口3のシャッターを開け、紙幣入出金口3へのユーザーからの紙幣が投入を待つ。紙幣が投入されると、図2に示す紙幣処理部11は、投入済みの紙幣の取り込み・鑑別・計数を行う。自動両替装置1は、タッチパネル2に両替可能な金種と数量を表示する。なお、上記した両替取引の規制運用の際の表示については後述する。タッチパネル2のユーザー操作により両替金種および数量が指定されると、自動両替装置1は指定された両替金種および数量に従い、紙幣処理部11や、包装硬貨処理部12、バラ硬貨処理部13を用いて両替金の繰出し、鑑別、搬送を行なう。次に、自動両替装置1は紙幣入出金口3、硬貨取出口4、包装硬貨取出口5から両替金を放出する。また、自動両替装置1は明細票取出口7から取引の明細票を放出する。
次に、自動両替装置1の電気的な構成と各部の詳細な機器構成について説明する。図4は自動両替装置1の電気的な構成を概略的に示すブロック図である。図示するように、自動両替装置1は、すでに説明したタッチパネル2、紙幣処理部11、包装硬貨処理部12、バラ硬貨処理部13、係員パネル部14の他に、カード処理部15と、帳票処理部16と、主制御部17を備える。カード処理部15はカード挿入口6(図1)に挿入されたカードの読み取り処理を行う。帳票処理部16は取引等の明細票を発行する。なお、明細票は明細票取出口7(図1参照)から放出される。主制御部17は、論理演算を実行するCPUと、データを不揮発的に記憶するROM、データを一時的に記憶するRAM等を備えたいわゆるコンピューターとして構成され、後述する両替取引処理を含め、自動両替装置1全体の動作を制御する。例えば、主制御部17は、タッチパネル2および係員パネル部14に対して案内表示や入力受付の指令を表示し、カード処理部15に対してカードの受付・読込み・返却等を指示し、紙幣処理部11に対して入金・出金等を指示し、包装硬貨処理部12・バラ硬貨処理部13に対して出金等を指示し、帳票処理部16に対して明細票の印刷等を指示する。
包装硬貨処理部12は、その機構的な構成(図3参照)は既述した通りであり、電気的には、フィーダ部21に制御部27を備える。この制御部27にあっても、主制御部17と同様、論理演算を実行するCPUと、データを不揮発的に記憶するROM、データを一時的に記憶するRAM等を備えたいわゆるコンピューターとして構成される。そして、制御部27は、主制御部17とデータの通信を行いつつ、この主制御部17と共同して後述する両替取引処理を実行し、当該処理における包装硬貨処理部12の側の機器制御を担う。例えば、制御部27は、主制御部17から包装硬貨の出金指令を受け取ると、RAMに記憶済みの金種別トレー25の各トレー毎の包装硬貨の格納本数に基づいて、出金するトレーと本数を決定する。そして、バケット23を昇降制御して出金する当該トレーに順次移動させ、出金する本数分を金種別トレー25から繰出してバケット23に集積し、出金要求分がすべてバケット23に揃えば、バケット23を包装硬貨取出口24まで移動させる。この場合、主制御部17の側で、金種別トレー25の各トレー毎の包装硬貨の格納本数に基づいて、出金するトレーと本数を決定することもできる。
包装硬貨処理部12は、ワゴン部22に、金種別トレー25と、引出禁止ピン31と、引出禁止レバー32と、引出禁止ソレノイド33と、包装硬貨検知センサー41と、トレー装着センサー42とを備え、これらを制御部27に接続してその制御下に置く。包装硬貨検知センサー41は、図3に示した左列包装硬貨モジュール22Lと右列包装硬貨モジュール22Rに属する各段の金種別トレー25について、その装着状態、具体的には装着済みの状態と硬貨補充・異常復旧のために取り外し状態とを検知する。トレー装着センサー42は、左右の両包装硬貨モジュールに含まれる各段の金種別トレー25に保管済みの包装硬貨の本数をトレーごとに検知する。以下、金種別トレー25での包装硬貨保管とその放出、包装硬貨検知センサー41やトレー装着センサー42による検知の様子について説明する。
図5は金種別トレー25の概略構成を示す斜視図、図6は装着状態の金種別トレー25とバケット23との関係を示す説明図、図7は金種別トレー25からバケット23への包装硬貨放出の様子を示す説明図である。
図5に示すように、金種別トレー25は、その側面に包装硬貨検知センサー41を長手方向に沿って複数備え、当該センサーにて、保管済み包装硬貨30の本数を検知する。この検知本数は制御部27に送信される。金種別トレー25は、左列包装硬貨モジュール22Lと右列包装硬貨モジュール22R(図3参照)の各モジュールに装着された状態では、図6に示すように、そのトレー先端をバケット23に臨ませる。トレー装着センサー42は、上記のように装着済みの金種別トレー25に対してそのトレー先端に位置することから、金種別トレー25の装着状態(装着或いは非装着)を検知し、その結果を制御部27に送信する。
図7(A)に示すように、左列包装硬貨モジュール22Lと右列包装硬貨モジュール22Rの両包装硬貨モジュールの金種別トレー25のそれぞれが硬貨両替の運用に供されている場合、両包装硬貨モジュールの金種別トレー25は、共にバケット23の側にトレー先端を位置させ、装着状態となる。この装着状態は、既述したトレー装着センサー42に検知され、金種別トレー25からバケット23への包装硬貨30の放出に向けた原位置となる。そして、金種別トレー25からの包装硬貨30の放出は、その放出対象の金種別トレー25が図7(B)に示すように包装硬貨30の一つ分だけバケット23に対してオーバーハングするよう前進し、この前進により包装硬貨30の放出が可能となる。放出後、金種別トレー25は既述した原位置に復帰する。上記した金種別トレー25の原位置からの進退は、図示しないトレー進退機構により実施される。この場合、上記左右の両包装硬貨モジュールの金種別トレー25からは、ユーザーの希望する本数の包装硬貨が左右トレーからの放出本数が略均等になるように放出される。その一方、上記両包装硬貨モジュールの一方のモジュール、例えば左列包装硬貨モジュール22Lに属する金種別トレー25において包装硬貨不足が生じたり、障害が発生すると、硬貨不足或いは障害発生の金種別トレー25を含む硬貨モジュール、例えば左列包装硬貨モジュール22Lが両替取引の運用から除外される(図7(C))。この場合、運用除外は硬貨モジュール単位でなされるが、それぞれの金種別トレー25の退避は、硬貨不足或いは障害発生を起こしたトレーについてなされる。そして、障害の復旧処理完了時、或いは硬貨補充動作完了時においては、金種別トレー25は硬貨放出ができるよう再装着されて図7(A)に示すに示す原位置に復帰すると共に、運用除外とされていた包装硬貨モジュールについても、改めて両替取引の運用に供される。なお、運用除外がなされた場合の両替取引の運用については、後述する。
上記した金種別トレー25からバケット23への包装硬貨30の放出は、主制御部17の制御を受けて実行される。図8は昇降するバケット23と各段の金種別トレー25との関係を示す説明図である。図示するように、フィーダ部21は、バケット23を昇降自在に備えるほか、このバケット23に、半回転可能なアーム部23aをワゴン部22と左列包装硬貨モジュール22Lに対応して個別に備える。そして、このアーム部23aと図7(B)で説明したように金種別トレー25を進退させるトレー進退機構とが共同して、金種別トレー25のトレー最先端側に位置する包装硬貨30を一本ずつ取り出してバケット23の中に取り込む。これにより、バケット23への包装硬貨30の放出がなされる。この場合、トレー進退機構によるトレー進退は、放出対象となる金種別トレー25についてのみ、行われる。このように、アーム部23aとトレー進退機構とにより金種別トレー25からバケット23への硬貨放出がなされるので、アーム部23aとトレー進退機構とを駆動制御、具体的には駆動制御実行と非実行とにより、金種別トレー25を有する左列包装硬貨モジュール22Lと右列包装硬貨モジュール22Rの両包装硬貨モジュールを両替取引の運用に供したり、当該運用から除外できる。
図9は金種別トレー25の装着と退避を図るためのトレー収納機構を示す説明図である。図示するように、金種別トレー25を収納する各段のトレー収納レーンには、金種別トレー25のトレー先端と係合する引出禁止ピン31が配設され、当該ピンは、引出禁止レバー32を介して引出禁止ソレノイド33と係合されている。制御部27は、通常、全ての金種別トレー25を装着状態において硬貨両替に供するべく、各段のトレー収納レーンにおける引出禁止ソレノイド33を制御して引出禁止ピン31を金種別トレー25と係合させる。これにより、各段の金種別トレー25は、退避不可となり、装着状態を維持する。その一方、保守要員から硬貨補充・障害復旧の指示を受けると、制御部27は、その指示に適った金種別トレー25の退避(図7(B))を図るべく、当該トレーが収納されているトレー収納レーンにおける引出禁止ソレノイド33を制御して引出禁止ピン31と金種別トレー25の係合を解く。これにより、係合が解かれた金種別トレー25は、装着状態から退避可能となる。なお、本実施例では、トレーの引き出し禁止機構として、上記したようにワゴン部22内部の各段のトレー収納レーンに設けた引出禁止ソレノイド33によるトレー引き出しロック機構を設けた構成で説明したが、金種別トレー25の引き出しを、他の制御器機のソフト制御を経て禁止する、もしくはハード的に禁止する構造とすることもできる。
制御部27は、トレー装着状態をトレー装着センサー42のセンシングを経て常時監視し、金種別トレー25ごとにその装着・非装着(退避中)の検出結果をRAMに更新記憶する。この他、制御部27は、装着状態にある金種別トレー25について、トレーごとの既述した包装硬貨検知センサー41のセンシングを経て、包装硬貨の保管本数を常時監視し、金種別トレー25ごとの包装硬貨の保管本数をRAMに更新記憶する。RAMの記憶結果は、以下に説明する両替取引運用制御の各処理にて読み出され、取引処理に用いられる。
図10は自動両替装置1における両替取引処理の手順を示すフローチャートである。この両替取引処理は、主制御部17にて実行され、処理の必要に応じて包装硬貨処理部12における制御部27とも共同して実行される。つまり、主制御部17と制御部27は、その有するCPU等や以下に説明する各種処理のプログラムにより、本発明における運用除外部や、運用規制実行部を構築する。
図10に示す両替取引処理は、図1のカード挿入口6へのユーザーによるカード挿入或いはタッチパネル2におけるユーザーによる両替開始操作により実行され、主制御部17は、まずカード処理部15に対してカード読取を指令する(ステップS1)。カード処理部15は、この指令を受けてカードからカード情報を読み取り、その読み取り結果を主制御部17に送信する。主制御部17は、送信を受けたカード情報に基づいて、両替取引の可否を判定し、取引可能であれば、紙幣処理部11に対して両替元金の入金を指令する(ステップS2)。紙幣処理部11は、この指令を受けて紙幣入出金口3のシャッターを開放してユーザーに紙幣入金を促す。そして、紙幣入金があると、紙幣処理部11は、シャッターを閉鎖すると共に、入金紙幣の金額読み取りや真贋判別なども行う。
主制御部17は、上記した入金指令に先だち、タッチパネル2に両替取引に必要な案内、例えば、取引実行のボタン(両替開始ボタン)を表示する。その一方、挿入されたカードが取引不可であれば、主制御部17は、その旨の表示、例えば「このカードではお取引ができません。窓口までお越し下さい。」等の案内をタッチパネル2に表示し、カード挿入待機の状態に戻す。カードを使用しないカード無し両替の場合は、上記したようなタッチパネル2の案内表示により、ユーザーから両替取引の指示を受け、ステップS2に移行する。
主制御部17は、続くステップS3にて、包装硬貨処理部12に対して全てのトレーを引出禁止にするよう指令する。図11はトレー引出禁止処理の手順を示すフローチャートである。図示するように、包装硬貨処理部12の制御部27は、主制御部17からの上記した引出禁止指令を受け取ると(ステップS11)、全ての段のトレー収納レーンの引出禁止ソレノイド33(図8参照)を駆動して引出禁止ピン31を金種別トレー25に係合させる(ステップS12)。これにより、左列包装硬貨モジュール22Lと右列包装硬貨モジュール22Rの両包装硬貨モジュールに属する全ての金種別トレー25は、制御指令およびこれを受けたハード機器駆動を経て、引き出し禁止(退避不能)とされる。この引出禁止の状態において、金種別トレー25からの包装硬貨の放出が可能となる。そして、後述の包装硬貨補充処理に際しては、このステップS3における金種別トレー25の引出禁止は、左列包装硬貨モジュール22Lまたは右列包装硬貨モジュール22Rの硬貨モジュールごとに解除される。
続くステップS4で、主制御部17は、紙幣処理部11が読み取った入金紙幣(両替元金)の金額をタッチパネル2に表示し、両替取引の受付けを指令する。つまり、主制御部17は、上記した両替元金金額の表示と共に、両替金種の種別指定と金種ごとの金額指定をユーザーから受けるに必要な表示を行い、ユーザーの所望する両替内容、即ち両替取引に必要な両替情報を入手する。主制御部17は、こうして必要な情報をユーザーから入手すると、ユーザーの所望する両替取引を運用すべく、紙幣処理部11、包装硬貨処理部12、バラ硬貨処理部13に対して両替金の出金指令を行うとともに、帳票処理部16に対して取引明細の印字指令を送る(ステップS5)。両替金の出金指令に伴う両替取引(包袋硬貨出金処理)の詳細については、後述する。
両替金が全て正常に出金され、取引明細も正常に印字されると、次に主制御部17は、紙幣処理部11、包装硬貨処理部12、バラ硬貨処理部13に対して両替金のユーザーによる抜取待ちを指令すると共に、帳票処理部16に対してのユーザーによる取引明細の抜取待ちとカード処理部15に対してのユーザーによるカードの抜き取り待ちとを指令する(ステップS6)。そして、利用客がすべての両替金と取引明細およびカードを抜取ると、主制御部17は、紙幣処理部11に対して両替元金の収納・保管を指令し(ステップS7)、両替取引が終了する。紙幣処理部11は、この指令を受けて、両替元金紙幣を処理部内の紙幣ボックスに搬送して保管する。こうして保管された両替元金紙幣のうち、1000円、5000円の金種紙幣は、1万円札紙幣をこれら少額金種紙幣に両替する場合や、これら少額金種紙幣とバラ硬貨および包装硬貨とを含んだ両替取引に用いられる。
次に、主制御部17からの包装硬貨の出金指令を受けた包装硬貨出金処理について説明する。図12は主制御部17からの包装硬貨の出金指令を受けた包装硬貨処理部12の制御部27が行う包装硬貨出金処理の手順を示すフローチャートである。
図示するように、この包装硬貨出金処理で、包装硬貨処理部12の制御部27は、主制御部17から包装硬貨出金指令を受け取ると(ステップS21)、制御部27におけるRAMに記憶済みの金種別トレー25ごとの包装硬貨30の保管本数を読出し、どの金種別トレー25から何本の包装硬貨30を放出するかを決定する(ステップS22)。この場合、包装硬貨30の保管本数の読出により、それぞれの金種別トレー25に保管済みの現金の多寡、および左列包装硬貨モジュール22Lと右列包装硬貨モジュール22Rの硬貨モジュール単位での保管済み現金の多寡が判明する。上記した決定に際しては、左列包装硬貨モジュール22Lに属するそれぞれの金種別トレー25と、右列包装硬貨モジュール22Rに属するそれぞれの金種別トレー25とが区別され、左列包装硬貨モジュール22Lと右列包装硬貨モジュール22Rの各硬貨モジュールごとに硬貨放出の対象となる金種別トレー25と包装硬貨本数が決定される。また、ユーザーから入手した両替取引の内容、例えば、包装硬貨30の指定金種やその指定金額についても、上記したトレー決定に当たって参酌される。
次に、包装硬貨処理部12は、ステップS22で決定した出金予定の金種別トレー25に対して、引出禁止ソレノイド33を引出禁止にセット(ステップS23)する。この引出禁止によるソレノイド制御は、図11に示したステップS12と同じであり、これにより、ステップS22で決定した出金予定の金種別トレー25は、引出禁止ピン31との係合を経て、引き出し禁止(退避不能)とされ、硬貨放出が可能となる。このように金種別トレー25を引出禁止とすることで、両替取引の運用中において、出金予定の金種別トレー25が不用意に抜き取られてしまうような障害を防止することができる。
続くステップS24で、制御部27は、最初の出金予定の金種別トレー25の位置にバケット23を昇降駆動してセットし、当該の金種別トレー25からステップS22で決定した本数の包装硬貨30をバケット23に放出して集積する(ステップS25/図7(A)参照)。この包装硬貨30の放出に当たっては、バケット23に付属の既述したアーム部23a(図8参照)と図7(B)で説明したトレー進退機構とが駆動制御される。出金予定の金種別トレー25から正常に包装硬貨30の放出が完了すると、包装硬貨30の放出済み金種別トレー25への包装硬貨の補充に備え、制御部27は、包装硬貨放出済み金種別トレー25をトレー進退機構により図7(B)に示す原位置に復帰させた上で退避可能とすべく(図7(C)参照)、当該トレーの引出禁止ソレノイド33を引出許可側にセットして(ステップS26)、引出禁止ピン31と金種別トレー25との係合を解く。その後、現在出金中の金種の包装硬貨を決定済み本数だけ全て放出したか否かを判定する(ステップS27)。この判定は、以下の理由で行う。
既述したように、包袋硬貨は、その金種ごとに複数の金種別トレー25に多段に保管され(図3、図8参照)、金種ごとの金種別トレー25は、左列包装硬貨モジュール22Lと右列包装硬貨モジュール22Rごとに用意されている。そして、ステップS22では、左列包装硬貨モジュール22Lと右列包装硬貨モジュール22Rの各硬貨モジュールごとに硬貨放出の対象となる金種別トレー25と包装硬貨本数を決定することから、ステップS24にて最初の出金予定とした金種別トレー25だけでは、ユーザー所望の包装硬貨本数を満たせない場合がある。例えば、ユーザーがある金種の包袋硬貨を30本所望する場合、ステップS22で、左列包装硬貨モジュール22Lと右列包装硬貨モジュール22Rについてある段の金種別トレー25からそれぞれ10本、両包装硬貨モジュールにおけるその他の段の金種別トレー25からそれぞれ5本を取り出すように均等に本数決定したとする。そうすると、ステップS24にて最初の出金予定とした段の金種別トレー25だけでは、左右列の硬貨モジュールで合計20本しか包装硬貨を放出して集積できない(ステップS25)。よって、ステップS27の判定を経て、更に出金すべき金種別トレー25があると否定判定した場合は、ステップS30に移行して次の出金予定の金種別トレー25にバケット23を移動させ、ステップS25に移行することで、上記した他の段の金種別トレー25からの包装硬貨の放出とその集積を行うようにできる。
ステップS27で現在出金中の金種の包装硬貨を決定済み本数だけ全て放出したと肯定判定した場合は、その金種の包装硬貨の補充に備え、制御部27は、出金完了した金種の包装硬貨を保管する金種別トレー25を退避可能とすべく、当該トレー収納の段のトレー収納レーンの引出禁止ソレノイド33(図8参照)を引出可能側にセットして(ステップS28)、引出禁止ピン31と金種別トレー25との係合を解く。なお、ステップS26にて、包装硬貨放出の都度に引出禁止ソレノイド33(図8参照)を引出可能側にセットしているので、ステップS28については、省略することができるが、フェールセーフの意味でステップS28を実行する。
続くステップS29では、ユーザーが所望する両替取引における両替対象の全金種の包装硬貨について、その決定済み本数(要求本数)だけ全て放出したか否かを判定する。ここで否定判定すれば、既述したステップS30に移行して次の出金予定の金種についての金種別トレー25にバケット23を移動させた後、ステップS25に移行して上記処理を繰り返す。これにより、両替対象の全金種の包装硬貨についての要求本数分の放出が完了すれば、制御部27は、ステップS29での肯定判定を経て、バケット23を包装硬貨取出口24まで上昇駆動してセットして(ステップS31)、本ルーチンを終了する。
主制御部17は、上記した包装硬貨出金処理と並行して、紙幣処理部11を用いた紙幣両替出金も行う。つまり、ユーザーの所望する両替取引が、高額紙幣を低額紙幣と包装硬貨との混在両替である場合、ユーザー所望の包装硬貨の金種とその本数については、上記した包装硬貨出金処理に沿ってその出金を行い、低額紙幣については、包装硬貨処理部12とは別に紙幣処理部11を両替取引の運用に供する。後述するように、包装硬貨処理部12による包装硬貨の出金は、左列包装硬貨モジュール22L或いは右列包装硬貨モジュール22Rの一方の運用除外により規制されるが、紙幣処理部11とバラ硬貨処理部13については、こうした包装硬貨モジュールの運用除外に拘わらず継続して両替取引に運用されることになる。
次に、自動両替装置1における包装硬貨補充の様子について説明する。図13は主制御部17が制御部27と共同して行う包装硬貨補充処理の手順を示すフローチャートである。図示するように、主制御部17は、包装硬貨処理部12の制御部27からの補充通知の有無をスキャンする(ステップS41)。この補充通知は、制御部27にて所定のスパンで繰り返し作成され、作成の都度、主制御部17に送信される。制御部27は、既述したように金種別トレー25ごとの包装硬貨検知センサー41により、常時、それぞれの金種別トレー25、詳しくは、左列包装硬貨モジュール22Lに属するそれぞれの金種別トレー25、および右列包装硬貨モジュール22Rに属するそれぞれの金種別トレー25について、保管済み包装硬貨30の本数をRAMに更新記憶する。そして、制御部27は、それぞれの金種別トレー25についての最新の包装硬貨30の保管本数が、例えば、金種ごとの補充必要規定本数を下回ると、補充通知を主制御部17に送信する。この他、この補充通知は、自動両替装置1での両替取引の実際の運用状況を学習することにより、生成することができる。例えば、商店街や飲食店街等に設置された自動両替装置1では、両替取引の運用がなされる頻度や一回の両替取引における金種種別、金種ごとの包装硬貨本数が、時間帯ごと或いは曜日ごと等によって相違する。よって、主制御部17或いは制御部27にて、こうした運用状況を学習して、その学習結果と現時点での実際の金種ごとの包装硬貨30の保管本数(即ち、保管現金の多寡)により、補充通知を生成するようにすることもできる。こうすれば、自動両替装置1の運用実情にあった補充通知を生成できる。
主制御部17は、上記した補充通知を受けると、その旨の信号を自動両替装置1の管理機器、例えば、自動両替装置1の設置銀行の管理コンピューターや、ネットワークを介して自動両替装置1とデータ送受信可能な管理コンピューターに送信するようにできる。こうすれば、管理コンピューターの側で、硬貨補充のための保守要員の補充作業手配を行うことができる。そして、補充通知信号と共に、制御部27にて読み取り済みの左右の包装硬貨モジュールにそれぞれ属する金種別トレー25についての保管済み包装硬貨30の本数(保管現金の多寡)を管理コンピューターに送信すれば、これを受けた管理コンピューターにて、硬貨補充のために搬送する包装硬貨の補充必要本数も保守要員に伝達できる。
上記した補充通知を受けると(ステップS41の肯定判定)、主制御部17は、係員パネル部14に対しての初期表示制御を行う(ステップS42)。この初期表示制御による表示により、硬貨補充を行う保守要員に必要な操作を促すことができる。図14は保守要員向けの初期表示制御による係員パネル部14の第1表示画面を示す説明図、図15は保守要員向けの初期表示制御による係員パネル部14の第2表示画面を示す説明図、図16は保守要員向けの初期表示制御による係員パネル部14の第3表示画面を示す説明図である。
このステップS42では、まず図14に示す第1表示画面を表示する。この場合、ステップS41での補充通知の入力時期と、保守要員による実際の硬貨補充作業開始時期とには時間差があるので、図14の第1表示画面の表示は、保守要員による背面扉18(図1参照)の開放に併せて行えばよい。なお、保守要員による硬貨補充とこの際の背面扉18の開放は、自動両替装置1の背面側であるいわゆるバックヤード側での作業であるので、自動両替装置1は、保守要員に背面扉18が開放されても、両替取引の運用を従前通りに行う。
保守要員は、図14の第1表示画面を見て、係員処理と表示されたボタンを押圧する。主制御部17は、この係員処理ボタン51をフラッシュ表示や着色表示等の強調表示することにより、保守要員の操作をより明確に指示するようにできる。主制御部17は、係員処理ボタン51の押圧を受け、係員パネル部14に図15に示す第2表示画面を表示し、当該画面に含まれる作業指示ボタンのうちで硬貨補充に導く現金処理ボタン52を強調表示する。保守要員によりこの現金処理ボタン52が押圧されると、主制御部17は、係員パネル部14の表示を図16に示す第3表示画面に変更する。この画面では、包装硬貨随時補充ボタン53が強調表示される。なお、強調表示を行わないようにもできる(以下、同じ)。
上記した初期表示制御において包装硬貨随時補充ボタン53が保守要員に押圧されると、主制御部17は、係員パネル部14の2次表示制御と保守要員のボタン操作に応じた包装硬貨補充のための機器制御指令を行う(ステップS43)。係員パネル部14の2次表示制御による係員パネル部14の画面表示を経て、保守要員は硬貨補充作業が実質的に開始され、その際の保守要員のボタン操作に応じて、図12に示した包装硬貨出金処理が後述するように規制される。図17は保守要員向けの2次表示制御による係員パネル部14の第1表示画面を示す説明図、図18は保守要員向けの2次表示制御による係員パネル部14の第2表示画面を示す説明図である。
このステップS43では、まず図17に示す第1表示画面を表示する。主制御部17は、この第1表示画面において、包装硬貨随時補充の円滑化を図るための種々の表示を行い、この随時補充の補充モードを規定するレーン単位ボタン54と、金種単位ボタン55と、エンドトレーボタン56と、実行ボタン57と、金種別トレーごとの包装硬貨セット状況一覧58とを表示する。本実施例の自動両替装置1は、レーン単位での補充モード(レーン補充モード)と、金種単位での補充モード(金種単位補充モード)と、エンドトレー単位での補充モード(エンドトレー単位補充モード)の3つの補充モードでの包装硬貨補充を可能とする。
レーン補充モードは、上記した左列包装硬貨モジュール22Lと右列包装硬貨モジュール22Rのいずれかの硬貨モジュール単位で包装硬貨を補充し、その際には、補充単位の硬貨モジュールに含まれる金種別トレー25のうちで包装硬貨補充の余地がある金種別トレー25について対応金種の包装硬貨を補充するモードである。金種単位補充モードは、ある金種の包装硬貨を保管する金種別トレー25について、左右の硬貨モジュールに拘わらず包装硬貨を補充するモードである。例えば、100円の包装硬貨を搭載した金種別トレー25のうちで包装硬貨補充の余地がある金種別トレー25について対応金種(100円)の包装硬貨を補充するモードである。エンドトレー単位補充モードは、金種別トレー25に残留する包袋硬貨の本数がエンド状態、例えば残留硬貨本数がゼロであったり残留硬貨本数が一回の両替取引で通常必要となる本数を下回ったニアエンド状態の金種別トレー25について、左右の硬貨モジュールに拘わらず包装硬貨を補充するモードである。このように、本実施例の自動両替装置1は上記3つの補充モードでの包装硬貨補充を可能とするが、硬貨補充の際の両替取引の運用の継続性を確保すべく、レーン単位モードが通常の補充モードとなるよう初期設定されている。このため、主制御部17は、レーン単位ボタン54については、これを強調表示する。なお、金種単位補充モードとエンドトレー補充モードでの硬貨補充は、保守要員によるボタン操作により実行されるが、本発明の要旨と直接関係しないので、その詳細については説明を省略する。
実行ボタン57は、上記したレーン単位ボタン54と金種単位ボタン55或いはエンドトレーボタン56のいずれかを保守要員が押圧すると有効となり、主制御部17は、この実行ボタン57の押圧を受けて、更なる表示制御を行う。包装硬貨セット状況一覧58は、上記した左列包装硬貨モジュール22Lと右列包装硬貨モジュール22Rのそれぞれに属する金種別トレー25について、各トレーにおける残留硬貨本数を示している。この残留硬貨本数は、制御部27からのスキャン結果が表示される。包装硬貨セット状況一覧58における空欄は、保管可能な本数と同等の包装硬貨が保管されていることを示し、エンド表示は、例えば残留硬貨本数がゼロであったり残留硬貨本数が一回の両替取引で通常必要となる本数を下回った状態を示している。
保守要員は、図17の第1表示画面を見て、レーン単位ボタン54に続いて実行ボタン57を押圧する。主制御部17は、上記の両ボタンの連続した押圧操作を受け、係員パネル部14に図18に示す第2表示画面を表示する。主制御部17は、この第2表示画面において、既述した実行ボタン57と包装硬貨セット状況一覧58の他、左列包装硬貨モジュール22Lの選択ボタン(左ボタン59)と、右列包装硬貨モジュール22Rの選択ボタン(右ボタン60)と、運用規制一覧61とを表示する。運用規制一覧61は、左列包装硬貨モジュール22Lと右列包装硬貨モジュール22Rのうち、左列包装硬貨モジュール22Lが両替取引の運用から除外された場合、現状の右列包装硬貨モジュール22Rにおけるそれぞれの金種別トレー25に保管済みの包装硬貨で両替取引を運用する場合の規制内容を上段に表示する。一方、右列包装硬貨モジュール22Rが両替取引の運用から除外された場合、現状の左列包装硬貨モジュール22Lにおけるそれぞれの金種別トレー25に保管済みの包装硬貨で両替取引を運用する場合の規制内容を下段に表示する。
この運用規制一覧61における規制内容表示のうち、出金量規制は、両替取引に運用する金種、具体的には左右の各硬貨モジュールに属する金種別トレー25ごとの保管金種である1円、5円、10円、50円、100円、500円の各金種について、一回で取引できる最大取引本数を規制していることを示す。主制御部17は、この出金量規制(各金種についての最大取引本数)を、図18の包装硬貨セット状況一覧58に表示された現状の包装硬貨ごとの保管本数(残金多寡)に基づいて、例えば、5本、10本、20本等といった具合に定める。金種規制は、上記した金種の中のある金種について一回で取引できる最大取引本数を規制していることを示す。主制御部17は、この金種規制(ある金種についての最大取引本数)を、規制していることを示す。主制御部17は、この金種規制についても、図18の包装硬貨セット状況一覧58に表示された現状の包装硬貨ごとの保管本数(残金多寡)に基づいて、例えば、5本、10本、20本等といった具合に定める。この場合、最大取引金額を上記の包装硬貨ごとの保管本数(残金多寡)に基づいて規定することもできる。こうした規制を行うに当たっては、上記した残金多寡に加え、自動両替装置1での両替取引の実際の運用状況(例えば、一回の両替取引で多用される包装硬貨本数)を、例えば既述した設置場所ごと、或いは時間帯や曜日ごと等に応じて学習して、その学習結果を加味して運用を規制するようにすることもできる。こうすれば、自動両替装置1の運用実情にあった運用規制を課すことができる。
本実施例の自動両替装置1では、硬貨補充の際の両替取引の運用の継続性を確保すべく、上記した規制の緩い方でのレーン単位モードが通常の補充モードとなるよう初期設定されている。よって、図18に示す規制では、運用規制一覧61の下段の方が一種類の規制で緩いことから、主制御部17は、運用規制一覧61における下段表示と右ボタン60の表示を強調表示する。この場合、こうした強調表示を行うことなく、運用規制一覧61の表示や包装硬貨セット状況一覧58の表示により、保守要員に左ボタン59と右ボタン60の選択を委ねるようにすることもできる。
図18において右ボタン60と実行ボタン57の両ボタンが押圧される以前までの保守要員の作業は、既述したようにバックヤードで行われ、ユーザーによる実際の両替取引の運用とは無関係である。その一方、保守要員による右ボタン60と実行ボタン57の押圧は、包装硬貨の補充対象として右列包装硬貨モジュール22Rを選択し、この右列包装硬貨モジュール22Rを硬貨補充のために両替取引の運用から除外することを意味する。上記のボタン操作は、既述したようにバックヤードで行なわれるものであることから、このボタン操作を経た選択タイミング(右列包装硬貨モジュール22Rの運用除外開始タイミング)は、ユーザーによる両替取引の運用中となることも有り得る。よって、主制御部17は、図18の画面表示までを制御するステップ43の実行後は、右ボタン60と実行ボタン57の両ボタンの保守要員による押圧を待機し、当該押圧操作されたタイミングがユーザーによる両替取引運用中か否かを判定する(ステップS44)。以下、説明の便宜上、保守要員により右ボタン60と実行ボタン57が続けて押圧されて、右列包装硬貨モジュール22Rを補充対象モジュール(運用除外硬貨モジュール)とした場合について説明する。図19は補充対象モジュール(運用除外硬貨モジュール)の選択タイミングとユーザーによる両替取引の実行タイミングとの関係を示す説明図である。
図18の右ボタン60と実行ボタン57とが押圧された補充対象モジュール(運用除外硬貨モジュール)の選択タイミングは、図19に例示するように、ユーザーによる両替取引の運用中、或いは、両替取引がなされていない期間のいずれかとなる。ここで、上記の選択タイミングがユーザーによる両替取引の運用中であれば、ステップS44では肯定判定されて、主制御部17は、続くステップS45にて、今現在なされている両替取引が終了するまで、包装硬貨補充のための運用除外指令を待機させる。この待機の間においては、図12に示した包装硬貨出金処理が実行中であるため、主制御部17は、当該処理に支障を来さないようにしつつ運用除外待機の実効性を高めるため、左列包装硬貨モジュール22Lと右列包装硬貨モジュール22Rの両包装硬貨モジュールに属する全ての金種別トレー25に対し、引出禁止ソレノイド33を引出禁止にセットする。この引出禁止によるソレノイド制御は、図11に示したステップS12と同じであり、これにより、両包装硬貨モジュールに属する全ての金種別トレー25は、引出禁止ピン31との係合を経て、引き出し禁止(退避不能)とされる。このように全ての金種別トレー25を引出禁止とすることで、両替取引の運用中において、金種別トレー25が不用意に抜き取られて方向硬貨の補充作業が処理されてしまうような障害を防止することができる。ところで、両替取引の運用中には、図12に示した包装硬貨出金処理のステップS23で引出禁止とされるが、当該ステップでの対象トレーは、出金予定の金種別トレー25である。
また、主制御部17は、上記した運用除外指令待機の間において、その待機の旨を保守要員に認知すべく、係員パネル部14を表示制御する。図20は運用除外指令待機の際の保守要員向けの係員パネル部14の表示画面を示す説明図である。図示するように、主制御部17は、報知欄62の表示を行って、現在はユーザーによる両替取引の運用であるために、今現在なされている両替取引が終了するまで包装硬貨補充を待機するように、保守要員に注意を促す。ステップS45の運用除外指令待機は、現在の両替取引が終了してから次の両替取引に備えたアイドル期間に解除され、その解除を経て、運用除外指令とこれに伴う機器制御および運用規制内容の表示制御を行う(ステップS46)。
その一方、図18の右ボタン60と実行ボタン57の両ボタンの保守要員による押圧操作による上記の選択タイミングが両替取引がなされていない期間内であるとステップS44にて否定判定した場合は、ステップS46に移行して、以下に説明する運用除外指令とこれに伴う機器制御を行う。つまり、ユーザーの両替取引が行われていない場合は、速やかに、運用除外指令とこれに伴う機器制御および運用規制内容の表示制御を行うことになる。図21は運用除外指令に対応した係員パネル部14の表示画面を示す説明図である。
主制御部17は、ステップS46にて運用除外指令とこれに伴う機器制御および運用規制内容の表示制御を行う。そして、運用除外指令とこれに伴う機器制御に際して、図21に示す画像を保守要員に提供して、その保守要員に、現時点から、図20で選択した右列包装硬貨モジュール22Rの補充必要な金種別トレー25についての硬貨補充を開始できる旨を認知させ、補充を促す。この場合、主制御部17は、図21に示す画像表示と共に、或いはこれに先だって、右列包装硬貨モジュール22Rに属する全ての金種別トレー25について、ステップS45でなしたトレー引出禁止を解除すると共に、右列包装硬貨モジュール22Rに属する金種別トレー25からバケット23への包装硬貨放出を禁止する。
このトレー引出禁止の解除は、図9に示す引出禁止ソレノイド33を解除側に駆動させて、右列包装硬貨モジュール22Rに属する全ての金種別トレー25を図7(B)に示すように退避可能とする。この退避可能と図21の画像表示を受けて、保守要員は、今回の硬貨補充対象である右列包装硬貨モジュール22Rに含まれる金種別トレー25のうちで包装硬貨補充の余地がある金種別トレー25について、これを引き出した上で対応金種の包装硬貨を補充し、補充後には金種別トレー25を装着する。保守要員は、硬貨補充の余地を、図21に含まれる包装硬貨セット状況一覧58の表示にて確認できる。包装硬貨処理部12の制御部27は、常時、金種別トレー25における包装硬貨の保管本数を包装硬貨検知センサー41にてスキャンしているので、上記した硬貨補充の際にあっては、金種別トレー25の装着を経て、図21における包装硬貨セット状況一覧58の表示本数は随時更新される。
また、右列包装硬貨モジュール22Rに属する金種別トレー25からバケット23への包装硬貨放出の禁止は、図8に示すアーム部23aとトレー進退機構とを、右列包装硬貨モジュール22Rの側については、駆動禁止するような機器制御でなされる。つまり、ステップS45では、引出禁止ソレノイド33の駆動制御を介したトレー引出禁止解除と、アーム部23aとトレー進退機構の駆動制御を介した駆動禁止とを経て、右列包装硬貨モジュール22Rは、いわゆるソフト的に両替取引の運用から除外されることになる。そして、こうして運用除外された右列包装硬貨モジュール22Rでは、その属する金種別トレー25について、図12の包装硬貨出金処理における包装硬貨放出対象から外れ、当該出金処理は、その運用が規制されることになる。つまり、こうして右列包装硬貨モジュール22Rが両替取引の運用から除外された以降は、当該硬貨モジュールと代替え可能な左列包装硬貨モジュール22Lのみが両替取引の運用に継続して用いられることになる。そして、左列包装硬貨モジュール22Lによる両替運用の際の運用規制内容は、図18の運用規制一覧61に示されたものとなる。
上記したようにして右列包装硬貨モジュール22Rが運用から除外されると、主制御部17は、ステップS46において、その運用規制内容をタッチパネル2(図1参照)に表示する。つまり、主制御部17は、図18で説明したように、包装硬貨セット状況一覧58に表示された左列包装硬貨モジュール22Lについての現状の包装硬貨ごとの保管本数(残金多寡)に基づいた、現状の左列包装硬貨モジュール22Lだけでの両替取引の運用の規制内容をタッチパネル2に表示する。その内容は、既述したように、一回で取引できる各金種についての最大取引本数を規制する内容であったり、ある金種について一回で取引できる最大取引本数を規制する内容である。つまりは、図18の運用規制一覧61に示した規制内容を、ユーザー向けにタッチパネル2にて提示する。この場合、ある金種については出金不可となるように規制したり、最大取引金額を規制することもできる。図22は一方の硬貨モジュールを取引運用から除外した場合のユーザー向け表示の例を示す説明図である。この図22の表示は、既述したように、ユーザーによる両替取引の運用中の硬貨補充であれば、現在の両替取引が終了してから次の両替取引に備えたアイドル期間において行われ、ユーザーの両替取引が行われていない場合は、速やかに表示される。そして、硬貨補充が完了するまで、アイドルの都度にタッチパネル2に表示される。こうした規制内容の提示を受けるユーザーは、その内容に適った範囲での両替取引を行うことができる。
保守要員が硬貨補充を行っている間において、係員パネル部14では、上記したステップS46により図21の画像表示がなされている。保守要員は、硬貨補充の作業を完了させると終了ボタン63を押圧し、今まで補充対象であった右列包装硬貨モジュール22Rに代わって左列包装硬貨モジュール22Lについても硬貨補充を行う場合には、補充継続ボタン64を押圧する。よって、主制御部17は、この両ボタンの押圧状況をスキャンし(ステップS47)、そのスキャン結果に応じた処理を継続する。
ステップS46を経て開始された保守要員による硬貨補充作業に要する時間は、補充対象となる包装硬貨の金種やその総数により、或いは、上記した補充継続によりその都度相違する。よって、主制御部17は、硬貨補充作業の完了タイミングとユーザーによる両替取引の運用との関係を把握すべく、終了ボタン63と補充継続ボタン64の操作の有無を判定し(ステップS47)、これらボタン操作があるまでステップS46の処理を継続する。これにより、硬貨補充であった右列包装硬貨モジュール22Rの運用除外は継続され、左列包装硬貨モジュール22Lでの両替取引の運用が図22に示した規制の範囲内で継続されることになる。
ステップS47においていずれかのボタン操作があると判定すると、当該押圧操作されたタイミングがユーザーによる両替取引運用中か否かを判定する(ステップS48)。図23は硬貨補充完了または継続補充タイミングとユーザーによる両替取引の実行タイミングとの関係を示す説明図である。
図21の終了ボタン63と補充継続ボタン64のいずれかが押圧された硬貨補充完了または継続補充のタイミングは、図23に例示するように、ユーザーによる両替取引の運用中、或いは、両替取引がなされていない期間のいずれかとなる。ここで、上記のタイミングがユーザーによる両替取引の運用中であれば、ステップS48では肯定判定されて、主制御部17は、続くステップS49にて、今現在なされている両替取引が終了するまで、包装硬貨補充後の両替取引の運用への復帰指令を待機させる。この待機の間においては、図12に示した包装硬貨出金処理が実行中であるため、主制御部17は、当該処理に支障を来さないようにしつつ運用復帰待機の実効性を高めるべく、それまで運用除外されていた硬貨モジュール(例えば、右列包装硬貨モジュール22R)に属する全ての金種別トレー25に対し、引出禁止ソレノイド33を引出禁止にセットする。この引出禁止によるソレノイド制御は、図11に示したステップS12と同じであり、それまで運用除外されていた硬貨モジュールに属する全ての金種別トレー25は、引出禁止ピン31との係合を経て、改めて引き出し禁止(退避不能)とされる。これにより、既述したように両替取引の運用中における不用意なトレー抜き取りとこれに続く包装硬貨補充を防止できる。このステップS49の運用復帰指令待機は、現在の両替取引が終了してから次の両替取引に備えたアイドル期間に解除され、その解除を経て、以下の運用復帰指令とこれに伴う機器制御を行う(ステップS50)。
その一方、図21の終了ボタン63と補充継続ボタン64のいずれかが保守要員に押圧された硬貨補充完了または継続補充のタイミングが両替取引がなされていない期間内であるとステップS48にて否定判定した場合は、ステップS50に移行して、以下に説明する運用復帰指令とこれに伴う機器制御を行う。つまり、ユーザーの両替取引が行われていない場合は、速やかに、運用復帰指令とこれに伴う機器制御を行うことになる。
主制御部17は、ステップS50にて運用復帰指令とこれに伴う機器制御に際して、主制御部17は、包装硬貨の補充が完了した右列包装硬貨モジュール22Rに属する全ての金種別トレー25について、改めてトレー引出禁止を指令すると共に、右列包装硬貨モジュール22Rに属する金種別トレー25からバケット23への包装硬貨放出を許可する。このトレー引出禁止は、図9に示す引出禁止ソレノイド33を禁止側に駆動させて、右列包装硬貨モジュール22Rに属する全ての金種別トレー25を図7(A)に示すように退避不可とする。
また、右列包装硬貨モジュール22Rに属する金種別トレー25からバケット23への包装硬貨放出の許可は、図8に示すアーム部23aとトレー進退機構とを、右列包装硬貨モジュール22Rの側については、駆動制御するような機器制御でなされる。つまり、ステップS50では、引出禁止ソレノイド33の駆動制御を介したトレー引出禁止と、アーム部23aとトレー進退機構の駆動制御を介した駆動とを経て、右列包装硬貨モジュール22Rは、いわゆるソフト的に両替取引の運用に復帰する。そして、これ以降においては、左列包装硬貨モジュール22Lと右列包装硬貨モジュール22Rの両包装硬貨モジュールにて両替取引の運用が継続されることになる。
主制御部17は、ステップS50に続き、保守要員の押圧操作したボタンが終了ボタン63と補充継続ボタン64のいずかであったかを判定するステップS51)。保守要員が補充継続ボタン64を押圧すれば、硬貨補充されなかった貨幣モジュール、上記の場合は左列包装硬貨モジュール22Lについても硬貨補充を行うべく、再度の運用除外とこれに伴う制御が必要であるとして、ステップS44に移行し、処理を繰り返す。その一方、終了ボタン63の操作であれば、硬貨補充は完了したとして、ステップS52に移行して、今回の硬貨補充履歴をRAMに記憶して包装硬貨補充処理を終了する。
以上説明したように、本実施例の自動両替装置1では、包装硬貨への両替取引を運用するに当たり、代替え可能な左列包装硬貨モジュール22Lと右列包装硬貨モジュール22Rとを、それぞれ個別に両替取引の運用から除外可能とする。そして、一方の包装硬貨モジュールを取引運用から除外すると、他方の包装硬貨モジュールにて包装硬貨への両替取引の運用を継続する。その上で、本実施例の自動両替装置1では、右列包装硬貨モジュール22Rを運用から除外した場合、運用から除外されなかった一方の包装貨幣モジュールである左列包装硬貨モジュール22Lを用いた両替取引に際しては、その運用を規制して実行する(ステップS41〜52)。このため、本実施例の自動両替装置1によれば、その規制を満たした両替取引の運用の継続性を高めることができる。こうした規制を受けるとはいえ、規制を満たした両替取引については、これをユーザーに継続して提供できるので、ユーザーの利便性を損なわないようにできる。この場合、自動両替装置1は、紙幣処理部11を備え、この紙幣処理部11については、右列包装硬貨モジュール22Rや左列包装硬貨モジュール22Lとの代替え不可であることから、運用を規制することなく両替取引(小額紙幣両替)の運用に供することができる。バラ硬貨処理部13についても、紙幣処理部11と同様である。
そして、本実施例の自動両替装置1によれば、硬貨補充が必要な場合に、上記したように左列包装硬貨モジュール22Lと右列包装硬貨モジュール22Rの一方を運用から除外するので、硬貨補充が完了するまで、継続して両替取引を運用できる。この場合、左列包装硬貨モジュール22Lと右列包装硬貨モジュール22Rの一方に何らかの機器障害が生じるとその運用を除外するようにでき、こうすれば、障害復旧までの間においても両替取引を継続して運用できる。
また、本実施例の自動両替装置1では、運用から除外されなかった包装貨幣モジュール、例えば左列包装硬貨モジュール22Lを用いた両替取引に際しては、この左列包装硬貨モジュール22Lに現実に保管済みの包装硬貨の多寡に基づいて、最大放出本数や総量、金額、放出不可金種等の規制を課して、両替取引を運用する。よって、現実の保管済み包装硬貨の実情に併せてきめ細かい運用規制が可能となり、その分、運用の継続性を高めることができる。ユーザーに対しても、実情に合わせた運用を提供でき、利便性を損なわないようにできる。この場合、硬貨の種別ごとの保管済み現金の多寡に基づいて、一回の現金取引における取引対象金種の取引制限を硬貨種別ごとに行うこともできるので、一層のきめ細かい運用規制が可能となり(図22参照)、運用の継続性の向上とユーザーに対する実情に合わせた運用提供に寄与できる。
また、本実施例の自動両替装置1では、タッチパネル2に運用規制の内容を表示して、規制内容をユーザーに認知させる。よって、ユーザーは、両替取引に際して、現状の運用規制の内容を把握した上で、両替取引の継続の可否を容易に認知でき、利便性を高めることができる。その一方、現金補充を行う保守要員に対しても、図18の運用規制一覧61にて規制内容を認知する。よって、保守要員は、図18の表示を見ながら現金補充を要する左右の貨幣モジュールの決定や当該モジュールの運用除外を、規制内容を踏まえて状況に応じて実行できるので、作業性の向上をもたらすことができる。
上記した実施例では、左列包装硬貨モジュール22Lと右列包装硬貨モジュール22Rの運用除外を、図13に示したステップS45〜46による駆動機器制御を経て行ったが、これをハード的に行うようにすることもできる。図24は変形例の包装硬貨処理部12を概略的に斜視にて示す説明図である。この変形例では、左列包装硬貨モジュール22Lと右列包装硬貨モジュール22Rをワゴン部22の筐体部位から取り外し可能に構成して備える。このため、硬貨補充を保守要員が行う際には、いずれか一方の硬貨モジュールをモジュールごと取り外し、その状態で当該モジュールの金種別トレー25に硬貨を補充できる。こうすれば、ハード的な運用除外を図ることができる。なお、左列包装硬貨モジュール22Lと右列包装硬貨モジュール22Rのいずれの硬貨モジュールが取り外されて運用から除外されたかは、リミットスイッチ等のセンシング機器にて容易に判別できる。
以上、いくつかの実施例に基づいて本発明の実施の形態について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。例えば、上記の実施例では、ワゴン部22に左列包装硬貨モジュール22Lと右列包装硬貨モジュール22Rの二つの硬貨モジュールを設けた構成としたが、3つ以上の硬貨モジュールを代替え可能に有するものとすることもできる。また、保管した紙幣を両替や払出に用い、紙幣の複数の保管モジュールを代替え可能に有するように構成することもできる。