JP2012108031A - 体外診断薬用サンプルパッド - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の体外診断薬用サンプルパッドは、嵩密度が0.06〜1.0g/cm3であり、厚みが0.07〜0.90mmであり、吸液速度が0.5〜5.0cm/秒であり、かつ、キャッチアンドリリース指数が0.7〜10.0の範囲であるセルロース系繊維不織布から構成される。
【選択図】なし
Description
その方法としては、ラテラルフロー式メンブレンアッセイ法が一般的であり、被測定物を含む溶液を被測定物に対する検出用物質が塗布された膜を垂直方向(液流れ方向)に通過させることで、呈色により検出又は定量する。つまり、被測定物を含む溶液を滴下するサンプルパッドと呼ばれる受液部、該サンプルパッドから供給された液を検出部に保持されるように反応させるコンジュゲートパッド、該コンジュゲートパッドから垂直方向に液を流すメンブレン膜、該液を吸い取り保持する吸液パッドから構成される(図1参照)。1例として、具体的には、酵素、貴金属コロイド、着色ラテックス、色素などの呈色識別物質で抗体を標識した標識抗体液を予めコンジュゲートパッドに含浸及び乾燥させておき、被測定物である抗原を含む血液、尿、痰、鼻汁、細胞などの検体を含む検査液をサンプルパッドからコンジュゲートパッドに展開させ、該抗原と該標識抗体と反応させながら、メンブレン膜に流し、該標識抗体が認識する該抗原のエピトープとは別のエピトープを認識する抗体を予め塗布したメンブレン膜上の検出部で、該抗原と標識抗体とのコンジュゲートを、補足し呈色させることで、呈色程度を目視又は光学的な変化として測定し、検査液中の抗原の定性測定又は定量測定が行われる。
上記の検査方法を利用することで、特定ウィルスの感染の有無、妊娠の判定、疾病の確認などを簡易且つ迅速に検査・診断することができ、そのための器具や、さまざまな簡易体外診断薬が開発され市販されている。
また、ガラス繊維不織布を初めとする短繊維不織布においては、割れ易く、脱落繊維が発生し易いことから製造環境を汚染したり破損するため、製品の歩留まりの低下や検査精度の低下を招き、特にガラス繊維不織布においては、取り扱い性、皮膚障害などの点でも昨今問題にされている。
[1]嵩密度が0.06〜1.0g/cm3であり、厚みが0.07〜0.90mmであり、吸液速度が0.5〜5.0cm/秒であり、かつ、キャッチアンドリリース指数が0.7〜10.0の範囲であるセルロース系繊維不織布から構成される、体外診断薬用サンプルパッド。
本発明のサンプルパッドは、上記のような問題に鑑み、特定の嵩密度、厚み、吸液速度、吸収倍率とリリース性能の比率を、不織布を構成する繊維の材質、該不織布の嵩密度、厚みを特定することにより最適化し、滴下された検体液を素速く吸収し、かつコンジュゲートパッドへ素速くリリースし、検査残液が残り難いという性能を発揮することがきる。
合成繊維としては、前記したサンプルパッドの所望の物性を満足すれば特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系、アクリル系の合成繊維が挙げられ、これらの一種又は二種以上を用いてもよい。
キャッチアンドリリース指数 = 吸水倍率 ÷ リリース時間
吸水倍率は、以下の測定方法によって得られる値をいう。
サンプルパッドを、20℃65%RHに制御された室内に15時間放置して調湿し、10cm角に切断したサンプルを秤量する(W1(g)とする)。
線径0.5mm、10メッシュの金網上にサンプルを置き、金網ごと20℃の水中へ30秒浸漬する。その後、サンプルを金網上で水平に保ったまま空中で10分間放置して水切りを行い、再度、秤量し(W2(g)とする)。下記式により吸水倍率を求める:
吸水倍率=(W2−W1)/W1
本発明において、体外診断薬(装置)又は検査キットに使用される希釈検体液、コンジュゲートパッド、吸水パッド、メンブレン膜、標準抗体、呈色識別物質等は、公知のものが使用でき、限定されるものでない。
尚、実施例等に使用した使用部材、検査液、測定方法、評価方法等は、下記の通りのものであった。
以下、本発明の実施例の評価に使用した部材、検査液を説明する。
(a)抗体固定化メンブレン膜
ニトロセルロースメンブレン膜(ポアサイズ60μm)上に、マウス抗インフルエンザA型ウィルス抗体液を、巾2mmの線状になるように塗布して乾燥を行い、マリアリムAFB−1521及びトリス塩酸緩衝液によりブロッキングし、抗体固定化メンブレン膜を得た。得られた抗体固定化メンブレン膜を、巾5mm、長さ30mmになるように切り出した。抗体固定化位置は流れ方向に垂直となり、長さ20mmの位置になった。
およそ60nmの金コロイドと、上記抗体固定化メンブレン膜に使用した抗体とは別のエピトープを認識する抗体を、ホウ酸緩衝液(PH9.0)中で混合した後、BSA10%水溶液を添加してブロッキングを行った後、遠心分離により標識抗体を得た。
上記標識抗体を、0.2%Tween20、1%スクロース及び0.2BSAを含むPBSに混合し、A型インフルエンザ精製抗原(Kitakyusyu/159/93株由来)を含む希釈検体液(ウィルスをTCID50/test単位で1×106の濃度)を添加し、調整した。
ポリエステル製コンジュゲートパッド(ポール社製、タイプ6613)5mm×5mmに上記(b)の標識抗体を10μlを含浸し凍結乾燥し、標識抗体を含浸したコンジュゲートパッドを得た。
図1に示すように、台紙の上に抗体固定化メンブレン膜を貼り付け、メンブレン膜端部にコンジュゲートパッドを置き、もう一つの端部に吸水パッド(5mm巾、長さ20mm、メンブレン膜との重なり5mm No526 アドバンテック社製)、コンジュゲートパッドに重なるように実施例及び比較例のサンプルパッド(5mm巾 長さ15mm、コンジュゲートパッドの重なり5mm)を配置し、最後に透明なテープで上部から台紙を覆うように貼り付け固定しディップスティックタイプの検査キットを得た。
0.5m2以上の面積の不織布を、105℃で一定重量になるまで乾燥後、20℃、65%RHの恒温室に16時間以上放置してその重量を測定し、不織布の単位面積当たりの重量(g/m2)を求めた
JIS−L1096準拠の厚み試験にて荷重を1.96kPaとして測定した(単位はmm)。
上記目付、厚みより算出した(単位はg/cm3)。
JIS-L1907で規定されるバイレッグ吸水法により、サンプルパッドが検査液の流れる方向に会わせて、10cmの高さまで要する時間を測定し、評価した。
試料は、200mm(長さ)×25mm(巾)とし、20℃65%RHに制御された室内に15時間放置し調湿した後に測定した。
吸液速度(cm/秒) = 10cm/(10cm高さ到達時間(秒))
吸水倍率及び展開完了時間(リリース時間)を測定し、次式にて算出した:
キャッチアンドリリース指数 = 吸水倍率 ÷ リリース時間
吸収体を、20℃65%RHに制御された室内に15時間放置して調湿し、10cm角に切断したサンプルを秤量した(W1(g)とする)。
線径0.5mm、10メッシュの金網上にサンプルを置き、金網ごと20℃の水中へ30秒浸漬した。その後、サンプルを金網上で水平に保ったまま空中で10分間放置して水切りを行い、再度、秤量し(W2(g)とする)、吸水倍率を次式で求めた:
吸水倍率=(W2−W1)/W1
発色用希釈検査液を簡易診断薬のサンプルパッドに50μL滴下した際のサンプルパッドからコンジュゲートパッドに検査液が完全に移行する時間(リリース時間)を測定した。
純水300mlに25cm×25cmのサンプルを入れ2分間静置した。サンプルを取り出した残りの液を黒色濾紙(ADVANTEC NO131)で濾過。濾過後の濾紙を恒温室(20℃、65%RH)に12時間入れて乾燥した後、ビデオマイクロスコープにて大きさ100μm以上の脱落繊維数の個数を測定した(単位は個/m2)。
上記(e)簡易診断薬(装置)(診断薬キット、検査キット)を作製するに当たって、サンプルパッドの破損や検査液の展開性試験での合否判断に伴うロス率を算出し、製品歩留まりを測定した。
上記(1)〜(7)の項目について下記の評価基準に従って総合判断した。
◎:製品歩留まり、診断薬キット性能共に非常に優れている。
○:製品歩留まり、診断薬キット性能共に優れている。
△:製品歩留まりは優れているが、診断薬キット性能が悪い。
×:診断薬キット性能、製品歩留まり共に悪い。
平均繊維径12μm、平均目付27.5g/m2の再生セルロース連続長繊維不織布と平均繊維径10μm、平均目付12.0g/m2のポリエステル不織布をウォータージェットにて水流交絡させた不織布と、平均繊維径12μm、平均目付38.0g/m2の再生セルロース連続長繊維不織布とを用意した。用意した2枚の不織布の間に有孔ポリエチレン製フィルムを置き上部,下部いずれのロールもステンレス(SUS329)製のカレンダー加工機にて、以下の表1に記載の目付、嵩密度、厚みになるように130℃の熱カレンダー処理を行い不織布を作製した。この不織布をサンプルパッドとして診断薬キットを作製し、上記(1)〜(7)について評価を行った。その結果を以下の表1に示す。
平均繊維径12μm、平均目付57.2g/m2の再生セルロース連続長繊維不織布を用意した。上部,下部いずれのロールもステンレス(SUS329)製のカレンダー加工機にて、以下の表1に記載の目付、嵩密度、厚みになるように熱カレンダー処理を行い不織布を作製した。この不織布をサンプルパッドとして検査キットを作製し、上記(1)〜(7)について評価を行った。その結果を以下の表1に示す。
平均繊維径12μm、平均目付72.0g/m2の再生セルロース連続長繊維不織布を作製したことを除き、実施例2と同様に不織布を用意した。この不織布をサンプルパッドとして検査キットを作製し、上記(1)〜(7)について評価を行った。その結果を以下の表1に示す。
平均繊維径12μm、平均目付27.5g/m2の再生セルロース連続長繊維不織布を作製したことを除き、実施例2と同様に不織布を用意した。この不織布をサンプルパッドとして検査キットを作製し、上記(1)〜(7)について評価を行った。その結果を以下の表1に示す。
平均繊維径12μm、平均目付28.0g/m2の再生セルロース連続長繊維不織布を作製したことを除き、実施例2と同様に不織布を用意した。この不織布をサンプルパッドとして検査キットを作製し、上記(1)〜(7)について評価を行った。その結果を以下の表1に示す。
平均繊維径12μm、平均目付120.0g/m2の再生セルロース連続長繊維不織布を作製したことを除き、実施例2と同様に不織布を用意した。この不織布をサンプルパッドとして検査キットを作製し、上記(1)〜(7)について評価を行った。その結果を以下の表1に示す。
平均繊維径が20μmの木材パルプを空気中に親水性バインダーと共に分散し積層させる、乾式エアレイド不織布の製法の一つであるキノクロス法にて、以下の表1に示す物性の不織布を作製した。この不織布をサンプルパッドとして検査キットを作製し、上記(1)〜(7)について評価を行った。その結果を以下の表1に示す。
木材パルプを積層の後、木材パルプ外層の両面に平均繊維径15μmのレーヨン繊維を積層させたことを除き、比較例3と同様に、以下の表1に示す物性の不織布を作製した。この不織布をサンプルパッドとして検査キットを作製し、上記(1)〜(7)について評価を行った。その結果を以下の表1に示す。
抄造方式で製造したガラス繊維不織布を用い、以下の表1に示す物性の不織布を作製した。この不織布をサンプルパッドとして検査キットを作製し、上記(1)〜(7)について評価を行った。その結果を以下の表1に示す。
実施例3及び4のサンプルパッドは、優れたキャッチアンドリリース性能及び製品歩留まりを示した(総合評価○)。
比較例1及び2のサンプルパッドは、優れた製品歩留まりを示したが、吸液速度が速すぎたり遅すぎたりするため、キット性能としては悪いものであった(総合評価△)。
比較例3〜5については、脱落繊維が多く、製品歩留まりも悪く、更にはキット性能も悪いものであった(総合評価×)。
1a 塗布部(呈色箇所)
2 コンジュゲートパッド
3 サンプルパッド
4 吸水パッド
5 台紙
Claims (5)
- 嵩密度が0.06〜1.0g/cm3であり、厚みが0.07〜0.90mmであり、吸液速度が0.5〜5.0cm/秒であり、かつ、キャッチアンドリリース指数が0.7〜10.0の範囲であるセルロース系繊維不織布から構成される、体外診断薬用サンプルパッド。
- 前記セルロース系繊維不織布が、再生セルロース繊維を主成分とする不織布である、請求項1に記載のサンプルパッド。
- 前記セルロース系繊維不織布の脱落繊維数が、5000個/m2未満である、請求項1又は2に記載のサンプルパッド。
- 前記セルロース系繊維不織布が連続長繊維不織布を主成分とする不織布である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のサンプルパッド。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のサンプルパッドを含む体外診断薬。
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