JP2013227689A - 衛生材料 - Google Patents

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Kyoko Machioka
経子 町岡
Sadafumi Uehara
禎史 上原
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Abstract

【課題】吸液性及び保液性が高く、かつウエット時の形態安定性に優れた衛生材料を提供する。
【解決手段】複数の不織布層を有する多層不織布を含む衛生材料であって、該多層不織布が、セルロース系繊維を50質量%以上含む繊維径が0.1〜8μmの不織布である第1の層及びセルロース系繊維を50質量%以上含む繊維径が10〜20μmの不織布である第2の層をそれぞれ1層又は2層以上有し、該第2の層が多層不織布の少なくとも片側の表面に存在しており、かつ多層不織布の吸水速度がJIS−L1907準拠のバイレック試験に基づいて75mm以上である、衛生材料。
【選択図】なし

Description

本発明は、吸液性及び保液性が高く、かつウエット時の形態安定性に優れた衛生材料に関する。
従来、医療衛生材料不織布には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド等の樹脂から得られた不織布が使用される。しかし、これらの不織布は自己分解性がなく自然環境下では極めて安定なものであった。そこで近年、生分解性を有するポリ乳酸又はポリブチレンサクシネートにより構成された不織布が提案されている(特許文献1参照)。この不織布は、柔軟な風合いと適度な機械強度を有しており、医療衛生材料として提供されている。
一方、親水性の高い医療衛生材料も様々な材料により開発されており、主としてセルロース類で構成された極細長繊維不織布が開発されている(特許文献2参照)。この不織布は、無漂白でも白度が高く、滅菌処理をしても白度の低下が極めて少ない医療衛生材料として利用されている。また、繊維径の異なる再生セルロースで構成された不織布も開発されており、保液性に優れた不織布として提案されている(特許文献3参照)。
しかしながら、上記の衛生材料は、保液性及びウエット時の形態安定性においてなお改善の余地があり、また、吸液に時間を要する等吸液速度に問題があった。
特開2005−48350号公報 特開2003−306860号公報 特開2005−248365号公報
本発明が解決しようとする課題は、上記問題点を解決し、吸液性及び保液性が高く、かつウエット時の形態安定性に優れた衛生材料を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、2層以上の不織布で構成された衛生材料であって、該多層不織布は、セルロース系繊維を50質量%以上含む繊維径が0.1〜8μmの層を少なくとも1層、かつセルロース系繊維を50質量%以上含む繊維径が10〜20μmの層を少なくとも1層有し、繊維径が10〜20μmの層が多層不織布の少なくとも片側の表面に存在し、かつ吸水速度が75mm以上である多層不織布を有する衛生材料によって、上記課題を解決できることを見出し、また、該衛生材料は不織布の形状であるため、柔軟性が高く、操作が容易であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、以下の構成を有している。
[1] 複数の不織布層を有する多層不織布を含む衛生材料であって、
該多層不織布が、セルロース系繊維を50質量%以上含む繊維径が0.1〜8μmの不織布である第1の層及びセルロース系繊維を50質量%以上含む繊維径が10〜20μmの不織布である第2の層をそれぞれ1層又は2層以上有し、該第2の層が多層不織布の少なくとも片側の表面に存在しており、かつ多層不織布の吸水速度がJIS−L1907準拠のバイレック試験に基づいて75mm以上である、衛生材料。
[2] 前記多層不織布が、厚み:25〜1000μm、目付:10〜100g/m2、繊維密度:0.07〜0.45g/cm、及び吸水倍率:7〜20倍を有する、上記[1]に記載の衛生材料。
[3] 前記多層不織布の液戻り率が88%以下である、上記[1]又は[2]に記載の衛生材料。
[4] 前記セルロース系繊維が再生セルロース連続長繊維である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の衛生材料。
本発明により、吸液性及び保液性が高く、かつウエット時の形態安定性に優れた衛生材料を提供することができる。
以下、本願発明について具体的に説明する。
本発明の一態様は、複数の不織布層を有する多層不織布を含む衛生材料であって、該多層不織布が、セルロース系繊維を50質量%以上含む繊維径が0.1〜8μmの不織布である第1の層及びセルロース系繊維を50質量%以上含む繊維径が10〜20μmの不織布である第2の層をそれぞれ1層又は2層以上有し、該第2の層が多層不織布の少なくとも片側の表面に存在しており、かつ多層不織布の吸水速度がJIS−L1907準拠のバイレック試験に基づいて75mm以上である、衛生材料を提供する。すなわち、本発明が提供する衛生材料において、多層不織布は、構成繊維の繊維径が互いに異なる第1の層と第2の層とをそれぞれ1層又は複数層含む。
本発明で用いる、セルロース系繊維とは、麻、綿、パルプ等の天然セルロース繊維、キュプラ、ビスコースレーヨン、ポリノジックレーヨン等の再生セルロース繊維、リヨセル(テンセル)等の精製セルロース繊維等であるが、好ましくは繊維内の不純物が少ない再生セルロース繊維、又は精製セルロース繊維であり、更に好ましくは再生セルロース繊維である。再生セルロース繊維の原料としては、コットンリンター、パルプ等が好ましい。また、繊維の形態は短繊維及び長繊維のいずれも用いることが出来るが、好ましくは長繊維、更に好ましくは連続長繊維である。繊維の形態が連続長繊維の場合、脱落繊維等の不純物が出難く、衛生材料として機能が高い。セルロース系繊維は、特に好ましくは再生セルロース連続長繊維である。
本発明においては、第1の層及び第2の層として、セルロース系繊維を50質量%以上含む不織布を用いる。すなわち、これらの層は、主としてセルロース系繊維を含む不織布である。第1の層及び第2の層のそれぞれは、セルロース系繊維からなる不織布、すなわち、セルロース系繊維の含有率が100質量%である不織布であってもよい。又は、本発明の要件を満たす範囲で、他の繊維、例えばポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維等の合成繊維を含むことができる。第1の層及び第2の層のそれぞれについて、不織布中のセルロース系繊維の含有率は、50〜100質量%であり、好ましくは70〜100質量%であり、更に好ましくは80〜100質量%である。第1の層及び第2の層において、不織布中のセルロース系繊維の含有率が50質量%未満の場合、耐溶剤性といったセルロース系繊維特有の性能が著しく低下するので衛生材料には適さない。
本発明における繊維径とは、不織布の繊維集合体の表面を、走査型電子顕微鏡(例えば日本電子製JSM−6380)を用いて10000倍の倍率で観察し、任意の50本を選び、1本につき任意の1箇所を選んで測定したときの、50本の数平均値(μm)を意味する。
第1の層において、不織布の繊維径は、0.1〜8μmであり、好ましくは0.5〜6μmであり、更に好ましくは1.0〜5.5μmである。第1の層における繊維径は、不織布の生産性の観点から0.1μm以上であり、吸水速度を良好に得る観点から8μm以下である。
第2の層において、不織布の繊維径は、10〜20μmであり、好ましくは11〜18μmであり、更に好ましくは11〜17μmである。第2の層における繊維径は、繊維の交絡点及び接着点が多くなると柔軟性が劣るという観点から10μm以上であり、吸水速度を良好に得る観点から20μm以下である。
第1の層は形態安定性に寄与し、第2の層は柔軟性に寄与する。上記のような特定範囲の繊維径を有する第1の層及び第2の層の両者が存在することにより、形態安定性と柔軟性との両立が可能になる。
衛生材料中に存在する多層不織布の第1の層及び第2の層は、それぞれ、1層でも複数層でもよい。第1の層及び/又は第2の層が複数層存在する場合、第1の層と第2の層との配置は種々可能であり、例えば、第2の層/第1の層/第1の層/第1の層/第2の層の順の5層構造、第1の層/第1の層/第2の層/第2の層の順の4層構造、第1の層/第1の層/第2の層の順の3層構造等が挙げられる。例えば、お産パッド用途では、第2の層/第1の層/第1の層/第1の層/第2の層の順の5層構造等の構造が好ましく、吸液性や保液性が高く、柔軟性も高い。
本発明においては、第2の層が多層不織布の少なくとも片側の表面に存在する。これにより、液拡散性の向上、不織布表面の柔軟性の向上という効果が得られる。好ましくは、多層不織布の両側表面に第2の層が存在する。
本発明における吸水速度とは、JIS−L1907準拠のバイレック試験にて得られる値である。具体的には、幅25mm×長さ250mmの試験片を幅方向に10本採取し、試験片下端10mmを10分間浸漬させ、水面からの浸水高さを計測し、10本の数平均を吸水速度とする。
本発明の衛生材料においては、多層不織布の吸水速度が75mm以上であり、好ましくは90mm以上であり、更に好ましくは130mm〜250mmである。吸水速度が75mm未満の場合、吸液性及び保液性が低く衛生材料としての機能が低い。吸水速度は高いほど好ましいが、形態安定性の観点から好ましくは250mm以下である。
上記範囲の吸水速度は、多層不織布が第1の層を有することによって達成できる。多層不織布の吸水速度は繊維径及び繊維長の一方又は両方により制御される。繊維径が小さい程、及び繊維長が長い程、毛細管現象が顕著に現れ吸水速度が向上する。繊維径と繊維長との組合せの好ましい範囲は、用いる繊維の種類によって異なるが、例えば、第1の層を構成する繊維径が0.1〜8μmの範囲であり、かつ繊維長が25mm以上である。より好ましくは、第1の層を構成する繊維及び第2の層を構成する繊維のそれぞれの繊維長が、良好な吸水速度の観点から好ましくは25mm以上であり、より好ましくは30mm以上であり、さらに好ましくは50mm以上である。
本発明における多層不織布の厚みとは、JIS−L1096準拠の厚み試験にて荷重を1.96kPaとして測定した際の厚みを言う。
本発明において、多層不織布の厚みは、好ましくは25〜1000μm、より好ましくは70〜800μm、更に好ましくは100〜700μmである。多層不織布の厚みが1000μm以下である場合、通気性が良好で、加工し易い。厚みが25μm以上である場合、強度及び取り扱い性が良好であり、破れが発生し難い。
本発明において、多層不織布の目付とは、0.05m2以上の面積の不織布を105℃で一定質量になるまで乾燥後、20℃、65%RHの恒温室に16時間以上放置してその質量を測定したときの、不織布の1m2当たりの質量(g)を言う。
多層不織布の目付は、好ましくは10〜100g/m2、より好ましくは15〜80g/m2、更に好ましくは20〜60g/m2である。目付が100g/m2以下である場合、通気性が良好で、加工し易い。目付が10g/m2以上である場合、強度が良好で、破れが発生し難い。
本発明において、多層不織布の繊維密度とは、前述の方法で測定される多層不織布の厚みA(mm)と目付B(g/m2)とから下記式で算出される値(g/cm3)を言う。
繊維密度={B/A}/1000
本発明において、多層不織布の繊維密度は、好ましくは0.07〜0.45g/cm3、より好ましくは0.08〜0.40g/cm3、更に好ましくは0.08〜0.30g/cm3の範囲である。繊維密度が0.07g/cm3以上の場合、多層不織布としての強度が高く、また保液性が良好である。一方、繊維密度が0.45g/cm3以下の場合、柔軟性が良好で、また液拡散性も良好である。
本発明において、多層不織布の吸水倍率とは、質量C(g)で100mm×100mmの多層不織布1枚を、水中に30秒間浸漬した後、網上に10分間放置し、網上で水切りした多層不織布の質量をD(g)としたときに下記式により算出される値を言う。
吸水倍率=(D−C)/C
本発明において、多層不織布の吸水倍率は、好ましくは7〜20倍、より好ましくは8〜17倍、更に好ましくは8〜15倍である。吸水倍率が7倍以上の場合、保液性、及び対象物との親和性・密着性等が良好である。吸水倍率が20倍以下の場合、形態安定性が良好である。吸収倍率を上記範囲内に制御するための具体的な手法としては、繊維素材の選択、繊維素材の比率、繊維径の制御、繊維密度の制御、及びこれらの2つ以上の組合せが挙げられる。より具体的には、繊維素材の選択としては、セルロース、セルロース誘導体、ポリエステル等を用いることが挙げられる。繊維素材の質量比率としては、繊維素材としてセルロースとポリエステルとを好ましくは50:50〜100:0、より好ましくは70:30〜100:0、さらに好ましくは80:20〜100:0で用いることが挙げられる。繊維径の制御としては、第1の層の繊維径を好ましくは0.1〜8μm、より好ましくは0.5〜6μm、さらに好ましくは1.0〜5.5μmとすること、及び第2の層の繊維径を好ましくは10〜20μm、より好ましくは11〜18μm、さらに好ましくは11〜17μmとすることが挙げられる。繊維密度の制御としては、多層不織布の繊維密度を好ましくは0.07〜0.45g/cm3、より好ましくは0.08〜0.40g/cm3、さらに好ましくは0.08〜0.30g/cm3とすることが挙げられる。
本発明において、多層不織布の液戻り率とは、下記操作手順にて得られた質量から、下記式で算出される値(%)を言う。質量E(g)で100mm×100mmの多層不織布1枚をガラス板に置き、その上中央部より円筒(内径13mm)にて水を加える。液面がゼロになった時点より1分後、質量F(g)の4つ折りにしたJKワイパー(日本製紙クレシア株式会社製)3枚を上から置き、その上にガラス板(1.4Kg)を載せる。更に1分間放置後、ガラス板を取り除き3枚のJKワイパーの質量G(g)と不織布の質量H(g)とを測定する。このとき使用する水量は目付(g/m2)の10分の1の水量(mL)とする。
液戻り率={(G−F)/((H−E)+(G−F))}×100
本発明において、多層不織布の液戻り率は88%以下であることが好ましく、より好ましくは85%以下である。液戻り率が88%以下の場合、表面張力が大きいということが考えられるために保液性が高く、衛生材料としての機能が良好である。液戻り率は、蒸散が少ないという観点から、好ましくは50%以上である。液戻り率を上記範囲内に制御するための具体的な手法としては、繊維素材の選択、繊維素材の比率、繊維径の制御、積層数、及びこれらの2つ以上の組合せが挙げられる。より具体的には、繊維素材の選択としては、セルロース、セルロース誘導体、ポリエステル等を用いることが挙げられる。繊維素材の質量比率としては、繊維素材としてセルロースとポリエステルとを好ましくは50:50〜100:0、より好ましくは70:30〜100:0、さらに好ましくは80:20〜100:0で用いることが挙げられる。繊維径の制御としては、第1の層の繊維径を好ましくは0.1〜8μm、より好ましくは0.5〜6μm、さらに好ましくは1.0〜5.5μmとすること、及び第2の層の繊維径を好ましくは10〜20μm、より好ましくは11〜18μm、さらに好ましくは11〜17μmとすることが挙げられる。積層数としては、3〜10層等が挙げられる。
本発明において、多層不織布のウエット伸び率とは、20cm×20cmの多層不織布について、KES引張試験機にて、ウエット定加重100gf/cm時の伸び率を測定したときの値を言う。また、ウエット伸び率のタテ/ヨコ比は、タテ方向のウエット伸び率をI(%)、ヨコ方向のウエット伸び率をJ(%)としたときに下記式で算出される。
ウエット伸び率のタテ/ヨコ比=I/J
本発明においては、多層不織布のウエット伸び率のタテ/ヨコ比が0.4〜1.6であることが好ましい。ウエット伸び率のタテ/ヨコ比が0.4以上の場合、形態安定性が良好であり、衛生材料としての機能が良好である。ウエット伸び率のタテ/ヨコ比が1.6以下の場合も形態安定性が良好であり、衛生材料としての機能が良好である。ウエット伸び率のタテ/ヨコ比を上記範囲内に制御するための具体的な手法としては、繊維素材の選択、繊維素材の比率、繊維径の制御、繊維密度の制御、積層数、及びこれらの2つ以上の組合せが挙げられる。より具体的には、繊維素材の選択としては、セルロース、セルロース誘導体、ポリエステル等を用いることが挙げられる。繊維素材の質量比率としては、繊維素材としてセルロースとポリエステルとを好ましくは50:50〜100:0、より好ましくは70:30〜100:0、さらに好ましくは80:20〜100:0で用いることが挙げられる。繊維径の制御としては、第1の層の繊維径を好ましくは0.1〜8μm、より好ましくは0.5〜6μm、さらに好ましくは1.0〜5.5μmとすること、及び第2の層の繊維径を好ましくは10〜20μm、より好ましくは11〜18μm、さらに好ましくは11〜17μmとすることが挙げられる。繊維密度の制御としては、多層不織布の繊維密度を好ましくは0.07〜0.45g/cm3、より好ましくは0.08〜0.40g/cm3、さらに好ましくは0.08〜0.30g/cm3とすることが挙げられる。積層数としては、3〜10層等が挙げられる。
本発明の衛生材料の製造方法は特に限定されないが、例えば以下の製造方法によって製造することができる。
セルロース原料(例えば、好ましくはコットンリンター)を銅アンモニア溶液で溶解し、表面層は繊維径10〜20μm用の紡口を用い、中間層は繊維径0.1〜8μm用の紡口を用いて、流下緊張下で連続してネット上に紡糸してシートを形成させることにより多層不織布を得る。
本発明において、不織布の繊維径は主に紡口径により制御することができる。繊維径10〜20μm用の紡口は、直径0.45〜0.75mmの紡口であることが好ましく、更に好ましくは直径0.50〜0.70mmの紡口である。直径0.45mm以上紡口の場合、10μm以上の繊維径が容易に得られる。また、直径0.75mm以下の紡口の場合、銅が残りにくく20μm以下の繊維径が容易に得られる。
また、繊維径0.1〜8μm用の紡口は、直径0.01〜0.45mmの紡口であることが好ましく、更に好ましくは直径0.1〜0.40mmの紡口である。直径0.01mm以下の紡口の場合、0.1μm以上の繊維径が容易に得られる。また、直径0.45mm以下の紡口の場合、8μm以下の繊維径が容易に得られる。
前記工程において、高圧水流により繊維を交絡させながらシートに貫通孔及び凹部を形成させた後、乾燥させて多層不織布を得ることが好ましい。高圧水流による繊維交絡の有無は限定されるものではないが、交絡する方が好ましい。水流交絡が無い場合、形態安定性が低下したり、液拡散性が低下したりすることがある。
本発明に係る衛生材料は、多層不織布が水分を吸収する際に、高い液拡散性を持ち、生物体液等を素早く吸液することができる。
本発明おいて高い液拡散性とは、前記液戻り率の評価において、水を加え始めてから液面がゼロになるまでの液拡散時間(秒)が小さいことを表す。この液拡散時間は70秒以下であることが好ましく、また60秒以下であることがより好ましく、50秒以下あることが更に好ましい。液拡散時間は小さい程好ましいが、お産パッド等の実用上の観点から、例えば10秒以上、更に20秒以上であってもよい。
本発明に係る衛生材料の吸液性及び生体適合性をさらに向上させるために、セルロース系繊維の水酸基を各種の官能基で置換する誘導体化も有用である。主な誘導体化はエーテル化、エステル化、酸化等であり、例えば特開2001−170104号公報に記載の手法でCM化(カルボキシメチル化)セルロース繊維を得ることができる。また、湿潤時の寸法安定性を得るために、従来公知の架橋剤を用いることもできる。
本発明の衛生材料としては、特に限定はされないが、お産パッド、母乳パッド、生理用品、おむつ、医療用ガーゼ、除菌シート、イオントフォレーシス用基材、創傷被覆材、再生医療用足場、細胞培養用基材、組織イメージング用基材、癒着防止材、生体成分分離膜、血液浄化分離膜等が挙げられる。前記衛生材料の構成としては、それぞれ、複数の不織布層を有する多層不織布自体でも、前記多層不織布を当業者に公知の種々の形態で含むものでもよい。本発明の衛生材料は保液性及び吸液性に優れることから、特にお産パッド又は母乳パッドとして有効である。
以下、本発明を実施例等により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例等により何ら限定されるものではない。実施例及び比較例における測定方法を以下に示す。
(1)繊維径(μm)
多層不織布の各層を、走査型電子顕微鏡、日本電子製JSM−6380を用いて10000倍の倍率で観察し、任意の50本を選び測定した平均値を繊維径とした。
(2)吸水速度(mm)
多層不織布から、幅25mm×長さ250mmの試験片を幅方向に10本採取し、JIS−L1907準拠のバイレック試験にて、10分後の水面からの浸水高さを読み、吸水速度を測定した。各基材において10回測定しその数平均値を算出した。
(3)厚み(μm)
多層不織布の厚みを、JIS−L1096準拠の厚み試験にて荷重を1.96kPaとして測定した。各基材において10回測定しその数平均値を算出した。
(4)目付(g/m2
0.05m2以上の面積の多層不織布を、105℃で一定質量になるまで乾燥後、20℃、65%RHの恒温室に16時間以上放置してその質量を測定し、不織布の1m2当たりの質量(g)を求めた。各基材において10回測定しその数平均値を算出した。
(5)繊維密度(g/cm3
多層不織布の厚みと目付とを前述の方法でそれぞれ10回測定し、その数平均値である厚みA(mm)と目付B(g/m2)とを用いて次式によって繊維密度を算出した。
繊維密度={B/A}/1000
(6)吸水倍率(倍)
質量C(g)で100mm×100mmの多層不織布1枚を水中に30秒間浸漬した後、網上に10分間放置した。網上で水切りした不織布の質量をD(g)としたときに下記式により吸水倍率を算出した。各基材において5回測定しその数平均値を採用した。
吸水倍率=(D−C)/C
(7)液戻り率(%)
質量E(g)で100mm×100mmの多層不織布1枚をガラス板に置き、その上中央部より円筒(内径13mm)にて水を加えた。液面がゼロになった時点より1分後、質量F(g)の4つ折りにしたJKワイパー(日本製紙クレシア株式会社製)3枚を上から置き、その上にガラス板(1.4Kg)を載せた。更に1分間放置後、ガラス板を取り除き3枚のJKワイパーの質量G(g)と不織布の質量H(g)とを測定した。このとき使用する水量は目付(g/m2)の10分の1の水量(mL)とした。各基材において5回測定し、その数平均値を採用した。
液戻り率 = {(G−F)/((H−E)+(G−F))}×100
(8)ウエット伸び率のタテ/ヨコ比
20cm×20cmの多層不織布について、KES引張試験機にてウエット定加重100gf/cm時の伸び応力に基づき、伸び率を測定した。ウエット伸び率のタテ/ヨコ比は、タテ方向のウエット伸び率をI(%)、ヨコ方向のウエット伸び率をJ(%)とし、下記式より算出した。各基材において5回測定しその数平均値を採用した。
ウエット伸び率のタテ/ヨコ比=I/J
(9)液拡散性
前記(6)の液戻り率評価において、多層不織布に水を加え始めてから液面がゼロになるまでの液拡散時間(秒)を測定した。各基材において5回測定しその数平均値を算出した。
(10)生分解性
多層不織布30mm×30mmを微生物活性な土壌に埋没し、所定時間経過毎の多層不織布の面積K(mm2)を測定し、次式により所定時間経過毎の生分解率(%)を算出した。
生分解率={(900−K)/900}×100
(11)傷への付着性
凹凸表面状の生肉の上に多層不織布サンプルシートを載せ、1分後、シートの密着状態(フィット性)を目視により評価し、同時に剥がしやすさ(離脱性)、及び傷の見えやすさ(透明性)を評価した。判定内容は以下の通りである。
i)フィット性
〇:良好 △:少し隙間があるがズレ難い ×:隙間がありズレ易い
ii)離脱性
〇:良好 △:剥がしやすいが基材が少し残る ×:繊維が絡み剥がしにくく基材が残る
iii)透明性
〇:透明 △:少し濁りがあるが傷が見える ×:不透明
[実施例1]
コットンリンターを銅アンモニア溶液で溶解し、多層不織布の1層目及び5層目(第2の層として)には直径0.6mmの原液吐出孔が45.3個/cm2である紡口を用い、2〜4層目(第1の層として)には直径0.3mmの原液吐出孔が180.9個/cm2である紡口を用いて、流下緊張下で連続してネット上に5層重ねで紡糸してシートを形成させ、高圧水流により繊維を交絡させながらシートに貫通孔及び凹部を形成させた後、乾燥させた。得られた多層不織布の吸水速度は147mmであった。
[実施例2]
実施例1において、紡糸されたシートを積層するネットのスピードを遅くした以外は実施例1と同様の方法で多層不織布を得た。得られた多層不織布は、吸水速度184mmであった。
[実施例3]
実施例1において、高圧水流により繊維を交絡させないこと以外は実施例1と同様の方法で多層不織布を得た、得られた多層不織布は、吸水速度159mmであった。
[実施例4]
コットンリンターを銅アンモニア溶液で溶解し、多層不織布の1〜2層目(第2の層として)には直径0.6mmの原液吐出孔が45.3個/cm2である紡口を用い、3〜4層目(第1の層として)には直径0.3mmの原液吐出孔が180.9個/cm2である紡口を用いて、流下緊張下で連続してネット上に4層重ねで紡糸してシートを形成させ、乾燥させた。得られた多層不織布の吸水速度は135mmであった。
[比較例1]
コットンリンターを銅アンモニア溶液で溶解し、直径0.3mmの原液吐出孔が180.9個/cm2である紡口を用いて、流下緊張下で連続してネット上に5層重ねで紡糸してシートを形成させ、高圧水流により繊維を交絡させながらシートに貫通孔及び凹部を形成させた後、乾燥させた。得られた多層不織布の吸水速度は170mmであった。
[比較例2]
コットンリンターを銅アンモニア溶液で溶解し、多層不織布の1層目と5層目(第1の層として)には直径0.3mmの原液吐出孔が180.9個/cm2である紡口を用い、2〜4層目(第2の層として)には直径0.6mmの原液吐出孔が45.3個/cm2である紡口を用いて、流下緊張下で連続してネット上に5層重ねで紡糸してシートを形成させ、高圧水流により繊維を交絡させながらシートに貫通孔及び凹部を形成させた後、乾燥させた。得られた多層不織布の吸水速度128mmであった。
[比較例3]
天然セルロース繊維不織布(コットン製不織布:ズズラン株式会社製)からなる衛生材料で、吸水速度52mmであった。
[比較例4]
天然セルロース繊維(綿製ガーゼ:ズズラン株式会社製)からなる衛生材料で、吸水速度51mmであった。
Figure 2013227689
実施例1〜4、及び比較例1〜4で得られたサンプルの性能評価結果を表2に示す。
Figure 2013227689
表2に示したとおり、各実施例の多層不織布は優れた液戻り率、液拡散時間、およびウエット時の形態安定性を示している。
実施例1〜4、及び比較例1〜4で得られたサンプルの生分解率を下記表3に示す。
Figure 2013227689
表3に示したとおり、各実施例の多層不織布は優れた生分解性を示している。
実施例1〜4、及び比較例1〜4で得られたサンプルの傷への付着性を下記表4に示す。
Figure 2013227689
表4に示したとおり、各実施例の多層不織布は傷への優れた付着性を示している。
本発明の衛生材料は、吸液性及び保液性が高く、ウエット時の形態安定性に優れているため、お産パッド、母乳パッド、生理用品、おむつ、医療用ガーゼ、除菌シート、イオントフォレーシス用基材、創傷被覆材、再生医療用足場、細胞培養用基材、組織イメージング用基材、癒着防止材、生体成分分離膜、血液浄化分離膜等に好適に適用可能である。

Claims (4)

  1. 複数の不織布層を有する多層不織布を含む衛生材料であって、
    該多層不織布が、セルロース系繊維を50質量%以上含む繊維径が0.1〜8μmの不織布である第1の層及びセルロース系繊維を50質量%以上含む繊維径が10〜20μmの不織布である第2の層をそれぞれ1層又は2層以上有し、該第2の層が多層不織布の少なくとも片側の表面に存在しており、かつ多層不織布の吸水速度がJIS−L1907準拠のバイレック試験に基づいて75mm以上である、衛生材料。
  2. 前記多層不織布が、厚み:25〜1000μm、目付:10〜100g/m2、繊維密度:0.07〜0.45g/cm3、及び吸水倍率:7〜20倍を有する、請求項1に記載の衛生材料。
  3. 前記多層不織布の液戻り率が88%以下である、請求項1又は2に記載の衛生材料。
  4. 前記セルロース系繊維が再生セルロース連続長繊維である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の衛生材料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016151077A (ja) * 2015-02-18 2016-08-22 花王株式会社 積層不織布
WO2020054434A1 (ja) * 2018-09-14 2020-03-19 白十字株式会社 医療用ガーゼ

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