JP2012106275A - 金属圧延用ワークロールの研磨方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】より低コストな粗い砥粒を有するラッピングフィルムを用いて目的の粗さを得ることのできる金属圧延用ワークロールの研磨方法を提供する。
【解決手段】ワークロール5を軸回りに100〜2000rpm程度で回転させるとともに、ラッピングフィルム2を、ワークロール5表面上を軸と平行な一方向へ20〜1000mm/minの一定速度で移動させ、かつ、ワークロール5の軸方向にラッピングフィルム2をオシレーションさせつつ、ラッピングフィルム2の研磨面をワークロール5に押し当ててワークロール5を研磨する方法である。
【選択図】図1
【解決手段】ワークロール5を軸回りに100〜2000rpm程度で回転させるとともに、ラッピングフィルム2を、ワークロール5表面上を軸と平行な一方向へ20〜1000mm/minの一定速度で移動させ、かつ、ワークロール5の軸方向にラッピングフィルム2をオシレーションさせつつ、ラッピングフィルム2の研磨面をワークロール5に押し当ててワークロール5を研磨する方法である。
【選択図】図1
Description
本発明は、銅及び銅合金などを圧延するための金属圧延用ワークロールの研磨方法に関するものであり、特にラッピングフィルムを用いた金属圧延用ワークロールの研磨方法に関するものである。
従来から用いられる金属圧延用ワークロールの研磨方法として砥石を用いた研磨がある。
これは特許文献1に示すような方式で、研磨面に平行に回転させた砥石を、軸周りに回転させたワークロールに押し当て、研磨する方法である。砥石は同じ面でワークロールに常に接触して研磨するため、砥粒が砥石から脱落して砥石とワークロールとの間に入り込み、ロールスクラッチと呼ばれる傷をワークロールに作ってしまう。
そこで砥石に代わりラッピングフィルムを用いる研磨方法が開発された。例えば特許文献2に示すような表面の凹凸形状を持つラッピングフィルムが開発され、それによりワークロールが研磨されることで、研磨後にロールスクラッチの無い表面を得ることができる。
こうして開発されたラッピングフィルムにも、ラッピングフィルムの種類によっては同様のロールスクラッチが発生してしまう問題があり、特許文献3に示すようなダイヤモンドを用いて研削するラッピングフィルムが開発された。
ところで、ラッピングフィルムの研磨面が有するダイヤモンドなどの研磨砥粒の粒度は、研磨するワークの材質および目的の粗さにあわせて変更されるが、粒度の小さい研磨砥粒を用いたラッピングフィルムは価格が高く、ワークロールの研磨に係るコストが増大してしまう。
ラッピングフィルムはその表面に砥粒が多数接着しており、砥粒の粒径が小さくなるにつれてコストの高騰は顕著になっていく。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、研磨するワークの材質に適した研磨条件を与えることで、より低コストな粗い砥粒を有するラッピングフィルムを用いて目的の粗さを得ることのできる金属圧延用ワークロールの研磨方法を提供するものである。
上記目的を達成するために本発明は、ラッピングフィルムを用いた金属圧延用ワークロールの研磨方法であって、ワークロールを軸回りに100〜2000rpmで回転させ、前記ラッピングフィルムを、前記ワークロール表面上を軸と平行な一方向へ20〜1000mm/minの一定速度で移動させると共に、前記ラッピングフィルムの研磨面を前記ワークロールに押し当て、かつ、前記ラッピングフィルムをワークロールの軸方向にオシレーションさせて前記ワークロールを研磨する方法である。
前記ラッピングフィルムとして、研磨材として粒度30μm〜62μmのダイヤモンドを用いたラッピングフィルムを用い、かつ前記ラッピングフィルムをオシレーションさせる際の振動数は1200〜1800cpmであるとよい。
前記ワークロールの表面が算術平均粗さRaR=0.05〜0.10μm、最大高さRzR=0.5〜1.0μmとなるとよい。
また本発明は、上記いずれかの研磨方法を用いて研磨された前記ワークロールを銅及び銅合金の圧延に用い、算術平均粗さRaC=0.05〜0.10μm、最大高さRzC=0.5〜1.0μmに圧延された銅及び銅合金である。
本発明によれば、より低コストな粗い砥粒を有するラッピングフィルムを用いて目的の粗さを得ることのできる金属圧延用ワークロールの研磨方法を提供できる。
以下に、本発明の好適な実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は、本発明の金属圧延用ワークロールの研磨方法を実施する装置構成を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は断面図である。
図1に示すように、研磨装置1は、未研磨のラッピングフィルム2を送り出すための送り出しドラム3と、研磨後のラッピングフィルム2を巻き取るための巻取りドラム4と、ラッピングフィルム2の研磨面をワークロール5に押し当てるためのバックアップロール6と、からなる。
送り出しドラム3に回し巻きされたラッピングフィルム2は、送り出しドラム3の回転により送り出しドラム3からバックアップロール6のワークロール5に対向する面に送り出され、バックアップロール6によりワークロール5に押し当てられてワークロール5を研磨したラッピングフィルム2は、回転する巻取りドラム4に巻き取られる。
バックアップロール6の軸周りの回転方向は、ワークロール5の軸周りの回転方向と同一とし、これらが対向する面ではロール表面の移動方向が互いに対向するようにする。
バックアップロール6は油圧アクチュエータなどを備え、所定の押圧力にてラッピングフィルム2の研磨面をワークロール5に押し当てるようにされる。
送り出しドラム3、巻取りドラム4およびバックアップロール6は、ワークロール5の軸方向(図1(a)では左右方向)に移動可能なようにされる。また、研磨装置1はラッピングフィルム2をワークロール5の表面上で軸方向にオシレーションさせるための振動装置を備え、ラッピングフィルム2をワークロール5に押し当てながら、ラッピングフィルム2を軸方向にオシレーションすることができる。
本発明はラッピングフィルム2をオシレーションさせるための振動装置の配置・構成について特に限定されるものではなく、例えば振動装置をバックアップロール6に設け、バックアップロール6のみの振動によりラッピングフィルム2をオシレーションさせてもよい。また、研磨装置1全体がオシレーションするように振動装置を設けてもよい。
さて、この研磨装置1を用いてワークロール5の表面を研磨する研磨方法について以下に説明する。
本発明に係る研磨方法では、ワークロール5を軸周りに100〜2000rpm程度で回転させると共に、送り出しドラム3から巻取りドラム4へ向け100mm/min以下の速度で送られるラッピングフィルム2の研磨面を、バックアップロール6を用いてワークロール5に押し当て、軸方向にラッピングフィルム2を1200〜1800cpmでオシレーションさせつつラッピングフィルム2全体(すなわち、研磨装置1全体)を軸方向に20〜1000mm/minの一定速度で動かし、ワークロール5を研磨することを行う。
ラッピングフィルム2をオシレーションさせつつワークロール5に押し当てることで、研磨後のワークロール5の表面粗さを、ラッピングフィルム2に用いる研磨砥粒が通常達成できる表面粗さよりも小さくすることができる。
ワークロール5の表面粗さにはラッピングフィルム2の砥粒粒度、ワークロール5の回転速度、オシレーションの有無が大きく影響する。研磨対象であるワークロールの材質、そのワークロールを用いて圧延する圧延材の材質に合わせて適宜選択できる。
また、ラッピングフィルム2に使用する研磨砥粒の粒度が100μm以上である場合、これにより研磨したワークロール5は、金属圧延用ワークロールとして用いるには粗すぎてしまう。一方、10μm以下だと低粗度のワークロール5が得られるが、ラッピングフィルム2が高価になってしまう。
本発明では、ラッピングフィルム2に用いる研磨砥粒の粒度を、30μm〜62μmとする。この範囲の粒度の研磨砥粒を用いると、ラッピングフィルム2の価格を抑制しつつワークロール5の表面を目的の粗さとするのに好適であり、ワークロール5の研磨に係るコストを抑えることができる。
研磨に使用するラッピングフィルム2のフィルム幅は、研磨するワークロール5の回転軸方向の長さに対して小さくする。例えばラッピングフィルム2は幅50〜200mm、ワークロール5の回転軸方向の長さは700〜1000mm程度である。また、ラッピングフィルム2のオシレーション時の移動量はラッピングフィルム2のフィルム幅の10%以下とする。
なお、ワークロール5の研磨の際には、研削液をラッピングフィルム2に流してラッピングフィルム2とワークロール5との研磨面に供給すると、摩擦による発熱を抑えてワークロール5の寸法変動を抑制できると共に、研磨後のワークロール5の表面に対する防錆の効果がある。
また、このとき送り出しドラム3および巻取りドラム4の回転速度・トルクを制御してラッピングフィルム2にテンション(張力)を与えることで、オシレーションによるラッピングフィルム2のズレを防止することができ、オシレーションの効果をワークロール5に的確に伝えることができ、目的の表面粗さとしたワークロール5が得られる。
以上の方法により、研磨砥粒の粒径が大きく低コストなラッピングフィルムを用いて、より表面粗さの小さい目的の粗さである、算術平均粗さRaR=0.05〜0.10μm、最大高さRzR=0.5〜1.0μmの金属圧延用ワークロールを得ることができる。
また、本発明に係る研磨方法により研磨された金属圧延用ワークロールは銅及び銅合金の圧延に好適であり、算術平均粗さRaC=0.05〜0.10μm、最大高さRzC=0.5〜1.0μmに圧延された銅及び銅合金を製造することができる。
以下に、本発明の実施例を説明する。ただし、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
砥粒の材質および粒度の異なるラッピングフィルムを用い、ワークロール回転速度を変化させ、ラッピングフィルムの移動にオシレーションを与えてワークロールを研磨した。なお、ラッピングフィルムの巻取り(送り出し)速度は10mm/min、ラッピングフィルムのワークロール軸方向送り速度は40mm/min、バックアップロールの押し当て圧力は20kPa(0.2atm)、オシレーションは1600cpmで、全て一定とした。
表1に、ワークロールの研磨の条件と、研磨後のワークロールの算術平均粗さRaR、最大高さRzRを示す。
表1では、ラッピングフィルムにオシレーションを与えた条件を○として、オシレーションを与えない条件を×として記載した。また、測定したワークロールの粗さが、算術平均粗さRaR=0.05〜0.10μm、最大高さRzR=0.5〜1.0μmと、適正値の範囲であったものを粗さ判定○とし、範囲外であったものを粗さ判定×とした。
表1より、実施例1と比較例1を比べるとオシレーションを入れることでRaR、RzRとも値は下がっており、これらが適正値に収まっていることが解る。
比較例2は実施例1よりワークロールの回転速度を速めた例である。オシレーションの効果によりRaR、RzRとも値が小さくなりすぎていることが解る。
実施例2、比較例3はラッピングフィルムの砥粒の種類をダイヤに替えて酸化アルミニウムを用いて研磨した例である。酸化アルミニウムでも同様にオシレーションによる効果が得られることが解る。
比較例4,5は規定よりも大きな粒度の砥粒を用いた例である。オシレーションを適用した比較例4は、比較例5からのRaR、RzRの減少幅が大きいが、適正値に収まっていない。
次に、上記実施例1及び比較例1の条件で研磨したワークロールを用いて、銅合金の圧延を行い、圧延した銅合金表面の算術平均粗さRaC、最大高さRzCを測定した。
この結果を表2に示す。
上述の実施例1はワークロールの研磨時にラッピングフィルムに軸方向への移動に加えてオシレーションを加えて研磨した例であり、比較例1はワークロールの研磨時にラッピングフィルムに軸方向への移動のみでオシレーションを加えずに研磨した例である。
同じ粒度のラッピングフィルムを用いたワークロールの研磨でも、軸方向への移動に加えてオシレーションを加えることでワークロール表面の粗さが小さくなったのは表1でも示した通りである。
表2より、オシレーションを適用して研磨すると、ワークロール表面の粗さを小さくするだけでなく、そのワークロールで圧延した銅合金の表面も同様に粗さを小さくできることがわかる。
以上の結果より、本発明の金属圧延用ワークロールの研磨方法は、粗さの大きい低価格なラッピングフィルムを用いて、ワークロール表面をより小さな目的粗さにできることがわかる。
また、本発明に係る方法で研磨された金属圧延用ワークロールは、銅合金の圧延に適していることがわかる。
2 ラッピングフィルム
5 ワークロール
5 ワークロール
Claims (4)
- ラッピングフィルムを用いた金属圧延用ワークロールの研磨方法であって、
ワークロールを軸回りに100〜2000rpmで回転させ、
前記ラッピングフィルムを、前記ワークロール表面上を軸と平行な一方向へ20〜1000mm/minの一定速度で移動させると共に、前記ラッピングフィルムの研磨面を前記ワークロールに押し当て、かつ、前記ラッピングフィルムをワークロールの軸方向にオシレーションさせて前記ワークロールを研磨することを特徴とする金属圧延用ワークロールの研磨方法。 - 前記ラッピングフィルムとして、研磨材として粒度30μm〜62μmのダイヤモンドを用いたラッピングフィルムを用い、かつ前記ラッピングフィルムをオシレーションさせる際の振動数は1200〜1800cpmである請求項1記載の金属圧延用ワークロールの研磨方法。
- 前記ワークロールの表面が算術平均粗さRaR=0.05〜0.10μm、最大高さRzR=0.5〜1.0μmとなる請求項1記載の金属圧延用ワークロールの研磨方法。
- 請求項1〜3いずれかに記載の研磨方法を用いて研磨された前記ワークロールを銅及び銅合金の圧延に用い、算術平均粗さRaC=0.05〜0.10μm、最大高さRzC=0.5〜1.0μmに圧延された銅及び銅合金。
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JP2014150023A (ja) * | 2013-02-04 | 2014-08-21 | Mitsubishi Materials Corp | リチウムイオン二次電池用の集電体及びこの集電体を備えた電極並びに該電極の形成方法 |
CN115365957A (zh) * | 2022-08-04 | 2022-11-22 | 中钢集团邢台机械轧辊有限公司 | 一种电池极片辊的抛光装置及抛光方法 |
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