JP2012105252A - 弾性表面波装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】製造の容易さを有し、かつ通過周波数帯域での損失が小さい縦波型漏洩弾性表面波(LLSAW)装置を提供する。
【解決手段】LLSAW装置のIDトランスデューサ14は、圧電基板1の上面に形成された複数の電極指3とそれらを連結するバスバー2とからなる一対の櫛形電極6A、6Bで構成され、電極指3が交互に間挿された櫛形電極6A、6Bの間に高周波信号が加えられている。電極指3の上面および互いに隣接する電極指3、3の間に位置する圧電基板1の上面には、誘電体膜5が形成されている。
【選択図】図1
【解決手段】LLSAW装置のIDトランスデューサ14は、圧電基板1の上面に形成された複数の電極指3とそれらを連結するバスバー2とからなる一対の櫛形電極6A、6Bで構成され、電極指3が交互に間挿された櫛形電極6A、6Bの間に高周波信号が加えられている。電極指3の上面および互いに隣接する電極指3、3の間に位置する圧電基板1の上面には、誘電体膜5が形成されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、弾性表面波装置に関し、特に、圧電性物質からなる基板の一平面上に櫛形電極を有するIDトランスデューサ(Inter-Digital Transducer)を形成した縦波型漏洩弾性表面波装置に適用して有効な技術に関するものである。
弾性表面波装置は、高周波の共振器、フィルタ等の固体回路素子として通信機器等に使用されている。特に、広義の弾性表面波の一種である縦波型漏洩弾性表面波(以下、LLSAWと略す)は、縦波を主成分としているため、従来のレイリー波型弾性表面波やSH波型弾性表面波よりも伝搬速度が大きく、LLSAWを用いた弾性表面波装置(以下、LLSAW装置という)は、動作周波数が高いという特徴を有している。
特許文献1、2には、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)単結晶のY軸からZ軸方向にθ度回転させた方向を法線とする平面を有し、弾性波の伝搬方向をX軸と直交する方向とする圧電基板(以下、θYZ−LN単結晶圧電基板と略す)上に櫛形電極からなるIDトランスデューサを形成したLLSAWデバイスにおいて、カット角θと伝搬損失との関係が開示されている。
特許文献3には、ニオブ酸リチウム単結晶のY軸からZ軸方向にθ度回転させた方向を法線とする平面を有し、弾性波の伝搬方向をX軸方向とする圧電基板(以下、θYX−LN単結晶圧電基板と略す)上に櫛形電極と酸化珪素膜とを形成した弾性表面波共振器において、温度係数とカット角θと酸化珪素膜の膜厚との関係が開示されている。
特許文献4には、θYX−LN単結晶圧電基板上に櫛形電極および反射器とそれらを覆う酸化珪素膜とを形成した弾性表面波装置において、櫛形電極および反射器の膜厚と酸化珪素膜の膜厚と弾性表面波の波長との関係が開示されている。
上記特許文献3、4において、櫛形電極を覆う酸化珪素膜は、温度補償膜として使用されている。
一般に、高周波フィルタや高周波共振器には、製造の容易さと高い品質係数(Q)値とが要求される。特に、携帯電話に代表される通信機器用受信フィルタ用途では数千以上のQ値が求められているが、上記特許文献1、2に開示された弾性表面波共振器には以下のような問題点がある。
特許文献1、2には、LLSAW共振器において、共振周波数と反共振周波数のインピーダンスの山谷比を最大にするカット角θおよび櫛形電極の膜厚が開示されている。しかし、フィルタに代表される周波数を選択する装置を作る場合は、選択される周波数帯域(以下、通過周波数帯域と略す)での損失を小さくする必要がある。そのため、共振周波数でのQ値(以下、共振Q値と略す)が最も重要となり、2番目に反共振周波数でのQ値(以下、反共振Q値と略す)が重要となるが、特許文献1、2に記載のLLSAW共振器の場合は、共振Q値が最適となるカット角θと膜厚では、反共振Q値が小さくなるという問題がある。
また、特許文献3、4に記載された弾性波は、上記特許文献1、2のLLSAWや、後述する本発明のIDトランスデューサで励振されて共振するLLSAWとは異なり、レイリー波型弾性表面波やSH波型弾性表面波である。そのため、弾性波の伝搬速度(以下、音速と略す)は、4200m/s以下と小さく、高周波で動作する弾性表面波装置を製造するためには、IDトランスデューサを微細化する必要がある。例えば3.5GHz帯で動作させる場合は、IDトランスデューサの電極指の幅とスペースが0.30μm(=4200m/s÷3.5GHz÷4)以下になり、高価な微細加工装置が必要になるという問題点がある。
本発明の目的は、製造の容易さを有し、かつ通過周波数帯域での損失が小さいLLSAW装置を提供することにある。換言すると、音速5000m/s以上であり、かつ共振Q値および反共振Q値が共に優れたLLSAW装置を提供することにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
本発明の好ましい一態様は、圧電性を有する基板の一面上に、複数の電極指を有する櫛形電極からなるIDトランスデューサが形成され、前記IDトランスデューサがLLSAWを共振するLLSAW装置において、前記複数の電極指のそれぞれの上面、および互いに隣接する前記電極指の間の前記基板の一面上に誘電体膜が形成されているものである。
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下の通りである。
LLSAW装置のIDトランスデューサを構成する複数の電極指のそれぞれの上面、および互いに隣接する前記電極指の間の前記基板の一面上に誘電体膜を形成することにより、通過周波数帯域での損失が小さいLLSAW装置を実現することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、実施の形態では、特に必要なときを除き、同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。さらに、実施の形態を説明する図面においては、構成を分かり易くするために、平面図であってもハッチングを付す場合や、断面図であってもハッチングを省略する場合がある。
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1のLLSAW装置を模式的に示す平面図、図2は、図1のA−A線断面図、図3は、従来のLLSAW装置を模式的に示す平面図、図4は、図3のB−B線断面図、図5は、本実施の形態1のLLSAW装置のIDトランスデューサを構成する電極指の膜厚hm、誘電体膜の膜厚hd1、電極指の幅L、スペースS、電極指周期(電極ピッチ)λo(励振されるLLSAWの伝搬波長と実質的に同一)のそれぞれの定義を説明する図である。
図1は、本実施の形態1のLLSAW装置を模式的に示す平面図、図2は、図1のA−A線断面図、図3は、従来のLLSAW装置を模式的に示す平面図、図4は、図3のB−B線断面図、図5は、本実施の形態1のLLSAW装置のIDトランスデューサを構成する電極指の膜厚hm、誘電体膜の膜厚hd1、電極指の幅L、スペースS、電極指周期(電極ピッチ)λo(励振されるLLSAWの伝搬波長と実質的に同一)のそれぞれの定義を説明する図である。
図1および図2に示す本実施の形態1のLLSAW装置は、二開口LLSAW共振器に適用したものであり、IDトランスデューサ14上に誘電体膜5が形成されている点を除いては、特許文献1、2に記載された従来のLLSAW共振器(図3および図4参照)と同一の構成になっている。すなわち、本実施の形態1のLLSAW共振器は、θYZ−LN単結晶からなる圧電基板1と、その上面(θ回転Yカット面)に形成されたIDトランスデューサ14と、IDトランスデューサ14上に形成された誘電体膜5とを具備している。また、IDトランスデューサ14の両側には、IDトランスデューサ14と同一材料で形成されたLLSAWの反射器4が設けられている。
上記IDトランスデューサ14は、複数の電極指3とそれらを連結するバスバー2とからなる櫛歯状の平面形状を有する一対の櫛形電極6A、6Bで構成され、電極指3が交互に間挿された櫛形電極6A、6Bの間に高周波信号が加えられている。櫛形電極6A、6Bのそれぞれは、例えば50個の電極指3を有しており、IDトランスデューサ14の開口長は、例えば電極指周期λoの10倍(10λo)である。IDトランスデューサ14および反射器4は、アルミニウムを主成分とする金属膜をフォトリソグラフィー技術でパターニングすることにより形成されている。
図5に示すように、電極指3の膜厚はhm、幅はL、互いに隣接する電極指3、3のスペースはSで定義される。これらの寸法の一例を挙げると、膜厚(hm)=128nm、幅(L)=スペース(S)=0.4μmである。また、電極指周期λo=1.6μmである。
上記電極指3の上面および互いに隣接する電極指3、3の間に位置する圧電基板1の上面には、誘電体膜5が形成されている。誘電体膜5は、CVD法、スパッタリング法、塗布法などで堆積した酸化珪素膜で構成されており、その膜厚hd1は、電極指3の膜厚hmよりも薄い(hd1<hm)ことを特徴としている。
LLSAW共振器の共振周波数は、LLSAWの伝搬速度と電極指周期λoとの比で決まる。その際、電極指3の幅LとスペースSの比は比較的自由に設定できるが、量産性(加工性)を考慮した場合は、幅L、スペースS共に大きい方がよい。すなわち、幅L=スペースSとしたときに、最小加工寸法が最大となるので、量産性(加工性)が向上する。
本発明者等は、特許文献3、4に記載された弾性表面波共振器シミュレーション技術を拡張し、LLSAWに特有の速い横波バルク波へのエネルギー漏洩効果を取り入れることにより、IDトランスデューサ14の形状等、全ての効果を考慮してLLSAWの弾性特性を詳細に検討した。
図6は、従来のLLSAW共振器(カット角θ=171度)におけるQ値の膜厚hm依存性を示した図である。また、図7は、誘電体膜5の膜厚hd1を0.01λoにした本実施の形態1のLLSAW共振器(カット角θ=171度)におけるQ値の膜厚hm依存性を示した図である。図6、図7において、実線は共振Q値を示し、破線は反共振Q値を示している。また、電極指3の膜厚hmの刻みは、0.001λoとした。
図6、図7に示すように、共振Q値が最大となる膜厚hmでの反共振Q値は、誘電体膜5がない従来例では1340であるが、本実施の形態1のLLSAW共振器では2150に向上する。
図8は、誘電体膜5の膜厚hd1を0.03λoにした本実施の形態1のLLSAW共振器(カット角θ=171度)におけるQ値の膜厚hm依存性を示した図である。共振Q値が最大となる膜厚hmでの反共振Q値は、誘電体膜5がない従来例では1340であるが、本実施の形態1のLLSAW共振器では3300に向上する。
図9は、誘電体膜5の膜厚hd1を0.05λoにした本実施の形態1のLLSAW共振器(カット角θ=171度)におけるQ値の膜厚hm依存性を示した図である。共振Q値が最大となる膜厚hmでの反共振Q値は、誘電体膜5がない従来例では1340であるが、本実施の形態1のLLSAW共振器では8190に向上する。
図10は、図7〜図9に示した本実施の形態1のLLSAW共振器における共振周波数の音速を示した図である。誘電体膜5の膜厚hd1がいずれの場合も、音速は5000m/s以上である。
また、表1は、図7〜図9に示した本実施の形態1のLLSAW共振器において、共振Q値が最大となる電極指3の膜厚hmとそのときの共振周波数の音速を示した表である。誘電体膜5の膜厚hd1がいずれの場合でも、音速は5000m/s以上である。
このように、IDトランスデューサ14上に電極指3よりも薄い膜厚hd1の誘電体膜5を形成した本実施の形態1のLLSAW共振器によれば、共振Q値が最大となる膜厚hmでの反共振Q値を向上させることができる。
また、本実施の形態1のLLSAW共振器は、共振Q値が最大となる膜厚hmでの音速が5000m/s以上と大きいので、IDトランスデューサ14のサイズを比較的大きくすることができる。これにより、従来のi線(λ=365nm)を露光光源とする安価なステッパーを使ったフォトリソグラフィ技術によって、電極指3を歩留まりよく加工することができるので、共振Q値および反共振Q値が優れたLLSAW共振器を安価に提供することができる。
なお、誘電体膜5は、少なくとも電極指3の上面および電極指3、3の間に露出したθYZ−LN単結晶圧電基板1の上面に形成されていることが重要であり、図11に示すように、電極指3の側面に誘電体膜5が形成されている場合であっても、同様の効果が得られる。
(実施の形態2)
図12は、本実施の形態2のLLSAW共振器を模式的に示す平面図、図13は、図12のA−A線断面図、図14は、本実施の形態2のLLSAW共振器における電極指3の膜厚hm、誘電体膜5の膜厚hd2、電極指3の幅LおよびスペースS、励振されるLLSAWの伝搬波長(電極指周期)λoのそれぞれの定義を説明する図である。
図12は、本実施の形態2のLLSAW共振器を模式的に示す平面図、図13は、図12のA−A線断面図、図14は、本実施の形態2のLLSAW共振器における電極指3の膜厚hm、誘電体膜5の膜厚hd2、電極指3の幅LおよびスペースS、励振されるLLSAWの伝搬波長(電極指周期)λoのそれぞれの定義を説明する図である。
図12および図13に示す本実施の形態2のLLSAW共振器は、IDトランスデューサ14上に形成された誘電体膜5の膜厚、形状が異なっている点を除いては、前記実施の形態1のLLSAW共振器と同一の構成になっている。すなわち、本実施の形態2のLLSAW共振器は、電極指3の上面および電極指3、3の間に露出したθYZ−LN単結晶圧電基板1の上面に、膜厚hd2を有する誘電体膜5を形成することによって、誘電体膜5の表面に膜厚hmとほぼ等しい高さの凸部を設けたものである。
図15は、誘電体膜5の膜厚hd2を0.00λoにした本実施の形態2のLLSAW共振器におけるQ値の膜厚hm依存性を示した図である。図15に示すように、共振Q値が最大となる膜厚hmでの反共振Q値は、従来例が1340(図6参照)であるのに対し、本実施の形態2では26800に向上する。
図16は、誘電体膜5の膜厚hd2を0.01λoにした本実施の形態2のLLSAW共振器におけるQ値の膜厚hm依存性を示した図である。図16に示すように、共振Q値が最大となる膜厚hmでの反共振Q値は、従来例が1340であるのに対し、本実施の形態2では45800に向上する。
同様に、図17〜図25は、誘電体膜5の膜厚hd2を0.02λo〜0.10λoの間で変化させた本実施の形態2のLLSAW共振器におけるQ値の膜厚hm依存性を示した図である。共振Q値が最大となる膜厚hmでの反共振Q値は、いずれの場合も従来例に比べて向上する。
図26は、図15〜図25に示した本実施の形態2のLLSAW共振器における共振周波数の音速を示した図である。いずれの場合も、音速は5000m/s以上である。
また、表2は、図15〜図25に示した本実施の形態2のLLSAW共振器において、共振Q値が最大となる電極指3の膜厚hmとそのときの共振周波数の音速を示した表である。いずれの場合も、音速は5000m/s以上である。
図27(a)〜図47(a)は、カット角θを160度〜180度の間で1度ずつ変化させた本実施の形態2のLLSAW共振器(誘電体膜5の膜厚hd2=0.02λo)におけるQ値の膜厚hm依存性を示した図である。一方、図27(b)〜図47(b)は、カット角θを160度〜180度の間で1度ずつ変化させた従来のLLSAW共振器におけるQ値の膜厚hm依存性を示した図である。共振Q値が最大となる膜厚hmでの反共振Q値は、いずれの場合も、従来例に比べて向上する。
図48は、図27(a)〜図47(a)に示した本実施の形態2のLLSAW共振器における共振周波数の音速を示した図である。いずれの場合も、音速は5000m/s以上である。
また、表3は、図27(a)〜図47(a)に示した本実施の形態2のLLSAW共振器において、共振Q値が最大となる電極指3の膜厚hmとそのときの共振周波数の音速を示した表である。いずれの場合も、音速は5000m/s以上である。
図49(a)は、図27(a)〜図47(a)に示した本実施の形態2のLLSAW共振器において、共振Q値が最大となる電極指3の膜厚hmと、そのときの共振Q値(実線で示す)および反共振Q値(破線で示す)を示した図である。一方、図49(b)は、図27(b)〜図47(b)に示した従来のLLSAW共振器において、共振Q値が最大となる電極指3の膜厚hmと、そのときの共振Q値(実線で示す)および反共振Q値(破線で示す)を示した図である。θがいずれの場合でも、反共振Q値は、本実施の形態2のLLSAW共振器のほうが優れている。
このように、IDトランスデューサ14上に電極指3よりも厚い膜厚hd2の誘電体膜5を形成した本実施の形態2のLLSAW共振器によれば、共振Q値が最大となる膜厚hmでの反共振Q値を向上させることができる。
前記実施の形態1および本実施の形態2は、二開口LLSAW共振器に適用したものであるが、一開口LLSAW共振器に適用することもできる。また、誘電体膜5は、酸化珪素以外の絶縁材料で構成することもできる。さらに、IDトランスデューサ14は、アルミニウム以外の金属材料で構成することもでき、例えばアルミニウムに銅、珪素、チタン等を混ぜた合金、またはそれらの多層膜であっても、同様の効果が得られる。
また、加工の観点からは、密度の小さい金属材料、具体的には密度が10280kg/m3以下の金属材料を使用することが望ましい。密度の小さい金属材料を用いてIDトランスデューサ14をパターニングすることにより、加工寸法の製造ばらつきに起因するLLSAW共振器の動作周波数のバラツキを小さくすることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態3のLLSAW共振器は、IDトランスデューサ14をアルミニウム以外の金属材料で形成した点を除いては、前記実施の形態1のLLSAW共振器と同一の構成になっている。
本実施の形態3のLLSAW共振器は、IDトランスデューサ14をアルミニウム以外の金属材料で形成した点を除いては、前記実施の形態1のLLSAW共振器と同一の構成になっている。
図50は、銅を主成分とする金属材料でIDトランスデューサ14を形成した従来のLLSAW共振器(カット角θ=174度)におけるQ値の膜厚hm依存性を示した図である。また、図51は、銅を主成分とする金属材料でIDトランスデューサ14を形成した本実施の形態3のLLSAW共振器(カット角θ=174度、誘電体膜5の膜厚hd1=0.02λo)におけるQ値の膜厚hm依存性を示した図である。図50、図51において、実線は共振Q値を示し、破線は反共振Q値を示している。また、電極指3の膜厚hmの刻みは、0.0005λoである。
図50、図51に示すように、共振Q値が最大となる膜厚hmでの反共振Q値は、誘電体膜5がない従来例では292であるが、本実施の形態3のLLSAW共振器では323に向上する。また、そのときの音速は5797m/sであり、5000m/sを超えている。
図52は、モリブデンを主成分とする金属材料でIDトランスデューサ14を形成した従来のLLSAW共振器(カット角θ=174度)におけるQ値の膜厚hm依存性を示した図である。また、図53は、モリブデンを主成分とする金属材料でIDトランスデューサ14を形成した本実施の形態3のLLSAW共振器(カット角θ=174度、誘電体膜5の膜厚hd1=0.02λo)におけるQ値の膜厚hm依存性を示した図である。
図52、図53に示すように、共振Q値が最大となる膜厚hmでの反共振Q値は、誘電体膜5がない従来例では226であるが、本実施の形態3のLLSAW共振器では250に向上する。また、そのときの音速は5771m/sであり、5000m/sを超えている。
(実施の形態4)
本実施の形態4のLLSAW共振器は、IDトランスデューサ14をアルミニウム以外の金属材料で形成した点を除いては、前記実施の形態2のLLSAW共振器と同一の構成になっている。
本実施の形態4のLLSAW共振器は、IDトランスデューサ14をアルミニウム以外の金属材料で形成した点を除いては、前記実施の形態2のLLSAW共振器と同一の構成になっている。
図54は、銅を主成分とする金属材料でIDトランスデューサ14を形成した本実施の形態4のLLSAW共振器(カット角θ=174度、誘電体膜5の膜厚hd2=0.02λo)におけるQ値の膜厚hm依存性を示した図である。
図54に示すように、共振Q値が最大となる膜厚hmでの反共振Q値は、誘電体膜5がない従来例では292(図50参照)であるが、本実施の形態4のLLSAW共振器では395に向上する。また、そのときの音速は5650m/sであり、5000m/sを超えている。
図55は、モリブデンを主成分とする金属材料でIDトランスデューサ14を形成した本実施の形態4のLLSAW共振器(カット角θ=174度、誘電体膜5の膜厚hd2=0.02λo)におけるQ値の膜厚hm依存性を示した図である。
図55に示すように、共振Q値が最大となる膜厚hmでの反共振Q値は、誘電体膜5がない従来例では226(図52参照)であるが、本実施の形態4のLLSAW共振器では302に向上する。また、そのときの音速は5599m/sであり、5000m/sを超えている。
このように、IDトランスデューサ14をアルミニウム以外の金属材料で形成した実施の形態3、4のLLSAW共振器においても、共振Q値が最大となる膜厚hmでの反共振Q値を向上させることができる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
前記実施の形態のLLSAW共振器は、圧電基板材料としてθYZ−LN単結晶を使用したが、圧電基板材料はこれに限定されるものではない。例えば圧電基板をタンタル酸リチウム(LiTabO3)単結晶で構成し、この単結晶のY軸からZ軸方向にθ度回転させた方向を法線とする平面上にIDトランスデューサ14を形成したLLSAW共振器に適用することもできる。また、圧電基板をニオブ酸リチウム単結晶またはタンタル酸リチウム単結晶で構成し、これらの単結晶のX軸を法線とする平面上にIDトランスデューサ14を形成したLLSAW共振器に適用することもできる。
本発明は、高周波の共振器、フィルタ等の固体回路素子として通信機器等に使用されるLLSAW装置に利用することができる。
1 圧電基板
2 バスバー
3 電極指
4 LLSAW反射器
5 誘電体膜
6A、6B 櫛形電極
14 IDトランスデューサ
2 バスバー
3 電極指
4 LLSAW反射器
5 誘電体膜
6A、6B 櫛形電極
14 IDトランスデューサ
Claims (8)
- 圧電性を有する基板の一面上に、複数の電極指を有する櫛形電極からなるIDトランスデューサが形成され、前記IDトランスデューサが縦波型漏洩弾性表面波を共振する弾性表面波装置において、
前記複数の電極指のそれぞれの上面、および互いに隣接する前記電極指の間の前記基板の一面上に誘電体膜が形成されていることを特徴とする弾性表面波装置。 - 前記基板は、ニオブ酸リチウムまたはタンタル酸リチウムの単結晶からなり、前記一面は、前記単結晶のY軸からZ軸方向にθ度回転させた方向を法線とする平面であることを特徴とする請求項1記載の弾性表面波装置。
- 前記IDトランスデューサは、アルミニウムを主成分とする金属からなることを特徴とする請求項1記載の弾性表面波装置。
- 前記誘電体膜は、酸化珪素からなることを特徴とする請求項1記載の弾性表面波装置。
- 前記基板は、ニオブ酸リチウムまたはタンタル酸リチウムの単結晶からなり、前記一面は、前記単結晶のX軸を法線とする平面であることを特徴とする請求項1記載の弾性表面波装置。
- 前記IDトランスデューサは、密度が10280kg/m3以下の金属からなることを特徴とする請求項1記載の弾性表面波装置。
- 前記誘電体膜の膜厚は、前記電極指の膜厚よりも小さいことを特徴とする請求項1記載の弾性表面波装置。
- 前記縦波型漏洩弾性表面波の伝搬速度が5000m/s以上であることを特徴とする請求項1記載の弾性表面波装置。
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