小型化が要求される携帯機器における操作部や、片手でも容易に操作できることが要求される自動車のオーディオ装置や空調装置(エアコン)の操作部などのように、ひとつの操作部に複数の入力機能を持たせるニーズは多い。
複数の入力機能を備えた入力装置として、例えば、回転と押し込みとの入力機能を備えたロータリーエンコーダスイッチがある。ロータリーエンコーダスイッチは、左右の回転方向に応じて位相差が異なる2つのパルス信号を出力する。そして、ロータリーエンコーダスイッチに接続されたマイコンは、ロータリーエンコーダスイッチより出力されるパルス信号の位相差から回転方向を検出するとともに、ロータリーエンコーダスイッチより出力されるパルス数から回転量を検出することにより、回転操作の検出を行う。また、ロータリーエンコーダスイッチは、電気的接点によるプッシュスイッチを備え、押し込み操作に応じてパルス信号を出力する。マイコンは、ロータリーエンコーダスイッチより出力されるパルス信号により、押し込み操作の検出を行う。
図12(a)は、ロータリーエンコーダスイッチを備えた電子機器10の例を示す正面図である。電子機器10の機器本体部15には、オーディオ機能を選択するためのプッシュボタン30a、空調機能を選択するためのプッシュボタン30b、ハンズフリー通話機能を選択するためのプッシュボタン30c、ナビゲーション機能を選択するためのプッシュボタン30dが配置されている。また、機器本体部15には、ユーザが各種設定を行い、また、各種情報を表示するためのタッチパネルディスプレイ20が配置されている。
また、機器本体部15には、操作ノブ40が取り付けられたロータリーエンコーダスイッチが配置されている。ユーザは、操作ノブ40をつかんだまま回転操作を行ったり、操作ノブ40の押し込み操作を行ったりすることで、電子機器10に対する各種指示(例えば、ボリューム調整や風量調整)を入力し確定することができる。
図12(b)は、図12(a)をA−A線で切断した断面図である。図12(c)は、操作ノブ40が取り付けられていない状態のロータリーエンコーダスイッチ80を示す図である。図12(b)において、60はタッチパネルであり、外装部50a、50bまたは表示パネル70に固定されている。表示パネル70は各種情報を表示するためのものであり、外装部50a、50bにねじ(図示せず)で固定されている。80は回転と押し込みとの入力機能を備えたロータリーエンコーダスイッチである。
ロータリーエンコーダスイッチ80の回転軸90には、操作ノブ40が取り付けられている。操作ノブ40を取り付ける際、ロータリーエンコーダスイッチ80の回転軸90から操作ノブ40が外れ難くするためのリング(図示せず)を使用している。100はロータリーエンコーダスイッチ80およびマイコンを搭載する基板であり、外装部50b、50cにねじ(図示せず)で固定されている。
ユーザが操作ノブ40をつかんだまま回転操作を行ったり、操作ノブ40の押し込み操作を行ったりすることで、ロータリーエンコーダスイッチ80から出力されたパルス信号は、基板100の電子回路を介して、図示しないマイコンに供給される。マイコンは、ロータリーエンコーダスイッチ80から供給されたパルス信号に基づいて、回転操作や押し込み操作を検出する。
図12(d)は、ロータリーエンコーダスイッチ80の電子回路を簡易に示す図である。図12(d)に示すように、電子回路は、操作ノブ40の押し込み操作が行われた場合にON状態となるプッシュスイッチ110と、操作ノブ40の回転操作が行われた場合にその回転方向に応じて左、右または右、左の順で交互にON状態となるエンコーダスイッチ120と、プッシュスイッチ110やエンコーダスイッチ120がOFF状態の場合にマイコン130への入力電圧がハイレベル(例えば、5[V])となるよう使用されるプルアップ抵抗140,150,160とを含む。
従来のロータリーエンコーダスイッチ80では、図12(b)〜(d)のような構成を有することにより、例えば、回転操作によって所望のメニュー項目やボリューム値を選択し、選択したメニュー項目やボリューム値の入力を押し込み操作によって確定するといった操作をすることができる。しかしながら、ロータリーエンコーダスイッチ80を電子機器10の入力装置として使用した場合には、構造面、電力面およびコスト面の観点から次の問題点があった。
まず、構造面の観点から生ずる問題について説明する。すなわち、図12(b)に示したように、ロータリーエンコーダスイッチ80を搭載した基板100を外装部50a,50b内に配置するスペースおよびその基板100を外装部50a,50b内部に設置する構造が必要であるという問題があった。また、ロータリーエンコーダスイッチ80の回転軸90の長さに合わせた操作ノブ40を用意する必要があるという問題があった。すなわち、回転軸90の長さはロータリーエンコーダスイッチ80の種類によって変わるが、その長さに合わせて、操作ノブ40の垂直方向(図面上下方向、以下同じ)の長さが決まってしまい、入力装置の設計において操作ノブ40の選択の幅が狭くなってしまう。そのような長さを有する操作ノブ40が既存品になければ、新たに製造する必要がありコストアップにつながっていた。
次に、電力面の観点から生ずる問題について説明する。すなわち、図12(d)に示したように、プルアップ抵抗140,150,160は、マイコン130側の配線とハイレベルの電圧を与える電源との間に挿入される。そして、プッシュスイッチ110やエンコーダスイッチ120がOFF状態である場合にマイコン130の入力端子にハイレベルの電圧(5[V])をかける働きをする。一方、プッシュスイッチ110やエンコーダスイッチ120をON状態にする操作をすれば、マイコン130への入力電圧はロウレベルの電圧(0[V])となる。以上のように、ユーザが、操作ノブ40の回転操作や押し込み操作を行っていない場合でも、プルアップ抵抗140,150,160には電流が流れ、無駄に電力が消費されてしまうという問題があった。
最後に、コスト面の観点から生ずる問題について説明する。すなわち、従来の入力装置の構造では、ロータリーエンコーダスイッチ80、基板100、電子機器10全体を制御する制御部(図示せず)から基板100やマイコン130まで接続するコネクタやケーブル類、基板100を外装部50b,50c内に固定するためのネジ、操作ノブ40がロータリーエンコーダスイッチ80の回転軸90から外れ難くするためのリングなど多くの部品が必要であり、製造コストが高くなるという問題があった。
上記問題に関連して、電子機器の筺体に配置された押しボタンの操作を検出するためのセンサとしてタッチパネルを使用する技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1に記載の技術では、電子機器を構成する筐体に配置された押しボタンがユーザによって押下された場合、筐体の裏面側に突き出た押しボタンの下部がタッチパネルに接触し、タッチパネルから接触位置に応じた信号が出力される。情報処理部では、この出力信号に基づいて押しボタンの操作を検知し、各種処理を実行することができる。
また、背面に凸部を設けた回転ツマミが回転できるように設けたシートを、タッチパネルディスプレイの前面に設けた技術が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。特許文献2に記載の技術では、ユーザが回転ツマミを回転させた場合、回転ツマミの回転に合わせて、背面に設けられた凸部がタッチパネルディスプレイと接触しながら回転移動する。そして、この回転移動をタッチパネルディスプレイで検出することにより、ユーザによる回転ツマミの操作を受け付けることができる。
上記特許文献1、2に記載の技術では、押しボタンの下部や回転ツマミの背面に設けた凸部とタッチパネルとの接触により、押しボタンの押下操作や回転ツマミの回転操作を検出する。そのため、従来の入力装置と異なり、ロータリーエンコーダスイッチ80、基板100、基板100やマイコン130まで接続するコネクタやケーブル類、基板100を外装部50b,50c内に固定するためのネジ、操作ノブ40がロータリーエンコーダスイッチ80の回転軸90から外れ難くするためのリングが全て不要となる。
それゆえ、構造面の観点から、ロータリーエンコーダスイッチ80を搭載した基板100を外装部内に配置するスペースおよびその基板100を外装部の内部に設置する構造が不要となる。また、ロータリーエンコーダスイッチ80の回転軸90の長さに合わせて操作ノブ40をカスタマイズすることも不要となる。
また、電力面の観点から、基板100上の電子回路が不要となることに伴い、プルアップ抵抗140,150,160も不要となる。そのため、操作ノブ40の回転操作や押し込み操作を行っていない場合、プルアップ抵抗140,150,160で無駄な電力が消費されてしまうという問題点もなくなる。
また、コスト面の観点から、ロータリーエンコーダスイッチ80、基板100、コネクタやケーブル類、基板100を外装部内に固定するためのネジ、ロータリーエンコーダスイッチ80の回転軸90から操作ノブ40を外れ難くするためのリングなどが不要となるため、製造コストを低下させることができる。
以下、本発明による実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明においては、各図面に向かって右方向を「右」と称し、左方向を「左」と称し、上方向を「上」と称し、下方向を「下」と称する。
図1は、本実施形態による操作ノブを入力装置として用いた電子機器200の例を示す正面図である。電子機器200の機器本体部205には、オーディオ機能を選択するためのプッシュボタン220a、空調機能を選択するためのプッシュボタン220b、ハンズフリー通話機能を選択するためのプッシュボタン220c、ナビゲーション機能を選択するためのプッシュボタン220dが配置されている。また、機器本体部205には、ユーザが各種設定を行い、また、各種情報を表示するためのタッチパネルディスプレイ210が配置されている。
また、機器本体部205には、操作ノブ230が配置されている。ユーザは、操作ノブ230をつかんだまま回転操作を行ったり、操作ノブ230の押下操作を行ったりすることで、電子機器200に対する各種指示(例えば、ボリューム調整や風量調整)を入力し確定することができる。
240はリング状の照光部であり、操作ノブ230の周りに設けられている。照光部240は、ユーザが操作ノブ230の回転操作を行っているときに点灯し、それ以外のときに消灯する。なお、照光部240は、ユーザが操作ノブ230の回転操作、押下操作を行っているときにそれぞれ橙色、緑色で点灯し、操作ノブ230の操作を行っていないときに消灯するようにしても良い。また、図1(b)に示すように、操作ノブ230の近傍に照光部250を設けて、ユーザが操作ノブ230の回転操作を行っているときに照光部250を点灯させ、それ以外のときに照光部250を消灯させるようにしても良い。
次に、電子機器200の断面構造について説明する。図2(a)は、図1(a)をA−A線で切断した断面図である。なお、図面が繁雑になり見難くなるのを避けるためハッチングは省略する。以下の図面も同様である。
図2(a)において、260はタッチパネルであり、外装部205a、205b(図1の機器本体部205に相当)に固定されている。280は各種情報を表示するための表示パネルであり、左端部が外装部205aにねじ(図示せず)で固定されている。また、表示パネル280は、取付部材290a、290bを介して電子機器200の背面部に取り付けられている。外装部205bの上方の外面には、略円柱形状の操作ノブ230がタッチパネル260と対向するように設置されている。
図2(b)は、本実施形態による操作ノブ230の構造例を示す図である。操作ノブ230は、ユーザが回転操作および押下操作を行う際に把持するための把持部310と、把持部310の一部を成す取付面315に設けられた棒状の第1凸部320aおよび第2凸部320bとを備えている。取付面315は、把持部310が押下操作される場合の押下方向(下方向)に対して垂直な面である。すなわち、タッチパネル260の外装部205bにタッチパネル260と対向するように操作ノブ230が設置された場合に、タッチパネル260と対向する面である。第1凸部320aおよび第2凸部320bは、取付面315において、取付面315の中心点を通る直線上の位置であって当該中心点を基準に互いに同じ方向に設けられている。
把持部310と第1凸部320aおよび第2凸部320bとは、タッチパネル260の外装部205bにタッチパネル260と対向するように操作ノブ230が設置された場合に、タッチパネル260と第1凸部310aの先端との距離がタッチパネル260と第2凸部320aの先端との距離よりも短くなるように構成されている。本実施形態では、第1凸部320aの上下方向の長さを第2凸部320bの上下方向の長さより、例えば0.5[mm](アナログ抵抗膜方式のタッチパネル260の電極間の距離に相当)だけ長くすることにより、タッチパネル260と第1凸部310aの先端との距離がタッチパネル260と第2凸部320aの先端との距離よりも短くなるように構成されている。
次に、ユーザが操作ノブ230をつかんだまま回転操作を行ったり、操作ノブ230の押下操作を行ったりした場合の操作ノブ230の動作について説明する。図2(c)は、操作ノブ230の操作を行っていない場合の状態を示す、操作ノブ230が設置された周辺の拡大図である。
図2(c)に示すように、外装部205bには、把持部310が上下に往復動するための空間を確保するための凹部330が形成されている。340a,340bはスプリングであり、一端が把持部310の下端部に取り付けられ、他端が凹部330の底面に取り付けられている。スプリング340a,340bは、把持部310と凹部330との間で弛緩した状態となっている。
また、外装部205bには、操作ノブ230の第1凸部320aの先端および第2凸部320bの先端がタッチパネル260まで到達できるように貫通穴345a,345bが形成されている。具体的には、上下方向を回転軸として把持部310が回転した場合、その回転に伴って第1凸部320aおよび第2凸部320bも回転できるように環状の貫通穴345a,345bがそれぞれ形成されている。なお、上下方向を回転軸として把持部310が回転した場合、その回転に伴って第1凸部320aおよび第2凸部320bも回転できるように円状の貫通穴を形成するようにしても良い。
図2(d)は、操作ノブ230を下方向に押し込み第1凸部320aの先端がタッチパネル260に接触した状態を示す、操作ノブ230が設置された周辺の拡大図である。図2(d)に示すように、操作ノブ230の把持部310に下方向の荷重がかかることにより、スプリング340a,340bが縮み、把持部310は下方向に移動する。それに伴い、操作ノブ230の第1凸部320aおよび第2凸部320bも貫通穴345a,345bをそれぞれ下方向に移動し、その結果として、まずは第1凸部320aのみがタッチパネル260と接触する。
図2(e)は、操作ノブ230を下方向に押し込み第1凸部320aの先端および第2凸部320bの先端がタッチパネル260に接触した状態を示す、操作ノブ230が設置された周辺の拡大図である。図2(e)に示すように、操作ノブ230の押下操作によって、図2(d)の状態よりも更に大きな下方向の荷重が把持部310にかかることにより、スプリング340a,340bは更に縮み、把持部310はさらに下方向に移動する。それに伴い、第2凸部320bが貫通穴345bを下方向に移動し、その結果として第1凸部320aおよび第2凸部320bの両方がタッチパネル260と接触する。
図2(e)に示すように、図2(d)の状態より操作ノブ230を下方向に押し込んでいるときはずっと、タッチパネル260に対して第1凸部320aから外力が加わる。そのため、第1凸部320aが下方向へ移動しようとすることによって、タッチパネル260が無理に押され破損するおそれがある。そのような事態を防止するため、操作ノブ230は、第1凸部320aからタッチパネル260に対する外力の反作用として、第1凸部320aに対してタッチパネル260から内力が加えられたときに、第1凸部320aの先端と第2凸部320bの先端との距離が内力に応じて短くなるように、第2凸部320bに対する第1凸部320aの相対位置を変えるための可動構造を備えている。
本実施形態では、第1凸部320aを設けた取付面315と第1凸部320aの先端との距離がタッチパネル260からの内力に応じて短くなるようにしている。具体的には、タッチパネル260から第1凸部320aに内力が加わることによって、第1凸部320aの一部(タッチパネル260と反対側)が、把持部310に形成された凹部350の内部に収容される構造を設けている。つまり、凹部350の底面と第1凸部320aの一端とがスプリング360を介して接続されており、タッチパネル260からの内力によって第1凸部320aの一部はスプリング360を圧縮しながら凹部350の内部に収容される。
なお、第1凸部320aの先端部分(すなわち、タッチパネル260と接触する部分)を弾性のラバー材で形成して、タッチパネル260からの内力によって第1凸部320aの先端部分のラバー材が縮み、その結果として第1凸部320aの長さが短くなるような構造にしても良い。
ユーザが操作ノブ230の押し込みを止めて、把持部310に対する荷重がなくなれば、スプリング340a,340b,360が伸びて元の図2(c)の状態に戻る。
次に、操作ノブ230の回転操作と第1凸部320a、第2凸部320bの動きとの関係について説明する。図3は、操作ノブ230の回転操作と第1凸部320a、第2凸部320bの動きとの関係を示す図である。図3(a)〜(c)は、操作ノブ230の把持部310の回転操作を行った場合に第1凸部320aおよび第2凸部320bが移動する軌道を示している。
図3(a)は、取付面315の中心点400を基準として、操作ノブ230の第1凸部320aおよび第2凸部320bが12時の位置にある場合を示している。図3(b)は、操作ノブ230の第1凸部320aおよび第2凸部320bが3時の位置にある場合(すなわち、図3(a)の位置から操作ノブ230を右に90度回転させた場合)を示している。図3(c)は、操作ノブ230の第1凸部320aおよび第2凸部320bが7時の位置にある場合(すなわち、図3(a)の位置から操作ノブ230を左に150度回転させた場合)を示している。すなわち、操作ノブ230の把持部310の回転操作を行った場合、第1凸部320aは点線の軌道410に沿って動くとともに、第2凸部320bは点線の軌道420に沿って動く。そして、その軌道410,420に沿って環状の貫通穴345a,345bがそれぞれ設けられている。
図4は、操作ノブ230の凸部がタッチパネル260に接触した場合の例を示す図である。このうち、図4(a)は、操作ノブ230を下方向に押し込み第1凸部320aの先端のみがタッチパネル260に接触した場合の例を示す図である。例えば、上下方向をY軸、左右方向をX軸とし、操作ノブ230の取付面315の中心点400の座標を(0、0)とする。また、第1凸部320aが、取付面315の中心点400からの距離が50となるように配置されているものとする。
図4(a)に示すように、第1凸部320aが12時の位置にあるとき、第1凸部320aの先端とタッチパネル260との接触位置430の座標は(0、50)となる。この場合、タッチパネル260は、第1凸部320aの先端とタッチパネル260との接触位置430を示す信号を出力する。この状態で操作ノブ230を回転させると、第1凸部320aの先端とタッチパネル260との接触位置が変化し、タッチパネル260から出力される位置の信号が変わる。そして、タッチパネル260から出力される信号に基づいて、電子機器200内の演算装置(図示せず)は、操作ノブ230の回転操作を検出する。
図4(b)は、操作ノブ230を下方向に押し込み第1凸部320aの先端および第2凸部320bの先端がタッチパネル260に接触した場合の例を示す図である。例えば、第2凸部320bが、取付面315の中心点400からの距離が100となるように配置されているものとする。図4(b)に示すように、第1凸部320aおよび第2凸部320bが共に12時の位置にあるとき、第1凸部320aの先端とタッチパネル260との接触位置430の座標は(0、50)となり、第2凸部320bの先端とタッチパネル260との接触位置440の座標は(0、100)となる。
なお、本実施形態のタッチパネル260は、アナログ抵抗膜方式であるため、1つの位置に対応する信号しか出力することができない。そのため、図4(c)に示すように、タッチパネル260は、第1凸部320aの先端とタッチパネル260との接触位置430、および、第2凸部320bの先端とタッチパネル260との接触位置440の中間位置450の座標(0、75)を示す信号を検出結果として出力する。そして、タッチパネル260から出力される信号に基づいて、電子機器200内の演算装置(図示せず)は、操作ノブ230の押下操作を検出する。
以上のように、図4(a)〜(c)の例では、取付面315の中心点400からの距離が50となる位置座標を示す信号がタッチパネル260から出力された場合、電子機器200内の演算装置(図示せず)は、操作ノブ230の回転操作を検出することができる。また、取付面315の中心点400からの距離が75となる位置座標を示す信号がタッチパネル260から出力された場合、電子機器200内の演算装置(図示せず)は、操作ノブ230の押下操作を検出することができる。
次に、本実施形態による操作ノブ230を備えた入力システム500の構成について説明する。この入力システム500は、上述した電子機器200に適用される。図5は、本実施形態による操作ノブ230を備えた入力システム500の構成例を示すブロック図である。図5に示すように、入力システム500は、操作ノブ230、照光部240、タッチパネル260、演算装置510および照光制御部520を備えて構成されている。演算装置510は、回転操作検出部530および押下操作検出部540を備えて構成されている。
ユーザが操作ノブ230の回転操作を行う際に操作ノブ230が下方向に押し込まれた場合、操作ノブ230の備える第1凸部320aの先端のみがタッチパネル260に接触する。また、ユーザが操作ノブ230の押下操作を行う際に操作ノブ230が下方向に更に押し込まれた場合、操作ノブ230の備える第1凸部320aの先端および第2凸部320bの先端
の両方がタッチパネル260に接触する。
タッチパネル260は、操作ノブ230の備える第1凸部320aのみがタッチパネル260に接触しているときに、その接触している位置を示す信号(以下、回転位置信号という)を演算装置510に出力する。また、タッチパネル260は、操作ノブ230の備える第1凸部320aの先端および第2凸部320bの先端の両方がタッチパネル260に接触しているときに、第1凸部320aの先端が接触している位置と第2凸部320bの先端が接触している位置との中間位置を示す信号(以下、押下位置信号という)を演算装置510に出力する。
演算装置510の回転操作検出部530は、タッチパネル260から出力された回転位置信号に基づいて、ユーザによる操作ノブ230の回転操作を検出する。また、回転操作検出部530は、タッチパネル260から回転位置信号が出力された場合、その旨を照光制御部520に通知する。その通知を受けた照光制御部520は、ユーザが操作ノブ230の回転操作を行っていることを報知するために、照光部240を点灯するように制御する。照光制御部520は、回転操作検出部530からの通知がない場合は何もしない。
演算装置510の押下操作検出部540は、タッチパネル260から出力された押下位置信号に基づいて、ユーザによる操作ノブ230の押下操作を検出する。
以上詳しく説明したように、本実施形態では、タッチパネル260の外装部205bにタッチパネル260と対向するように設けられる操作ノブ230が、タッチパネル260と対向する取付面315に設けられた第1凸部320aおよび第2凸部320bを備えている。そして、外装部205bにタッチパネル260と対向するように操作ノブ230が設置された場合に、タッチパネル260と第1凸部320aの先端との距離がタッチパネル260と第2凸部320bの先端との距離よりも短くなるように構成している。
これにより、タッチパネル260の外装部205bにタッチパネル260と対向するように操作ノブ230を設置した場合に、ユーザによる操作ノブ230の操作内容(回転操作または押下操作)に応じて、操作ノブ230の取付面315に設けられた第1凸部320aおよび第2凸部320bとタッチパネル260との接触状態に2つの態様(図2(d)のように第1凸部320aの先端のみがタッチパネル260と接触する態様と、図2(e)のように第1凸部320aの先端および第2凸部320bの先端の両方がタッチパネル260と接触する態様)を生じさせることができる。
よって、その2つの態様の接触状態をそれぞれタッチパネル260で検出することで操作ノブ230の回転操作および押下操作をそれぞれ検出することができる。それゆえ、回転操作を入力するための操作子および押下操作を入力するための操作子を別々に設ける必要がなくなり、電子機器200の機器本体部205における操作子(操作ノブ230)の配置スペースが広くならないようにすることができる。よって、電子機器200の表示スペースが狭くならないようにすることができる。
また、本実施形態では、機器本体部205において操作ノブ230の周りに照光部240を設けている。または、操作ノブ230の近傍に照光部250を設けている。そのため、ユーザは、照光部240または照光部250の点灯状態を確認するだけで、操作ノブ230の回転操作を行える状態になっているか否か(第1凸部320aがタッチパネル260に接触しているか否か)を把握することができる。
なお、上記実施形態に示した操作ノブ230の構造は単なる一例であって、本発明はこれに限定されない。図6は、本実施形態による操作ノブ230の変形例を示す図である。図6に示す把持部310Aは、ユーザが回転操作および押下操作を行う際に把持するための第1把持部600と、第1把持部600と係合する第2把持部610とから成る。第1把持部600および第2把持部610はそれぞれ、互いに係合するための係合部615a,615bを備える。
また、第1把持部600に第1凸部320aを設けるとともに、第2把持部610に第2凸部320bを設ける。第1把持部600は、第2把持部610と係合可能な位置まで、第2把持部610と独立して押下方向(下方向)に移動することが可能である。また、第1把持部600は、第2把持部610と係合部615aにより係合して第2把持部610と共に下方向に移動することが可能である。第2把持部610は、第1把持部600と係合部615bにより係合して第1把持部600と共に下方向に移動することが可能である。
図6(a)は、操作ノブ230の操作を行っていない場合の状態を示す、操作ノブ230が設置された周辺の拡大図である。図6(a)に示すように、外装部205bには、第2把持部610が第1把持部600と係合部615bにより係合して下方向に移動するための空間を確保するための凹部630が形成されている。
650a,650bはスプリングであり、一端が第1把持部600の下端部に取り付けられ、他端が凹部630の底面に取り付けられている。スプリング650a,650bは、第1把持部600と凹部630との間で弛緩した状態となっている。660a,660bはスプリングであり、一端が第2把持部610の下端部に取り付けられ、他端が凹部630の底面に取り付けられている。スプリング660a,660bは、第2把持部610と凹部630との間で弛緩した状態となっている。
外装部205bおよび第2把持部610には、ユーザが第1把持部600をつかんだまま回転操作を行ったり押下操作を行ったりした場合、第1凸部320aの先端がタッチパネル260まで到達できるように貫通穴345aが形成されている。具体的には、上下方向を回転軸として第1凸部320aが回転できるように、環状の貫通穴345aが形成されている。
また、外装部205bには、ユーザが第1把持部600をつかんだまま回転操作を行ったり押下操作を行ったりした場合、第2凸部320bの先端がタッチパネル260まで到達できるように貫通穴345bが形成されている。具体的には、上下方向を回転軸として第2凸部320bが回転できるように、環状の貫通穴345bが形成されている。また、第2把持部610には、スプリング650a,650bをそれぞれ通す貫通穴670a,670bが形成されている。
図6(b)は、操作ノブ230を下方向に押し込み第1凸部320aの先端がタッチパネル260に接触した状態を示す、操作ノブ230が設置された周辺の拡大図である。図6(b)に示すように、操作ノブ230の第1把持部600に下方向の荷重がかかることにより、スプリング650a,650bが縮み、第1把持部600は第2把持部610と係合部615aにより係合するまで下方向に移動する。それに伴い、第1凸部320aは、貫通穴345aを下方向に移動してタッチパネル260と接触する。
図6(c)は、操作ノブ230を下方向に押し込み第1凸部320aの先端および第2凸部320bの先端がタッチパネル260に接触した状態を示す、操作ノブ230が設置された周辺の拡大図である。図6(c)に示すように、操作ノブ230の押下操作によって、図6(b)の状態よりも更に大きな下方向の荷重が第1把持部600にかかることにより、スプリング650a,650b,660a,660b,360は縮む。これにより、第1把持部600は、第2把持部610と係合部615aにより係合した状態で第2把持部610と共にさらに下方向に移動する。それに伴い、第2凸部320bが貫通穴345bを下方向に移動し、その結果として第1凸部320aおよび第2凸部320bの両方がタッチパネル260と接触する。このとき第1凸部320aは、タッチパネル260から内力を受けて、タッチパネル260と反対側の一部が凹部350の内部に収容される。
ここでは、第1把持部600の係合部615aと第2把持部610の係合部615bとが係合したときに、第1凸部320aがタッチパネル260と接触する例について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、第1把持部600の係合部615aと第2把持部610の係合部615bとが係合する前に、第1凸部320aがタッチパネル260と接触するようにしても良い。また、第1把持部600の係合部615aと第2把持部610の係合部615bとが係合した状態で更に第1把持部600を下方向に少し押し込んだときに、第1凸部320aがタッチパネル260と接触するようにしても良い。
しかし、第1把持部600の係合部615aと第2把持部610の係合部615bとが係合したときに、第1凸部320aがタッチパネル260と接触する構成が一番好ましい。この場合、ユーザは、第1把持部600の回転操作を行うことがちょうど可能となる。つまり、第1凸部320aおよびタッチパネル260間の接触面積より係合部615aおよび係合部615b間の接触面積が大きいため、第1凸部320aがタッチパネル260と接触したときに、第1把持部600の係合部615aと第2把持部610の係合部615bとが同時に係合すれば、ユーザは、第1把持部600の回転操作が可能となったことを手の感覚で把握しやすい。
その後、第1把持部600を実際に回転操作する際には、スプリング650a,650bの復元力を常に受けた状態で第1把持部600を水平に回転させる必要がある。このときユーザは、2つの係合部615a,615bが互いに接触している状態を維持しながら第1把持部600を回転させれば、第1凸部320aがタッチパネル260に接触したままの状態で回転操作を行うことができる。このとき、ユーザは第1把持部600を下方向に軽く押し込む形で回転操作することになるが、第1把持部600の係合部615aと第2把持部610の係合部615bとが係合した状態で更に第1把持部600を押し込むためには、スプリング650a,650bに加えてスプリング660a,660b,360の復元力に抗して大きな力を必要とする。よって、ユーザは、この大きな力を入れずに適度な力を入れて第1把持部600を係合部615a,615bの接触面に沿って水平に回転させることが簡単にできる。
また、別の例について説明する。図7は、本実施形態による操作ノブ230の変形例を示す図である。図7に示す把持部310Bは、ユーザが回転操作および押下操作を行う際に把持するための第1把持部700と、第1把持部700と係合する第2把持部710とから成る。第1把持部700および第2把持部710はそれぞれ、互いに係合するための係合部715a,715bを備える。
また、第1把持部700に第1凸部320aを設けるとともに、第2把持部710に第2凸部320bを設ける。第1把持部700は、第2把持部710と係合可能な位置まで、第2把持部710と独立して押下方向(下方向)に移動することが可能である。また、第1把持部700は、第2把持部710と係合部715aにより係合して第2把持部710と共に下方向に移動することが可能である。第2把持部710は、第1把持部700と係合部715bにより係合して第1把持部700と共に下方向に移動することが可能である。
図7(a)は、操作ノブ230の操作を行っていない場合の状態を示す、操作ノブ230が設置された周辺の拡大図である。図7(a)に示すように、外装部205bには、第2把持部710が第1把持部700と係合部715bにより係合して押下方向に移動するための空間を確保するための凹部730が形成されている。
750a,750bはスプリングであり、一端が第1把持部700の下端部に取り付けられ、他端が凹部730の底面に取り付けられている。スプリング750a,750bは、第1把持部700と凹部730との間で弛緩した状態となっている。760a,760bはスプリングであり、一端が第2把持部710の下端部に取り付けられ、他端が凹部730の底面に取り付けられている。スプリング760a,760bは、第2把持部710と凹部730との間で弛緩した状態となっている。
外装部205bには、ユーザが第1把持部700をつかんだまま回転操作を行ったり押下操作を行ったりした場合、第1凸部320aの先端および第2凸部320bの先端がタッチパネル260まで到達できるように貫通穴345a,345bが形成されている。具体的には、上下方向を回転軸として第1凸部320aおよび第2凸部320bが回転できるように環状の貫通穴345a,345bがそれぞれ形成されている。
図7(b)は、操作ノブ230を下方向に押し込み第1凸部320aの先端がタッチパネル260に接触した状態を示す、操作ノブ230が設置された周辺の拡大図である。図7(b)に示すように、操作ノブ230の第1把持部700に下方向の荷重がかかることにより、スプリング750a,750bが縮み、第1把持部700は第2把持部710と係合部715aにより係合するまで下方向に移動する。それに伴い、第1凸部320aは、貫通穴345aを下方向に移動してタッチパネル260と接触する。
図7(c)は、操作ノブ230を下方向に押し込み第1凸部320aの先端および第2凸部320bの先端がタッチパネル260に接触した状態を示す、操作ノブ230が設置された周辺の拡大図である。図7(c)に示すように、操作ノブ230の押下操作によって、図7(b)の状態よりも更に大きな下方向の荷重が第1把持部700にかかることにより、スプリング750a,750b,760a,760,360は縮む。これにより、第1把持部700は、第2把持部710と係合部715aにより係合した状態で第2把持部710と共にさらに下方向に移動する。それに伴い、第2凸部320bが貫通穴345bを下方向に移動し、その結果として第1凸部320aおよび第2凸部320bの両方がタッチパネル260と接触する。このとき第1凸部320aは、タッチパネル260から内力を受けて、タッチパネル260と反対側の一部が凹部350の内部に収容される。
なお、第1把持部700の係合部715aと第2把持部710の係合部715bとが係合したときに、第1凸部320aがタッチパネル260と接触する例に限らない。例えば、第1把持部700の係合部715aと第2把持部710の係合部715bとが係合する前に、第1凸部320aがタッチパネル260と接触するようにしても良い。また、第1把持部700の係合部715aと第2把持部710の係合部715bとが係合した状態で更に少し押し込んだときに、第1凸部320aがタッチパネル260と接触するようにしても良い。
しかし、第1把持部700の係合部715aと第2把持部710の係合部715bとが係合したときに、第1凸部320aがタッチパネル260と接触する構成が一番好ましい。この場合、ユーザは、第1把持部700の回転操作を行うことがちょうど可能となる。つまり、第1把持部700の係合部715aと第2把持部710の係合部715bとが係合する前に、第1凸部320aがタッチパネル260と接触する構成より、第1凸部320aおよびタッチパネル260間の接触面積より係合部715aおよび係合部715b間の接触面積が大きいため、ユーザは、第1把持部700の回転操作が可能となったことを手の感覚で把握しやすい。
また、第1把持部700の係合部715aと第2把持部710の係合部715bとが係合した状態で更に押し込んだときに第1凸部320aがタッチパネル260と接触する構成では、押し込むスプリングの数が2倍となり、ユーザは、第1把持部700の回転操作を行うためにさらに大きな力を必要とする。これに対して、係合したときに第1凸部320aがタッチパネル260と接触する構成では、押し込むスプリングの数が変わらず、かつ、2つの係合部715a,715bが互いに面であるため、さらに大きな力を必要とせずに面に沿って第1把持部700の回転操作を行うことができる。
また、別の例について説明する。図8は、本実施形態による操作ノブ230の変形例を示す図である。図8に示す把持部310Cは、ユーザが回転操作および押下操作を行う際に把持するための第1把持部800と、第1把持部800と係合する第2把持部810とから成る。第1把持部800および第2把持部810はそれぞれ、互いに係合するための係合部815a,815bを備える。
また、第1把持部800に第1凸部320aを設けるとともに、第2把持部810に第2凸部320bを設ける。第1把持部800は、第2把持部810と係合可能な位置まで、第2把持部810と独立して押下方向(下方向)に移動することが可能である。また、第1把持部800は、第2把持部810と係合部815aにより係合して第2把持部810と共に下方向に移動することが可能である。第2把持部810は、第1把持部800と係合部815bにより係合して第1把持部800と共に下方向に移動することが可能である。
図8(a)は、操作ノブ230の操作を行っていない場合の状態を示す、操作ノブ230が設置された周辺の拡大図である。図8(a)に示すように、外装部205bには、第2把持部810が第1把持部800と係合部815bにより係合して押下方向に移動するための空間を確保するための凹部830が形成されている。
850a,850bはスプリングであり、一端が第1把持部800の下端部に取り付けられ、他端が凹部830の底面に取り付けられている。スプリング850a,850bは、第1把持部800と凹部830との間で弛緩した状態となっている。860a,860bはスプリングであり、一端が第2把持部810の下端部に取り付けられ、他端が凹部830の底面に取り付けられている。スプリング860a,860bは、第2把持部810と凹部830との間で弛緩した状態となっている。
外装部205bおよび第2把持部810には、ユーザが第1把持部800をつかんだまま回転操作を行ったり押下操作を行ったりした場合、第1凸部320aの先端がタッチパネル260まで到達できるように貫通穴345aが形成されている。具体的には、上下方向を回転軸として第1凸部320aが回転できるように、環状の貫通穴345aが形成されている。
また、外装部205bには、ユーザが第1把持部800をつかんだまま回転操作を行ったり押下操作を行ったりした場合、第2凸部320bの先端がタッチパネル260まで到達できるように貫通穴345bが形成されている。具体的には、上下方向を回転軸として第2凸部320bが回転できるように、環状の貫通穴345bが形成されている。また、第2把持部810には、スプリング850a,850bをそれぞれ通す貫通穴870a,870bが形成されている。
図8(b)は、操作ノブ230を下方向に押し込み第1凸部320aの先端がタッチパネル260に接触した状態を示す、操作ノブ230が設置された周辺の拡大図である。図8(b)に示すように、操作ノブ230の第1把持部800に下方向の荷重がかかることにより、スプリング850a,850bが縮み、第1把持部800は第2把持部810と係合部815aにより係合するまで下方向に移動する。それに伴い、第1凸部320aは、貫通穴345aを下方向に移動してタッチパネル260と接触する。
図8(c)は、操作ノブ230を下方向に押し込み第1凸部320aの先端および第2凸部320bの先端がタッチパネル260に接触した状態を示す、操作ノブ230が設置された周辺の拡大図である。図8(c)に示すように、操作ノブ230の押下操作によって、図8(b)の状態よりも更に大きな下方向の荷重が第1把持部800にかかることにより、スプリング850a,850b,860a,860,360は縮む。これにより、第1把持部800は、第2把持部810と係合部815aにより係合した状態で第2把持部810と共にさらに下方向に移動する。それに伴い、第2凸部320bが貫通穴345bを下方向に移動し、その結果として第1凸部320aおよび第2凸部320bの両方がタッチパネル260と接触する。このとき第1凸部320aは、タッチパネル260から内力を受けて、タッチパネル260と反対側の一部が凹部350の内部に収容される。
なお、第1把持部800の係合部815aと第2把持部810の係合部815bとが係合したときに、第1凸部320aがタッチパネル260と接触する例に限らない。例えば、第1把持部800の係合部815aと第2把持部810の係合部815bとが係合する前に、第1凸部320aがタッチパネル260と接触するようにしても良い。また、第1把持部800の係合部815aと第2把持部810の係合部815bとが係合した状態で更に少し押し込んだときに、第1凸部320aがタッチパネル260と接触するようにしても良い。
しかし、第1把持部800の係合部815aと第2把持部810の係合部815bとが係合したときに、第1凸部320aがタッチパネル260と接触する構成が一番好ましい。この場合、ユーザは、第1把持部800の回転操作を行うことがちょうど可能となる。つまり、第1把持部800の係合部815aと第2把持部810の係合部815bとが係合する前に、第1凸部320aがタッチパネル260と接触する構成より、第1凸部320aおよびタッチパネル260間の接触面積より係合部815aおよび係合部815b間の接触面積が大きいため、ユーザは、第1把持部800の回転操作が可能となったことを手の感覚で把握しやすい。
また、第1把持部800の係合部815aと第2把持部810の係合部815bとが係合した状態で更に押し込んだときに第1凸部320aがタッチパネル260と接触する構成では、押し込むスプリングの数が2倍となり、ユーザは、第1把持部800の回転操作を行うためにさらに大きな力を必要とする。これに対して、係合したときに第1凸部320aがタッチパネル260と接触する構成では、押し込むスプリングの数が変わらず、かつ、2つの係合部815a,815bが互いに面であるため、さらに大きな力を必要とせずに面に沿って第1把持部800の回転操作を行うことができる。
また、図2で説明した構造の変形例として、操作ノブ230の備える第1凸部320aがタッチパネル260と接触していない場合、操作ノブ230が回転することをロックするロック機構を設けるようにしても良い。図9は、本実施形態によるロック機構の例を示す図である。図9(a)は、操作ノブ230の操作を行っていない場合の状態を示す、操作ノブ230が設置された周辺の拡大図である。
図9(a)において、900は把持部であり、ユーザが回転操作および押下操作を行う際に把持するためのものである。905は凸部であり、把持部900の上端部の中央から上方に伸びるように設けられている。910は凸部であり、把持部900の上端部において、凸部905の外周に沿って断続的に(例えば、図9(b)に示すように、45度ごとに)設けられている。凸部910の上下方向の長さは、凸部905の上下方向の長さより短い。
図9(a)に示すように、外装部205bには、把持部900を格納し、把持部900が上下に往復運動するための空間を確保するための閉空間925が形成されている。閉空間925の天井面には、把持部900の凸部905が上方に突き出るための穴が形成されている。また、閉空間925の天井面には、把持部900の凸部910と嵌合するための凹部920が、把持部900の凸部905が上方に突き出るための穴の外周に沿って断続的に設けられている。凸部910と凹部920とが嵌合することにより、操作ノブ230の回転がロックされる。この状態では、ユーザは、操作ノブ230(把持部900の凸部905)をつかんだまま回転操作を行うことができない。
図9(c)は、操作ノブ230を下方向に押し込み第1凸部320aの先端がタッチパネル260に接触した状態を示す、操作ノブ230が設置された周辺の拡大図である。図9(b)に示すように、操作ノブ230の把持部900に下方向の荷重がかかることにより、スプリング340a,340bが縮み、把持部900は下方向に移動する。それに伴い、凸部910と凹部920との嵌合が解除されることにより、操作ノブ230の回転のロックが解除される。この状態において、ユーザは操作ノブ230(把持部900の凸部905)をつかんだまま回転操作を行うことができる。
以上のように、操作ノブ230が回転することをロックするロック機構を設けることにより、機器本体部205の照光部240の点灯状態を見ることなく、操作ノブ230の回転操作を行うことができるか否かの違いを、操作ノブ230を回転させようとしたときの感触で分かるという効果が得られる。
なお、図9(c)に示すように、ユーザが操作ノブ230の回転操作を行うことができる状態において、外装部205bに形成された凹部930からストッパ940が閉空間925内に移動する構造を設けても良い。図示しない制御部は、タッチパネル260から出力された回転位置信号に基づいて、凹部930からストッパ940が閉空間925内に移動するように制御する。また、制御部は、タッチパネル260から出力された押下位置信号に基づいて、ユーザによる操作ノブ230の回転操作が終了したことを検知し、凹部930にストッパ940を収納させるように制御する。所定時間の間、タッチパネル260から出力された回転位置信号の変化がない場合、ユーザによる操作ノブ230の回転操作が終了したことを検知し、凹部930にストッパ940を収納させるように制御しても良い。
以上のように、外装部205bに形成された凹部930からストッパ940が閉空間925内に移動することにより、ストッパ940の下端部の一部が把持部900の上端部の一部と当接し、把持部900の上方への移動が防止される。これにより、ユーザが操作ノブ230の回転操作を行う際、操作ノブ230を下方向に押し込み続ける必要がなくなり、第1凸部320aとタッチパネル260との接触状態を保って操作ノブ230の回転操作を行いやすくすることができる。
また、上記実施形態では、第1凸部320aおよび第2凸部320bが、取付面315において、取付面315の中心点400を通る直線上の位置であって中心点400を基準に互いに同じ方向に設ける例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、取付面315において、取付面315の中心点400から異なる距離の位置となるように任意に(取付面315の中心点400を通る直線上でなくても)第1凸部320aおよび第2凸部320bをそれぞれ設けるようにしても良い。
また、第1凸部320aおよび第2凸部320bを、取付面315において、取付面315の中心点400を通る直線上の位置であって中心点400を基準に互いに反対方向にかつ中心点400から同じ距離の位置に設けるようにしても良い。この場合、操作ノブ230の押下操作により第1凸部320aおよび第2凸部320bの両方がタッチパネル260と接触するとき、図10に示すように、第1凸部320aとタッチパネル260との接触位置1000および第2凸部320bとタッチパネル260との接触位置1020の中間位置1040は、操作ノブ230の回転位置に関係なく、必ず取付面315の中心点400となり、円周上を移動しない。
この場合、タッチパネル260から出力される押下位置信号に基づいて操作ノブ230の押下操作を検出する演算装置510は、取付面315の中心点400を示す信号がタッチパネル260から出力されたことを検出するだけで操作ノブ230の押下操作を検出することができる。それゆえ、操作ノブ230の押下操作を検出するアルゴリズムを簡易に作成することができる。さらに、第1凸部320aおよび第2凸部320bは、同一の軌道1060に沿って動くこととなる。そのため、図2で説明した場合と異なり、第1凸部320aおよび第2凸部320bが回転できるように円状の貫通穴を1つだけ形成すれば良いという効果が得られる。
また、上記実施形態では、第1凸部320aの上下方向の長さが第2凸部320bの上下方向の長さと異なる例について説明したが、第1凸部320aの上下方向の長さが第2凸部320bの上下方向の長さと同じでも良い。さらに、上記実施形態では、第1凸部320aに対してタッチパネル260から内力が加えられたときに第2凸部320bに対する第1凸部320aの相対位置を変えるための可動構造として、凹部350およびスプリング360を設ける例について説明したが、本発明はこれに限定されない。これらの変形例を適用した例について図11を参照しながら説明する。
図11は、本実施形態による操作ノブ230の変形例を示す図である。図11に示す把持部310Dは、ユーザが回転操作および押下操作を行う際に把持するためのものである。把持部310Dの一部が下方に突出している。以下、突出している部分を突出部分380という。この突出部分380の下端面である取付面385aに第1凸部320aを設ける。また、把持部310Dの突出部分380以外の下端面である取付面385bに第2凸部320bを設ける。第1凸部320aの上下方向の長さは、第2凸部320bの上下方向の長さと同じである。
突出部分380は、第1凸部320aに対してタッチパネル260から内力が加えられたときに、第1凸部320aが取り付けられた取付面385aの一部390が当該内力の加わる方向に凹む構造となっている。つまり、突出部分380を弾性のラバー材等で形成して、タッチパネル260からの内力によって突出部分380の取付面385aの一部390が凹む。
図11(a)は、操作ノブ230の操作を行っていない場合の状態を示す、操作ノブ230が設置された周辺の拡大図である。図11(a)に示すように、外装部205bには、把持部310Dが上下に往復動するための空間を確保するための凹部330が形成されている。スプリング340a,340bは、一端が把持部310Dの取付面部385bに取り付けられ、他端が凹部330の底面に取り付けられている。スプリング340a,340bは、把持部310Dと凹部330との間で弛緩した状態となっている。
図11(b)は、操作ノブ230を下方向に押し込み第1凸部320aの先端がタッチパネル260に接触した状態を示す、操作ノブ230が設置された周辺の拡大図である。図11(b)に示すように、把持部310Dに下方向の荷重がかかることにより、スプリング340a,340bが縮み、把持部310Dは下方向に移動する。それに伴い、第1凸部320aおよび第2凸部320bも貫通穴345a,345bをそれぞれ下方向に移動し、その結果として、まずは第1凸部320aのみがタッチパネル260と接触する。
図11(c)は、操作ノブ230を下方向に押し込み第1凸部320aの先端および第2凸部320bの先端がタッチパネル260に接触した状態を示す、操作ノブ230が設置された周辺の拡大図である。図11(c)に示すように、操作ノブ230の押下操作によって、図11(b)の状態よりも更に大きな下方向の荷重が把持部310Dにかかることにより、スプリング340a,340bは更に縮み、把持部310Dはさらに下方向に移動する。それに伴い、第2凸部320bが貫通穴345bを下方向に移動し、その結果として第1凸部320aおよび第2凸部320bの両方がタッチパネル260と接触する。このとき取付面385aの一部390は、タッチパネル260から第1凸部320aを通じて内力を受けて凹み、第1凸部320aがタッチパネル260を破壊しないようにする。
また、上記実施形態では、図2に示したように、第1凸部320aおよび第2凸部320bが棒状である例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1凸部320aおよび第2凸部320bは、取付面315から下方に向かって次第に細くなる形状であっても良い。
また、上記実施形態では、タッチパネル260がアナログ抵抗膜方式である例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、タッチパネル260は、マトリクス方式や静電方式でも良い。この場合、タッチパネル260は、第1凸部320aの先端および第2凸部320bの先端の両方がタッチパネル260と接触しているとき、第1凸部320aの先端とタッチパネル260との接触位置、および、第2凸部320bの先端とタッチパネル260との接触位置をそれぞれ示す2つの信号を出力する。よって、電子機器200内の演算装置510は、当該2つの信号がタッチパネル260から出力された場合、操作ノブ230の押下操作を検出することができる。
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。