以下、本発明のプッシュ入力装置について図面を参照しながら説明する。本発明のプッシュ入力装置は、車両内のインストルメントパネル等に設置された、例えばカーナビゲーション装置や空調装置、運転操作に関係する装置等の操作を行うための入力装置である。本発明のプッシュ入力装置の用途については、これらに限定されるものではなく適宜変更が可能である。尚、本明細書では、特に断りの無い限り、各図面のX1側を右側、X2側を左側、Y1側を奥側、Y2側を手前側、Z1側を上側、Z2側を下側として説明する。
[実施形態]
最初に、図1乃至図8を参照して、本発明の実施形態に係るプッシュ入力装置100の構造について説明する。図1は、プッシュ入力装置100の外観を示す斜視図であり、図2(a)は、プッシュ入力装置100の平面図であり、図2(b)は、プッシュ入力装置100の正面図である。また、図3は操作パネル10及び押圧スイッチ20の拡大模式図であり、図4は、押圧スイッチ20の分解斜視図であり、図5は、図2(a)に示すA−A線から見た押圧スイッチ20の断面図であり、図6は、図2(a)に示すB−B線から見たギャップセンサ40を示す断面図であり、図7は、動作規制部30の平面図であり、図8は、図7に示すC−C線から見た動作規制部30及び支持部45を示す断面図である。
プッシュ入力装置100は、図1、図2(a)及び図2(b)に示すように、操作パネル10と、押圧スイッチ20と、動作規制部30と、ギャップセンサ40と、支持部45と、これらが内部に設けられているケース50と、を備えて構成されている。
操作パネル10は、ケース50の上側に取り付けられており、操作体60による押圧によって押込み動作可能となっている。押圧スイッチ20は、操作パネル10上に設けられており、これも操作体60による押圧によって押込み動作可能となっている。また、操作パネル10の下側には、動作規制部30及び支持部45が、図2(a)及び図2(b)に示すように、可動ホルダ33を介して取り付けられている。可動ホルダ33は、環状に形成されており、操作パネル10の外縁に沿って操作パネル10を支持している。更に、ケース50の中央部には、ギャップセンサ40が、取り付けられている。
操作パネル10は、図1及び図3に示すように、最も上側に透明パネル11を有し、その下側にタッチセンサ12、LCD13、そしてLCDホルダ14を有して構成されている。LCD13は、プッシュ入力装置100が例えばカーナビゲーション装置など画像表示装置用である場合、その表面に地図等を表示するように構成されている。LCDホルダ14は、LCD13を水平に保持している。尚、本実施形態の操作パネル10では、LCD13及びLCDホルダ14を有して構成されているが、操作パネル10が画像表示装置用ではないような場合、LCD13及びLCDホルダ14を有さずに、操作パネル10が透明パネル11とタッチセンサ12のみによって構成されていても良い。
透明パネル11は、その上面が入力操作面11aとなっており、入力操作面11aには複数の入力操作領域11bが設けられている。プッシュ入力装置100の操作者は、入力操作領域11bに操作体60(操作者の手指)を置き、置いた指で入力操作領域11bを押圧した時にのみ、所定の入力操作を行うことが可能とされる。尚、操作体60としては、操作者の手指だけでなく、タッチペンや導電性手袋等であっても良い。
複数の入力操作領域11bは、図2(a)に示すように、互いに所定の距離を隔てて設けられており、それぞれが独立した操作を行えるように設定されている。尚、入力操作領域11bは、本実施形態では平面視円形状をしているが、その形状は平面視矩形形状等であっても良い。
入力操作領域11bは、平坦な面を持つ入力操作面11aの表面に、例えば「+」、「−」、「>」、「<」、「MODE」、等の各種の文字や記号からなるマークが印字又は刻印、LCDによって画像表示等されている。各マークがしるされた入力操作領域11bを押下(押圧操作)することにより上記文字や記号等に対応する情報を入力することができるようになっている。尚、マークを印字又は刻印する面は入力操作面11aに限らず、透明パネル11の裏面に印字又は刻印しても良い。
操作パネル10内には、図3に示すように、入力操作領域11bの下に静電容量式のタッチセンサ12が設けられている。従って、操作体60とタッチセンサ12との間には入力操作領域11bを介して、静電容量C1が形成される。そして、操作体60が入力操作領域11bに接近又は接触したときに静電容量C1が変化し、その静電容量C1の変化を検知して、操作体60の接近又は接触を検出する。
図2(a)に示すように、入力操作面11aのX−Y平面上には、複数の入力操作領域11bが形成されているが、上述した静電容量C1の変化がX−Y平面上のどの位置で起こったかを検知することによって、入力操作面11a上の複数の入力操作領域11bのうちのどの入力操作領域11bが操作されたかを検知することができる。そのため、入力操作領域ごとに設定された機能からその操作の情報や操作者が実行させたい機能が何であるかを確定させることができる。
入力操作面11aの表面には、入力操作領域11b以外の場所に、図1、図2(a)及び図2(b)に示すように、複数の押圧スイッチ20が設けられている。押圧スイッチ20は、機械的な接点を有するメカニカルスイッチであっても良いが、本実施形態では、押圧スイッチ20は、静電容量の変化を検知して、押圧されたことを検出する形式のスイッチである。
押圧スイッチ20は、図4及び図5に示すように、トップキャップ27と、スライド部材25と、スイッチケース23と、可動部材21と、を有して構成されている。スイッチケース23は、直方体形状をしており、スイッチケース23内には、その最も下側に可動部材21が位置し、その上にスライド部材25が載置され、スライド部材25の上にトップキャップ27が取り付けられている。押圧スイッチ20は、図5に示すように、操作パネル10の透明パネル11上に載置される。
トップキャップ27は、図4及び図5に示すように、トップ面27aと、トップ面27aの下面から延伸して形成された4本の腕部27bと、腕部27bの下端に設けられたツメ部27cとから成り、トップ面27aの下面と4本の腕部27bと4本のツメ部27cとによってスライド部材25を抱えるように保持している。
スライド部材25は、本体部25aと本体部25aの4箇所に設けられたスライド部25bとで形成されている。スイッチケース23内の4箇所にはスライドガイド部23aが設けられており、スライドガイド部23aは、スライド部材25の4箇所のスライド部25bをそれぞれ挟むようにガイドしている。
可動部材21は、ラバー等の弾性を有する材料で形成されており、図5に示すように、下側が広いドーム形状となったラバードーム21aと、ラバードーム21aの内側に形成された胴体部21bとから成る。胴体部21bの下面には、カーボン又は銀等から成る導電性を有する導電部21cが設けられており、導電部21cは所定の距離を隔てて透明パネル11の表面に対向している。可動部材21のラバードーム21aは、押圧スイッチ20に弾性を与える弾性部材となる。弾性部材としてのラバードーム21aのバネ定数は、例えば、バネ定数K0に設定されており、バネ定数K0は、押圧スイッチ20が単体で操作体60によって押圧操作された時、操作体60に良好な操作感触が得られるように設定されている。
可動部材21の導電部21cの下には、図5に示すように、タッチセンサ12が設けられている。従って、導電部21cとタッチセンサ12との間には透明パネル11を介して静電容量C2が形成される。
図3に示すように、操作体60が押圧スイッチ20を押圧操作した場合、即ち、図5に示す押圧スイッチ20のトップキャップ27が押圧操作された場合、スライド部材25が可動部材21のラバードーム21aを上方から下方へ押圧する。その結果、可動部材21の導電部21cとタッチセンサ12との間の距離が変化し、その距離の変化に対応して可動部材21の導電部21cとタッチセンサ12との間の静電容量C2が変化する。静電容量C2が変化し、静電容量C2が所定値以上になった場合、押圧スイッチ20が押圧されたことが検出される。
押圧スイッチ20では、操作体60が押圧スイッチ20を押圧操作した場合以外、操作体60が押圧スイッチ20に接近又は接触した場合でも、静電容量C2が変化し、その静電容量C2の変化を検知し、その変化の大きさによって操作体60の押圧スイッチ20への接近又は接触を検出することができる。図2(a)に示すように、入力操作面11aのX−Y平面上には、複数の押圧スイッチ20が載置されているが、上述した静電容量C2の変化がX−Y平面上のどの位置で起こったかを検知することによって、入力操作面11a上の複数の押圧スイッチ20のうちのどの押圧スイッチ20が操作されたかを検知することができる。そのため、その操作の情報が何であるかを確定させることができる。
押圧スイッチ20は、透明パネル11上に複数のスクリューネジによって取り付けられても良いし、接着剤、熱カシメ等で透明パネル11上に取り付けられても良い。
前述したように、一般的に、車両内におけるカーナビゲーション装置や運転操作に関係する装置等の操作を行うための入力装置の場合、運転操作時の無意識な動作によって操作パネルの直上を運転者の身体の一部が通過、又は接触することがあり得るため、操作パネルを誤操作する可能性がある。また、車両内における入力装置においては、安全上の理由から操作パネルを見ずに操作を行うことがある。
そのため、プッシュ入力装置100においては、操作パネル10に操作体60が接触しただけでは、操作パネル10が操作されたとは判断せず、操作体60による押圧によって操作パネル10を押込み動作させた場合に、操作パネル10が操作されたと判断するように構成されている。このように構成するために、プッシュ入力装置100においては、ケース50内にギャップセンサ40を設けた。
図2(a)に示すように、ギャップセンサ40は、平面視ケース50のほぼ中央に設けられている。ギャップセンサ40は、図6に示すように、静電容量基板43と、静電容量基板43の上方に、静電容量基板43の上面に対して平行に設けられたプランジャー41と、で構成されている。尚、ギャップセンサ40の取り付け位置は、ケース50の中央に限られるわけではなく、操作パネル10の下側であればどの場所であっても良い。
静電容量基板43は、ケース50内において、動かないように固定されている。静電容量基板43の上面には、導電性の静電電極43a及びグランド電極43bが形成されている。また、プランジャー41は、操作パネル10の下側に取り付けられており、プランジャー41の下面には導電性のプランジャー導電部41aが形成されている。プランジャー導電部41aと静電電極43a及びプランジャー導電部41aとグランド電極43bは、それぞれギャップG1を隔てて対向している。そして、プランジャー導電部41aと静電電極43aとの間には、ギャップG1の大きさに従って静電容量C0が形成される。
操作パネル10が下方に押圧操作されると、それに従って、プランジャー41のプランジャー導電部41aも水平を保ちながら、静電電極43aの形成された静電容量基板43に接近し、ギャップG1が狭まることになる。ギャップG1が所定の値以下になり、静電容量C0が所定の容量値以上になった場合、ギャップセンサ40は、操作パネル10の押圧操作を検出する。操作パネル10上の複数の入力操作領域11bのうちのどの入力操作領域11bが押圧操作されたかは、前述したタッチセンサ12によって既に検知されている。
このように、ギャップセンサ40を設けたことによって、操作パネル10の押圧操作を検出することができる。尚、本実施形態では、操作パネル10の押圧操作を検出するためにギャップセンサ40を用いたが、ギャップセンサ40に代えて圧力検知型の感圧方式のセンサや光学式の測距センサを用いても良い。
操作パネル10は、前述したように、可動ホルダ33に保持されている。そして、操作パネル10が下方に押圧操作されると可動ホルダ33も同時に下方に移動する。図7に示すように、可動ホルダ33の外形は、矩形状をした操作パネル10に対応した形状をしていると共に環状になっており、その内側は開口部33aになっている。
図8に示すように、可動ホルダ33は、その全体を支持部45に支えられている。支持部45は、矩形状をした操作パネル10の、どの部分の入力操作領域11bが押圧されても、可動ホルダ33が傾斜せずに水平を保ったまま下方に移動するように構成されている。
支持部45内には、ボトムケース45bがケース50に固定される形で設けられている。支持部45内のボトムケース45b上の複数個所(本実施形態では2箇所)には、リーフスプリング等の支持部弾性部材45aが設けられており、操作体60によって操作パネル10の入力操作領域11bが押圧操作された時、その押圧力に応じた反力が支持部弾性部材45aにより操作体60に与えられる。ボトムケース45b上の2つの支持部弾性部材45aのバネ定数は、2つ合わせてバネ定数K1に設定されており、バネ定数K1は、操作パネル10が押圧操作された時、操作体60に良好な操作感触が得られるように設定されている。
ケース50内のボトムケース45bの下側には、メイン基板47が備えられている。メイン基板47には、プッシュ入力装置100内の各ブロックを稼働させるための電子回路(図示せず)が搭載されている。
押圧スイッチ20では、それ単体で、操作体60によって押圧スイッチ20のトップキャップ27が押圧操作された時、その押圧力に応じた反力が、可動部材21内の弾性部材であるラバードーム21aによって操作体60に与えられる。従って、操作パネル10上に設けられた押圧スイッチ20は、可動部材21内の弾性部材であるラバードーム21aと支持部45内の支持部弾性部材45aが直列に接続されたのと同等の状態で反力が作用することになる。このような場合、押圧スイッチ20を押圧した操作体60には、押圧スイッチ20単体で押圧操作された場合の反力よりも小さな反力が与えられることになる。
一般的に、車両内のインストルメントパネル等においては、プッシュ入力装置100のような入力装置以外の装置、例えばエアコン等の操作用にメカニカルスイッチ等の押圧スイッチが設けられている。そのような場合、操作パネル10上に設けられた押圧スイッチ20とプッシュ入力装置100以外の場所に設けられた外部押圧スイッチとによって、押圧操作された場合の反力が異なってしまうことになる。
そのため、プッシュ入力装置100では、操作パネル10上に設けられた押圧スイッチ20とプッシュ入力装置100以外に設けられた外部押圧スイッチとの、押圧操作された場合の反力をほぼ同一になるようにした。そのために、操作パネル10と支持部45との間に動作規制部30を設けた。
動作規制部30は、磁気アクチュエータ31によって形成されている。磁気アクチュエータ31は、図7及び図8に示すように、固定ヨーク31aと、可動ヨーク31bと、コイル31dと、によって構成されている。
可動ヨーク31bは、内側に開口を有する平面視環状に形成されていると共に、当該開口の中央部のY1−Y2方向に形成された橋梁部31cを有しており、可動ホルダ33の開口部33a内に収納されている。可動ヨーク31bは、その環状の部分が可動ホルダ33に取り付けられ、連結されている。また、固定ヨーク31aも、内側に開口を有する平面視環状に形成されていて、複数の取付けスクリューネジ(図示せず)によってケース50に取り付けられ、連結されている。可動ヨーク31bは、固定ヨーク31aより下側に取り付けられており、平面視では、図7に示すように、可動ヨーク31bの縁部が固定ヨーク31aの縁部よりはみ出して見えている。コイル31dも平面視環状に形成されており、固定ヨーク31a内に取り付けられている。
図7に示すように、可動ヨーク31bの橋梁部31cの中央には、調整スクリュー35が緩衝部材37を介して取り付けられている。調整スクリュー35は、図8に示すように、その下方向に延伸して形成された突出部35aを有している。ボトムケース45bの中央には窪み部45cが設けられていて、調整スクリュー35の突出部35aの先端がボトムケース45bの窪み部45c内に位置するように設定されている。調整スクリュー35の突出部35aの先端は、操作パネル10又は押圧スイッチ20が押圧操作された場合、窪み部45c内を下方向に移動可能となっている。
磁気アクチュエータ31では、コイル31dに流す電流の大きさを大きくすると、固定ヨーク31aと可動ヨーク31bとの間の磁気吸引力を大きくすることができ、コイル31dに流す電流の大きさを小さくすると、固定ヨーク31aと可動ヨーク31b間の磁気吸引力を小さくすることができる。そのため、ケース50に固定された固定ヨーク31aに対して、磁気吸引力を小さくして可動ヨーク31b及び可動ホルダ33を下方向に移動可能としたり、磁気吸引力を大きくして可動ヨーク31b及び可動ホルダ33を移動させないようにしたりすることが可能となる。
また、前述したように、可動ヨーク31bは可動ホルダ33に固定されており、操作パネル10は可動ホルダ33に支持されている。それと共に、可動ホルダ33は、内部に支持部弾性部材45aを有した支持部45に支持されている。そのため、磁気アクチュエータ31は、支持部45内に設置されている支持部弾性部材45aの、操作パネル10への作用力を変えることができる。
従って、操作パネル10上の押圧スイッチ20が押圧されて押込み動作する際に、動作規制部30が操作パネル10の押込み動作を規制することができる。
次に、押圧スイッチ20が押圧されて押込み動作する際に動作規制部30が操作パネル10の押込み動作を規制することを示すため、図8乃至図11を参照して、本発明の実施形態に係るプッシュ入力装置100において、操作パネル10を押圧したときに操作体60に与えられる反力F1の大きさ、及び押圧スイッチ20を押圧したときに操作体60に与えられる反力F2の大きさについて説明する。
図9(a)は、プッシュ入力装置100以外の場所に設置された外部押圧スイッチ70を押圧したときの操作体60に与えられる反力F0の大きさを示す模式図であり、図9(b)は、操作パネル10上の押圧スイッチ20を押圧したときの操作体60に与えられる反力F2の大きさを示す模式図であり、図10は、操作パネル10を押圧したときの操作体60に与えられる反力F1の大きさを示す模式図である。また、図11は、押圧スイッチ20を押圧したときに操作体に与えられる反力F2の大きさと、操作パネル10を押圧したときに操作体60に与えられる反力F1の大きさとを同じにした場合を示し、図11(a)は、その場合の操作パネル10を押圧したときの操作体60に与えられる反力F1の大きさを示す模式図であり、図11(b)は、押圧スイッチ20を押圧したときの操作体60に与えられる反力F2の大きさを示す模式図である。
尚、図9及び図10においては、図9(b)における操作パネル10上の押圧スイッチ20として、外部押圧スイッチ70とバネ定数が同じものを使用しているものとする。また、この時の押圧スイッチ20及び外部押圧スイッチ70内のラバードーム21aのバネ定数は、バネ定数K0であり、バネ定数K0は、前述したように、押圧スイッチ20又は外部押圧スイッチ70単体を操作体60が押圧したとき、操作体60に良好な操作感触が得られるように設定されている。同じく、支持部45内の支持部弾性部材45aのバネ定数K1は、操作パネル10を操作体60が押圧したとき、操作体60に良好な操作感触が得られるように設定されている。尚、操作パネル10上の押圧スイッチ20を操作体60が押圧したときのバネ定数を、バネ定数K2とする。
図9(a)に示すように、プッシュ入力装置100以外の場所に設置された外部押圧スイッチ70を押圧操作したとき、操作体60にはバネ定数K0に対抗した反力F0が与えられる。従って、外部押圧スイッチ70を押圧操作したときには、良好な操作感触が得られる。
また、図10に示すように、操作パネル10の入力操作領域11bを操作体60によって押圧操作したときには、操作パネル10及び可動ホルダ33を介して、動作規制部30及び支持部45にその押圧力が伝わる。このとき、図8に示した、磁気アクチュエータ31への通電はオフとされている。即ち、磁気アクチュエータ31内のコイル31dには電流を流していない。磁気アクチュエータ31への通電がオフであるため、支持部45内の支持部弾性部材45aのバネ定数K1は、そのまま作用する。即ち、操作体60による押圧によって操作パネル10が押込み動作を行う。従って、操作パネル10を押圧操作したときには、操作体60にバネ定数K1に対抗した反力F1が与えられ、良好な操作感触が得られる。
一方、図9(b)に示すように、操作パネル10上の押圧スイッチ20を押圧操作したとき、操作体60には反力F2が与えられるが、操作体60に与えられる反力F2には、押圧スイッチ20内のラバードーム21aのバネ定数K0以外に、押圧スイッチ20の下方にある支持部45のバネ定数K1も関係してくる。
図9(b)に示すように、操作パネル10上の押圧スイッチ20を押圧操作したときのバネ定数K2は、次の式で表すことができる。式:1/K2=1/K0+1/K1。従って、動作規制部30内の磁気アクチュエータ31への通電がオフであって、支持部45のバネ定数K1がそのまま作用した場合、バネ定数K2は、バネ定数K0より小さくなる。例えば、分かり易くするためにK1=K0とすれば、K2は、K2=K0/2となる。
バネ定数K2がバネ定数K0より小さくなった場合、反力F2が弱くなり、外部押圧スイッチ70と同様の良好な操作感触が得られない。そこで、プッシュ入力装置100では、押圧スイッチ20が支持部45のバネ定数K1の影響を受けないようにした。具体的には、動作規制部30内の磁気アクチュエータ31への通電をオンとし、コイル31dに大きな電流を流すようにした。
前述したように、磁気アクチュエータ31内のコイル31dに流す電流を大きくすることによって、図8に示した固定ヨーク31aと可動ヨーク31bとの間の磁気吸引力を大きくすることができる。そのため、固定ヨーク31aと可動ヨーク31bとが吸引し合い、その結果、可動ヨーク31bに連結された可動ホルダ33が、固定ヨーク31aを連結しているケース50に一時的に固定されることになる。その結果、バネ定数K1を非常に大きくしたことと同等の効果が得られる。従って、押圧スイッチ20が支持部45のバネ定数K1の影響を受けないようにすることができる。
バネ定数K1を非常に大きく(K1>>K0)した場合、式1/K2=1/K0+1/K1における1/K1をほぼ0とみなすことができる。従って、バネ定数K2を、K2≒K0とすることができる。その結果、操作パネル10上の押圧スイッチ20を押圧操作したときの操作体60に与えられる反力F2は、押圧スイッチ20単体のときに押圧操作したときの操作体60に与えられる反力F0とほぼ同じにすることができ、良好な操作感触が得られる。
ところで、操作パネル10を押圧したときに動作規制部30内の磁気アクチュエータ31への通電をオフとし、操作パネル10上の押圧スイッチ20を押圧したときに磁気アクチュエータ31への通電をオンとした場合、操作体60に与えられる反力F1の大きさと、操作パネル10上の押圧スイッチ20を押圧したときの操作体60に与えられる反力F2の大きさとが異なることがある。しかし、同じ操作パネル10上で押圧操作するため、反力F1の大きさと反力F2の大きさとが同じであることが望ましい。
図11(a)に示すように、操作パネル10を押圧したときに、図8に示した磁気アクチュエータ31内のコイル31dにある程度の電流を流すと、固定ヨーク31aと可動ヨーク31bとの間の磁気吸引力を調整することができる。そのため、操作パネル10を押圧したときの押圧力の支持部45への伝わり方も調整することができる。その結果として、支持部45のバネ定数K1の大きさを変えることと同じことになる。この時の磁気アクチュエータ31と支持部45とによるバネ定数をK21とする。
このことは、図11(b)に示すように、操作パネル10上の押圧スイッチ20を押圧したときも同様であり、このときの磁気アクチュエータ31内のコイル31dに電流を可変することにより、固定ヨーク31aと可動ヨーク31bとの間の磁気吸引力を調整することができ、操作パネル10を押圧したときの押圧力の支持部45への伝わり方も調整することができる。この時の磁気アクチュエータ31と支持部45とによるバネ定数をK22とする。
また、操作パネル10上の押圧スイッチ20を押圧したとき操作体60に与えられる反力F2の大きさは、当該操作パネル10以外の場所に設けられた外部押圧スイッチ70を押圧したとき操作体60に与えられる反力の大きさと同一にする必要があるが、当該押圧スイッチ20単体のバネ定数と、外部押圧スイッチ70単体のバネ定数K0とを、必ずしも同一にする必要はなく、操作パネル10上の押圧スイッチ20と外部押圧スイッチ70とが、それぞれ異なるバネ定数を有するようにしても良い。
即ち、操作パネル10上の押圧スイッチ20を押圧したとき、押圧スイッチ20単体のバネ定数の大きさと操作パネル10を押圧したときのバネ定数の大きさとを合成した場合のバネ定数の大きさが、外部押圧スイッチ70のバネ定数K0の大きさと同じになるように、押圧スイッチ20単体のバネ定数の大きさを設定してやれば良い。この場合の押圧スイッチ20単体のバネ定数をK20とする。
ここで、操作パネル10上の押圧スイッチ20を押圧したときのバネ定数、即ち、押圧スイッチ20単体のバネ定数K20とこの時の操作パネル10を押圧したときのバネ定数K22とを合成したバネ定数をK23とする。
即ち、操作パネル10を押圧したときに操作体60に与えられる反力F1の大きさと、押圧スイッチ20を押圧したときに操作体60に与えられる反力F2の大きさとを同じにするためには、磁気アクチュエータ31内のコイル31dに流す電流を可変することによって、バネ定数K21とバネ定数K23とを同じにすれば良い。
1/K23=1/K20+1/K22であるので、図11(b)に示すように、例えば、押圧スイッチ20単体を押圧したときのバネ定数K20を、K20=2*K0に設定し、バネ定数K22も、K22=2*K0に設定すると、バネ定数K23は、1/K23=2/2*K0、即ちK23=K0となる。また、操作パネル10を押圧したときのバネ定数K21は、図11(a)に示すように、磁気アクチュエータ31内のコイル31dに流す電流を可変することによって、K21=K0に設定することができる。その結果、K21=K23とすることができる。
このように、押圧スイッチ20単体のバネ定数K20と、磁気アクチュエータ31内のコイル31dに流す電流を可変して、バネ定数K21とバネ定数K22とを適切に設定することによって、操作パネル10を押圧したときに操作体60に与えられる反力F1の大きさと、押圧スイッチ20を押圧したときに操作体60に与えられる反力F2の大きさとを同じにすることができる。
ところで、操作パネル10又は押圧スイッチ20が押圧されて押込み動作する際の、動作規制部30による操作パネル10の押込み動作の規制時には、前述したように、磁気アクチュエータ31内のコイル31dに電流を流す必要がある。しかし、そのために常時電流を流しておくようにすると、電流を流すための電源、即ち車載バッテリーを浪費してしまうことになる。そこで、プッシュ入力装置100では、操作パネル10や押圧スイッチ20を押圧する前の予備操作を検出したときに、操作パネル10の動作の規制を開始するようにした。
図3に示したように、操作パネル10内の、複数の入力操作領域11bの下側及び複数の押圧スイッチ20の下側には、透明パネル11を介して、それぞれにタッチセンサ12が設けられている。前述したように、入力操作領域11b又は押圧スイッチ20が押圧操作された場合以外の、入力操作領域11b又は押圧スイッチ20に操作者の指等の操作体60が接近した場合でも、当該操作体60の接近をそれぞれのタッチセンサ12は検出することができる。
従って、操作パネル10や押圧スイッチ20を押圧する前に操作体60を入力操作領域11b又は押圧スイッチ20に接近させる操作、即ち押圧操作のための予備操作を、タッチセンサ12によって、それぞれ非接触にて検出することができる。従って、操作パネル10や押圧スイッチ20を押圧操作する直前に予備操作を検出することができる。そのため、磁気アクチュエータ31内のコイル31dに常時電流を流しておく必要がない。
本実施形態では、操作パネル10や押圧スイッチ20を押圧する前の予備操作を、タッチセンサ12によって検出するようにしたが、この予備操作をカメラによる視線検出、ジェスチャー検出、又は3Dモーションセンサ等を使用して検出するようにしても良い。
以下、本実施形態としたことによる効果について説明する。
プッシュ入力装置100は、押圧スイッチ20の押込み動作時に、動作規制部30によって操作パネル10の押込み動作を規制させるため、操作パネル10の上に設けられた押圧スイッチ20の操作感触と、当該操作パネル10以外の場所に設けられた外部押圧スイッチ70の操作感触と、を同等にすることが容易にできる。
また、押圧スイッチ20が押圧されたことをタッチセンサ12の利用によって検知することで、押圧スイッチ20を簡単な構造にすることができ、小型化することができる。その結果、操作パネル10内にLCD13があるとき、LCD13の画像表示領域を広くすることができる。
また、動作規制部30を構成する磁気アクチュエータ31に、常時通電しておく必要がないため、電流消費を抑えることができる。
また、予備操作がタッチセンサ12で非接触にて検出されるので、速やかに磁気アクチュエータ31の通電を開始し、操作体60が押圧スイッチ20を押圧する前に操作パネル10の押込み動作を規制することができる。
また、操作パネル10の上に設けられた押圧スイッチ20を押圧したときの操作感触と操作パネル10を押圧したときの操作感触とを同等にすることが容易にできる。
以上説明したように、本発明のプッシュ入力装置は、押圧スイッチの押込み動作時に動作規制部によって操作パネルの押込み動作を規制させるため、操作パネルの上に設けられた押圧スイッチの操作感触と当該操作パネル以外の場所に設けられた押圧スイッチの操作感触とを同等にすることが容易にできる。
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施することが可能である。