JP2012100627A - ヘム鉄含有食品素材およびその製造方法 - Google Patents

ヘム鉄含有食品素材およびその製造方法 Download PDF

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健一 田仲
Osamu Igarashi
脩 五十嵐
Nobuo Kusamoto
伸夫 草本
Kazutoshi Amano
和俊 天野
Hideki Nakada
英樹 中田
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Abstract

【課題】色や臭いの調整も容易な高濃度のヘム鉄含有食品素材を提供すると共に、簡易かつ効率的に高濃度のヘム鉄を含有する食品素材を製造する方法を提供すること。
【解決手段】本発明のヘム鉄含有食品素材は、魚類の乾燥肉からなるヘム鉄含有食品素材であって、該ヘム鉄含有食品素材100g中のヘム鉄含有量が、金属鉄換算で、30mg/100g以上であることを特徴とするものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、微粒子状のヘム鉄含有食品素材およびその製造方法に関する。
動物の血液中に含まれるヘモグロビンのヘム部を濃縮して得られたいわゆる「ヘム鉄」は、体内での消化吸収に優れるので鉄補給用の補助食品として有用である。一方、ヘム鉄は、水に溶解しないため必ずしも濃縮が容易ではなく、これまで種々の製法が提案されている。例えば、溶血したヘモグロビンをpH10以上、または3以下に調整しながら、70℃以上の温度にて少なくとも10分間以上保持し、その後使用するプロテアーゼの最適なpHおよび温度で酵素分解し、酵素を失活させ、分解液のpHを5〜6に調整することにより得られる等電点沈澱物をヘム鉄として回収する方法が提案されている(特許文献1参照)。また、魚節を粉末状とし、pHを1程度の強酸性にした水溶液でヘム鉄を可溶化して抽出し、抽出液をアルカリ性にしてヘム鉄を沈殿させ回収する方法が提案されている(特許文献2参照)。
特開平5−244899号公報 特開2004−180602号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法は、pHの調整や、酵素を使うなど作業が煩雑であり、得られるヘム鉄の収率も高いものではなく、さらに、鉄自体の色(黒色)や血生臭さを除去(調整)するのが困難であるため、食品への応用に制限があった。また、特許文献2に記載の方法も、pHの調整を行ってヘム鉄の可溶化および再沈殿を行うものであり、効率的な方法とは言えない。
本発明の目的は、色や臭いの問題もない高濃度のヘム鉄含有食品素材を提供すると共に、簡易かつ効率的に高濃度のヘム鉄を含有する食品素材を製造する方法を提供することにある。
従来、魚節から熱水抽出などにより出汁をとった後の抽出残は腐敗しやすいために、肥料として利用したり、産業廃棄物として廃棄したりしていた。また、特開2006−94756号公報または特開2004−180602号公報には、前記抽出残の利用方法として、ヒイロタケ産生酵素にて酵素分解し、ペプチドなどを分離・回収する方法が記載されているが、このような方法により、前記抽出残から、ペプチドなどを分離した後の分解残も、産業廃棄物として廃棄されているのが現状である。このように、上記の出汁の抽出残やペプチド分解残を、食品素材として利用することは考えられていなかった。これに対し、本発明者らは、このような従来の技術常識にとらわれず、前記分解残を調査したところ、驚くべきことに、前記分解残は、高濃度のヘム鉄を含有しており、食品としての色調および加工性の点でも好ましいものであることに加え、動物などの血液を原料としていないために血生臭さもなく、臭気の点でも好ましいものであることを見出した。本発明は、このような知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明の第1のヘム鉄含有食品素材は、魚類の乾燥肉からなるヘム鉄含有食品素材であって、該ヘム鉄含有食品素材100g中のヘム鉄含有量が、金属鉄換算で、30mg/100g以上であることを特徴とするものである。
本発明の第2のヘム鉄含有食品素材は、魚類の乾燥肉からなるヘム鉄含有食品素材であって、該ヘム鉄含有食品素材は、前記乾燥肉、或いは、前記乾燥肉を流体抽出して得られた抽出残を酵素分解した後の分解残からなるものであり、該ヘム鉄含有食品素材100g中のヘム鉄含有量が、金属鉄換算で、30mg以上であることを特徴とするものである。
本発明の第2のヘム鉄含有食品素材においては、前記ヘム鉄含有食品素材が前記抽出残を酵素分解した後の分解残からなることが好ましい。
本発明の第2のヘム鉄含有食品素材においては、前記分解残を溶剤にて洗浄することが好ましい。ここで、前記溶剤がエチルアルコールであることが好ましい。
本発明の第1および第2のヘム鉄含有食品素材においては、該ヘム鉄含有食品素材の平均粒子径が1μm以上1000μm以下の範囲であることが好ましい。
本発明の第1および第2のヘム鉄含有食品素材においては、前記乾燥肉が魚節であることが好ましい。
本発明のヘム鉄含有食品素材の製造方法は、魚類の乾燥肉、或いは、前記乾燥肉を流体抽出して得られた抽出残を酵素分解して分解残を得る分解残製造工程と、前記乾燥肉、前記抽出残および前記分解残の少なくともいずれかを、その平均粒子径が1μm以上1000μm以下の範囲となるように粉砕する粉砕工程と、を備えることを特徴とする方法である。
本発明のヘム鉄含有食品素材の製造方法においては、前記分解残製造工程において、前記乾燥肉を流体抽出して得られた抽出残を酵素分解して分解残を得ることが好ましい。
本発明のヘム鉄含有食品素材の製造方法においては、前記粉砕工程において、前記乾燥肉、前記抽出残および前記分解残のうちの少なくとも前記分解残を、平均粒子径が1μm以上1000μm以下の範囲となるように粉砕することが好ましい。
本発明の他のヘム鉄含有食品素材の製造方法は、魚類の乾燥肉、或いは、前記乾燥肉を流体抽出して得られた抽出残を酵素分解してなる分解残を粉砕してヘム鉄含有食品素材を得るヘム鉄含有食品素材の製造方法であって、前記分解残を、平均粒子径が1μm以上1000μm以下の範囲となるように粉砕することを特徴とする方法である。
本発明のヘム鉄含有食品素材の製造方法においては、前記分解残を溶剤にて洗浄する洗浄工程をさらに備えることが好ましい。ここで、前記溶剤がエチルアルコールであることが好ましい。
本発明のヘム鉄含有食品素材の製造方法においては、前記乾燥肉が魚節であることが好ましい。
本発明のヘム鉄含有食品素材によれば、そのまま高濃度のヘム鉄を摂取できる食品にできるだけでなく、微粒子状とする場合には各種の食品などへの添加用の素材としても好適に使用できる。また、本発明のヘム鉄含有食品素材の製造方法によれば、簡易かつ効率的に、色や臭いの問題もない高濃度のヘム鉄を含有する食品素材を製造することができる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
先ず、本発明のヘム鉄含有食品素材について説明する。すなわち、本発明の第1のヘム鉄含有食品素材は、魚類の乾燥肉からなるヘム鉄含有食品素材であって、該ヘム鉄含有食品素材100g中のヘム鉄含有量が、金属鉄換算で、30mg/100g以上であることを特徴とするものである。
また、本発明の第2のヘム鉄含有食品素材は、魚類の乾燥肉からなるヘム鉄含有食品素材であって、該ヘム鉄含有食品素材は、前記乾燥肉、或いは、前記乾燥肉を流体抽出して得られた抽出残を酵素分解した後の分解残からなるものであり、該ヘム鉄含有食品素材100g中のヘム鉄含有量が、金属鉄換算で、30mg以上であることを特徴とするものである。
本発明のヘム鉄含有食品素材中のヘム鉄含有量は、金属鉄換算で、30mg/100g以上であることが必要であるが、40mg/100g以上であることがより好ましい。なお、このようなヘム鉄含有量は、前記ヘム鉄含有食品素材中の水分量を0質量%に換算して求めたものである。
本発明のヘム鉄含有食品素材の平均粒子径は、1μm以上1000μm以下の範囲であることが好ましい。平均粒子径が1000μmを超えると、得られる食品素材の色調および加工性や食感が悪くなるおそれがある。他方、平均粒子径を1μm未満とすることは困難であり、製造コストが高くなるおそれがある。また、本発明のヘム鉄含有食品素材の平均粒子径は、食品素材としてのハンドリング性の観点から、10μm以上500μm以下の範囲であることが好ましく、20μm以上300μm以下の範囲であることが特に好ましい。
本発明において平均粒子径は、50%質量粒子径のことをいう。そして、50%質量粒子径とは、測定対象の粉体の集団の全質量を100%として累積カーブを求めたとき、その累積カーブの質量の値が50%となる点の粒子径のことをいう。このような平均粒子径は、光散乱法により測定することができる。
また、本発明のヘム鉄含有食品素材中の水分量(質量基準)は、ヘム鉄含有食品素材を腐敗しにくくするという観点から、10質量%以下であることが好ましく、7質量%以下であることがより好ましい。
本発明で用いる魚類の乾燥肉としては、魚類を乾燥させたものであれば特に限定されないが、得られる食品素材のヘム鉄含有量が高いという観点から、魚節を用いることが好ましい。また、前記魚類としては、例えば、鰹、鯖、秋刀魚、鰯、鰤などの青魚が挙げられる。これらの中でも、入手しやすく、また得られる食品素材のヘム鉄含有量を高くできるという観点から、鰹、鯖、鰯が好ましく、鰹、鯖がより好ましい。これらの魚類の乾燥肉は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明における酵素分解で用いるプロテアーゼは特に限定されないが、たんぱく質の分解のしやすさの観点から、エンド型プロテアーゼを用いることが好ましく、酸性のエンド型プロテアーゼを用いることがより好ましい。酸性のエンド型プロテアーゼとしては、例えば、エイチビィアイ社製の「オリエンターゼAY」、天野エンザイム社製の「ニューラーゼF3G」が挙げられる。
本発明においては、前記乾燥肉、或いは、前記乾燥肉を流体抽出して得られた抽出残を酵素分解するが、前記抽出残を酵素分解することが好ましい。このような場合には、得られるヘム鉄含有食品素材中のヘム鉄含有量が高くなる傾向にある。
本発明においては、前記分解残を溶剤にて洗浄することが好ましい。このように分解残を溶剤にて洗浄することにより、得られる食品素材の色や臭いをさらに除去することができる。このような洗浄で用いる溶剤としては、例えば、水、有機溶媒が挙げられる。有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類;アセトン、エチルメチルケトンなどのケトン類;ジメチルエーテル、ジエチルエーテルなどのエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類;ヘキサンなどの炭化水素類が挙げられる。これらの溶剤の中でも、得られる食品素材の安全性の観点から、水、エチルアルコールなどが好ましい。また、得られる食品素材における色や臭いの除去の観点から、エチルアルコールが特に好ましい。また、これらの溶剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
次に、本発明のヘム鉄含有食品素材の製造方法について説明する。
すなわち、本発明のヘム鉄含有食品素材の製造方法は、魚類の乾燥肉、或いは、前記乾燥肉を流体抽出して得られた抽出残を酵素分解して分解残を得る分解残製造工程と、前記乾燥肉、前記抽出残および前記分解残の少なくともいずれかを、その平均粒子径が1μm以上1000μm以下の範囲となるように粉砕する粉砕工程と、を備えることを特徴とする方法である。
分解残製造工程においては、先ず、魚類の乾燥肉、或いは、前記乾燥肉を流体抽出して得られた抽出残を準備する。
分解残製造工程で用いる魚類の乾燥肉としては、前述した本発明のヘム鉄含有食品素材に用いるものと同様のものを用いることができる。
前記魚類の乾燥肉を流体抽出する場合に用いる流体は、特に限定されないが、熱水などが挙げられる。前記魚類の乾燥肉を熱水抽出する場合には、熱水抽出における処理温度は80℃以上100℃以下の範囲とすることが好ましく、90℃以上100℃以下の範囲とすることがより好ましい。処理温度が前記下限未満では、抽出が不十分となるおそれがあるために得られる食品素材のヘム鉄含有量を高くしにくくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えるようにする場合には、特別な設備が必要となるため、製造コストが高くなる傾向にある。また、熱水抽出における処理時間は10分間以上2時間以下の範囲とすることが好ましく、20分間以上50分間以下の範囲とすることがより好ましい。処理時間が前記下限未満では、抽出が不十分となるおそれがあるために得られる食品素材のヘム鉄含有量を高くしにくくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、製造コストが高くなる傾向にある。
分解残製造工程においては、次に、前記乾燥肉または前記抽出残をプロテアーゼにて酵素分解して分解残を得る。なお、分解残製造工程においては、前記抽出残を酵素分解することが好ましい。このような抽出残は、通常スライス状またはフレーク状であり、酵素分解が進行しやすいためである。
分解残製造工程で用いるプロテアーゼとしては、前述した本発明のヘム鉄含有食品素材に用いるものと同様のものを用いることができる。
そして、例えば、プロテアーゼとして酸性のエンド型プロテアーゼを用いて、前記抽出残を酵素分解する場合には、抽出残が分散された分散液に対し、酸性のエンド型プロテアーゼを加え、さらに塩酸などの酸を加えて、抽出残を酵素分解させる。このような場合においては、pHを1.5以上6.0以下の範囲とすることが好ましい。また、酵素分解における処理温度を40℃以上55℃以下の範囲とすることが好ましい。さらに、酵素分解における処理温度は0.5時間以上30時間以下の範囲とすることが好ましい。また、酸性のエンド型プロテアーゼの添加量は、前記抽出残100質量部に対して、0.05質量部以上10質量部以下の範囲とすることが好ましい。
また、このように酵素分解させた後には、前記プロテアーゼを失活させ、その後、前記分散液を水酸化ナトリウムなどのアルカリにて中和して中和液を得る。前記プロテアーゼを失活させる方法としては、例えば、80℃以上の温度で10分間以上60分間以下の範囲の熱処理を加える方法を採用することができる。
そして、前記中和液からペプチドなどの上澄みを分離して分解残を得る。前記中和液から上澄みを分離する方法としては、遠心分離法、ろ過法などを採用することができる。
粉砕工程は、前記乾燥肉、前記抽出残および前記分解残の少なくともいずれかを、その平均粒子径が1μm以上1000μm以下の範囲となるように粉砕する。このよう粉砕工程により食品用の素材としての利用価値が高まるからである。中でも、酵素分解反応を促進するという観点から、少なくとも抽出残を粉砕することが好ましい。
前記乾燥肉、前記抽出残または前記分解残を粉砕する方法としては、例えば、カッターミル、ハンマーミル、ビーズミル、ジェットミル、ボールミルなどを用いる方法を採用することができる。
また、本発明の製造方法においては、前記抽出残または前記分解残を粉砕する前に、これらを乾燥しておくことが好ましい。これらを乾燥しておくことで、前記粉砕工程を効率よく行うことが可能となる。また、粉砕前の抽出残または分解残から水分を除去することが可能となるため、前記抽出残または前記分解残の腐敗を抑制することが可能となる。このように抽出残または分解残を乾燥する場合には、乾燥および粉砕の効率の観点から、乾燥温度は50℃以上110℃以下の範囲であることが好ましく、60℃以上80℃以下の範囲であることがより好ましい。また、乾燥時間は、30分間以上24時間以下の範囲であることが好ましく、3時間以上12時間以下の範囲であることがより好ましい。
本発明の製造方法においては、前記分解残を溶剤にて洗浄する洗浄工程をさらに備えることが好ましい。このような洗浄工程により、色や臭いを除去することができる。
洗浄工程で用いる溶剤としては、前述した本発明のヘム鉄含有食品素材に用いるものと同様のものを用いることができる。
前記分解残を溶剤にて洗浄する場合には、洗浄における処理温度は20℃以上前記溶剤の沸点以下の範囲とすることが好ましく、40℃以上前記溶剤の沸点以下の範囲とすることがより好ましく、60℃以上前記溶剤の沸点以下の範囲とすることが特に好ましい。処理温度が前記下限未満では、洗浄が不十分となるおそれがあるために得られる食品素材に色や臭いが残りやすくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えるようにする場合には、特別な設備が必要となるため、製造コストが高くなる傾向にある。また、洗浄における処理時間は20分間以上24時間以下の範囲とすることが好ましく、3時間以上20時間以下の範囲とすることがより好ましく、9時間以上15時間以下の範囲とすることが特に好ましい。処理時間が前記下限未満では、洗浄が不十分となるおそれがあるために得られる食品素材に色や臭いが残りやすくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、製造コストが高くなる傾向にある。
また、本発明においては、必要に応じて、前記分解残以外にも前記乾燥肉または前記抽出残に対して、前記洗浄工程を行ってもよい。このようにして、色や臭いをさらに除去することができる。
以上説明した本発明のヘム鉄含有食品素材の製造方法は、前記分解残製造工程および粉砕工程を備える方法であるが、前記分解残が予め準備できる場合には、その分解残を平均粒子径が1μm以上1000μm以下の範囲となるように粉砕することにより、前記ヘム鉄含有食品素材を得ることもできる。
以上説明した本発明のヘム鉄含有食品素材の製造方法によれば、簡易かつ効率的に高濃度のヘム鉄を含有する食品素材を製造することができる。
本発明のヘム鉄含有食品素材は、例えば、パン、クッキー、ふりかけ、ヨーグルト、ドリンク、マーガリン、栄養素を補うためのサプリメントなどの食品の素材として特に好適に使用することができる。また、本発明のヘム鉄含有食品素材をサプリメントとする場合には、平均粒子径が1μm以上1000μm以下の範囲にある本発明の該ヘム鉄含有食品素材を、圧縮成形等の公知の方法で錠剤化してもよい。
次に、本発明を実施例および比較例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
[実施例1]
フレーク状の鰹節を温度95℃の熱水中に40分間浸漬して熱水抽出した。その後、抽出物を分離して、抽出残を回収した。得られた抽出残を、温度70℃にて7時間乾燥した。乾燥後の抽出残を、ハンマーミルを用いて粉砕した(粉砕工程)。粉砕後の抽出残の平均粒子径を、粒子径分布測定装置(日機装株式会社製、「マイクロトラック MT3000」)を用いて測定したところ、40μmであった。次に、水1000質量部に対して粉砕後の抽出残100質量部を分散させて分散液を得た。得られた分散液に対し、塩酸を加えてpHを3に調整し、さらに酸性のエンド型プロテアーゼ(エイチビィアイ社製、商品名「オリエンターゼAY」)0.25質量部を加え温度45℃にて24時間反応させて、抽出残を酵素分解させた。その後、温度95℃にて30分間の熱処理を施して、プロテアーゼを失活させた。さらに、室温(25℃)まで冷却した後に、4Nの水酸化ナトリウムを加えてpHを7に調整して中和液を得た。得られた中和液に対し、遠心分離機を用い、回転数4000rpmの条件にて1分間の遠心分離を行い、分解残および上澄みに分離して、分解残を回収した(分解残製造工程)。得られた分解残を温度100℃にて20時間乾燥して食品素材を得た。
[実施例2]
得られた分解残を、室温(25℃)のエチルアルコール中に質量比(分解残/エチルアルコール)が1/10となるようにして、2時間浸漬して洗浄し(洗浄工程)、洗浄後の分解残を、温度100℃にて3時間乾燥した以外は実施例1と同様にして、食品素材を得た。
[実施例3]
粉砕工程前に、得られた抽出残を、室温(25℃)のエチルアルコール中に質量比(分解残/エチルアルコール)が1/10となるようにして、12時間浸漬して洗浄し(洗浄工程)、洗浄後の抽出残を、温度70℃にて7時間乾燥した以外は実施例1と同様にして、食品素材を得た。
[実施例4]
得られた分解残を、室温(25℃)のエチルアルコール中に質量比(分解残/エチルアルコール)が1/10となるようにして、2時間浸漬して洗浄し(洗浄工程)、洗浄後の分解残を、温度100℃にて3時間乾燥した以外は実施例3と同様にして、食品素材を得た。
[比較例1]
フレーク状の鰹節を温度95℃の熱水中に40分間浸漬して熱水抽出した。その後、抽出物を分離して、抽出残を回収し、乾燥して食品素材を得た。
[評価方法]
実施例1から実施例4まで、および比較例1で得られた食品素材の性状(平均粒子径、臭気、色、ヘム鉄含有量)を以下に示す方法により評価した。得られた結果および水分量に関する結果を表1に示す。
(i)平均粒子径
得られた食品素材の平均粒子径を、粒子径分布測定装置(日機装株式会社製、「マイクロトラック MT3000」)を用いて測定した。なお、分散媒としてはメチルアルコールを用い、分散方法としては超音波による方法を採用した。
(ii)臭気の評価
得られた食品素材の臭気を以下に示す基準に基づいて評価した。
○:臭いはあるが、気にはならない程度である。
△:やや強い臭いはあるが、血生臭くはない。
×:強い臭いがあり、しかも血生臭い。
(iii)黄色度の測定
得られた食品素材の色を以下に示す基準に基づいて評価した。
○:黄色味は、白味に隠れる程度である。
△:黄色味があるが、気にはならない程度である。
×:黄色味が強い。
(iv)ヘム鉄含有量
得られた食品素材のヘム鉄含有量を、誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP発光分光分析法)により、測定した。具体的には、ICP発光分光分析装置(VARIAN社製、「VistaPro−RL型」)を用いた。なお、食品素材100g中のヘム鉄含有量は、ヘム鉄を金属鉄換算し、食品素材中の水分量を0質量%に換算して求めたものである。単位は(mg/100g)である。
Figure 2012100627
[評価結果]
表1に示す結果からも明らかなように、本発明のヘム鉄含有食品素材(実施例1から実施例4まで)は、30mg/100g以上の高濃度のヘム鉄を含有しており、食品としての色調および加工性の点でも好ましいものであり、しかも臭気の点でも好ましいものであることが確認された。また、洗浄工程を行った場合(実施例2および実施例4)には、食品としての色調および臭気の点において向上が見込めることが確認された。
本発明のヘム鉄含有食品素材は、例えば、パン、クッキー、ふりかけ、ヨーグルト、ドリンク、マーガリン、栄養素を補うためのサプリメントなどの食品の素材として特に好適に使用することができる。

Claims (14)

  1. 魚類の乾燥肉からなるヘム鉄含有食品素材であって、
    該ヘム鉄含有食品素材100g中のヘム鉄含有量が、金属鉄換算で、30mg/100g以上である
    ことを特徴とするヘム鉄含有食品素材。
  2. 魚類の乾燥肉からなるヘム鉄含有食品素材であって、
    該ヘム鉄含有食品素材は、前記乾燥肉、或いは、前記乾燥肉を流体抽出して得られた抽出残を酵素分解した後の分解残からなるものであり、
    該ヘム鉄含有食品素材100g中のヘム鉄含有量が、金属鉄換算で、30mg以上である
    ことを特徴とするヘム鉄含有食品素材。
  3. 請求項2に記載のヘム鉄含有食品素材において、
    前記ヘム鉄含有食品素材が前記抽出残を酵素分解した後の分解残からなる
    ことを特徴とするヘム鉄含有食品素材。
  4. 請求項2または請求項3に記載のヘム鉄含有食品素材において、
    前記分解残を溶剤にて洗浄する
    ことを特徴とするヘム鉄含有食品素材。
  5. 請求項4に記載のヘム鉄含有食品素材において、
    前記溶剤がエチルアルコールである
    ことを特徴とするヘム鉄含有食品素材。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のヘム鉄含有食品素材において、
    前記ヘム鉄含有食品素材の平均粒子径が1μm以上1000μm以下の範囲である
    ことを特徴とするヘム鉄含有食品素材。
  7. 請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のヘム鉄含有食品素材において、
    前記乾燥肉が魚節である
    ことを特徴とするヘム鉄含有食品素材。
  8. 魚類の乾燥肉、或いは、前記乾燥肉を流体抽出して得られた抽出残を酵素分解して分解残を得る分解残製造工程と、
    前記乾燥肉、前記抽出残および前記分解残の少なくともいずれかを、その平均粒子径が1μm以上1000μm以下の範囲となるように粉砕する粉砕工程と、
    を備えることを特徴とするヘム鉄含有食品素材の製造方法。
  9. 請求項8に記載のヘム鉄含有食品素材の製造方法において、
    前記分解残製造工程において、前記乾燥肉を流体抽出して得られた抽出残を酵素分解して分解残を得る
    ことを特徴とするヘム鉄含有食品素材の製造方法。
  10. 請求項8または請求項9に記載のヘム鉄含有食品素材の製造方法において、
    前記粉砕工程において、前記乾燥肉、前記抽出残および前記分解残のうちの少なくとも前記抽出残を、平均粒子径が1μm以上1000μm以下の範囲となるように粉砕する
    ことを特徴とするヘム鉄含有食品素材の製造方法。
  11. 魚類の乾燥肉、或いは、前記乾燥肉を流体抽出して得られた抽出残を酵素分解してなる分解残を粉砕してヘム鉄含有食品素材を得るヘム鉄含有食品素材の製造方法であって、
    前記分解残を、平均粒子径が1μm以上1000μm以下の範囲となるように粉砕する
    ことを特徴とするヘム鉄含有食品素材の製造方法。
  12. 請求項8から請求項11までのいずれか1項に記載のヘム鉄含有食品素材の製造方法において、
    前記分解残を溶剤にて洗浄する洗浄工程をさらに備える
    ことを特徴とするヘム鉄含有食品素材の製造方法。
  13. 請求項12に記載のヘム鉄含有食品素材の製造方法において、
    前記溶剤がエチルアルコールである
    ことを特徴とするヘム鉄含有食品素材の製造方法。
  14. 請求項8から請求項13までのいずれか1項に記載のヘム鉄含有食品素材の製造方法において、
    前記乾燥肉が魚節である
    ことを特徴とするヘム鉄含有食品素材の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2020048457A (ja) * 2018-09-26 2020-04-02 グローブライド株式会社 穂先に釣糸結索部材が設けられた釣竿

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