JP2012097479A - 免震装置の設置構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】積層ゴム1の上下のフランジプレート(上部フランジプレート、下部フランジプレート9)の一方もしくは双方を上下のベースプレート(上部ベースプレート、下部ベースプレート4)に対して密着させて上部基礎と下部基礎2との間に配置し、上下のベースプレートに密着させた上下のフランジプレートの一方もしくは双方の周囲に、フランジプレートの端面に対向配置されてベースプレートに固定されてフランジプレートの水平方向の相対変位を規制するブロック10を設け、ブロックとフランジプレートとの間にベースプレートの回転を許容するための必要最小限のクリアランス13を確保し、そのクリアランスの範囲内においてフランジプレートの水平方向の相対変位を許容する。
【選択図】図3
Description
通常の免震構造を超高層建物のようなアスペクト比の高い建物に適用する場合、地震時の転倒モーメントによる引き抜き荷重が積層ゴムに作用するが、積層ゴムの許容引張応力度は1MPa程度であるため充分な引き抜き耐力は期待できない。
また、ブロックをフランジプレートに対して押圧する必要がないので、ブロックをベースプレートに対して固定するための構造を簡略化できるし、それらの間にシアキーを設けることも可能であるのでせん断力伝達機能を確保するうえでも有利である。
本実施形態は、図1〜図2に示すように、免震装置としての積層ゴム1を下部基礎2と上部基礎3との間に設置するものであって、通常のように下部基礎2の上面に下部ベースプレート4を固定するとともに上部基礎3の底面に上部ベースプレート5を固定し、それらの間に積層ゴム1を設置することを基本とするものである。
なお、図示例の積層ゴム1は平面視正方形状であるが円形であっても勿論良い。また図示例の積層ゴム1における符号6は鉛プラグであるが、これの要否は任意である。
なお、本実施形態においては上部ベースプレート5は必ずしも設けることはなく、上部ベースプレート5を省略して高力ボルト8を上部基礎3に対して定着することにより、上部フランジプレート7を上部基礎3に対して直接的に固定することも可能である。
また、上記の緩衝材12として、天然ゴム12aと鋼板12bとを積層して上下方向に柔軟にせん断変形可能な積層ゴムを用いるとともに、その表面に滑り材18を取り付け、この緩衝材12を取付ネジ19により下部フランジプレート9の端面に固定している。
そして、緩衝材12の表面の滑り材18とブロック10の表面のステンレスプレート16との間に上記のクリアランス13を確保するものとしている。
勿論、そのような適切なクリアランス13の寸法dは、下部フランジプレート9と緩衝材12の寸法および想定される回転角等の条件が決定されれば幾何学的に簡易に求めることができる。
たとえば下部フランジプレート9の長さ(回転時の半径に相当する)が1250mm、厚さが70mmの場合にはクリアランス13の寸法dは0.9mm程度とすれば良い。
また、緩衝材12は水平方向(圧縮方向)に弾性変形するものであっても良く、その場合は当該弾性変形量を考慮しクリアランス13の寸法を幾何学的な計算値よりも小さくでき、適切な前記弾性変形量を確保することにより下部ベースプレート4と下部フランジプレート9の相対回転、相対変位を許容できる。
なお、上記のように設定したクリアランス13を厳密に確保するためには、下部フランジプレート9の位置や寸法に応じてブロック10の固定位置を下部フランジプレート9に対して離接する方向に微調整することによって行うことができるが、それに加えて、あるいはそれに代えて、ブロック10に取り付ける調整プレート14をスペーサーとしてその厚みを増減することが現実的である。
すなわち、図4(a)に示す通常時の状態から下部フランジプレート9はそのまま直上に浮き上がることが可能であることはもとより、(b)に示すように下部フランジプレート9が上下方向に回転した際にも緩衝材12がブロック10に対して当接するまでは浮き上がりが許容される。また、(c)に示すように水平方向と上下方向の相対変位が同時に生じた場合には、緩衝材12があるために滑り材18がブロック10に対して密着して緩衝材12がブロック10に押圧された状態で上方に滑るか上下方向に変形し、いずれにしても下部フランジプレート9の浮き上がりは許容される。
なお、緩衝材12がブロック10に当接するまでは積層ゴム1が有効に作動しないことにはなるが、クリアランス13はごく小さいものであるし、下部フランジプレート9が水平変位する間は下部ベースプレート4との間の摩擦抵抗による滑り支承としても機能するから、免震効果に対する影響は実質的に無視し得る。
すなわち、上述したように特許文献1に示される構造ではブロック10を下部フランジプレート9に対して押圧することからその固定位置を下部フランジプレート9の寸法や位置に応じて微調整する必要があり、そのためブロック10と下部ベースプレート4との間にシアキーを設けることはできず、その結果、ブロック10を固定するための高力ボルト11にせん断力伝達機能を持たせる必要があってその所要本数が多数になる。
同様の理由により、下部ベースプレート4を下部基礎2に固定する際にその下部ベースプレート4に対して予めブロック10を固定しておくこともできるし、従来のように下部ベースプレート4を下部基礎2よりも大きくしておく必要はなく、下部基礎2の形状や寸法も通常の積層ゴムを設置する場合と同等とすることができるから、この点においても施工性を改善できる利点がある。
さらに、上記実施形態では緩衝材12を下部フランジプレート9に対して固定したが、逆にブロック10に対して固定してその緩衝材12と下部フランジプレート9の端面との間にクリアランス13を確保するようにしても良い。
勿論、上記実施形態においてブロック10に取り付けた調整プレート14やステンレスプレート16、緩衝材12の表面に取り付けた滑り材18、その他細部の具体的な構成については、それら調整プレート14やステンレスプレート16、滑り材18の一部あるいは全てを省略することも含めて、適宜の変更が可能である。
但し、緩衝材12の表面(緩衝材12を省略する場合には下部フランジプレート9の端面)や、ブロック10の表面に取り付けたステンレスプレート16の表面(ステンレスプレート16を省略する場合には調整プレート14の表面、さらに調整プレート14を省略する場合にはブロック10の表面)は、それらが接触した状態においても浮き上がりを阻害しないように充分な平滑面としておくことが好ましい。
すなわち、下部フランジプレート9の四隅部に形成したボルト孔22にストッパーボルト21を緩挿して下部ベースプレート4に植設することにより、過大な浮き上がりが生じた際には下部フランジプレート9がストッパーボルト21の頭部により係止されてそれ以上の浮き上がりが制限されるようにしておくと良い。
この場合、ストッパーボルト21を緩挿するボルト孔22の径を充分に大きくしてそれらの間のクリアランスを下部フランジプレート9とブロック10との間に確保する上記のクリアランス13よりも大きくしておくことにより、下部フランジプレート9が水平変位した際にもボルト孔22の内面がストッパーボルト21に接触することはなく、下部フランジプレート9の浮き上がりを阻害することはない。
また、必要に応じて下部フランジプレート9上に所望枚数のワッシャ23をスペーサとして装着することにより、制限するべき浮き上がり量を適正に設定することができる。
更に加えて、前記ワッシャ23をスプリングワッシャ、皿ばね又はゴム材料など浮き上がり方向の変形を許容する部材を用い、ストッパーボルト21に働く衝撃力を低減し、片当たりを防止することができる。
すなわち、下部フランジプレート9を下部ベースプレート4を介して下部基礎2に対して固定したうえで、あるいは下部ベースプレート4を省略して下部フランジプレート9を下部基礎2に対して直接的に固定したうえで、上部フランジプレート7を上部ベースプレート5に対して単に密着せしめるとともに、その周囲にブロック10を配置して上部ベースプレート5に対して固定し、それらの間にクリアランス13を確保すれば、上部フランジプレート7に対する上部基礎3の浮き上がりが支障なく許容されるので、上記実施形態と同様に機能するものとなり同様の効果が得られる。
さらには、上記のように積層ゴム1の上部を上部基礎3に対して固定して下部基礎2に対する積層ゴム1の浮き上がりを許容するか、あるいは積層ゴム1の下部を下部基礎2に対して固定して積層ゴム1に対する上部基礎3の浮き上がりを許容することが現実的ではあるが、本発明では積層ゴムの上下をいずれも固定せずとも実質的に同様の効果が得られる。
すなわち、上部フランジプレート7および下部フランジプレート9の双方をいずれも上部基礎3および下部基礎2に対して固定することなく、上部フランジプレート7および下部フランジプレート9の双方をそれぞれ上部ベースプレート5および下部ベースプレート4に対して単に密着させた状態でそれらの間に積層ゴム1を配置し、上部フランジプレート7および下部フランジプレート9の双方の周囲にそれぞれクリアランス13を確保した状態でそれぞれブロック10を固定することによっても、積層ゴム1によって上部構造を支障なく免震支持しつつ積層ゴム1に対して引き抜き荷重が作用することを防止でき、必要であれば下部基礎2に対する上部基礎3の過大な浮き上がりを規制するために上記実施形態におけるストッパーボルト21のような適宜の係止機構を積層ゴム1の上下に対してそれぞれ設ければ良く、それにより上記実施形態と同様の効果が得られるから、本発明においてはそのように構成することを妨げるものではない。
2 下部基礎
3 上部基礎
4 下部ベースプレート
5 上部ベースプレート
6 鉛プラグ
7 上部フランジプレート
8 高力ボルト
9 下部フランジプレート
10 ブロック
11 高力ボルト
12 緩衝材(積層ゴム)
12a 天然ゴム
12b 鋼板
13 クリアランス
14 調整プレート
15 取付ボルト
16 ステンレスプレート
17 取付ネジ
18 滑り材
19 取付ネジ
20 シアキー
21 ストッパーボルト(係止機構)
22 ボルト孔
23 ワッシャ
Claims (5)
- 上部構造を免震装置としての積層ゴムによって下部構造に対して水平方向に相対変位可能に免震支持する免震構造建物に適用する免震装置の設置構造であって、
上部構造における上部基礎の底面と下部構造における下部基礎の上面のいずれか一方もしくは双方にベースプレートを設けて、前記免震装置としての積層ゴムの上下のフランジプレートのいずれか一方を前記ベースプレートを介してもしくは該ベースプレートを介さずに前記上部基礎または前記下部基礎に対して相対変位不能に固定するとともに、該上下のフランジプレートのいずれか他方を前記ベースプレートに対して密着させた状態で該積層ゴムを上部基礎と下部基礎との間に配置するか、
もしくは、上部構造における上部基礎の底面と下部構造における下部基礎の上面の双方にそれぞれベースプレートを設けて、前記免震装置としての積層ゴムの上下のフランジプレートの双方をそれぞれ前記ベースプレートに対して密着させた状態で該積層ゴムを上部基礎と下部基礎との間に配置し、
前記ベースプレートに対して密着させた上下のフランジプレートのいずれか一方もしくは双方の周囲に、該フランジプレートの端面に対向配置されて前記ベースプレートに固定されることにより、該ベースプレートに対する前記フランジプレートの水平方向の相対変位を規制するブロックを設け、
該ブロックと前記フランジプレートの端面との間に、前記ベースプレートに対する前記フランジプレートの上下方向の相対回転を許容するための必要最小限のクリアランスを確保することによって、前記ベースプレートに対する前記フランジプレートの上下方向の相対変位を許容し、かつ前記クリアランスの範囲内において前記ベースプレートに対する前記フランジプレートの水平方向の相対変位を許容してなることを特徴とする免震装置の設置構造。 - 請求項1記載の免震装置の設置構造であって、
前記フランジプレートまたは前記ブロックに対して緩衝材を固定することにより、該緩衝材を前記フランジプレートと前記ブロックとの間に介装するとともに、該緩衝材と前記ブロックまたは前記フランジプレートとの間に前記クリアランスを確保してなることを特徴とする免震装置の設置構造。 - 請求項2記載の免震装置の設置構造であって、
前記緩衝材は、少なくとも上下方向に弾性変形可能な積層ゴムからなることを特徴とする免震装置の設置構造。 - 請求項1、2または3記載の免震装置の設置構造であって、
前記ベースプレートに対する前記フランジプレートの上下方向の相対変位を予め設定した許容限度内に規制する係止機構を設けてなることを特徴とする免震装置の設置構造。 - 請求項4記載の免震装置の設置構造であって、
前記係止機構は、前記フランジプレートを緩挿して前記ベースプレートに植設されたストッパーボルトからなることを特徴とする免震装置の設置構造。
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