JP7344837B2 - 耐風装置 - Google Patents

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本開示は、免震建築物における下部構造体と上部構造体との間に免震装置とともに設置される耐風装置に関する。
免震建築物は、建築物の基礎等の下部構造体と上部構造体との間に免震装置を入れた建築物である。免震建築物は、耐震建築物に比べて地震時に、建築物の上部構造体の応答加速度や層間変位を減らす働きや、建築物の固有周期を長くすることにより地震動との共振現象を避ける働きを有する。免震装置は、建築物への地震入力エネルギーを低減する装置であり、例えば、積層ゴム、滑り支承、粘性ダンパー等である。
免震建築物では、地震時に下部構造体と上部構造体とが相対的に水平方向に変位するが、非地震時には風荷重を受けても上部構造体の下部構造体に対する水平方向の変位が抑制されることが望まれる。このため、免震装置として鉛プラグ入りの積層ゴムが使用されることがある。鉛プラグは、非地震時にはその剛性によって風荷重による下部構造体と上部構造体との相対的な水平変位を抑え、地震時には塑性変形して下部構造体と上部構造体との相対的な水平変位を許容する。鉛プラグ入り積層ゴムは、10~20階の建築物であれば、プラグの降伏荷重を風荷重以上に設定したとしても、十分な免震性能を発揮させることができるが、それよりも高層の建築物においては、プラグの降伏荷重が大きすぎて、十分な免震性能を発揮させることができない。そこで、比較的高層の免震建築物において、免震性能に影響を与えずに風荷重に抵抗するための様々な耐風装置が提案されている。
例えば、非特許文献1に記載のロック機構付き免震用オイルダンパーは、地震時を含む通常時には免震用オイルダンパーとして機能し、強風時にはダンパーの伸縮をロックして居住性を向上させている。ダンパーのロックのオン・オフは、電磁弁によって切り替えられる。なお、ロック機構付き免震用オイルダンパーには、通常(強風時を含む)はダンパーの伸縮をロックしておいて、大地震時にのみロックを解除するものもある。
また、下部構造体と上部構造体との一方から突出するシアピンを下部構造体と上部構造体との他方に設けられた孔に挿入する耐風構造が提案されている(例えば、特許文献1)。この構造では、風荷重に対してはシアピンのせん断耐力で抵抗して下部構造体と上部構造体との相対的な水平変位を防ぎ、所定の規模以上の地震時にはシアピンが破断して下部構造体と上部構造体との相対的な水平変位が許容される。
また、下部構造体と上部構造体との相対的な水平変位によって上下に変位するピンの側面に摩擦力を加えて、風荷重によって下部構造体と上部構造体との相対的な水平変位が生じることを抑制する耐風装置が提案されている(例えば、特許文献2)。上部構造体に連結しているピンの先端は傾斜しており、下部構造体に設けられてピンの先端に補完的な形状をなす孔に受容されている。ピンの先端及び孔の形状によって、風荷重や地震力はピンを上方に変位させる力に変換される。ピンの先端が孔に受容されている間は、下部構造体と上部構造体との間の相対的な水平変位が規制される。ピンの側面に加えられた摩擦力によってピンの上方への変位が規制されているため、風荷重を受けてもピンは変位せず、下部構造体と上部構造体との間に相対的な水平変位も生じない。所定規模以上の地震時には、ピンが摩擦力に逆らって上方に変位して、ピンの先端が孔から離脱して、下部構造体と上部構造体との間の相対的な水平変位が許容される。
特開2009-144820号公報 特開2018-184791号公報
「ロック機構付き免震用オイルダンパシステムの開発」、KYB技報、第54号、2017年4月発行、pp.79~84
非特許文献1に記載のロック機構付き免震用オイルダンパーでは、電磁弁を制御するために電気信号が必要であり、センサーの設置や配線等が必要であった。そのため、建築物を免震構造とするには免震層だけの工事では済まなかった。
特許文献1に記載の耐風シアピンは、地震発生時に破断するため、地震がおきるたびにシアピンの交換が必要となり、維持管理コストの増加の原因となった。また、シアピンが破断するまで免震層は変形できないため、上部構造体の応答が大きくなる可能性があった。
特許文献2に記載の装置では、所定規模よりわずかに小さい地震時に、ピンの先端が孔から完全には離脱しない程度にピンが変位するおそれがある。この場合、ピンの先端と孔の内面との間に隙間ができ、その後の地震時や強風時にピンの先端が孔の内面に衝突して居住性を低下させ、衝突時の衝撃でピンの先端が破損するおそれがあった。
このような問題に鑑み、本発明は、免震建築物において、電気設備が不要で、維持管理コストが低く、安定して風荷重に抵抗できる耐風装置を提供することを目的とする。
本発明のある実施形態は、免震建築物(2)における第1構造体(3)と前記第1構造体(3)に対して上下方向の一方に位置する第2構造体(4)との間に免震装置(6,7,8)とともに設置される耐風装置(1)であって、前記上下方向に変位可能に前記第1構造体(3)に設置され、前記上下方向の前記一方の側に第1摺動面(14)を有する反力架台(9)と、前記第1構造体(3)に向かって突出するように前記第2構造体(4)に固定され、突出端部において前記第1摺動面(14)に摺動可能な第2摺動面(15)を有し、前記第2構造体(4)が前記第1構造体(3)に対して水平に変位して前記第2摺動面(15)が前記第1摺動面(14)を摺動することにより前記反力架台(9)を前記上下方向の他方に変位させるブロック体(10)と、前記反力架台(9)の前記上下方向の変位をガイドするべく前記第1構造体(3)に固定されたガイド部材(11)と、前記反力架台(9)を前記上下方向の前記一方に向かって付勢する付勢部材(12)とを備えることを特徴とする。
この構成によれば、電磁的制御が不要であるため耐風装置の設置工事が低コストになり、大規模地震時に破損することが前提の部品がないため維持管理コストが低く、付勢部材の付勢力に基づき安定して風荷重に抵抗できる耐風装置を提供できる。
本発明のある実施形態は、上記構成において、前記ガイド部材(11)は、前記上下方向の前記一方に向けて開口して、前記反力架台(9)を受容する孔又は溝(17)を有し、前記孔又は溝(17)は、前記反力架台をガイドするべく側面において前記反力架台(9)の側面に摺接することを特徴とする。
この構成によれば、必要な強度を有するガイド部材を容易に作ることができる。
本発明のある実施形態は、上記構成において、前記孔又は溝(17)と前記反力架台(9)とは、横断面視で円環形状をなし、前記第1摺動面(14)は、半径方向の内側を向くように水平面に対して傾斜した円環形状をなし、前記第2摺動面(15)は、前記半径方向の外側を向くように水平面に対して傾斜した円環形状をなし、互いに共通の横断面において、前記第2摺動面の半径は前記第1摺動面の半径以下であることを特徴とする。
この構成によれば、耐風装置は第1及び第2摺動面が円環状であることから水平な全方向に対して均等な力で風荷重に抵抗でき、また、第1及び第2摺動面が傾斜面であることから抵抗可能な風荷重の値の算出が容易であって耐風装置の設計計算が容易となる。
本発明のある実施形態は、上記の孔又は溝(17)を有する構成において、互いに摺接する前記孔又は溝(17)の前記側面と前記反力架台(9)の前記側面との少なくとも一方は、ポリテトラフルオロエチレン加工板又はステンレス板によって形成されたことを特徴とする。
この構成によれば、孔又は溝の側面と反力架台の側面との摩擦抵抗を低減できる。
本発明のある実施形態は、上記構成の何れかにおいて、前記第1摺動面(14)が前記第2摺動面(15)よりも前記上下方向の前記他方に位置するまで前記ブロック体(10)によって前記反力架台(9)が押し出された時に、前記反力架台(9)の前記上下方向の前記一方への変位を規制するロック部材(13)を更に備えることを特徴とする。
この構成によれば、ブロック体が反力架台を一度乗り越えると、それ以降、反力架台はブロック体の水平方向の変位を実質的に規制しないため、地震の揺れの方向が変わるたびに反力架台とブロック体とが互いに相対変位を阻害することを防止できる。
本発明のある実施形態は、上記構成において、前記ロック部材(13)は、前記第1摺動面(14)が前記第2摺動面(15)よりも前記上下方向の前記他方に位置する前記上下方向の複数の位置において、前記反力架台(9)の前記上下方向の前記一方への変位を規制するとともに前記上下方向の前記他方への変位を許容することを特徴とする。
この構成によれば、反力架台とブロック体とが互いに上下方向に離間した位置で、両者が互いに上下方向に近づくことが規制できるため、地震による上下動があっても両者の衝突を防止できる。
本発明のある実施形態は、上記構成の何れかにおいて、前記第1摺動面(14)と前記第2摺動面(15)との少なくとも一方は、ポリテトラフルオロエチレン加工板又はステンレス板によって形成されたことを特徴とする。
この構成によれば、第1摺動面と第2摺動面との互いの摩擦力を低減できる。
本発明のある実施形態は、上記構成の何れかにおいて、前記第1摺動面(14)及び前記第2摺動面(15)は、水平面に対して互いに同じ角度をなすように傾斜していることを特徴とする。
この構成によれば、付勢部材の付勢力に基づく風荷重への抵抗力の算出が容易であるため、風荷重に対する所望の抵抗力を有する耐風装置の設計が容易になる。
本発明によれば、免震建築物において、電気設備が不要で、メンテナンスコストが低く、安定して風荷重に抵抗できる耐風装置を提供することができる。
実施形態に係る耐風装置が設置された免震建築物の模式的正面図 実施形態に係る耐風装置が設置された免震建築物の免震層の平面図 実施形態に係る耐風装置を示す図(A:B図のA-A断面、B:縦断面図、C:B図のC-C断面) 実施形態に係る耐風装置を示す説明図(強風時) 実施形態に係る耐風装置を示す説明図(地震時) 変形例に係る耐風装置のロック部材及び係合孔を示す拡大断面図
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、実施形態に係る耐風装置1が設置される免震建築物2を示す。免震建築物2は、下部構造体3と、下部構造体3の上方に配置された上部構造体4と、下部構造体3と上部構造体4との間に設けられた免震層5とを備える。本実施形態では、基礎構造体が下部構造体3であり、最下層に免震層5が設けられるが、下部構造体3を免震建築物2の下層階を含む構造体として、免震建築物2の中間階層に免震層5を設けてもよい。
図2は免震層5を示す。免震層5には、免震装置としての積層ゴム6、すべり支承7及び粘性ダンパー8と、耐風装置1とが設置されている。耐風装置1は、免震装置とともに使用されることを想定した装置である。免震建築物2に設置される免震装置は、積層ゴム6、すべり支承7及び粘性ダンパー8の内の1種類又は2種類でもよく、他の種類の免震装置でもよく、又はこれらの組み合わせであってもよい。
図3は、耐風装置1を示す。耐風装置1は、上下方向に変位可能に下部構造体3に設置された反力架台9と、下部構造体3に向かって突出するように上部構造体4の下面に固定されたブロック体10と、反力架台9の上下方向への変位をガイドするべく下部構造体3の上面に固定されたガイド部材11と、反力架台9を上方に向かって付勢する付勢部材12と、所定規模以上の地震時に通常時よりも下方に変位した反力架台9の上方への変位を規制するロック部材13とを備える。
反力架台9は、付勢部材12を介して下部構造体3に取り付けられている。反力架台9は、横断面視で円環形状をなす筒状の部材である。反力架台9は、筒形状の上端部の内側が切り欠かれた形状をなし、この切り欠きによって形成された第1摺動面14は、全周に渡って延在し、上方かつ半径方向の内方を向くように水平面及び上下方向に対して傾斜している。第1摺動面14における半径方向に沿った線が水平面に対してなす角度は、好ましくは約30°~60°であり、更に好ましくは約45°である。反力架台9の外周面及び第1摺動面14よりも下方の内周面は、上下方向に平行である。反力架台9の本体は、ブロック体10が反力架台9を押し下げるように第1摺動面14を摺動してもブロック体10を噛み込むような変形しない程度の剛性を有し、例えば、金属造又は鉄筋コンクリート造である。
ブロック体10は、横断面視で円形をなす円柱の下端部の外周を切り欠いた形状をなす。この切り欠きによって規制された第2摺動面15は、全周に渡って延在し、下方かつ半径方向の外方を向くように水平面及び上下方向に対して傾斜している。第2摺動面15における半径方向に沿った線が水平面に対してなす角度は、第1摺動面14における半径方向に沿った線が水平面に対してなす角度に等しく、第1摺動面14及び第2摺動面15は互いに摺動可能である。なお、第1摺動面14及び第2摺動面15の一方を縦断面視で凸形状をなす曲面としてもよく、この場合、更に、第1摺動面14及び第2摺動面15の他方を縦断面視で凸形状とし、又は一方の凸形状よりも大きな曲率半径を有する凹形状としてもよい。非地震時において、第2摺動面15は、第1摺動面14よりも半径方向の内側に配置されており、互いに共通の横断面において、第2摺動面15の半径は第1摺動面14の半径以下である。ブロック体10の本体は、ブロック体10が反力架台9を押し下げるように第2摺動面15が第1摺動面14を摺動しても第1摺動面14を噛み込むような変形しない程度の剛性を有し、例えば、鉄筋コンクリート造である。
第1摺動面14と第2摺動面15との互いの摺動時の摩擦抵抗を低減するために、第1摺動面14の表面は、ポリテトラフルオロエチレン加工板又はステンレス板からなる低摩擦板16によって構成されることが好ましく、低摩擦板16が反力架台9の上面にも延在することが更に好ましい。第1摺動面14の表面に代えて、又は第1摺動面14の表面とともに、第2摺動面15の表面を低摩擦板16によって構成してもよい。また、反力架台9の上面とブロック体10の下面の一方又は双方を低摩擦板16によって構成してもよい。
ガイド部材11は、横断面視で円形となる円柱に対して、上方が開口して平面視で円環形状をなす溝17を設けて、溝17の内側の上面を溝17の外側の上面よりも低くした形状をなす。溝17は、反力架台9を受容する。溝17の外周面及び内周面は、上下方向に平行であり、反力架台9における外周面及び第1摺動面14よりも下方の内周面が摺接する。ガイド部材11の本体は、例えば、鉄筋コンクリート造である。ガイド部材11がこのような形状及び素材であるため、必要な強度を有するガイド部材11を容易に作ることができる。
溝17の外周面及び内周面は、反力架台9における外周面及び第1摺動面14よりも下方の内周面との摺動時の摩擦抵抗を低減するために、低摩擦板16によって構成されることが好ましい。溝17の外周面及び内周面に代えて、又は溝17の外周面及び内周面とともに、反力架台9における外周面及び第1摺動面14よりも下方の内周面を低摩擦板16によって構成してもよい。
付勢部材12は圧縮コイルばねを含み、圧縮コイルばねは互いに等間隔で溝17内に複数配置される。付勢部材12の下端は、溝17の底(溝17がガイド部材11を貫通している場合は下部構造体3の上面)に当接し、付勢部材12の上端は、反力架台9の下面に固定されている。付勢部材12は、複数の圧縮コイルばねに代えて、複数の板ばねや、平面視で溝17と略同じ大きさの円環形状の1つの皿ばねであってもよい。
ロック部材13は、溝17に対して出没可能にガイド部材11内に配置されて、反力架台9の半径方向に延在する棒状の部材である。ガイド部材11は、溝17の外周面に開口してロック部材13を受容可能な受容孔18を有し、反力架台9は、ブロック体10が乗り越えるまで押し下げられた時にロック部材13が係合する係合孔19を外周面に有する。ロック部材13は、受容孔18内に配置された圧縮コイルばね等の付勢部材20によって半径方向の内側に向かって付勢されている。ロック部材13、受容孔18及び係合孔19は、複数個設けられ、周方向に等間隔で配置されることが好ましい。
図6は、変形例に係る1組のロック部材13及び係合孔19を示す。変形例に係るロック部材13の内側の端部は、内方に向かうにつれて下方に向かう上面と、水平に延在する下面とを有する。また、上下方向に沿って複数の係合孔19が設けられている。ロック部材13は、各々の係合孔19に係合したときに、反力架台9の上方への移動は規制するが、下方への移動は許容する。最も下方に配置された係合孔19は、反力架台9の上面がブロック体10の下面に摺接する時にロック部材13に係合する。これよりも上方に配置された係合孔19にロック部材13が係合したときは、反力架台9の上面がブロック体10の下面よりも下方に離間した位置にあり、地震によって下部構造体3と上部構造体4とが上下方向に振動しても、反力架台9の上面とブロック体10の下面とが互いに衝突しない。また、ロック部材13は、反力架台9が所定の位置まで押し下げられた時に、反力架台9を引き下げ、引き下げた位置を維持するように構成された磁石であってもよい。
次に、図4及び図5を参照して、耐風装置1の作用効果について説明する。
図4は、上部構造体4が図の左方に向かう風荷重を受けた時の耐風装置1を示す。なお、所定規模未満の地震時や、所定規模以上の地震時の初期における耐風装置1も図4と同様にあらわされる。上部構造体4が風荷重を受けると、上部構造体4が風荷重の方向に移動しようとする。この時、ブロック体10の第2摺動面15が、反力架台9の第1摺動面14を摺動して、ブロック体10が反力架台9を押し下げる。反力架台9の内周面及び外周面が溝17の内周面及び外周面を摺動することにより、反力架台9はガイド部材11にガイドされて上下方向に変位する。耐風装置1は、風荷重が所定の値以下の時は、反力架台9の上面がブロック体10の下面よりも下方に位置しないように、すなわち、ブロック体10の水平方向への変位が反力架台9によって規制されて所定の範囲内に収まるように、付勢部材12の付勢力の大きさや、第1摺動面14及び第2摺動面15の角度等が設定されている。従って、風荷重が所定値以下の時は、上部構造体4が下部構造体3に対して風を受け流すようにわずかに動くが、大きくは動かないため、免震建築物2の風に対する居住性が良好となる。また、耐風装置1は、風荷重に応じて反力架台9が押し下げられて免震層5が変形するため、耐風シアピンに比べて上部構造体4の応答が大きくなりにくい。耐風装置1は、第1摺動面14及び第2摺動面15が円環状であることから水平な全方向に対して均等な力で風荷重に抵抗でき、第1摺動面14及び第2摺動面15が傾斜面であることから抵抗可能な風荷重の値の容易に算出でき、所望の抵抗力を備える耐風装置1の設計が容易となる。
図5は、上記の所定値の風荷重よりも大きな地震力が生じる所定規模以上の地震時の耐風装置1を示す。地震によって、下部構造体3と上部構造体4とが相対的に水平方向に変位すると、第1摺動面14と第2摺動面15とが互いに摺動して付勢部材12の付勢力に逆らって反力架台9を押し下げる。ブロック体10が反力架台9を乗り越えて、第1摺動面14が第2摺動面15よりも下方に変位してブロック体10の下面が反力架台9の上面を摺動する位置まで反力架台9が押し下げられると、耐風装置1は、ブロック体10の下面が反力架台9の上面を摺動する時の摩擦力は生じるものの、下部構造体3と上部構造体4との相対的な水平変位を実質的に阻害せず、免震装置(図2参照)が建築物への地震入力エネルギーを低減する。
反力架台9の上面がブロック体10の下面よりも上方に位置する間は、係合孔19がロック部材13よりも上方に位置し、ロック部材13における半径方向の内側の端部は、反力架台9の外周面に摺接している。第1摺動面14が第2摺動面15よりも下方に位置して反力架台9の上面がブロック体10の下面を摺動する位置まで反力架台9が押し下げられると、係合孔19とロック部材13とが互いに半径方向に整合して、ロック部材13は付勢部材20によって半径方向の内側に押し出され、ロック部材13の内側の端部が受容孔18から突出して係合孔19に係合する。反力架台9はロック部材13に係止されて上方への変位が規制されるため、ブロック体10が反力架台9を一度乗り越えると、それ以降、反力架台9はブロック体10の水平方向の変位を実質的に規制せず、耐風装置1は、下部構造体3と上部構造体4との相対的な水平変位を実質的に阻害しない。従って、地震の揺れの方向が変わるたびにブロック体10が反力架台9に衝突することを防止でき、居住性の悪化を抑制できる。
ロック部材13は、地震後に作業員によって係合孔19への係合を解除される。これにより、耐風装置1は、再び、風荷重に抵抗することができるようになる。耐風装置1は地震後に部品を交換することなく再使用可能となるため、耐風装置1の維持管理コストを低減することができる。また、ロック部材13の係合孔19への係合の解除作業は、建物所有者でも対応できる簡単な作業であるため、耐風装置1の維持管理コストを低減することができる。
耐風装置1は、電磁的制御が不要であり免震層5のみの工事で対応できるため、センサーや配線が必要な場合に比べて、容易かつ低コストで設置できる。
第1摺動面14及び第2摺動面15の角度や、付勢部材12の付勢力等により、耐風装置1が抵抗できる風荷重の値を設定できるため、耐風装置1の設置対象となる免震建築物2の構成に応じて容易に耐風装置1を設計できる。
ブロック体10が反力架台9を乗り越えるまでの間も、ブロック体10が反力架台9を押し下げることにより、下部構造体3及び上部構造体4は相対的に水平方向に変位している。そのため、ブロック体10が反力架台9を乗り越えた後に下部構造体3及び上部構造体4は相対的な水平方向の変位が急激に始まることを抑制できる。
ブロック体10が反力架台9を乗り越えるまでは、付勢部材12の付勢力は、ブロック体10と反力架台9との相対的位置か初期の位置に戻る方向に加わる。仮に、風がやんだ後又は小中規模の地震の後にブロック体10と反力架台9との相対的位置が初期の位置に戻らなくても、ブロック体10が反力架台9を乗り越えるまでは、付勢部材12の付勢力がブロック体10に反力架台9を押しつけている。このため、それまでと異なる方向に反力架台9とブロック体10とが相対的に変位しても、付勢部材12の付勢力によって反力架台9が上方に変位して、反力架台9とブロック体10との衝突を緩和し、両部材の破損を抑制する。従って、耐風装置1は安定して風荷重に抵抗できる。
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。耐風装置は、上下逆に免震建築物に設置されてもよい。すなわち、第1構造体に反力架台、ガイド部材及び付勢部材が設置され、第2構造体にブロック体が設置されるとすると、上記実施形態のように、第1構造体が下部構造体であり、第2構造体が上部構造体でもよく、これとは逆に、第1構造体が上部構造体であり、第2構造体が下部構造体でもよい。反力架台は、平面視で円環形状の1つの部材で構成することに代えて、周方向に間隔を開けて設置された複数の部材によって構成してもよい。この場合、反力架台を3つ以上設け、互いに等間隔に配置することが好ましく、また、ガイド部材が、溝に代えて各々の反力架台を受容して上下方向の変位をガイドする孔を有してもよい。また、各々の耐風装置が所定の方向を向いた1又は2組の第1及び第2摺動面を有し、平面視で第1及び第2摺動面が向く角度が互いに異なるように免震層内に複数の耐風装置を配置してもよい。ガイド部材が反力架台を囲むように配置するのではなく、ガイド部材を反力架台が囲むように配置してもよい。
1:耐風装置
2:免震建築物
3:下部構造体(第1構造体)
4:上部構造体(第2構造体)
5:免震層
9:反力架台
10:ブロック体
11:ガイド部材
12:付勢部材
13:ロック部材
14:第1摺動面
15:第2摺動面
16:低摩擦板
17:溝

Claims (8)

  1. 免震建築物における第1構造体と前記第1構造体に対して上下方向の一方に位置する第2構造体との間に免震装置とともに設置される耐風装置であって、
    前記上下方向に変位可能に前記第1構造体に設置され、前記上下方向の前記一方の側に第1摺動面を有する反力架台と、
    前記第1構造体に向かって突出するように前記第2構造体に固定され、突出端部において前記第1摺動面に摺動可能な第2摺動面を有し、前記第2構造体が前記第1構造体に対して水平に変位して前記第2摺動面が前記第1摺動面を摺動することにより前記反力架台を前記上下方向の他方に変位させるブロック体と、
    前記反力架台の前記上下方向の変位をガイドするべく前記第1構造体に固定されたガイド部材と、
    前記反力架台を前記上下方向の前記一方に向かって付勢する付勢部材と
    を備えることを特徴とする耐風装置。
  2. 前記ガイド部材は、前記上下方向の前記一方に向けて開口して、前記反力架台を受容する孔又は溝を有し、前記孔又は溝は、前記反力架台をガイドするべく側面において前記反力架台の側面に摺接することを特徴とする請求項1に記載の耐風装置。
  3. 前記孔又は溝と前記反力架台とは、横断面視で円環形状をなし、
    前記第1摺動面は、半径方向の内側を向くように水平面に対して傾斜した円環形状をなし、
    前記第2摺動面は、前記半径方向の外側を向くように水平面に対して傾斜した円環形状をなし、
    互いに共通の横断面において、前記第2摺動面の半径は前記第1摺動面の半径以下であることを特徴とする請求項2に記載の耐風装置。
  4. 互いに摺接する前記孔又は溝の前記側面と前記反力架台の前記側面との少なくとも一方は、ポリテトラフルオロエチレン加工板又はステンレス板によって形成されたことを特徴とする請求項2又は3に記載の耐風装置。
  5. 前記第1摺動面が前記第2摺動面よりも前記上下方向の前記他方に位置するまで前記ブロック体によって前記反力架台が押し出された時に、前記反力架台の前記上下方向の前記一方への変位を規制するロック部材を更に備えることを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の耐風装置。
  6. 前記ロック部材は、前記第1摺動面が前記第2摺動面よりも前記上下方向の前記他方に位置する前記上下方向の複数の位置において、前記反力架台の前記上下方向の前記一方への変位を規制するとともに前記上下方向の前記他方への変位を許容することを特徴とする請求項5に記載の耐風装置。
  7. 前記第1摺動面と前記第2摺動面との少なくとも一方は、ポリテトラフルオロエチレン加工板又はステンレス板によって形成されたことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の耐風装置。
  8. 前記第1摺動面及び前記第2摺動面は、水平面に対して互いに同じ角度をなすように傾斜していることを特徴とする請求項1~7の何れか一項に記載の耐風装置。
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