JP2012097229A - エポキシ樹脂用硬化剤組成物の製造方法、及び熱硬化性成形材料の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、エポキシ樹脂用硬化剤組成物の製造方法、及び熱硬化性成形材料の製造方法に関する。
電子材料の分野においては、半導体チップや接続部材を種々の外部環境(温度、湿度、応力など)から保護するため、エポキシ樹脂、硬化剤等を含有する封止材料(熱硬化性成形材料)が用いられている。
近年、半導体の高集積化、高性能化等が進み、熱硬化性成形材料に対する要求特性が厳しくなっている。一方、環境面から鉛フリー半田への転換が求められており、半田リフロー温度が高くなってきている。また、難燃剤フリーの要求も増している。そのため、従来のパラキシリレン変性フェノール樹脂を含有する熱硬化性成形材料に比べて耐半田リフロー性、難燃性に優れる熱硬化性成形材料が求められている。
これらの要求を満足させるため、従来、ナフトールと、フェノール類と、縮合剤とを同時に仕込み、これらを反応させて得られるナフトール系アラルキル樹脂を含有する硬化剤組成物を用いてエポキシ樹脂を硬化させる方法が提案されている(たとえば、特許文献1〜3参照)。
また、難燃性を得るため、エポキシ樹脂としてビフェニル型エポキシ化合物を硬化させる方法が知られている。
近年、半導体の高集積化、高性能化等が進み、熱硬化性成形材料に対する要求特性が厳しくなっている。一方、環境面から鉛フリー半田への転換が求められており、半田リフロー温度が高くなってきている。また、難燃剤フリーの要求も増している。そのため、従来のパラキシリレン変性フェノール樹脂を含有する熱硬化性成形材料に比べて耐半田リフロー性、難燃性に優れる熱硬化性成形材料が求められている。
これらの要求を満足させるため、従来、ナフトールと、フェノール類と、縮合剤とを同時に仕込み、これらを反応させて得られるナフトール系アラルキル樹脂を含有する硬化剤組成物を用いてエポキシ樹脂を硬化させる方法が提案されている(たとえば、特許文献1〜3参照)。
また、難燃性を得るため、エポキシ樹脂としてビフェニル型エポキシ化合物を硬化させる方法が知られている。
特許文献1〜3に記載された技術においては、硬化剤にナフトール骨格を導入することで、熱硬化性成形材料の耐熱性と耐半田リフロー性の向上を図ることが可能である。しかしながら、硬化剤の構造中のナフトール含有量が高くなると、硬化剤組成物の溶融粘度が増加し、フィラーの高充填ができなくなる、フィラーを高充填できた場合でも熱硬化性成形材料の流動性が低下して成形不良を起こしやすい等の問題があった。そのため、従来のナフトール系アラルキル樹脂を含有する硬化剤組成物においては、ナフトールの配合量に制限があった。
かかる従来のナフトール系アラルキル樹脂を含有する硬化剤組成物を用いた場合、得られる熱硬化性成形材料は、特に、UL94に規定された20mm炎垂直燃焼試験において難燃性が低く(全焼し)、要求レベル(UL94 V−0)を満足する熱硬化性成形材料を調製するのが困難であった。
かかる従来のナフトール系アラルキル樹脂を含有する硬化剤組成物を用いた場合、得られる熱硬化性成形材料は、特に、UL94に規定された20mm炎垂直燃焼試験において難燃性が低く(全焼し)、要求レベル(UL94 V−0)を満足する熱硬化性成形材料を調製するのが困難であった。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、要求レベル(UL94 V−0)を満足する難燃性の高い熱硬化性成形材料を調製できるエポキシ樹脂用硬化剤組成物の製造方法、及び熱硬化性成形材料の製造方法を提供することを課題とする。
上記の課題を解決するため、本発明は以下の構成を採用した。
すなわち、本発明のエポキシ樹脂用硬化剤組成物の製造方法は、2−ナフトールと、下記一般式(1)で表される縮合剤の1種以上とを反応させる工程(i)と、前記工程(i)で得られた反応生成物から未反応の前記縮合剤を除去する工程(ii)と、前記工程(ii)で未反応の前記縮合剤が除去された前記反応生成物と、下記一般式(2)で表されるフェノール類の1種以上とを反応させる工程(iii)とを有し、前記工程(i)における2−ナフトールと前記縮合剤との混合割合が、モル比で、縮合剤/2−ナフトール=5〜15であることを特徴とする。
すなわち、本発明のエポキシ樹脂用硬化剤組成物の製造方法は、2−ナフトールと、下記一般式(1)で表される縮合剤の1種以上とを反応させる工程(i)と、前記工程(i)で得られた反応生成物から未反応の前記縮合剤を除去する工程(ii)と、前記工程(ii)で未反応の前記縮合剤が除去された前記反応生成物と、下記一般式(2)で表されるフェノール類の1種以上とを反応させる工程(iii)とを有し、前記工程(i)における2−ナフトールと前記縮合剤との混合割合が、モル比で、縮合剤/2−ナフトール=5〜15であることを特徴とする。
本発明のエポキシ樹脂用硬化剤組成物の製造方法においては、前記縮合剤がパラキシレングリコールジメチルエーテルであることが好ましい。
また、本発明の熱硬化性成形材料の製造方法は、前記本発明のエポキシ樹脂用硬化剤組成物の製造方法により製造されたエポキシ樹脂用硬化剤組成物と、エポキシ樹脂とを混合することを特徴とする。
本発明によれば、要求レベル(UL94 V−0)を満足する難燃性の高い熱硬化性成形材料を調製できるエポキシ樹脂用硬化剤組成物の製造方法、及び熱硬化性成形材料の製造方法を提供することができる。
<エポキシ樹脂用硬化剤組成物の製造方法>
本発明のエポキシ樹脂用硬化剤組成物の製造方法は、2−ナフトールと、一般式(1)で表される縮合剤の1種以上とを反応させる工程(i)と、前記工程(i)で得られた反応生成物から未反応の前記縮合剤を除去する工程(ii)と、前記工程(ii)で未反応の前記縮合剤が除去された前記反応生成物と、一般式(2)で表されるフェノール類の1種以上とを反応させる工程(iii)とを有する方法である。
本発明のエポキシ樹脂用硬化剤組成物の製造方法は、2−ナフトールと、一般式(1)で表される縮合剤の1種以上とを反応させる工程(i)と、前記工程(i)で得られた反応生成物から未反応の前記縮合剤を除去する工程(ii)と、前記工程(ii)で未反応の前記縮合剤が除去された前記反応生成物と、一般式(2)で表されるフェノール類の1種以上とを反応させる工程(iii)とを有する方法である。
[工程(i)]
工程(i)では、2−ナフトールと、一般式(1)で表される縮合剤の1種以上とを反応させる。
工程(i)では、2−ナフトールと、一般式(1)で表される縮合剤の1種以上とを反応させる。
(2−ナフトール)
本発明の製造方法においては、ナフトールとして2−ナフトールが用いられる。2−ナフトールを用いることにより、縮合剤との反応を制御しやすく、また、狭分散化が容易となる。
本発明の製造方法においては、ナフトールとして2−ナフトールが用いられる。2−ナフトールを用いることにより、縮合剤との反応を制御しやすく、また、狭分散化が容易となる。
(縮合剤)
工程(i)では、下記一般式(1)で表される縮合剤の1種以上が用いられる。
工程(i)では、下記一般式(1)で表される縮合剤の1種以上が用いられる。
前記式(1)中、Y1及びY2は、2−ナフトールとの反応性とその反応の制御のしやすさの観点から、相互に同じであることが好ましい。
前記式(1)で表される縮合剤のなかで好適なものとしては、下記の化学式で表されるものが挙げられる。
前記式(1)で表される縮合剤のなかで好適なものとしては、下記の化学式で表されるものが挙げられる。
上記のなかでも、2−ナフトールとの反応性がより良好で、その反応を制御しやすいことから、Y1及びY2がいずれもメチル基であるもの、すなわち化学式(1−31)で表されるもの(パラキシレングリコールジメチルエーテル)、化学式(1−41)で表されるもの(4,4’−ビス(メトキシメチル)ビフェニル)が好ましく、パラキシレングリコールジメチルエーテルが特に好ましい。
(2−ナフトールと縮合剤との反応)
2−ナフトールと前記式(1)で表される縮合剤とを反応させる際、2−ナフトールと該縮合剤との混合割合は、モル比で、縮合剤/2−ナフトール=5〜15であり、9〜11であることが好ましい。
このモル比が下限値以上であれば、未反応の2−ナフトールがほとんど残存しなくなり、一方、このモル比が上限値以下であれば、未反応の縮合剤を回収する時間が短くなり、生産性の低下を抑制できる。
ここでの「モル比」とは、工程(i)で反応に用いる2−ナフトールと縮合剤のそれぞれの使用量(仕込み量)をモル換算した比率を意味する。
2−ナフトールと前記式(1)で表される縮合剤とを反応させる際、2−ナフトールと該縮合剤との混合割合は、モル比で、縮合剤/2−ナフトール=5〜15であり、9〜11であることが好ましい。
このモル比が下限値以上であれば、未反応の2−ナフトールがほとんど残存しなくなり、一方、このモル比が上限値以下であれば、未反応の縮合剤を回収する時間が短くなり、生産性の低下を抑制できる。
ここでの「モル比」とは、工程(i)で反応に用いる2−ナフトールと縮合剤のそれぞれの使用量(仕込み量)をモル換算した比率を意味する。
2−ナフトールと前記式(1)で表される縮合剤とを反応させる際の反応温度は、110〜180℃であることが好ましく、140〜160℃であることがより好ましい。反応温度を好ましい下限値以上にすることで、反応がスムーズに、充分に進行する。一方、反応温度を好ましい上限値以下にすることで、反応を容易に制御することができる。
反応時間は1〜10時間であることが好ましく、4〜6時間であることがより好ましい。反応時間が好ましい下限値以上であれば、反応が充分に進行する。一方、反応時間を好ましい上限値以下にすることで、生産性の低下を抑制できる。
反応時間は1〜10時間であることが好ましく、4〜6時間であることがより好ましい。反応時間が好ましい下限値以上であれば、反応が充分に進行する。一方、反応時間を好ましい上限値以下にすることで、生産性の低下を抑制できる。
2−ナフトールと前記式(1)で表される縮合剤との反応は、酸性触媒の存在下で行うことが好ましい。
酸性触媒としては、塩酸、硫酸、リン酸、蟻酸、酢酸、蓚酸、酪酸、乳酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、硼酸、又は塩化亜鉛もしくは酢酸亜鉛などの金属との塩等が挙げられる。前記酸性触媒は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
酸性触媒としては、塩酸、硫酸、リン酸、蟻酸、酢酸、蓚酸、酪酸、乳酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、硼酸、又は塩化亜鉛もしくは酢酸亜鉛などの金属との塩等が挙げられる。前記酸性触媒は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
2−ナフトールと前記式(1)で表される縮合剤との反応においては、副生成物としてメタノール又は水が生成する。これらの副生成物は、工程(i)における反応を真空下で行うことによって、反応系外へ除去することが好ましい。メタノール、水を除去することにより、工程(i)での反応が促進する。
工程(i)における反応を行う際の圧力は、−87.8〜−61.3kPaに制御することが好ましい。
工程(i)における反応を行う際の圧力は、−87.8〜−61.3kPaに制御することが好ましい。
所定の反応温度、反応時間で、2−ナフトールと前記式(1)で表される縮合剤とを反応させた後、95℃以下まで冷却して中和を行うことが好ましい。該中和により、工程(i)における反応を止めることができる。
[工程(ii)]
工程(ii)では、前記工程(i)で得られた反応生成物から未反応の前記縮合剤を除去する。
該反応生成物から未反応の前記縮合剤を除去する方法としては、減圧蒸留、水蒸気蒸留などの方法が挙げられる。
減圧蒸留を行う場合、反応生成物から未反応の縮合剤を効率良く除去できることから、減圧蒸留を行う際の圧力は−98.6kPa以下に制御することが好ましく、減圧蒸留を行う際の温度は180〜250℃に制御することが好ましく、210〜230℃に制御することがより好ましく、減圧蒸留を行う時間は0.5〜3時間とすることが好ましい。
工程(ii)では、前記工程(i)で得られた反応生成物から未反応の前記縮合剤を除去する。
該反応生成物から未反応の前記縮合剤を除去する方法としては、減圧蒸留、水蒸気蒸留などの方法が挙げられる。
減圧蒸留を行う場合、反応生成物から未反応の縮合剤を効率良く除去できることから、減圧蒸留を行う際の圧力は−98.6kPa以下に制御することが好ましく、減圧蒸留を行う際の温度は180〜250℃に制御することが好ましく、210〜230℃に制御することがより好ましく、減圧蒸留を行う時間は0.5〜3時間とすることが好ましい。
[工程(iii)]
工程(iii)では、前記工程(ii)で未反応の前記縮合剤が除去された前記反応生成物と、一般式(2)で表されるフェノール類の1種以上とを反応させる。
工程(iii)では、前記工程(ii)で未反応の前記縮合剤が除去された前記反応生成物と、一般式(2)で表されるフェノール類の1種以上とを反応させる。
(フェノール類)
工程(iii)では、下記一般式(2)で表されるフェノール類の1種以上が用いられる。
工程(iii)では、下記一般式(2)で表されるフェノール類の1種以上が用いられる。
前記式(2)において、Rがメチル基の場合、その結合位置はオルト位、メタ位、又はパラ位のいずれでもよい。
なかでも、前記式(2)で表されるフェノール類としては、安価であり、反応性と難燃性に優れ、大量に使用しても容易にリサイクル可能であることから、フェノール(Rが水素原子であるもの)が最も好ましい。
なかでも、前記式(2)で表されるフェノール類としては、安価であり、反応性と難燃性に優れ、大量に使用しても容易にリサイクル可能であることから、フェノール(Rが水素原子であるもの)が最も好ましい。
(反応生成物とフェノール類との反応)
前記式(2)で表されるフェノール類の使用量は、工程(i)における2−ナフトールの使用量(仕込み量)を基準として、モル比で、フェノール類/2−ナフトール=10〜20であることが好ましく、14〜18であることがより好ましい。
このモル比が好ましい下限値以上であれば、工程(ii)で未反応の縮合剤が除去された反応生成物と、フェノール類との反応が充分に進行し、硬化剤組成物の構造中に含まれる2−ナフトールの割合が高くなりすぎず、硬化剤組成物の高分子量化が抑制される。これにより、分散度の小さい硬化剤組成物が得られやすくなる。一方、このモル比が好ましい上限値以下であれば、余剰のフェノール類が少なく、生産性の低下を抑制できる。
ここでの「モル比」とは、工程(iii)で用いるフェノール類と、工程(i)で用いる2−ナフトールのそれぞれの使用量(仕込み量)をモル換算した比率を意味する。
前記式(2)で表されるフェノール類の使用量は、工程(i)における2−ナフトールの使用量(仕込み量)を基準として、モル比で、フェノール類/2−ナフトール=10〜20であることが好ましく、14〜18であることがより好ましい。
このモル比が好ましい下限値以上であれば、工程(ii)で未反応の縮合剤が除去された反応生成物と、フェノール類との反応が充分に進行し、硬化剤組成物の構造中に含まれる2−ナフトールの割合が高くなりすぎず、硬化剤組成物の高分子量化が抑制される。これにより、分散度の小さい硬化剤組成物が得られやすくなる。一方、このモル比が好ましい上限値以下であれば、余剰のフェノール類が少なく、生産性の低下を抑制できる。
ここでの「モル比」とは、工程(iii)で用いるフェノール類と、工程(i)で用いる2−ナフトールのそれぞれの使用量(仕込み量)をモル換算した比率を意味する。
工程(ii)で未反応の縮合剤が除去された反応生成物と、フェノール類とを反応させる際の反応温度は、80〜200℃であることが好ましく、130〜170℃であることがより好ましい。反応温度を好ましい下限値以上にすることで、反応がスムーズに、充分に進行する。一方、反応温度を好ましい上限値以下にすることで、反応を容易に制御することができる。
反応時間は0.5〜6時間であることが好ましく、1〜3時間であることがより好ましい。反応時間が好ましい下限値以上であれば、反応が充分に進行する。一方、反応時間を好ましい上限値以下にすることで、生産性の低下を抑制できる。
反応時間は0.5〜6時間であることが好ましく、1〜3時間であることがより好ましい。反応時間が好ましい下限値以上であれば、反応が充分に進行する。一方、反応時間を好ましい上限値以下にすることで、生産性の低下を抑制できる。
工程(ii)で未反応の縮合剤が除去された反応生成物と、フェノール類との反応は、酸性触媒の存在下で行うことが好ましい。酸性触媒としては、工程(i)についての説明のなかで例示した酸性触媒と同様のものが挙げられる。
工程(ii)で未反応の縮合剤が除去された反応生成物と、フェノール類との反応においては、副生成物としてメタノール又は水が生成する。これらの副生成物は、工程(iii)における反応を常圧下で行うことによって、反応系外へ除去することが好ましい。メタノール、水を除去することにより、工程(iii)での反応が促進する。
所定の反応温度、反応時間でフェノール類を反応させた後、95℃以下まで冷却して中和を行うことが好ましい。該中和により、反応に用いた酸性触媒の塩が形成されて、酸性触媒を反応系から除去するのが容易となる。
また、フェノール類を反応させて、中和を行った後、必要に応じて、未反応のフェノール類等を除去し、水洗を行い、又は濃縮等を行うことにより、最終的に硬化剤組成物を得てもよい。
未反応のフェノール類等を除去する際の圧力は、−98.6〜−93.3kPaに制御することが好ましく、未反応のフェノール類等を除去する際の温度は、170〜190℃に制御することが好ましく、未反応のフェノール類等の除去を行う時間は、30〜120分間とすることが好ましい。
また、フェノール類を反応させて、中和を行った後、必要に応じて、未反応のフェノール類等を除去し、水洗を行い、又は濃縮等を行うことにより、最終的に硬化剤組成物を得てもよい。
未反応のフェノール類等を除去する際の圧力は、−98.6〜−93.3kPaに制御することが好ましく、未反応のフェノール類等を除去する際の温度は、170〜190℃に制御することが好ましく、未反応のフェノール類等の除去を行う時間は、30〜120分間とすることが好ましい。
(エポキシ樹脂用硬化剤組成物)
本発明のエポキシ樹脂用硬化剤組成物の製造方法においては、分散度(Mw/Mn)の小さい硬化剤組成物が製造される。具体的には、分散度(Mw/Mn)が1.20〜1.40の範囲である硬化剤組成物が容易に得られる。
また、本発明のエポキシ樹脂用硬化剤組成物の製造方法においては、未反応のナフトールの除去を目的とした操作を行わなくても、未反応のナフトール含有量の少ない硬化剤組成物が製造される。具体的には、未反応のナフトール含有量が1質量%以下の範囲である硬化剤組成物が容易に得られる。
ここで「分散度(Mw/Mn)」と「未反応のナフトール含有量」は、標準物質をポリスチレンとしたGPC法により測定される値をそれぞれ示す。なお、Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量をそれぞれ意味する。
本発明のエポキシ樹脂用硬化剤組成物の製造方法においては、分散度(Mw/Mn)の小さい硬化剤組成物が製造される。具体的には、分散度(Mw/Mn)が1.20〜1.40の範囲である硬化剤組成物が容易に得られる。
また、本発明のエポキシ樹脂用硬化剤組成物の製造方法においては、未反応のナフトールの除去を目的とした操作を行わなくても、未反応のナフトール含有量の少ない硬化剤組成物が製造される。具体的には、未反応のナフトール含有量が1質量%以下の範囲である硬化剤組成物が容易に得られる。
ここで「分散度(Mw/Mn)」と「未反応のナフトール含有量」は、標準物質をポリスチレンとしたGPC法により測定される値をそれぞれ示す。なお、Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量をそれぞれ意味する。
また、本発明のエポキシ樹脂用硬化剤組成物の製造方法においては、軟化点又は溶融粘度が従来のものと同程度に低い硬化剤組成物が製造される。
具体的には、軟化点が60〜90℃の範囲、溶融粘度が50〜300mPa・sの範囲である硬化剤組成物が容易に得られる。これは、本発明により得られる硬化剤組成物の分散度が小さい(狭分散である)ことに因る、と考えられる。
ここで「軟化点」は、JIS K 6910に準拠した方法により測定される値を示す。
「溶融粘度」は、粘度計(ブルックフィールド社製のCAP2000 VISCOMETER)を使用し、温度条件を150℃に設定することにより測定される値を示す。
具体的には、軟化点が60〜90℃の範囲、溶融粘度が50〜300mPa・sの範囲である硬化剤組成物が容易に得られる。これは、本発明により得られる硬化剤組成物の分散度が小さい(狭分散である)ことに因る、と考えられる。
ここで「軟化点」は、JIS K 6910に準拠した方法により測定される値を示す。
「溶融粘度」は、粘度計(ブルックフィールド社製のCAP2000 VISCOMETER)を使用し、温度条件を150℃に設定することにより測定される値を示す。
<熱硬化性成形材料の製造方法>
本発明の熱硬化性成形材料の製造方法は、前記本発明のエポキシ樹脂用硬化剤組成物の製造方法により製造されたエポキシ樹脂用硬化剤組成物と、エポキシ樹脂とを混合することにより熱硬化性成形材料を製造する方法である。
本発明の熱硬化性成形材料の製造方法は、前記本発明のエポキシ樹脂用硬化剤組成物の製造方法により製造されたエポキシ樹脂用硬化剤組成物と、エポキシ樹脂とを混合することにより熱硬化性成形材料を製造する方法である。
(エポキシ樹脂)
エポキシ樹脂としては、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、ビスフェノールA型、ビフェニル型等の従来公知のものが挙げられる。
エポキシ樹脂としては、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、ビスフェノールA型、ビフェニル型等の従来公知のものが挙げられる。
(熱硬化性成形材料)
エポキシ樹脂とエポキシ樹脂用硬化剤組成物との混合割合は、要求される特性(耐熱性、耐湿性、流動性、難燃性、耐半田リフロー性など)に優れることから、エポキシ樹脂中のエポキシ基当量と、硬化剤組成物中の水酸基当量とが、当量比で、水酸基/エポキシ基=0.8〜1.2であることが好ましく、0.9〜1であることがより好ましい。
エポキシ樹脂とエポキシ樹脂用硬化剤組成物との混合割合は、要求される特性(耐熱性、耐湿性、流動性、難燃性、耐半田リフロー性など)に優れることから、エポキシ樹脂中のエポキシ基当量と、硬化剤組成物中の水酸基当量とが、当量比で、水酸基/エポキシ基=0.8〜1.2であることが好ましく、0.9〜1であることがより好ましい。
熱硬化性成形材料は、エポキシ樹脂とエポキシ樹脂用硬化剤組成物以外に、その他成分を含有してもよい。
その他成分としては、充填剤(フィラー)、硬化促進剤、離型剤、表面処理剤、着色剤、可撓性付与剤などが挙げられる。
その他成分としては、充填剤(フィラー)、硬化促進剤、離型剤、表面処理剤、着色剤、可撓性付与剤などが挙げられる。
充填剤(フィラー)としては、結晶性シリカ粉、溶融性シリカ粉、石英ガラス粉、タルク、ケイ酸カルシウム粉、ケイ酸ジルコニウム粉、アルミナ粉、炭酸カルシウム粉等が挙げられ、結晶性シリカ粉、溶融性シリカ粉が好ましい。
熱硬化性成形材料中の充填剤の含有割合は75〜95質量%であることが好ましく、80〜90質量%であることがより好ましい。充填剤の含有割合が好ましい下限値以上であれば、硬化の際、熱膨張の発生が抑制される。一方、充填剤の含有割合が好ましい上限値以下であれば、充分な流動性が得られ、成形性が向上する。本発明の硬化剤組成物を用いると、従来よりも多量の充填剤を安定に配合することができる。
熱硬化性成形材料中の充填剤の含有割合は75〜95質量%であることが好ましく、80〜90質量%であることがより好ましい。充填剤の含有割合が好ましい下限値以上であれば、硬化の際、熱膨張の発生が抑制される。一方、充填剤の含有割合が好ましい上限値以下であれば、充分な流動性が得られ、成形性が向上する。本発明の硬化剤組成物を用いると、従来よりも多量の充填剤を安定に配合することができる。
硬化促進剤としては、トリフェニルホスフィン、トリス−2,6−ジメトキシフェニルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィン、亜リン酸トリフェニルなどのリン化合物;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール類;2−ジメチルアミノメチルフェノール、ベンジルジメチルアミン、α−メチルベンジルメチルアミンなどの三級アミン類;1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7の有機酸塩類などが挙げられる。
離型剤としては、たとえばカルナバワックス等の各種ワックス類などが挙げられる。
表面処理剤としては公知のシランカップリング剤など、着色剤としてはカーボンブラックなど、可撓性付与剤としてはシリコーン樹脂、ブタジエン−アクリロニトリルゴムなど、がそれぞれ挙げられる。
離型剤としては、たとえばカルナバワックス等の各種ワックス類などが挙げられる。
表面処理剤としては公知のシランカップリング剤など、着色剤としてはカーボンブラックなど、可撓性付与剤としてはシリコーン樹脂、ブタジエン−アクリロニトリルゴムなど、がそれぞれ挙げられる。
熱硬化性成形材料の硬化は、温度を100〜200℃に制御して行うことが好ましい。
硬化操作の一例として、いったん前記の好適な温度で30秒間以上、1時間以下の硬化を行った後、前記の好適な温度で1〜20時間の後硬化を行う方法が挙げられる。
硬化操作の一例として、いったん前記の好適な温度で30秒間以上、1時間以下の硬化を行った後、前記の好適な温度で1〜20時間の後硬化を行う方法が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂用硬化剤組成物の製造方法で得られたエポキシ樹脂用硬化剤組成物を用いれば、要求レベル(UL94 V−0)を満足する難燃性の高い熱硬化性成形材料を調製できる。
このように、難燃性の高い熱硬化性成形材料を調製できる理由は定かではないが、以下のように推測される。
すなわち、本発明のエポキシ樹脂用硬化剤組成物の製造方法においては、以下に示す合成経路で、化合物(Z1−1)と化合物(Z2−1)と化合物(Z3−1)とを含有する硬化剤組成物が製造されていると考えられる。
まず、工程(i)においては、2−ナフトールと、縮合剤として化合物(1)とが反応することにより、化合物(Z1)、化合物(Z2)、化合物(Z3)が主に得られる。縮合剤と2−ナフトールのみが反応することにより、2−ナフトールのほとんど全てが消費されるため、未反応の2−ナフトール含有量の少ない硬化剤組成物が最終的に得られる。
次いで、工程(ii)において、未反応の化合物(1)が除去される。これにより、次の工程(iii)では、工程(i)で得られた反応生成物中の縮合剤由来の末端基(−Y1)とだけフェノール類が反応するようになる。
次いで、工程(iii)において、化合物(Z1)、化合物(Z2)及び化合物(Z3)と、フェノール類として化合物(2)とが反応することにより、化合物(Z1−1)と化合物(Z2−1)と化合物(Z3−1)とを含有する硬化剤組成物が製造される。
なお、以下本明細書においては、式(1)で表される化合物を「化合物(1)」と呼ぶものとし、他の化学式で表される化合物についても同様に呼ぶものとする。
このように、難燃性の高い熱硬化性成形材料を調製できる理由は定かではないが、以下のように推測される。
すなわち、本発明のエポキシ樹脂用硬化剤組成物の製造方法においては、以下に示す合成経路で、化合物(Z1−1)と化合物(Z2−1)と化合物(Z3−1)とを含有する硬化剤組成物が製造されていると考えられる。
まず、工程(i)においては、2−ナフトールと、縮合剤として化合物(1)とが反応することにより、化合物(Z1)、化合物(Z2)、化合物(Z3)が主に得られる。縮合剤と2−ナフトールのみが反応することにより、2−ナフトールのほとんど全てが消費されるため、未反応の2−ナフトール含有量の少ない硬化剤組成物が最終的に得られる。
次いで、工程(ii)において、未反応の化合物(1)が除去される。これにより、次の工程(iii)では、工程(i)で得られた反応生成物中の縮合剤由来の末端基(−Y1)とだけフェノール類が反応するようになる。
次いで、工程(iii)において、化合物(Z1)、化合物(Z2)及び化合物(Z3)と、フェノール類として化合物(2)とが反応することにより、化合物(Z1−1)と化合物(Z2−1)と化合物(Z3−1)とを含有する硬化剤組成物が製造される。
なお、以下本明細書においては、式(1)で表される化合物を「化合物(1)」と呼ぶものとし、他の化学式で表される化合物についても同様に呼ぶものとする。
上記のように反応を行うことにより、[−(2−ナフトール)−CH2−X−CH2−]単位を有するブロック重合体である、化合物(Z2−1)と化合物(Z3−1)とを含む硬化剤組成物が得られる。
かかるブロック重合体を含む硬化剤組成物を用いてエポキシ樹脂を硬化させた場合、得られる熱硬化性成形材料(硬化後)は、燃焼時に炭化層をつくりやすい構造を有する、と推測される。そのため、本発明の製造方法で得られたエポキシ樹脂用硬化剤組成物を用いることにより、UL94 V−0を満足する難燃性の高い熱硬化性成形材料を調製できる、と推測される。
なお、本発明の製造方法で得られるエポキシ樹脂用硬化剤組成物には、前記ブロック重合体以外にも、化合物(Z1−1)が多く含まれていると推定されるが、この化合物(Z1−1)の難燃性への寄与については定かではない。
かかるブロック重合体を含む硬化剤組成物を用いてエポキシ樹脂を硬化させた場合、得られる熱硬化性成形材料(硬化後)は、燃焼時に炭化層をつくりやすい構造を有する、と推測される。そのため、本発明の製造方法で得られたエポキシ樹脂用硬化剤組成物を用いることにより、UL94 V−0を満足する難燃性の高い熱硬化性成形材料を調製できる、と推測される。
なお、本発明の製造方法で得られるエポキシ樹脂用硬化剤組成物には、前記ブロック重合体以外にも、化合物(Z1−1)が多く含まれていると推定されるが、この化合物(Z1−1)の難燃性への寄与については定かではない。
さらに、本発明の製造方法で得られたエポキシ樹脂用硬化剤組成物を用いてエポキシ樹脂を硬化させることによって、難燃性が高いことに加えて、耐熱性、流動性、耐湿性がいずれも良好で、かつ、耐半田リフロー性の良好な熱硬化性成形材料を調製できる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<評価>
本実施例において、硬化剤組成物についての分散度(Mw/Mn)、軟化点、溶融粘度、未反応のナフトール含有量、及び構造中のナフトール/フェノールのモル比率は、以下の方法によりそれぞれ測定した。また、熱硬化性成形材料についての流動性(スパイラルフロー)、ガラス転移温度、吸水率、熱時貯蔵弾性率、耐半田リフロー性及び難燃性は、以下の方法によりそれぞれ測定した。
<評価>
本実施例において、硬化剤組成物についての分散度(Mw/Mn)、軟化点、溶融粘度、未反応のナフトール含有量、及び構造中のナフトール/フェノールのモル比率は、以下の方法によりそれぞれ測定した。また、熱硬化性成形材料についての流動性(スパイラルフロー)、ガラス転移温度、吸水率、熱時貯蔵弾性率、耐半田リフロー性及び難燃性は、以下の方法によりそれぞれ測定した。
[分散度(Mw/Mn)]
硬化剤組成物の分散度(Mw/Mn)は、下記のGPC測定装置とカラムを使用し、標準物質をポリスチレンとして測定した。
GPC測定装置:東ソー社製のHLC8120GPC。
カラム:TSKgel G3000H+G2000H+G2000H。
硬化剤組成物の分散度(Mw/Mn)は、下記のGPC測定装置とカラムを使用し、標準物質をポリスチレンとして測定した。
GPC測定装置:東ソー社製のHLC8120GPC。
カラム:TSKgel G3000H+G2000H+G2000H。
[軟化点]
硬化剤組成物の軟化点(℃)は、JIS K 6910に準拠した方法により測定した。
硬化剤組成物の軟化点(℃)は、JIS K 6910に準拠した方法により測定した。
[溶融粘度]
硬化剤組成物の溶融粘度(mPa・s)は、粘度計(ブルックフィールド社製のCAP2000 VISCOMETER)を使用し、温度条件を150℃に設定することにより測定した。
硬化剤組成物の溶融粘度(mPa・s)は、粘度計(ブルックフィールド社製のCAP2000 VISCOMETER)を使用し、温度条件を150℃に設定することにより測定した。
[未反応のナフトール含有量]
硬化剤組成物に含まれる未反応のナフトール含有量(質量%)は、GPC測定装置(東ソー社製のHLC8120GPC)を使用し、標準物質をポリスチレンとして測定した。
硬化剤組成物に含まれる未反応のナフトール含有量(質量%)は、GPC測定装置(東ソー社製のHLC8120GPC)を使用し、標準物質をポリスチレンとして測定した。
[構造中のナフトール/フェノールのモル比率]
硬化剤組成物の構造中に含まれるナフトールとフェノールとの割合を、13C−NMRを使用して、ナフトール/フェノールのモル比率として測定した。
硬化剤組成物の構造中に含まれるナフトールとフェノールとの割合を、13C−NMRを使用して、ナフトール/フェノールのモル比率として測定した。
[流動性(スパイラルフロー)]
熱硬化性成形材料の流動性(スパイラルフロー)は、JIS K 6910に準拠した方法により測定した。
この流動性は、熱硬化性成形材料(硬化前)が溶融してから硬化するまでに流れた流動長さ(cm)を指標としていることから、該流動長さが長いほど流動性が高く、成形しやすいことを意味する。
熱硬化性成形材料の流動性(スパイラルフロー)は、JIS K 6910に準拠した方法により測定した。
この流動性は、熱硬化性成形材料(硬化前)が溶融してから硬化するまでに流れた流動長さ(cm)を指標としていることから、該流動長さが長いほど流動性が高く、成形しやすいことを意味する。
[ガラス転移温度]
熱硬化性成形材料(硬化後)のガラス転移温度(℃)は、熱硬化性成形材料(硬化前)をトランスファー成形(175℃−120秒間)することによって作製した試験片(幅2mm×長さ30mm×厚さ1mm)を180℃−5時間で後硬化させたものについて、粘弾性スペクトロメーター(セイコーインスツルーメンツ製のDMS110)を使用し、10℃/分の昇温速度で30〜300℃の範囲を測定することにより求めた。
このガラス転移温度が高いほど、耐熱性に優れていることを意味する。
熱硬化性成形材料(硬化後)のガラス転移温度(℃)は、熱硬化性成形材料(硬化前)をトランスファー成形(175℃−120秒間)することによって作製した試験片(幅2mm×長さ30mm×厚さ1mm)を180℃−5時間で後硬化させたものについて、粘弾性スペクトロメーター(セイコーインスツルーメンツ製のDMS110)を使用し、10℃/分の昇温速度で30〜300℃の範囲を測定することにより求めた。
このガラス転移温度が高いほど、耐熱性に優れていることを意味する。
[吸水率]
熱硬化性成形材料(硬化後)の吸水率(%)は、熱硬化性成形材料(硬化前)をトランスファー成形(175℃−120秒間)することによって作製した吸水率評価用の試験片(直径50mm、厚さ3mm)を180℃−5時間で後硬化させたものについて、一定量の純水を入れたプレッシャークッカーを使用し、121℃の条件下で20時間経過前後の質量変化を測定することにより算出した。
この吸水率が小さいほど、耐湿性に優れていることを意味する。
熱硬化性成形材料(硬化後)の吸水率(%)は、熱硬化性成形材料(硬化前)をトランスファー成形(175℃−120秒間)することによって作製した吸水率評価用の試験片(直径50mm、厚さ3mm)を180℃−5時間で後硬化させたものについて、一定量の純水を入れたプレッシャークッカーを使用し、121℃の条件下で20時間経過前後の質量変化を測定することにより算出した。
この吸水率が小さいほど、耐湿性に優れていることを意味する。
[熱時貯蔵弾性率]
熱硬化性成形材料(硬化後)の熱時貯蔵弾性率(GPa)は、熱硬化性成形材料(硬化前)をトランスファー成形(175℃−120秒間)することによって作製した試験片(幅2mm×長さ30mm×厚さ1mm)を180℃−5時間で後硬化させたものについて、粘度スペクトロメーター(セイコーインスツルーメンツ製のDMS110)を使用し、10℃/分の昇温速度で30〜300℃の範囲を測定することにより、ガラス転移温度後の弾性率を求めた。
この弾性率が低いほど、耐半田リフロー性に優れていることを意味する。
熱硬化性成形材料(硬化後)の熱時貯蔵弾性率(GPa)は、熱硬化性成形材料(硬化前)をトランスファー成形(175℃−120秒間)することによって作製した試験片(幅2mm×長さ30mm×厚さ1mm)を180℃−5時間で後硬化させたものについて、粘度スペクトロメーター(セイコーインスツルーメンツ製のDMS110)を使用し、10℃/分の昇温速度で30〜300℃の範囲を測定することにより、ガラス転移温度後の弾性率を求めた。
この弾性率が低いほど、耐半田リフロー性に優れていることを意味する。
[耐半田リフロー性]
耐半田リフロー性試験用にタブレット化した熱硬化性成形材料(硬化後)を使用し、4,2アロイフレーム上に2mm×2mm×1mmのシリコンチップを搭載した模擬素子を用いて、トランスファー成形、注型することにより模擬素子を封止した。
この封止された模擬素子を、260℃の半田浴に10秒間2回浸漬した後、超音波顕微鏡を用いて、シリコンチップと熱硬化性成形材料との界面の剥離又はクラックの状態について観察した。
前記の浸漬前後で変化しないものを○、浸漬前後で剥離又はクラックの発生が認められたものを×として評価した。
耐半田リフロー性試験用にタブレット化した熱硬化性成形材料(硬化後)を使用し、4,2アロイフレーム上に2mm×2mm×1mmのシリコンチップを搭載した模擬素子を用いて、トランスファー成形、注型することにより模擬素子を封止した。
この封止された模擬素子を、260℃の半田浴に10秒間2回浸漬した後、超音波顕微鏡を用いて、シリコンチップと熱硬化性成形材料との界面の剥離又はクラックの状態について観察した。
前記の浸漬前後で変化しないものを○、浸漬前後で剥離又はクラックの発生が認められたものを×として評価した。
[難燃性]
熱硬化性成形材料(硬化後)の難燃性は、熱硬化性成形材料(硬化前)をトランスファー成形(175℃−120秒間)することによって作製した難燃性評価用の試験片(幅13mm×長さ125mm×厚さ3.2mm)を180℃−5時間で後硬化させたものに対して、UL94に規定された20mm炎垂直燃焼試験を行い、UL94 V−0規格の判定基準に従って評価した。
熱硬化性成形材料(硬化後)の難燃性は、熱硬化性成形材料(硬化前)をトランスファー成形(175℃−120秒間)することによって作製した難燃性評価用の試験片(幅13mm×長さ125mm×厚さ3.2mm)を180℃−5時間で後硬化させたものに対して、UL94に規定された20mm炎垂直燃焼試験を行い、UL94 V−0規格の判定基準に従って評価した。
<硬化剤組成物の製造例>
(実施例1)。
[工程(i)]
温度計、撹拌機及び冷却管を備えた内容量1Lのガラス製フラスコに、2−ナフトール72g(0.5mol)と、パラキシレングリコールジメチルエーテル(PXDM)830g(5.0mol)とを入れ、100℃まで昇温して2−ナフトールを溶解させた。この溶液にパラトルエンスルホン酸8.3gを添加し、150℃で保持しながら5時間反応させた。このとき発生するメタノールは、反応を行いながら系外へ真空下(−74.6kPa)で除去した。次に、95℃まで冷却し、48質量%KOH水溶液で中和した。
[工程(ii)]
次いで、大過剰の未反応のPXDMを、220℃で1時間、真空下(−98.6kPa)で除去した。
[工程(iii)]
次いで、冷却して170℃(フェノールの沸点を下回る温度)で、フェノール752g(8.0mol)と、パラトルエンスルホン酸4.1gとを添加し、150℃にて2時間反応させた。このとき発生するメタノールは、常圧下で該反応を行いながら系外へ除去した。
反応終了後95℃まで冷却し、48質量%KOH水溶液で中和した。その後、185℃、真空下(−94.6kPa)で未反応のフェノール等を除去し、水洗、濃縮を行うことにより硬化剤組成物(A)を得た。
(実施例1)。
[工程(i)]
温度計、撹拌機及び冷却管を備えた内容量1Lのガラス製フラスコに、2−ナフトール72g(0.5mol)と、パラキシレングリコールジメチルエーテル(PXDM)830g(5.0mol)とを入れ、100℃まで昇温して2−ナフトールを溶解させた。この溶液にパラトルエンスルホン酸8.3gを添加し、150℃で保持しながら5時間反応させた。このとき発生するメタノールは、反応を行いながら系外へ真空下(−74.6kPa)で除去した。次に、95℃まで冷却し、48質量%KOH水溶液で中和した。
[工程(ii)]
次いで、大過剰の未反応のPXDMを、220℃で1時間、真空下(−98.6kPa)で除去した。
[工程(iii)]
次いで、冷却して170℃(フェノールの沸点を下回る温度)で、フェノール752g(8.0mol)と、パラトルエンスルホン酸4.1gとを添加し、150℃にて2時間反応させた。このとき発生するメタノールは、常圧下で該反応を行いながら系外へ除去した。
反応終了後95℃まで冷却し、48質量%KOH水溶液で中和した。その後、185℃、真空下(−94.6kPa)で未反応のフェノール等を除去し、水洗、濃縮を行うことにより硬化剤組成物(A)を得た。
(比較例1)
温度計、撹拌機及び冷却管を備えた内容量1Lのガラス製フラスコに、フェノール235g(2.5mol)と、PXDM166g(1.0mol)とを入れ、この溶液にパラトルエンスルホン酸0.4gを添加し、150℃にて3時間反応させた。このとき発生するメタノールは、常圧下で該反応を行いながら系外へ除去した。
反応終了後95℃まで冷却し、48質量%KOH水溶液で中和した。その後、185℃、真空下(−94.6kPa)で未反応の原料等を除去し、水洗、濃縮を行うことにより硬化剤組成物(B)を得た。
温度計、撹拌機及び冷却管を備えた内容量1Lのガラス製フラスコに、フェノール235g(2.5mol)と、PXDM166g(1.0mol)とを入れ、この溶液にパラトルエンスルホン酸0.4gを添加し、150℃にて3時間反応させた。このとき発生するメタノールは、常圧下で該反応を行いながら系外へ除去した。
反応終了後95℃まで冷却し、48質量%KOH水溶液で中和した。その後、185℃、真空下(−94.6kPa)で未反応の原料等を除去し、水洗、濃縮を行うことにより硬化剤組成物(B)を得た。
(比較例2)
温度計、撹拌機及び冷却管を備えた内容量1Lのガラス製フラスコに、2−ナフトール86.4g(0.6mol)と、PXDM166g(1.0mol)とを入れ、この溶液にパラトルエンスルホン酸0.6gを添加し、110℃で保持しながら2時間反応させた。このとき発生するメタノールは、反応を行いながら系外へ真空下(−74.6kPa)で除去した。
次いで、冷却して170℃(フェノールの沸点を下回る温度)で、フェノール225.6g(2.4mol)を添加し、さらに150℃にて1.5時間反応させた。このとき発生するメタノールは、常圧下で該反応を行いながら系外へ除去した。
反応終了後95℃まで冷却し、48質量%KOH水溶液で中和した。その後、185℃、真空下(−94.6kPa)で未反応の原料等を除去し、水洗、濃縮を行うことにより硬化剤組成物(C)を得た。
温度計、撹拌機及び冷却管を備えた内容量1Lのガラス製フラスコに、2−ナフトール86.4g(0.6mol)と、PXDM166g(1.0mol)とを入れ、この溶液にパラトルエンスルホン酸0.6gを添加し、110℃で保持しながら2時間反応させた。このとき発生するメタノールは、反応を行いながら系外へ真空下(−74.6kPa)で除去した。
次いで、冷却して170℃(フェノールの沸点を下回る温度)で、フェノール225.6g(2.4mol)を添加し、さらに150℃にて1.5時間反応させた。このとき発生するメタノールは、常圧下で該反応を行いながら系外へ除去した。
反応終了後95℃まで冷却し、48質量%KOH水溶液で中和した。その後、185℃、真空下(−94.6kPa)で未反応の原料等を除去し、水洗、濃縮を行うことにより硬化剤組成物(C)を得た。
各例で得られた硬化剤組成物について、分散度(Mw/Mn)、軟化点、溶融粘度、未反応のナフトール含有量、構造中のナフトール/フェノールのモル比率をそれぞれ測定した結果を表1に示す。
表1の結果から、実施例1で得られた硬化剤組成物(A)は、比較例1〜2で得られた硬化剤組成物(B)、(C)に比べて、分散度が小さくなっていることが分かる。
また、実施例1で得られた硬化剤組成物(A)は、軟化点と溶融粘度がいずれも、比較例1で得られた硬化剤組成物(B)と同程度であった。
また、実施例1で得られた硬化剤組成物(A)は、硬化剤組成物の構造中に含まれているナフトールの割合が、比較例2で得られた硬化剤組成物(C)と同じであるものの、該硬化剤組成物(C)よりも溶融粘度が低いことが分かる。
また、実施例1で得られた硬化剤組成物(A)は、軟化点と溶融粘度がいずれも、比較例1で得られた硬化剤組成物(B)と同程度であった。
また、実施例1で得られた硬化剤組成物(A)は、硬化剤組成物の構造中に含まれているナフトールの割合が、比較例2で得られた硬化剤組成物(C)と同じであるものの、該硬化剤組成物(C)よりも溶融粘度が低いことが分かる。
<熱硬化性成形材料の製造例>
(実施例2〜3、比較例3〜4)
表2に示す組成に従い、各原料を混合して熱硬化性成形材料を調製した。
エポキシ樹脂及び硬化剤組成物は、エポキシ樹脂中のエポキシ基当量と、硬化剤組成物中の水酸基当量との当量比が1となるように配合量を設定した。
使用した原料を以下に示す。
エポキシ樹脂(A):オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、日本化薬製の商品名「EOCN1020」。
エポキシ樹脂(B):ビフェニル型エポキシ化合物、三菱化学製の商品名「YX4000H」。
球状シリカ:充填剤、龍森製の商品名「MSR−2212」。
トリフェニルホスフィン:硬化促進剤、試薬。
カルナバワックス:離型剤、日本ワックス製。
(実施例2〜3、比較例3〜4)
表2に示す組成に従い、各原料を混合して熱硬化性成形材料を調製した。
エポキシ樹脂及び硬化剤組成物は、エポキシ樹脂中のエポキシ基当量と、硬化剤組成物中の水酸基当量との当量比が1となるように配合量を設定した。
使用した原料を以下に示す。
エポキシ樹脂(A):オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、日本化薬製の商品名「EOCN1020」。
エポキシ樹脂(B):ビフェニル型エポキシ化合物、三菱化学製の商品名「YX4000H」。
球状シリカ:充填剤、龍森製の商品名「MSR−2212」。
トリフェニルホスフィン:硬化促進剤、試薬。
カルナバワックス:離型剤、日本ワックス製。
各例で得られた熱硬化性成形材料について、流動性(スパイラルフロー)、ガラス転移温度、吸水率、熱時貯蔵弾性率、耐半田リフロー性、難燃性をそれぞれ測定した結果を表2に示す。
表2の結果から、実施例2〜3で得られた熱硬化性成形材料は、難燃性に優れていることが確認できた。また、耐半田リフロー性にも優れていることが確認できた。
また、実施例2〜3で得られた熱硬化性成形材料は、比較例3〜4で得られた熱硬化性成形材料に比べて吸水率が低いことから、耐湿性に優れていることが分かる。
また、実施例2で得られた熱硬化性成形材料は、比較例3で得られた熱硬化性成形材料と、流動性及びガラス転移温度が同程度の値を示していることから、成形を容易に行うことができ、かつ、耐熱性が良好であることが分かる。
さらに、実施例2で得られた熱硬化性成形材料は、いずれの特性についても、実施例3で得られた熱硬化性成形材料と同程度に優れていることが分かる。
このように、本発明の製造方法によれば、汎用のオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂を用いて、耐半田リフロー性、難燃性等に優れた熱硬化性成形材料を得ることができる。また、エポキシ樹脂としてビフェニル型エポキシ樹脂を用いなくても、耐熱性、難燃性等の良好な熱硬化性成形材料を得ることができ、コストダウンも図れる。
また、実施例2〜3で得られた熱硬化性成形材料は、比較例3〜4で得られた熱硬化性成形材料に比べて吸水率が低いことから、耐湿性に優れていることが分かる。
また、実施例2で得られた熱硬化性成形材料は、比較例3で得られた熱硬化性成形材料と、流動性及びガラス転移温度が同程度の値を示していることから、成形を容易に行うことができ、かつ、耐熱性が良好であることが分かる。
さらに、実施例2で得られた熱硬化性成形材料は、いずれの特性についても、実施例3で得られた熱硬化性成形材料と同程度に優れていることが分かる。
このように、本発明の製造方法によれば、汎用のオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂を用いて、耐半田リフロー性、難燃性等に優れた熱硬化性成形材料を得ることができる。また、エポキシ樹脂としてビフェニル型エポキシ樹脂を用いなくても、耐熱性、難燃性等の良好な熱硬化性成形材料を得ることができ、コストダウンも図れる。
実施例1と比較例2で得られた硬化剤組成物のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定の結果を図1と図2にそれぞれ示す。
図1は、実施例1で得られた硬化剤組成物のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定の結果を示す。図1(a)はRI検出器を用いた場合のクロマトグラム、図1(b)はUV検出器を用いた場合のクロマトグラムをそれぞれ示す図である。
図1(a)に示すクロマトグラムにおいては、4つ以上のピークが認められる。また、図1(b)に示すクロマトグラムにおいても、図1(a)と同様に、4つ以上のピークが認められる。
図2は、比較例2で得られた硬化剤組成物のGPC測定の結果を示す。図2(a)はRI検出器を用いた場合のクロマトグラム、図2(b)はUV検出器を用いた場合のクロマトグラムをそれぞれ示す図である。
図2(a)に示すクロマトグラムにおいては、4つ以上のピークが認められる。また、図2(b)に示すクロマトグラムにおいても、図2(a)と同様に、4つ以上のピークが認められる。
図1は、実施例1で得られた硬化剤組成物のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定の結果を示す。図1(a)はRI検出器を用いた場合のクロマトグラム、図1(b)はUV検出器を用いた場合のクロマトグラムをそれぞれ示す図である。
図1(a)に示すクロマトグラムにおいては、4つ以上のピークが認められる。また、図1(b)に示すクロマトグラムにおいても、図1(a)と同様に、4つ以上のピークが認められる。
図2は、比較例2で得られた硬化剤組成物のGPC測定の結果を示す。図2(a)はRI検出器を用いた場合のクロマトグラム、図2(b)はUV検出器を用いた場合のクロマトグラムをそれぞれ示す図である。
図2(a)に示すクロマトグラムにおいては、4つ以上のピークが認められる。また、図2(b)に示すクロマトグラムにおいても、図2(a)と同様に、4つ以上のピークが認められる。
図1において、特にピーク(I)〜(III)、ピーク(I’)〜(III’)は、主に下記の化合物(Z1−11)、化合物(Z2−11)、化合物(Z3−11)、化合物(Z2−12)、化合物(Z3−12)にそれぞれ由来するピークであると考えられる。
ピーク(I)、(I’)に対応するものは化合物(Z1−11)であり、この化合物は、前記化合物(Z1−1)に該当している。
ピーク(II)、(II’)に対応するものは化合物(Z2−11)と化合物(Z3−11)であり、これらの化合物は、前記化合物(Z2−1)(n=1)と前記化合物(Z3−1)(m=1)にそれぞれ該当している。
ピーク(III)、(III’)に対応するものは化合物(Z2−12)と化合物(Z3−12)であり、これらの化合物は、前記化合物(Z2−1)(n=2)と前記化合物(Z3−1)(m=2)にそれぞれ該当している。
ピーク(I)、(I’)に対応するものは化合物(Z1−11)であり、この化合物は、前記化合物(Z1−1)に該当している。
ピーク(II)、(II’)に対応するものは化合物(Z2−11)と化合物(Z3−11)であり、これらの化合物は、前記化合物(Z2−1)(n=1)と前記化合物(Z3−1)(m=1)にそれぞれ該当している。
ピーク(III)、(III’)に対応するものは化合物(Z2−12)と化合物(Z3−12)であり、これらの化合物は、前記化合物(Z2−1)(n=2)と前記化合物(Z3−1)(m=2)にそれぞれ該当している。
実施例2で得られた熱硬化性成形材料(硬化後)は、[−(2−ナフトール)−CH2−X−CH2−]単位を有するブロック重合体である、前記の化合物(Z2−11)、化合物(Z3−11)、化合物(Z2−12)及び化合物(Z3−12)を含む硬化剤組成物を用いてエポキシ樹脂が硬化されていることにより、上述したように、燃焼時に炭化層をつくりやすい構造を有するため、難燃性に優れている、と推測される。
一方、比較例2では、実施例1の工程(ii)の操作[未反応の化合物(1−31)を除去する操作]が行われていないため、未反応の縮合剤が除去されずに共存したままの状態で、化合物(Z1)、化合物(Z2)及び化合物(Z3)と、フェノール類との反応が行われている。その結果、[−(2−ナフトール)−CH2−X−CH2−]単位と、[−(フェノール類)−CH2−X−CH2−]単位とがランダムに重合したランダム重合体を含む硬化剤組成物が得られる。図2において、ピーク(VII)、(VIII)、(VII’)、(VIII’)は、それぞれ該ランダム重合体に由来するピークであると考えられる。
かかるランダム重合体が含まれた硬化剤組成物を用いてエポキシ樹脂を硬化させた場合、得られる熱硬化性成形材料(硬化後)は、エポキシ樹脂が硬化剤組成物と三次元的に硬化した構造を有する。そのため、比較例2で得られる熱硬化性成形材料(硬化後)は、燃焼時に炭化層をつくりにくく、難燃性が低い、と推測される。
かかるランダム重合体が含まれた硬化剤組成物を用いてエポキシ樹脂を硬化させた場合、得られる熱硬化性成形材料(硬化後)は、エポキシ樹脂が硬化剤組成物と三次元的に硬化した構造を有する。そのため、比較例2で得られる熱硬化性成形材料(硬化後)は、燃焼時に炭化層をつくりにくく、難燃性が低い、と推測される。
なお、RI検出器を用いた場合のクロマトグラムを示す図1(a)と図2(a)において、ピーク全体に占めるピーク(I)の割合と、ピーク全体に占めるピーク(V)の割合とは、ほとんど同じである。
しかし、UV検出器を用いた場合のクロマトグラムを示す図1(b)と図2(b)において、ピーク全体に占めるピーク(I’)の割合と、ピーク全体に占めるピーク(V’)の割合とは相違し、ピーク全体に占めるピーク(V’)の割合の方が、ピーク全体に占めるピーク(I’)の割合に比べて小さくなっている。
この理由としては、以下のように推測される。
しかし、UV検出器を用いた場合のクロマトグラムを示す図1(b)と図2(b)において、ピーク全体に占めるピーク(I’)の割合と、ピーク全体に占めるピーク(V’)の割合とは相違し、ピーク全体に占めるピーク(V’)の割合の方が、ピーク全体に占めるピーク(I’)の割合に比べて小さくなっている。
この理由としては、以下のように推測される。
ピーク(I)、ピーク(I’)、ピーク(V)及びピーク(V’)は、いずれも下記の化合物(Z1−11)と化合物(Z1−12)と化合物(Z1−13)とが混在したものに由来するピークであると考えられる(ただし、合成上、縮合剤の両末端に2−ナフトールが付加した化合物(Z1−13)が存在している可能性は低いと推定される)。
GPC測定では、ナフタレン環が多いとUVの吸収が高くなりピーク強度が増大する。このことから、比較例2で得られた硬化剤組成物においては、ナフタレン環を有する化合物(Z1−11)の含有量が少ない(すなわち化合物(Z1−12)の含有量が多い)ため、UV検出器を用いた場合、ピーク全体に占めるピーク(V’)の割合が小さくなっていると考えられる。これに対して、実施例1で得られた硬化剤組成物においては、ナフタレン環とベンゼン環の両方を有する化合物(Z1−11)が多く含まれているため、ピーク全体に占めるピーク(I’)の割合は、ピーク全体に占めるピーク(V’)の割合より大きくなっていると考えられる。
この化合物(Z1−11)は硬化剤組成物に多く含まれるほど、分散度の小さい硬化剤組成物が得られるとともに、硬化剤組成物の軟化点と溶融粘度の低減が図られると考えられる。そして、これにより、熱硬化性成形材料(硬化前)とした際、流動性が向上して成形が容易となり、また、耐熱性と耐湿性とをバランス良く備えた熱硬化性成形材料(硬化後)が調製されやすくなると考えられる。
実施例2で得られた熱硬化性成形材料は、化合物(Z1−11)が多く含まれた硬化剤組成物を用いて製造されていることにより、流動性、耐熱性、耐湿性及び耐半田リフロー性をバランス良く備えている、と推測される。
実施例2で得られた熱硬化性成形材料は、化合物(Z1−11)が多く含まれた硬化剤組成物を用いて製造されていることにより、流動性、耐熱性、耐湿性及び耐半田リフロー性をバランス良く備えている、と推測される。
Claims (3)
- 2−ナフトールと、下記一般式(1)で表される縮合剤の1種以上とを反応させる工程(i)と、
前記工程(i)で得られた反応生成物から未反応の前記縮合剤を除去する工程(ii)と、
前記工程(ii)で未反応の前記縮合剤が除去された前記反応生成物と、下記一般式(2)で表されるフェノール類の1種以上とを反応させる工程(iii)とを有し、
前記工程(i)における2−ナフトールと前記縮合剤との混合割合が、モル比で、
縮合剤/2−ナフトール=5〜15
であることを特徴とするエポキシ樹脂用硬化剤組成物の製造方法。
- 前記縮合剤がパラキシレングリコールジメチルエーテルである請求項1記載のエポキシ樹脂用硬化剤組成物の製造方法。
- 請求項1記載のエポキシ樹脂用硬化剤組成物の製造方法により製造されたエポキシ樹脂用硬化剤組成物と、
エポキシ樹脂とを混合することを特徴とする熱硬化性成形材料の製造方法。
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JP2010247714A JP2012097229A (ja) | 2010-11-04 | 2010-11-04 | エポキシ樹脂用硬化剤組成物の製造方法、及び熱硬化性成形材料の製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2016039238A (ja) * | 2014-08-07 | 2016-03-22 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 絶縁樹脂シート、並びにそれを用いた回路基板および半導体パッケージ |
-
2010
- 2010-11-04 JP JP2010247714A patent/JP2012097229A/ja active Pending
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