JP2012096412A - 転写箔およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】インモールド成形時に転写箔にかかる熱や圧力によって生じる印刷層の印刷画像の歪みや流れを抑制することができるインモールド成形用転写箔を提供する。
【解決手段】本発明のインモールド成形用転写箔10は、基材シート20と、該基材シートの一方の面上に、少なくとも、離型層30と、受容層60と、印刷層70とをこの順に有するものであって、該受容層60が、アクリル系樹脂を含む樹脂材料により形成され、該樹脂材料が、特定のガラス転移温度を有するものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、基材シート上に、離型層と、受容層と、印刷層とをこの順に有するインモールド成形用転写箔およびその製造方法に関する。
従来、家庭用電化製品、自動車内装品、および雑貨品等の分野において、被転写物である樹脂成形体の表面に、白、黒、およびカラーインキにより文字や絵柄を加飾することにより、高い機能性や意匠性を発現させてきた。
特に、三次元曲面などの複雑な表面形状を有する樹脂成形体の加飾には、射出成形同時加飾方法が用いられてきた。射出成形同時加飾方法とは、射出成形の際にインモールド成形用金型内に挿入された加飾シートを、キャビティ内に射出注入された溶融した射出樹脂と一体化させて、樹脂成形体の表面に加飾を施す方法である。さらに、樹脂成形体と一体化される加飾シートの構成の違いによって、通常、射出成形同時ラミネート加飾法と、射出成形同時転写加飾法とに大別される。
射出成形同時転写法においては、射出成形同時転写加飾用の転写箔の転写層側を金型の内側に向けて配し、転写層側から熱盤によって加熱し、該転写箔が金型内形状に沿うように成形する。次いで、キャビティ内に溶融した射出樹脂を射出して、該転写箔と射出樹脂とを一体化する。そして、樹脂成形体を冷却して金型から取り出した後、該転写箔の基材シートを剥離することにより、転写層を転写した加飾層を有する樹脂成形体を得ることができる。
このようにして得られる加飾層を有する樹脂成形体の製品(加飾成形品)は、従来用いられている家庭用電化製品、自動車内装品、および雑貨品等の分野に加えて、近年市場が拡大している分野、例えば、モバイルパソコンを含めたノート型のパソコンおよび携帯電話等の分野での使用も注目されている。これらの分野においては、インク層を従来の公知の印刷方法(グラビア印刷、シルクスクリーン印刷等)で形成することでは実現できなかった様々な問題を解決することが求められている。例えば、グラビア印刷の場合には、多工程にわたる製版、印版工程が必要であり、小ロット多品種で製造することには対応し難い。シルクスクリーン印刷の場合には、インキの乾燥に時間がかかり、版詰まり等による外観不良のリスク、グラデーション等の意匠表現不足といった問題がある。また、加飾成形品に優れた高硬度性や耐熱性等の表面特性を付与しうると同時に、より形状が複雑な成形品を得られる成形性が求められている。
上記のような種々の問題を解決するために、インクリボンを用いた熱転写により印刷層を形成する際に、インクリボンのインク層を、熱軟化温度が180℃以上のエポキシ樹脂と着色剤とを用いて、形成することが提案されている(例えば、特許文献1)。しかしながら、この方法では、射出成形同時転写加飾法の製造工程において、特に、射出注入される溶融した高熱の樹脂に対して、転写箔が十分な耐熱性や耐圧性を有しているとはいえない。
したがって、今尚、樹脂成形体をインモールド成形する際に、溶融した射出樹脂に対して十分な耐熱性および耐圧性を有する転写箔の開発が切望されている。
特許第3793443号
本発明は上記の背景技術に鑑みてなされたものであり、その目的は、樹脂成形体をインモールド成形する際に、溶融した射出樹脂に対して十分な耐熱性および耐圧性を有する転写箔およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、インモールド成形用転写箔の受容層を、アクリル系樹脂を含む、特定のガラス転移温度を有する樹脂材料によって形成することにより、上記課題を解決できることを知見し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の一態様によれば、
基材シートと、該基材シートの一方の面上に、少なくとも、離型層と、受容層と、印刷層とをこの順に有する、インモールド成形用転写箔であって、
該受容層が、アクリル系樹脂を含む樹脂材料により形成され、
該樹脂材料が、90℃以上のガラス転移温度を有する、インモールド成形用転写箔が提供される。
また、本発明の別の態様によれば、
基材シートと、該基材シートの一方の面上に、少なくとも、離型層と、受容層と、印刷層とをこの順に有する、インモールド成形用転写箔の製造方法であって、
(1)基材シートと、該基材シートの一方の面上に、離型層と、受容層とをこの順に有するインモールド成形用透明箔を用意する工程であって、該受容層が、アクリル系樹脂を含む樹脂材料により形成され、前記樹脂材料が、90℃以上のガラス転移温度を有する、工程と、
(2)基材と、該基材の一方の面上に、少なくとも、剥離層と、インク層とをこの順に有するインクリボンを用意する工程と、
(3)該インモールド成形用透明箔の受容層上に、該インクリボンを用いた熱転写プリンターによって、該インク層を転写して、印刷層を形成する工程と
を含む、インモールド成形用転写箔の製造方法が提供される。
本発明のインモールド成形用転写箔は、樹脂成形体をインモールド成形する際に、溶融した射出樹脂に対して十分な耐熱性および耐圧性を有するものである。これにより、転写箔にかかる熱や圧力によって生じる印刷層の印刷画像の歪みや流れを抑制することができる。
本発明によるインモールド成形用転写箔の一例を示す模式断面図である。 本発明によるインモールド成形用転写箔の製造に用いるインクリボンの一例を示す模式断面図である。 本発明によるインモールド成形用転写箔の製造に用いるインモールド成形用透明泊の一例を示す模式断面図である。
インモールド成形用転写箔
本発明のインモールド成形用転写箔は、該基材シートの一方の面上に、少なくとも、離型層と、受容層と、印刷層とをこの順に有するものであり、離型層と受容層との間にハードコート層と、アンカー層とをこの順にさらに有してもよく、印刷層上に接着層をさらに有してもよい。また、基材シートの受容層と反対側の面上に、帯電防止層をさらに有してもよい。本発明の一態様によれば、帯電防止層/基材シート/離型層/ハードコート層/アンカー層/受容層/印刷層/接着層の順序で形成されてなる層構成を有するインモールド成形用転写箔が提供される。
図1に、本発明によるインモールド成形用転写箔の一例の模式断面図を示す。図1に示されるインモールド成形用転写箔10は、基材シート20の一方の面上に、離型層30と、ハードコート層40と、アンカー層50と、受容層60と、印刷層70と、接着層80とが、この順に積層されてなり、基材シート20の受容層60と反対側の面上に帯電防止層90が形成されてなるものである。なお、加飾成形品の製造工程において、転写される転写層100は、ハードコート層40と、アンカー層50と、受容層60と、印刷層70と、接着層80とからなり、剥離される剥離シート110は、帯電防止層90と、基材シート20と、離型層30とからなる。以下、インモールド成形用転写箔を構成する各層について説明する。
基材シート
本発明における基材シートとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂等のビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル等のアクリル系樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂、三酢酸セルロース、セロファン、ポリカーボネート、ポリウレタン系等のエラストマー系樹脂等を用いたものが挙げられる。これらのなかで、成形性および離型性が良好であるため、ポリエステル系樹脂、特にポリエチレンテレフタレート(PET)が好ましい。また、成形性、形状追従性、および取扱い性が良好であるため、基材シートの厚さは、25μm〜150μmの範囲内であることが好ましく、38μm〜100μmの範囲内であることがより好ましい。
離型層
本発明における離型層は、ハードコート層と、アンカー層と、受容層と、印刷層と、接着層とからなる転写層が、基材シートからの剥離を容易に行うために設けられる層である。離型層を設けることで、本発明のインモールド成形用転写箔から転写層を確実かつ容易に被転写体へ転写させ、帯電防止層と、基材と、離型層とからなる剥離シートを確実に剥離することができる。離型層に用いられる離型剤としては、メラミン樹脂系離型剤、シリコーン系離型剤、フッ素樹脂系離型剤、セルロース樹脂系離型剤、尿素樹脂系離型剤、ポリオレフィン樹脂系離型剤、パラフィン系離型剤、アクリル樹脂系離型剤、およびこれらの複合型離型剤等の離型剤が好ましい。これらのなかで、メラミン樹脂系離型剤およびアクリル樹脂系離型剤が特に好ましい。
さらに、離型層は、上記の離型剤に必要な添加剤を加えたものを適当な溶剤に溶解または分散させて調製したインキを、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、およびグラビアリバースロールコーティング法等の公知の手段により塗布・乾燥させて形成することができる。通常、離型層の厚さは、0.1〜5μmの範囲内であることが好ましく、1〜5μmの範囲内であることがより好ましい。
ハードコート層
本発明におけるハードコートは、転写層がインモールド成形用転写箔から樹脂成形体へと転写された後は、加飾成形品の最外層となり、摩耗や光、薬品等から成形品や印刷層を保護するための層である。好ましい態様によれば、ハードコート層は、電離放射線硬化性官能基を有するポリマーを用いて形成される。電離放射線硬化性とは、電磁波または荷電粒子線の中で分子を架橋・重合させうるエネルギー量子を有するもの、すなわち、紫外線または電子線等の照射により励起して、重合反応を生じることにより架橋・硬化する性能のことである。また、電離放射線硬化性官能基とは、上記電離放射線硬化性を発現しうる官能基のことであり、本発明においては、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、およびアリル基等のエチレン性不飽和結合を有する官能基およびエポキシ基である。
電離放射線硬化性官能基を有するポリマーとしては、アクリル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、およびエポキシ(メタ)アクリレート等のモノマーが重合したものおよびこれらのモノマーが共重合したもの、ポリエステル(メタ)アクリレート、ならびにポリエーテル(メタ)アクリレート等のポリマーを挙げることができ、特にウレタン(メタ)アクリレートが重合したものが好ましい。本発明においては、これらのポリマーを単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
さらに、ハードコート層は、上記のポリマーに必要な添加剤を加えたものを適当な溶剤に溶解または分散させて調製したインキを、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、およびグラビアリバースロールコーティング法等の公知の手段により塗布・乾燥させて形成することができる。通常、ハードコート層の厚さは、0.5〜30μmの範囲内であることが好ましく、3〜15μmの範囲内であることがより好ましい。ハードコート層の厚さが、上記範囲内であると、優れた高硬度性、耐スクラッチ性、耐薬品性、および耐汚染性等の表面物性が得られ、さらに優れた成形性および形状追従性を得ることができる。
アンカー層
本発明におけるアンカー層は、ハードコート層と受容層との密着性を向上させるために設けられてよい。本発明において、アンカー層は、樹脂を含むものであり、添加剤等をさらに含んでもよい。アンカー層の形成に用いる樹脂としては、2液硬化性ウレタン系樹脂、熱硬化ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、塩素含有ゴム系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、およびビニル系共重合体樹脂等が挙げられる。
さらに、アンカー層は、上記の樹脂に必要な添加剤を加えたものを適当な溶剤に溶解または分散させて調製したインキを、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、およびグラビアリバースロールコーティング法等の公知の手段により塗布・乾燥させて形成することができる。通常、アンカー層の厚さは、0.1〜5μmの範囲内であることが好ましく、1〜5μmの範囲内であることがより好ましい。
受容層
本発明における受容層は、熱転写による画像形成時に、インクリボンから転写されるインク層を、受容層上に形成および保持するためのものである。本発明において、受容層は、アクリル系樹脂を含む樹脂材料により形成されるものである。本発明において、アクリル系樹脂とは、アクリル酸またはメタクリル酸のモノマーの重合体もしくはその誘導体、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルのモノマーの重合体もしくはその誘導体、アクリル酸またはメタクリル酸のモノマーと他のモノマーとの共重合体もしくはその誘導体、およびアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルのモノマーと他のモノマーとの共重合体もしくはその誘導体を含むものである。
本発明の好ましい態様によれば、アクリル系樹脂は、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルのモノマーと他のモノマーとの共重合体もしくはその誘導体であるのが好ましい。アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルのモノマーとしては、例えば、アルキルアクリレートおよびアルキルメタクリレート等、好ましくは、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、ラウリルアクリレート、およびラウリルメタクリレート等を挙げることができる。他のモノマーとしては、例えば、芳香族炭化水素、アリール基含有化合物、アミド基含有化合物、および塩化ビニル等、好ましくは、スチレン、ベンジルスチレン、フェノキシエチルメタクリレート、アクリルアミド、およびメタクリルアミド等を挙げることができる。本発明においては、アルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートと、芳香族炭化水素、アリール基含有化合物、およびアミド基含有化合物からなる群から選択される少なくとも1種の他のモノマーとの共重合体もしくはその誘導体を用いることが特に好ましい。上記のようなモノマーを共重合させることで、濃度および離型性を向上させることができる。なお、2種以上のアクリル系樹脂を混合して用いてもよい。
また、樹脂材料は、アクリル系樹脂以外にも、塩化ビニル系樹脂、塩ビアクリル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(塩酢ビ系樹脂)、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化ポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル等のビニルポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンやプロピレン等のオレフィンと他のビニルモノマーとの共重合体樹脂、アイオノマー、セルロースジアセテート等のセルロース系樹脂、およびポリカーボネートからなる群から選択される少なくとも1種をさらに含んでもよい。
本発明において、受容層を形成する樹脂材料は、90℃以上、好ましくは90℃以上130℃以下、より好ましくは90℃以上105℃以下の、ガラス転移温度を有するものである。なお、樹脂材料として2種以上の樹脂を混合して用いる場合には、混合後の樹脂材料のガラス転移温度が、上記範囲内であればよい。樹脂材料のガラス転移温度が上記範囲程度にあることで、樹脂成形体をインモールド成形する際に、溶融した射出樹脂に対して十分な耐熱性および耐圧性を有する。
さらに、受容層は、上記の樹脂に必要な添加剤を加えたものを適当な溶剤に溶解または分散させて調製したインキを、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、およびグラビアリバースロールコーティング法等の公知の手段により塗布・乾燥させて形成することができる。通常、受容層の厚さは、0.05〜3.0μmの範囲内であることが好ましく、0.1〜1.0μmの範囲内であることがより好ましく、0.2〜0.7μmの範囲内であることがさらに好ましい。
印刷層
本発明における印刷層は、インク層を有するインクリボンを用いた熱転写プリンターによって、該インク層が転写して形成されるものであり、加飾成形品を製造する際に表面に所望の意匠性を付与するものである。このように熱転写により印刷層を形成することで、小ロット多品種での製造に対応でき、グラデーション等の複雑な意匠を表現することができる。また、印画する画像は、デジタル情報での画像処理工程のみであり、一般の製版、印版等の工程が不要となり、工程数の低減による納期の短縮および設備の不要によるコストの低減を実現することができる。なお、印刷層は、下記で説明するインクリボンのインク層と同様の成分を有するものである。
通常、印刷層の厚さは、5〜40μmの範囲内であることが好ましく、5〜30μmの範囲内であることがより好ましい。印刷層の厚さが、上記範囲内であると、グラデーション等の複雑な意匠を表現するために十分な厚みを確保できる。
接着層
本発明における接着層は、印刷層を接着性よく樹脂成形体に転写するための層である。本発明において、接着層は、樹脂を含むものであり、添加剤等をさらに含んでもよい。接着層の形成に用いる樹脂としては、樹脂成形体の素材に適した感熱性または感圧性の樹脂を適宜選択して用いることができる。例えば、樹脂成形体の材質が、ポリフェニレンオキサイド−ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、およびスチレン系樹脂の場合には、これらの樹脂と親和性のあるアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、およびポリアミド系樹脂等を用いることが好ましい。また、樹脂成形体の材質が、ポリプロピレン樹脂の場合には、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、および環化ゴム、クマロンインデン樹脂等を使用することが好ましい。
さらに、接着層は、上記の樹脂に必要な添加剤を加えたものを適当な溶剤に溶解または分散させて調製したインキを、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、およびグラビアリバースロールコーティング法等の公知の手段により塗布・乾燥させて形成することができる。通常、接着層の厚さは、0.1〜5μmの範囲内であることが好ましく、1〜5μmの範囲内であることがより好ましい。
なお、印刷層が、樹脂成形体に対して十分な接着性を有する場合には、接着層を設けなくてもよい。また、本発明においては、インクリボンのインク層が転写された際に、インク層に接する剥離層が同時に転写され、この剥離層が接着層としての役割を果たすものであってもよい。この場合にも、接着層を別途設けなくてよい。
帯電防止層
本発明における帯電防止層は、加飾成形品の製造工程、特に転写工程において、転写箔への異物の付着を防止するために形成される層である。本発明において、帯電防止層は、アルミニウム、金、銀、銅、ニッケル等の金属、酸化錫、酸化インジウム、酸化錫ドープ酸化インジウム(ITO)等の金属酸化物、および黒鉛等からなる導電性物質の粉末または微薄片を含むものであり、界面活性剤等の添加剤をさらに含んでもよい。
さらに、帯電防止層は、上記の導電性物質に界面活性剤等の必要な添加剤を加えたものを適当な溶剤に溶解または分散させて調製したインキを、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、およびグラビアリバースロールコーティング法等の公知の手段により塗布・乾燥させて形成することができる。通常、帯電防止層の厚みは、10〜1012Ω/□の表面抵抗値を発現する範囲であることが好ましい。
本発明においては、各層を形成するためのインキには、公知の種々の溶剤を用いることができ、目標とする粘度等の性質に応じて適宜選択して組み合わせて用いることができる。例えば、溶剤としては、トルエン、キシレン等の炭化水素類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルアルコール、メチルグリコール、メチルグリコールアセテート、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等のケトン類、蟻酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル等のエステル類、ニトロメタン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等の窒素含有化合物、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等のエーテル類、塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエタン、テトラクロルエタン等のハロゲン化炭化水素、ジメチルスルホキシド、炭酸プロピレン等の他の溶剤、またはこれらの混合物が挙げられる。特に、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトン等が好ましい。
インクリボン
本発明において、インクリボンは、インモールド成形用透明箔(印刷層形成前の状態の転写箔)の受容層上に、熱転写プリンターを用いて印刷層を形成するためのものである。インモールド成形用転写箔の製造に用いるインクリボンは、基材の一方の面に、少なくとも、剥離層と、インク層とをこの順に有し、インク層上に、接着層および帯電防止層をこの順にさらに有してもよい。また、基材の他方の面に耐熱滑性層をさらに有するものがよい。好ましい態様によれば、耐熱滑性層/基材/剥離層/インク層/接着層/帯電防止層の順序で形成されてなる層構成を有するインクリボンを用いるのがよい。また、他の態様によれば、インクリボンには、インク層と、金、銀、銅、亜鉛、および黄銅等の金属を蒸着により設けた金属蒸着層とを連続した1枚の基材上に面順次に設けてもよい。
図2に、本発明によるインモールド成形用転写箔の製造に用いるインクリボンの一例の模式断面図を示す。図2に示されるインクリボン210は、基材220の一方の面上に、剥離層230と、インク層240と、接着層250と、帯電防止層260とが、この順に積層されてなり、基材220のインク層240と反対側の面上に耐熱滑性層270が形成されてなるものである。以下、インクリボンを構成する各層について説明する。なお、接着層および帯電防止層は、インモールド成形用転写箔の形成と同様に、形成することができる。
基材
本発明に用いられるインクリボンを構成する基材の材料は、従来公知のものを使用することができ、また、それ以外のものであっても、ある程度の耐熱性と強度とを有していれば使用することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイミド、ナイロン、酢酸セルロース、アイオノマー等の樹脂フィルム、コンデンサー紙、パラフィン紙等の紙類、不織布等が挙げられる。これらを単独で使用してもよいし、これらを任意に組み合わせた積層体を使用してもよい。これらの中でも、薄膜化可能で安価な汎用性プラスチックであるポリエチレンテレフタレートが好ましい。
基材の厚さは、強度、耐熱性等が適切になるように材料に応じて適宜選択することができるが、通常は1〜20μm程度が好ましく、より好ましくは3〜10μmである。
基材は、隣接する層との接着性を向上させるため、表面処理が施されていてもよい。上記表面処理としては、コロナ放電処理、火炎処理、オゾン処理、紫外線処理、放射線処理、粗面化処理、化学薬品処理、プラズマ処理、およびグラフト化処理等の、公知の樹脂表面改質技術を適用することができる。上記表面処理は、1種のみ施されてもよいし、2種以上施されてもよい。
さらに、上記基材の接着処理として、基材上に接着層を塗工して形成することも可能である。接着層は、例えば、以下の有機材料および無機材料から形成することができる。上記有機材料としては、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂やポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドンおよびその変性体等のビニル系樹脂、ならびにポリビニルアセトアセタールやポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール系樹脂等が挙げられる。上記無機材料としては、シリカ(コロイダルシリカ)、アルミナあるいはアルミナ水和物(アルミナゾル、コロイダルアルミナ、カチオン性アルミニウム酸化物またはその水和物、疑ベークマイト等)、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、および酸化チタン等のコロイド状無機顔料超微粒子等が挙げられる。
また、上記の表面処理として、プラスチックフィルムを延伸処理して製造する場合、未延伸フィルムにプライマー液を塗布し、その後に延伸処理して行うこともできる(プライマー処理)。
インク層
本発明に用いられるインクリボンを構成するインク層は、樹脂と、着色剤とを含むものであればよく、公知の種々のインク層を用いることができる。本発明においては、インク層を有するインクリボンを用いた熱転写プリンターによって、インモールド成形用透明箔の受容層上に、インク層を転写させて印刷層を形成することができる。
インク層に用いられる樹脂としては、例えば、エチルセルロース樹脂、ヒドロキシエチルセルロース樹脂、エチルヒドロキシセルロース樹脂、メチルセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(塩酢ビ系樹脂)、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルピロリドン等のビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリルアミド等のアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、およびポリエステル系樹脂等が挙げられる。本発明においては、これらの樹脂を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。これらの中でも、耐熱性、着色剤の移行性等の点から、セルロース系、ビニル系、アクリル系、ポリウレタン系、ポリエステル系等の樹脂が好ましく、アクリル系樹脂と塩酢ビ系樹脂の混合樹脂が特に好ましい。
インク層に用いられる着色剤は、従来公知の着色剤を使用することができるが、印画材料として良好な特性を有するもの、例えば、十分な着色濃度を有し、光、熱、温度等により変褪色しないものが好ましい。また、着色剤は、墨、白、シルバー、シアン、マゼンダ、イエロー、レッド、グリーン、およびブルーからなる群から選択される少なくとも一つの色を呈するものがよい。例えば、着色剤としては、墨にはカーボンブラック、白には酸化チタン、およびシルバーにはアルミ等の無機材料、シアン、マゼンタ、イエロー、レッド、グリーン、およびブルーには C.I.Pigmentに記載される各顔料を使用することが好ましい。
また、インク層は、上記の樹脂および着色剤に必要な添加剤を加えたものを適当な溶剤に溶解または分散させて調製したインキを、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、およびグラビアリバースロールコーティング法等の公知の手段により塗布・乾燥させて形成することができる。通常、インク層の厚さは、0.1〜10μmの範囲内であることが好ましく、0.5〜3.0μmの範囲内であることがより好ましい。
耐熱滑性層
本発明に用いられるインクリボンを構成する耐熱滑性層は、基材のインク層と反対側の面に設けられるものであり、熱転写プリンターのサーマルヘッドの熱によるスティキングやシワ等の悪影響を防止するためのものである。耐熱滑性層は、主に耐熱性樹脂からなるものである。耐熱性樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリブタジエン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、アクリルポリオール、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンまたはエポキシのプレポリマー、ニトロセルロース樹脂、セルロースナイトレート樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテート−ヒドロジエンフタレート樹脂、酢酸セルロース樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、および塩素化ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
また、耐熱滑性層は、上記の耐熱性樹脂に、必要な添加剤を加えたものを適当な溶剤に溶解または分散させて調製したインキを、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、およびグラビアリバースロールコーティング法等の公知の手段により塗布・乾燥させて形成することができる。添加剤としては、滑り性付与剤、架橋剤、離型剤、有機粉末、および無機粉末等を挙げることができる。なお、滑り性付与剤としては、リン酸エステル、シリコーンオイル、グラファイトパウダー、シリコーン系グラフトポリマー、フッ素系グラフトポリマー、アクリルシリコーングラフトポリマー、ポリアクリルシロキサン、およびポリアリールシロキサン等が挙げられる。
さらに、耐熱滑性層は、上記の樹脂に滑り性付与剤等の必要な添加剤を加えたものを適当な溶剤に溶解または分散させて調製したインキを、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、およびグラビアリバースロールコーティング法等の公知の手段により塗布・乾燥させて形成することができる。通常、耐熱滑性層の厚さは、0.05〜3.0μmの範囲内であることが好ましく、0.1〜1.0μmの範囲内であることがより好ましい。
剥離層
本発明に用いられるインクリボンを構成する剥離層は、熱転写の際に、インク層が基材からの剥離を容易に行うために設けられた層である。また、熱転写によりインクリボンからインモールド成形用透明泊へと転写されて、インモールド成形転写箔を形成した後は、インモールド成形転写箔の印刷層を保護するものである。また、加飾成形品を製造する際には、樹脂成形体の表面に接着する役割を果たすものである。本発明において、剥離層は、樹脂を含むものであり、添加剤等をさらに含んでもよい。剥離層の形成に用いる樹脂としては、熱可塑性樹脂を用いて形成するのがよい。例えば、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、および塩素化ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
さらに、剥離層は、上記の樹脂に必要な添加剤を加えたものを適当な溶剤に溶解または分散させて調製したインキを、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、およびグラビアリバースロールコーティング法等の公知の手段により塗布・乾燥させて形成することができる。通常、接着層の厚さは、0.05〜3.0μmの範囲内であることが好ましく、0.1〜1.0μmの範囲内であることがより好ましい。
インモールド成形用転写箔の製造方法
本発明のインモールド成形用転写箔の製造方法は、下記の工程(1)〜(3):
(1)基材シートと、該基材シートの一方の面上に、離型層と、受容層とをこの順に有するインモールド成形用透明箔を用意する工程であって、該受容層が、アクリル系樹脂を含む樹脂材料により形成され、前記樹脂材料が、90℃以上のガラス転移温度を有する、工程と、
(2)基材と、該基材の一方の面上に、少なくとも、剥離層と、インク層とをこの順に有するインクリボンを用意する工程と、
(3)該インモールド成形用透明箔の受容層上に、該インクリボンを用いた熱転写プリンターによって、該インク層を転写して、印刷層を形成する工程と
を含むものである。このような製造工程により転写箔の印刷層を形成することで、他の印刷方法で必要な一般の製版、印版等の工程を省き、工程数および設備の削減によりコストの低減を図ることができる。
なお、本発明において、インモールド成形用透明箔とは、印刷層を形成する前の状態の転写箔のことである。図3に、本発明によるインモールド成形用転写箔の製造に用いるインモールド成形用透明泊の一例の模式断面図を示す。図3に示されるインモールド成形用透明泊310は、基材シート20の一方の面上に、離型層30と、ハードコート層40と、アンカー層50と、受容層60とが、この順に積層されてなり、基材シート20の受容層60と反対側の面上に帯電防止層90が形成されてなるものである。なお、インモールド成形用透明箔を形成する各層の構成については、上記のインモールド成形用転写箔の各層の構成で説明したとおりである。
加飾層を有する樹脂成形体(加飾成形品)の製造方法
本発明の加飾層を有する樹脂成形体(加飾成形品)は、上記のインモールド成形用転写箔を用いて、上記の射出成形同時転写加飾法により成形するのがよい。好ましい態様によれば、加飾成形品の製造方法は、下記の工程(4)〜(7):
(4)上記のインモールド成形用転写箔の製造方法により製造されたインモールド成形用転写箔を用意する工程と、
(5)インモールド成形用金型内に、該インモールド成形用転写箔を挿入する工程と、
(6)該金型内に溶融した射出樹脂を射出注入する工程と、
(7)該インモールド成形用転写箔と、該射出樹脂とを一体化させて、樹脂成形体の表面上に加飾層を形成する工程と
を含むものである。さらに、樹脂成形体を冷却して金型から取り出した後、該転写箔の剥離シートを剥離することにより、加飾成形品を得ることができる。このような製造工程により加飾成形品を製造することで、樹脂成形体の表面にグラデーション等の複雑な意匠を表現することができる。また、インモールド成形用転写箔の受容層が、アクリル系樹脂を含む樹脂材料により形成され、前記樹脂材料が、90℃以上のガラス転移温度を有するため、耐熱性および耐圧性に優れ、形成された加飾層の画像(意匠)の歪みや流れを抑制することができる。
加飾成形品の製造工程において用いられる射出樹脂としては、射出成形可能な熱可塑性樹脂もしくは熱硬化性樹脂(2液硬化性樹脂を含む)であればよく、公知の様々な樹脂を用いることができる。このような熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂(耐熱ABS樹脂を含む)、AS樹脂、AN樹脂、ポリフェニレンオキサイド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテフタレート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、およびポリフェニレンサルファイド系樹脂等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、2液硬化性ウレタン系樹脂、およびエポキシ系樹脂等が挙げられる。本発明においては、これらの樹脂を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
以下に、実施例と比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例の内容に限定して解釈されるものではない。
実施例1
インモールド成形用透明箔の作製
まず、基材シートとして、50μmの厚さの透明な2軸延伸ポリエチレンテレフタラートフィルムを用意した。この基材シートの一方の面に、グラビアリバースコート法によって、下記組成の離型層用インキを塗工して、離型層を形成した。次いで、該離型層上に、グラビアリバースコート法によって、下記組成のハードコート層用インキを6μmの厚さで塗工して、ハードコート層を形成した。そして、該ハードコート層に水銀燈から紫外線を照射して、未反応のアクリレート(アクリロイル)基が残る程度に架橋硬化させた。
離型層用インキの組成
・メラミン樹脂系離型主剤(大日精化(株)製、EX-114Dメジウム): 100重量部
・硬化剤(大日精化(株)製、PTC NO.7硬化剤): 10重量部
ハードコート層用インキの組成
・紫外線硬化樹脂(成分:ウレタンアクリレート系プレポリマー、大日精化(株)製、セイカビーム EXF−HT−S) 100重量部
続いて、該ハードコート層上に、グラビアリバースコート法によって、下記組成のアンカー層用インキ(2液硬化性ウレタン系樹脂)を3μmの厚さで塗工して、アンカー層を形成した。さらに、該アンカー層上に、グラビアリバースコート法によって、下記組成の受容層用インキを0.7μmの厚さで塗工して、受容層を形成した。以上により、基材シート/離型層/ハードコート層/アンカー層/受容層の順序で形成されてなる層構成を有するインモールド成形用透明箔1を作製した。
アンカー層用インキの組成
・アクリルポリオール系樹脂(大日精化(株)製、TM−VMAC): 100重量部
・ポリイソシアネート系硬化剤(成分:ヘキサンメチレンジイソシアネート、大日精化
(株)製、PTC−RC3 硬化剤): 15重量部
受容層用インキの組成
・アクリル系樹脂(ガラス転移温度:100℃、大日精化(株)製、DNP−HS1):
100重量部
なお、上記の各インキは、適宜、有機溶剤にて希釈して用いた。
インクリボンの作製
まず、混合樹脂と、着色剤とを下記の組成で有機溶剤に溶解させてインク層用インキを調製した。次に、4.5μmの厚さのPET基材の一方の面に、下記組成の剥離層用インキを用いて、グラビアリバースコート法によって、0.3μmの厚さの剥離層を形成した。続いて、該剥離層上に、上記のインク層用インキを用いて、グラビアリバースコート法によって、0.5μmの厚さのインク層を形成した。そして、該インク層上に、インキを用いて、グラビアリバースコート法によって、0.3μmの厚さの接着層を形成した。以上により、基材/剥離層/インク層/接着層の順序で形成されてなる層構成を有するインクリボンを作製した。
インク層用インキの組成
・アクリル系樹脂と塩酢ビ系樹脂の混合樹脂100重量部に着色剤(下記)のいずれかを40重量部混合したカラーインキ材料(DNPファインケミカル(株)製、CR700シリーズ)
剥離層用インキの組成
・アクリル系樹脂と塩酢ビ系樹脂の混合樹脂(DNPファインケミカル(株)製、剥離ニスDX): 100重量部
接着層用インキの組成
・アクリル系樹脂(三菱レイヨン(株)製、BR83): 100重量部
なお、上記のインク層用インキに用いた着色剤としては、墨にはカーボンブラック、白には酸化チタン、およびシルバーにはアルミ等の無機材料、シアン、マゼンタ、イエロー、レッド、グリーン、およびブルーには C.I.Pigmentに記載される各顔料を用いた。
インモールド成形用転写箔の作製
上記で作製したインモールド成形用透明箔1の受容層上に、サーマルヘッドを搭載した熱転写プリンターと上記で作製したインクリボンとを用いて、インクリボンのインク層を順次転写させて、印刷層を形成した。以上により、基材シート/離型層/ハードコート層/アンカー層/受容層/印刷層/接着層の順序で形成されてなる層構成を有するインモールド成形用転写箔1を作製した。なお、インモールド成形用転写箔1の印刷層上に形成された接着層は、インクリボンの剥離層が転写したものである。
実施例2
受容層を形成する樹脂材料として、100℃のガラス転移温度を有するアクリル系樹脂と80℃のガラス転移温度を有するアクリル系・塩酢ビ系混合樹脂とを混合して得られた90℃のガラス転移温度を有する混合樹脂を用い、0.5μmの厚さで塗工して受容層を形成した以外は、実施例1と同様にして、印刷用転写箔2を作製した。
受容層用インキ2の組成
・アクリル系樹脂(ガラス転移温度:100℃、大日精化(株)製、DNP−HS1):
90重量部
・アクリル系・塩酢ビ系混合樹脂(ガラス転移温度:80℃、大日精化(株)製、TM−A1HS): 10重量部
実施例3
受容層を形成する樹脂材料として、100℃のガラス転移温度を有するアクリル系樹脂を用い、5μmの厚さで塗工して受容層を形成した以外は、実施例1と同様にして、印刷用透明転写箔3を作製した。
受容層用インキ3の組成
・アクリル系樹脂(ガラス転移温度:100℃、大日精化(株)製、DNP−HS1):
100重量部
比較例1
受容層を形成する樹脂材料として、80℃のガラス転移温度を有するアクリル系・塩酢ビ系混合樹脂を用い、0.5μmの厚さで塗工して受容層を形成した以外は、実施例1と同様にして、印刷用透明転写箔4を作製した。
受容層用インキ4の組成
・アクリル系・塩酢ビ系混合樹脂(ガラス転移温度:80℃、大日精化(株)製、TM−A1HS): 100重量部
耐熱性・耐圧性の評価
上記で作製したインモールド形成用転写箔1を、インモールド成形用金型内に挿入し、溶融樹脂を金型内に流し込んで(射出成形して)、インモールド成形を行い、加飾層を有する樹脂成形品を得た。得られた成形体について、射出成形時のゲート部分の形状(凹凸)、成形体表面の印画画像の歪み、流れ等の外観の観察を行った。同様に、上記で作製したインモールド形成用転写箔2〜4を用いて評価を行った。評価基準は下記の通りである。
評価基準
・○:外観上問題がなかった。
・△:わずかであるが、ゲート部分の印画画像の歪が認められた。
・×:ゲート部分の印画画像が消失し、下地である成形樹脂が露出していた。
上記の評価の結果を表1に示す。実施例1〜3で作製したインモールド成形用転写箔は、比較例1で作製した転写箔に比べて、耐熱性および耐圧性に優れることがわかった。
Figure 2012096412
10 インモールド成形用転写箔
20 基材シート
30 離型層
40 ハードコート層
50 アンカー層
60 受容層
70 印刷層
80 接着層
90 帯電防止層
110 転写層
120 剥離シート
210 インクリボン
220 基材
230 剥離層
240 インク層
250 接着層
260 帯電防止層
270 耐熱滑性層
310 インモールド成形用透明箔

Claims (13)

  1. 基材シートと、前記基材シートの一方の面上に、少なくとも、離型層と、受容層と、印刷層とをこの順に有する、インモールド成形用転写箔であって、
    前記受容層が、アクリル系樹脂を含む樹脂材料により形成され、
    前記樹脂材料が、90℃以上のガラス転移温度を有する、インモールド成形用転写箔。
  2. 前記受容層が、0.05〜3.0μmの厚さを有する、請求項1に記載のインモールド成形用転写箔。
  3. 前記印刷層が、インク層を有するインクリボンを用いた熱転写プリンターによって、前記インク層が転写して形成される、請求項1または2に記載のインモールド成形用転写箔。
  4. 前記インモールド成形用転写箔が、前記離型層と前記受容層との間に、ハードコート層と、アンカー層とをこの順にさらに有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のインモールド成形用転写箔。
  5. 前記インモールド成形用転写箔が、前記印刷層上に、接着層をさらに有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のインモールド成形用転写箔。
  6. 前記着色剤が、墨、白、シルバー、シアン、マゼンダ、イエロー、レッド、グリーン、およびブルーからなる群から選択される少なくとも一つの色を呈する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のインモールド成形用転写箔。
  7. インモールド成形により製造される樹脂成形体であって、
    前記樹脂成形体が、請求項1〜6のいずれか一項に記載のインモールド成形用転写箔によって加飾された加飾層を有する、樹脂成形体。
  8. 基材シートと、前記基材シートの一方の面上に、少なくとも、離型層と、受容層と、印刷層とをこの順に有する、インモールド成形用転写箔の製造方法であって、下記の工程(1)〜(3):
    (1)基材シートと、前記基材シートの一方の面上に、少なくとも、離型層と、受容層とをこの順に有するインモールド成形用透明箔を用意する工程であって、前記受容層が、アクリル系樹脂を含む樹脂材料により形成され、前記樹脂材料が、90℃以上のガラス転移温度を有する、工程と、
    (2)基材と、前記基材の一方の面上に、少なくとも、剥離層と、インク層とをこの順に有するインクリボンを用意する工程と、
    (3)前記インモールド成形用透明箔の受容層上に、前記インクリボンを用いた熱転写プリンターによって、前記インク層を転写して、印刷層を形成する工程と
    を含む、インモールド成形用転写箔の製造方法。
  9. 前記受容層が、0.05〜3.0μmの厚さを有する、請求項8に記載のインモールド成形用転写箔の製造方法。
  10. 前記インモールド成形用透明箔が、前記離型層と前記受容層との間に、ハードコート層と、アンカー層とをこの順にさらに有する、請求項8または9に記載のインモールド成形用転写箔の製造方法。
  11. 前記インモールド成形用転写箔が、前記印刷層上に、接着層をさらに有する、請求項8〜10のいずれか一項に記載のインモールド成形用転写箔の製造方法。
  12. 前記着色剤が、墨、白、シルバー、シアン、マゼンダ、イエロー、レッド、グリーン、およびブルーからなる群から選択される少なくとも一つの色を呈する、請求項8〜11のいずれか一項に記載のインモールド成形用転写箔の製造方法。
  13. 加飾層を有する樹脂成形体の製造方法であって、下記の工程(4)〜(7):
    (4)請求項8〜12のいずれか一項に記載のインモールド成形用転写箔の製造方法により製造されたインモールド成形用転写箔を用意する工程と、
    (5)インモールド成形用金型内に、前記インモールド成形用転写箔を挿入する工程と、
    (6)前記金型内に溶融した射出樹脂を射出注入する工程と、
    (7)前記インモールド成形用転写箔と、前記射出樹脂とを一体化させて、樹脂成形体の表面上に加飾層を形成する工程と
    を含む、樹脂成形体の製造方法。
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