JP2012096281A - 圧延機における形状制御方法及び形状制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】圧延速度が変化するという状況下であっても、圧延材の形状制御を適正に行うことで振動的な形状変動を抑制し安定した圧延を行うことができるようにする。
【解決手段】圧延機100にて圧延している圧延材1の形状制御方法において、圧延材1の圧延速度が変化したときの予測形状変化量を求め、この予測形状変化量が所定範囲内にあるときは、前記圧延速度の変化に伴う板形状の修正制御を行わない。また、圧延材1の速度変化率ΔVr(t)を求め、この速度変化率ΔVr(t)であるときの予測圧延荷重変化量ΔPf(t)を求め、この予測圧延荷重変化量ΔPf(t)から予測形状変化量を求める
【選択図】図1
【解決手段】圧延機100にて圧延している圧延材1の形状制御方法において、圧延材1の圧延速度が変化したときの予測形状変化量を求め、この予測形状変化量が所定範囲内にあるときは、前記圧延速度の変化に伴う板形状の修正制御を行わない。また、圧延材1の速度変化率ΔVr(t)を求め、この速度変化率ΔVr(t)であるときの予測圧延荷重変化量ΔPf(t)を求め、この予測圧延荷重変化量ΔPf(t)から予測形状変化量を求める
【選択図】図1
Description
本発明は、圧延機の安定操業ができると共に圧延材の形状精度を向上させるための圧延機における形状制御方法及び形状制御装置に関するものである。
圧延機にて圧延している圧延材の形状制御を行うものとして、例えば、特許文献1〜4に示すものがある。
特許文献1には、圧延中に複数の圧延スタンドの圧延反力を検出し、予測制御式に基づいて製品形状が所定製品形状になるよう形状修正装置を制御する形状制御方法が開示されている。この特許文献1では、特に、圧延材が通板中に前スタンドまでの荷重設定値と荷重計測値の誤差を計算し、その誤差を用いて△bend=Σ(βi*△Pi)に従いベンダー操作量を計算し、その際に用いるβiは圧延実績値を用いて修正を行い、ΔPiとして形状誤差がない場合の荷重計測値との偏差を用いて、得られたベンダー操作量により、形状制御の精度を向上させることが開示されている。
特許文献1には、圧延中に複数の圧延スタンドの圧延反力を検出し、予測制御式に基づいて製品形状が所定製品形状になるよう形状修正装置を制御する形状制御方法が開示されている。この特許文献1では、特に、圧延材が通板中に前スタンドまでの荷重設定値と荷重計測値の誤差を計算し、その誤差を用いて△bend=Σ(βi*△Pi)に従いベンダー操作量を計算し、その際に用いるβiは圧延実績値を用いて修正を行い、ΔPiとして形状誤差がない場合の荷重計測値との偏差を用いて、得られたベンダー操作量により、形状制御の精度を向上させることが開示されている。
特許文献2には、圧延材の形状を予測する形状自動認識装置が開示されている。この特許文献では、特に、圧延材が通板中に、板幅方向の形状計測値を形状計から取得し、得られた形状測定値と学習済みのニューラルネットワークを用いて形状特徴量を計算し、計算された特徴量に従ってレベリングを操作しつつ、セットップ計算値と上記とは別の予測用ニューラルネットワークを用いて計算し、形状を予測し予測結果に従い次材ベンダー設定を計算していることが開示されている。
特許文献3には、圧延材の形状を予測制御する形状予測方法が開示されている。この特許文献3では、特に、圧延材が通板中に圧延荷重、圧下位置、ベンダー圧、ロールシフト量を計測し、計測値と設定計算値(板厚、幅、張力)により4次関数を用いて幅方向形状を推定計算し、得られた形状推定値を形状測定値の代用としベンダー圧、シフト、圧下修正量を制御することによって、形状制御の精度を向上させることが開示されている。
特許文献4には、圧延荷重の変化予測量に基づいて圧延材の形状を制御する形状制御方法が開示されている。この特許文献4では、圧延材が加減速中に速度変化による圧延荷重変化量を予測し、張力テーパ中の目標張力変化に対する荷重変化量を予測し、それらの予測値と形状測定値から形状制御を行うことによって、形状制御の精度を向上させることが開示されている。
特許文献1では、圧延実績に差異があったときの考慮が不十分であると共に、ベンディング力以外の操作量の制御に関しては詳細に開示されていない。また、特許文献2では、オンラインではレベリングの操作を行っているだけであり、圧延材の予測形状についてはオンラインでは用いられず、次の圧延材に用いられている。そのため、特許文献2の技術では、圧延中に十分な形状制御が行えるか否かが不明である。
一方、特許文献3及び特許文献4では、圧延中に圧延材の形状制御を行っている。しかしながら、特許文献3では、形状制御を行うにあたって4次関数と現在値のみを用いて演算を行っていると共に、フィードバック制御を常に行うことにより形状制御を頻繁に行っている。また、特許文献4では、予測荷重値を用いたフィードバック制御を常に行うことにより形状制御を頻繁に行っている。
このように、特許文献3及び特許文献4では、圧延中に圧延材の形状制御を行えるものの、フィードバック制御等による形状制御を頻繁に行っているために圧延材の形状の変動が頻繁に起こるという問題が発生していた。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、圧延速度が変化するという状況下であっても、圧延材の形状制御を適正に行うことで振動的な形状変動を抑制し安定した圧延を行うことができる圧延機における形状制御方法及び形状制御装置を提供することを目的とする。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、圧延速度が変化するという状況下であっても、圧延材の形状制御を適正に行うことで振動的な形状変動を抑制し安定した圧延を行うことができる圧延機における形状制御方法及び形状制御装置を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
本発明における課題解決のための技術的手段は、圧延機にて圧延している圧延材の形状制御方法において、前記圧延材の圧延速度が変化したときの予測形状変化量を求め、この予測形状変化量が所定範囲内にあるときは、前記圧延速度の変化に伴う板形状の修正制御を行わない点にある。
本発明における課題解決のための技術的手段は、圧延機にて圧延している圧延材の形状制御方法において、前記圧延材の圧延速度が変化したときの予測形状変化量を求め、この予測形状変化量が所定範囲内にあるときは、前記圧延速度の変化に伴う板形状の修正制御を行わない点にある。
前記圧延材の速度変化率ΔVr(t)を求め、この速度変化率ΔVr(t)に基づいて予測圧延荷重変化量ΔPf(t)を求め、この予測圧延荷重変化量ΔPf(t)から前記予測形状変化量を求めることが好ましい。前記圧延機におけるベンディング力及びクーラント流量を一定として圧延荷重は変化するものとして前記予測形状変化量を求めることが好ましい。
本発明における課題解決のための他の技術的手段は、圧延機にて圧延している圧延材の形状を制御する形状制御装置において、前記圧延材の圧延速度が変化したときの予測形状変化量を求める形状変化量算出部と、前記予測形状変化量が予め求めた目標形状値の範囲にあるときは圧延速度の変化に伴う板形状の修正制御を行わない指令をする形状制御判断部とを有している点にある。
本発明によれば、圧延速度が変化するという状況下であっても、圧延材の形状制御を適正に行うことで振動的な形状変動を抑制し安定した圧延を行うことができる。
以下、本発明の実施形態を、図を基に説明する。
なお、以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称及び機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。また、以下の説明では圧延材を帯板とするがそれに限定はされない。
図1に、本実施形態に係る圧延方法が行なわれる圧延機100の構成の一例として、リバース式の圧延機の概略を示す。帯状の圧延材1(帯板)は両方向(紙面の左から右、右から左)に走行可能であり、所定の板厚になるまで、走行方向を変えながら繰り返し圧延される。
なお、以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称及び機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。また、以下の説明では圧延材を帯板とするがそれに限定はされない。
図1に、本実施形態に係る圧延方法が行なわれる圧延機100の構成の一例として、リバース式の圧延機の概略を示す。帯状の圧延材1(帯板)は両方向(紙面の左から右、右から左)に走行可能であり、所定の板厚になるまで、走行方向を変えながら繰り返し圧延される。
図1に示すように、圧延機100は、帯板1の巻き取りを行ったり巻き戻しを行う巻回リール2と、帯板1に対して圧延を行うワークロール3と、ワークロール3をバックアップするバックアップロール4とを有している。圧延機100は、形状測定装置(例えば、形状測定ロール)5を備えると共に、形状測定ロール5にて測定した帯板1の形状に基づいて当該帯板1の形状制御を行う形状制御装置6を有している。形状測定ロール5は、デフレクタロール8とワークロール3との間に設けられている。
また、圧延機100には、ワークロール3の幅方向を複数分割した各エリアにおいてクーラント流量を制御するクーラントヘッド7が設けられている。
このような圧延機100においては、巻回リール6(巻き取りリール、巻き戻しリール)への帯板1の巻き取りや巻き戻しを複数回に亘って繰り返すことで、帯板1を搬送方向に移動させてワークロール3にて圧延することにより、当該帯板1は、所望の板厚、板幅、板クラウンへと圧延され、圧延が終了した帯板1は、巻回リール2によって巻き取られて、次工程あるいは出荷ヤードへと搬送される。
このような圧延機100においては、巻回リール6(巻き取りリール、巻き戻しリール)への帯板1の巻き取りや巻き戻しを複数回に亘って繰り返すことで、帯板1を搬送方向に移動させてワークロール3にて圧延することにより、当該帯板1は、所望の板厚、板幅、板クラウンへと圧延され、圧延が終了した帯板1は、巻回リール2によって巻き取られて、次工程あるいは出荷ヤードへと搬送される。
また、圧延制御を行う際は、ロードセルなどの荷重計にて用いて圧延荷重を測定すると共に、図示省略のギャップ制御装置では板厚計による実測値あるいはゲージメータに基づく計算値あるいは荷重計測値の偏差に応じてワークロール3のギャップ操作量を演算し操作する。
さらに、形状制御装置6では、形状測定装置5にて測定した帯板1の形状、荷重測定値及び帯板1の目標形状を基にベンディングカやクーラント流量などの操作量を演算して帯板1の形状制御を行う。
さらに、形状制御装置6では、形状測定装置5にて測定した帯板1の形状、荷重測定値及び帯板1の目標形状を基にベンディングカやクーラント流量などの操作量を演算して帯板1の形状制御を行う。
ベンディングカやクーラント流量などを操作することにより帯板1の形状制御を行うに際し、例えば、圧延開始時点や圧延終了時点のような圧延速度が変化したときは、帯板1の形状が変化し易い。このような状況下で、従来の形状制御のように、逐次、フィードバック制御により帯板1の形状制御を行ってしまうと、帯板1が振動的に変化してしてしまう。そこで、本発明の圧延機における形状制御方法及び形状制御装置では、帯板1の圧延速度が変化するような状況下にて、帯板1が出来るだけ振動的に変化しないように形状制御を行っている。
以下、圧延機100の形状制御装置6にて行う形状制御方法について、図2のフローチャートを用いて詳しく説明する。なお、図2下記に示すS4及びS5の処理は、形状制御装置6の形状変化量算出部10が行い、S6の処理は、形状制御判断部11が行い、その他の処理は、形状制御装置6にて行う。形状変化量算出部10及び形状制御判断部11は、制御プログラム等により構成されている。
まず、帯板1が通板している状況で形状測定装置5からの出力である形状測定値をもとに、帯板1の目標形状に対する帯板1の形状変化量(偏差)ΔXiを求め、当該帯板1の形状変化に基づいて、形状制御を行うための演算を行う(S1:形状制御演算)。
この実施形態では、式(1)に示すように、ワークロール3(帯板1)を幅方向に複数分割した各ゾーンでの帯板1の板クラウン量などの形状測定値を考えることにする。そうすると、帯板1の目標形状に対する帯板1の形状変化量ΔXiは、式(2)のように示すことができる。
この実施形態では、式(1)に示すように、ワークロール3(帯板1)を幅方向に複数分割した各ゾーンでの帯板1の板クラウン量などの形状測定値を考えることにする。そうすると、帯板1の目標形状に対する帯板1の形状変化量ΔXiは、式(2)のように示すことができる。
さらに、帯板1の形状変化量ΔXiを用いて、操作量であるベンディングカやクーラント流量などを制御アルゴリズムなどを用いて算出することができる。なお、制御アルゴリズムは、一般的な手法でよく、この実施形態では、例えば、PID制御や最適制御などを用いてもよい。
さて、ワークロール3の現在のロール速度(ロール実績値)と所定時間前の過去のロール実績値との差から現在の圧延速度の変化量(速度変化率ΔVr(t))を求める(S2:速度変化率演算)。
さて、ワークロール3の現在のロール速度(ロール実績値)と所定時間前の過去のロール実績値との差から現在の圧延速度の変化量(速度変化率ΔVr(t))を求める(S2:速度変化率演算)。
次に、速度変化率ΔVr(t)が、式(3)にて示される所定値α以上であるか否かを判断し、当該速度変化率ΔVr(t)が所定値α以上であれば、圧延速度が変化しているとする(S3:変化率>α)。
S3にて速度変化率ΔVr(t)が所定値α以上であれば、S4(荷重変化量演算)に進み、それ以外であれば、S8に進む。
S4の処理では、速度変化率ΔVr(t)が所定値α以上であり、帯板1の圧延速度(通板速度)が変化していると判断されると、式(4)により、予測圧延荷重変化量ΔPf(t)を求める。予測圧延荷重変化量ΔPf(t)を求めるにあたっては、現在の速度変化率ΔVr(t)を維持した状態で所定時間内(Δt,M)にワークロール3のロール速度が変化し、当該ロール速度の変化量に応じた予測圧延荷重変化量ΔPf(t)を求める。
S4の処理では、速度変化率ΔVr(t)が所定値α以上であり、帯板1の圧延速度(通板速度)が変化していると判断されると、式(4)により、予測圧延荷重変化量ΔPf(t)を求める。予測圧延荷重変化量ΔPf(t)を求めるにあたっては、現在の速度変化率ΔVr(t)を維持した状態で所定時間内(Δt,M)にワークロール3のロール速度が変化し、当該ロール速度の変化量に応じた予測圧延荷重変化量ΔPf(t)を求める。
次に、S4の処理にて得られた予測圧延荷重変化量ΔPf(t)、現在のベンディングカ、クーラント流量を用いて、所定期間内にベンディングカ、クーラント流量が変化しない、つまりは、ワークロール3のロール速度、圧延荷重以外は現状の圧延状況が維持するとの前提のもとでの式(5)から予測形状変化量ΔXfi(t)を計算する(S5:形状変化量演算)。
なお、式(5)において動特性の次数については一次遅れを採用しているが、この動特性の次数はなんであってもよい。式(5)における各係数は、予め圧延実績データを用いてシステム同定の手法などにより求めるものである。
S5により予測形状変化量ΔXfi(t)を求めた後は、当該予測形状変化量ΔXfi(t)が、式(6)に示すように、目標形状値の範囲内(形状不良の上下限値内)にあるか否かを判断する(S6:目標幅外?)。即ち、予測形状変化量ΔXfi(t)になったときの帯板1の形状が許容される形状であるか否かを判断する。
S5により予測形状変化量ΔXfi(t)を求めた後は、当該予測形状変化量ΔXfi(t)が、式(6)に示すように、目標形状値の範囲内(形状不良の上下限値内)にあるか否かを判断する(S6:目標幅外?)。即ち、予測形状変化量ΔXfi(t)になったときの帯板1の形状が許容される形状であるか否かを判断する。
式(6)に示す形状不良の上下限値は予め定める設定値であり、形状制御の目的に従って定めればよく、例えば、安定した圧延(通板)が目的であれば帯板1が破断に至らないような値を設定したり、帯板1の形状安定化が目的であれば要求される形状変化量に従い値を設定する。
予測形状変化量ΔXfi(t)が式(6)を満たし、帯板1の形状が許容される形状である場合、このままの圧延状態であったとしても荷重変化(速度変化)により帯板1が形状不良になることはないため、圧延速度の変化に伴う板形状の修正制御を行わない。即ち、S6において予測形状変化量ΔXfi(t)が目標形状値の範囲内(形状不良の上下限値内)であるときには、帯板1の圧延速度(通板速度)が変化していると式(3)により判断されたときの板形状を修正する制御を行わない。
予測形状変化量ΔXfi(t)が式(6)を満たし、帯板1の形状が許容される形状である場合、このままの圧延状態であったとしても荷重変化(速度変化)により帯板1が形状不良になることはないため、圧延速度の変化に伴う板形状の修正制御を行わない。即ち、S6において予測形状変化量ΔXfi(t)が目標形状値の範囲内(形状不良の上下限値内)であるときには、帯板1の圧延速度(通板速度)が変化していると式(3)により判断されたときの板形状を修正する制御を行わない。
一方で、予測形状変化量ΔXfi(t)が式(6)の範囲外であって、帯板1の形状が許容されない形状となっているときは、このままの操業であれば少なくとも所定期間にて形状不良となる。また、フィードバック制御の考えに基づく形状制御演算では頻繁に操作量を操作するために、ゲイン調整が不十分の場合は逆にフィードバック制御指令値が外乱となり形状不良発生の原因となりうる。S7の処理では、そのような状況を回避するために比較的緩やかな指令値を計算する予測制御手法により制御量の演算を行う。
即ち、圧延速度の変化に伴う板形状の修正制御(帯板1の形状を修正する制御)を行うために、まず、S7の予測制御演算では、まず、式(7)を用いて、所定時間後の目標形状値を決定する。
詳しくは、現在の制御目標は、目標形状値内に帯板1の形状を制御する必要があることから目標形状値rは、式(6)における上下限値の値を用いればよい。例えば、S6における処理において、予測形状変化量ΔXfi(t)が形状不良の下限値を下回る場合は、目標形状値rを式(6)の下限値に設定し、式(7)にて下限以下から下限値に至る参照軌道の計算を行う。予測形状変化量ΔXfi(t)が形状不良の上限値を上回る場合も、下限値と同様に参照軌道の計算を行う。即ち、予測形状変化量ΔXfi(t)が式(6)を満たさず、圧延速度の変化に伴う修正制御を行うときは、式(6)に示した上下限値を式(7)の目標形状値rに適用し、当該目標形状値rを用いて下記に示す制御操作量の演算を行う。
S7の予測制御演算では、次に、式(7)にて得られた目標形状値(参照軌道)と形状制御モデルを用いて式(8)により誤差を計算し、式(8)による誤差と操作量を用いた式(9)の評価関数を用いて、評価関数を最適化する操作入力値を求める。
一方、予測形状変化量ΔXfi(t)が式(6)を満たし、圧延速度の変化に伴う板形状の修正制御を行わない場合は、S7には進まずS9の処理に進む。S9(制御量補正)では、例えば、S8における制御演算量Δu(t)を0とする。
そして、予測制御演算や制御補正における演算した制御演算量Δu(t)を用いて式(10)にて、サンプリング時間毎ΔTに制御演算量u(t+1)を演算して、その結果を圧延機に適用する(S8)。この処理は、帯板1の圧延が終了するまで繰り返し行う。
そして、予測制御演算や制御補正における演算した制御演算量Δu(t)を用いて式(10)にて、サンプリング時間毎ΔTに制御演算量u(t+1)を演算して、その結果を圧延機に適用する(S8)。この処理は、帯板1の圧延が終了するまで繰り返し行う。
図3は、圧延速度及び圧延荷重の変化を示したものであり、図4は、図3に示す状況下で従来の手法による結果を示したものであり、図5は、図3に示す状況下で本発明を適用した結果を示したものである。
図3に示すように、圧延開始時の圧延加速の際に徐々に圧延速度が上昇すると、圧延荷重は加速開始時点ではあまり変化しないが、その後大きく圧延荷重が低下し加速終了が近づくと低下した圧延荷重にて一定値となる。ここで、仮に、制御を行わなかった場合は、圧延荷重の低下に伴いワークロール3のたわみ量が減少することになり、帯板1の形状(板形状)としては耳波形状から中伸び形状方向へ変化することになる。
図3に示すように、圧延開始時の圧延加速の際に徐々に圧延速度が上昇すると、圧延荷重は加速開始時点ではあまり変化しないが、その後大きく圧延荷重が低下し加速終了が近づくと低下した圧延荷重にて一定値となる。ここで、仮に、制御を行わなかった場合は、圧延荷重の低下に伴いワークロール3のたわみ量が減少することになり、帯板1の形状(板形状)としては耳波形状から中伸び形状方向へ変化することになる。
次に、従来の手法、即ち、帯板1の形状がフラットとなる(フラット形状)となることを目標となる形状としてフィードバック制御により形状制御を行った場合、帯板1の形状(板形状)は、図4に示すように変化することになる。
即ち、従来の手法では、加速開始時点では高圧延荷重の影響により板形状が耳波形状となってしまうことから、それを補正するために、フィードバック制御によりベンディングカをプラス方向に操作して帯板1をフラット形状にしようとする形状制御が働く。しかしながら、従来の手法では、形状制御による操作の影響が効き始める時には圧延荷重低下の影響で適正化されたゲインを用いたとしてもフラット形状ではなく中伸び形状となってしまう。
即ち、従来の手法では、加速開始時点では高圧延荷重の影響により板形状が耳波形状となってしまうことから、それを補正するために、フィードバック制御によりベンディングカをプラス方向に操作して帯板1をフラット形状にしようとする形状制御が働く。しかしながら、従来の手法では、形状制御による操作の影響が効き始める時には圧延荷重低下の影響で適正化されたゲインを用いたとしてもフラット形状ではなく中伸び形状となってしまう。
次に、従来の手法では、帯板1の形状が中伸び形状になった場合は、その形状をフラット形状に戻そうと、逆方向にベンディングカを操作することになるが、その操作の影響が効き始める時には耳波形状となってしまう。
そして、従来の手法では、圧延速度の変化による圧延荷重の影響、図4に示すように、例えば、圧延速度の加速による圧延荷重の低下の影響を十分に考慮していないため、帯板1の形状は目標の形状であるフラット形状をはさんで振動的に変化しながら、次第にフラット形状に近づいていくことになる。
そして、従来の手法では、圧延速度の変化による圧延荷重の影響、図4に示すように、例えば、圧延速度の加速による圧延荷重の低下の影響を十分に考慮していないため、帯板1の形状は目標の形状であるフラット形状をはさんで振動的に変化しながら、次第にフラット形状に近づいていくことになる。
一方、図5に示すように、本発明では、加速開始時点の耳波形状に対してベンディングカをプラス方向に操作するものの、その後は、その形状制御を続けた場合の圧延荷重低下による形状変化量を予測して、帯板1の形状が目標形状範囲内に入るかどうかをチェックし、帯板1の形状が目標形状範囲内であれば、ベンディングカを一定値のままとしている。本発明では、帯板1の形状が目標形状範囲内にあるか否かの計算を繰り返し行い、圧延荷重低下によって帯板1の形状が目標形状範囲外になると予測する場合のみ、形状制御を行い(予測制御の手法を用いて最適な操作量を指令する)、形状制御後は操作量、即ち、指令値を維持するという制御(操作)を繰り返し行っている。
したがって、本発明では、従来の手法と比較するとベンディングカを変更する回数は少なくなるものの、帯板1の形状の結果を見るとならず従来の手法ほど振動的にはならず緩やかに目標形状に漸近していきその後は目標形状近辺を緩やかに変化する結果となっている。つまり、本発明では、従来の手法と比べると加速中にも関わらず目標形状に制御できて、形状が安定化し、安定した圧延を行うことができる。圧延速度が変更したときの帯板1の形状変化を抑制できて、帯板1を通板しているときのトラブル発生の抑制ができる。加えて、圧延中での通板安定性を維持することができるため、不安定操業による圧延機の故障を防止でき、圧延状態変化時の形状変化を抑制できることにより圧延速度の加速減速値を大きくすることができるため、製品(圧延材)の生産性を向上できる。即ち、圧延速度が変化するという状況下であっても、圧延材の形状制御を適正に行うことで振動的な形状変動を抑制し安定した圧延を行うことができる。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 圧延材(帯板)
2 巻回リール
3 ワークロール
4 バックアップロール
5 形状測定装置(形状測定ロール)
6 形状制御装置
7 クーラントヘッド
8 デフレクタロール
10 形状変化量算出部
11 形状制御判断部
100 圧延機
2 巻回リール
3 ワークロール
4 バックアップロール
5 形状測定装置(形状測定ロール)
6 形状制御装置
7 クーラントヘッド
8 デフレクタロール
10 形状変化量算出部
11 形状制御判断部
100 圧延機
Claims (4)
- 圧延機にて圧延している圧延材の形状制御方法において、
前記圧延材の圧延速度が変化したときの予測形状変化量を求め、この予測形状変化量が所定範囲内にあるときは、前記圧延速度の変化に伴う板形状の修正制御を行わないことを特徴とする圧延機における形状制御方法。 - 前記圧延材の速度変化率ΔVr(t)を求め、この速度変化率ΔVr(t)に基づいて予測圧延荷重変化量ΔPf(t)を求め、この予測圧延荷重変化量ΔPf(t)から前記予測形状変化量を求めることを特徴とする請求項1に記載の圧延機における形状制御方法。
- 前記圧延機におけるベンディング力及びクーラント流量を一定として圧延荷重は変化するものとして前記予測形状変化量を求めることを特徴とする請求項2に記載の圧延機における形状制御方法。
- 圧延機にて圧延している圧延材の形状を制御する形状制御装置において、
前記圧延材の圧延速度が変化したときの予測形状変化量を求める形状変化量算出部と、前記予測形状変化量が予め求めた目標形状値の範囲にあるときは圧延速度の変化に伴う板形状の修正制御を行わない指令をする形状制御判断部とを有していることを特徴とする圧延機における形状制御装置。
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Cited By (1)
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CN114074118A (zh) * | 2021-11-18 | 2022-02-22 | 东北大学 | 一种六辊冷轧机的轧制稳定性预测方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS583712A (ja) * | 1981-06-26 | 1983-01-10 | Kawasaki Steel Corp | 圧延機の板形状制御方法 |
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2010
- 2010-11-05 JP JP2010248497A patent/JP2012096281A/ja active Pending
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPS583712A (ja) * | 1981-06-26 | 1983-01-10 | Kawasaki Steel Corp | 圧延機の板形状制御方法 |
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CN114074118A (zh) * | 2021-11-18 | 2022-02-22 | 东北大学 | 一种六辊冷轧机的轧制稳定性预测方法 |
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