<第1の実施形態>
図1〜4を用いて本発明の第1実施形態であるセルスタック装置1について説明する。
セルスタック装置1は、複数の燃料電池セル3を間に集電部材4を配置して配列し、電気的に直列に接続してなるセルスタック2と、セルスタック2の上方に配置され、内部を流れる燃料を気化するための燃料電池用気化器(以下、気化器と略す場合がある。)8と、内部を流れる燃料を改質するための燃料電池用改質器(以下、改質器と略す場合がある。)9とを備えて構成されている。
セルスタック装置1は、セルスタック2の端部に燃料電池セル3で発電した電流を外部に引き出すための電流引出部5bを備えた導電部材5aを具備しており、燃料電池セル3の一端部(下端部)と導電部材5aの一端部(下端部)とが、燃料電池セル3に燃料ガス(水素含有ガス)を供給するためのガスタンク6にガラス等の絶縁性のシール材(図示せず)により固定されている。シール材としては、結晶化ガラスや非晶質ガラス等の絶縁性ガラスや、アルミナ等のセラミックスあげられる。
そして、セルスタック2の他端部側(上方)に離間して、気化器8と改質器9としての第1改質器9aおよび第2改質器9bとが配置されている。改質器9により改質された燃料ガスは、燃料ガス供給管12を通りガスタンク6に供給され、セルスタック2を構成する各燃料電池セル3に燃料ガスが供給される。
図2を用いて燃料電池セル3を構成する各部材について説明する。
燃料電池セル3は図2(b)に示すように、一対の対向する平坦部と両端の弧状部とを有する扁平な柱状の導電性支持体3e(以下、支持体3eと略す場合がある)の一方の平坦部と弧状部を覆うように内側電極層としての多孔質な燃料極層3aが設けられており、この燃料極層3aを覆うように、緻密質な固体電解質層3b積層されている。また、固体電解質層3b上には、燃料極層3aと対向するように外側電極層としての多孔質な空気極層3cが設けられている。すなわち、支持体3eの一方の平坦部上に、燃料極層3a、固体電解質層3bおよび空気極層3cがこの順に積層されている。また、燃料極層3aおよび固体電解質層3bが形成されていない支持体3eの他方の平坦部上には、緻密質なインターコネクタ3dが積層されている。このような構成により柱状の燃料電池セル3が形成される。以降の説明において特に断りのない限り、外側電極層を空気極層3c、内側電極層を燃料極層3aとして説明する。
支持体3eには内部に燃料電池セル3の一端から他端かけて貫通して設けられた燃料ガス流路3fが燃料電池セル3の幅方向(以下、セル幅方向と略す場合がある)に複数個設けられており、燃料ガス流路3fに燃料ガスが供給されると、支持体3e内を通り支持体3eの表面上に設けられた燃料極層3aに燃料ガスが供給され、燃料電池セル3が発電を行なっている。
図2で示すように、燃料極層3aおよび固体電解質層3bは、両端の弧状部を経由してインターコネクタ3dの両サイドにまで延設されており、支持体3eの表面が外部に露出しないように構成されている。それにより、燃料電池セル3の内外で燃料ガスがリークしない構成となっている。
支持体3eは、燃料ガスを燃料極層3aまで透過させるためにガス透過性であること、インターコネクタ13を介在して集電を行うために導電性であることが要求されることから、例えば、FeやNi等の鉄族金属成分とYやYb等の特定の希土類酸化物とにより形成される。支持体3eは、開気孔率が30%以上、特に35〜55%の範囲がよく、支持体3eの導電率は、50S/cm以上が好ましい。支持体11の寸法としては、支持体11の平坦部の長さ(支持体11の幅方向の長さ)は、通常、15〜35mm、弧状部の長さ(弧の長さ)は、2〜8mmであり、支持体11の厚み(両平坦部間の厚み)は1.5〜5mmとすることができる。
燃料極層3aは、電極反応を生じさせるものであり、鉄族金属であるNiおよびNiOのうち少なくとも一方と、希土類元素が固溶したZrO2とから形成することができる。希土類元素としては、支持体11において例示した希土類元素(Y等)を用いることができる。
固体電解質層3bは、3〜15モル%のY、Sc(スカンジウム)、Yb等の希土類元素を含有した部分安定化あるいは安定化ZrO2やランタンガレート系のペロブスカイト型酸化物からなる緻密質なセラミックスを用いることができる。また、希土類元素としては、安価であるという点からYとすることができる。さらに、固体電解質層9は、ガス透過を防ぐために、相対密度(アルキメデス法による)が93%以上、特に95%以上の緻密質であることが望ましく、かつその厚みが5〜50μmとすることができる。
空気極層3cは、ガス透過性を有する必要があり、従って、空気極層10を形成するランタンコバルト系やランタンマンガナイト系の導電性セラミックス(ペロブスカイト型酸化物)は、開気孔率が20%以上、特に30〜50%の範囲とすることができる。さらに、空気極層10の厚みは、集電性という点から30〜100μmとすることができる。
インターコネクタ3dは、緻密質な導電性セラミックスにより形成されている。燃料ガス(水素含有ガス)および酸素含有ガス(空気)と接触するため、耐還元性、耐酸化性を有することが必要である。このため、耐還元性、耐酸化性を有する導電性セラミックスとして、一般に、ランタンクロマイト(LaCrO3)系ペロブスカイト型酸化物を用いることができ、支持体11と固体電解質層9との熱膨張係数を近づけることができる。インターコネクタ13の厚みは、ガスのリーク防止と電気抵抗の低減という点から、10〜50μmとすることができる。
燃料電池セル3としては、各種燃料電池セルが知られているが、燃料電池セル3を収納してなる燃料電池装置を小型化、高効率化する上で、高温下で作動する固体酸化物形燃料電池セルとすることができる。それにより、燃料電池装置を小型化、高効率化することができるとともに、家庭用燃料電池で求められる変動する負荷に追従する負荷追従運転を行なうことができる。さらに、発電により生じた熱を給湯システムと組み合わすことで効率のよい固体酸化物形燃料電池システムを構成することができる。
次にセルスタック装置1を構成する各部材について説明する。
セルスタック2は、複数の燃料電池セル3を間に集電部材4を介在させて一列に配列してなり、各燃料電池セル3を電気的に直列に接続するように形成されている。セルスタック2の両端にはセルスタック2を挟持するように導電部材5が配置されている。集電部材4や導電部材5と燃料電池セル3との接合を強固にするため、燃料電池セル3と集電部材4や導電部材5との間に導電性セラミックスからなる導電性接合材(図示せず)を介在させて接合してもよい。
集電部材4は、燃料電池セル3同士を電気的に接続するため、導電性が必要とされており、金属や合金または金属フェルトにより形成することができる。集電部材4を形成する合金の例をあげると、例えばCrを含有する金属等により形成される。Crを含有する合金を例示すると、例えば、Fe−Crの合金やNi−Crの合金があげられる。合金中のCrの含有量は、耐熱性および耐酸化性の観点から合金100質量部に対して10〜30質量部、さらには20〜30質量部とすることができる。耐熱性および耐酸化性を向上させるためにMoやW等の元素を含有してもよい。
導電部材5は、燃料電池セル3と集電部材4を介して接合される平板部5aと、電流を引き出すための電流引出部5bとからなる。導電部材5は、燃料電池セル3で発電した電流を外部に引き出すことを要するため導電性が必要とされており、集電部材4と同様の材料により形成することができる。また、セルスタック2を両端から挟持するため、集電部材4よりも剛性が高いことが好ましい。
ここで、集電部材4や導電部材5を形成するCrを含有する合金からCrが拡散することを抑制するために、集電部材4や導電部材5の表面にCr拡散抑制層をコーティングにて形成してもよい。それにより、集電部材4や導電部材5からのCrの拡散を抑制することができ、燃料電池セル3の長期信頼性を向上させることができる。Cr拡散抑制層としては、Znを含有する酸化物があげられ、例えばZnOやZnを含有するスピネルを用いることができる。
上述した導電性接合材について説明すると、導電性接合材14は、導電性を有するペロブスカイト型酸化物部等の導電性セラミックスにより形成することができる。例えば、上述した空気極層10と同様の材料により作製することができ、燃料電池セル3との接合を強固にすることができる。また、インターコネクタ13との接合強度を高めるために、インターコネクタ13と導電性接合材との間に、導電性接合材と同じ組成からなる接合層を設けてもよい。
ガスタンク6は、中空の箱状形状をしており、上部にてセルスタック2と導電部材5とを絶縁性のシール材により立設した状態で接合している。ガスタンク6は、金属や合金により作製することができ、市販されている合金等を用いて作製することができる。セルスタック2を構成する部材や導電部材5と接触すると電気的に短絡を生じてしまうため、絶縁性のコーティングを施すことが好ましい。絶縁性のコーティングとしては、AL2O3等からなるコーティングがあげられる。
セルスタック2の上方には、原燃料供給管10から供給される原燃料を原燃料ガスに改質するための気化器8と、原燃料ガスを改質ガスに改質するための改質器9としての第1改質器9aおよび第2改質器9bと、気化器8、第1改質器9aおよび第2改質器9bをそれぞれ接続する連結管11とが配置されており、第2改質器9bおよびガスタンク6を接続するための燃料ガス供給管12によりガスタンク6に燃料ガスを供給している。そして、気化器8および改質器9はセルスタック2の上方から所定の距離をあけて離間した状態で配置されている。
図3(a)で示すように、気化器8と第2改質器9bは、原燃料または燃料ガス供給側(図3(a)で示す右側)が高く斜めに傾いた形状となっており、第1改質器9aは原燃料ガス供給側(図3(a)で示す左側)が高く斜めに傾いた形状となっている。言い換えると、燃料(原燃料、原燃料ガスおよび燃料ガスを含む)の上流側が高くなっており、気化器8および改質器9を一体的に側面視して見ると、九十九折り形状となっている。また、図3(b)で示すように、セル幅方向に第2改質器9b、気化器8、第1改質器9aとこの順に大きく重ならないように配置されている。そして、気化器8および改質器9は燃料電池セル3の配列方向(以下、セル配列方向と略す場合がある。)の一方から他方にわたって配置されている。
気化器8は、燃料(原燃料)を流す流路となる円柱状の管により形成されており、円柱状の管が流路部材となっている。この円柱状の管の一方端に燃料導入口(図示せず)が設けられ、他方端に燃料排出口(図示せず)が設けられており、燃料導入口に原燃料を供給するための原燃料供給管10が接合されている。図3(a)においては、気化器8の一方端は右になり、他方端は左となっている。気化器8内には粒状の気化補助部材13が充填されており、原燃料供給管10から供給された原燃料を効率よく気化している。
ここで、原燃料とは、改質器9にて燃料ガス(水素含有ガス)を生成するための原燃料となるものであり、液体燃料(例えば、灯油)等があげられる。また、本明細書においては原燃料とは、液体燃料を気化させた原燃料ガスや炭化水素系ガス(例えば、都市ガス)も含む概念である。燃料ガスの改質方法としては、部分酸化改質、オートサーマル改質または水蒸気改質等をあげることができるが、改質効率の観点から水蒸気改質が好ましく、水蒸気改質する際は原燃料として水(水蒸気)を供給する必要がある。本明細書においては、原燃料、原燃料ガスおよび燃料ガスを総称して燃料とよぶ。
気化器8に充填される気化補助部材13としては、粒状や粉状のジルコニア等のセラミックボールやペレット等を用いることができ、気化器8内の表面積を増加させるために充填されているため、多孔質体のものを用いることが好ましい。気化補助部材13の粒径としては、気化器8の大きさ等により適宜設定することができるが、充填しやすさと気化効率の点から1〜7mmのものを用いることが好ましい。
改質器9は、気化器8と同様に燃料を流す流路となる円柱状の管からなる流路部材により形成された第1改質器9aと第2改質器9bとを連結管11により接続して構成されている。第1改質器9aおよび第2改質器9bはそれぞれ一方端に燃料導入口(図示せず)が設けられ、他方端に燃料排出口(図示せず)が設けられている。図3(a)においては、第1改質器9aの一方端は左、他方端は右となっており、第2改質器9bの一方端は右、他方端は左になっている。そして、気化器8と接続された連結管11と第1改質器9aの一方端(燃料導入口)とが接続され、第1改質器9aの他方端(燃料排出口)と第2改質器9bの一方端(燃料導入口)とが連結管11により接続されている。そして、第2改質器9bの他方端(燃料排出口)に燃料ガス供給管12が接続されて、気化器8および改質器9とガスタンク6とが連通しており、ガスタンク6に燃料ガスを供給している。第1改質器9aと第2改質器9bとは構成が同じであり、同一のものを用いることができる。
第1改質器9aおよび第2改質器9bには気化器8より供給された原燃料ガスを燃料ガスに改質するための改質触媒14が充填されている。改質触媒14としては、RuやPt等が担持した粒状や粉状のセラミックボールやペレット等をあげることができる。原燃料ガスとの接触面積を増加させるという意味で多孔質なものを用いることが好ましい。改質触媒14の粒径としては、改質器9の大きさ等により適宜設定することができるが、充填しやすさと改質効率の点から1〜10μmのものを用いることが好ましい。
気化器8および改質器9への粒状の充填物(気化補助部材13や改質触媒14)の充填方法としては、粒状のセラミックボールやペレットを流路部材である円柱状の管の一方端または他方端を封止して、封止していない一方端または他方端から充填物を流しこんで充填する方法を挙げることができる。この方法を用いることで、容易に充填物を充填することができる。
セルスタック装置1を構成する気化器8、改質器9、原燃料供給管10、連結管11および燃料ガス供給管12は金属製の管により容易に作製することができる。所要ならば耐熱性のコーティングを施すことでセルスタック装置1の耐久性を向上させることができる。
図4(a)を用いて、燃料電池装置の発電時における気化器8および改質器9の内部における燃料の流れについて説明する。図4に示す一点鎖線の矢印は燃料の流れを示し以下同様である。
気化器8、改質器9は傾斜して設置されており、それぞれ燃料導入口側が燃料排出口側よりも高い構成となっている。つまり、気化器8の流路の上部は、燃料側導入口の上部が機械の接地面からの高さの最高部となっており、燃料排出口の上部が気化器8の接地面からの高さの最低部となっている。そして気化補助部材13の最高充填高さが最低部以上となっている。
そのため、図4(a)に示すように気化補助部材13の充填物の沈下が生じても、燃料の排出口側では、気化補助部材13が密に充填されていることとなり、気化補助部材13に接触しない、いわゆるガスのショートパスの発生を防止することができる。
また、気化器8および改質器9に充填物を充填する場合においても、充填不良を生じないように精度高く充填する必要がなくなり、セルスタック装置1の製造工程を簡易にすることができる。さらに、充填不良が生じていた場合においても、ショートパスの発生を防ぐことができる。
それにより、十分に気化していない原燃料が改質器9に供給されることを低減することができる。そのため、改質触媒14の劣化や破損を抑えることができ、長期信頼性の向上したセルスタック装置1とすることができる。
また、十分に改質されていない燃料ガスが燃料電池セル3に供給されることを低減することができる。そのため、燃料電池セル3の劣化や破損を抑えることができ、長期信頼性の向上したセルスタック装置1とすることができる。
さらに、気化効率や改質効率を向上させることができることから、発電効率の向上したセルスタック装置1とすることができ、燃料電池装置を省エネルギー運転することが可能となる。
ここで、セルスタック装置1は、燃料電池セル3の内部に燃料ガスを流し、セルスタックの外部に空気導入板(図示せず)を用いて空気(酸素含有ガス)を用いて発電を行なっている。そして、発電に使用されずに燃料電池セル3から排出された余剰の燃料ガス(以下、燃料オフガスと略す場合がある。)および発電に使用されなった余剰の酸素含有ガス(以下、酸素オフガスと略す場合がある。)をセルスタック2の上方の燃焼部にて燃焼させることにより、セルスタック装置1を温めて早期の起動や効率の良い運転を行なっている。
また、水蒸気改質により燃料ガスを生成する場合に、水蒸気改質は吸熱反応のため、改質反応を行なう場合に反応熱が必要となる。セルスタック装置1は、燃焼部にて燃料オフガスと酸素オフガスとを燃焼させているため、改質器7に効率よく熱を供給することができる。
次に、気化器8および改質器9の内部を流れる燃料の流れについて説明する。図4(a)に示すように、気化器8内に充填物(気化補助部材13)の沈下が生じている場合、原燃料供給管10近傍の上壁付近に気化補助部材13が存在しない空間が生じる可能性がある。原燃料供給管10から原燃料が供給され、気化器8の上壁付近を流れる原燃料は、気化補助部材13が存在しない空間を流れることとなるが、燃料の流れ方向の下流側に流れていくにつれ、気化補助部材13と接触することとなり十分に気化を行なうことができる。そして気化された原燃料ガスが、連結管11を通り第1改質器9aに流入する。
第1改質器9aに流入した原燃料ガスは、充填された改質触媒14により燃料ガスに改質されながら燃料の下流側に流れていく。第1改質器9aにおいても気化器8と同様に、改質触媒14の充填高さが燃料排出口側の最低部以上であるため触媒の沈下が生じていても、燃料の下流側に改質触媒14が充填されていることから、十分な改質を行なうことができる。そして燃料ガスおよびいまだ改質されていない原燃料ガスは、連結管11を介して第2改質器9bに流入する。
第2改質器9bに流入した燃料ガスは、第2改質器9bの内部においては、改質されることなく下流に向けて流れることとなるが、改質触媒14と接触することにより、温度の高い改質触媒14から熱が供給され、効率よく燃料ガスの温度を上昇させることができる。また、第2改質器9bに流入した原燃料ガスは、第2改質器9bにて燃料ガスに改質されながら下流に向けて流れることとなる。そして、第2改質器9bを流れた燃料ガスは、ガスタンク6に供給され、燃料電池セル3の発電に使用される。
ここで、気化器8および改質器9を傾斜して設けた場合の傾斜角度について説明する。第1の実施形態のように気化器8および改質器9を傾けた状態でセルスタック装置1の上方に配置する場合、傾斜角は3〜30°が好ましい。傾斜角を3°以上とすることで、触媒の充填性を高めることができ、傾斜角を30°以下とすることで、気化器8および改質器9が高さ方向に大きくなることを抑えることができる。それにより、触媒の充填性を高めることができるとともに、燃料電池装置が大型化せず燃料電池装置が熱自立できる構成とすることができる。傾斜角とは、上述した流路の上部における最高部と最低部とを結んだ線文と気化器8または改質器9の設置面との角度を指すものとする。
さらに、図4(b)に示すように、平面視して、気化器8、第1改質器9aおよび第2改質器9bが大きく重ならないように配置しているため、燃焼部からの熱を効率よく受熱することができる。
水蒸気改質により燃料ガスを生成する際は、原燃料供給管10から水および空気を改質器9に供給する必要があるため、図1に示したように二重管を用いることが好ましい。
<第2の実施形態>
図5〜7を用いて本発明の第2実施形態であるセルスタック装置15について説明する。第1実施形態とは改質器18および予熱器19の構成が異なっており、その他の点は同一である。そのため、第1実施形態と同一の構成については説明を省略する。
図5、6で示すように、気化器17と、改質器18と、予熱器19とがそれぞれ連結管11により接合されて構成されている。気化器17と、改質器18および予熱器19は、中空の角柱により形成されており、この中空の角柱が流路部材となる。そして、気化器17と予熱器19とが燃料導入口側に比べ、燃料排出口側の方が高くなっており、改質器18の燃料導入口側が燃料排出口側に比べて高くなっている。そのため、気化器17、改質器18および予熱器19を側面視すると、一方側(図6においては、燃料ガス供給管12側)が他方側(図6においては、原燃料供給管10側)に比べて高くなっており傾斜した形状となっている。
予熱器19は、燃料を流すための流路となる中空の角柱からなり、一端面(図5で示す左側)に燃料導入口が設けられ、他端面(図5で示す右側)に燃料排出口が設けられている。予熱器19の機能としては、改質器18により生成された燃料ガスを、予熱器19内部にて流す間に、燃料ガスに熱を与え、温度の上昇した燃料ガスを生成している。予熱器19内部には、前述した気化補助部材13が充填されており、効率よく燃料ガスに熱を与えている。つまり、予熱器19と気化器17とは同一のものを用いて作製することができる。
また、例えば、予熱器19の上流側には改質触媒14を充填し、改質触媒14を充填していない部位に気化補助部材13を充填してもよい。その場合、原燃料ガスを燃料ガスに十分に改質できるとともに、燃料ガスの温度を上昇することができる。その場合に、気化補助部材13と改質触媒14との仕切りには後述する仕切り部材を用いればよい。
図7を用いて気化器17、改質器18および予熱器19の内部を流れる燃料について説明する。図7に示すように、気化器17および予熱器19は燃料導入口側より燃料排出口側が高くなるように設置されている。そのため、気化器17および予熱器19は、気化器17および予熱器19を形成する流路の上部における最高部が燃料排出口側となり、最低部が燃料導入口側となっている。改質器18は、燃料排出口側より燃料導入口側が高くなるように設置されている。そのため、改質器18は、改質器18を形成する流路の上部における最高部が燃料導入口側となり、最低部が燃料排出口側となっている。
そのため、気化器17において、触媒(気化補助部材13)の沈下が生じた場合においても、原燃料供給管10側に気化補助部材13が密に充填されていることとなる。そのため、原燃料供給管10側にて効率の良い気化を行なうことができる。特に、水や液体燃料を原燃料供給管10から供給する場合には、早期に原燃料を原燃料ガスに気化することができるため、改質器16にて効率のよい改質をすることができる。また、気化器17の下流側の上壁近傍にて気化補助部材13が配置されていない空間が存在する場合においても、気化器17の上壁近傍を流れる原燃料はすでに原燃料ガスに改質されている可能性が高いため問題はない。そして、改質器18に供給された原燃料ガスは、燃料ガスに改質されながら下流側へ向けて流れることとなる。
改質器18は、燃料の下流側(燃料排出口側)では改質触媒14が密に充填されている。そのため、燃料の上流側の上壁近傍では、改質触媒14の配置されていない空間が存在していた場合においても、上壁に沿って流れるうちに、下流側にて改質触媒14と接触し、改質反応が生じることとなる。それにより、改質触媒14と接触しない、いわゆるショートパスが生じることを防止することができる。また、改質器18の上流側に比べ下流側の方が低いことから、改質器18の下流側がセルスタック2に近い構成となっている。そのため、セルスタック2から効率よく儒熱することができ、効率のよい改質を行なうことができる。そして、予熱器19に燃料ガスが流れることとなる。
予熱器19は、燃料導入口側で気化補助部材13が密に充填されていることとなる。そのため、気化補助部材13と燃料導入口側で接触することにより、燃料ガスを早期に温度の上昇した燃料ガスとすることができる。それにより、温度の上昇した燃料ガスがセルスタック2の上方を流れることとなり、燃料ガスがセルスタック2を冷却することなくガスタンクに教協されることとなる。また、例えば、連結管11側に改質触媒14を充填しておくことで、改質されていない原燃料ガスが予熱室19に供給されたとしても早期に原燃料ガスを燃料ガスに改質することができる。
第2の実施形態のように、気化器17、改質器18および予熱器19をすべて同方向に傾斜したものを用いる場合、傾斜角度を20〜30°と比較的角度を大きく設定しても、各部材が同方向に傾斜していることから、燃料電池装置が大型化することを抑えることができる。そのため、傾斜角度を大きく設ける場合には、気化器17等を同方向に傾斜させることが好ましい。
<第3の実施形態>
図8〜10を用いて本発明の第3の実施形態であるセルスタック装置20を説明する。セルスタック装置20は、原燃料供給管10aが接合された気化器22と、原燃料供給管10bが接続された混合器23と、第1改質器24aと、燃料ガス供給管が接続された第2改質器24bとが連結管11を介して接続されて構成されている。混合器23を設けた点でセルスタック装置1とは異なり、その他の構成は第1のセルスタック装置1と同様である。
気化器22等は、一方端が原燃料供給管10aに接合された気化器22と同等の高さに混合器23が配置されており、気化器22の他方端と混合器23の他方端とが連結管11にて接続されている。混合器23の下方には第1改質器24aが配置されており、混合器23の一方端と第1改質器24aの一方端とが連結管11にて接続されている。そして、気化器22の下方に第1改質器24aと同等の高さに第2改質器24bが配置されており、第1改質器24aの他方端と第2改質器24bの他方端とが連結管11にて接続されている。第2改質器24bの一方端にはガスタンク6と接続するための燃料ガス供給管12が接続されている。
気化器22、混合器23、第1改質器24aおよび第2改質器24bは、流路部材である円柱により形成された流路を備えている。混合器23は、一方端に気化器22と接続するための連結管11および原燃料供給管10bに接続される燃料導入口が設けられており、他方端に第1改質器24aと接続するための連結管11に接続される燃料排出口が設けられている。そして、内部には気化補助部材13が充填されている。
図9(a)に示すように、気化器22、混合器23および改質器24は、気化器22に接続された原燃料供給管10a側が高く配置されており、傾斜した状態でセルスタック2の上方に設置されている。そのため、気化器22および第1改質器24aは燃料排出口側が高くなり、混合器23および第2改質器24bは燃料導入口側が高くなる。そのため、燃料のショートパスを防止することができ、長期信頼性の向上したセルスタック装置20とすることができる。
また、セルスタック装置20は混合器23を備えていることから、改質器36に供給された原燃料を十分に温めた後に気化器37に供給することができる。それにより、水蒸気改質する際の水や、液体燃料を用いて燃料ガスを生成する場合に、供給される水や液体燃料の温度が低いため、十分に気化しないまま、改質器24に供給されることを低減でき、改質器24内に充填された改質触媒14に破損や劣化を抑えることができる。そのため、改質触媒14の劣化を低減することができ、長期信頼性の向上したセルスタック装置20とすることができる。
例えば、水と都市ガス等の炭化水素系ガスとにより水蒸気改質をして燃料ガスを生成する場合には、気化器22に水を供給し、混合器23に炭化水素系ガスを供給すればよい。それにより、水蒸気と炭化水素系ガスを混合器23にて十分に温めるとともに混合することができ、改質器24にて効率のよい改質を行なうことができる。
さらに、水と灯油等の液体燃料とにより水蒸気改質をして燃料ガスを生成する場合には、気化器22に液体燃料を供給し、混合器23に水を供給すればよい。それにより、気化器22にて温度の上昇した液体燃料と水とを混合器23にて気化および混合することができる。そのため、効率のよい改質を行なうことができる。また、気化器22では液体燃料の温度を上昇させるほか液体燃料の一部を気化することもできる。
また、第3の実施形態では、原燃料をそれぞれ気化器22と混合器23とに供給する例を示したが、気化器22に原燃料供給管10aおよび原燃料供給管10bを例えば2重管等により接続してもよい。また、気化器22と混合器23とに原燃料を供給する場合は、原燃料の気化温度の低い方を気化器22に供給すればよい。それにより、効率のよい気化および改質を行なうことができる。
なお、第1、3の実施形態では円柱状の管を用い、第2の実施形態では角柱状の管を用いた例を示したが、気化器等を形成する管はどのような形状のものを用いてもよい。また、パイプ等の部材の両端を塞ぐことにより形成することもできる。また、気化器や改質器によりその形状が異なるものを用いてもよい。さらに、第1、2の実施形態では一直線状の気化器、改質器および予熱器を示したが、加工により一部を折り曲げたものを用いてもよい。例えば、一部を屈曲させ傾斜させたものを用いても、流路の上部における最低部が充填物の最高充填高さ以上であれば、燃料のショートパスを防止することができる。
また、第1〜3の実施形態では、気化器、改質器、予熱器および混合器をそれぞれ別体にて作製し、組み合わせて作製したセルスタック装置を示したが、例えば、炭化水素系ガスを用いて、部分酸化改質する場合等には、水や液体燃料等を使用しないため、気化器を設けなくてもよい。改質方法、原燃料の種類等により、適宜設定すればよい。さらに、気化器と改質器とを備えるセルスタック装置において、改質器のみ上述したように上部が傾斜したものを用いてもかまわない。
なお、気化器等を別体として設けた場合には、気化器等の設置面とは、気化器等の最も下端に位置する部位が接する鉛直方向に直交する面を示す。
<第4の実施形態>
図11、12を用いて本発明の第4の実施形態であるセルスタック装置26について説明する。
セルスタック装置26は、ガスタンク6の上面にセルスタック2が、セル幅方向に2列並置されて接合されており、セルスタック2の上方に平面視してUの字状に気化器28および改質器29が配置されており、気化器28および改質器29は、一体的に形成されており、以下この一体的に形成されたものを改質ケース27と称する。
セルスタック装置26を構成する2つのセルスタック2は同じものを用いることができるが、セルスタック2を構成する燃料電池セル3の向きがそれぞれ逆向きになるように配置する。そして、セルスタック装置21の一方側に配置されている導電部材5の電流引出部5bを電気的に接続することで、2つのセルスタックを電気的に直列に接続している。
セルスタック2の上方には改質ケース27が配置されており、セルスタック2のそれぞれに対応するように気化器28および改質器29がそれぞれのセルスタック2を覆うように配置されている。2つのセルスタック2間にはセル幅方向に空間が設けられており、上方に配置された改質ケース27のUの字に設けられた空間(気化器28および改質器29の間の空間)と対応している。そのため、例えば前述した燃料電池セルスタック装置21に空気を送るための空気導入板(図示せず)をこの空間に配置することができる。
改質ケース27は、原燃料供給口10に接続された気化器28と、気化器28と仕切板25を介して連通した第1改質器29aと第1改質器29aと仕切板25を介して連通した第2改質器29bとを備えている。そのため、一方のセルスタック2の上方に気化器28と第1改質器29aとが配置され、他方のセルスタック2の上方に第2改質器29bが配置される構成となっている。
そして、一方のセルスタック2の上方に配置された改質ケース27は、気化器28および第1改質器29aが、セル配列方向の一方側に設けられた原燃料供給管10がセル配列方向の他方側よりも高い位置に配置されており、セル配列方向の他方側に向けて傾斜している。また、他方のセルスタック2の上方に配置された改質ケース27は、第2改質器29bが、セル配列方向の一方側に設けられた燃料ガス供給管12がセル配列方向の他方側よりも低い位置に配置されており、セル配列方向の一方側に向けて傾斜している。
気化器28および改質器29の傾斜角は上述したように3〜30°であることが好ましい。この傾斜角は充填物の粒径や燃料電池モジュールの大きさに従い適宜設定することができる。
気化器28は、前述した気化補助部材13が充填されて構成されており、改質器29(第1改質器29aおよび第2改質器29b)には、前述した改質触媒14が充填されて構成されている。仕切板25は、充填物を通さず、燃料を通す必要があるため、金属製のメッシュ等を用いることができる。金属製のメッシュの穴は充填物の径の大きさに従い適宜変更すればよい
改質ケース27に充填物(気化補助部材13や改質触媒14)を充填する方法としては、改質ケース27の天板(図11においては、上板)を取り外した状態で仕切板25を改質ケース27に接合する。そして、充填物を充填した後に天板を改質ケース27に接合して作製することができる。
図12(a)を用いて発電時における改質ケース27の内部について説明する。改質ケース27において、気化器28、第1改質器29aおよび第2改質器29bは燃料の上流側が下流側に比べて高い構成となっている。そのため、燃料の下流側(燃料排出口側)にて充填物が密に充填されており、充填物と燃料とが接触する構成となっている。そのため、充填物に接触しないショートパスを防止することができる。
また、図12(b)に示すように、原燃料供給管10から供給された原燃料は、気化器28により原燃料ガスに気化されながら、第1改質器29aに向けて流れる。気化器28から流入した原燃料ガスは、一方のセルスタック2の上方を一端部から他端部にわたりセル配列方向に沿って改質されながら流れる。そして、第1改質器29aを流れた原燃料ガスまたは燃料ガスは、仕切板25により仕切られた第2改質器29bに流入し、他方のセルスタック2の上方を他端部から一端部にわたりセル配列方向に沿って改質または温められながら流れることとなる。そのため、効率よく温められた燃料ガスを燃料電池セル3に供給することができる。
なお、図11、12において示した改質ケース27は、気化器28、第1改質器29aおよび第2改質器29bが、燃料の下流側に比べて上流側が高い構成の例を示したが、これに限定されるものではなく、例えば、気化器28および第1改質器29aが燃料の下流側に比べて上流側が高く、第2改質器29bが燃料の下流側に比べて上流側が高い構成としてもよい。その場合においては、気化部28および改質部29を平行にすることができるため、改質ケース27の形状を簡易なものとすることができ、改質ケース27の製造コストを低下させることができる。さらに、改質ケース27の天板を取り付けることを容易にすることができるとともに、角度の大きい傾斜角に設定しても、改質ケース27が高さ方向に大きくなることを抑制することができる。
また、仕切板25により第1改質器29aと第2改質器29bとに改質器29を分割した例を示したが、仕切板25を設けず改質器29を第1改質器29aと第2改質器とを分割しなくてもよい。
<第5の実施形態>
図13、14を用いて本発明の他の実施形態であるセルスタック装置30を構成する気化器32および改質器33について説明する。気化器32および改質器33も一体的に形成されているため、以下、改質ケース31と称する。図13(b)は改質ケース31の上段の概念断面図であり、(c)は改質ケース31の下段の概念断面図である。
改質ケース31は、上下2段に内部が仕切られた中空の箱状部材からなり、原燃料供給管10に隣接した上段に仕切板25により気化器32が設けられており、気化器32以外の上段および下段に改質器33が設けられている。そして、改質ケース31の原燃料供給管10側が高くなるように配置されており、改質ケース31を側面視すると傾いた状態でセルスタック装置1に配置固定されている。その他の構成はセルスタック装置1と同様のため説明は省略する。
改質ケース31について図13を用いて詳しく説明すると、改質ケース31の内部は板部材等により上下2段に仕切られている。この板部材は燃料および充填物を仕切るための板であり、改質ケース31を形成する部材と同様の金属や合金により作製することができる。この板部材は、一端が原燃料供給管10側の改質ケース31の側壁(セル配列方向に直交する側壁)と接合されており、他端は燃料を下段に流すためセル配列方向における逆側の側壁には所定の間隔をあけて配置されている。また、板部材を強固に固定するために改質ケース31のセル幅方向に直交する側壁には接合することが好ましい。
改質ケース31は、気化器32と改質器33とが内部を板部材により仕切られ、一体的に設けられており、改質ケース自体が箱状の形状を有している。そのため、改質ケース31の傾斜角は3〜30°とすることができ、傾斜角が20〜30°と比較的大きい場合においても、燃料電池装置の大型化を抑えることができる。
改質ケース31は、原燃料供給管10に隣接して気化補助部材13が充填された気化器32が配置されており、その他の内部は改質触媒14が充填された改質器28となっている。そして、原燃料供給管10側が高い構成となっているため、燃料が改質ケース31の上壁に沿って流れても、ショートパスが生じない信頼性の向上した改質ケース31とすることができる。
さらに、改質ケース31は内部が仕切られた箱状の部材により作製されていることから、容易に改質ケース31を作製することができる。また、気化器32と改質器33の出口側(燃料ガス供給管側)が隣接して配置されていることから、温められた燃料ガスにより気化器33を温めることができ、効率のよい気化を行なうことができる。
充填物(気化補助部材13および改質触媒14)の充填方法としては、改質ケース31の一方のセル幅方向における側壁を取り外し、充填物を充填した後に接合することにより、容易に充填物を充填することができる。また、原燃料供給管10が接合される側壁を取り外し、改質触媒14を充填した後に、仕切板25を接合し、気化補助部材13を充填し、側壁を接合して充填してもよい。
なお、第5の実施形態においては、上端の一部に気化器32を設けた例を示したが、上段のすべての領域に気化補助部材13を充填し、気化器32を設けてもよい。気化器32および改質器33の配置はセルスタック装置の構成に合わせて適宜設定すればよい。
また、改質ケース31の内部を仕切る板部材を改質ケース31に対して、傾斜した状態で接合してもよい。例えば、改質ケース自体を傾斜角5°程度で燃料導入口側が高くなるように傾け、内部を仕切る板部材を傾斜角10°程度で燃料導入口側が高くなるように構成してもよい。
<第6の実施形態>
図15、16を用いて本発明の他の実施形態であるセルスタック装置35を構成する気化器37および改質器38について説明する。本実施形態も気化器27および改質器38が一体的に形成されており、以下、改質ケース36と称する。また、図13(b)については第6実施形態の変形例を示している。
改質ケース36は、セルスタック2を覆うようにセルスタック2の上方に配置されており、セル配列方向の中央部に気化器37を備え、気化器37に隣接してセル配列方向の両側方に改質器38を備えている。そのため、改質ケース31は、セル配列方向における中央部に原燃料供給管10が接続されており、セル配列方向における両端部に燃料ガス供給管12が接続されている。そして燃料ガス供給管12はガスタンク6にそれぞれ向かって延びており、ガスタンク6にそれぞれ接合されている。
そして、改質ケース36のセル配列方向における中央部が両端部より高い位置に配置されている。言い換えると気化器37が改質器38よりも高い位置に配置されている。
図16(a)を用いて改質ケース36を流れる燃料について説明すると、原燃料供給管10から供給された燃料は、気化器37にて原燃料ガスに気化される。気化器37にて気化した原燃料ガスは、気化器37を両側方に向けて流出し、両端部に設けられた改質器38にて燃料ガスに改質されながら燃料ガス供給管12に向けて流れることとなる。
改質ケース36は、セル配列方向における中央部が両端部よりも高い位置に配置されていることから、触媒の沈下(充填物の沈下)が生じた場合においても、燃料の下流側にて充填物である気化補助部材13および改質触媒14が充填されることとなる。そのため、改質ケース36の上壁に沿って燃料が流れても、ショートパスが生じることを防止することができる。
改質ケース36は、両端に配置された改質器38を傾斜させて構成されているが、傾斜角は3〜30°が好ましい。また、改質ケース36においては、両側方に配置された改質器38を同等の角度で傾斜させた例を示したが、それぞれ別個の傾斜角を設定してもよい。
改質ケース36は、セル配列方向の中央部に位置する気化器32が改質ケース36の他の部位よりも高い位置に配置されている。そのため、セルスタック2と改質ケース36との間に空間ができ、セル配列方向における中央部に熱がこもることを低減することができ、セル配列方向における温度分布を抑えることができる。それにより、燃料電池セル3に劣化を低減することができる。
また、改質ケース36の両端部にそれぞれ改質器38が設けられており、それぞれの改質器38と燃料ガス供給管12とが接続されていることから、ガスタンク6に2か所にて接合されることとなる。そのため、一端部にて燃料ガス供給管12と接合されるガスタンクに比べて、セルスタック2を構成する各燃料電池セル3に均一な量の燃料ガスを供給することができ、セルスタック装置35の発電性能を向上させることができる。
図16(b)に示す改質ケース39は改質ケース36の変形例を示している。改質ケース36とは気化器37と改質器38との位置関係が逆になっている点で異なる。つまり、セル配列方向における両端部に配置された改質器38が、セル配列方向における中央部に配置された気化器37よりも高い位置に配置されており、その他の点においては同様である。
改質ケース39は気化器37が最も低く配置されており、両端部に向かうにつれて高くなるように構成されており、改質ケース39の両端が最も高く配置されている。そのため、触媒の沈下が生じた場合や充填物の充填不良が生じた場合においても、燃料の上流側にて充填物が密に充填される状態となり、燃料がショートパスを生じることを防止することができる。
また、セルスタック装置35がセル配列方向において中央部の温度が両端部に比べて高くなる温度分布を生じた場合においても、セルスタック2の中央部の上方に隣接して気化器37が配置されていることから、気化による吸熱反応によりセルスタック2の中央部における熱を吸熱することができる。それにより、セルスタック装置35のセル配列方向における温度分布を低減させることができる。
なお、改質ケース36、39では、両側方に設けられた改質器38が同等の高さにある例を示したが、それぞれの改質器38を異なる高さに配置してもよい。例えば、図15に示す改質ケース36の右側に配置された改質器38を気化器37よりも高い位置に配置し、左側に配置された改質器38を気化器37よりも低い位置に配置してもよい。
図17を用いて第1〜6の実施形態に係るセルスタック装置を収納容器41に収納してなる燃料電池モジュール40について説明する。図17においては、第1の実施形態に係るセルスタック装置1を収納した例を示し、収納容器41の一部(前後面)を取り外し、内部に収納されているセルスタック2および気化器8および改質器9(セルスタック装置1)を後方に取り出した状態を示している。ここで、図17に示した燃料電池モジュール40においては、セルスタック装置1を、収納容器41内にスライドして収納することが可能である。
また、収納容器41の内部には、燃料電池セル3に酸素含有ガスを供給するための酸素含有ガス導入部材42が設けられており、図17に示す燃料電池モジュール40においては、ガスタンク6に立設されたセルスタック2の両側方に配置されるとともに、酸素含有ガスが、燃料ガスの流れにあわせて、燃料電池セル3の側方を下端部側から上端部側に向かって流れるように、燃料電池セル3の下端部側に酸素含有ガスを供給するように構成されている。
また、セルスタック装置1においては、燃料電池セル3のガス流路より排出される余剰の燃料ガスを燃料電池セル3の上端部側(燃焼部)にて燃焼させているため、燃料電池セル3の温度を上昇させ、高温に維持することができ、セルスタック装置1の起動を早めることができるほか、発電効率を向上することができる。また、燃料電池セル3の上端部側にて、燃料電池セル3のガス流路から排出される燃料ガスを燃焼させることにより、セルスタック2の上方に配置された気化器8および改質器9を効率よく温めることができる。それにより、気化器8および改質器9で効率よく改質反応を行うことができる。
このような燃料電池モジュール40においては、上述したように、気化器8および改質器9において燃料のショートパスを防止することができることから、セルスタック装置1の長期信頼性を向上させることができる。
図18は、外装ケース内に図17で示した燃料電池モジュール40と、燃料電池モジュール40を動作させるための補機(図示せず)とを収納してなる本発明の燃料電池装置の一例を示す分解斜視図である。図18においては一部構成を省略して示している。
図18に示す燃料電池装置45は、支柱46と外装板47から構成される外装ケース内を仕切板48により上下に区画し、その上方側を上述した燃料電池モジュール40を収納するモジュール収納室49とし、下方側を燃料電池モジュール40を動作させるための補機を収納する補機収納室50として構成されている。補機収納室50に収納する補機は省略している。
また、仕切板48には、補機収納室50の空気をモジュール収納室49側に流すための空気流通口51が設けられており、モジュール収納室29を構成する外装板47の一部に、モジュール収納室49内の空気を排気するための排気口52が設けられている。
このような燃料電池装置45においては、上述したように、長期信頼性の向上した燃料電池モジュール40をモジュール収納室49に収納し、燃料電池モジュール40を動作させるための補機を補機収納室50に収納して構成されることにより、長期信頼性の向上した燃料電池装置55とすることができる。
図19を用いて充填物収納ケース53について説明する。充填物収納ケースは、流体を流すための流路を有する流路部材の一方端に流体導入口、他方端に流体排出口が設けられ、内部に粒状の充填物54を備えている。そして、充填物収納ケース53を形成する流路の上部は、充填物収納ケースの設置面からの高さが最高部と最低部とを有しているとともに、充填物の充填高さが最低部以上であり、流体導入口から導入された流体が充填物と接触し、燃料排出口から排出される。
充填物収納ケース53は中空の円柱により形成されており、この円柱が流路部材となるとともに円柱の内部が流路となっている。円柱はパイプ等の部材を流体の流れ方向に封止するように板部材を接合し、一方端(図19では右側)に設けられた流体導入口に流体導入管55が接合されており、他方端(図19では左側)に設けられた流体排出口に流体供給管56が接合されている。そして、充填物収納ケース53の内部には、粒状の充填物が充填されている。
充填物収納ケース53としては、種々のものを挙げることができるが、例えば、燃料ガスを改質するための改質器、原燃料を気化させるための気化器、あるいは都市ガス等から硫黄を取り除くための脱硫器等を挙げることができる。充填物54は、充填物収納ケース53の機能に合わせて適宜選択して充填すればよい。例えば、気化補助部材13や改質触媒14は上述したものを利用することができ、脱硫触媒としては、所定の金属を担持した粒状のセラミックス等からなる部材やペレットを用いることができる。
図19(b)に示すように、充填物収納ケース53は、流路(円柱)の上部が、流体排出口側(図19(b)においては左側)に最高部を有し、流体導入口側(図19(b)においては右側)に最低部を有しており、充填物54の充填高さよりも最低部が高くなっている。そのため、充填物収納ケース53を側面視すると流体排出口側が高く、傾斜した状態で設置されていることとなる。それにより、粒状の充填物54を充填物収納ケース53に収納し、上述した充填物54の沈下が生じた場合においても、流体がいわゆるショートパスを生じることを防止することができる。
また、充填物収納ケース53を横置き型にすることで、充填物収納ケース53の収納スペースを小さくすることができる。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、改良等が可能である。
例えば、上述したセルスタック1においては、燃料電池セル3内のガス流路12に燃料ガスを供給し、燃料電池セル3の外側に酸素含有ガスを供給する例を示しているが、ガス流路12に酸素含有ガスを供給し、燃料電池セル3の外側に燃料ガスを供給する構成としてもかまわない。その場合においては、内側電極層を酸素側電極層10とし、外側電極層を燃料側電極層8とする構成の燃料電池セル3とすればよい。それに併せて、燃料電池モジュール40および燃料電池装置45の構成を適宜変更すればよい。
また、燃料電池モジュール内40内に、1つのセルスタック1を収納してもよく、複数のセルスタックを収納してもよい。複数のセルスタックを収納することで、燃料電池モジュール40の発電出力を向上させることができる。さらに、外装ケース内に1つの燃料電池モジュール40を収納する例を示したが、複数の燃料電池モジュール40を収納してもよい。
さらに、第4〜6の実施形態のように、改質器および気化器を一体として形成した改質ケースについても、原燃料や改質方法により、気化器、改質器、予熱器および混合器を適宜設定することができる。例えば、気化器を設けなくてもよく、気化器の代わりに混合器を設けてもよい。また、各構成部材の改質ケースの内部を占める割合もセルスタック装置の仕様に合わせて適宜設定すればよい。
なお、気化器等を一体的に改質ケースとして形成した場合には、改質器および気化器の設置面とは、改質ケースの最も下端に位置する部位が接する鉛直方向に直交する面を示す。