JP2012094222A - 同時2光子吸収記録材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】同時2光子吸収によって記録部及び未記録部の蛍光強度に変化を誘起して情報を記録・再生する2光子吸収記録再生技術に用いられ、2光子記録部に蛍光消光剤を発生させて、該蛍光消光剤と蛍光色素との間での励起エネルギー移動消光を誘起することにより該蛍光色素からの再生光による蛍光を物理的に消光して記録部の蛍光強度を減少させるものであって、再生を繰返し行っても非記録部(蛍光発光部分)の蛍光発光が弱くならず、適切な再生情報を得ることができる、所謂、再生耐久性に優れる記録材料を提供する。
【解決手段】特定構造のクマリン蛍光色素、(b)2光子吸収化合物、及び、(c)2光子吸収化合物の2光子励起状態と反応して、蛍光色素との間で蛍光色素の励起エネルギー移動消光を誘起することにより該蛍光色素からの蛍光を物理的に消光できる蛍光消光剤を発生する蛍光消光剤前駆体、を含む。
【選択図】なし

Description

本発明は同時2光子吸収記録材料に関し、詳細には、同時2光子吸収を用いて記録材料内部に3次元に記録ピットを記録し、記録されたそれらの記録ピットを読み出すものであり、更に詳細には、2光子吸収を用いた記録反応の前後で記録光照射部の蛍光強度が減少することによって信号を記録し、かつ、再生耐久性に優れた同時2光子吸収記録材料に関する。
一般に、非線形光学効果とは、印加する光電場の2乗、3乗あるいはそれ以上に比例する非線型な光学応答のことであり、印加する光電場の2乗に比例する2次の非線形光学効果としては、第二高調波発生(SHG)、光整流、フォトリフラクティブ効果、ポッケルス効果、パラメトリック増幅、パラメトリック発振、光和周波混合、光差周波混合などが知られている。また印加する光電場の3乗に比例する3次の非線形光学効果としては第三高調波発生(THG)、光カー効果、自己誘起屈折率変化、2光子吸収などが挙げられる。
これらの非線形光学効果を示す非線形光学材料としてはこれまでに多数の無機材料が見出されてきた。ところが無機物においては、所望の非線形光学特性や、素子製造のために必要な諸物性を最適化するためのいわゆる分子設計が困難であることから実用するのは非常に困難であった。一方、有機化合物は分子設計により所望の非線形光学特性の最適化が可能であるのみならず、その他の諸物性のコントロールも可能であるため、実用の可能性が高く、有望な非線形光学材料として注目を集めている。
近年、有機化合物の非線形光学特性の中でも3次の非線形光学効果が注目されており、その中でも特に、非共鳴2光子吸収が注目を集めている。2光子吸収とは、化合物が2つの光子を同時に吸収して励起される現象であり、化合物の(線形)吸収帯が存在しないエネルギー領域で2光子の吸収が起こる場合を非共鳴2光子吸収という。なお、以下の記述において特に明記しなくても「2光子吸収」とは「非共鳴2光子吸収」を指す。また、「同時2光子吸収」の「同時」を略して単に「2光子吸収」と記すこともある。
ところで、非共鳴2光子吸収の効率は印加する光電場の2乗に比例する(2光子吸収の2乗特性)。このため、2次元平面にレーザーを照射した場合においては、レーザースポットの中心部の電界強度の高い位置のみで2光子の吸収が起こり、周辺部の電界強度の弱い部分では2光子の吸収は全く起こらない。一方、3次元空間においては、レーザー光をレンズで集光した焦点の電界強度の大きな領域でのみ2光子吸収が起こり、焦点から外れた領域では電界強度が弱いために2光子吸収が全く起こらない。印加された光電場の強度に比例してすべての位置で励起が起こる線形吸収に比べて、非共鳴2光子吸収では、この2乗特性に由来して空間内部の1点のみで励起が起こるため、空間分解能が著しく向上する。
通常、非共鳴2光子吸収を誘起する場合には、化合物の(線形)吸収帯が存在する波長領域よりも長波でかつ吸収の存在しない、近赤外領域の短パルスレーザーを用いることが多い。いわゆる透明領域の近赤外光を用いるため、励起光が吸収や散乱を受けずに試料内部まで到達でき、非共鳴2光子吸収の2乗特性のために試料内部の1点を極めて高い空間分解能で励起できる。
本出願人は、これまで、非共鳴2光子吸収を誘起する化合物を用いる2光子増感型3次元記録材料に関する種々の出願を行ってきた。この記録材料は、少なくとも(1)2光子吸収化合物(2光子増感剤)、(2)屈折率変調材料又は蛍光強度変調材料、とを含み、(1)が効率よく2光子吸収を行い、獲得した光エネルギーを光誘起電子移動やエネルギー移動によって(2)へと受け渡して(2)の屈折率又は蛍光強度を変化させることにより記録を行う記録材料である。光吸収過程に通常の光記録で用いる1光子吸収ではなく、非共鳴2光子吸収を用いることで、記録材料内部の任意の位置に3次元空間分解能を有して記録ピットを書き込むことができるようになる。
例えば、特許文献1には、(2)屈折率又は蛍光強度変調材料として、色素を発色させることで屈折率を変調するものと、無蛍光から蛍光発光又は蛍光発光から無蛍光にさせることで蛍光変調するもの(色素発色又は蛍光色素発色により屈折率又は蛍光変調する材料)を用いた技術が開示されている。
また、特許文献2には、同時2光子吸収によって記録部及び未記録部の蛍光強度に変化を誘起して情報を記録・再生できる2光子吸収記録材料として、2光子吸収記録部分で蛍光強度が減少するタイプの記録材料が開示されている。この特許文献2に開示されている2光子吸収記録部分で蛍光強度が減少するタイプの記録材料は、蛍光性の2光子吸収化合物が2光子吸収を行うと、共存する消色前駆体との間で化学反応を起こして非蛍光性の化合物へと変化するものである。
特開2007−87532号公報 特開2005−100606号公報
しかしながら、特許文献2に開示の2光子吸収記録部分で蛍光強度が減少するタイプの記録材料は、2光子吸収した蛍光性の2光子吸収化合物と該消色前駆体とが反応した分しか蛍光が減少しないため、多量の蛍光性化合物を化学変化させねばならず、感度が十分ではなかった。
このような問題を受けて、本発明者らは、先に、同時2光子吸収によって記録部及び未記録部の蛍光強度に変化を誘起して情報を記録・再生する2光子吸収記録再生技術であって、2光子記録部に蛍光消光剤を発生させて、該蛍光消光剤と蛍光色素との間での励起エネルギー移動消光を誘起することにより該蛍光色素からの再生光(蛍光励起するための光)による蛍光を物理的に消光して記録部の蛍光強度を減少させることを特徴とする技術の検討を行った。
しかしながら、上記の技術においても、再生を繰返し行うと非記録部(蛍光発光部分)の蛍光発光が弱くなり、適切な再生情報を得ることができなくなる、所謂、再生耐久性が十分でないという、新たな問題が見つかった。
本発明は、上記の同時2光子吸収によって記録部及び未記録部の蛍光強度に変化を誘起して情報を記録・再生する2光子吸収記録再生技術であって、2光子記録部に蛍光消光剤を発生させて、該蛍光消光剤と蛍光色素との間での励起エネルギー移動消光を誘起することにより該蛍光色素からの再生光による蛍光を物理的に消光して記録部の蛍光強度を減少させる技術において、再生を繰返し行っても非記録部(蛍光発光部分)の蛍光発光が弱くならず、適切な再生情報を得ることができる、所謂、再生耐久性に優れる技術を提供することを目的とする。
発明者らの鋭意検討の結果、下記構成により、上記課題を解決できることを見出した。
〔1〕(a)下記一般式(1)で表わされる蛍光色素、(b)2光子吸収化合物、及び、(c)2光子吸収化合物の2光子励起状態と反応して、蛍光色素との間で蛍光色素の励起エネルギー移動消光を誘起することにより該蛍光色素からの蛍光を物理的に消光できる蛍光消光剤を発生する蛍光消光剤前駆体、を含む同時2光子吸収記録材料。
Figure 2012094222
(一般式(1)中、R及びRは、各々独立に、アリール基又はヘテロ環基を表し、複数のR、R、Rは、各々独立に、水素原子又は置換基を表し、Xは、水素原子若しくは炭素原子と結合した窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を表す。)
〔2〕前記一般式(1)において、複数のR及びRは、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はヘテロ環基を表すことを特徴とする前記〔1〕に記載の同時2光子吸収記録材料。
〔3〕前記一般式(1)において、Rはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、アミノ基又はハロゲン原子を表すことを特徴とする前記〔1〕又は〔2〕に記載の同時2光子吸収記録材料。
〔4〕前記一般式(1)において、R及びRはアリール基を表すことを特徴とする前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の同時2光子吸収記録材料。
〔5〕前記一般式(1)において、Rはアリール基、ヘテロ環基又はハロゲン原子を表すことを特徴とする前記〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の同時2光子吸収記録材料。
〔6〕前記一般式(1)において、R及びRは置換基を有していてもよいフェニル基を表すことを特徴とする前記〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の同時2光子吸収記録材料。
〔7〕前記一般式(1)において、Rはジフェニルフェニル基又は臭素原子を表すことを特徴とする前記〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の同時2光子吸収記録材料。
〔8〕前記一般式(1)において、Rの置換位置が、N原子又はXに対してパラ位であることを特徴とする前記〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の同時2光子吸収記録材料。
〔9〕同時2光子吸収によって記録部及び未記録部の蛍光強度に変化を誘起して情報を記録・再生する2光子吸収記録再生方法に用いられ、該2光子吸収記録再生方法が、2光子記録部に蛍光消光剤を発生させて、該蛍光消光剤と蛍光色素との間での励起エネルギー移動消光を誘起することにより該蛍光色素からの再生光による蛍光を物理的に消光して記録部の蛍光強度を減少させるものであることを特徴とする前記〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載の同時2光子吸収記録材料。
〔10〕同時2光子吸収を起させて、蛍光色素との間での励起エネルギー移動消光を誘起できる蛍光消光剤を発生させることによって記録を行い、該蛍光色素を励起できる再生光を照射して、該励起エネルギー移動により該蛍光色素からの蛍光を物理的に消光して蛍光強度が減少した2光子吸収記録部と未記録部との蛍光強度の差を比較することによって再生を行なう同時2光子吸収記録再生方法に用いられることを特徴とする前記〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載の同時2光子吸収記録材料。
〔11〕(a)蛍光色素が、再生波長に線形吸収帯を有し、該線形吸収帯の線形吸収を励起することで蛍光を発するものであり、(b)2光子吸収化合物が、再生波長に線形吸収帯をもたないものであることを特徴とする前記〔9〕又は〔10〕に記載の同時2光子吸収記録材料。
〔12〕蛍光色素の蛍光スペクトルと蛍光消光剤の吸収スペクトルの少なくとも一部が重なることを特徴とする前記〔9〕〜〔11〕のいずれか1項に記載の同時2光子吸収記録材料。
〔13〕蛍光消光剤前駆体が、その発生する蛍光消光剤の吸収スペクトルの極大波長が蛍光色素の蛍光スペクトルの極大波長よりも長波長に出現するものであることを特徴とする前記〔9〕〜〔12〕のいずれか1項に記載の同時2光子吸収記録材料。
〔14〕蛍光色素の吸収スペクトルの極大波長が、2光子吸収化合物及び蛍光消光剤前駆体の線形吸収の極大波長よりも長波長に存在することを特徴とする前記〔9〕〜〔13〕のいずれか1項に記載の同時2光子吸収記録材料。
本発明の推定作用機構を以下に示す。飽くまでも推定であるため、明確に断定されるものではない。また、その前に、繰返し再生を行うことによって蛍光発光が弱くなる機構についても説明する。
Guilford Jones II and William R. Bergmark, “Photodegradation of Coumarin Laser Dyes: An Unexpected Singlet Self−Quenching Mechanism”, J. Photochem. 1984, 26, p.179−184に、クマリンの光退光のメカニズムが記載されている。
詳細には、クマリンが比較的高濃度に存在する状態で、蛍光励起光を照射すると、クマリンの2分子が会合し、一方のクマリン分子が酸化され、他方のクマリン分子が還元されるという、不均化という現象が生じ、その結果、クマリン分子自体が分解されるということが記載されている。
これに対して、本発明の同時2光子吸収記録材料に用いる蛍光色素は、クマリン骨格の7位に−NR基(R及びRは、各々独立に、アリール基又はヘテロ環基を表す)、同骨格の3位に置換ベンゾチアゾール基等の嵩高い基を有することにより、クマリンの2分子間の会合を、物理的に阻害するものと推定される。
また、一般式(1)で表わされる構造のクマリン骨格の3位に有するベンゾチアゾール基に置換されている、置換基としては、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基の中の嵩高い基であるものや、ハロゲン原子が好ましい。
該ベンゾチアゾール基に置換されている置換基として、嵩高い基が好ましい理由としては、前述と同様であり、ハロゲン原子が好ましい理由としては、明確ではないが、そのイオン性により、クマリンの2分子間の会合が抑制されるか、クマリンの2分子が会合しても、その会合分子間の酸化還元反応が抑制されるものと推定される。
本発明の同時2光子吸収記録材料は、蛍光色素として、一般式(1)で表わされるクマリン構造のものを用いることにより、繰返し再生を行っても、非記録部の蛍光発光が弱くならず、適切な再生情報を得ることができる、所謂、再生耐久性に優れたものとすることができる。
2光子吸収化合物D−1、蛍光消光剤前駆体Lo−11及びLo−11から発生した蛍光消光剤Qの吸収スペクトルを示す図である。 2光子吸収化合物D−1、蛍光消光剤前駆体Lo−11、蛍光色素f−2及びLo−11から発生した蛍光消光剤Qの吸収スペクトル並びにf−2の蛍光スペクトルを示す図である。
本発明の同時2光子吸収記録材料(以下、単に、記録材料とも称する)について詳細に説明する前に、以下に、本発明の記録材料を用いる同時2光子吸収記録再生技術について説明する。
本発明の記録材料は、同時2光子吸収によって記録部及び未記録部の蛍光強度に変化を誘起して情報を記録・再生する2光子吸収記録再生方法に用いられ、該2光子吸収記録再生方法が、2光子記録部に蛍光消光剤を発生させて、該蛍光消光剤と蛍光色素との間での励起エネルギー移動消光を誘起することにより該蛍光色素からの再生光による蛍光を物理的に消光して記録部の蛍光強度を減少させるものである。
本発明の記録材料に、同時2光子吸収を起させて、蛍光色素との間での励起エネルギー移動消光を誘起できる蛍光消光剤を発生させることによって記録を行い、該蛍光色素を励起できる再生光を照射して、該励起エネルギー移動により該蛍光色素からの蛍光を物理的に消光して蛍光強度が減少した2光子吸収記録部と未記録部との蛍光強度の差を比較することによって再生を行なうことができる。
本発明の記録材料を用いる記録再生技術は、蛍光強度の減少が化学変化によらない点が、特許文献2に記載の技術と異なるものである。
本発明の記録材料を用いる記録再生技術の作用機構としては、蛍光消光剤を発生させて蛍光色素と発生した消光剤との間で物理消光(エネルギー移動)によって蛍光強度を減少させるものである。エネルギー移動消光では、一分子の消光剤が数〜数十倍の蛍光色素の蛍光を消光するため、少量の消光剤の発生で多量の蛍光を消せることになり感度が高くなる。これに対して特許文献2に記載の技術は、蛍光色素の化学変化による化学消光によって蛍光強度を減少させるものである。
蛍光における化学消光と物理消光について説明するが、その前に、本発明の記録材料を用いる記録再生技術における蛍光消光剤について説明する。
〔蛍光消光剤〕
一般に、蛍光消光とは蛍光性化合物の光励起状態が基底状態分子と相互作用してその励起エネルギーを失って励起分子が消失し、蛍光強度が弱くなるか蛍光が観測されなくなる現象をいう。蛍光性化合物に加えると蛍光消光を行う化合物を蛍光消光剤と称する。
〔化学消光と物理消光〕
消光剤が蛍光性化合物の蛍光を消光するプロセスは、蛍光性化合物の光励起状態が消光剤と化学反応を起こして構造が変化し、非蛍光性化合物が生成することで消光が起こる化学消光と呼ばれるプロセスと、蛍光性化合物の励起状態と消光剤との間での化学反応は特に起こらず、互いに化学構造は変化しないが、蛍光性化合物の励起状態と消光剤との間で励起エネルギー移動と呼ばれる光物理的なプロセスを経て蛍光性化合物の励起状態が蛍光を伴わずに基底状態へと失活する物理消光と呼ばれるプロセスとに分類できる。
化学消光では、化学反応で消費された蛍光性化合物の量の分だけ蛍光強度が減少するに過ぎないが、物理消光の場合には、ごく少量の消光剤が添加量の何倍もの蛍光性化合物からの蛍光を消光することが可能であるため、もし仮に一定量の蛍光強度を減少させようと考えた場合、化学消光よりも物理消光の方が少ない消光剤で必要な量の蛍光消光を行うことができることになる。
〔励起エネルギー移動消光のメカニズム〕
励起エネルギー移動消光はその作用機構にしたがって交換機構と呼ばれる機構と、共鳴機構と呼ばれる機構の二つに分類される。それぞれの機構の特徴は、例えば、「光化学I」(井上晴夫、高木克彦、佐々木政子、朴鐘震共著、丸善(株)出版事業部、1999年09月、95−99頁)等に詳しく記載されている。
交換機構によってエネルギー移動が起こるためには、エネルギー供与体と受容体とがほぼ接触するほど近接する必要があるために有効距離は短く、一般的には溶液や気体のような流動性のある状態でその寄与が大きくなる。
一方の共鳴機構の場合には、エネルギー供与体と受容体との間で接触する必要は無く、凡そ10nm離れた分子間でもエネルギー移動が起こるとされ、固体中のように分子が移動しない状態でもエネルギー移動を発現させることが可能であるが、この場合にはエネルギー供与体の蛍光スペクトルとエネルギー受容体の吸収スペクトルの一部が重なることが必須で、その重なりが大きいほどエネルギー移動は起こりやすくなるとされる(スペクトル条件)。
〔消光剤前駆体からの消光剤発生メカニズム〕
本発明の2光子吸収記録技術の記録メカニズムについて詳しく説明する。本発明の2光子吸収記録材料は、記録部分の蛍光強度が未記録部分よりも減少するタイプの記録材料で、シグナル強度が未記録部分で高く、記録部分で低い、所謂、high−to−low型の記録材料である。
本発明の記録材料においては、記録光照射部位に蛍光消光剤を発生させて、共存する蛍光物質からの蛍光を励起エネルギー移動により蛍光消光して、記録部分の蛍光強度を減少させる。従って、本発明の2光子吸収記録材料は、蛍光を発する蛍光色素と、光吸収によって蛍光消光性をもたない化合物から蛍光消光能をもつ化合物へと変化する蛍光消光剤前駆体を含むことが必要である。
本発明の2光子吸収記録材料には、2光子吸収効率を向上させることを目的に、2光子吸収断面積の大きな化合物を2光子吸収増感剤として加える。2光子吸収増感剤として加えられた化合物は、2光子吸収を効率よく行って2光子励起状態を形成し、例えば、2光子励起状態との間で直接電子移動又はエネルギー移動することによる酸化又は還元により、あるいは2光子励起状態と酸発生剤又は塩基発生剤との間で電子移動又はエネルギー移動することにより発生した酸又は塩基により、蛍光消光剤前駆体から蛍光消光剤の生成を増感する。
例えば、下記の反応図式(スキーム)に示すように、本発明の2光子吸収化合物である後述のD−1と蛍光消光剤前駆体である後述のLo−11との混合物に光を照射してD−1を励起すると、光照射により生成したD−1の励起状態D−1はLo−11と反応して蛍光消光剤(Q)を生成する。D−1の光励起状態D−1を得るには、D−1の線形吸収(1光子吸収)に相当する320〜400nmの光を照射するか、線形吸収帯の存在しない波長(例えば450nmとか522nmなど)の強い光(レーザー光)を用いて2光子吸収を起こせば良い。通常、光励起によって生成する励起状態は1光子吸収と2光子吸収とで同一である場合が殆どであるから、2光子吸収で進行する化学反応を観察するのに、1光子吸収を用いて同一化合物を励起しても良い。
Figure 2012094222
図1に示すように、2光子吸収化合物D−1及び蛍光消光剤前駆体Lo−11はもともと400nmよりも長波長側には線形吸収をもたないが、蛍光消光剤前駆体Lo−11より生成する蛍光消光剤Qは、500〜700nmに線形吸収帯を有する化合物であるので、吸収スペクトルを測定すれば、蛍光消光剤Qが生成したか否かを確認することができる。
図1について説明すると、2光子吸収化合物D−1と蛍光消光剤前駆体Lo−11は400nm以上の波長領域には吸収をもたないが、2光子吸収化合物D−1を光励起すると消光剤Qが発生し、もともと線形吸収が存在しなかった波長領域に新たな吸収帯が出現する。
上記の記録再生技術に用いる2光子吸収記録材料は、(a)再生波長に線形吸収帯を有し、該線形吸収帯の線形吸収を励起することで蛍光を発する蛍光性色素、(b)再生波長に線形吸収帯をもたない2光子吸収化合物、(c)2光子吸収化合物の2光子励起状態と反応して蛍光消光剤を発生する蛍光消光剤前駆体、の少なくとも3成分を含むものである。そのような蛍光色素として、例えばf−2を用いるとすれば、2光子吸収記録材料の吸収スペクトル(D−1、Lo−11及びf−2の和)、f−2の線形吸収帯に相当する波長でf−2を励起した場合の蛍光スペクトル、及び2光子励起によって蛍光消光剤前駆体から生成した蛍光消光剤(Q)の吸収スペクトルは図2に示すようなスペクトルになる。
例えば405nmで再生を行う場合を考えると、図1に示されているように、2光子吸収化合物D−1と蛍光消光剤前駆体Lo−11の線形吸収は405nmには存在しないから蛍光消光剤Qが生成する記録反応は進行せず、蛍光色素のみが励起されて蛍光シグナルが観測される。この記録材料に例えば522nmの強いレーザー光をレンズで絞って照射すれば、2光子吸収化合物D−1の同時2光子吸収が起こり蛍光消光剤前駆体Lo−11との間で光誘起電子移動反応が進行して蛍光消光剤Qが生成する。蛍光消光剤Qが生成すると蛍光色素f−2との間で励起エネルギー移動が起こってf−2からの蛍光が消光されて蛍光強度が小さくなる。図2に示すように、エネルギー供与体であるf−2の蛍光スペクトルの一部がエネルギー受容体である蛍光消光剤Qの吸収スペクトルと重なっており、共鳴機構で励起エネルギー移動が起こるためのスペクトル条件を本2光子吸収記録材料が満たしていることが分かる。
なお、2光子吸収化合物と蛍光消光剤前駆体との反応は光誘起電子移動反応であるから、反応効率を向上させるために互いの分子を連結して1分子としても良い。
このような、同時2光子吸収記録再生方法に用いる同時2光子吸収記録材料としては、同時2光子吸収により、蛍光色素からの励起エネルギーの移動を誘起することにより該蛍光色素からの蛍光を物理的に消光できる蛍光消光剤を発生するものである。
〔本発明の同時2光子吸収記録材料〕
以下に、本発明の同時2光子吸収記録材料について詳細に説明する。
本発明の同時2光子吸収記録材料(以下、単に、記録材料とも称する)は、(a)下記一般式(1)で表わされる蛍光色素、(b)2光子吸収化合物、及び、(c)2光子吸収化合物の2光子励起状態と反応して、蛍光色素との間で蛍光色素の励起エネルギー移動消光を誘起することにより該蛍光色素からの蛍光を物理的に消光できる蛍光消光剤を発生する蛍光消光剤前駆体、を含むものである。
Figure 2012094222
(一般式(1)中、R及びRは、各々独立に、アリール基又はヘテロ環基を表し、複数のR、R、Rは、各々独立に、水素原子又は置換基を表し、Xは、水素原子若しくは炭素原子と結合した窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を表す。)
以下に、本発明の同時2光子吸収記録材料に含まれる各成分にについて詳細に説明する。
(a)一般式(1)で表わされる蛍光色素
一般式(1)で表わされる蛍光色素(以下単に、「本発明の蛍光色素」とも称する)は、クマリン骨格の7位に−NR基(R及びRは、各々独立に、アリール基又はヘテロ環基を表す)、同3位に置換ベンゾチアゾール基等の嵩高い基を有するものである。
一般式(1)で表わされる蛍光色素において、R及びRは、アリール基であることが好ましく、フェニル基がより好ましいが、本発明の記録材料中において、該蛍光色素の2分子会合を阻害できるような嵩高い基を構成し得、かつ、該蛍光色素の蛍光発光能を下げないもの等であれば、特に限定されない。また、R及びRが表わすアリール基及びヘテロ環基は、更に置換基を有していてもよい。
一般式(1)で表わされる蛍光色素において、R及びRは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はヘテロ環基であることが好ましく、水素原子がより好ましいが、該蛍光色素の蛍光発光能を下げないもの等であれば、特に限定されない。
一般式(1)で表わされる蛍光色素において、Rは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、アミノ基又はハロゲン原子であることが好ましく、アリール基、ヘテロ環基又はハロゲン原子がより好ましく、ジフェニルフェニル基又は臭素原子が更に好ましいが、本発明の記録材料中において、該蛍光色素の2分子会合を阻害できるような嵩高い基等であるか、又は、該蛍光色素の2分子会合してもその会合分子間の酸化還元反応が抑制できるような等であり、かつ、該蛍光色素の蛍光発光能を下げないもの等であれば、特に限定されない。また、上記のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、アミノ基は、更に置換基を有していてもよい。
一般式(1)において、Rの置換位置が、N原子又はXに対してパラ位であることが好ましいが、本発明の記録材料中において、該蛍光色素の2分子会合を阻害できるか、又は、該蛍光色素の2分子会合してもその会合分子間の酸化還元反応が抑制でき、かつ、該蛍光色素の蛍光発光能を下げない場合等は、特に限定されない。
以下、本発明に用いられる一般式(1)で表わされる蛍光色素は、その吸収スペクトルの極大波長が、後述の2光子吸収化合物及び蛍光消光剤前駆体の線形吸収の極大波長よりも長波長に存在することが好ましい。
本発明の蛍光色素としては、本発明の記録材料を用いた記録再生方法における再生波長に線形吸収帯を有し、該線形吸収帯の線形吸収を励起することで蛍光を発するものである。
上記再生波長としては、特に限定されないが、例えば、400nm〜660nmの波長範囲が好ましい。
本発明の蛍光色素としては、以下に示すような構造のものを挙げることができる。
Figure 2012094222
上記の化合物の中でも、上記のf−2の化合物が好ましい。f−1及びf−2は新規の化合物である。
(b)2光子吸収化合物
本発明に用いる2光子吸収化合物について説明する。
通常、2光子吸収化合物の分子が非共鳴同時2光子吸収を起こす効率は2光子吸収断面積という物性値で表され、その値が大きいほど効率良く同時2光子吸収を起こすとされる。一般に、全ての化合物は非共鳴同時2光子吸収を行う性質を有するが、通常はその効率が極めて低く、A.A.Angeluts, N.I.Koroteev, S.A.Krikunov, S.A.Magnitskii, D.V.Malakhv, V.V.Shubin, P.M.Potokov, Proc. SPIE, 3732, 232 (1999)及び.「次世代光メモリとシステム技術」(沖野芳弘監修、(株)シーエムシー出版、2009年)の第5章2節「2光子吸収記録材料」(秋葉雅温、219−231頁)等によれば、多くの場合、せいぜい数GM程度であるといわれる。ここで、GMとは2光子吸収断面積の単位を表し、1GM=1×10−50cms photon−1molecule−1である。
本発明に用いる2光子吸収化合物としては、再生波長に線形吸収帯をもたないものであれば、特に限定されないが、例えば、下記一般式(2)で表される構造を有する化合物が挙げられる。
Figure 2012094222
(一般式(2)中、X及びYはハメットのシグマパラ値(σp値)が共にゼロ以上の値を有する置換基を表し、同一でもそれぞれ異なってもよく、nは1〜4の整数を表し、Rは、各々独立に、置換基を表し、同一でもそれぞれ異なってもよく、mは0〜4の整数を表す。)
一般式(2)中、X及びYはハメット式におけるσp値が正の値を取るもの、所謂電子求引性の基を指し、好ましくは例えばトリフルオロメチル基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、カルバモイル基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、などが挙げられ、より好ましくはトリフルオロメチル基、シアノ基、アシル基、アシルオキシ基、又はアルコキシカルボニル基であり、最も好ましくはシアノ基、ベンゾイル基である。これらの置換基のうち、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、カルバモイル基、アシル基、アシルオキシ基、及びアルコキシカルボニル基は、溶媒への溶解性の付与等の他、様々な目的で、更に置換基を有してもよく、置換基としては、好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アリールオキシ基、などが挙げられる。
nは1以上4以下の整数を表し、より好ましくは2又は3であり、最も好ましくは2である。nが5以上になるほど、線形吸収が長波長側に出てくるようになり、700nmよりも短波長の領域の記録光を用いての非共鳴2光子吸収記録できなくなる。
Rは、各々独立に、置換基を表し、置換基としては、特に限定されず、具体的には、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アリールオキシ基、などが挙げられる。mは0以上4以下の整数を表す。
以下に、上記一般式(2)で表される構造を有する化合物において、X、Yが、ハメット式におけるσp値が正の値を取る、所謂電子求引性の基であることが望ましい旨を述べる。
T.Kogej, et al., Chem.Phys.Lett.,298,1(1998))によれば、有機化合物の2光子吸収効率、すなわち2光子吸収断面積δは、3次分子分極率(2次超分極率)γの虚数部と以下の関係にある。
Figure 2012094222
ここでc;光速、ν;周波数、n;屈折率、ε;真空中の誘電率、ω;光子の振動数、Im;虚数部を表す。γの虚数部(Imγ)は、|g>と|e>間の双極子モーメント;Mge、|g>と|e’>間の双極子モーメント;Mge’ 、|g>と|e>間の双極子モーメントの差;Δμge、遷移エネルギー;Ege、ダンピングファクター;Γと以下の関係にある。
Figure 2012094222
ここでPは可換演算子を表す。
従って、数式(2)の値を計算すれば、化合物の2光子吸収断面積を予測することが可能である。そこで、基底状態の最安定構造を6−31G*を基底関数としてB3LYP汎関数を用いたDFT法により計算し、その結果を基にMge、Mee’及びEgeを計算してImγの値を算出することができる。例えば、上記一般式(2)で表される構造を有する化合物において、X及びYに電子供与性置換基であるメトキシ基が置換したクアテルフェニル化合物の計算から得れたImγの極大値を1とした場合、その他の置換基として、ハメット式におけるσp値が正の値を取る、所謂電子求引性の基を有する分子のImγ極大値の相対値が大きいものとなる。
上記一般式(2)で表される構造を有する化合物において、X及びYに電子供与性基のメトキシ基が置換するクアテルフェニル化合物では、Imγは小さく、X及びYが共に電子求引性置換基で置換された分子では総じてImγが大きく増大する。先にも述べたが、理論的に2光子吸収断面積δは3次超分極率γの虚数部、すなわちImγに比例するため、これらの計算よりX及びYは共に電子求引性置換基が置換した構造が望ましい。
また、上記一般式(2)で表される構造を有する化合物としては、下記一般式(3)で表される構造を有する化合物であることが好ましい。
Figure 2012094222
一般式(3)中、X、Y、n、R、mは、一般式(2)で規定したものと同じである。
一般式(2)又は一般式(3)で表される構造を有する化合物において、X及びYは、同一でもそれぞれ異なってもよいが、異なっているほうが、2光子吸収断面積が大きくなる傾向にあり好ましい。
また、一般式(2)及び一般式(3)の各式で表される構造を有する化合物において、nが1の場合はmが1以上であり、nが2以上の場合、n個のフェニレン基のうちの少なくともいずれかがm≧1であることが、該化合物の溶媒に対する溶解性が向上し、本発明の2光子吸収記録材料中における該化合物の含有量を多くすることができ、本発明の2光子吸収記録材料の2光子吸収感度を高くすることができる、という点で好ましい。
一般式(2)又は一般式(3)で表される構造を有する化合物の具体例としては、特に限定されないが、例えば、下記のものが挙げられる。
Figure 2012094222
Figure 2012094222
Figure 2012094222
Figure 2012094222
Figure 2012094222
Figure 2012094222
Figure 2012094222
上記の化合物の中でも、上記のD−111〜113、D−121〜123、D−141〜143の化合物が好ましい。
(c)2光子吸収化合物の2光子励起状態と反応して蛍光消光剤を発生する蛍光消光剤前駆体(以下、単に蛍光消光剤前駆体とも称する)
本発明に用いる蛍光消光剤前駆体としては、2光子吸収化合物の2光子励起状態と反応して蛍光色素との間での励起エネルギー移動消光を誘起することにより該蛍光色素からの蛍光を物理的に消光できる蛍光消光剤を発生するものであれば、特に限定されないが、例えば、(A)酸により蛍光消光剤が発生するもの、(B)塩基により蛍光消光剤が発生するもの、(C)酸化により蛍光消光剤が発生するもの、及び(D)還元により蛍光消光剤が発生するものがある。
以下、それぞれについて説明する。
(A)酸により蛍光消光剤が発生する蛍光消光剤前駆体
当該蛍光消光剤前駆体は、2光子励起状態との間で酸発生剤に電子移動又はエネルギー移動することにより発生した酸により、元の状態から吸収が変化した蛍光消光剤となることができる前駆体である。該前駆体としては、酸により吸収が長波長化する化合物が好ましく、酸により無色から発色する化合物がより好ましい。
酸発生型蛍光消光剤前駆体として好ましくは、トリフェニルメタン系、フタリド系(インドリルフタリド系、アザフタリド系、トリフェニルメタンフタリド系を含む)、フェノチアジン系、フェノキサジン系、フルオラン系、チオフルオラン系、キサンテン系、ジフェニルメタン系、クロメノピラゾール系、ロイコオーラミン、メチン系、アゾメチン系、ローダミンラクタム系、キナゾリン系、ジアザキサンテン系、フルオレン系、スピロピラン系の化合物が挙げられる。これらの化合物の具体例は、例えば特開2002−156454号及びその引用特許、特開2000−281920号、特開平11−279328号、特開平8−240908号等の各公報に開示されている。
酸発生型蛍光消光剤前駆体としてより好ましくは、ラクトン、ラクタム、オキサジン、スピロピラン等の部分構造を有するロイコ色素であり、フルオラン系、チオフルオラン系、フタリド系、ローダミンラクタム系、スピロピラン系の化合物が挙げられる。
本発明の記録材料にて、酸発生型蛍光消光剤前駆体から生成する蛍光消光剤はキサンテン(フルオラン)色素又はトリフェニルメタン色素であることが好ましい。
なお、これらの酸発生型蛍光消光剤前駆体は、必要に応じて任意の比率で2種以上の混合物として用いてもよい。
以下に、本発明の記録材料にて好ましい酸発生型蛍光消光剤前駆体の具体例を挙げるが、本発明は以下の具体例のみに限定されるものではない。
フタリド系色素前駆体として好ましくは下記の一般式(21)にて示される。
Figure 2012094222
一般式(21)中、X41はCH又はNを表し、R33、R34はそれぞれ独立に炭素数(以下C数という)1〜20のアルキル基、C数6〜24のアリール基、C数1〜24のヘテロ環基又は下記の一般式(22)で表される基を表し、R35はそれぞれ独立に置換基を表す。該置換基としては、好ましくは例えば、アルキル基(好ましくはC数1〜20、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、n−ペンチル、ベンジル、3−スルホプロピル、4−スルホブチル、カルボキシメチル、5−カルボキシペンチル)、アルケニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、ビニル、アリル、2−ブテニル、1,3−ブタジエニル)、シクロアルキル基(好ましくはC数3〜20、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル)、アリール基(好ましくはC数6〜20、例えば、フェニル、2−クロロフェニル、4−メトキシフェニル、3−メチルフェニル、1−ナフチル)、ヘテロ環基(好ましくはC数1〜20、例えば、ピリジル、チエニル、フリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ)、アルキニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、エチニル、2−プロピニル、1,3−ブタジイニル、2−フェニルエチニル)、ハロゲン原子(例えば、F、Cl、Br、I)、アミノ基(好ましくはC数0〜20、例えば、アミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジブチルアミノ、アニリノ)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホ基、ホスホン酸基、アシル基(好ましくはC数1〜20、例えば、アセチル、ベンゾイル、サリチロイル、ピバロイル)、アルコキシ基(好ましくはC数1〜20、例えば、メトキシ、ブトキシ、シクロヘキシルオキシ)、アリールオキシ基(好ましくはC数6〜26、例えば、フェノキシ、1−ナフトキシ)、アルキルチオ基(好ましくはC数1〜20、例えば、メチルチオ、エチルチオ)、アリールチオ基(好ましくはC数6〜20、例えば、フェニルチオ、4−クロロフェニルチオ)、アルキルスルホニル基(好ましくはC数1〜20、例えば、メタンスルホニル、ブタンスルホニル)、アリールスルホニル基(好ましくはC数6〜20、例えば、ベンゼンスルホニル、パラトルエンンスルホニル)、スルファモイル基(好ましくはC数0〜20、例えばスルファモイル、N−メチルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、カルバモイル基(好ましくはC数1〜20、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N、N−ジメチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル)、アシルアミノ基(好ましくはC数1〜20、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノ)、イミノ基(好ましくはC数2〜20、例えばフタルイミノ)、アシルオキシ基(好ましくはC数1〜20、例えばアセチルオキシ、ベンゾイルオキシ)、アルコキシカルボニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、メトキシカルボニル、フェノキシカルボニル)、又はカルバモイルアミノ基(好ましくはC数1〜20、例えばカルバモイルアミノ、N−メチルカルバモイルアミノ、N−フェニルカルバモイルアミノ)、であり、より好ましくは、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基、アルコキシ基、スルファモイル基、カルバモイル基、又はアルコキシカルボニル基である。
35としてより好ましくは塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、C数1〜20のアルキル基、C数1〜20のアルコキシ基、アミノ基、C数1〜20のアルキル基を有するアルキルアミノ基、それぞれ独立してC数1〜20のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、C数6〜24のアリール基を有するアリールアミノ基、それぞれ独立にC数6〜24のアリール基を有するジアリールアミノ基、ヒドロキシル基、C数1〜20のアルコキシ基、ヘテロ環基を表し、k41は0〜4の整数を表し、k41が2以上の整数のとき、複数個のR35はそれぞれ独立して上記の基を表す。これらの基は更に置換基を有してもよい。
好ましい置換基としては、例えば、アルキル基(好ましくはC数1〜20、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、n−ペンチル、ベンジル、3−スルホプロピル、4−スルホブチル、カルボキシメチル、5−カルボキシペンチル)、アルケニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、ビニル、アリル、2−ブテニル、1,3−ブタジエニル)、シクロアルキル基(好ましくはC数3〜20、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル)、アリール基(好ましくはC数6〜20、例えば、フェニル、2−クロロフェニル、4−メトキシフェニル、3−メチルフェニル、1−ナフチル)、ヘテロ環基(好ましくはC数1〜20、例えば、ピリジル、チエニル、フリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ)、アルキニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、エチニル、2−プロピニル、1,3−ブタジイニル、2−フェニルエチニル)、ハロゲン原子(例えば、F、Cl、Br、I)、アミノ基(好ましくはC数0〜20、例えば、アミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジブチルアミノ、アニリノ)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホ基、ホスホン酸基、アシル基(好ましくはC数1〜20、例えば、アセチル、ベンゾイル、サリチロイル、ピバロイル)、アルコキシ基(好ましくはC数1〜20、例えば、メトキシ、ブトキシ、シクロヘキシルオキシ)、アリールオキシ基(好ましくはC数6〜26、例えば、フェノキシ、1−ナフトキシ)、アルキルチオ基(好ましくはC数1〜20、例えば、メチルチオ、エチルチオ)、アリールチオ基(好ましくはC数6〜20、例えば、フェニルチオ、4−クロロフェニルチオ)、アルキルスルホニル基(好ましくはC数1〜20、例えば、メタンスルホニル、ブタンスルホニル)、アリールスルホニル基(好ましくはC数6〜20、例えば、ベンゼンスルホニル、パラトルエンンスルホニル)、スルファモイル基(好ましくはC数0〜20、例えばスルファモイル、N−メチルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、カルバモイル基(好ましくはC数1〜20、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N、N−ジメチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル)、アシルアミノ基(好ましくはC数1〜20、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノ)、イミノ基(好ましくはC数2〜20、例えばフタルイミノ)、アシルオキシ基(好ましくはC数1〜20、例えばアセチルオキシ、ベンゾイルオキシ)、アルコキシカルボニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、メトキシカルボニル、フェノキシカルボニル)、又はカルバモイルアミノ基(好ましくはC数1〜20、例えばカルバモイルアミノ、N−メチルカルバモイルアミノ、N−フェニルカルバモイルアミノ)、であり、より好ましくは、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基、アルコキシ基、スルファモイル基、カルバモイル基、又はアルコキシカルボニル基である。
Figure 2012094222
一般式(22)中、R36はC数1〜3のアルキレン基を表し、k42は0〜1の整数を表し、R37は置換基を表す(置換基として好ましくは一般式(21)のR35にて挙げた置換基の例に同じ)。R37としてより好ましくは、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、C数1〜20のアルキル基、C数1〜20のアルコキシ基、アミノ基、C 数1〜20のアルキル基を有するアルキルアミノ基、それぞれ独立してC数1〜20のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、C数6〜24のアリール基を有するアリールアミノ基、それぞれ独立にC数6〜24のアリール基を有するジアリールアミノ基、ヒドロキシル基、C数1〜20のアルコキシ基、ヘテロ環基を表し、k43は0〜5の整数を表し、k43が2以上の整数のとき、複数個のR37はそれぞれ独立して上記の基を表す。これらの基は更に置換基を有してもよく、好ましい置換基としては、前述の一般式(21)のR35において挙げた基を挙げることができる。
一般式(21)中、R33、R34で表されるヘテロ環基として更に好ましくは、下記の一般式(23)で表されるインドリル基である。
Figure 2012094222
一般式(23)中、R38は置換基を表し(置換基として好ましくは一般式(21)のR35にて挙げた置換基の例に同じ)、R38としてより好ましくは、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、C数1〜20のアルキル基、C数1〜20のアルコキシ基、アミノ基、C数1〜20のアルキル基を有するアルキルアミノ基、それぞれ独立してC数1〜20のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、C数6〜24のアリール基を有するアリールアミノ基、それぞれ独立にC数6〜24のアリール基を有するジアリールアミノ基、ヒドロキシル基、C数1〜20のアルコキシ基、ヘテロ環基を表し、k44は0〜4の整数を表し、k44が2以上の整数のとき、複数個のR38はそれぞれ独立して上記の基を表す。R39は水素原子又はC数1〜20のアルキル基を表し、R40はC数1〜20のアルキル基、C数1〜20のアルコキシ基を表す。これらの基は更に置換基を有してもよく、好ましい置換基としては、前述の一般式(21)のR35において挙げた基を挙げることができる。
フタリド系色素前駆体(インドリルフタリド系色素前駆体、アザフタリド系色素前駆体を含む)の具体例としては、3,3−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−6−ジエチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジメチルアミノフェニル)−3−(1、3−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−6−ヒドロキシフタリド、3,3−ビス(4−ヘキシルオキシフェニル)フタリド、3,3−ビス(4−ヘキシルオキシフェニル)−6−メトキシフタリド、等が挙げられる。
一般式(21)で示されるフタリド系色素前駆体として更に好ましくは、下記の一般式(24)にて示されるトリフェニルメタンフタリド系色素前駆体である。
Figure 2012094222
一般式(24)中、R41、R42、R43はそれぞれ独立に置換基を表し(置換基として好ましくは一般式(21)のR35にて挙げた置換基の例に同じ)、R41、R42、R43の置換基として好ましくは、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、C数1〜20のアルキル基、C数1〜20のアルコキシ基、アミノ基、C数1〜20のアルキル基を有するアルキルアミノ基、それぞれ独立してC数1〜20のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、C数6〜24のアリール基を有するアリールアミノ基、それぞれ独立にC数6〜24のアリール基を有するジアリールアミノ基、ヒドロキシル基、C数1〜20のアルコキシ基、ヘテロ環基を表し、k45、k46、k47はそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、k45、k46、k47のそれぞれが2以上の整数のとき、複数個のR41、R42、R43はそれぞれ独立して上記の基を表す。これらの基は更に置換基を有してもよく、置換基として好ましくは一般式(21)のR35にて挙げた基を挙げることができる。
トリフェニルメタンフタリド系色素前駆体の具体例としては、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(すなわちクリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3,3−ビス(p−ジヘキシルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジオクチルアミノフェニル)フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジエチルアミノフタリド、4−ヒドロキシ‐4’−ジメチルアミノトリフェニルメタンラクトン、4,4’−ビスジヒドロキシ‐3,3’−ビスジアミノトリフェニルメタンラクトン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−ヒドロキシフタリド、3,3−ビス(4−ヘキシルオキシフェニル)フタリド、3,3−ビス(4−ヘキシルオキシフェニル)−6−メトキシフタリド、等が挙げられる。
フルオラン系色素前駆体として好ましくは下記の一般式(25)にて示される。
Figure 2012094222
一般式(25)中、R44、R45、R46はそれぞれ独立に置換基を表し(置換基として好ましくは一般式(21)のR35にて挙げた置換基の例に同じ)、R44、R45、R46の置換基として好ましくは、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、C数1〜20のアルキル基、C数1〜20のアルコキシ基、アミノ基、C数1〜20のアルキル基を有するアルキルアミノ基、それぞれ独立してC数1〜20のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、C数6〜24のアリール基を有するアリールアミノ基、それぞれ独立にC数6〜14のアリール基を有するジアリールアミノ基、ヒドロキシル基、ヘテロ環基を表し、k48、k49、k50はそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、k48、k49、k50のそれぞれが2以上の整数のとき、複数個のR44、R45、R46はそれぞれ独立して上記の基を表す。これらの基は更に置換基を有してもよく、置換基として好ましくは一般式(21)のR35にて挙げた基を挙げることができる。
フルオラン系色素前駆体の具体例としては、3−ジエチルアミノ−6−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチル−6−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ)−7−メチル−6−アニリノフルオラン、3−ジペンチルアミノ−7−メチル−6−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソペンチルアミノ)−7−メチル−6−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチル−6−キシリジノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6,7−ベンゾフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メトキシ−6、7−ベンゾフルオラン、1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−ブロモ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン、2−N,N−ジベンジルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、3−ジメチルアミノ−6−メトシキシフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチル−6−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メトキシフルオラン、3,6−ビスジエチルアミノフルオラン、3,6―ジヘキシルオキシフルオラン、3,6−ジクロロフルオラン、3,6−ジアセチルオキシフルオラン等が挙げられる。
ローダミンラクタム系色素前駆体の具体例としては、ローダミン−B−アニリノラクタム、ローダミン(p−ニトロアニリノ)ラクタム、ローダミン−B−(p−クロロアニリノ)ラクタム、ローダミン−B−(o−クロロアニリノ)ラクタム等が挙げられる。
スピロピラン系色素前駆体の具体例としては、3−メチル−スピロジナフトピラン、3−エチル−スピロジナフトピラン、3,3’−ジクロロ−スピロジナフトピラン、3−ベンジル−スピロジナフトピラン、3−プロピル−スピロジベンゾピラン、3−フェニル−8’−メトキシベンゾインドリノスピロピラン、8’−メトキシベンゾインドリノスピロピラン、4,7,8’−トリメトキシベンゾインドリノスピロピラン等が挙げられる。
更には、特開2000−281920号公報に開示されているスピロピラン系色素前駆体も具体例として挙げることができる。
また、該酸発生型蛍光消光剤前駆体としては、特開2000−284475号公報に開示されている一般式(6)で示されるBLD化合物や特開2000−144004号公報に開示されているロイコ色素、及び下記に示した構造のロイコ色素も好適に用いることができる。
Figure 2012094222
更に該蛍光消光剤前駆体は、酸(プロトン)付加により発色する一般式(26)にて表される化合物であることも好ましい。
Figure 2012094222
一般式(26)中、Za、及びZaはそれぞれ5員又は6員の含窒素複素環を形成する原子群を表わす。Raは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。アルキル基、アルケニル基、アリール基、又はヘテロ環基は一般式(21)のR35における同名の置換基と同じ例及び同じ好ましい例が挙げられる。
Ma〜Maはそれぞれ独立にメチン基を表わし、置換基を有していてもよく、他のメチン基と環を形成しても良い。na、及びnaはそれぞれ0又は1であり、kaは0〜3の整数を表わす。kaが2以上の時、複数のMa、Maは同じでも異なってもよい。
上記一般式(26)にて表される化合物の好ましい例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2012094222
酸により蛍光消光剤が発生する蛍光消光剤前駆体(A)を使用する場合には、2光子励起状態との間のエネルギー移動又は電子移動により酸を発生することができる酸発生剤を併用する。このような酸発生剤としては、例えば、特開2005−97532号公報の段落0217〜0245に開示されている従来周知の酸発生剤を用いることができる。
(B)塩基により蛍光消光剤が発生する蛍光消光剤前駆体
当該蛍光消光剤前駆体は、2光子励起状態と塩基発生剤との間で電子移動又はエネルギー移動することにより発生した塩基により、元の状態から吸収が変化した蛍光消光剤となることができる蛍光消光剤前駆体である。
本発明の塩基発生により蛍光消光剤を発生する蛍光消光剤前駆体としては、塩基により吸収が長波長化する化合物が好ましく、塩基によりモル吸光係数が大きく増加する化合物がより好ましい。
本発明における塩基発生型蛍光消光剤前駆体は、好ましくは解離型色素の非解離体である。なお、解離型色素とは、色素クロモフォア上にpKa12以下、より好ましくはpKa10以下の解離してプロトンを放出しやすい解離基を有しており、非解離型から解離型になることにより、吸収が長波長化、あるいは無色から有色となる化合物のことである。解離基として好ましくは、OH基、SH基、COOH基、PO基、SOH基、NR9192基、NHSO93基、CHR9495基、NHR96基が挙げられる。
ここで、R91、R92、R96はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基(好ましくはC数1〜20、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、n−ペンチル、ベンジル、3−スルホプロピル、4−スルホブチル、カルボキシメチル、5−カルボキシペンチル)、アルケニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、ビニル、アリル、2−ブテニル、1,3−ブタジエニル)、シクロアルキル基(好ましくはC数3〜20、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル)、アリール基(好ましくはC数6〜20、例えば、フェニル、2−クロロフェニル、4−メトキシフェニル、3−メチルフェニル、1−ナフチル)、ヘテロ環基(好ましくはC数1〜20、例えば、ピリジル、チエニル、フリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ)を表し、好ましくは水素原子又はアルキル基を表す。R93はアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表し(以上好ましい例は、上記R91、R92、R96の例と同じ)、好ましくは置換しても良いアルキル基又は置換しても良いアリール基を表し、置換しても良いアルキル基であることがより好ましく、その際、置換基としては電子求引性であることが好ましく、フッ素であることが好ましい。
94、R95は、それぞれ独立に置換基を表す。
置換基として好ましくは、アルキル基(好ましくはC数1〜20、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、n−ペンチル、ベンジル、3−スルホプロピル、4−スルホブチル、カルボキシメチル、5−カルボキシペンチル)、アルケニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、ビニル、アリル、2−ブテニル、1,3−ブタジエニル)、シクロアルキル基(好ましくはC数3〜20、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル)、アリール基(好ましくはC数6〜20、例えば、フェニル、2−クロロフェニル、4−メトキシフェニル、3−メチルフェニル、1−ナフチル)、ヘテロ環基(好ましくはC数1〜20、例えば、ピリジル、チエニル、フリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ)、アルキニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、エチニル、2−プロピニル、1,3−ブタジイニル、2−フェニルエチニル)、ハロゲン原子(例えば、F、Cl、Br、I)、アミノ基(好ましくはC数0〜20、例えば、アミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジブチルアミノ、アニリノ)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホ基、ホスホン酸基、アシル基(好ましくはC数1〜20、例えば、アセチル、ベンゾイル、サリチロイル、ピバロイル)、アルコキシ基(好ましくはC数1〜20、例えば、メトキシ、ブトキシ、シクロヘキシルオキシ)、アリールオキシ基(好ましくはC数6〜26、例えば、フェノキシ、1−ナフトキシ)、アルキルチオ基(好ましくはC数1〜20、例えば、メチルチオ、エチルチオ)、アリールチオ基(好ましくはC数6〜20、例えば、フェニルチオ、4−クロロフェニルチオ)、アルキルスルホニル基(好ましくはC数1〜20、例えば、メタンスルホニル、ブタンスルホニル)、アリールスルホニル基(好ましくはC数6〜20、例えば、ベンゼンスルホニル、パラトルエンンスルホニル)、スルファモイル基(好ましくはC数0〜20、例えばスルファモイル、N−メチルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、カルバモイル基(好ましくはC数1〜20、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N、N−ジメチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル)、アシルアミノ基(好ましくはC数1〜20、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノ)、イミノ基(好ましくはC数2〜20、例えばフタルイミノ)、アシルオキシ基(好ましくはC数1〜20、例えばアセチルオキシ、ベンゾイルオキシ)、アルコキシカルボニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、メトキシカルボニル、フェノキシカルボニル)、又はカルバモイルアミノ基(好ましくはC数1〜20、例えばカルバモイルアミノ、N−メチルカルバモイルアミノ、N−フェニルカルバモイルアミノ)、であり、より好ましくは、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、カルバモイル基、又はアルコキシカルボニル基である。
上記置換基の中でも、電子求引性の置換基が好ましく、シアノ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アシル基、アルキルスルホニル基、又はアリールスルホニル基であることが好ましい。
該解離型色素の解離基としては、OH基、COOH基、NHSO93基、NHR96基、CHR9495基がより好ましく、OH基、CHR9495基が更に好ましく、OH基が最も好ましい。
本発明における塩基発生型蛍光消光剤前駆体として好ましい解離型色素非解離体としては、解離型アゾ色素、解離型アゾメチン色素、解離型オキソノール色素、解離型アリーリデン色素、解離型キサンテン(フルオラン)色素、解離型トリフェニルアミン型色素の非解離体であり、解離型アゾ色素、解離型アゾメチン色素、解離型オキソノール色素、解離型アリーリデン色素の非解離体であることが更に好ましい。
以下に、塩基発生型蛍光消光剤前駆体の例として、解離型色素非解離体の例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 2012094222
Figure 2012094222
Figure 2012094222
塩基により蛍光消光剤が発生する蛍光消光剤前駆体(B)を使用する場合には、2光子励起状態との間でエネルギー移動又は電子移動により塩基を発生することができる塩基発生剤を併用する。このような塩基発生剤としては、例えば、特開2005−97532号公報の段落0246〜0267に開示されている従来周知の塩基発生剤を用いることができる。
(C)酸化により蛍光消光剤が発生する蛍光消光剤前駆体
当該蛍光消光剤前駆体は、2光子励起状態への直接電子移動により1電子酸化されたラジカル中間体が生成し、次いで該中間体が更に酸化されて蛍光消光剤を生成する化合物であれば特に限定はないが、ロイコキノン化合物類、チアジンロイコ化合物類、オキサジンロイコ化合物類、フェナジンロイコ化合物類及びロイコトリアリールメタン化合物類のいずれかの化合物を少なくとも一種類以上含むことが好ましい。
ロイコキノン化合物類としては、一般式(6)〜(10)で表される部分構造を有する化合物が好ましい。
Figure 2012094222
式中、炭素原子に結合した水素原子の中で明示されていないものは、その一つ以上の水素原子を置換基で置換することができ、置換基としてはアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシルアミノ基、ベンゾイルアミノ基が好ましく、これらの基は更に置換基を有してもよい。また、ヒドロキシ基の酸素原子は結合している水素原子を除いて他の基により置換されてもよく、ヒドロキシ酸素原子の置換基としてはアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ベンゾイル基が好ましい。また、ヒドロキシ基の水素原子は金属イオンで置き換えることもでき、金属イオンとしてはナトリウムイオン、カリウムイオンが好ましい。
以下に、本発明で用いられるロイコキノン化合物類の好ましい具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2012094222
本発明においてチアジンロイコ化合物類、オキサジンロイコ化合物類、フェナジンロイコ化合物類とは、一般式(11)又は(12)で表される部分構造を有する化合物が好ましい。
Figure 2012094222
式中、Xはイオウ原子、酸素原子、置換窒素原子を表し、R101、R102、R103、R104は水素原子又は置換基を表し、Y及びZは置換基を表す。
一般式(11)のR101としては、アリールカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルアミノカルボキシ基が好ましく、アリールカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基がより好ましく、ベンゾイル基、アシル基、t−ブトキシカルボニル基が特に好ましい。
一般式(11)のR101は更に置換基を有してもよく、置換基としては、好ましくは、例えば、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルキニル基、ハロゲン原子、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホ基、ホスホン酸基、アシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、カルバモイル基、アシルアミノ基、イミノ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイルアミノ基であり、より好ましくは、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基、アルコキシ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基である。
一般式(11)のR102及びR103は、水素原子又は炭素数1〜20アルキル基又はアリール基、アルキル又はアリールカルボニルアミノ基が好ましく、炭素数1〜10のアルキル基又はアリール基がより好ましく、炭素数1〜8のアルキル基が最も好ましい。一般式(11)のR102及びR103は更に置換基を有してもよく、置換基としてはR101の置換基を挙げることができる。
一般式(11)のR104としては、炭素数1〜20のアルキル基又はアリール基が好ましく、炭素数1〜10のアルキル基又はアリール基がより好ましく、炭素数1〜8のアルキル基又はフェニル基がより好ましい。一般式(11)のR104は更に置換基を有してもよく、置換基としてはR101の置換基を挙げることができる。
一般式(11)のYとしては、ヒドロキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキル又はアリールカルボニルアミノ基、アリールカルボキシ基、アルキルカルボキシ基、二置換メチル基が好ましく、ジアルキルアミノ基、アルキル又はアリールカルボニルアミノ基がより好ましい。
一般式(11)のYは更に置換基を有してもよく、置換基としては上記R101の置換基を挙げることができる。
一般式(12)のZとしては、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキル又はアリールカルボニルアミノ基、アリールカルボキシ基、アルキルカルボキシ基、二置換メチル基が好ましく、アリールカルボニルアミノ基、二置換メチル基がより好ましく、フェニルアミノ基、ジシアノメチル基が最も好ましい。一般式(12)のZは更に置換基を有してもよく、置換基としては上記R101の置換基を挙げることができる。
以下に、本発明で用いられるチアジンロイコ化合物類、オキサジンロイコ化合物類、フェナジンロイコ化合物類の好ましい具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2012094222
Figure 2012094222
Figure 2012094222
ロイコトリアリールメタン化合物類としては、一般式(13)で表される部分構造を有する化合物が好ましい。
Figure 2012094222
式中、Xは水素原子、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、ヒドロキシ基を表し、Y、Zはそれぞれ独立にアミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、ヒドロキシ基を表す。一般式(13)のXとしては水素原子、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基が好ましく、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基がより好ましい。一般式(13)のY、Zとしては、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基が好ましく、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基がより好ましい。
一般式(13)のX、Y、Zは更に置換基を有してもよく、置換基としては一般式(3)の置換基を挙げることができる。
一般式(13)において、フェニル基の炭素原子は結合する水素原子を除いて置換基を置換してもよく、置換基としては前記一般式(11)のR101の置換基を挙げることができる。
以下に、本発明で用いられるロイコトリアリールメタン化合物類の好ましい具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2012094222
Figure 2012094222
(D)還元により蛍光消光剤が発生する蛍光消光剤前駆体
当該蛍光消光剤前駆体としては、2光子励起状態から直接電子移動又はエネルギー移動して、該前駆体が還元されることにより蛍光消光剤が生成する化合物であれば特に限定はないが、下記一般式(A)にて表される蛍光消光剤前駆体が好ましい。
Figure 2012094222
一般式(A)中、A1とPDは共有結合しており、A1は2光子吸収化合物励起状態との電子移動又はエネルギー移動によりPDとの共有結合を切断する機能を有する有機化合物部位であり、PDはA1と共有結合している際とA1との共有結合が切断されて放出された際の吸収形が異なる特徴を有する有機化合物部位を表す。
なお、A1は2光子吸収化合物励起状態との電子移動によりPDとの共有結合を切断する機能を有する有機化合物部位であることがより好ましい。
PDとして好ましくは解離型アゾ色素、解離型アゾメチン色素、解離型オキソノール色素、解離型アリーリデン色素等の解離型色素、又はトリフェニルメタン色素、キサンテン(フルオラン)色素等のいわゆる「ロイコ色素」となりうる色素などのいずれかから成る基であり、これらはクロモフォア上でA1と共有結合で連結している。
PDとしては解離型アゾ色素、解離型アゾメチン色素、解離型オキソノール色素、解離型アリーリデン色素のいずれかであることがより好ましい。
PDとしては、A1と共有結合している際は無色又は淡色、あるいは吸収が短波長で、A1との共有結合が切断されて放出された際は強く着色又は吸収が長波長化することが好ましい。
以下にPDの好ましい具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 2012094222
Figure 2012094222
Figure 2012094222
Figure 2012094222
PDはA1と共有結合を作る際、色素クロモフォア上であればA1上のどの部分で共有結合しても良いが、上図で矢印で示した原子でA1と共有結合することが好ましい。
一般式(A)の蛍光消光剤前駆体が下記一般式(33−1)〜(33−6)のいずれかで表されることがより好ましい。
Figure 2012094222
一般式(33−1)〜(33−6)中、PDは一般式(A)と同義である。
一般式(33−1)にて、R71は水素原子又は置換基(置換基として好ましくは前記R94、R95にて挙げた置換基の例に同じ)を表し、好ましくはアルキル基又はアリール基を表し、より好ましくはt−ブチル基である。
72は置換基(置換基として好ましくは前記R94、R95にて挙げた置換基の例に同じ)を表し、好ましくは電子求引性基を表し、より好ましくはニトロ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、又はハロゲン原子を表す。a71はそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、a71が2以上の時、複数のR72は同じでも異なってもよく、互いに連結して環を形成しても良い。a71は好ましくは1又は2であり、2位か4位にR72が置換することが好ましい。
一般式(33−2)にて、R73は置換基(置換基として好ましくは前記R94、R95にて挙げた置換基の例に同じ)を表し、好ましくは電子求引性基を表し、より好ましくはニトロ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、又はハロゲン原子を表し、より好ましくはニトロ基を表す。a72はそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、a72が2以上の時、複数のR73は同じでも異なってもよく、互いに連結して環を形成しても良い。a72は好ましくは1又は2であり、a72が1の時、2位に置換することが好ましく、a72が2の時、2位、4位又は2位、6位に置換することが好ましく、2位、6位に置換することがより好ましい。
a73は0又は1を表す。
一般式(33−3)にて、R74〜R77はそれぞれ独立にアルキル基を表し、好ましくはいずれもメチル基を表す。
一般式(33−4)にて、R78、R79はそれぞれ独立に置換基を表し、該置換基として、好ましい例は、アルキル基(好ましくはC数1〜20、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、n−ペンチル、ベンジル、3−スルホプロピル、4−スルホブチル、カルボキシメチル、5−カルボキシペンチル)、アルケニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、ビニル、アリル、2−ブテニル、1,3−ブタジエニル)、シクロアルキル基(好ましくはC数3〜20、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル)、アリール基(好ましくはC数6〜20、例えば、フェニル、2−クロロフェニル、4−メトキシフェニル、3−メチルフェニル、1−ナフチル)、ヘテロ環基(好ましくはC数1〜20、例えば、ピリジル、チエニル、フリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ)、アルキニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、エチニル、2−プロピニル、1,3−ブタジイニル、2−フェニルエチニル)、ハロゲン原子(例えば、F、Cl、Br、I)、アミノ基(好ましくはC数0〜20、例えば、アミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジブチルアミノ、アニリノ)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホ基、ホスホン酸基、アシル基(好ましくはC数1〜20、例えば、アセチル、ベンゾイル、サリチロイル、ピバロイル)、アルコキシ基(好ましくはC数1〜20、例えば、メトキシ、ブトキシ、シクロヘキシルオキシ)、アリールオキシ基(好ましくはC数6〜26、例えば、フェノキシ、1−ナフトキシ)、アルキルチオ基(好ましくはC数1〜20、例えば、メチルチオ、エチルチオ)、アリールチオ基(好ましくはC数6〜20、例えば、フェニルチオ、4−クロロフェニルチオ)、アルキルスルホニル基(好ましくはC数1〜20、例えば、メタンスルホニル、ブタンスルホニル)、アリールスルホニル基(好ましくはC数6〜20、例えば、ベンゼンスルホニル、パラトルエンンスルホニル)、スルファモイル基(好ましくはC数0〜20、例えばスルファモイル、N−メチルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、カルバモイル基(好ましくはC数1〜20、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N、N−ジメチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル)、アシルアミノ基(好ましくはC数1〜20、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノ)、イミノ基(好ましくはC数2〜20、例えばフタルイミノ)、アシルオキシ基(好ましくはC数1〜20、例えばアセチルオキシ、ベンゾイルオキシ)、アルコキシカルボニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、メトキシカルボニル、フェノキシカルボニル)、又はカルバモイルアミノ基(好ましくはC数1〜20、例えばカルバモイルアミノ、N−メチルカルバモイルアミノ、N−フェニルカルバモイルアミノ)、であり、より好ましくは、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、カルバモイル基、又はアルコキシカルボニル基である。
79は好ましくはアルコキシ基を表し、より好ましくはメトキシ基を表す。a74、a75はそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、a74、a75が2以上の時、複数のR78、R79は同じでも異なってもよく、互いに連結して環を形成してもよい。a74、a75は好ましくは0〜2であり、a74はより好ましくは0又は1であり、a75はより好ましくは2である。a75が2の際、3位及び5位にR79が置換することが好ましい。
a76は0又は1を表す。
一般式(33−5)にて、R80、R81はそれぞれ独立に水素原子又は置換基(以上置換基として好ましくは前記R94、R95にて挙げた置換基の例に同じ)を表し、R80とR81は互いに連結して環を形成してもよく、形成する環としてはベンゼン環、ノルボルネン環が好ましい。環を形成しない際は、R80、R81共、水素原子であることが好ましい。
一般式(33−6)にて、R82、R83は、それぞれ独立に置換基(以上置換基として好ましくは前記R94、R95にて挙げた置換基の例に同じ)を表し、好ましくはアルキル基、アルケニル基、アリール基を表す。R82とR83は互いに連結して環を形成することが好ましく、形成する環としては、フルオレン環、ジベンゾピラン環、テトラヒドロナフタレン環が好ましい。
一般式(A)で表される蛍光消光剤前駆体として好ましくは、一般式(33−1)、(33−2)、(33−4)で表される。
以下に、一般式(33−1)〜(33−6)で表される本発明における蛍光消光剤前駆体の好ましい例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 2012094222
Figure 2012094222
Figure 2012094222
なお、本発明の記録材料が、少なくとも前記一般式(A)又は(33−1)〜(33−6)にて表される蛍光消光剤前駆体を含むとき、本発明の記録材料は、生成する解離型色素を解離させる目的で、必要により更に塩基を含むことも好ましい。塩基は有機塩基でも無機塩基でもよく、好ましくは例えば、アルキルアミン類、アニリン類、イミダゾール類、ピリジン類、炭酸塩類、水酸化物塩類、カルボン酸塩類、金属アルコキシドなどが挙げられる。あるいは、それらの塩基を含むポリマーも好ましく用いられうる。
2光子吸収化合物と蛍光消光剤前駆体は、2光子吸収を行って2光子励起状態を形成する部位と、該2光子励起状態部位との間でエネルギー移動又は電子移動によって蛍光消光剤を発生できる部位とを、1分子中に有する一体型のものであっても良く、また、互いの分子が連結された1分子体であっても良い。
本発明の2光子吸収光記録材料は通常の方法で調製されてよい。例えば上述の必須成分及び任意成分をそのまま若しくは必要に応じて溶媒を加えて調製することができる。
溶媒としては例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールジアセテート、乳酸エチル、セロソルブアセテートなどのエステル系溶媒、シクロヘキサン、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテルなどのエーテル系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジメチルセロソルブなどのセロソルブ系溶媒、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール系溶媒、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールなどのフッ素系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒、N、N−ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル系溶媒などが挙げられる。
本発明の2光子吸収光記録材料は、スピンコーター、ロールコーター又はバーコーターなどを用いることによって基板上に直接塗布することも、あるいはフィルムとしてキャストし、次いで通常の方法により基板にラミネートすることもでき、それらにより2光子吸収光記録材料とすることができる。
ここで、「基板」とは、任意の天然又は合成支持体、好適には柔軟性又は剛性フィルム、シート又は板の形態で存在することができるものを意味する。
基板として好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、樹脂下塗り型ポリエチレンテレフタレート、火炎又は静電気放電処理されたポリエチレンテレフタレート、セルロースアセテート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ガラス等である。
使用した溶媒は乾燥時に蒸発除去することができる。蒸発除去には加熱や減圧を用いても良い。
更に、2光子吸収光記録材料の上に、酸素遮断のための保護層を形成してもよい。保護層は、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレート又はセロファンフィルムなどのプラスチック製のフィルム又は板を静電的な密着、押し出し機を使った積層等により貼合わせるか、前記ポリマーの溶液を塗布してもよい。また、ガラス板を貼合わせてもよい。また、保護層と感光膜の間及び/又は、基材と感光膜の間に、気密性を高めるために粘着剤又は液状物質を存在させてもよい。
更に、本発明の2光子吸収光記録材料は、記録成分を含む記録層と、記録成分を含まない非記録層が互いに積層した多層構造を有していてもよい。記録層と非記録層とが交互に積層された構造を有することで、記録層間に非記録層が介在するので、記録層面に垂直な方向での記録領域の拡大が遮断される。従って、記録層を照射光の波長オーダーの厚みに制約しても、クロストークを小さくすることが可能である。この結果、記録層自体の厚みを薄くすることができるとともに、非記録層を含めた記録層の層間距離を縮小することができる。
以上の記録層の層厚としては、30nm以上5000nm以下の範囲内とすることが好ましく、500nm以上2000nm以下の範囲内であることがより好ましく、500nm以上1000nm以下あることが更に好ましい。
非記録層は、記録光の照射によって吸収スペクトル又は発光スペクトルに変化が生じない材料を薄膜状に形成した層である。
非記録層に用いる材料としては、多層構造形成における製造の容易さの観点から、記録層に用いられている材料を溶解しない溶媒に溶解する材料であることが好ましく、そのような材料の中でも、可視光領域に吸収をもたない透明ポリマー材料が好ましい。このような材料としては、水溶性ポリマーが好適に用いられる。
前記水溶性ポリマーの具体例としては、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピリジン、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ゼラチン等を挙げることができる。中でも、好ましくは、PVA、ポリビニルピリジン、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ゼラチンであり、最も好ましくは、PVAである。
非記録層は、その材料として水溶性ポリマーを使用する場合、水溶性ポリマーを水に溶解して得られた塗布液を、例えば、スピンコートなどの塗布法により塗布することにより形成することができる。
以上の非記録層の層厚としては、該非記録層を挟む記録層間のクロストークを低減するため、記録及び再生に用いる光の波長、記録パワー、再生パワー、レンズのNA、及び記録層材料の記録感度の観点から、1μm以上50μm以下の範囲内とすることが好ましく、1μm以上20μm以下の範囲内であることがより好ましく、1μm以上10μm以下あることが更に好ましい。
また、記録層と非記録層の交互に積層した対の数は、該2光子吸収記録媒体に求められる記録容量と、用いる光学系によりきまる収差の観点から、9以上200以下の範囲内であることが好ましく、10以上100以下の範囲であることがより好ましく、10以上30以下の範囲内であることが更に好ましい。
〔2光子吸収光記録再生方法〕
上記のように、本発明の記録材料を用いた2光子吸収光記録再生方法においては、記録部にて2光子吸収による不可逆的化学反応、具体的には蛍光強度を物理的に消光できる蛍光消光剤の生成反応が進行することにより、再生光を照射した際の蛍光強度が未記録部に対して減少することを検出して再生する。
本発明の2光子吸収光記録材料の記録にはレーザーを用いることが好ましい。本発明に用いる記録光は好ましくは波長200〜2000nmの紫外光、可視光、赤外光のいずれかであり、より好ましくは波長300〜1000nmの紫外光、可視光又は赤外光であり、更に好ましくは波長400〜800nmの可視光又は赤外光である。
用いることができるレーザーは特に限定されないが、具体的には、中心波長1000nm付近に発振波長を有するTi−サファイア等の固体レーザーやファイバーレーザー、780nm付近の発振波長を有するCD−Rなどでも用いられている半導体レーザーや固体レーザー、ファイバーレーザー、620〜680nmの範囲の発振波長を有するDVD−Rなどでも用いられている半導体レーザーや固体レーザー、400〜415nm付近の発振波長を有するGaNレーザーなどを好ましく用いることができる。
また他にも、可視光域に発振波長を有するYAG・SHGレーザーなどの固体SHGレーザー、半導体SHGレーザーなども好ましく用いることができる。
本発明に用いるレーザーはパルス発振レーザーであってもCWレーザーであっても良い。
再生の際使用する光は、例えば上記レーザー光であることが好ましい。また、パワー又はパルス形状は同じか異なるものの、記録時と同じレーザーを用いて再生することがより好ましい。
また、カーボンアーク、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、蛍光ランプ、タングステンランプ、LED、有機ELなどが挙げられる。特定の波長域の光を照射するために、必要に応じてシャープカットフィルターやバンドパスフィルター、回折格子等を用いることも好ましい。
記録、再生に用いるレーザー波長は同一でも異なっても良い。
本発明の2光子吸収光記録材料にて、記録により生成する記録ピットすなわち蛍光強度減少部の大きさは10nm〜100μmの範囲内であることが好ましく、50nm〜5μmの範囲であることがより好ましく、50nm〜2μmの範囲であることが更に好ましい。
以下に、本発明の具体的な実施例について実験結果を基に説明する。勿論、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<蛍光色素f−1合成法>
化合物f−1は以下に示した方法で合成した。
Figure 2012094222
4−ジフェニルアミノ−2−ヒドロキシベンズアルデヒド434mg(1.5mmol)と6−ブロモ−2−ベンゾチアゾール酢酸エチル(1.5mmol)をエタノール25mlに溶解させ窒素雰囲気下、室温で攪拌する。その後ピペリジンを38mg(0.45mmol)加えて外温70℃にて4時間攪拌した後に室温まで冷却し、析出した沈殿を濾過、エタノール10mlによる洗浄によって黄色固体の目的物450mg(0.86mmol、57%)を得た。
得られた化合物はマススペクトル、H NMRスペクトルにより目的化合物f−1であることを確認した。
H NMR(CDCl)8.91(s,1H), 8.07(d,1H), 7.88(d,1H), 7.59(dd,1H), 7.45(d,1H), 7.39(dt,4H), 7.26−7.21(m,6H), 6.92(dd,1H), 6.85(d,1H)
<蛍光色素f−2合成法>
化合物f−2は以下に示した方法で合成した。
Figure 2012094222
化合物f−1を236mg(0.45mmol)、3,5−ジフェニルフェニルボロン酸123mg(0.45mmol)、トリフェニルホスフィン47mg(0.18mmol)、炭酸ナトリウム143mg(1.35mmol)をジメトキエタン10ml、水4mlに溶解させ窒素雰囲気下、外温100℃で攪拌する。酢酸パラジウム10mg(4.5×10−2mmol)を加え5時間攪拌後、室温に冷却して酢酸エチル及び水で希釈して攪拌する。析出した沈殿をクロロホルムに溶解させ、シリカゲルカラム(クロロホルム)にて精製して橙色固体の目的物120 mg(0.18 mmol、40%)を得た。
得られた化合物はマススペクトル、H NMRスペクトルにより目的化合物f−2であることを確認した。
H NMR(CDCl)8.97(s,1H), 8.26(d,1H), 8.12(d,1H), 7.87−7.82(m, 4H), 7.73(dd,4H), 7.52−7.46(m,5H), 7.43−7.37(m,6H), 7.26−7.22(m,6H), 6.93(dd,1H), 6.87(d,1H)
<各蛍光色素の耐光性>
上記で合成された化合物f−1、f−2、クマリン6、及び公知の化合物f−3の各蛍光色素を、それぞれ、3.37×10−3mmol、ポリ酢酸ビニル(アルドリッチ社製、重量平均分子量113000)500mgをメチルエチルケトン8.7mlに溶解させ2時間攪拌し、スライドガラス上にスピンコートをして薄膜(乾燥膜厚として1μm)を作製した。500μWのレーザー光(405nm)を1.7msec照射した後の各蛍光色素の残存率(光褪色しなかった蛍光色素の割合)はそれぞれ63.9%(クマリン6)、89.4%(f−3)、86.7%(f−1)、91.2%(f−2)であった。ここで、残存率は検出器(PMT)電圧値の照射前後の比率から得られる値である。
<消光剤前駆体共存下での再生耐久性>
本発明の記録材料においては、蛍光消光剤前駆体は、励起された2光子吸収色素と電子移動することが望ましく、励起された蛍光色素と電子移動することは望ましくない。励起された蛍光色素との電子移動によって蛍光消光剤前駆体から消光剤が発生すると蛍光が消光されるため蛍光色素の残存率(ここでの残存率は光褪色+電子移動反応を起こさなかった蛍光色素の割合である)が低下する。従って蛍光消光剤前駆体と蛍光色素を共存させてレーザー光を照射して蛍光色素の残存率を評価すると蛍光色素自身の耐光性に加えて副反応である電子移動部分の寄与も見積もることが可能となる。そこでf−1、f−2とクマリン6、及び公知のf−3の各蛍光色素を、それぞれ、3.37×10−3mmol、下記式で表される蛍光消光剤前駆体Lo−11 5.82×10−3mmol、ポリ酢酸ビニル(アルドリッチ社製、重量平均分子量113000)500mgをメチルエチルケトン8.7 mlに溶解させ2時間攪拌し、スライドガラス上にスピンコートをして薄膜(乾燥膜厚として1μm)を作製した。500μWのレーザー光(405nm)を50msec照射した後の各蛍光色素の残存率はそれぞれ8.3%(クマリン6)、47.0%(f−3)、43.5%(f−1)、69.4%(f−2)であった。従ってクマリン6と比較して耐光性に加え、副反応である蛍光消光剤前駆体との電子移動も抑制できていることがわかる。
Figure 2012094222

Claims (14)

  1. (a)下記一般式(1)で表わされる蛍光色素、(b)2光子吸収化合物、及び、(c)2光子吸収化合物の2光子励起状態と反応して、蛍光色素との間で蛍光色素の励起エネルギー移動消光を誘起することにより該蛍光色素からの蛍光を物理的に消光できる蛍光消光剤を発生する蛍光消光剤前駆体、を含む同時2光子吸収記録材料。
    Figure 2012094222
    (一般式(1)中、R及びRは、各々独立に、アリール基又はヘテロ環基を表し、複数のR、R、Rは、各々独立に、水素原子又は置換基を表し、Xは、水素原子若しくは炭素原子と結合した窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を表す。)
  2. 前記一般式(1)において、複数のR及びRは、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はヘテロ環基を表すことを特徴とする請求項1に記載の同時2光子吸収記録材料。
  3. 前記一般式(1)において、Rはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、アミノ基又はハロゲン原子を表すことを特徴とする請求項1又は2に記載の同時2光子吸収記録材料。
  4. 前記一般式(1)において、R及びRはアリール基を表すことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の同時2光子吸収記録材料。
  5. 前記一般式(1)において、Rはアリール基、ヘテロ環基又はハロゲン原子を表すことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の同時2光子吸収記録材料。
  6. 前記一般式(1)において、R及びRは置換基を有していてもよいフェニル基を表すことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の同時2光子吸収記録材料。
  7. 前記一般式(1)において、Rはジフェニルフェニル基又は臭素原子を表すことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の同時2光子吸収記録材料。
  8. 前記一般式(1)において、Rの置換位置が、N原子又はXに対してパラ位であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の同時2光子吸収記録材料。
  9. 同時2光子吸収によって記録部及び未記録部の蛍光強度に変化を誘起して情報を記録・再生する2光子吸収記録再生方法に用いられ、該2光子吸収記録再生方法が、2光子記録部に蛍光消光剤を発生させて、該蛍光消光剤と蛍光色素との間での励起エネルギー移動消光を誘起することにより該蛍光色素からの再生光による蛍光を物理的に消光して記録部の蛍光強度を減少させるものであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の同時2光子吸収記録材料。
  10. 同時2光子吸収を起させて、蛍光色素との間での励起エネルギー移動消光を誘起できる蛍光消光剤を発生させることによって記録を行い、該蛍光色素を励起できる再生光を照射して、該励起エネルギー移動により該蛍光色素からの蛍光を物理的に消光して蛍光強度が減少した2光子吸収記録部と未記録部との蛍光強度の差を比較することによって再生を行なう同時2光子吸収記録再生方法に用いられることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の同時2光子吸収記録材料。
  11. (a)蛍光色素が、再生波長に線形吸収帯を有し、該線形吸収帯の線形吸収を励起することで蛍光を発するものであり、(b)2光子吸収化合物が、再生波長に線形吸収帯をもたないものであることを特徴とする請求項9又は10に記載の同時2光子吸収記録材料。
  12. 蛍光色素の蛍光スペクトルと蛍光消光剤の吸収スペクトルの少なくとも一部が重なることを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載の同時2光子吸収記録材料。
  13. 蛍光消光剤前駆体が、その発生する蛍光消光剤の吸収スペクトルの極大波長が蛍光色素の蛍光スペクトルの極大波長よりも長波長に出現するものであることを特徴とする請求項9〜12のいずれか1項に記載の同時2光子吸収記録材料。
  14. 蛍光色素の吸収スペクトルの極大波長が、2光子吸収化合物および蛍光消光剤前駆体の線形吸収の極大波長よりも長波長に存在することを特徴とする請求項9〜13のいずれか1項に記載の同時2光子吸収記録材料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017218442A (ja) * 2016-06-02 2017-12-14 三星ディスプレイ株式會社Samsung Display Co.,Ltd. 多環化合物及び多環化合物を含む有機電界発光素子

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