JP2012091414A - 版洗浄装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 版に固着した印刷インクを効率よく除去する。
【解決手段】 ガイドレール12に沿って移動可能としてある版固定ステージ1の上方に、洗浄ユニット3を配置する。洗浄ユニット3は、洗浄液噴射ノズル5と、超音波振動付与手段7と、洗浄液吸引手段8と、エアナイフ9を順に備え、更に、排気カバー10を備えた構成とする。版固定ステージ1上に保持された版2の表面に対し、洗浄液噴射ノズル5より加圧された洗浄液6を断続的に吹き付け、更に、この洗浄液6によって版2の表面に形成される液膜を介し超音波振動付与手段7により超音波振動を付与することで、版2に固着している印刷インクを脱離させる。版2より脱離した印刷インクは洗浄液6と共に洗浄液吸引手段8により吸引除去し、残留する洗浄液6をエアナイフ9で吹き飛ばして乾燥させる。
【選択図】図1
【解決手段】 ガイドレール12に沿って移動可能としてある版固定ステージ1の上方に、洗浄ユニット3を配置する。洗浄ユニット3は、洗浄液噴射ノズル5と、超音波振動付与手段7と、洗浄液吸引手段8と、エアナイフ9を順に備え、更に、排気カバー10を備えた構成とする。版固定ステージ1上に保持された版2の表面に対し、洗浄液噴射ノズル5より加圧された洗浄液6を断続的に吹き付け、更に、この洗浄液6によって版2の表面に形成される液膜を介し超音波振動付与手段7により超音波振動を付与することで、版2に固着している印刷インクを脱離させる。版2より脱離した印刷インクは洗浄液6と共に洗浄液吸引手段8により吸引除去し、残留する洗浄液6をエアナイフ9で吹き飛ばして乾燥させる。
【選択図】図1
Description
本発明は、印刷で使用する平板状の版を洗浄するために用いる版洗浄装置に関するものである。
近年、金属蒸着膜のエッチング等による微細加工に代えて、導電性ペーストを印刷インクとして用いた印刷技術、たとえば、凹版オフセット印刷技術を用いて基板上に液晶ディスプレイ等の画像表示素子の電子回路を印刷して形成する手法が提案されてきている。
上記画像表示素子の電子回路を基板に形成する場合は、電極となる線幅として、たとえば、10μm程度と微細なものが要求されることがある。更に、基板上に複数の電子回路を重ね合わせて形成することがあり、この場合は版を代えて電子回路の重ね刷りを行うことになるが、印刷位置がずれると電子回路の全体構成が崩れてしまうことから、精度は対象によって多少異なるが、上記線幅を10μm程度とするような精密な電子回路の場合には、重ね合わせる印刷位置の位置ずれを数μmからサブμmオーダーに抑えることが必要とされることもある。そのため、上記基板上に電子回路を印刷により形成する場合は、紙等に文字や画像を印刷する通常のオフセット印刷に比して高い印刷精度が要求される。
又、一般に、オフセット印刷では、版と印刷対象は同じ形状としたほうが、オフセット印刷による転写(受理)と再転写(印刷)による印刷パターンの再現性が高いため、前述したような基板へ電子回路のような精密な印刷パターンの印刷を行う場合は、平板状の版を用いることが有利に働く。
平板状の凹版を用いるオフセット印刷は、先ず、上記凹版にインキングを施すことで該凹版の表面に設けてある印刷パターン溝に印刷インクを充填し、次いで、上記インキングされた凹版と、基板等の平板状の印刷対象に、転動させたブランケットロールを順に接触させることで、上記版からブランケットロールの表面へ、上記印刷パターン溝に充填してある印刷インクの転写(受理)処理を行わせた後、該ブランケットロールの表面より上記印刷対象へ上記印刷インクの再転写(印刷)処理を行わせて、該印刷対象に対するオフセット印刷処理を実施するようにしてある。
ところで、上記凹版は、通常、その表面にDLC(ダイヤモンドライクカーボン)コーティング等の被膜を設けることで、撥水性を或る程度高めるようにしてあるが、オフセット印刷における上記転写処理時には、凹版の印刷パターン溝に充填された印刷インクが必ずしもすべてブランケットロールの表面に転写(受理)されずに、上記印刷パターン溝の内底部や、該内底部のコーナ部に残ることがあるため、印刷処理を続けて行うと、他の印刷手法に比して比較的早い段階で版に印刷インクが固着し易い。
そのために、上記凹版を定期的、あるいは、印刷処理回数に応じて洗浄することが必要になる。
ところで、印刷装置で用いる印刷胴を洗浄するための装置としては、たとえば、印刷胴の外周面(表面)に対し、洗浄液噴射ノズルより洗浄液を霧状に噴射し、この洗浄液が噴射された部分の上記印刷胴の外周面を、該印刷胴の外周面に不織布を介して押し付けたブレードにより超音波振動を付与しながら、上記不織布により拭き取るようにする手法、又は、上記洗浄液が噴射された部分の上記印刷胴の外周面を、超音波振動を付与したドクターブレードにより掻き取るようにした手法が従来提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
なお、凹版の溝(凹版パターン部)に残留して乾燥する印刷インクに対し、溶剤を噴霧供給した後、ドクタリングにより該凹版の溝に対する新たな印刷インクの充填を行い、その後、上記凹版に対して超音波振動を与えることで、上記凹版の溝に残留していた乾燥状態の印刷インクを、新たに充填された印刷インクに良好に混合させることができるようにする手法が従来提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
ところが、特許文献1に示された手法では、印刷胴の洗浄の際、該印刷胴の外周面に対して不織布を介し間接的に接触させるブレードや、印刷胴の外周面に直接接触させるドクターブレードを用いて印刷胴に対し超音波振動を付与するようにしてあるが、洗浄対象が版の場合は、版面に清掃用の部材を接触させることは、該版の消耗や劣化に繋がるため、あまり好ましくない。
なお、特許文献2には、凹版の溝に残留する印刷インクに溶剤を供給する考え、及び、凹版に超音波振動を与える考えは示されているが、上記凹版に超音波振動を与えるための手段の具体的構成は示されていない。しかも、特許文献2に示されたものは、凹版の洗浄を不要にすることを目的としたものであるため、凹版に付着した印刷インクの洗浄を行う手法が何ら示唆されるものではない。
そこで、本発明は、基板へ電子回路のような精密な印刷パターンのオフセット印刷を行う場合に用いるような平板状の凹版を、清掃用の部材を版面に接触させることなく洗浄することができるようにするための版洗浄装置を提供しようとするものである。
本発明は、上記課題を解決するために、請求項1に対応して、平板状の版を水平に載置して保持するための版固定ステージの上方位置に、洗浄ユニットを配置すると共に、該版固定ステージと洗浄ユニットとを水平な一軸方向に相対移動させるための相対移動手段を備え、且つ上記洗浄ユニットを、上記版固定ステージ上に保持された版の表面に対し洗浄液を供給して該版の表面に該洗浄液の液膜を形成させる洗浄液膜形成機能、及び、上記版の表面に対し加圧された上記洗浄液を断続的に吹き付ける洗浄液噴射機能を有する個別又は共通のノズルと、上記ノズルにより版の表面に形成される洗浄液の液膜を介して該版に固着した印刷インクに超音波振動を付与する超音波振動付与手段と、上記加圧された洗浄液の断続的な吹き付け及び超音波振動の付与が行われて版より脱離した印刷インクを上記洗浄液と共に吸引除去するための洗浄液吸引手段と、上記洗浄液吸引手段により洗浄液の吸引除去が行われた版の表面に残留する洗浄液を吹き飛ばすと共に乾燥させるためのエアナイフを備えた構成としてなる構成とする。
又、上記構成において、洗浄ユニットに、洗浄液膜形成機能及び洗浄液噴射機能を有する個別又は共通のノズルと、超音波振動付与手段と、洗浄液吸引手段と、エアナイフを覆うように配置して、内部が負圧になるよう排気するための排気カバーを備えるようにした構成とする。
更に、上記各構成において、洗浄ユニットに、版の表面に供給される洗浄液が洗浄液吸引手段の設置個所に対応する個所以外の個所から該版の外方へ流出することを防止するための液流出防止手段を備えるようにした構成とする。
本発明の版洗浄装置によれば、以下のような優れた効果を発揮する。
(1)平板状の版を水平に載置して保持するための版固定ステージの上方位置に、洗浄ユニットを配置すると共に、該版固定ステージと洗浄ユニットとを水平な一軸方向に相対移動させるための相対移動手段を備え、且つ上記洗浄ユニットを、上記版固定ステージ上に保持された版の表面に対し洗浄液を供給して該版の表面に該洗浄液の液膜を形成させる洗浄液膜形成機能、及び、上記版の表面に対し加圧された上記洗浄液を断続的に吹き付ける洗浄液噴射機能を有する個別又は共通のノズルと、上記ノズルにより版の表面に形成される洗浄液の液膜を介して該版に固着した印刷インクに超音波振動を付与する超音波振動付与手段と、上記加圧された洗浄液の断続的な吹き付け及び超音波振動の付与が行われて版より脱離した印刷インクを上記洗浄液と共に吸引除去するための洗浄液吸引手段と、上記洗浄液吸引手段により洗浄液の吸引除去が行われた版の表面に残留する洗浄液を吹き飛ばすと共に乾燥させるためのエアナイフを備えた構成としてなる構成としてあるので、版に固着した印刷インクを、ノズルより供給する洗浄液による溶解作用と、加圧した洗浄液の断続的な吹き付け、及び、超音波振動の付与による2段階の物理的な揺さぶりをかけることとの併用によって上記版の表面より脱離させることができ、この版より脱離した印刷インクは、洗浄液と共に吸引除去することができるため、上記版に固着していた印刷インクを効率よく洗浄して除去することができる。
(2)更に、上記版固定ステージ上の版の位置と、洗浄ユニットとの相対位置に応じて、該洗浄ユニットおける、ノズルからの加圧された洗浄液断続的な噴射の開始と停止、超音波振動付与手段における超音波振動の付与の開始と停止、洗浄液吸引手段による吸引の開始と停止、エアナイフの運転開始と停止の制御を行なうようにすることで、上記版に固着した印刷インクの洗浄作業を、人手を要することなく自動化することが可能になる。
(1)平板状の版を水平に載置して保持するための版固定ステージの上方位置に、洗浄ユニットを配置すると共に、該版固定ステージと洗浄ユニットとを水平な一軸方向に相対移動させるための相対移動手段を備え、且つ上記洗浄ユニットを、上記版固定ステージ上に保持された版の表面に対し洗浄液を供給して該版の表面に該洗浄液の液膜を形成させる洗浄液膜形成機能、及び、上記版の表面に対し加圧された上記洗浄液を断続的に吹き付ける洗浄液噴射機能を有する個別又は共通のノズルと、上記ノズルにより版の表面に形成される洗浄液の液膜を介して該版に固着した印刷インクに超音波振動を付与する超音波振動付与手段と、上記加圧された洗浄液の断続的な吹き付け及び超音波振動の付与が行われて版より脱離した印刷インクを上記洗浄液と共に吸引除去するための洗浄液吸引手段と、上記洗浄液吸引手段により洗浄液の吸引除去が行われた版の表面に残留する洗浄液を吹き飛ばすと共に乾燥させるためのエアナイフを備えた構成としてなる構成としてあるので、版に固着した印刷インクを、ノズルより供給する洗浄液による溶解作用と、加圧した洗浄液の断続的な吹き付け、及び、超音波振動の付与による2段階の物理的な揺さぶりをかけることとの併用によって上記版の表面より脱離させることができ、この版より脱離した印刷インクは、洗浄液と共に吸引除去することができるため、上記版に固着していた印刷インクを効率よく洗浄して除去することができる。
(2)更に、上記版固定ステージ上の版の位置と、洗浄ユニットとの相対位置に応じて、該洗浄ユニットおける、ノズルからの加圧された洗浄液断続的な噴射の開始と停止、超音波振動付与手段における超音波振動の付与の開始と停止、洗浄液吸引手段による吸引の開始と停止、エアナイフの運転開始と停止の制御を行なうようにすることで、上記版に固着した印刷インクの洗浄作業を、人手を要することなく自動化することが可能になる。
以下、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図4は本発明の版洗浄装置の実施の一形態を示すもので、以下のようにしてある。
すなわち、本発明の版洗浄装置は、平板状の版2を水平状態となるように載置して保持するための版固定ステージ1の上方位置に、洗浄ユニット3を配置し、且つ上記版固定ステージ1と洗浄ユニット3とを水平な一軸方向に相対移動させるための相対移動手段4を備える。
上記洗浄ユニット3は、上記版固定ステージ1上に保持した版2の表面に対して洗浄液6を供給して該版2の表面に上記洗浄液6の膜(液膜)を形成させるための洗浄液膜形成ノズルとしての機能を兼ねて上記版2の表面に対して加圧した洗浄液6をパルス状に断続噴射する洗浄液噴射ノズル5と、上記洗浄液噴射ノズル5より噴射された洗浄液6により上記版2の表面に形成される洗浄液6の液膜を介して該版2に対し超音波振動を付与する超音波振動付与手段7と、上記洗浄液噴射ノズル5からの洗浄液6の噴射及び上記超音波振動付与手段7による超音波振動の付与が行われた版2の表面の洗浄液6を吸引するための洗浄液吸引手段8と、上記洗浄液吸引手段8による洗浄液6の吸引除去が行われた後の上記版2の表面に残留する洗浄液6を除去するためのエアナイフ9とを、上記相対移動手段4による該洗浄ユニット3の上記版固定ステージ1に対する相対移動方向に沿って配列して備え、且つ上記洗浄液噴射ノズル5、超音波振動付与手段7、洗浄液吸引手段8及びエアナイフ9を覆うよう配置した排気カバー10を備えて、該排気カバー10を図示しない排気装置に排気ラインを介して接続してなる構成とする。
詳述すると、上記相対移動手段4は、水平な架台11上に、一軸方向に延びるガイドレール12を設け、該ガイドレール12上に、上記版固定ステージ1を、ガイドブロック12aを介してスライド可能に取り付け、更に、上記架台11と版固定ステージ1との間に、上記ガイドレール12と平行に配置した図示しないボールねじ機構やリニアモータ等の一軸方向の直動機構を介在させてなる構成としてある。これにより、上記ガイドレール12の上方に水平方向位置を固定した状態で設けた上記洗浄ユニット3の直下位置で、上記版固定ステージ1を上記ガイドレール12に沿わせて往復動(走行)させることができるようにしてある。
なお、上記相対移動手段4は、版洗浄処理時には、上記洗浄ユニット3の直下位置で、洗浄対象となる版2を保持させた版固定ステージ1を、予め設定された図1に矢印Xで示す方向(以下、洗浄時版移動方向と云う)へ、たとえば、10〜20mm/秒の移動速度で移動させるようにしてあるものとする。
又、上記版固定ステージ1は、その上面部に、版2を吸着して固定するための吸着機構として、たとえば、真空吸着機構(図示せず)を備えるようにしてある。
上記洗浄ユニット3は、上記洗浄時版移動方向の上流側から下流側に向けて、上記洗浄液噴射ノズル5と超音波振動付与手段7と洗浄液吸引手段8とエアナイフ9を順に並べて備えた構成としてある。
上記洗浄ユニット3の洗浄液噴射ノズル5は、洗浄時版移動方向と直交する左右方向に上記版2の左右幅寸法に対応して延びるスリット状の吐出口(図示せず)を備えた構成としてあり、該吐出口からの洗浄液6の噴射方向が垂直方向下向きとなる姿勢で、図示しない支持フレームに取り付けて支持させるようにしてある。
更に、上記洗浄液噴射ノズル5は、図示しない洗浄液供給部より加圧状態、たとえば、8MPa程度に加圧された状態で供給される洗浄液6を、パルス状に断続噴射できるようにしてある。この際、上記洗浄液6の断続噴射は、上記したように版洗浄処理時における上記相対移動手段4による版2を保持させた版固定ステージ1の移動速度が10〜20mm/秒としてある場合は、たとえば、10〜15サイクル/秒に設定することが望ましい。又、1回のサイクルにおける洗浄液6の噴射時間と噴射停止時間の比は、たとえば、5:5〜9:1に設定することが望ましい。
なお、上記洗浄液噴射ノズル5より噴射する洗浄液6は、印刷に用いた印刷インクの溶媒等、版2より洗浄除去すべき対象となる印刷用インクを溶解させることが可能な性状を有するものとする。これにより、上記版2に固着した印刷インクに対し、上記加圧した状態の洗浄液6を断続的に吹き付けることで揺さぶりを加えて、該印刷インクの版2からの脱離を促すことができるようにしてある。
上記洗浄液噴射ノズル5より噴射する洗浄液6の量は、上記版2の表面における該洗浄液噴射ノズル5からの洗浄液6の噴射を受けた部分が、洗浄時版移動方向の下流側に設けてある上記超音波振動付与手段7の直下位置まで移動したときに、図2に示すように、該部分に2〜3mm程度の厚さとなる洗浄液6の液膜を形成できるような量に設定してあるものとする。
上記洗浄ユニット3における超音波振動付与手段7は、図2に示すように、上記版2の左右幅寸法に対応して左右方向に延びる領域に配置する振動板14の上側に、超音波振動子13を取り付けた構成としてある。
ところで、上記超音波振動子13には、超音波を発振させることが可能な振動板14の大きさには限界がある。そのため、版2の左右幅寸法が大きくて、それに応じて上記振動板14を配置する左右方向に延びる領域の長さ寸法が長い場合は、複数の超音波振動子13を左右方向に配列して備えるようにすればよい。この場合、図3(イ)に示すように、左右方向に延びる1枚の振動板14に、図示しないコントローラによって位相の同期調整をした複数の超音波振動子13を取り付けた構成、あるいは、図3(ロ)に示すように、単一の超音波振動子13により超音波を発振させることが可能な長さ寸法となるように複数分割した振動板14毎に、個別の超音波振動子13を取り付けた構成とすればよい。
以上の構成としてある超音波振動付与手段7は、図2に示すように、該超音波振動付与手段7の下端部となる振動板14の下端面が、上記版固定ステージ1上に保持した版2の表面に形成させる洗浄液6の液膜中に没するように、たとえば、上記振動板14の下端面が、上記版固定ステージ1上に保持した版2の表面より0.5〜1mm上方で該版2の表面に対峙するように配置する。
更に、上記洗浄液噴射ノズル5より版2の表面に洗浄液6を噴射させることで該版2の表面に形成させる洗浄液6の液膜が上記超音波振動付与手段7の直下位置で2〜3mm程度の厚さの液膜となるようにするという観点からすると、該超音波振動付与手段7は、上記洗浄液噴射ノズル5の設置個所に対し、洗浄時版移動方向下流側のできるだけ近い位置に配置することが望ましい。この点に鑑みて、上記超音波振動付与手段7は、たとえば、上記洗浄液噴射ノズル5の設置個所より洗浄時版移動方向の下流側へ10〜20mm程度ずれた位置に配置して、図示しない支持フレームに取り付けて支持させるようにしてある。
これにより、上記版固定ステージ1上に保持した版2の表面に形成させた洗浄液6の液膜中に上記振動板14の下端面が没するようにした状態で、上記超音波振動子13を駆動することにより、上記振動板14より超音波を発振させ、該超音波を上記洗浄液の液膜を介して上記版2に伝えて、該版2を超音波振動させることができるようにしてある。これにより、上記版2に固着した印刷インクに対し、洗浄液6の液膜中で、超音波振動による揺さぶりを加えて、該版2からの脱離を促すことができるようにしてある。
なお、上記超音波振動子13より発振させる超音波は、20kHz以上、530kHz以下、より好ましくは、25kHz以上、530kHz以下となるようにしてある。上記超音波振動子13より発振させる超音波の範囲をこのように定めたのは、上記したように版2に固着した印刷インクに対して超音波振動による揺さぶりを加えて、版2からの脱離を促すのに好適なためである。
又、上記超音波振動子13より超音波を発振させる際に、毎秒1サイクルから数サイクルで、発振時間と発振停止時間の比が5:5〜9:1となるように断続的に行うようにしてもよい。このようにすれば、版2に固着した印刷インクに対してより強い揺さぶりを加えることができるようになるため、該印刷インクの版2からの脱離を更に促進させる効果が期待できる。
上記洗浄ユニット3の洗浄液吸引手段8は、図1及び図2に示すように、上記版2の左右幅寸法に対応して左右方向に延びる中空のケーシング15の下端側に、左右方向に延びるスリット状の吸引ノズル16を備えた構成、あるいは、上記ケーシング15の下端側に、左右方向に配列した複数の吸引ノズル16を設けてなる構成としてある。更に、上記ケーシング15の所要個所、たとえば、幅方向中央部に設けた図示しない吸引口に気液吸引用装置を吸引ラインを介して接続した構成としてある。
上記構成としてある上記洗浄液吸引手段8は、上記超音波振動付与手段7より洗浄時版移動方向の下流側へ或る寸法離れた位置で、且つ上記吸引ノズル16の先端部が版固定ステージ1上に保持された版2の表面よりも2〜3mm程度上方となる高さ位置に配置して、図示しない支持フレームに取り付けて支持させるようにしてある。更に、上記洗浄液吸引手段8は、図2に示すように、上記吸引ノズル16の先端側となる下端側が、洗浄時版移動方向の上流側へ多少向くように傾けて設置することが望ましい。
これにより、上記図示しない気液吸引用装置を運転することにより、上記超音波振動付与手段7の直下位置で版2の表面に形成させるようにしてある洗浄液6の液膜が、上記洗浄液吸引手段8の吸引ノズル16と対応する個所に達した時点で、該洗浄液6を吸引して上記版2の表面より除去することができるようにしてある。
上記洗浄ユニット3におけるエアナイフ9は、上記版2の左右幅寸法に対応して左右方向に延びる形状としてあり、上記洗浄液吸引手段8より洗浄時版移動方向の下流側へ或る寸法離れた位置で、且つ上記版固定ステージ1上に保持された版2の表面よりもやや上方となる位置に、該エアナイフ9の空気吹出し方向が、洗浄時版移動方向の上流側へ或る角度で斜め下向きとなるように配置して、図示しない支持フレームに取り付けて支持させるようにしてある。
なお、上記エアナイフ9は、図示しない空気供給手段に接続してあるものとする。更に、上記エアナイフ9より吹き出させる空気の流量及び流速は、該エアナイフ9より吹き出す空気を上記版固定ステージ1上に保持された版2の表面に対して吹き付けることで、上記洗浄液吸引手段8により洗浄液6の吸引除去を行った後に該版2の表面に残留する洗浄液6を吹き飛ばして乾燥させることができるようにしてあり、且つ該エアナイフ9よりも洗浄時版移動方向の上流側に設けてある上記洗浄液吸引手段8により洗浄液6の吸引を行う個所や、上記超音波振動付与手段7の直下となる部分の版2の表面の洗浄液6の液膜に対しては、上記エアナイフ9より吹出す空気が悪影響を及ぼさないように設定してあるものとする。
更に、たとえば、上記架台11上のガイドレール12に沿って往復動可能としてある上記版固定ステージ1を、印刷装置における印刷処理時に版2を固定するために用いる版固定ステージ1と共用することによって、本発明の版洗浄装置を、上記印刷装置に組み込む場合等であって、上記洗浄液噴射ノズル5より版固定ステージ1上の版2の表面に対し噴射して版2の表面に液膜を形成するよう供給した洗浄液6が、該版2における洗浄時版移動方向の上流側に位置する端縁や左右幅方向の両端縁より周囲へ流出することを防ぐ必要がある場合は、上記洗浄ユニット3に、液流出防止手段17を備える構成とする。
上記液流出防止手段17の具体的な構成としては、たとえば、図1及び図4に示すように、洗浄液噴射ノズル5よりも印刷時移動方向の上流側へ或る寸法離れた位置で且つ上記版固定ステージ1上に保持される版2の表面よりもわずかに高い位置に、上記版2の左右幅寸法に対応して左右方向に延びる液流出防止用のエアナイフ18を、洗浄時版移動方向の下流側へ或る角度で斜め下向きとなるように配置する。
更に、上記液流出防止用のエアナイフ18と、上記洗浄液吸引手段8との間における上記版固定ステージ1上に保持される版2の左右両端縁部に沿う位置で、且つ該版2の表面よりもわずかに高い位置に、印刷時移動方向に沿って延びる左右一対の液流出防止用のエアナイフ19,20(図4参照)を、互いに対向する側へ或る角度で斜め下向きとなるように配置する。
上記のように配置した各液流出防止用のエアナイフ18,19,20は、図示しない支持フレームに取り付けて支持させるようにしてあるものとする。
これにより、上記洗浄液噴射ノズル5より上記版固定ステージ1上の版2の表面に噴射して供給した洗浄液6により該版2の表面に液膜を形成させるときには、上記液流出防止手段17における各液流出防止用のエアナイフ18,19,20より空気を上記洗浄液6が吹き飛ばない程度の風圧で吹き出させることにより、該各液流出防止用のエアナイフ18,19,20より吹き出す空気を、上記版2の表面上に存在する洗浄液6に対して、洗浄時版移動方向の上流側と左右両側より内向きに吹き付けて、該洗浄液6が上記各液流出防止用のエアナイフ18,19,20の設置位置を越えて洗浄時版移動方向の上流側や左右幅方向両側へ流動することを押し留めることができるようにしてある。よって、上記版2上の洗浄液6が、該版2における洗浄時版移動方向の上流側に位置する端縁や左右幅方向の両端縁より周囲へ流出することがなくなるため、上記洗浄液噴射ノズル5より上記版固定ステージ1上の版2の表面に対し洗浄液6を噴射して供給することにより該版2の表面に前記所定の厚さで洗浄液6の液膜を形成させる際に、版2上に該洗浄液噴射ノズル5より噴射して供給することが必要とされる洗浄液6の量を削減することができるようにしてある。更には、上記版固定ステージ1上の版2の表面以外の部分や機器が、上記洗浄液6で濡れる虞を防止できるようにしてある。
上記洗浄ユニット3における排気カバー10は、上記洗浄液噴射ノズル5、超音波振動付与手段7、洗浄液吸引手段8、エアナイフ9、更には、上記液流出防止手段17の各液流出防止用のエアナイフ18,19,20を覆うと共に、その外周部の下端が、上記版固定ステージ1上に保持された版2の表面よりもやや高い位置に配置されるようにしてある。更に、上記排気カバー10は、中央部の上端部に設けた排気口10aに、図示しない排気装置が排気ラインを介して接続してある。これにより、上記図示しない排気装置を運転して、上記排気カバー10の内部が多少負圧になるように排気させることで、該排気カバー10内で上記エアナイフ9や上記各液流出防止用のエアナイフ18,19,20より吹き出されて、上記洗浄液噴射ノズル5からの洗浄液6の噴射や上記エアナイフ9による版2の表面上の洗浄液6の吹き飛ばしによって発生する洗浄液6の飛沫、及び、洗浄液6の気化した蒸気を含む状態となる空気を、該排気カバー10の排気口10aより上記図示しない排気装置へ吸引して回収することができるようにしてある。よって、上記洗浄液6が、印刷インクの溶媒等、有機溶剤である場合も、その飛沫や蒸気を含んだ空気が上記排気カバー10の外部へ漏れることを抑制して、周辺環境が悪化する虞を防止できるようにしてある。
ところで、印刷処理で使用する版2は、それぞれの版2毎に厚さ寸法が異なることがある。そこで、本発明の版洗浄装置では、上記洗浄ユニット3に、図示しない昇降手段を備えるようにして、該洗浄ユニット3における上記洗浄液噴射ノズル5、超音波振動付与手段7、洗浄液吸引手段8、エアナイフ9、及び、上記液流出防止手段17の各液流出防止用のエアナイフ18,19,20の高さ位置を、版固定ステージ1上に保持させた版2の表面の高さ位置に対応させて適宜調整できるようにしてあるものとする。
以上の構成としてある本発明の版洗浄装置を使用する場合は、洗浄対象となる版2を版固定ステージ1上に載置して保持させ、この状態で上記版固定ステージ1を、上記架台11上のガイドレール12に沿わせて移動させて、該版固定ステージ1上の版2を、洗浄ユニット3に対し、洗浄時版移動方向の上流側となる位置に配置させる。
次に、排気カバー10の排気口10aに接続してある図示しない排気装置を運転すると共に、液流出防止手段17の各液流出防止用のエアナイフ18,19,20からの空気の吹き出しを開始させる。
この状態で、上記版固定ステージ1の前述した所定の移動速度での洗浄時版移動方向への移動を開始させることにより、該版固定ステージ1上の版2を、上記洗浄ユニット3の直下位置へ向けて移動させ、該版2が、上記洗浄ユニット3における洗浄液噴射ノズル5の真下となる位置に達した時点で、該洗浄液噴射ノズル5より前述したように所定圧力に加圧された洗浄液6を、上記版2の表面に向けて断続的に噴射させると、該版2に固着している印刷インクには、洗浄液6への溶解による上記版2からの脱離が生じると共に、上記加圧状態の洗浄液6が断続的に吹き付けられることによる揺さぶりが加えられるようになるため、このことによっても、該版2からの印刷インクの脱離が行われるようになる。
上記のようにして版2の表面に対して洗浄液噴射ノズル5より供給された洗浄液6は、上記液流出防止手段17の各液流出防止用のエアナイフ18,19,20より吹き出されている空気により、印刷時移動方向の上流側と、左右両側への流動が押し留められて、版2の表面に上記洗浄液6の液膜が形成される。
上記のようにして表面に上記洗浄液6の液膜が形成された状態の版2が、上記超音波振動付与手段7の真下位置に達して、該超音波振動付与手段7における振動板14の下端面が上記版2の表面の洗浄液6の液膜に没するようになると、超音波振動子13の運転を開始させる。これにより、その時点で上記版2に固着している印刷インクに対しては、上記超音波振動子13に取り付けた上記振動板14より発振される超音波振動が、洗浄液6の液膜を通して加えられるようになるため、該版2に固着している印刷インクは、洗浄液6の液膜中で超音波振動による揺さぶりを受けるため、該印刷インクの版2からの更なる脱離が行われるようになる。
以上により、上記版2の表面に形成された洗浄液6の液膜中には、該版2に固着していた印刷インクが溶かし出されると共に、版から脱離した印刷インクが含まれるようになるため、上記版固定ステージ1と共に移動する上記版2の表面に形成された洗浄液6の液膜が、洗浄液吸引手段8の設置個所に到達するときに、該洗浄液吸引手段8による吸引ノズル16からの吸引を開始させると、上記版2から脱離した印刷インクは、上記液膜を形成していた洗浄液6と共に版2の表面から吸引除去されるようになる。
その後、上記版固定ステージ1と共に移動する上記版2が、エアナイフ9の設置個所に到達するときに、該エアナイフ9からの空気の吹き出しを行わせることにより、上記洗浄液吸引手段8による吸引処理の後に上記版2の表面に残留している洗浄液6が、該版2の表面より吹き飛ばされて除去されると共に、該版2の表面の乾燥が行なわれるようになる。
上記版2の洗浄処理の際、上記エアナイフ9や上記各液流出防止用のエアナイフ18,19,20より吹き出されて、上記洗浄液噴射ノズル5からの洗浄液6の噴射や上記エアナイフ9による版2の表面上の洗浄液6の吹き飛ばしによって発生する洗浄液6の飛沫、及び、洗浄液6の気化した蒸気を含む状態となる空気は、上記排気カバー10内より排気口10aを通して上記図示しない排気装置へ吸引されて回収されるようになるため、上記洗浄ユニット3の周辺環境に放出されることを未然に防止することができるようになる。
このように、本発明の版洗浄装置によれば、版2に固着した印刷インクを、洗浄液6による溶解作用と、加圧した洗浄液6の断続的な吹き付け、及び、超音波振動の付与による2段階の物理的な揺さぶりをかけることとの併用によって上記版2の表面より脱離させることができるため、上記版2に固着した印刷インクを効率よく洗浄して除去することができる。
更に、上記版固定ステージ1上の版2の位置を検出するセンサを備えると共に、該センサにより検出される上記版2の位置に応じて、上記洗浄ユニット3おける、洗浄液噴射ノズル5からの加圧された洗浄液6の断続的な噴射の開始と停止、超音波振動付与手段7における超音波振動子13の運転開始と停止、洗浄液吸引手段8による吸引の開始と停止、エアナイフ9の運転開始と停止、及び、液流出防止手段17の各液流出防止用のエアナイフ18,19,20の運転開始と停止の制御を行なうようにすることで、上記版2に固着した印刷インクの洗浄作業を、人手を要することなく自動化することができるようになる。
次に、図5は本発明の実施の他の形態を示すもので、図1乃至図4に示したと同様の構成において、洗浄液噴射ノズル5を、洗浄液6の噴射方向が垂直方向下向きとなる姿勢で設けた構成に代えて、洗浄液6の噴射方向が垂直方向下向きより洗浄時版移動方向の上流側へ斜め下向きとなるように設定してある第1の洗浄液噴射ノズル5aと、洗浄液6の噴射方向が垂直方向下向きより洗浄時版移動方向の下流側へ斜め下向きとなるように設定してある洗浄液噴射ノズル5bとを、2個一組で備える構成としたものである。
上記第1及び第2の洗浄液噴射ノズル5a及び5bは、各々断続噴射する洗浄液6の流れが空中で互いに干渉しないように、たとえば、図5に示すように、該各洗浄液噴射ノズル5a,5bの洗浄液の噴射方向が、版固定ステージ1上に保持された版2の表面の高さ位置と同じか、又は、該版2の表面の高さ位置よりもやや下方で交差するようにしてあるものとする。
その他の構成は図1乃至図4に示したものと同様であり、同一のものには同一の符号が付してある。
本実施の形態の版洗浄装置によれば、上記第1の洗浄液噴射ノズル5a及び第2の洗浄液噴射ノズル5bより、図1乃至図4の実施の形態における洗浄液噴射ノズル5と同様に洗浄液6を断続噴射すると、該断続噴射された洗浄液6は、上記版固定ステージ1上に保持された版2の表面に対して、洗浄時版移動方向の上流側と下流側に傾いた方向から当たるようになるため、該版2の表面に形成されている印刷パターン溝の内底部における洗浄時版移動方向の上流側と下流側のコーナ部分に固着している印刷インクに対して良好に揺さぶりをかけることができるようになる。
よって、上記版2の表面の印刷パターン溝の内底部における洗浄時版移動方向の上流側と下流側のコーナ部分に固着している印刷インクに対する洗浄効果をより高めることができて、上記版2に固着した印刷インクをより効率よく洗浄して除去することができる。
次いで、図6は本発明の実施の更に他の形態を示すもので、図1乃至図4に示したと同様の構成において、洗浄液噴射ノズル5を、洗浄液6の噴射方向が垂直方向下向きとなる姿勢で設けた構成に代えて、洗浄液6の噴射方向を洗浄時版移動方向と直交する左右方向へ角度変更可能な形式としてある洗浄液噴射ノズル5cを備えた構成としたものである。
上記洗浄液噴射ノズル5cの具体的構成は、たとえば、図6に示すように、一方向に洗浄液を噴射できるようにしてあるノズル体21を、上記洗浄時版移動方向と直交する左右方向に複数配列して備える。
上記各ノズル体21には、その吐出口(図示せず)とは反対側の端部における左右幅方向の中央部に、上下方向に延び且つ下端寄り個所を軸受23を介して図示しない固定部に左右方向に揺動可能に指示させた個別のレバー部材22の下端部が取り付けてある。
更に、上記各レバー部材22の上端部と対応する高さ位置で、且つ該各レバー部材22よりも左右の外側となる位置に、モータ25を接続した駆動プーリ24と、従動プーリ26を離隔配置して設け、該駆動プーリ24と従動プーリ26に無端状に掛け回したベルト27の周方向の対応する個所に、上記各レバー部材22の上端部を接続部材28を介して左右方向に揺動可能に接続した構成としてある。
これにより、上記モータ25の正転と逆転を交互に繰り返すことにより、上記駆動プーリ24と従動プーリ26との間で、上記ベルト27が一方向と他方向に交互に循環移動し、該ベルト27に接続された上記各レバー部材22の上端部が左方向と右方向へ交互に動かされるようになるため、該各レバー部材22の上記軸受23を中心とする左右方向への傾動に伴って、該各レバー部材22の下端部に取り付けてある各ノズル体21の洗浄液6の噴射方向を、左右方向へ交互に傾けることができるようにしてある。
その他の構成は図1乃至図4に示したものと同様であり、同一のものには同一の符号が付してある。
本実施の形態の版洗浄装置によれば、上記洗浄液噴射ノズル5cにおける各ノズル体21より、図1乃至図4の実施の形態における洗浄液噴射ノズル5と同様に洗浄液6を断続噴射するときに、上記モータ25の正転と逆転を交互に行なうと、上記各ノズル体21より噴射する洗浄液6の噴射方向が左右に交互に傾くようになるため、版固定ステージ1上に保持された版2の表面に対しては、上記各ノズル体21より噴射された洗浄液6を、洗浄時版移動方向と直交する左右方向に傾いた方向から当てることができるようになるため、該版2の表面に形成されている印刷パターン溝の内底部における洗浄時版移動方向と直交する左右のコーナ部分に固着している印刷インクに対して良好に揺さぶりをかけることができるようになる。
よって、上記版2の表面の印刷パターン溝の内底部における左右のコーナ部分に固着している印刷インクに対する洗浄効果をより高めることができて、上記版2に固着した印刷インクをより効率よく洗浄して除去することができる。
更に、上記洗浄液6の噴射方向を左右方向に傾けることができるようにしてある上記洗浄液噴射ノズル5cを、上記図5の実施の形態における洗浄液噴射ノズル5a,5bと同様に、洗浄時版移動方向の上流側と下流側に傾けて2個一組で備えるようにすれば、版固定ステージ1上に保持された版2の表面に形成された印刷パターン溝の内底部における洗浄時版移動方向に直交する左右のコーナ部分に固着している印刷インクに加えて、洗浄時版移動方向の上流側と下流側のコーナ部分に固着している印刷インクに対しても良好な揺さぶりをかけることができるようになるため、上記版2の表面の印刷パターン溝の内底部におけるすべてのコーナ部分に固着している印刷インクに対する洗浄効果を高めることができて、上記版2に固着した印刷インクを更に効率よく洗浄して除去する効果が期待できる。
前記図1乃至図4の実施の形態の版洗浄装置では、洗浄液噴射ノズル5を、上記版固定ステージ1上に保持した版2の表面に対して洗浄液6を供給して該版2の表面に上記洗浄液6の膜(液膜)を形成させるための洗浄液膜形成ノズルとしての機能を兼ね備えるものとして示したが、図7に示すように、上記版固定ステージ1上に保持した版2の表面に対して洗浄液6を供給して該版2の表面に上記洗浄液6の膜(液膜)を形成させるための洗浄液膜形成ノズル29を、上記版2の表面に対して加圧した洗浄液6をパルス状に断続噴射する洗浄液噴射ノズル5とは別体として設けるようにしてもよい。
この場合は、図7に示すように、上記洗浄液膜形成ノズル29は、超音波振動付与手段7よりも洗浄時版移動方向の上流側位置に設けて、上記版2の表面に対して洗浄液6を、所定の厚さの液膜を形成できるように供給する機能を備えるようにしてあればよい。
更に、上記洗浄液噴射ノズル5は、上記超音波振動付与手段7よりも上流側に設ける必要はなくなるため、たとえば、図7に示すように、上記洗浄液噴射ノズル5を、上記超音波振動付与手段7と、洗浄液吸引手段8の間に設けるようにしてもよい。
このようにすれば、版2に固着している印刷インクに対し、洗浄液膜形成ノズル29より供給される洗浄液6により、溶解による上記版2からの脱離を生じさせた後、先ず、上記超音波振動付与手段7より付与される超音波振動による揺さぶりをかけ、次に、上記洗浄液噴射ノズル5より加圧状態の洗浄液6の断続的な吹き付けによる揺さぶりをかけることができる。
したがって、上記版2に固着した印刷インクに対して、洗浄液6中で超音波振動による揺さぶりをかける処理と、上記加圧された洗浄液6の断続な吹き付けによって揺さぶりをかける処理の順序を入れ替えることができる。このように順序を入れ替えてあっても、上記版2に固着した印刷インクには、洗浄液6による溶解作用と、超音波振動の付与、及び、加圧した洗浄液6の断続的な吹き付けによる2段階の物理的な揺さぶりをかけることとの併用によって上記版2の表面からの脱離を促進させることができるため、上記版2に固着した印刷インクを効率よく洗浄して除去することができる。
なお、本発明は上記実施の形態のみに限定されるものではなく、版固定ステージ1上に保持した版2に対して洗浄ユニット3を洗浄時版移動方向に相対移動させることができるようにしてあれば、版固定ステージ1を位置固定式とし、洗浄ユニット3側に、上記版固定ステージ1の上方で該洗浄ユニット3を水平な一軸方向に移動させる形式の相対移動手段4を備えた構成としてもよい。
液流出防止手段17としては、図4における各液流出防止用のエアナイフ18,19,20を、それぞれ同様な配置の吸引ノズルに置き換えた構成としてもよい。このようにすれば、版2の表面に供給する洗浄液6のうち、該版2における印刷時移動方向の端縁や、左右の両端縁からその外側へ流出しようとする洗浄液6を上記吸引ノズルにより吸引することで、その外側への洗浄液の流出が防止できるようになる。なお、この場合は、上記版2の表面に液膜を形成させるために供給する洗浄液6の量を増やすことで、該版2の表面に所定の厚みの洗浄液6の液膜を形成させるようにすればよい。
更に、本発明の版洗浄装置が専用の装置であって、版2の表面に供給する洗浄液6が該版2における洗浄時版移動方向の端縁や、左右の両端縁よりその外側へ流出しても特に問題とならない場合は、液流出防止手段17を省略した構成としてもよい。
洗浄液噴射ノズル5,5a,5b,5cは、スリット状の吐出口を備えてなるものとして示したが、版2の表面における印刷インクが付着した個所の全面に対して加圧された洗浄液6を断続的に吹き付けることができるようにしてあれば、複数の吐出口を左右方向に1列、あるいは、千鳥配置となるよう複数列配置して備えた構成としてもよい。
その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。
1 版固定ステージ
2 版
3 洗浄ユニット
4 相対移動手段
5,5a,5b,5c 洗浄液噴射ノズル(ノズル)
6 洗浄液
7 超音波振動付与手段
8 洗浄液吸引手段
9 エアナイフ
10 排気カバー
17 液流出防止手段
29 洗浄液膜形成ノズル(ノズル)
2 版
3 洗浄ユニット
4 相対移動手段
5,5a,5b,5c 洗浄液噴射ノズル(ノズル)
6 洗浄液
7 超音波振動付与手段
8 洗浄液吸引手段
9 エアナイフ
10 排気カバー
17 液流出防止手段
29 洗浄液膜形成ノズル(ノズル)
Claims (3)
- 平板状の版を水平に載置して保持するための版固定ステージの上方位置に、洗浄ユニットを配置すると共に、該版固定ステージと洗浄ユニットとを水平な一軸方向に相対移動させるための相対移動手段を備え、且つ上記洗浄ユニットを、上記版固定ステージ上に保持された版の表面に対し洗浄液を供給して該版の表面に該洗浄液の液膜を形成させる洗浄液膜形成機能、及び、上記版の表面に対し加圧された上記洗浄液を断続的に吹き付ける洗浄液噴射機能を有する個別又は共通のノズルと、上記ノズルにより版の表面に形成される洗浄液の液膜を介して該版に固着した印刷インクに超音波振動を付与する超音波振動付与手段と、上記加圧された洗浄液の断続的な吹き付け及び超音波振動の付与が行われて版より脱離した印刷インクを上記洗浄液と共に吸引除去するための洗浄液吸引手段と、上記洗浄液吸引手段により洗浄液の吸引除去が行われた版の表面に残留する洗浄液を吹き飛ばすと共に乾燥させるためのエアナイフを備えた構成としてなることを特徴とする版洗浄装置。
- 洗浄ユニットに、洗浄液膜形成機能及び洗浄液噴射機能を有する個別又は共通のノズルと、超音波振動付与手段と、洗浄液吸引手段と、エアナイフを覆うように配置して、内部が負圧になるよう排気するための排気カバーを備えるようにした請求項1記載の版洗浄装置。
- 洗浄ユニットに、版の表面に供給される洗浄液が洗浄液吸引手段の設置個所に対応する個所以外の個所から該版の外方へ流出することを防止するための液流出防止手段を備えるようにした請求項1又は2記載の版洗浄装置。
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JP2010241116A JP2012091414A (ja) | 2010-10-27 | 2010-10-27 | 版洗浄装置 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2015193105A (ja) * | 2014-03-31 | 2015-11-05 | 凸版印刷株式会社 | 版洗浄装置 |
KR20160014133A (ko) * | 2014-07-28 | 2016-02-11 | 한국기계연구원 | 대면적 초음파 정밀 세정장치 |
JP7398741B2 (ja) | 2020-05-15 | 2023-12-15 | シャープ株式会社 | 印刷版の洗浄システム、及び印刷版の洗浄方法 |
-
2010
- 2010-10-27 JP JP2010241116A patent/JP2012091414A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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