JP2012089623A - 押圧用アダプタ - Google Patents
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Abstract
【課題】基板より大きな径を有する押圧部材を用いて、基板を面内均一な荷重で押圧する。
【解決手段】押圧用アダプタ1は、重合ウェハWTと同一の径を有する略円錐台形状の下部アダプタ85と、重合ウェハWTよりも大きな径を有する略円盤状の上部アダプタ84とを有する。下部アダプタ85及び上部アダプタ84は、平面視において同心円状に配置され、且つ一体に形成されている。下部アダプタ85の上底の径は、上部アダプタ84の径より小さく形成されている。
【選択図】図1
【解決手段】押圧用アダプタ1は、重合ウェハWTと同一の径を有する略円錐台形状の下部アダプタ85と、重合ウェハWTよりも大きな径を有する略円盤状の上部アダプタ84とを有する。下部アダプタ85及び上部アダプタ84は、平面視において同心円状に配置され、且つ一体に形成されている。下部アダプタ85の上底の径は、上部アダプタ84の径より小さく形成されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、金属の接合部を有する基板同士を押圧して接合する際に、当該基板を押圧する押圧用アダプタに関する。
近年、半導体デバイス(以下、「デバイス」という)の製造においては、デバイスの高集積化が進んでいる。その一方で、高集積化された複数のデバイスを配線で接続して製品化する場合、配線長が増大し、それにより配線の抵抗が大きくなること、及び配線遅延が大きくなることが問題となる。
そこで、半導体デバイスを3次元に積層する3次元集積技術を用いることが提案されている。この3次元集積技術においては、例えば貼り合わせ装置を用いて、2枚の半導体ウェハ(以下、「ウェハ」という。)の貼り合わせが行われる。貼り合わせ装置は、例えば上面にウェハを載置する固定テーブルと、この固定テーブルに対向して配置され、下面にウェハを吸着保持して昇降可能な可動テーブルとを有している。固定テーブルと可動テーブル内には、それぞれヒータが内蔵されている。そしてこの貼り合わせ装置では、2枚のウェハを重ね合わせた後、ヒータによりウェハを加熱しながら、固定テーブルと可動テーブルにより荷重をかけてウェハを押圧し、2枚のウェハが貼り合わせられる(特許文献1)。
ところで、2枚のウェハを精度よく接合するためには、ウェハ同士を平行に維持した状態でウェハを面内均一な荷重によって押圧する必要があるが、シリンダー等の手段により押圧を行うと、当該シリンダーの駆動部の直下に荷重が集中するため、均一な貼り合わせを行うことが困難であった。このため、ウェハの接合にあたっては、例えばベローズといった弾性を有する部材を可動テーブルに配して、押圧時に当該ベローズ内に加圧用の圧縮空気を供給して荷重をかけることにより、ウェハ同士を平行に維持しつつ面内均一な荷重で押圧するという方法が用いられることがある。
上記のようなベローズを用いる場合、ウェハを押圧する際の荷重を高めるためには、ベローズ内に供給する圧縮空気の圧力を高めるか、或いはベローズの面積を大きくするという方法がある。しかしながら、空気の圧力を高めるには、新たな空気源設備を設ける必要があり、また所定の圧力を超える空気(ガス)を扱う場合には、安全面での対策等が必要となるといった問題がある。
一方、ベローズの面積を大きくする場合、加圧用の圧縮空気の圧力を高めることなくウェハを押圧する際の荷重を高めることができる。しかしながら、本発明者らが検証を行ったところ、被押圧部材としてのウェハよりも押圧用のベローズを大きくすると、ウェハの周縁部でウェハを押圧する部材が撓むことによりウェハの周縁部に荷重が集中してしまうということが確認された。このため、ベローズの面積をウェハよりも大きくした場合、ウェハを面内均一な荷重で押圧することができない。
この点について本発明者らは、押圧手段であるベローズと被押圧部材であるウェハとの間に、異径のアダプタを介設することで、ウェハよりも大きい面積を有するベローズで、ウェハを面内均一な荷重で押圧することに着目し、シミュレーションによる検証実験を実施した。具体的には、例えば図22に示されるように、ウェハWとベローズ300との間に、ウェハWと同じ径の押圧面と、ベローズ300と同じ径を持つ押圧面を有する、略円錐台形状のアダプタ301を、台形の上底を下方に向けて配置し、ウェハWよりも大きな径を有する押圧部材302により、ウェハWと異なる径を有するアダプタ301を介して押圧する際にウェハWに作用する荷重分布についてシミュレーションを行った。その結果、アダプタ301を用いても、依然としてウェハWの周縁部に荷重が集中し、面内均一な荷重を得ることができないことが分かった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、基板より大きな径を有する押圧部材を用いて、基板を面内均一な荷重で押圧することを目的とする。
前記の目的を達成するため、本発明は、2つの基板同士を圧接して接合する際に前記基板を載置する載置部と、前記載置部に対向して設けられ前記基板を前記載置部側に押圧する、前記基板より大きい径を有する押圧部材との間に配置するアダプタであって、前記アダプタは、前記基板と同一の径を有する略円錐台形状の下部アダプタと、前記基板よりも大きな径を有する略円盤状の上部アダプタとを有し、前記下部アダプタ及び前記上部アダプタは、平面視において同心円状に配置され、且つ一体に形成され、前記略円錐状の下部アダプタの上底の径は、前記上部アダプタの径より小さいことを特徴としている。
本発明によれば、基板より大きい径を有する押圧部材により基板の接合を行うに際して、基板より大きい径を有する上部アダプタと、基板と同一の径を有する下部アダプタとを有する押圧用アダプタを用いて基板を押圧するので、大きな面積、即ち上部アダプタの上面にかかっていた均一荷重を、小さな面積、即ち下部アダプタの下面に均一にかけることができる。
前記下部アダプタの底面には、前記下部アダプタの下底の径と同一の径を有する略円盤状の円盤部が前記下部アダプタと一体に形成されていてもよい。また、前記下部アダプタと前記上部アダプタとの間には、当該下部アダプタと上部アダプタと一体に形成された円筒形状の中間部を有し、前記中間部の径は、前記下部アダプタの上底の径と同じか又は小さくてもよい。
前記中間部と前記上部アダプタとの接続部は、所定の曲率を有する球状に形成されていてもよい。
前記中間部の径と前記ウェハの径との比は、0.8:1〜0.9:1であってもよい。
本発明によれば、基板より大きな径を有する押圧部材を用いて、基板を面内均一な荷重で押圧することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、押圧用アダプタ1を有する接合装置10の構成の概略を示す縦断面図である。図2は押圧用アダプタ1を有する接合装置10の構成の概略を示す横断面図である。
接合装置10では、図3に示すように例えば2枚の基板としてのウェハWU、WLを接合する。以下、上側に配置されるウェハを「上ウェハWU」といい、下側に配置されるウェハを「下ウェハWL」という場合がある。各ウェハWU、WLは、金属の接合部JU、JLをそれぞれ複数有している。そして、各接合部JU、JLを当接させウェハWU、WLを重ね合わせて重合基板としての重合ウェハWTを形成し、ウェハWU、WL同士を接合する。なお、ウェハWU、WL同士の接合が行われる前の状態においては、図3に示すようにウェハWU、WLの間に接着剤2が塗布され、ウェハWU、WLが当該接着剤2により仮接合された状態になっている。このように、接着剤2により仮接合することで、ウェハWU、WLのアライメントを行った後に当該ウェハWU、WLの搬送を行っても、ウェハWU、WLにズレが生じることを防止できる。また、図3に示すように、仮接合された状態では、接合部JU、JL間には隙間が形成された状態となっている。これによって、接合時の真空引き行われる際に接合部JU、JL間の雰囲気が吸引され、接合部JU、JL間にボイドが生じることを防ぐことができるという効果も得ることができる。なお、接着剤2には、接合時の熱処理により蒸発して昇華するものが用いられる。また、本実施の形態では、例えば接合部JUにはアルミニウムが用いられ、接合部JLにはゲルマニウムが用いられる。
接合装置10は、図1及び図2に示すように熱処理ユニット20及び接合ユニット21を水平方向のY方向にこの順で並べて一体に接続した構成を有している。熱処理ユニット20と接合ユニット21は、ゲートバルブ22を介して気密に接続されている。
熱処理ユニット20は、内部を密閉することができる処理容器30を有している。処理容器30における接合ユニット21と反対側の側面には重合ウェハWTの搬入出口31が形成され、当該搬入出口31にはゲートバルブ32が設けられている。また、処理容器30の接合ユニット21側の側面には重合ウェハWTの搬入出口33が形成され、当該搬入出口33には上述したゲートバルブ22が設けられている。
処理容器30の底面には吸気口34が形成されている。吸気口34には、処理容器30の内部の雰囲気を所定の真空度まで減圧する真空ポンプ35に連通する吸気管36が接続されている。
処理容器30の内部には、重合ウェハWTを載置して加熱及び冷却を行う第1の熱処理板40と第1の熱処理板40に載置された重合ウェハWTを上方から加熱する上部加熱手段41と、熱処理ユニット20と接合ユニット21との間で、後述する搬送リング60と共に重合ウェハWTを搬送する搬送機構42設けられている。上部加熱手段41としては、たとえば輻射熱により加熱を行うハロゲンヒータやあるいは電気ヒータなどが用いられる。第1の熱処理板40には、例えば図1に示すように給電により発熱する加熱機構としてのヒータ43及びその内部に冷媒を流通させることで熱処理板40を冷却する冷却機構としての冷媒流路44が内蔵されている。冷媒流路44は、ヒータ43の上方に配置されている。
冷媒流路44には、図4に示すように、当該冷媒流路44に冷媒を供給する冷媒供給管45と、当該冷媒流路44から冷媒を排出する冷媒排出管46が夫々接続されている。冷媒としては、乾燥空気に霧状の水を混合させたものが用いられる。冷媒供給管45には、当該冷媒供給管45に冷媒としての乾燥空気と水を供給する空気源47と冷却水源48が夫々接続されている。乾燥空気と水とが合流する箇所にはミキサー49が設置され、当該ミキサー49により乾燥空気と水とを混合することで水が霧化され、冷媒として冷媒供給管45を介して冷媒流路44に供給される。冷媒排出管46には冷媒流路44を通過後の冷媒を冷却する熱交換器50が設けられ、冷媒排出管46内を流れる冷媒を冷却することで当該冷媒中の水を凝縮し、ドレンとして回収する。回収されたドレンは、循環配管51を介して冷媒供給管45におけるミキサー49の上流に供給され、再びミキサー49にて乾燥空気と混合され再度冷媒として利用される。なお、熱交換器50としては、例えば図4に示すように冷凍機52に接続されたものが用いられる。また、第1の熱処理板40の加熱温度及び冷却温度や上部加熱手段41による加熱温度は、例えば後述する制御部200により制御される。
第1の熱処理板40の下方には、重合ウェハWTを下方から支持し昇降させるための昇降ピン53が例えば3本設けられている。昇降ピン53は、図示しない昇降駆動部により上下動できる。第1の熱処理板40の中央部付近には、当該第1の熱処理板40を厚み方向に貫通する貫通孔54が例えば3箇所に形成されている。そして、昇降ピン53は貫通孔54を挿通し、第1の熱処理板40の上面から突出可能になっている。
搬送機構42は、図1に示すように、上下方向に水平に夫々設けられた上部搬送機構42aと下部搬送機構42bとを有している。上部搬送機構42aと下部搬送機構42bとは、同一形状である。上部搬送機構42aと下部搬送機構42bは、図示しない駆動機構により、夫々独立して水平方向、および上下方向に移動可能に構成されている。上部搬送機構42a及び下部搬送機構42bは、図5及び図6に示すように、一対の略U字状の断面形状を有する保持部55を、U字の開口部分が向かい合うように接続されて形成されている。上部搬送機構42a及び下部搬送機構42bは、保持部55により搬送リング60を保持することで、当該搬送リング60と共に重合ウェハWTを搬送できるように構成されている。搬送リング60は、図5及び図6に示すように、重合ウェハWTの径より僅かに大きな径の開口が設けられた略円盤状に形成されており、搬送リング60の底面であって、開口の内周縁部には重合ウェハWTを保持するために保持部材61が設けられている。搬送リング60の外周部には、図6に示すように一対の突出部62が設けられており、この突出部62が搬送機構42の保持部55により保持される。搬送機構42により搬送リング60を保持するにあたっては、図7(a)に示すように、保持部55の開口部分の間に搬送リング60が位置する高さに搬送機構42を移動させ、次いで図7(b)に示すように、その高さを維持したまま搬送機構42をさらに水平方向に移動させる。その後、搬送機構42を上昇させ、保持部55により搬送リング60の突出部62を保持することにより、搬送機構42により搬送リング60が保持される図7(c)。
接合ユニット21は、内部を密閉することができる処理容器70を有している。処理容器70は、容器本体71と天板72がシールドベローズ73によって接続された構成を有している。シールドベローズ73は鉛直方向に伸縮自在に構成され、このシールドベローズ73によって天板72は鉛直方向に移動自在になっている。
容器本体71の熱処理ユニット20側の側面には重合ウェハWTの搬入出口74が形成され、当該搬入出口74には上述したゲートバルブ22が設けられている。容器本体71の側面には吸気口75が形成されている。吸気口75には、処理容器70の内部の雰囲気を所定の真空度まで減圧する真空ポンプ76に連通する吸気管77が接続されている。なお、本実施の形態においては、吸気口75、真空ポンプ76、吸気管77で第2の減圧機構を構成している。また、容器本体71の底面には後述する冷却機構100を設置するための、例えば円形の底部開口78が形成されている。
処理容器70の内部であって天板72には、後述する第2の熱処理板90上の重合ウェハWTを第2の熱処理板90側に押圧する加圧機構80が設けられている。加圧機構80は、押圧用アダプタ1を介在して重合ウェハWTを押圧する押圧部材81と、天板72に環状に取り付けられた支持部材82と、押圧部材81と支持部材82を接続し、鉛直方向に伸縮自在の加圧ベローズ83とを有している。押圧部材81の径は、重合ウェハWTの径より大きく構成されている。加圧ベローズ83には、加圧機構80の内部、すなわち押圧部材81、加圧ベローズ83、支持部材82及び天板72で囲まれた内部空間に、例えば圧縮空気を供給する空気供給管83aと、内部空間に供給された空気を排出する空気排出管83bとが設けられている。このため、空気供給管83aを介して加圧機構80の内部空間に、圧縮空気を供給することで、加圧ベローズ83が伸縮し押圧部材81が鉛直方向に移動自在になっている。空気排出管83bには、当該空気排出管83bの内部を流通して排気される空気を冷却する冷却ジャケット83cが設けられている。冷却ジャケット83cは、例えば水冷式のシェルアンドチューブ式の熱交換器といったものが使用できる。空気排出管83bには、当該空気排出管83bから排出される空気の量を調整するための調整機構(図示せず)が設けられている。このため、空気供給管83aにより供給する圧縮空気の供給量、供給圧力及び空気排出管83bから排出する空気の量を調整することで、空気排出管83bから圧縮空気を排出しながら加圧ベローズ83内の圧力を所定の圧力に調整することができる。換言すれば加圧ベローズ83内の圧力と加圧ベローズ83内を流通する圧縮空気の量を、それぞれ独立に制御することができる。また、押圧部材81の内部には、例えば給電により発熱するヒータ81aが内蔵されており、加圧ベローズ83に供給する圧縮空気の量を調整することで、ヒータ81aから加圧ベローズ83内の圧縮空気に放散する熱量を調整ことができる。したがって、加圧ベローズ83内に供給する圧縮空気の流量及びヒータ81aの温度調整をそれぞれ行うことで押圧部材81による熱伝達を介して押圧用アダプタ1の温度を所望の温度とすることができる。なお、加圧機構80の内部には圧縮空気が封入されるため、この圧縮空気による内圧に耐えるように、加圧機構80の加圧ベローズ83の剛性は、処理容器70のシールドベローズ73の剛性より大きくなっている。
押圧用アダプタ1は、押圧部材81の下面に接続されている。押圧用アダプタ1は、重合ウェハWTより大きな径を有する押圧部材81を用いて、重合ウェハWTを面内均一な荷重で押圧することを目的として設置されるものであり、図1に示すように、略円盤状の上部アダプタ84と、略円錐台形状の下部アダプタ85とが一体に形成された構成となっている。上部アダプタ84と下部アダプタ85とは、平面視において同心円状に配置されている。また、略円錐台形状を有する下部アダプタ85の下底の径は重合ウェハWTと同一の径を有し、下部アダプタ85の上底は上部アダプタの径よりも大きい径を有し、これにより、押圧用アダプタ1は中間部としてのくびれ部86を有する形状となっている。
押圧用アダプタ1の形状について詳述する。既述のように、本発明者らによれば図22に示される略円錐台形状のアダプタ301を台形の上底を下方に向けて配置し、ウェハWよりも大きな径を有する押圧部材302により、ウェハWと異なる径を有するアダプタ301を介して押圧した場合においても、依然として重合ウェハWTの周縁部に荷重が集中することが確認されている。この点について本発明らが検証を行ったところ、アダプタ301を用いて重合ウェハWTを押圧すると、アダプタ301の外周縁部に、例えば図8に示すような応力F1が掛かることでアダプタ301に撓みが生じ、それによりアダプタ301の中心付近においては上向の応力F2が、アダプタ301の外周縁部においては下向きの応力F3が集中し、重合ウェハWTを押圧するに際し面内均一な荷重を得ることができないことが分かった。
この点について本発明者らは、アダプタ301と同様に略円錐台形状のアダプタを用いた場合であっても、例えば図9に示すように、略円錐台形状のアダプタ310を、上底を上方に向けて配置すれば、当該アダプタ310に作用する応力F4はアダプタ310の下底に分散され、アダプタ310の外周縁部に応力が集中することを避けることができることを確認した。しかしながら、アダプタ310とアダプタ301とを比較した場合、アダプタ310の上底の面積はアダプタ301よりも小さいため、アダプタ310により所定の押圧荷重を得るためには、アダプタ301を用いる場合よりもベローズ300に供給する加圧用空気の圧力を高める必要があり、空気源設備の面で問題がある。
そこで本発明者らは、押圧用のベローズとアダプタとの接触面積を大きくしつつ、押圧する際に面内均一な荷重を得ることができる形状として、略円盤状の上部アダプタ84と略円錐台形状の下部アダプタ85とを一体で形成し、上部アダプタ84と下部アダプタ85との間に中間部としてのくびれ部86を設けた押圧用アダプタ1のような形状が有効であると考えた。そして、上部アダプタ84及び下部アダプタ85の寸法を夫々変更して、重合ウェハWTの押圧を行った結果、重合ウェハWTの径とくびれ部86の径との比が、0.7:1〜1:1であれば重合ウェハWTの押圧が良好に行えることが試験により確認された。
以下に、本発明者らが実施した試験について述べる。押圧用アダプタ1を用いて重合ウェハWTの接合を行うにあたり、押圧用アダプタ1を構成する材料の弾性率、並びに上部アダプタ84の径、下部アダプタ85の径及び重合ウェハWTの径を変化させ、重合ウェハWTの面内に作用する荷重について確認試験を行った。この際、第1の熱処理板40及び上部加熱手段41における加熱温度は350℃、後述する第2の熱処理板90における加熱温度は430℃とした。なお、上部加熱手段41としては、ハロゲンヒータを用いた。
押圧用アダプタ1の形状は、上部アダプタ84の径を350mm、重合ウェハWTの径及び下部アダプタ85の下底の径を200mm、押圧用アダプタ1の高さ、換言すれば上部アダプタ84の上面から下部アダプタ85の下底までの距離を35mmとし、下部アダプタ85の下底からくびれ部86までの高さ、換言すれば下部アダプタ85の下底から上底からまでの距離は19mmとした。また、押圧用アダプタ1の材質は、それぞれ弾性率が200GPaのステンレス、弾性率が410GPaの窒化珪素(SiC)、弾性率が620GPaの超硬合金とし、それぞれの材質により形成された押圧用アダプタ1においてくびれ部86の径Xを100mm〜200mmの間で変化させた場合に、重合ウェハWTの面内にかかる応力の最大値と最小値との差、即ち最大応力差を確認した。その結果を図10に示す。
図10は、くびれ部86の径Xをくびれ量として横軸に表し、最大応力差を縦軸とし、弾性率が異なる各押圧用アダプタ1を用いて重合ウェハWTを押圧した際の最大応力差とくびれ量との関係を示したものである。図10に示すように、くびれ量を160〜180mmとした場合に、押圧用アダプタ1の弾性率によらず、各押圧用アダプタ1における最大応力差が極小となることが確認された。この結果から、押圧用アダプタ1のくびれ量には、最適な値が存在し、この最適なくびれ量は押圧用アダプタ1を形成する材料の弾性率に依存しないことがわかった。
次に、弾性率が410GPaの窒化珪素を用いた押圧用アダプタ1において、上部アダプタ84の径を350mm、下部アダプタ85の下底の径及び重合ウェハWTの径を300mmとした場合、上部アダプタ84の径を525mm、下部アダプタ85の下底の径及び重合ウェハWTの径を300mmとした場合、並びに上部アダプタ84の径を350mm、下部アダプタ85の下底の径及び重合ウェハWTの径を200mmとした場合に、各押圧用アダプタ1のくびれ量を変化させ、その際の重合ウェハWTの面内における最大応力差を確認した。にかかる応力の最大値と最小値との差、即ち最大応力差を確認した。その結果を図11に示す。
図11は、くびれ量と重合ウェハWTの径(下部アダプタ85の下底の径)との比を横軸に表し、最大応力差を縦軸として、重合ウェハWTを各押圧用アダプタ1により押圧した際の最大応力差と、くびれ量と重合ウェハWTの径との比の関係を示したものである。図11に示すように、くびれ量と重合ウェハWTの径との比を概ね0.7:1〜1:1とすることで、上部アダプタ84の径や、下部アダプタ85の下底の径の寸法によらず、各押圧用アダプタ1における最大応力差が極小となることが確認された。したがって、図10及び図11に示される結果から、押圧用アダプタ1は、当該押圧用アダプタ1を形成する材料の弾性率や上部アダプタ84の径及び下部アダプタ85の下底の径の寸法によらず、くびれ量と下部アダプタ85の下底の径との比を所定の値とすることで、重合ウェハWTの面内における最大応力差を極小とすることができることが確認された。このため、
なお、重合ウェハWTの面内における最大応力差は、15MPa以内であれば面内均一な荷重での押圧が行われているものと判断してもよい。したがって、重合ウェハWTより大きな径を有する押圧部材81を用いて、重合ウェハWTを面内均一な荷重で押圧するためには、押圧用アダプタ1のくびれ量、即ちくびれ部86の径と、下部アダプタ85の下底の径との比は、0.7:1〜1:1とすればよく、より好ましくは、0.8:1〜0.9:1であればよい。
なお、上記の試験においては、上部アダプタ84と下部アダプタ85とを一体に形成した、くびれ部86を有する押圧用アダプタ1を用いたが、押圧用アダプタ1の形状は以上の実施の形態に限定されない。押圧用アダプタ1に代えて、例えば図12に示すように、上部アダプタ84と下部アダプタ85とに間に、中間部としてのくびれ部86を形成するにあたり、円筒形状の接続部87を有す形状の押圧用アダプタ210を用いてもよく、図13に示すように、下部アダプタ85の下底の径と同一の径を有する略円盤状の円盤部88が、下部アダプタ85の底面と一体に形成された押圧用アダプタ220を用いてもよいことが本発明者らにより確認されている。また、図14に示すように、中間部87及び円盤部88の両方を有するアダプタ230を用いてもよい。いずれのアダプタを用いても、大きな面積にかかっていた均一荷重を、小さな面積に均一にかけることができる。
また、くびれ部86の形状は、鋭角や直角に形成されていたが、くびれ部86は、所定の曲率を有する球状に形成されていてもよい。アダプタ230を例にしていうと、図15に示すように、側面視において接続部87の外周部を当該接続部87の中心方向に向かって窪んだ形状とすることで、くびれ部86を半円形状に形成してもよい。かかる場合、くびれ部86に押圧荷重による応力が集中することで押圧用アダプタ1、210、220、230のくびれ部86が破損することを防止することができる。
なお、以上の押圧用アダプタは、加圧機構80の押圧部材81と別々に形成されていたが、押圧部材81と押圧用アダプタとを一体に形成してもよい。具体的には、例えば図16に示すように、押圧部材81の下面に、押圧用アダプタ1のうち下部アダプタ85の部分のみを接合するようにしてもよい。係る場合、押圧部材81に内蔵されていたヒータ81aに代えて、下部アダプタ85にヒータ85aを内蔵するようにしてもよい。下部アダプタ85にヒータ85aを内蔵した場合、ヒータ81a重合ウェハWTとの間に介在していた押圧用アダプタ1の熱容量を考慮する必要がなくなるため、より精度よく重合ウェハWTの温度制御が可能となり、また、重合ウェハWTの昇温に要する時間を短縮することができる。さらには、押圧部材81と押圧用アダプタ1とを一体に形成することで、押圧部材81と押圧用アダプタ1の接触面での熱伝達のロスも生じないため、ヒータ85aによる重合ウェハWTへの熱伝達の効率も向上する。なお、図16においては、押圧用アダプタ1と押圧部材81とを一体に形成した場合を描図しているが、当然ながら、押圧用アダプタ210、220、230と押圧部材81とを一体に形成してもよい。
次に第2の熱処理板90について説明する。図1に示すように処理容器70の内部であって加圧機構80の下方には、当該加圧機構80に対向する位置に、重合ウェハWTを載置して熱処理する載置部としての第2の熱処理板90が設けられている。第2の熱処理板90には、例えば給電により発熱するヒータ91が内蔵されている。第2の熱処理板90の材料には、例えば窒化アルミといったセラミックスが用いられる。ヒータ91は、例えば重合ウェハWTに対応する位置に内蔵された内周ヒータ92と、内周ヒータ92の外側に同心円状に設けられた、内周ヒータ92と独立して温度制御可能な外周ヒータ93とにより構成されている。内周ヒータ92及び外周ヒータ93の加熱温度は、例えば後述する制御部200により制御される。また、第2の熱処理板90の外周部には、図1に示すように搬送機構42により搬送された搬送リング60の保持部材61を収容するための切欠き溝94が形成されている。切欠き溝94は、図2に示すように第2の熱処理板90の外周部であって、搬送リング60の保持部材61に対応する位置に3箇所形成されている。
図1及び図17に示すように第2の熱処理板90は、容器本体71の内面であって当該容器本体71の底部開口78に沿って設けられた、例えば円環状の支持台95の上面によりその外周部が支持されている。したがって、第2の熱処理板90の下面は、底部開口78を介して処理容器71の外部に露出した状態となる。第2の熱処理板90の下面側、換言すれば処理容器70の外部には、重合ウェハWTを冷却する冷却機構100が設けられている。支持台95は、熱処理板90からの熱が容器本体71に伝達されることを防止するための部材であり、略円筒形状を有し、例えば断熱性を有する窒化シリコンといったセラミックスにより構成されている。支持台95の第2の熱処理板90に対向する面には、凹に窪んだ溝部101が第2の熱処理板90と同心円状に形成されている。溝部101にはシール材102が配置され、支持台95と熱処理板90との間が気密に保持されている。シール材102としては、例えば耐熱性の金属Oリングなどが用いられる。
第2の熱処理板90と支持台95の外周縁部には、図17及び図18に示すように夫々フランジ部90a、95aが形成されている。フランジ部90a及びフランジ部95aは、シール材102を押圧する方向に力が作用するように、係止部材103によって把持されている。係止部材103は、例えば図17及び図18に示すように、フランジ部90aと接触する上部係止部104と、フランジ部95aと接触する下部係止部105と、上部係止部104と下部係止部105とを連結する連結部106とを有している。連結部106は、例えばネジ山を有する雄ネジであり、上部係止部104及び下部係止部105に設けられた図示しない雌ネジと螺合することで、上部係止部104及び下部係止部105によりシール材102を押圧する方向に力を作用させ、これにより処理容器70内の気密を維持することができる。なお、上部係止部104と下部係止部105及び連結部106は、例えばステンレス等の、係止部材としての必要な強度を有し且つ弾性を有する金属材料により構成されている。連結部106に弾性を有する材料が用いられることで、第2の熱処理板90をヒータ91により加熱し、第2の熱処理板90と支持台95との間に熱膨張差が生じた際に、例えば図19に示すように、連結部106が撓むことにより係止部材103が破壊されるのを防止しつつ、第2の熱処理板90と支持台95との間の気密を保持することができる。なお、図18に示すように、上部係止部104にはフランジ部90aの上面に向かって突出した爪104aが、下部係止部105にはフランジ部95aの下面に向かって突出した爪105aが夫々設けられ、図19に示すように、連結部106が撓んだ場合においても、係止部材103が各フランジ部90a、95aから脱落するのを防止するように構成されている。
冷却機構100は、図17に示すように、熱処理板90に平行に設けられ内部が中空な略円盤状の冷却板110と、鉛直方向に延伸して設けられ冷却板110の中空部分に連通する連通管111と、冷却板110の下方に当該冷却板100に平行に設けられた冷却水流通板112を有している。冷却板110、連通管111及び冷却水流通板112は、熱伝導性に優れた、例えば銅合金などにより形成されている。
冷却板110は、熱処理板90の裏面と平行に設けられ、熱処理板90の裏面と接触することで熱処理板を冷却する接触部120と、接触部120に平行して設けられ所定の配置で貫通孔が形成された放熱部121と、接触部120と放熱部121の外周を囲う外周部122とにより構成されている。放熱部121には冷却板110の内部に連通する複数の貫通孔123が所定のパターンで形成されている。放熱部121の中心には、連通管111が連通して設けられている。また、連通管111は冷却水流通板112を挿通し且つ冷却水流通板112に対して摺動自在に設けられている。これにより、図示しない昇降機構により連通管111を上下動させることで、冷却板110を上下動させることができるように構成されている。
連通管111には冷却板110に冷媒としての空気を供給する空気源(図示せず)が接続されている。連通管111を介して冷却板110の中空部分に供給された空気は、放熱部121の貫通孔123から排出される。
放熱部121の下面には、下方に凸上に突出した突出部124が設けられている。また、外周部122も、突出部124の先端と同じ位置まで延伸して形成されており、冷却板110を下降させた際に、突出部124、外周部122及び冷却水流通板112とに囲まれた空間Sを形成することができるように構成されている。
冷却水流通板112には、図17に示すように、その内部に冷却水を流通させる冷却水路130が形成されている。冷却水路130には、冷却水源(図示せず)から供給される冷却水を冷却水路130に供給する冷却水管131が接続されている。また、冷却水流通板112には、放熱部121と同様に所定のパターンで貫通孔132が形成されており、放熱部121から排出された冷媒としての空気を冷却機構100の外部に排出することができる。したがって、冷却機構100は、連通管111を介してその内部に冷媒としての空気を供給することで、冷却板110を冷却することができ、昇降機構(図示せず)により連通管111を上昇させて冷却板110を第2の熱処理板90の下面に接触させることで、熱処理板90を冷却板110により冷却することができる。この際、冷却水流通板112の冷却水路130に冷却水を供給して冷却水流通板112を冷却することにより、貫通孔132を通過する空気を冷却し、冷却機構100の外部に高温の空気が排出されることを防止することができる。さらには、連通管111を下降させ、放熱部121の下面の突出部124と冷却水流通板112とを接触させることで、冷却板110を連通管111に供給される空気と併せて効率よく冷却することができる。
以上の接合装置10には、図1に示すように制御部200が設けられている。制御部200は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、接合装置10における重合ウェハWTの処理を制御するプログラムが格納されている。また、プログラム格納部には、上述の各種処理装置や搬送装置などの駆動系の動作を制御して、接合システム1における後述の接合処理を実現させるためのプログラムも格納されている。なお、前記プログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルデスク(MO)、メモリーカードなどのコンピュータに読み取り可能な記憶媒体Hに記録されていたものであって、その記憶媒体Hから制御部200にインストールされたものであってもよい。
次に、以上のように構成された接合システム1を用いて行われる重合ウェハWTの接合処理方法について説明する。図20は、かかるウェハ接合処理の主な工程の例を示すフローチャートであり、図21は、接合装置10の各機器の動作状態を示すタイムチャートである。図21は、接合装置10における重合ウェハWTの加熱温度、加圧機構80の加圧ベローズ83内に供給する圧縮空気の圧力、換言すれば重合ウェハWTにかけられる荷重、熱処理ユニット20内の雰囲気の圧力及び接合ユニット21内の雰囲気の圧力の経時変化を示している。
まず、外部のアライメント装置(図示せず)において上ウェハWUと下ウェハWLが位置調整され重ね合わされる。この際、ウェハWU、WLの一方又は双方にはこれらを重ね合わせる前に予め接着剤2が塗布され、重ね合わせ時に接着することで仮接合され、重合ウェハWT1が形成される(図20の工程S1)。
その後、重合ウェハWT1は、ウェハ搬送装置(図示せず)によって接合装置10に搬送される。
接合装置10では、先ず、熱処理ユニット20のゲートバルブ32を開き、ウェハ搬送装置(図示せず)によって重合ウェハWT1が第1の熱処理板40の上方に搬入される。続いて昇降ピン53を上昇させ、重合ウェハWT1を図示しないウェハ搬送装置から昇降ピン53に受け渡した後、昇降ピン53を下降させ、第1の熱処理板40に予め載置されていた搬送リング60の上面に重合ウェハWT1を載置する。その後、ゲートバルブ32を閉じ、真空ポンプ35によって処理容器30の内部の雰囲気が減圧される。その後、第1の熱処理板40によって重合ウェハWT1が第1の温度、例えば350℃まで加熱される(図20及び図21の工程S2)。このとき、重合ウェハWT1の接合部JU、JL同士を均一に加熱するため、所定の加熱速度、例えば10〜50℃/分の加熱速度で加熱される。この際、第1の熱処理板40による加熱と並行して、上部加熱手段41による加熱も行われる。これにより、重合ウェハWT1における上ウェハWUと下ウェハWLとの間に温度差が生じないように加熱が行われる。また、熱処理ユニット20内の圧力は、所定の真空度、例えば10Paにまで減圧される。
重合ウェハWT1が第1の温度まで加熱されると、ゲートバルブ22を開く。続いて、搬送機構42によって第1の熱処理板40に搬送リング60と共に載置された重合ウェハWT1を接合ユニット21に移動させ、重合ウェハWT1が搬送リング60と共に第2の熱処理板90に載置される。重合ウェハWT1が搬送リング60と共に第2の熱処理板90に載置されると、搬送機構42が接合ユニット21から熱処理ユニット20に退避し、ゲートバルブ22が閉じられる。
その後、第2の熱処理板90によって重合ウェハWT1が第2の温度、例えば430℃まで加熱される。重合ウェハWT1は、例えば10〜50℃/分の加熱速度で加熱される。なお、処理容器70の内部の雰囲気は、ゲートバルブ22が閉じられた後に所定の真空度、例えば0.001Paのまで減圧され、その真空度に維持されている。この際、処理容器70の内部が負圧となることで、例えば天板70にかかる圧力と処理容器70の内部の圧力との差により天板70に対して下向きの力が作用する。これによりシールドベローズ73が縮み、押圧用アダプタ1と重合ウェハWT1とが所定の距離まで接近する。また、図21に示すように、加圧機構80、即ち加圧ベローズ83内への圧縮空気の供給前であって処理容器70内の圧力が減圧されている状態においては、加圧機構80内部の圧力も所定の圧力に減圧された状態で維持される。加圧機構80内部の圧力と処理容器70との圧力差により、意図しないタイミングで重合ウェハWT1に荷重がかかることを避けるためである。
その後、重合ウェハWT1の温度を第2の温度に維持しながら、加圧機構80に圧縮空気を供給し、押圧部材81を下降させる。これにより、押圧部材81の下面に接続された押圧用アダプタ1の下部アダプタ85を重合ウェハWT1に当接させ、当該重合ウェハWTを所定の荷重、例えば50kNで第2の熱処理板90側に押圧する。そして、重合ウェハWT1が所定の時間、例えば10分間押圧され、重合ウェハWT1が接合される(図20及び図21の工程S3)。この際、処理容器内の雰囲気が負圧となっているため、接合部JU、JL間の雰囲気が吸引され、接合部JU、JL間にボイドが生じることなく接合が行われる。なお、重合ウェハWT1の温度は、例えば押圧部材81内のヒータや冷却機構100をさらに用いて第2の温度に維持してもよい。また、加圧ベローズ83内に供給する圧縮空気の量を調整することで押圧部材81の温度を調整し、重合ウェハWT1の上ウェハWUと下ウェハWLの温度を同期させるようにしてもよい。
接合ユニット21での重合ウェハWT1の接合と並行して、熱処理ユニット20には新たな重合ウェハWT2がウェハ搬送装置(図示せず)により搬入され、第1の熱処理板40上に載置される。なお、重合ウェハWT2の熱処理ユニット20への搬入にあたっては、熱処理板40と重合ウェハWT2との温度差を小さくするため、熱処理板40の温度は例えば150℃まで冷却されている。第1の熱処理板40上に載置されると、第1の熱処理板40及び上部加熱手段41によって重合ウェハWT2が第1の温度、例えば350℃まで加熱される(図20及び図21の工程T1)。
その後、重合ウェハWT1は第2の熱処理板90に載置された状態で例えば第1の温度である350℃まで冷却される。重合ウェハWT1は、接合部JU、JLの強度や物性が変わるのを防止するため、所定の冷却速度、例えば10〜50℃/分の冷却速度で冷却される。重合ウェハWT1の冷却は、冷却機構100の冷却板110を上昇させ、当該冷却板110を第2の熱処理板90の下面に接触させることにより行われる。
重合ウェハWT1が350℃まで冷却されると、先ず、第2の熱処理板90に載置されて350℃まで加熱された重合ウェハWT2が上部搬送機構42aにより保持される。次いで、ゲートバブル22を開き、下部搬送機構42bにより接合が終了した重合ウェハWT1を搬送リング60と共に第2の熱処理板90から熱処理ユニット20に搬送する。続いて、ゲートバルブ22を開いた状態を維持し、上部搬送機構42aに保持されている重合ウェハWT2を接合ユニット21に搬送し、第2の熱処理板90に保持リング60ごと載置する。次いで、上部搬送機構42aが熱処理ユニット20に退避し、ゲートバルブ22が閉じられる。その後、第2の熱処理板90によって重合ウェハWT2が第2の温度である430℃まで加熱され、押圧部材80及び押圧用アダプタ1により重合ウェハWT2が押圧され接合される(図20及び図21の工程T2)。重合ウェハWT2の押圧と並行して、熱処理ユニット20では、上部搬送機構42aに保持されている重合ウェハWT1が第1の熱処理板40に保持リング60ごと載置される。
接合ユニット21において重合ウェハWT2の接合が行われている間に、接合ユニット21において接合を終えて第1の熱処理板40に載置された状態の重合ウェハWT1は、第1の熱処理板40により第3の温度、例えば150℃まで冷却される(図20及び図21の工程S4)。このとき、第1の熱処理板40の冷媒流路44には、乾燥空気に霧化した水を混合したものが供給される。
その後、熱処理ユニット20内の圧力を大気圧まで開放し、昇降ピン53を上昇させ、第1の熱処理板40から昇降ピン53に重合ウェハWTが受け渡される。続いて、ゲートバルブ32を開き、重合ウェハWT1が昇降ピン53からウェハ搬送装置(図示せず)に受け渡され、接合装置10から重合ウェハWT1が搬出される。
熱処理ユニット20から重合ウェハWT1が搬出されると、引き続きゲートバルブ32を開いた状態で新たな重合ウェハWT3が昇降ピン53に受け渡され、次いで第1の熱処理板40に載置される。そして、第1の熱処理板40及び上部加熱手段41によって重合ウェハWT3が第1の温度である350℃まで加熱される(図20及び図21の工程U1)。
そして、接合ユニット21における重合ウェハWT2の接合が終了すると、重合ウェハWT2は重合ウェハWT1と同様に第2の熱処理板90に載置された状態で350℃まで冷却される。次いで、第2の熱処理板90に載置されて350℃まで加熱された重合ウェハWT3が上部搬送機構42aにより保持される。その後、ゲートバブル22を開き、重合ウェハWT2が下部搬送機構42bにより接合ユニット21から搬出される。続いて、ゲートバルブ22を開いた状態を維持し、上部搬送機構42aに保持された重合ウェハWT3が接合ユニット21内に搬入され、第2の熱処理板90上に載置される。接合ユニット21の第2の熱処理板90に重合ウェハWT3が載置されると、上部搬送機構42aが熱処理ユニット20に退避し、ゲートバルブ22が閉じられる。その後、当該重合ウェハWT3が押圧用アダプタ1により押圧され接合される(図20及び図21の工程U2)。
接合ユニット21において重合ウェハWT3の接合が行われている間に、第1の熱処理板40に載置された状態の重合ウェハWT2は、第1の熱処理板40により第3の温度、例えば150℃まで冷却される(図20及び図21の工程T3)。次いで、熱処理ユニット20内の圧力を大気圧まで開放し、昇降ピン53を上昇させ、第1の熱処理板40から昇降ピン53に重合ウェハWT2が受け渡され、続いて、ゲートバルブ32を開き、重合ウェハWT2が昇降ピン53からウェハ搬送装置(図示せず)に受け渡され、接合装置10から重合ウェハWT1が搬出される。その後、引き続きゲートバルブ32を開いた状態で新たな重合ウェハWT4が昇降ピン53に受け渡され、次いで第1の熱処理板40に載置される。こうして、一連の重合ウェハWTの接合処理が引き続き行われ、一の接合装置10において、複数の重合ウェハWTに対する処理が並行して行われる。
以上の実施の形態によれば、重合ウェハWTより大きい径を有する押圧部材81を備えた接合装置10により重合ウェハWTの接合を行うに際して、重合ウェハWTより大きい径を有する略円盤状の上部アダプタ84と、重合ウェハWTと同一の径を有する下部アダプタ85とが一体に形成された押圧用アダプタ1を用いて、重合ウェハWTを押圧するので、大きな面積、即ち上部アダプタ84の上面にかかっていた均一荷重を、小さな面積、即ち下部アダプタ85の下面に均一にかけることができる。したがって、重合ウェハWTより大きな径を有する押圧部材81を用いて、重合ウェハWTを面内均一な荷重で押圧することができる。
以上の実施の形態では、接合部JU、JLにそれぞれアルミニウムとゲルマニウムが用いられていたが、他の金属を用いた場合にも本発明を適用することができる。かかる場合、接合部JU、JLに用いられる金属の種類に応じて、接合ユニット21における処理条件、例えば重合ウェハWTの加熱温度や押圧荷重などが決定される。また、以上の実施の形態では、ウェハWU、WLに金属の接合部JU、JLが設けられていたが、基板自体が金属の場合にも本発明を適用することができる。さらに、基板がウェハ以外のFPD(フラットパネルディスプレイ)、フォトマスク用のマスクレチクルなどの他の基板である場合にも本発明を適用することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は、金属の接合部を有する基板同士を接合する際に有用である。
1 押圧用アダプタ
10 接合装置
20 熱処理ユニット
21 接合ユニット
22 ゲートバルブ
30 処理容器
35 真空ポンプ
40 第1の熱処理板
41 上部加熱手段
42 搬送機構
43 ヒータ
44 冷媒流路
45 冷媒供給管
46 冷媒排出管
47 空気源
48 冷却水源
49 ミキサー
50 熱交換器
51 循環配管
52 冷凍機
53 昇降ピン
54 貫通孔
55 保持部
60 搬送リング
61 保持部材
62 突出部
70 処理容器
71 容器本体
72 天板
73 シールドベローズ
74 搬入出口
75 吸気口
76 真空ポンプ
77 吸気管
78 底部開口
80 加圧機構
81 押圧部材
81a ヒータ
82 支持部材
83 加圧ベローズ
83a 空気供給管
83b 空気排出管
83c 冷却ジャケット
84 上部アダプタ
85 下部アダプタ
86 くびれ部
87 中間部
88 円盤部
90 第2の熱処理板
95 支持台
100 冷却機構
101 溝部
102 シール材
103 係止部材
104 上部係止部材
105 下部係止部材
106 連結部
110 冷却板
111 連通管
112 冷却水流通板
120 接触部
121 放熱部
122 外周部
123 貫通孔
124 突出部
130 冷却水路
131 冷却水管
200 制御部
JU、JL 接合部
WU 上ウェハ
WL 下ウェハ
WT 重合ウェハ
10 接合装置
20 熱処理ユニット
21 接合ユニット
22 ゲートバルブ
30 処理容器
35 真空ポンプ
40 第1の熱処理板
41 上部加熱手段
42 搬送機構
43 ヒータ
44 冷媒流路
45 冷媒供給管
46 冷媒排出管
47 空気源
48 冷却水源
49 ミキサー
50 熱交換器
51 循環配管
52 冷凍機
53 昇降ピン
54 貫通孔
55 保持部
60 搬送リング
61 保持部材
62 突出部
70 処理容器
71 容器本体
72 天板
73 シールドベローズ
74 搬入出口
75 吸気口
76 真空ポンプ
77 吸気管
78 底部開口
80 加圧機構
81 押圧部材
81a ヒータ
82 支持部材
83 加圧ベローズ
83a 空気供給管
83b 空気排出管
83c 冷却ジャケット
84 上部アダプタ
85 下部アダプタ
86 くびれ部
87 中間部
88 円盤部
90 第2の熱処理板
95 支持台
100 冷却機構
101 溝部
102 シール材
103 係止部材
104 上部係止部材
105 下部係止部材
106 連結部
110 冷却板
111 連通管
112 冷却水流通板
120 接触部
121 放熱部
122 外周部
123 貫通孔
124 突出部
130 冷却水路
131 冷却水管
200 制御部
JU、JL 接合部
WU 上ウェハ
WL 下ウェハ
WT 重合ウェハ
Claims (5)
- 2つの基板同士を圧接して接合する際に前記基板を載置する載置部と、前記載置部に対向して設けられ前記基板を前記載置部側に押圧する、前記基板より大きい径を有する押圧部材との間に配置するアダプタであって、
前記アダプタは、前記基板と同一の径を有する略円錐台形状の下部アダプタと、前記基板よりも大きな径を有する略円盤状の上部アダプタとを有し、
前記下部アダプタ及び前記上部アダプタは、平面視において同心円状に配置され、且つ一体に形成され、
前記略円錐状の下部アダプタの上底の径は、前記上部アダプタの径より小さいことを特徴とする、押圧用アダプタ。 - 前記下部アダプタの底面には、前記下部アダプタの下底の径と同一の径を有する略円盤状の円盤部が前記下部アダプタと一体に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の押圧用アダプタ。
- 前記下部アダプタと前記上部アダプタとの間には、当該下部アダプタと上部アダプタと一体に形成された円筒形状の中間部を有し、
前記中間部の径は、前記下部アダプタの上底の径と同じか又は小さいことを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載の押圧用アダプタ。 - 前記中間部と前記上部アダプタとの接続部は、所定の曲率を有する球状に形成されていることを特徴とする、請求項3に記載の押圧用アダプタ。
- 前記中間部の径と前記ウェハの径との比は、0.8:1〜0.9:1であることを特徴とする、請求項3または4のいずれかに記載の押圧用アダプタ。
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Citations (4)
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-
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