JP2012089593A - 赤外線通信用光学物品及び赤外線通信用受光部 - Google Patents

赤外線通信用光学物品及び赤外線通信用受光部 Download PDF

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Abstract

【課題】赤外線の通信帯の波長域のみを特異的に多く透過させることができ、なおかつ可視光域の光を散乱反射させて目視において白色を呈する赤外線通信用光学物品及び赤外線通信用受光部を提供すること。
【解決手段】携帯型情報端末のケース本体11には赤外線通信及び赤外線制御用のポート12が設けられている。ケース本体11内部にはポート12に面して発光素子や受光素子等からなる受光ユニット14が配設されている。ポート12には赤外線通信用受光部13が装着されている。受光部13内に受光部13とは屈折率の異なる微粒子を均一に分散させその微粒子に可視光域の光を散乱反射させて白色を発色させると同時に、受光部13内に可視光域に透過率の特異的に低い帯域を有する薄膜粒子を均一に分散させこの薄膜粒子によって可視光域の光の透過を抑制するようにする。
【選択図】図1

Description

本発明は各種電子機器の赤外線通信及び制御用ポートに用いられる赤外線通信用光学物品及び同光学物品を使用した赤外線通信用受光部に関するものである。
赤外線を使った赤外線通信方式は、パソコン、PDA(Personal Digital Assistant)や電子手帳等の携帯型情報端末、デジタルカメラ、携帯電話等の各種の電子機器において一般的に使用されている。赤外線通信方式可能な機器は所定の(例えばIrDA規格等)赤外線通信ポートが搭載されている。このような赤外線通信ポートの窓部には可視光線にも感度を有する受光素子の外乱光による誤動作を防止する目的と、機器内部が見えないようにするために赤外線通信用受光部として赤外線のみが透過する暗色のプラスチックプレートが配設されるようになっている。
しかし、このようなプレートを用いた赤外線通信用受光部では、外観の色が黒いために、電子機器の意匠上、機器全体と或いは組み合せる部品とそぐわない場合があり、意匠設計上の制約になるという問題があった。赤外線通信用受光部の外観を任意の色に彩色することは、基体である透明プラスチックへの着色剤の添加や塗装などによって原理的には可能であるが、赤外域の透過性を保持しつつ、外観色を多種の色調に調整するのは極めて困難である。
そのため、出願人は特許文献1に開示するような基体上に赤外線を透過させる誘電体多層膜を有する赤外線通信用受光部を開発した。このような赤外線通信用受光部では赤外線の透過性を維持しながら誘電体多層膜を使用して様々な外観色を設計することができるため、意匠設計上の自由度を拡大した電子機器を提供することができるようになった。
特開2006−165493号公報 特開2010−72616号公報
しかし、特許文献1のような誘電体多層膜を使用した赤外線通信用受光部では暗色のプラスチックプレートを使用していた従来に較べれば格段に意匠設計上の自由度がアップしたものの、誘電体多層膜で発色させる場合にはどうしても金属色が伴うこととなるため、例えば、機器の筐体の色として比較的多い白色系(もちろん、必ずしも白色系に限るものではないが)には必ずしもこの特許文献1のような受光部でもデザインとしてそぐわない場合があった。そのため、特に白色の赤外線通信用受光部が更なるデザイン上の自由度の要請から求められていた。
そのため出願人は特許文献2に開示するように可視光域の光を透明基材(バインダー樹脂)中に微粒子を分散させたり透明基材の表面を粗面化することで散乱反射させて曇化させ、同時に長波長側の透過率を高く設定することで、白色を呈し赤外線の通信帯の波長域を多く透過させることのできる赤外線通信用受光部を開発した。
しかし、特許文献2の技術では可視光域の光を散乱反射させて曇化させた場合に赤外光を透過させることを重視するあまり、可視光を抑制しきれずに装置内部が目視されてしまうようなケースもあったため、装置内部が目視されないように可視光の透過を確実に抑制しながら赤外光側を十分透過させられる、白色を呈する赤外線通信用受光部を提供する技術が求められていた。
本発明は、上記各課題を解消するためになされたものであり、その目的は、赤外線の通信帯の波長域のみを特異的に多く透過させることができ、なおかつ可視光域の光を散乱反射させて目視において白色を呈する赤外線通信用光学物品及び赤外線通信用受光部を提供することにある。
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明では、透明基材内に同透明基材とは屈折率の異なる微粒子を均一に分散させ同微粒子に可視光域の光を散乱反射させて白色を発色させるようにするとともに、前記透明基材内に可視光域に透過率の特異的に低い帯域を有する薄膜粒子を均一に分散させ同薄膜粒子によって可視光域の光の透過を抑制するようにしたことをその要旨とする。
また、請求項2に記載の発明では、第1の透明基材内に同第1の透明基材とは屈折率の異なる微粒子を均一に分散させ同微粒子に可視光域の光を散乱反射させて白色を発色させるようにするとともに、前記第1の透明基材内又は同第1の透明基材に融着させた透明な第2の透明基材内に可視光域に透過率の特異的に低い帯域を有する薄膜粒子を均一に分散させ同薄膜粒子によって可視光域の光の透過を抑制するようにしたことをその要旨とする。
また、請求項3に記載の発明では請求項1又は2に記載の発明において、前記微粒子は長波長側の光の透過率が高くなるような波長依存性を有するように平均粒径が設定されていることをその要旨とする。
また、請求項4に記載の発明では請求項3に記載の発明において、一部あるいは全部の前記微粒子の径Dを下記式で示される大きさとしたことをその要旨とする。
Figure 2012089593
また、請求項5に記載の発明では請求項3に記載の発明において、一部あるいは全部の前記微粒子の径Dを下記式で示される大きさとしたことをその要旨とする。
Figure 2012089593
また、請求項6に記載の発明では、透明基材の外面を粗面処理することで微細凹凸形状を形成し白色の散乱層を同透明基材表面に形成させるとともに、前記透明基材内に可視光域に透過率の特異的に低い帯域を有する薄膜粒子を均一に分散させ同薄膜粒子によって可視光域の光の透過を抑制するようにしたことをその要旨とする。
また、請求項7に記載の発明では、第1の透明基材の外面を粗面処理することで微細凹凸形状を形成し白色の散乱層を同透明基材表面に形成させるとともに、前記第1の透明基材内又は同第1の透明基材に融着させた透明な第2の透明基材内に可視光域に透過率の特異的に低い帯域を有する薄膜粒子を均一に分散させ同薄膜粒子によって可視光域の光の透過を抑制するようにしたことをその要旨とする。
また、請求項8に記載の発明では請求項6又は7に記載の発明において、前記微細凹凸形状は長波長側の光の透過率が高くなるような波長依存性を有するように平均凹凸径が設定されていることをその要旨とする。
また、請求項9に記載の発明では請求項8に記載の発明において、一部あるいは全部の前記微細凹凸形状の径Dを上記数1で示される大きさとしたことをその要旨とする。
また、請求項10に記載の発明では請求項8に記載の発明において、一部あるいは全部の前記微細凹凸形状の径Dを上記数2で示される大きさとしたことをその要旨とする。
このような構成では、赤外線通信用光学物品は第1の透明基材の均一に分散された微粒子あるいは粗面処理によって微細凹凸形状によって形成された散乱層による可視光域の光の散乱反射によって白色の外観を呈するようにすることが可能となる。そして、透明基材(第1又は第2の透明基材)中に薄膜粒子を均一に分散させることで薄膜粒子によって可視光域の光の透過を抑制する。これによって、赤外線の透過を赤外線通信可能な程度に許容しながら、微粒子の散乱反射による曇化が十分でない場合であっても装置内部が目視されないような赤外線通信用光学物品を提供することが可能となる。
尚、「白色」という場合には可視光の波長が散乱して曇化した状態をいうが、透明基材中に微粒子が分散している場合では極めて微粒子化した場合の波長依存性によってすべての可視光が均一に散乱するわけではなく、若干の彩度を有する場合もある。
ここで、請求項2及び7の「薄膜粒子を第1の透明基材内又は第1の透明基材に融着させた透明な第2の透明基材内のいずれかに分散させる」とは、曇化させた透明基材と薄膜粒子が分散された透明基材とが同じでも別体でもよいことを意味している。別体であっても融着させることで一体化させて透過光の光学特性を同じにすることが可能だからである。
ここに、分散される微粒子は長波長側の光の透過率が高くなるような波長依存性を有するように微粒子の平均粒径を設定することが好ましい。赤外線の通信帯の波長域における透過率は12%以上である。これによって、赤外線の透過性能が高く、可視光の透過性能が低いという赤外線通信用に好適な光学物品を提供することができる。
ここに「赤外線通信用光学物品」とは透明基材に微粒子が均一に分散されている、あるいは第1の透明基材の表面に粗面処理によって微細凹凸形状を形成し白色の散乱層を基板表面に形成させた赤外線通信ポート位置に使用される少なくとも赤外線の通信帯の波長域の光を透過させるために成形加工された物品を広くいうものであって、可撓性の有無、厚さ、形状、素材は問われるものではない。
ここに「粗面処理」とは例えばサンドブラスト、プラズマ処理、薬品処理あるいは金型で成型品を作る際の金型面を粗面にする等の手段によって実行可能である。
ここに、サンドブラストは高圧の微粒子を透明基材の表面に吹き付けて粗面にするものである。プラズマ処理は真空に排気した処理室に、処理ガスを導入し、処理室内に設けた電極に高周波電圧を印加してプラズマを発生させ処理を行うものである。ここではプラズマにより発生した処理用ガスのイオンやラジカルにより透明基材の表面をエッチングして粗面にするものである。薬品処理とは例えば有機溶媒によるプラスチックの溶解処理が挙げられる。
また、長波長側の光の透過率が高くなるような微粒子の波長依存性は数1の式にあてはまる粒径において格段に高くなる。これは数1の式にあてはまる粒径はレイリー散乱となっているためであり、このような粒径の微粒子は特に赤外線通信用光学物品おける微粒子の粒径として好適である。また、数2の式にあてはまる粒径では数1の式の場合よりも若干粒径が大きくなるものの微粒子の波長依存性は高いため赤外線通信用光学物品おける好適であるといえる。
散乱における波長と粒子径の関係は一般に以下の数式で示すことができる。
Figure 2012089593
この数式において、a<0.4であればレイリー散乱の適用される領域となり、0.4<a<3はミー散乱、a>3は回析散乱の適用される領域となる。レイリー散乱では散乱量が粒子の大きさと波長によって決定されることとなる。レイリー散乱の散乱係数Ksは以下の数4の式で示される。レイリー散乱では波長によって透過率に違いがあり、相対的に長波長域での透過率は高くなる傾向にある。
一方、ミー散乱や回析散乱のような大きな粒子サイズの散乱では波長に関わらず前方への指向性が強くなってしまい波長による散乱特異性は小さくなるため、透過率を調整することは困難である。
Figure 2012089593
従って、異なる粒子径の配合割合や粒子の種類と適宜変更することで少なくとも赤外線の通信帯の波長をレイリー散乱させることでこの波長域に所定の透過性を与え、可視光域の波長を相対的に大きく散乱させるようにすることが容易となり、赤外線通信用光学物品を白色を呈するようにすることが可能となる。
ここに、上記式1での粒径がちょうど赤外線の通信帯の波長においてレイリー散乱とミー散乱との境界付近のしきい値(赤外線の通信帯の波長を800〜900nmとして100nm前後)となる粒子は可視光域ではミー散乱となる粒子である。この粒子径を徐々に小さくしていけばレイリー散乱に移行する可視光波長帯が増えることとなる。また、粒子径が50nmより小さくなれば可視光〜赤外線の通信帯の波長はすべてレイリー散乱することとなる。このような散乱作用の違いを利用して赤外線の通信帯の波長における最適な透過率と赤外線通信用光学物品の色を調整することが好ましい。
尚、以下の粒子の粒径について例えば「粒子径100nm」という場合において粒子は完全な球形というものではないので、粒子径には各粒子における例えば3軸平均径等の計算で求めた平均的かつ統計的な値を意味している。同様に粒子群全体として100nm以下の径及び100nm以上の径をまったく含んでいないという意味ではなく、統計的に100nmを主体として構成されている粒径群という意味である。
上記透明基材(第1又は第2の透明基材)の材料プラスチックとしては、少なくとも赤外線波長域において実質的に透明であって、粒子の屈折率と異なるものであれば特に限定されるものではない。例えばポリエステル、ポリカーボネート、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、有機ケイ素系樹脂、フッ素系樹脂が挙げられる。より具体的には例えば、例えば多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルやフッ素系モノマーと他のモノマーとの共重合体(他のモノマーとは、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレート等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、アクリルアミド類(N−tert−ブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類、アクリロ二トリル誘導体等を挙げることができる。また、粗面処理することで白色の散乱層を透明基材(第1の透明基材)外面に形成させる場合にはガラスを使用することも可能である。
また、上記粒子としては、金属、金属酸化物、樹脂あるいは気泡等を広く使用することが可能である。これらは1種類のみを単独で使用しても複数種類を混在させても構わない。金属としては例えば、ジルコニウム、アルミニウム、タンタル、チタン、錫、インジウム等が挙げられ、金属酸化物としてはそれらの酸化物が一例として挙げられる。樹脂としては例えばシリカ・アクリル複合化合物、メタクリル化合物、メラミン・ホルムアルデヒド縮合物、 シリコーン樹脂等が挙げられる。
また、上記薄膜粒子は、一般には可視光域に透過率の特異的に低い帯域を有する光学特性の薄膜シートを裁断あるいは破砕して製造される。このような薄膜シートは数十nm〜数百μmの厚さの膜体であって、蒸着法やスパッタリング法、イオンプレーティング法等の手法で透明基材(第1又は第2の透明基材)上に成膜させることが可能である。また、プラスチックシート、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)を延伸させて 薄膜シートを形成するようにしてもよい。また、薄膜粒子は薄膜シートを裁断あるいは破砕しなくとも微細な状態で可視光域に透過率の特異的に低い帯域を有するように均質に製造できるのであれば特に製造方法は問わない。薄膜粒子の粒径は目視できる程度のごく小さな状態(0.5mm程度)から目視できないほど小さな微粒子状(数十μm)まで広く含めることが可能である。
また、薄膜粒子が可視光域に透過率の特異的に低い帯域を有するとは、可視光域全域にそのような透過率の特異的に低い帯域を有していても、ある波長に対して特異的に低い帯域を有してもよい。
上記各請求項に記載の発明によれば、赤外線の通信帯の波長域のみを特異的に多く透過させることができるとともに、目視において白色を呈する赤外線通信用光学物品及び赤外線通信用受光部を提供することができるため赤外線ポートを備えた機器の意匠設計上の自由度が拡大することとなる。更に、可視光域に透過率の特異的に低い帯域を有する薄膜粒子を均一に分散させることで、微粒子の散乱反射による曇化が十分でない場合であっても装置内部が目視されないような赤外線通信用光学物品を提供することが可能となる。
十分に赤外光を透過させながら可視光のみを抑制することが可能となり、赤外光の透過を重視するあまり可視光も透過された装置内部が目視されてしまうことが防止できる。
赤外線ポートに本発明の実施の形態である赤外線通信用受光部を配置した概略構成図。 他の実施の形態の赤外線通信用受光部の説明図。 他の実施の形態の赤外線通信用受光部の説明図。 縦軸を透過率、横軸を波長とした実施例1の受光部の透過特性を説明するグラフ。 縦軸を透過率、横軸を波長とした実施例1で使用した可視カット材の透過特性を説明するグラフ。 縦軸を透過率、横軸を波長とした可視カット材を混入しない場合の実施例1〜3の受光部の透過特性を説明するグラフ。 縦軸を透過率、横軸を波長とした実施例2の受光部の透過特性を説明するグラフ。 縦軸を透過率、横軸を波長とした実施例2で使用した可視カット材の透過特性を説明するグラフ。 縦軸を透過率、横軸を波長とした実施例3の受光部の透過特性を説明するグラフ。 縦軸を透過率、横軸を波長とした実施例3で使用した可視カット材の透過特性を説明するグラフ。 縦軸を透過率、横軸を波長とした実施例4の受光部の透過特性を説明するグラフ。 縦軸を透過率、横軸を波長とした可視カット材を混入しない場合の実施例4の受光部の透過特性を説明するグラフ。
図1に示すように、携帯型情報端末のケース本体11には赤外線通信及び赤外線制御用のポート12が設けられている。ケース本体11内部にはポート12に面して発光素子や受光素子等からなる受光ユニット14が配設されている。ポート12には赤外線通信用受光部(以下、単に受光部とする)13が装着されている。
受光部13は赤外線を透過させる透明エポキシ樹脂製の板材であって、本実施の形態では2mmの厚さとされている。受光部13内には微粒子と可視光域に透過率の特異的に低い帯域を有する薄膜粒子が均一に分散されている。微粒子はその一部あるいは全部の粒径が上記数1の式を満たし、その結果、受光部13は白色を呈するものとする。
このような受光部13では外光に対して次のような光学的な作用が生じる。
まず、外光のうち可視光は微粒子が散乱反射するため受光ユニット14の受光素子に誤作動等の影響のない程度まで可視光の透過量は減衰される。更に、薄膜粒子によって一部の可視光の透過が抑制されるため、微粒子による曇価が小さい場合にそれを補うこととなり受光部13内の受光ユニット14等が目視されることはない。
また、図2に示すように微粒子が分散された白濁基板17(第1の透明基材)と薄膜粒子が分散された薄膜粒子分散基板18(第2の透明基材)とを融着させて受光部19を構成してもよい。
更に、図3に示すように透明基板21(第1の透明基材)の外面(表面又は/及び裏面)にサンドブラスト処理をした散乱層22を形成し、これと薄膜粒子分散基板23(第2の透明基材)とを融着させて受光部24を構成してもよい。
また、その他の実施の形態として、受光部13に微粒子が分散させずにサンドブラスト処理をした散乱層をその裏面に形成させるようにしてもよい。また、これら受光部13,19,24の外側を向いた面にハードコート層のような保護層や、着色層のような他の層を形成するようにしてもよい。その他、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において変更した態様で実施することは自由である。
以下、実施例により上記実施の形態の受光部の製造方法と特性の一例の説明を説明するものであるが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
(材料)
1.基材用の主剤
Genus社製「GM−9002」A液、B液(2液硬化性エポキシ樹脂)
2.白色顔料材
ロックペイント(株)社製「PROTOUCH オパールホワイト」(白色塗料)
3.可視カット材
3M社製「CM500」(多層PETフィルム)を0.1mm角程度に裁断した薄膜粒子
(受光部用の溶液の調整)
基材用樹脂として上記A液、B液の2液硬化性エポキシ樹脂を使用した。A液を8g、B液2g秤量し、全体が均一になるようにスクリュー管内で撹拌・混合した。この混合液中に上記白色顔料材を1滴(約0.03g)滴下・混合し、更に上記可視カット材を0.2g投入し、全体が均一になるように混合して調整液を得た。
(受光部の成形)
洗浄後、離型しやすいように撥水剤を塗布した白板ガラスを2枚を2mm離して向かい合わせ、側面をテープにて固定し液漏れが起こらないようにして上記調整液を注入した。硬化の際は内容物の偏りが少なくなるように平置きにし、50℃1.5hr静置して硬化させた。
この実施例1の光学特性を図4に示す。図4は縦軸を透過率、横軸を波長とした分光透過率特性のグラフである。比較のため、可視カット材のみの光学特性を図5に、可視カット材を混入しない白色顔料材のみで成形した受光部の光学特性を図6に示す。実施例1のヘイズ(曇価)は43であった。
<実施例2>
(材料)
1.基材用の主剤
実施例1と同じ
2.白色顔料材
実施例1と同じ
3.可視カット材
3M社製「CM590」(多層PETフィルム)を0.1mm角程度に裁断した薄膜粒子
(受光部用の溶液の調整)
実施例1と同様で、可視カット材の種類のみ変更して調整した。
(受光部の成形)
実施例1と同様の操作で受光部を成形した。この実施例2の光学特性を図7に示す。図7は縦軸を透過率、横軸を波長とした分光透過率特性のグラフである。比較のため、可視カット材のみの光学特性を図8に、可視カット材を混入しない白色顔料材のみで成形した受光部の光学特性は図6である。実施例2のヘイズは45であった。
<実施例3>
(材料)
1.基材用の主剤
実施例1と同じ
2.白色顔料材
実施例1と同じ
3.可視カット材
ハードコート付PETフィルムの両面にZrO2,SiO2を交互に真空蒸着で積層(16層)し成膜させたものを0.1mm角程度に裁断した薄膜粒子
(受光部用の溶液の調整)
実施例1と同様で、可視カット材の種類のみ変更して調整した。
(受光部の成形)
実施例1と同様の操作で受光部を成形した。この実施例3の光学特性を図9に示す。図9は縦軸を透過率、横軸を波長とした分光透過率特性のグラフである。比較のため、可視カット材のみの光学特性を図10に、可視カット材を混入しない白色顔料材のみで成形した受光部の光学特性は図6である。実施例3のヘイズは41であった。
<実施例4>
(材料)
1.基材用の主剤
Genus社製「GM−9002」A液、B液(2液硬化性エポキシ樹脂)
2.基材材料
石英ガラス(厚み1mm)
3.可視カット材
実施例3と同じ
(受光部用の溶液の調整)
基材用樹脂として上記A液、B液の2液硬化性エポキシ樹脂を使用した。A液を8g、B液2g秤量し、全体が均一になるようにスクリュー管内で撹拌・混合した。ここに、上記可視カット材を0.2g投入し、全体が均一になるように混合して調整液を得た。
(受光部の成形)
石英ガラスを2枚用意し、その1枚の片側表面をサンドブラスト用研磨剤ホワイトアランダムwa#100を用いて圧力0.2〜0.3MPaで数十秒程度ブラスト処理し散乱層を形成した。洗浄後、サンドブラストを行わなかった石英ガラスについて離型しやすいように撥水剤を塗布し、サンドブラスト側が内側となるように2枚の石英ガラスを2mm離して向かい合わせ、側面をテープにて固定し液漏れが起こらないようにして上記調整液を注入した。硬化の際は内容物の偏りが少なくなるように平置きにし、50℃1.5hr静置して硬化させた。そして、サンドブラストを行わなかった石英ガラスのみを離型させた。これによって、石英ガラスの片面にエポキシ樹脂が溶着された受光部を得ることになる。
この実施例4の光学特性を図11に示す。図11は縦軸を透過率、横軸を波長とした分光透過率特性のグラフである。比較のため、散乱層を形成させた石英ガラスのみの光学特性を図12に示す。可視カット材のみの光学特性は図10である。実施例4のヘイズは75であった。
(通信性能の評価について)
市販のIrDA規格の赤外線通信方式の携帯電話を2台用意し、それぞれの赤外線ポートに同じ実施例の受光部を装着し、20cm離間させて通信可能かどうかの実験を行った。その結果、いずれも通信可能であった。
(白色発色の評価について)
上記各実施例についてのヘイズをヘイズメーターを用いて測定し、上記のような値を得た。目視においてはいずれも白濁と薄膜粒子の反射によって可視光が透過せず、十分な遮蔽能力が確認できた。
13,19,24…赤外線通信用受光部

Claims (10)

  1. 透明基材内に同透明基材とは屈折率の異なる微粒子を均一に分散させ同微粒子に可視光域の光を散乱反射させて白色を発色させるようにするとともに、前記透明基材内に可視光域に透過率の特異的に低い帯域を有する薄膜粒子を均一に分散させ同薄膜粒子によって可視光域の光の透過を抑制するようにしたことを特徴とする赤外線通信用光学物品。
  2. 第1の透明基材内に同第1の透明基材とは屈折率の異なる微粒子を均一に分散させ同微粒子に可視光域の光を散乱反射させて白色を発色させるようにするとともに、前記第1の透明基材内又は同第1の透明基材に融着させた透明な第2の透明基材内に可視光域に透過率の特異的に低い帯域を有する薄膜粒子を均一に分散させ同薄膜粒子によって可視光域の光の透過を抑制するようにしたことを特徴とする赤外線通信用光学物品。
  3. 前記微粒子は長波長側の光の透過率が高くなるような波長依存性を有するように平均粒径が設定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の赤外線通信用光学物品。
  4. 一部あるいは全部の前記微粒子の径Dを下記式で示される大きさとしたことを特徴とする請求項3に記載の赤外線通信用光学物品。
    Figure 2012089593
  5. 一部あるいは全部の前記微粒子の径Dを下記式で示される大きさとしたことを特徴とする請求項3に記載の赤外線通信用光学物品。
    Figure 2012089593
  6. 透明基材の外面を粗面処理することで微細凹凸形状を形成し白色の散乱層を同透明基材表面に形成させるとともに、前記透明基材内に可視光域に透過率の特異的に低い帯域を有する薄膜粒子を均一に分散させ同薄膜粒子によって可視光域の光の透過を抑制するようにしたことを特徴とする赤外線通信用光学物品。
  7. 第1の透明基材の外面を粗面処理することで微細凹凸形状を形成し白色の散乱層を同透明基材表面に形成させるとともに、前記第1の透明基材内又は同第1の透明基材に融着させた透明な第2の透明基材内に可視光域に透過率の特異的に低い帯域を有する薄膜粒子を均一に分散させ同薄膜粒子によって可視光域の光の透過を抑制するようにしたことを特徴とする赤外線通信用光学物品。
  8. 前記微細凹凸形状は長波長側の光の透過率が高くなるような波長依存性を有するように平均凹凸径が設定されていることを特徴とする請求項6又は7に記載の赤外線通信用光学物品。
  9. 一部あるいは全部の前記微細凹凸形状の径Dを下記式で示される大きさとしたことを特徴とする請求項8に記載の赤外線通信用光学物品。
    Figure 2012089593
  10. 一部あるいは全部の前記微細凹凸形状の径Dを下記式で示される大きさとしたことを特徴とする請求項8に記載の赤外線通信用光学物品。
    Figure 2012089593
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