JP2012089004A - オートチューニング装置及びオートチューニング方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スレーブ制御量に対して2位置制御を行い測定したリミットサイクル波形からスレーブコントローラ5のPIDパラメータを求め及びスレーブ側制御対象9を一次遅れ+むだ時間モデルで同定し、マスタ制御量に対して2位置制御を行い測定したリミットサイクル波形からマスタ側制御対象10を同定する。さらにスレーブ側をフィードバック制御したときの閉ループ伝達関数を求め、このスレーブ側閉ループ伝達関数を一次遅れ+むだ時間モデルで近似することによりマスタPIDコントローラ4のPID定数を算出する。
【選択図】図1
Description
なお、制御パラメータのオートチューニングの一手法が、例えば特許文献2、3等に開示されている。
以上の点に鑑み、本発明は、カスケード接続されたPIDコントローラの制御パラメータをオートチューニングにより求めることを目的とする。
(1)オートチューニングの実行指令に基づき、スレーブ側制御量:PVsまたはマスタ側制御量:PVmに対して2位置制御を行う2位置制御部を有する。
まず、スレーブ制御量:PVsをあらかじめ設定されたスレーブ目標値で2位置制御し、スレーブ同定部により2位置制御により生じたリミットサイクル波形からスレーブコントローラのPIDパラメータを算出する。スレーブコントローラは、PID制御だけでなくP制御が用いられることも多い。スレーブループにおいてP制御としてスレーブ目標値に対して定常偏差が生じたとしても、重要なマスタ側のコントローラに積分動作を有していれば主制御量であるマスタ制御量の定常偏差をなくすことが出来るためである。
Tm:等価時定数
Lm:等価むだ時間
マスタ制御対象の定常ゲイン:Kmは
Km=(SVm1−SVm2)/(θm1−θm2)/Ks ・・・ 式5
となる。但し、SVm1、θm1は、1回目の2位置制御の目標値とオンオフデューティ比、SVm2、θm2は、2回目の2位置制御の目標値とオンオフデューティ比であり、Ksは式1より求まるスレーブ側制御対象の定常ゲインである。
Tcm:リミットサイクル周期
Xs:スレーブ制御量:PVsのリミットサイクル波形の振幅
Xm:マスタ制御量:PVmのリミットサイクル波形の振幅
φ:スレーブ制御量:PVsとマスタ制御量:PVmのリミットサイクル波形の位相差
まず、スレーブループの閉ループ伝達関数:Gs’を算出する(図6)。スレーブ側制御対象:Gsは式2で示す一次遅れ+むだ時間で近似されているが、一般的なプロセス制御系においては純粋なむだ時間よりは高次遅れ系であることが多いことを考慮し、むだ時間項を下式にて近似する。
以上のように、マスタコントローラの制御対象を上述のプラントHの形式で表し、限界ゲインと限界周期が求まれば、Ziegler・Nicholsの調整則を適用することでマスタコントローラのPIDパラメータを求めることができる。
むだ時間を含む制御系はネガティブフィードバックを施しても、その閉ループの応答特性もむだ時間を含むものになることから、式9を
PID制御を行うマスタコントローラと、少なくともP制御を行うスレーブコントローラとがカスケード接続されたカスケード制御系において、前記マスタコントローラと前記スレーブコントローラの制御パラメータを調整するオートチューニングを行うためのオートチューニング装置であって、
オートチューニングの実行指令を受け、オートチューニングのための目標値を決定するオートチューニング管理部と、
前記オートチューニング管理部から設定された目標値に対してスレーブ側およびマスタ側制御量をそれぞれ2位置制御する2位置制御部と、
スレーブ側に対する2位置制御により発生したスレーブ側制御量のリミットサイクル波形から、前記スレーブコントローラの制御パラメータを求め、該スレーブ側制御量のリミットサイクル波形からスレーブ側制御対象を一次遅れ+むだ時間モデルで数式近似した該モデルの各パラメータを求めてスレーブ側制御対象の数式モデルを同定するスレーブ同定部と、
マスタ側に対する2位置制御により発生したマスタ側制御量のリミットサイクル波形から、マスタ制御対象を一次遅れ+むだ時間モデルで数式近似した該モデルの各パラメータを求めてマスタ側制御対象の数式モデルを同定するマスタ同定部と、
前記スレーブ同定部で求められたスレーブコントローラの制御パラメータとスレーブ側制御対象の数式モデルとに基づき、該スレーブ側制御対象と前記スレーブコントローラとのスレーブ側閉ループ伝達関数を求め、前記マスタ同定部で求められたマスタ制御対象の数式モデルに基づき、該スレーブ側閉ループ伝達関数とマスタ制御対象の数式モデルとの積を前記マスタコントローラの制御対象として、該マスタコントローラの制御パラメータを算出するマスタ制御パラメータ算出部と
を備えた前記オートチューニング装置が提供される。
PID制御を行うマスタコントローラと、少なくともP制御を行うスレーブコントローラとがカスケード接続されたカスケード制御系において、マスタコントローラとスレーブコントローラの制御パラメータを調整するオートチューニングを行うためのオートチューニング方法であって、
オートチューニングの実行指令を受け、オートチューニングのための目標値を決定し、
決定された目標値に対してスレーブ側およびマスタ側制御量をそれぞれ2位置制御し、
スレーブ側に対する2位置制御により発生したスレーブ側制御量のリミットサイクル波形から、スレーブコントローラの制御パラメータを求め、該スレーブ側制御量のリミットサイクル波形からスレーブ側制御対象を一次遅れ+むだ時間モデルで数式近似した該モデルの各パラメータを求めてスレーブ側制御対象の数式モデルを同定し、
マスタ側に対する2位置制御により発生したマスタ側制御量のリミットサイクル波形から、マスタ制御対象を一次遅れ+むだ時間モデルで数式近似した該モデルの各パラメータを求めてマスタ側制御対象の数式モデルを同定し、
求められたスレーブコントローラの制御パラメータとスレーブ側制御対象の数式モデルとに基づき、該スレーブ側制御対象とスレーブコントローラとのスレーブ側閉ループ伝達関数を求め、求められたマスタ制御対象の数式モデルに基づき、該スレーブ側閉ループ伝達関数とマスタ制御対象の数式モデルとの積をマスタコントローラの制御対象として、該マスタコントローラの制御パラメータを算出する前記オートチューニング方法が提供される。
図1は、本発明の一つの実施の形態を示す、カスケード制御システム(カスケード制御系)のブロック図である。
カスケード制御システムは、例えば、制御部1と、オートチューニング処理部(AT処理部)2と、パラメータ決定部3と、制御対象9及び10とを備える。制御対象は、スレーブ側制御対象9:Gsと、マスタ側制御対象10:Gmとして記載されている。
図2にカスケードオートチューニングの処理フロー、図3にカスケードオートチューニング時の動作を示す。図4に、スレーブ側のオートチューニングの動作を示す。図4は、図3の左端部分の拡大図である。
AT処理部2のAT管理部7がオートチューニングの実行指令を受けると、AT管理部7は切換スイッチ6をb側(AT処理部2側)に設定し、2位置制御部8は、あらかじめ設定されている目標値:SVS1に対してスレーブ制御量:PVsを2位置制御する(フローf1)。2位置制御のオンオフ切換回数はあらかじめ設定されているため、この設定回数のオンオフ切換が終了した時点で1回目のスレーブ側チューニング処理を終了する(フローf2)。図3および図4の例では、オンオフ切換回数を一例として5回としている。
なお、図3の例では、1回目のスレーブ側2位置制御により生じたリミットサイクル波形の振幅の2倍の値を減算した制御点、SVS2=SVS1−2XS1を2回目の目標値としている。
2回目のスレーブ側オートチューニングが終了すると、スレーブ同定部11は、今回の処理における2位置制御のオンオフデューティ比:θS2およびリミットサイクル波形から算出したスレーブ側制御対象の限界ゲイン:Kcsと限界周期:Tcsからスレーブ側制御対象の数式モデルを算出する(フローf8)。より具体的には、スレーブ同定部11は一次遅れ+むだ時間モデル(式2)における定常ゲインKs、等価時定数Ts、等価むだ時間Lsの各パラメータの近似値を式1および式3によりそれぞれ算出し、マスタPIDパラメータ算出部13に出力する。
2位置制御により生じたリミットサイクル波形から限界ゲインと限界周期を求める方法は、記述関数を用いた方法が知られており、例えば本実施の形態においてもこれを用いることができる。
以上の処理により、スレーブ側で2回の2位置制御を行うことでスレーブコントローラの制御パラメータと、スレーブ側制御対象の一次遅れ+むだ時間モデルの近似式における各パラメータを求めることができた。
マスタ制御量に対して規定回数のオンオフが終了すると、マスタ同定部12は、今回の処理における操作量MV及びマスタ制御量PVmに基づく2位置制御時のオンオフデューティ比:θm1を算出し、記憶する(フローf12)。また、2位置制御部8は、マスタ制御量:PVmのリミットサイクル波形の振幅:Xm1から、2回目のマスタ側2位置制御を行う目標値:SVm2を算出する(フローf13)。図3の例では、2回目の目標値:SVm2は、SVm2=SVm1−2Xm1としている。
2回目のマスタオートチューニングが終了すると、マスタ同定部12は、今回の処理における操作量MV、マスタ制御量PVm及びスレーブ制御量PVsに基づき、図5に示す2位置制御のオンオフデューティ比:θm2、リミットサイクル周期:Tcm、マスタ制御量の振幅:Xm、スレーブ制御量の振幅:Xs、スレーブ制御量とマスタ制御量の位相差:φの測定結果を求め、それらの測定結果から、マスタ側制御対象10を一次遅れ+むだ時間モデル(式4)で近似したときの定常ゲイン:Km、時定数:Tm、むだ時間:Lmを式5および式6に従い算出し、マスタPIDパラメータ算出部13に出力する(フローf16)。
スレーブコントローラを比例ゲイン:KpsのP制御とした場合、式9で示される閉ループ伝達関数:Gs’は、式17のようになる(フローf17)。
本実施の形態のカスケードオートチューニング方法は、例えば、システムが、
カスケード接続された、マスタPIDコントローラおよびスレーブPIDコントローラを具備し、
オートチューニング:ATの実行指令を受けて、ATのための操作量が制御対象に出力するように操作量の切換スイッチを操作し、また、ATを実行する目標値を決定するAT管理部と、
AT管理部から設定された目標値に対してスレーブ側およびマスタ側制御量を2位置制御する2位置制御部と、
スレーブ側に対する2位置制御により発生したリミットサイクル波形から、スレーブPIDコントローラのPIDパラメータとスレーブ側制御対象を一次遅れ+むだ時間モデルで数式近似するスレーブ同定部と、
マスタ側に対する2位置制御により発生したリミットサイクル波形から、マスタ制御対象を一次遅れ+むだ時間モデルで数式近似するマスタ同定部と、
スレーブ制御対象の数式モデルとマスタ制御対象の数式モデルからマスタPIDコントローラのPIDパラメータパラメータを算出するマスタPIDパラメータ算出部を具備し、
スレーブ側制御対象を一次遅れ+むだ時間モデルで近似する。
また、例えば、上述のカスケードオートチューニング方法で、スレーブ制御対象のむだ時間項を高次遅れ系で近似してスレーブ側閉ループ伝達関数をもとめ、求まった閉ループ伝達関数から高次遅れ系で近似したむだ時間項の抽出を行い閉ループ伝達関数を一次遅れ+むだ時間モデルで近似することを特徴とする。
2 オートチューニング処理部(AT処理部)
3 パラメータ決定部
4 マスタPIDコントローラ
5 スレーブPIDコントローラ
6 切換スイッチ
7 オートチューニング管理部(AT管理部)
8 2位置制御部
9 スレーブ側制御対象
10 マスタ側制御対象
11 スレーブ同定部
12 マスタ同定部
13 マスタPIDパラメータ算出部(マスタ制御パラメータ算出部)
Claims (5)
- PID制御を行うマスタコントローラと、少なくともP制御を行うスレーブコントローラとがカスケード接続されたカスケード制御系において、前記マスタコントローラと前記スレーブコントローラの制御パラメータを調整するオートチューニングを行うためのオートチューニング装置であって、
オートチューニングの実行指令を受け、オートチューニングのための目標値を決定するオートチューニング管理部と、
前記オートチューニング管理部から設定された目標値に対してスレーブ側およびマスタ側制御量をそれぞれ2位置制御する2位置制御部と、
スレーブ側に対する2位置制御により発生したスレーブ側制御量のリミットサイクル波形から、前記スレーブコントローラの制御パラメータを求め、該スレーブ側制御量のリミットサイクル波形からスレーブ側制御対象を一次遅れ+むだ時間モデルで数式近似した該モデルの各パラメータを求めてスレーブ側制御対象の数式モデルを同定するスレーブ同定部と、
マスタ側に対する2位置制御により発生したマスタ側制御量のリミットサイクル波形から、マスタ制御対象を一次遅れ+むだ時間モデルで数式近似した該モデルの各パラメータを求めてマスタ側制御対象の数式モデルを同定するマスタ同定部と、
前記スレーブ同定部で求められたスレーブコントローラの制御パラメータとスレーブ側制御対象の数式モデルとに基づき、該スレーブ側制御対象と前記スレーブコントローラとのスレーブ側閉ループ伝達関数を求め、前記マスタ同定部で求められたマスタ制御対象の数式モデルに基づき、該スレーブ側閉ループ伝達関数とマスタ制御対象の数式モデルとの積を前記マスタコントローラの制御対象として、該マスタコントローラの制御パラメータを算出するマスタ制御パラメータ算出部と
を備えた前記オートチューニング装置。 - 前記マスタ制御パラメータ算出部は、
スレーブ側制御対象のむだ時間項を高次遅れ系で近似してスレーブ側閉ループ伝達関数を求め、求められた閉ループ伝達関数から高次遅れ系で近似したむだ時間項の抽出を行い該スレーブ側閉ループ伝達関数を一次遅れ+むだ時間モデルでさらに近似し、
前記マスタコントローラの制御対象が、ともに一次遅れ+むだ時間モデルで近似された該スレーブ側閉ループ伝達関数とマスタ制御対象の数式モデルとの積で表されることを特徴とする請求項1に記載のカスケードオートチューニング装置。 - 前記マスタ制御パラメータ算出部は、
前記マスタコントローラの制御対象に対し、該マスタコントローラの制御対象の周波数特性からニュートン法又は他の数値解析手法を用いて限界ゲインおよび限界周期を求め、前記マスタコントローラの制御パラメータであるPIDパラメータを算出することを特徴とする請求項2に記載のカスケードオートチューニング装置。 - 制御対象への操作量を入力する接続先を切替える切換スイッチ
をさらに備え、
前記オートチューニング管理部は、
前記オートチューニングの実行指令を受けると、オートチューニングのための前記2位置制御部からの操作量が前記制御対象に出力されるように前記切換スイッチを操作し、
オートチューニングの後に、前記スレーブコントローラからの操作量が前記制御対象に出力されるように前記切換スイッチを操作する請求項1乃至3のいずれかに記載のカスケードオートチューニング装置。 - PID制御を行うマスタコントローラと、少なくともP制御を行うスレーブコントローラとがカスケード接続されたカスケード制御系において、マスタコントローラとスレーブコントローラの制御パラメータを調整するオートチューニングを行うためのオートチューニング方法であって、
オートチューニングの実行指令を受け、オートチューニングのための目標値を決定し、
決定された目標値に対してスレーブ側およびマスタ側制御量をそれぞれ2位置制御し、
スレーブ側に対する2位置制御により発生したスレーブ側制御量のリミットサイクル波形から、スレーブコントローラの制御パラメータを求め、該スレーブ側制御量のリミットサイクル波形からスレーブ側制御対象を一次遅れ+むだ時間モデルで数式近似した該モデルの各パラメータを求めてスレーブ側制御対象の数式モデルを同定し、
マスタ側に対する2位置制御により発生したマスタ側制御量のリミットサイクル波形から、マスタ制御対象を一次遅れ+むだ時間モデルで数式近似した該モデルの各パラメータを求めてマスタ側制御対象の数式モデルを同定し、
求められたスレーブコントローラの制御パラメータとスレーブ側制御対象の数式モデルとに基づき、該スレーブ側制御対象とスレーブコントローラとのスレーブ側閉ループ伝達関数を求め、求められたマスタ制御対象の数式モデルに基づき、該スレーブ側閉ループ伝達関数とマスタ制御対象の数式モデルとの積をマスタコントローラの制御対象として、該マスタコントローラの制御パラメータを算出する前記オートチューニング方法。
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