JP2018077663A - プラント制御調整装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】カスケード接続された2つのPIDコントローラに対し、少ない演算負荷で同時最適化を実現することにより、高性能な制御装置あるいはPCが不要となり、製造コストの低減及び操作者の負担の軽減をもたらすことができるプラント制御調整装置を提供する。【解決手段】第1PIDコントローラ1、第2PIDコントローラ2、第2プラント4、第1プラント3の順にカスケード接続されたシステムに接続されるプラント制御調整装置であって、操作量MV2、第2プラント4の計測値PV2、及び、第1プラント3の計測値PV1の値に基づき、前記第1PIDコントローラ及び前記第2PIDコントローラの制御パラメータを調整する最適化部16を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、プラント設備におけるプラント制御調整装置に関する。
安価なPIDコントローラとして広く用いられているループコントローラやPLC(プログラマブルロジックコントローラ)は、PIDの自動調整機能として、リミットサイクル法や限界感度法等の古典的な調整方法を行う装置構成を内蔵している。
特開平8‐233205号公報 特開2004‐171531号公報 特開2011‐197705号公報
上記調整方法は、試験信号入力を必要とするため、稼働中のPIDコントローラの調整には向いていない。そのため、稼働中のPIDコントローラを調整する場合は、高性能な上位制御装置あるいはPC等を接続し、これらの演算性能を用いて、シミュレーションによる高度な調整を行うことが多い(上記特許文献1〜3参照)。
また、2つのPIDコントローラが、2つの制御対象に対して入れ子状にループを構成する、いわゆるカスケード接続されている場合、これらを同時に最適化するとなると、演算負荷が飛躍的に大きくなり時間もかかるため、通常は外部接続されたPC等による実行に限られてしまう。
そのため、カスケード接続されたPIDコントローラの調整を安価に行う場合は、一般的に1つずつのPIDコントローラに対し個別に調整を行うことになるが、動作点のすり合わせやリミッタ動作、あるいは別の制御装置への影響の考慮をしながら、複数回にわたって行う必要があり、操作者には時間的にも専門知識や経験量の観点からも大きく負担がのしかかる。
本発明は、上記技術的課題に鑑み、カスケード接続された2つのPIDコントローラに対し、少ない演算負荷で同時最適化を実現することにより、高性能な制御装置あるいはPCが不要となり、製造コストの低減及び操作者の負担の軽減をもたらすことができる、プラント制御調整装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための第1の発明に係るプラント制御調整装置は、
第1PIDコントローラ、第2PIDコントローラ、第2プラント、第1プラントの順にカスケード接続されたシステムに接続されるプラント制御調整装置であって、
前記第2PIDコントローラから出力される操作量MV2、前記第2プラントの計測値PV2、及び、前記第1プラントの計測値PV1の値に基づき、前記第1PIDコントローラ及び前記第2PIDコントローラの制御パラメータを調整する最適化部を備える
ことを特徴とする。
上記課題を解決するための第2の発明に係るプラント制御調整装置は、
上記第1の発明に係るプラント制御調整装置において、
前記最適化部は、
前記第1PIDコントローラから出力される目標値MV1のピーク値と前記操作量MV2のピーク値との比に基づいて、前記第1PIDコントローラ及び前記第2PIDコントローラの制御パラメータを調整する
ことを特徴とする。
上記課題を解決するための第3の発明に係るプラント制御調整装置は、
上記第2の発明に係るプラント制御調整装置において、
前記最適化部は、
前記第1PIDコントローラと前記第2PIDコントローラのそれぞれ設定可能な範囲を、探索範囲の上下限である上下限範囲としてそれぞれ設定し、該上下限範囲内に、重点的にパラメータ探索を行う重点探索範囲を設け、該重点探索範囲内にランダムに複数の解を配置する条件設定部と、
前記第1PIDコントローラに対して、前記重点探索範囲内のある解において、前記計測値PV1とその目標応答PV1tとの残差平方和、及び、前記計測値PV2とその目標応答PV2tとの残差平方和の和である、残差平方和errを求め、下記式によりペナルティ評価点penalty2を算出し、前記残差平方和errに該ペナルティ評価点penalty2を加算した値を評価値scoreとし、配置された前記解の全ての前記評価値scoreが最も低い前記解を最良の解とする評価部と、
前記最良の解の移動を行う探索部とを備え、
前記評価部は、
移動した後の前記最良の解と移動する前の前記最良の解とを比較し、前記評価値scoreが低い方に更新し、同様に複数回更新された前記最良の解を最適解とする
ことを特徴とする。
Figure 2018077663
ただし、
MV1peak:前記目標値MV1のピーク値
MV2peak:前記操作量MV2のピーク値
MVR:目標となる前記操作量MV2のピーク値/前記目標値MV1のピーク値
とする。
上記課題を解決するための第4の発明に係るプラント制御調整装置は、
上記第3の発明に係るプラント制御調整装置において、
前記条件設定部は、
さらに、前記目標値MV1のピーク値及び前記操作量MV2のピーク値に乗算されるMV係数、前記操作量MV2と前記計測値PV2との位相余裕、前記計測値PV1及び前記計測値PV2のオーバーシュート上限値、前記計測値PV1及び前記計測値PV2の終点誤差係数を設定し、
前記評価部は、
前記ペナルティ評価点penalty2とともに、下記式によりペナルティ評価点penalty1を算出し、前記残差平方和errに該ペナルティ評価点penalty1及び該ペナルティ評価点penalty2を加算した値を前記評価値scoreとし、配置された前記解の全ての前記評価値scoreが最も低い前記解を最良の解とする
ことを特徴とする。
Figure 2018077663
ただし、
f(PVpeak,Phmargin):前記計測値PV1及び前記計測値PV2がそれぞれ前記オーバーシュート上限値を上回っておらず、かつ、前記位相余裕が位相余裕確保目標値よりも大きい場合は0、それ以外は1となる論理関数
MV・MVpeak:前記目標値MV1のピーク値に前記MV係数KMV1を乗じた項、前記操作量MV2のピーク値に前記MV係数KMV2を乗じた項、あるいは、前記目標値MV1のピーク値に前記MV係数KMV1を乗じた値と前記操作量MV2のピーク値に前記MV係数KMV2を乗じた値とを加算した項
end:前記終点誤差係数
PVend:前記計測値PV1の制御の終点値
とする。
上記課題を解決するための第5の発明に係るプラント制御調整装置は、
上記第4の発明に係るプラント制御調整装置において、
前記探索部は、
前記最良の解の移動を行った際に、移動した前記最良の解が、前記上下限範囲外であれば該上下限範囲内に戻し、移動した前記最良の解が、前記重点探索範囲内にある場合は、前記重点探索範囲を縮小し、前記重点探索範囲外にある場合は、前記重点探索範囲を拡張又は移動する
ことを特徴とする。
上記課題を解決するための第6の発明に係るプラント制御調整装置は、
上記第1の発明に係るプラント制御調整装置において、
前記最適化部は、
前記第2PIDコントローラと前記第2プラントとをクローズドループとし、前記第1PIDコントローラと前記第1プラントとをオープンループとした仮想構成における交差周波数Freq1と、前記第2PIDコントローラと前記第2プラントとをオープンループとした仮想構成における交差周波数Freq2との比に基づいて、前記第1PIDコントローラ及び前記第2PIDコントローラの制御パラメータを調整する
ことを特徴とする。
上記課題を解決するための第7の発明に係るプラント制御調整装置は、
上記第6の発明に係るプラント制御調整装置において、
前記最適化部は、
前記第1PIDコントローラと前記第2PIDコントローラのそれぞれ設定可能な範囲を、探索範囲の上下限である上下限範囲としてそれぞれ設定し、該上下限範囲内に、重点的にパラメータ探索を行う重点探索範囲を設け、該重点探索範囲内にランダムに複数の解を配置する条件設定部と、
前記第1PIDコントローラに対して、前記重点探索範囲内のある解において、前記計測値PV1とその目標応答PV1tとの残差平方和、及び、前記計測値PV2とその目標応答PV2tとの残差平方和の和である、残差平方和errを求め、下記式によりペナルティ評価点penalty2を算出し、前記残差平方和errに該ペナルティ評価点penalty2を加算した値を評価値scoreとし、配置された前記解の全ての前記評価値scoreが最も低い前記解を最良の解とする評価部と、
前記最良の解の移動を行う探索部とを備え、
前記評価部は、
移動した後の前記最良の解と移動する前の前記最良の解とを比較し、前記評価値scoreが低い方に更新し、同様に複数回更新された前記最良の解を最適解とする
ことを特徴とする。
Figure 2018077663
ただし、括弧内の値が負の場合は0とし、
CROSS:Freq2/Freq1の目標最小値
とする。
上記課題を解決するための第8の発明に係るプラント制御調整装置は、
上記第7の発明に係るプラント制御調整装置において、
前記条件設定部は、
さらに、前記目標値MV1のピーク値及び前記操作量MV2のピーク値に乗算されるMV係数、前記操作量MV2と前記計測値PV2との位相余裕、前記計測値PV1及び前記計測値PV2のオーバーシュート上限値、前記計測値PV1及び前記計測値PV2の終点誤差係数を設定し、
前記評価部は、
前記ペナルティ評価点penalty2とともに、下記式によりペナルティ評価点penalty1を算出し、前記残差平方和errに該ペナルティ評価点penalty1及び該ペナルティ評価点penalty2を加算した値を前記評価値scoreとし、配置された前記解の全ての前記評価値scoreが最も低い前記解を最良の解とする
ことを特徴とする。
Figure 2018077663
ただし、
f(PVpeak,Phmargin):前記計測値PV1及び前記計測値PV2がそれぞれ前記オーバーシュート上限値を上回っておらず、かつ、前記位相余裕が位相余裕確保目標値よりも大きい場合は0、それ以外は1となる論理関数
MV・MVpeak:前記目標値MV1のピーク値に前記MV係数KMV1を乗じた項、前記操作量MV2のピーク値に前記MV係数KMV2を乗じた項、あるいは、前記目標値MV1のピーク値に前記MV係数KMV1を乗じた値と前記操作量MV2のピーク値に前記MV係数KMV2を乗じた値とを加算した項
end:前記終点誤差係数
PVend:前記計測値PV1の制御の終点値
とする。
上記課題を解決するための9の発明に係るプラント制御調整装置は、
上記第8の発明に係るプラント制御調整装置において、
前記探索部は、
前記最良の解の移動を行った際に、移動した前記最良の解が、前記上下限範囲外であれば該上下限範囲内に戻し、移動した前記最良の解が、前記重点探索範囲内にある場合は、前記重点探索範囲を縮小し、前記重点探索範囲外にある場合は、前記重点探索範囲を拡張又は移動する
ことを特徴とする。
上記課題を解決するための第10の発明に係るプラント制御調整装置は、
上記第1の発明に係るプラント制御調整装置において、
前記最適化部は、
前記目標値MV1のピーク値と前記操作量MV2のピーク値との比、及び、前記第2PIDコントローラと前記第2プラントとをクローズドループとし、前記第1PIDコントローラと前記第1プラントとをオープンループとした仮想構成における交差周波数Freq1と、前記第2PIDコントローラと前記第2プラントとをオープンループとした仮想構成における交差周波数Freq2との比に基づいて、前記第1PIDコントローラ及び前記第2PIDコントローラの制御パラメータを調整する
ことを特徴とする。
上記課題を解決するための第11の発明に係るプラント制御調整装置は、
上記第3から10のいずれか一つの発明に係るプラント制御調整装置において、
前記第2PIDコントローラの目標応答PV2tとして、前記第1PIDコントローラから出力される前記目標値MV1をそのまま用いる
ことを特徴とする。
上記課題を解決するための第12の発明に係るプラント制御調整装置は、
上記第3から10のいずれか一つの発明に係るプラント制御調整装置において、
前記第2PIDコントローラの目標応答PV2tを、前記第1PIDコントローラの前記目標応答PV1t及び前記第1プラントの逆伝達関数に基づき生成する
ことを特徴とする。
本発明に係るプラント制御調整装置によれば、カスケード接続された2つのPIDコントローラに対し、少ない演算負荷で同時最適化を実現することにより、高性能な制御装置あるいはPCが不要となり、製造コストの低減及び操作者の負担の軽減をもたらすことができる。
カスケード接続された2つのPIDコントローラ、及び、その制御対象である2つのプラントから成るプラント設備を表すブロック図である。 本発明の実施例1に係るプラント制御調整装置の装置構成を説明するブロック図である。 最適化部による処理を説明するフローチャートである。 条件設定部による処理のイメージ図である。 第1PIDコントローラにおける設定値SV、目標応答PV1t、及び、シミュレーションによる計測値PV1の一例を説明するグラフである。 第2PIDコントローラにおける設定値MV1、目標応答PV2t、及び、シミュレーションによる計測値PV2の一例を説明するグラフである。 計算した全ての解のerr(残差平方和)の逆数をMV1,MV2のピーク値によってマッピングしたイメージ図である。 第2PIDコントローラと第2プラントとをクローズドループとし、第1PIDコントローラと第1プラントとをオープンループとした仮想構成を説明するブロック図である。 第2PIDコントローラと第2プラントとをオープンループとした仮想構成を説明するブロック図である。
本発明に係るプラント制御調整装置は、カスケード接続されたシステムに接続されるものである。以下、本発明に係るプラント制御調整装置について、実施例にて図面を用いて説明する。
[実施例1]
図1は、カスケード接続された2つのPIDコントローラ1,2から成る制御装置5、及び、その制御対象である2つのプラント3,4から成るプラント設備6を表すブロック図である。
第1PIDコントローラ1は、操作者の入力による設定値SV及び後述する(実際の)計測値PV1に基づき目標値MV1を求め、この目標値MV1を第2PIDコントローラ2に出力する。第2PIDコントローラ2は、第1PIDコントローラ1から出力された目標値MV1及び後述する(実際の)計測値PV2に基づき操作量MV2を求め、この操作量MV2を第2プラント4に出力する(すなわち、第2PIDコントローラ2に入力される設定値(第1PIDコントローラ1における設定値SVに相当)は、第1PIDコントローラ1によって出力される目標値MV1となる)。
第2プラント4は、第2PIDコントローラ2から出力される操作量MV2により制御される。その際に実際に計測される計測値PV2は、第1プラント3に出力されるとともに、第2PIDコントローラ2にフィードバックされる。また、第1プラント3は、第2プラント4の計測値PV2に基づき制御される。さらに、このとき実際に計測される第1プラント3の計測値PV1は、第1PIDコントローラ1にフィードバックされる。
一例として、第2プラント4がポンプ、第1プラント3がタンクとすると、第1PIDコントローラ1から出力される目標値MV1は、ポンプ圧力(又は流量)の目標値となり、第2PIDコントローラ2から出力される操作量MV2は、ポンプ圧力(又は流量)の操作量となる。
なお、一般的に、第2PIDコントローラ2と第2プラント4との間のループをマイナーループ、第1PIDコントローラ1から第1プラント3までの全体のループをメジャーループと呼称する。
本実施例に係るプラント制御調整装置(プラント制御調整装置7)には、制御装置5とプラント設備6との入出力MV2,PV1,PV2が、それぞれ分岐して入力されるものである。
図2は、本実施例に係るプラント制御調整装置(プラント制御調整装置7)の装置構成を説明するブロック図である。図2に示すように、プラント制御調整装置7は、入力部11、条件入力部12、記憶部13、同定部15、最適化部16、及び、出力部20を備え、記憶部13は条件記憶部14を、最適化部16は条件設定部17、評価部18、及び、探索部19を、それぞれ備えている。
入力部11には、第2PIDコントローラ2から出力される操作量MV2、第2プラント4の計測値PV2、及び、第1プラント3の計測値PV1が入力される。入力されたMV2,PV1,PV2は、記憶部13に保存される。
なお、本実施例はPID制御であるため、各PIDコントローラが目標値MV1及び操作量MV2の算出に用いる定数にそれぞれKp(比例ゲイン),Ki(積分ゲイン),Kd(微分ゲイン)の3つの定数が含まれる。しかしながら、以下では説明を簡略化するため、Kp,Kiのみに言及する(実際にはKdに対しても同様の制御を行う)。
条件入力部12には、予め操作者によって各条件が入力される。入力された各条件は、条件記憶部14に保存される。この各条件とは、2つのPIDコントローラ1,2のパラメータそれぞれに対し設定可能な範囲(Kpmin,Kpmax,Kimin,Kimax)、ペナルティ評価に関わる制約条件(後述する制約条件[1],[2])、最適化手法(本実施例ではPSO(粒子群最適化))、及び、最適化そのもののパラメータとなる条件設定(パラメータは、粒子数、反復回数、探索の慣性等となる)を指す。
同定部15は、記憶部13に保存されたMV2,PV1,PV2からシステム同定を行い、同定データ(後述する伝達関数及び逆伝達関数)を求める。該同定データは、最適化部16に出力されるとともに、記憶部13に保存される。
最適化部16は、記憶部13に保存されたMV2,PV1,PV2の値に基づき、目標値MV1及び操作量MV2の値を調整するものである。図3は、最適化部16による処理を説明するフローチャートである。以下、最適化部16について図3を用いて詳述する。
まず、最適化部16に備わる条件設定部17は、下記ステップS1〜S3の処理を行い、MV係数、位相余裕等を設定し、さらに、ランダムに解を配置するものである。
ステップS1では、条件設定を行う。すなわち、条件記憶部14より、2つのPIDコントローラ1,2のパラメータがそれぞれ設定可能な範囲を読み込み、探索範囲の上下限(上下限範囲)としてそれぞれ設定する(後述において図4を用いて説明する)。また、後述する制約条件[1]及び制約条件[2]、最適化手法(PSO)、及び、最適化そのもののパラメータとなる条件設定も読み込んでおく。
制約条件[1]は、MV係数、位相余裕、オーバーシュート上限値、終点誤差係数等の条件群であり、これらは第1PIDコントローラ1と第2PIDコントローラ2とでそれぞれ個別に決まる値である。
MV係数とは、後述するようにMV1peak,MV2peakに乗算される係数である。オーバーシュート上限値とは、計測値PV1,PV2にそれぞれ設定されるものである。
位相余裕とは、第2PIDコントローラ2の操作量MV2と、第2プラント4(例えばポンプ)の動作の計測値PV2との位相余裕のことである(位相が180°ずれている場合は位相余裕0°)。これにより、安定性を重視する解を探索することができる。
終点誤差係数とは、評価演算における最終値の誤差に対して適用される係数のことである。カスケード接続においては、基本的にはメジャーループの(第1プラント3の)計測値PV1にのみ適用される(ただし、計測値PV2に適用してもよい)。制御の終点値を評価するので、必ずしも最終値ではなく、例えば目標応答の整定時間でもよい。終点のみを評価するならば、途中経過が相対的に軽視されるので振動的になりやすいが、それだけ高速かつ最終精度の高い解を探索できる。また、終点誤差係数は終点時間において1となるような時間に比例する関数の係数として扱うことで、終点を最重視しつつ、全時間帯に対して評価を与えることもできる。
さらにステップS1では、第1PIDコントローラ1及び第2PIDコントローラ2の目標応答(ステップ入力した際の目標のステップ応答)をそれぞれ設定する。
ここで、図5は、第1PIDコントローラ1における設定値SV、目標応答PV1t、及び、計測値PV1の一例を説明するグラフである。図6は、第2PIDコントローラ2における目標値MV1、目標応答PV2t、及び、計測値PV2の一例を説明するグラフである。図5,6において、破線がSV,MV1、一点鎖線がPV1t,PV2t、実線が計測値PV1,PV2を、それぞれ表している。
第1PIDコントローラ1の目標応答PV1tは、同定部15により記憶部13に保存された操作量MV2及び計測値PV2からシステム同定を行うことで生成する第2プラント4の伝達関数G2(S)と、同じく同定部15により記憶部13に保存された計測値PV1及び計測値PV2からシステム同定を行うことで生成する第1プラント3の伝達関数G1(S)とに基づき生成する。
第2PIDコントローラ2の目標応答PV2tは、目標応答PV1tと、同定部15により第1プラント3の伝達関数G1(S)から求める第1プラント3の逆伝達関数G1 -1(S)とに基づき生成する(あるいは、記憶部13に保存された目標値MV1をそのまま用いても良い)。これにより、計測値PV1を目標応答PV1tに一致させるための(計測値PV2の)目標応答PV2tを設定する。
ステップS2では、初期範囲決定を行う。すなわち、重点的にパラメータ探索を行う範囲(重点探索範囲)を決定する。例えば、初期値としてジーグラー・ニコルス法(ZN法)等の古典的経験的手法によって求められる解を中心に展開する。これは同定したシステムに応じて計算されて決定する。
ここで、図4に上記ステップS1,S2における処理のイメージ図を示す。なお、図4はKp‐Ki平面である(詳細には、第1PIDコントローラ1に対して、「Kp1‐Ki1平面」を、第2PIDコントローラ2に対して「Kp2‐Ki2平面」を、それぞれ設定するが、ここでは簡略化して「Kp‐Ki平面」としている)。
Kpの最小値Kpmin、Kpの最大値Kpmax、Kiの最小値Kimin、Kiの最大値Kimaxは、PIDコントローラ1,2のソフトウェアあるいはハードウェア的な制約によって決まる。これが探索範囲の上下限(上下限範囲)となる。すなわち、図4に示すように、このKpmin,Kpmax,Kimin,Kimaxによって制限された範囲内に、ZN法によって決まる解が点で表され、この点を中心とした所定範囲を重点探索範囲とする。すなわち重点探索範囲は上下限範囲内に設けられる。
ステップS3では、解の初期配置を行う。すなわち、図4の重点探索範囲内にランダムに複数の点(解(Kp,Ki))を配置する。その数は条件設定によって決める。
以上が、ステップS1〜S3についての説明である。
次に、最適化部16に備わる評価部18は、条件設定部17から入力したデータに基づき、下記ステップS4〜S8の処理を行い、最良の解(すなわち最適解の候補)そして最適解(ともにkp1,ki1,kp2,ki2として表される)を求め、このうち最良の解については探索部19に出力し、最適解については出力部20に出力するものである。
ステップS4では、ある解(Kp,Ki)でのステップ応答シミュレーションを行う。ステップ応答シミュレーションについては、重点探索範囲内のある解(Kp,Ki)において、図5に示すように、設定値SVを入力した際の第1PIDコントローラ1の目標応答PV1tと、シミュレーションによる計測値PV1との残差平方和を求める。なお、ここでの計測値PV1は、解(Kp,Ki)における目標値MV1と操作量MV2、及び、上述した第1プラント3の伝達関数G1(S)と第2プラント4の伝達関数G2(S)より、図1同様の接続関係とした第1PIDコントローラ1,2及び第1,2プラント3,4を仮想構成した場合の、シミュレーションによる計測値PV1を指すものである。
同様に、重点探索範囲内のある解(Kp,Ki)において、図6に示すように、設定値SVを入力した際の第2PIDコントローラ2の目標応答PV2tと、シミュレーションによる計測値PV2との残差平方和を求める。なお、ここでの計測値PV2においても、解(Kp,Ki)における目標値MV1と操作量MV2、及び、伝達関数G1(S)と伝達関数G2(S)より、図1同様の接続関係とした第1PIDコントローラ1,2及び第1,2プラント3,4を仮想構成した場合の、シミュレーションによる計測値PV2を指すものである。
そして、これら計測値PV1に関する残差平方和と計測値PV2に関する残差平方和との和を、残差平方和errとする。
ステップS5では、ステップS4においてステップ応答シミュレーションを行ったときのMV及びPVを用いて、制約条件[1],[2]を考慮してペナルティ評価点の算出を行い、解に付与する。なお、制約条件[2]には目標MV比KMVR(詳細は後述)を用いる。
すなわちステップS5では、下記の式(1)及び式(2)のように制約条件毎にペナルティ評価点(penalty1,penalty2)を算出し、解に付与する。ただし、ここでの「付与」とは、解に加算するということではなく、解とともにそのデータを持っておくという意味である。なお、ステップS6の終了後はステップS7へ移行する。
Figure 2018077663
Figure 2018077663
上記式(1)の第1項における関数fは、オーバーシュート上限値と位相余裕確保目標に対応した論理関数で、オーバーシュート上限値を超えた場合、あるいは、位相余裕が目標を下回ったとき、十分大きなペナルティ点が加算される。
すなわち、論理関数fにおけるPVpeakとは、オーバーシュート上限値を上回ったか否かを示すものであり、上回った場合はf=1、上回っていない場合はf=0となる。また、論理関数fにおけるPhmarginとは、位相余裕確保目標値よりも位相余裕が大きいか否かを示すものであり、大きい場合はf=0、そうでない場合はf=1となる。なお、いずれか一方がf=1を示せば、他方がf=0を示していたとしても結果はf=1となる。
つまり、論理関数fは、オーバーシュート上限値を上回っておらず、かつ、位相余裕が位相余裕確保目標値よりも大きい場合は0、それ以外は1となる論理関数である。そして、上記式(1)では、第1項を1000×fとしており、f=1のとき、第1項の値は1000となる。
PVpeakは、プラント設備6の特性上絶対にオーバーシュートをしてはならない数値が存在する場合に、Phmarginはシステム(制御装置5及びプラント設備6)の安定度を見積もる場合に、それぞれ用いる。なお、位相余裕は、一般に60度以上あれば安定とされ、逆に低いとシステムとして不安定になり得るため、原則常に用いる。
ちなみに、上記式(1)の第2項以降は、その値がそれぞれ1未満となる。第1項の値のみ1000としているのは、もしf=1となった場合、後述する最良の解の候補からただちに除外することを意味している。
また、上記式(1)の第2項におけるMVpeakは、シミュレーションで得られるMVのピーク値を表している。なお、ここでのMVのピーク値とは、目標値MV1のピーク値MV1peak、操作量MV2のピーク値MV2peak、あるいはその両方のピーク値を指す。
また、同第2項ではMV係数KMVを用いており、MVの動きが小さいほどその値が低くなる。応答性を犠牲にプラント操作を最小限に抑えるため、省エネ重視のときにこれを用いる。上述のMV1のピーク値又はMV2のピーク値、あるいはその両方のピーク値に乗ずる。すなわち、例えば両方のピーク値に乗ずる場合、上記式(1)におけるKMV・MVpeakは、正確には、KMV1・MV1peak+KMV2・MV2peakとなる。
すなわち、第2項(KMV・MVpeak)は、目標値MV1のピーク値にMV係数KMV1を乗じた項、操作量MV2のピーク値にMV係数KMV2を乗じた項、あるいは、目標値MV1のピーク値にMV係数KMV1を乗じた値と操作量MV2のピーク値にMV係数KMV2を乗じた値とを加算した項となる。
また、MV(MV1,MV2)のピーク値ではなく、その微分であるΔMV(ΔMV1,ΔMV2)のピーク値に対して係数をかけてもよい。その場合、上記式(1)の第2項はMVの急激な変動に対してその値が大きくなる。
上記式(1)の第3項は終点誤差係数Kendを用いており、ステップ応答シミュレーション終点のPV1と目標応答との差分に係る数で、最終的な誤差さえ少なければペナルティが低くなる(PVendは、計測値PV1の制御の終点値)。既出の関数f及びMV係数KMVとは逆に、途中経過を考慮しないため応答速度を重視する際に有効であるが、目標応答の設定とシミュレーション時間に依存する部分も大きい。そのため終点に留まらず、整定時間等に対しこれを行ってもよい。
なお、上記制約条件[1]は、各PIDコントローラ1,2に対してそれぞれ個別に決められる制約条件となる。
一方、上記式(2)における係数KMVRは、条件入力部12より操作者が予め入力するか、又は条件記憶部14に予め記憶されている、目標値としてのMV比(目標MV比)である。目標MV比は、目標となるMV2peak/MV1peakであり、PIDコントローラ1,2のどちらを大きく早く動かすかの指針となる。
このようにMV比を考慮することで、最良の解が複数挙がるいわゆるパレート解であったときに、解を絞ったり、あるいは条件によっては制約条件[1]における真の最適解よりも局所解の方が優先されるような動作を促したりといった効果もある。
ステップS6では、解の評価を行う。すなわち下記式(3)のように、残差平方和errに、ペナルティ評価点(penalty1,penalty2)を加算した値を、評価値scoreとして、配置された解の全てを評価及び比較し、評価値scoreが最も低い値の解を、最良の解を選出する(つまり、[Kp1(MV1のKp),Ki1(MV1のKi),Kp2(MV2のKp),Ki2(MV2のKi)]に対し、1つのscoreを求める)。そして、現在の最良の解の評価値が、前回の最良の解の評価値を更新しなかった場合に、カウンタが回る。
Figure 2018077663
図7に示すのは、計算した全ての解のerrの逆数(1/err)を目標値MV1及び操作量MV2のピーク値によってマッピングしたイメージ図(MV1peak軸、MV2peak軸、1/err軸からなる3次元のグラフ)である。なお、1/errの計算は実際には行われないが、図7では、イメージを掴みやすくするために敢えてerrではなく1/errを用いている。
残差平方和のみを考慮するならば、最良の解は図7の紙面左奥側の山の頂点A(図7中で1/errの値が最も高い点)の解になる。しかし、MV比に関して考慮すると、異なる結果となる場合がある。
図7中に破線で示したKMVR平面は、一例としてKMVR=1の場合を表している。シミュレーション結果によるMV1peak/MV2peakの値がKMVR平面に近いほど、penalty2の値は低くなる。すなわち、残差平方和(グラフ中の山の高さ)だけでなく、penalty2(KMVR平面との距離)も考慮する。さらに、実際には図4のパラメータによる空間とPIDコントローラ1,2に対する制約条件があり、これらを合わせた高次元空間内で、解の探索と決定が行われる。
すなわち、重点探索範囲内で、結果的にscore=err+penalty1+penalty2の値が最も低くなる点が最良の解となる。
ステップS7では、上記カウンタの値もしくは最適化パラメータである反復数(又は計算時間)が、所定値を超えた(終了条件を満たす)か否かを判断する。所定値を超えた(終了条件を満たす)場合はステップS8へ移行し、所定値以内である(終了条件を満たさない)場合はステップS9へ移行する。ステップS8では、現在の最良の解を最適解と決定する。
以上が、ステップS4〜S8についての説明である。
さらに、最適化部16に備わる探索部19は、評価部18より最良の解のデータを入力し、下記ステップS9〜S14の処理を行い、解の移動を行い、移動した解のデータを評価部18に再入力するものである。
ステップS9では、上記ステップS8において終了条件を満たさない場合(すなわち、終了条件を満たすまでの間)に、解の移動を行う。なお、解の移動はPSOの一般的な手法で行う。
ステップS10では、上記ステップS10において移動した解が、上下限範囲内であるか否かを判断する。範囲内であればステップS12へ移行し、範囲外であればステップS11へ移行する。
ステップS11では、上限又は下限へ差し戻す(上下限範囲内に入れる)リミッタ処理を行う。なお、ステップS11の終了後はステップS12へ移行する。
ステップS10又はステップS11における処理の後、ステップS12として、現在の最良の解が重点探索範囲内にあるか否かの判断を行う。最良の解が重点探索範囲内にある場合は、ステップS13へ移行し、最良の解が重点探索範囲外に移動した場合は、ステップS14へ移行する。
ステップS13,S14では、探索範囲更新処理を行う。すなわち、ステップS13では、探索範囲更新処理として重点探索範囲を縮小する。ステップS14では、探索範囲更新処理として重点探索範囲を拡張又は移動する。ステップS13,S14の終了後はステップS4へ移行する。
なお、ステップS9における解の移動を行う際に、全ての解が移動するのではなく、評価の低い一部の解は削除され、再配置が行われるために、上述の如く重点探索範囲自体を絞り込む。移動した解の集団は、再度評価部18に入力される(上述したようにステップS4からの処理が行われる)。こうして上記終了条件を満たすまで解の移動を続け、最適解を探索する(評価部18において、移動した後の最良の解と移動する前の最良の解とを比較し、評価値scoreが低い方に更新し、同様に複数回(終了条件を満たすまで)更新された最良の解を、最適解とする)。
以上が、ステップS9〜S14についての説明である。
なお、出力部20は、上記評価部18において決定された最適解をPIDコントローラ1,2に出力する。あるいは、直接PIDコントローラ1,2に出力するのではなく、モニタ表示としてもよい。
本実施例に係るプラント制御調整装置では、MV比を用いることで、マイナーループの出力MV2を相対的に上げればメジャーループの制御性能が向上し、マイナーループの出力MV2を下げれば駆動する機器の省エネ、長寿命化に寄与するというトレードオフの関係の、どちらを重視するか、つまり解探索の方向性を決定することができる。
また、本実施例に係るプラント制御調整装置では、カスケード接続された2つのPIDコントローラに対し、少ない演算負荷での同時最適化を実現することにより、高性能な制御装置あるいはPCが不要となり、コスト及び操作者の負担を低減することができる。
[実施例2]
本実施例は、実施例1におけるMV比に関する式(2)に代えて、交差周波数比に関する式を用いるものである。
本実施例では、実施例1のステップS4における(図1同様の接続関係である)仮想構成と並行して、図8,9に示す仮想構成を有する。
すなわち、まず(実施例1のステップS4で説明したように)解(Kp,Ki)における目標値MV1と操作量MV2、及び、伝達関数G1(S)と伝達関数G2(S)より、図8に示すように、第2PIDコントローラ2と第2プラント4とをクローズドループとし、第1PIDコントローラ1と第1プラント3とをオープンループとした仮想構成を生成する。そして、該仮想構成におけるにおける交差周波数を、交差周波数Freq1とする。
また、同様にして、図9に示すように、第2PIDコントローラ2と第2プラント4とをオープンループとした仮想構成を生成する。そして、該仮想構成における交差周波数を、交差周波数Freq2とする。このとき「交差周波数比」は、Freq2/Freq1で表される。
本実施例では、実施例1における式(2)に代えて、下記式(4)を用いる。下記式(4)におけるKCROSSは、交差周波数比(Freq2/Freq1)の目標最小値である。これによって、MV比より明確に、第1PIDコントローラ1と第2PIDコントローラ2との間に速度差を与えることができる。
Figure 2018077663
ただし、括弧内の値が負の場合は0とする。
なお、上記式(4)では括弧内の値に1000をかけており、括弧内が正の値を有していた場合に、最良の解の候補から除外しやすくしている。
すなわち、本実施例に係るプラント制御調整装置は、最適化部16において、交差周波数Freq1と交差周波数Freq2との交差周波数比に基づいて、第1PIDコントローラ1及び第2PIDコントローラ2の制御パラメータ(Kp,Ki,Kd)を調整する。
本実施例に係るプラント制御調整装置では、交差周波数比を用いることで、実施例1と同じく、どちらの制御性能を重視するかを決定すると共に、マイナーループにレートリミッタ等が設けられ、制御速度に上限がある場合等、過渡応答時にはリミッタにかかることを前提に、メジャーループを高速に動かすといった動作方法を志向するなど、解探索の方向性を絞ることができる。
また、本実施例に係るプラント制御調整装置では、カスケード接続された2つのPIDコントローラに対し、少ない演算負荷での同時最適化を実現することにより、高性能な制御装置あるいはPCが不要となり、コスト及び操作者の負担を低減することができる。
[実施例3]
カスケード接続においては、一般的に第1PIDコントローラ1より第2PIDコントローラ2の方を高速にする。したがって、本実施例では、実施例2で説明した式(4)において、KCROSS≧1として、実施例1にて説明したMV比の式(2)と併せて常に用いる。
その際、scoreの求め方としては、実施例1にて説明した式(3)のpenalty2の項が、式(2)の値と式(4)の値とを加算した値となる。
このようにして、本実施例に係るプラント制御調整装置では、カスケード接続された2つのPIDコントローラに対し、少ない演算負荷での同時最適化を実現することにより、高性能な制御装置あるいはPCが不要となり、コスト及び操作者の負担を低減することができる。
本発明は、プラント制御調整装置として好適である。
1 第1PIDコントローラ
2 第2PIDコントローラ
3 第1プラント
4 第2プラント
5 制御装置
6 プラント設備
7 プラント制御調整装置
11 入力部
12 条件入力部
13 記憶部
14 条件記憶部
15 同定部
16 最適化部
17 条件設定部
18 評価部
19 探索部
20 出力部

Claims (12)

  1. 第1PIDコントローラ、第2PIDコントローラ、第2プラント、第1プラントの順にカスケード接続されたシステムに接続されるプラント制御調整装置であって、
    前記第2PIDコントローラから出力される操作量MV2、前記第2プラントの計測値PV2、及び、前記第1プラントの計測値PV1の値に基づき、前記第1PIDコントローラ及び前記第2PIDコントローラの制御パラメータを調整する最適化部を備える
    ことを特徴とするプラント制御調整装置。
  2. 前記最適化部は、
    前記第1PIDコントローラから出力される目標値MV1のピーク値と前記操作量MV2のピーク値との比に基づいて、前記第1PIDコントローラ及び前記第2PIDコントローラの制御パラメータを調整する
    ことを特徴とする請求項1に記載のプラント制御調整装置。
  3. 前記最適化部は、
    前記第1PIDコントローラと前記第2PIDコントローラのそれぞれ設定可能な範囲を、探索範囲の上下限である上下限範囲としてそれぞれ設定し、該上下限範囲内に、重点的にパラメータ探索を行う重点探索範囲を設け、該重点探索範囲内にランダムに複数の解を配置する条件設定部と、
    前記第1PIDコントローラに対して、前記重点探索範囲内のある解において、前記計測値PV1とその目標応答PV1tとの残差平方和、及び、前記計測値PV2とその目標応答PV2tとの残差平方和の和である、残差平方和errを求め、下記式によりペナルティ評価点penalty2を算出し、前記残差平方和errに該ペナルティ評価点penalty2を加算した値を評価値scoreとし、配置された前記解の全ての前記評価値scoreが最も低い前記解を最良の解とする評価部と、
    前記最良の解の移動を行う探索部とを備え、
    前記評価部は、
    移動した後の前記最良の解と移動する前の前記最良の解とを比較し、前記評価値scoreが低い方に更新し、同様に複数回更新された前記最良の解を最適解とする
    ことを特徴とする請求項2に記載のプラント制御調整装置。
    Figure 2018077663
    ただし、
    MV1peak:前記目標値MV1のピーク値
    MV2peak:前記操作量MV2のピーク値
    MVR:目標となる前記操作量MV2のピーク値/前記目標値MV1のピーク値
    とする。
  4. 前記条件設定部は、
    さらに、前記目標値MV1のピーク値及び前記操作量MV2のピーク値に乗算されるMV係数、前記操作量MV2と前記計測値PV2との位相余裕、前記計測値PV1及び前記計測値PV2のオーバーシュート上限値、前記計測値PV1及び前記計測値PV2の終点誤差係数を設定し、
    前記評価部は、
    前記ペナルティ評価点penalty2とともに、下記式によりペナルティ評価点penalty1を算出し、前記残差平方和errに該ペナルティ評価点penalty1及び該ペナルティ評価点penalty2を加算した値を前記評価値scoreとし、配置された前記解の全ての前記評価値scoreが最も低い前記解を最良の解とする
    ことを特徴とする請求項3に記載のプラント制御調整装置。
    Figure 2018077663
    ただし、
    f(PVpeak,Phmargin):前記計測値PV1及び前記計測値PV2がそれぞれ前記オーバーシュート上限値を上回っておらず、かつ、前記位相余裕が位相余裕確保目標値よりも大きい場合は0、それ以外は1となる論理関数
    MV・MVpeak:前記目標値MV1のピーク値に前記MV係数KMV1を乗じた項、前記操作量MV2のピーク値に前記MV係数KMV2を乗じた項、あるいは、前記目標値MV1のピーク値に前記MV係数KMV1を乗じた値と前記操作量MV2のピーク値に前記MV係数KMV2を乗じた値とを加算した項
    end:前記終点誤差係数
    PVend:前記計測値PV1の制御の終点値
    とする。
  5. 前記探索部は、
    前記最良の解の移動を行った際に、移動した前記最良の解が、前記上下限範囲外であれば該上下限範囲内に戻し、移動した前記最良の解が、前記重点探索範囲内にある場合は、前記重点探索範囲を縮小し、前記重点探索範囲外にある場合は、前記重点探索範囲を拡張又は移動する
    ことを特徴とする請求項4に記載のプラント制御調整装置。
  6. 前記最適化部は、
    前記第2PIDコントローラと前記第2プラントとをクローズドループとし、前記第1PIDコントローラと前記第1プラントとをオープンループとした仮想構成における交差周波数Freq1と、前記第2PIDコントローラと前記第2プラントとをオープンループとした仮想構成における交差周波数Freq2との比に基づいて、前記第1PIDコントローラ及び前記第2PIDコントローラの制御パラメータを調整する
    ことを特徴とする請求項1に記載のプラント制御調整装置。
  7. 前記最適化部は、
    前記第1PIDコントローラと前記第2PIDコントローラのそれぞれ設定可能な範囲を、探索範囲の上下限である上下限範囲としてそれぞれ設定し、該上下限範囲内に、重点的にパラメータ探索を行う重点探索範囲を設け、該重点探索範囲内にランダムに複数の解を配置する条件設定部と、
    前記第1PIDコントローラに対して、前記重点探索範囲内のある解において、前記計測値PV1とその目標応答PV1tとの残差平方和、及び、前記計測値PV2とその目標応答PV2tとの残差平方和の和である、残差平方和errを求め、下記式によりペナルティ評価点penalty2を算出し、前記残差平方和errに該ペナルティ評価点penalty2を加算した値を評価値scoreとし、配置された前記解の全ての前記評価値scoreが最も低い前記解を最良の解とする評価部と、
    前記最良の解の移動を行う探索部とを備え、
    前記評価部は、
    移動した後の前記最良の解と移動する前の前記最良の解とを比較し、前記評価値scoreが低い方に更新し、同様に複数回更新された前記最良の解を最適解とする
    ことを特徴とする請求項6に記載のプラント制御調整装置。
    Figure 2018077663
    ただし、括弧内の値が負の場合は0とし、
    CROSS:Freq2/Freq1の目標最小値
    とする。
  8. 前記条件設定部は、
    さらに、前記目標値MV1のピーク値及び前記操作量MV2のピーク値に乗算されるMV係数、前記操作量MV2と前記計測値PV2との位相余裕、前記計測値PV1及び前記計測値PV2のオーバーシュート上限値、前記計測値PV1及び前記計測値PV2の終点誤差係数を設定し、
    前記評価部は、
    前記ペナルティ評価点penalty2とともに、下記式によりペナルティ評価点penalty1を算出し、前記残差平方和errに該ペナルティ評価点penalty1及び該ペナルティ評価点penalty2を加算した値を前記評価値scoreとし、配置された前記解の全ての前記評価値scoreが最も低い前記解を最良の解とする
    ことを特徴とする請求項7に記載のプラント制御調整装置。
    Figure 2018077663
    ただし、
    f(PVpeak,Phmargin):前記計測値PV1及び前記計測値PV2がそれぞれ前記オーバーシュート上限値を上回っておらず、かつ、前記位相余裕が位相余裕確保目標値よりも大きい場合は0、それ以外は1となる論理関数
    MV・MVpeak:前記目標値MV1のピーク値に前記MV係数KMV1を乗じた項、前記操作量MV2のピーク値に前記MV係数KMV2を乗じた項、あるいは、前記目標値MV1のピーク値に前記MV係数KMV1を乗じた値と前記操作量MV2のピーク値に前記MV係数KMV2を乗じた値とを加算した項
    end:前記終点誤差係数
    PVend:前記計測値PV1の制御の終点値
    とする。
  9. 前記探索部は、
    前記最良の解の移動を行った際に、移動した前記最良の解が、前記上下限範囲外であれば該上下限範囲内に戻し、移動した前記最良の解が、前記重点探索範囲内にある場合は、前記重点探索範囲を縮小し、前記重点探索範囲外にある場合は、前記重点探索範囲を拡張又は移動する
    ことを特徴とする請求項8に記載のプラント制御調整装置。
  10. 前記最適化部は、
    前記目標値MV1のピーク値と前記操作量MV2のピーク値との比、及び、前記第2PIDコントローラと前記第2プラントとをクローズドループとし、前記第1PIDコントローラと前記第1プラントとをオープンループとした仮想構成における交差周波数Freq1と、前記第2PIDコントローラと前記第2プラントとをオープンループとした仮想構成における交差周波数Freq2との比に基づいて、前記第1PIDコントローラ及び前記第2PIDコントローラの制御パラメータを調整する
    ことを特徴とする請求項1に記載のプラント制御調整装置。
  11. 前記第2PIDコントローラの目標応答PV2tとして、前記第1PIDコントローラから出力される前記目標値MV1をそのまま用いる
    ことを特徴とする請求項3から10のいずれか一項に記載のプラント制御調整装置。
  12. 前記第2PIDコントローラの目標応答PV2tを、前記第1PIDコントローラの前記目標応答PV1t及び前記第1プラントの逆伝達関数に基づき生成する
    ことを特徴とする請求項3から10のいずれか一項に記載のプラント制御調整装置。
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