JP2018180665A - プラント制御調整装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】コントローラの調整を行うに当たり、目標応答を自動生成することを可能とし、作業者の手間を大幅に省くことができる、プラント制御調整装置を提供する。【解決手段】操作量MVに対する制約条件に基づき上限Tcmaxを定め、伝達関数G1(s)のステップ応答に基づき下限Tcminを定め、該上限Tcmaxと該下限Tcminとの範囲内で決定された時定数Trefから、プラント2の規範モデルとなる理想プラントP(s)を作成し、該理想プラントP(s)のステップ応答として、計測値PV1の目標応答PV1tを生成する条件設定部17を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、プラント設備におけるプラント制御調整装置に関する。
プラント制御において大多数のコントローラはPID制御で動いている。これらのPIDコントローラをオフラインで調整する際に、どのような調整が望ましいかは調整する人間によって違いがあり、調整の基準となるものも、システムの応答の時定数であったり、整定時間であったり、あるいはそれらの独自の組み合わせであったりと、それぞれ異なる。
一方、コントローラ制御法の一手法であるモデル予測制御(MPC)は、制御対象の出力に対して「参照軌道」という未来の時間の関数を定め、これに沿って出力できるように各種パラメータをオンラインで調整していく。
特願2016‐218828
田坂謙一、他4名、「閉ループデータに基づく直接的PID調整とその不安定プロセスへの適用」、システム制御情報学会論文誌、システム制御情報学会、2009年、第22巻、第4号、p.137〜144
上記特許文献1では、これをPIDコントローラの調整にも応用し、まず目標応答という規範モデルを定め、それに対して最適なパラメータを調整するという技術を開示している。しかしながら、この調整は作業者にとってやや手間がかかる。
また、上記非特許文献1では、目標応答を変更する時定数自体も最適化アルゴリズムの中に入れて調整を行うことで、その手間を省いている。しかし、最適化アルゴリズムにおいて1パラメータ増えるということは、演算時間の飛躍的増大を意味し、また、時定数を変更すればその都度目標応答の収束時間も変化するため、評価すべき対象期間が可変、あるいは収束しない段階での評価を行うことになり、それらを等しく評価するのは困難である。
本発明は、上記技術的課題に鑑み、コントローラの調整を行うに当たり、目標応答を自動生成することを可能とし、作業者の手間を大幅に省くことができる、プラント制御調整装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための第1の発明に係るプラント制御調整装置は、
PIDコントローラ及びプラントからなるシングルループのシステムに接続されるプラント制御調整装置であって、
前記PIDコントローラから出力される操作量MV、及び、前記プラントの計測値PV1に基づき、前記プラントの伝達関数G1(s)を求める同定部と、
前記同定部から入力した前記伝達関数G1(s)に基づき、前記PIDコントローラの各PID制御パラメータを調整する最適化部とを備え、
前記最適化部は、
前記操作量MVに対する制約条件に基づき上限Tcmaxを定め、前記伝達関数G1(s)のステップ応答に基づき下限Tcminを定め、該上限Tcmaxと該下限Tcminとの範囲内で決定された時定数Trefから、前記プラントの規範モデルとなる理想プラントP(s)を作成し、該理想プラントP(s)のステップ応答として、前記計測値PV1の目標応答PV1tを生成する条件設定部と、
前記目標応答PV1tに基づき、前記PIDコントローラの前記各PID制御パラメータを調整するパラメータ最適化部とを備える
ことを特徴とする。
上記課題を解決するための第2の発明に係るプラント制御調整装置は、
上記第1の発明に係るプラント制御調整装置において、
前記条件設定部は、
前記伝達関数G1(s)から求めた逆伝達関数G1 -1(s)、及び、前記目標応答PV1tに基づき、前記操作量MVの目標操作量MVtを求め、該目標操作量MVtが前記PIDコントローラの制約条件を満たすか否かを判断し、
前記制約条件を満たさないと判断した場合は、前記時定数Trefを増加させ、増加させた該時定数Trefに基づき再度前記理想プラントP(s)を作成し、再度生成した前記理想プラントP(s)に基づき、前記目標応答PV1t及び前記目標操作量MVtを再度生成し、
前記生成を繰り返し、前記制約条件を満たすようになった前記目標操作量MVtを、前記目標操作量MVtのピーク値の下限と見做し、このときの前記時定数Trefを、前記上限Tcmaxとする
ことを特徴とする。
上記課題を解決するための第3の発明に係るプラント制御調整装置は、
上記第1又は2の発明に係るプラント制御調整装置において、
前記条件設定部は、前記伝達関数G1(s)のステップ応答を求め、該応答が定常ゲインの略定常値の割合に初めて到達した時間に基づき、前記下限Tcminを定める
ことを特徴とする。
上記課題を解決するための第4の発明に係るプラント制御調整装置は、
上記第2又は3の発明に係るプラント制御調整装置において、
前記条件設定部は、前記時定数Trefの前記下限Tcminから前記上限Tcmaxの範囲を任意の範囲に正規化し、
前記条件設定部によって正規化された前記時定数Trefが作業者によって入力される条件入力部と、
前記目標応答PV1t及び前記目標操作量MVtの変化を前記作業者に対して表示する出力表示部とをさらに備える
ことを特徴とする。
上記課題を解決するための第5の発明に係るプラント制御調整装置は、
上記第3の発明に係るプラント制御調整装置において、
前記条件設定部は、前記時定数Trefを、前記定常ゲインに基づき前記下限Tcminから前記上限Tcmaxの範囲において決定する
ことを特徴とする。
上記課題を解決するための第6の発明に係るプラント制御調整装置は、
上記第5の発明に係るプラント制御調整装置において、
前記条件設定部は、前記目標操作量MVtの動作点を段階的にゾーニングし、ゾーニングした領域ごとに異なる前記時定数Trefを用いて前記目標応答PV1tを決定する
ことを特徴とする。
上記課題を解決するための第7の発明に係るプラント制御調整装置は、
上記第6の発明に係るプラント制御調整装置において、
前記条件設定部は、前記各領域間に所定のヒステリシス特性を持たせる
ことを特徴とする。
上記課題を解決するための第8の発明に係るプラント制御調整装置は、
上記第6又は7の発明に係るプラント制御調整装置において、
前記条件入力部は、前記領域の区切りの位置を前記作業者により入力可能である
ことを特徴とする。
上記課題を解決するための第9の発明に係るプラント制御調整装置は、
第1PIDコントローラ、第2PIDコントローラ、第2プラント、第1プラントの順にカスケード接続されたシステムに接続されるプラント制御調整装置であって、
前記第1プラントの第1計測値PV1及び前記第2プラントの第2計測値PV2に基づき、前記第1プラントの第1伝達関数G1(s)を求め、前記第2PIDコントローラから出力される操作量MV2及び前記第2計測値PV2に基づき、前記第2プラントの第2伝達関数G2(s)を求める同定部と、
前記同定部から入力した前記第1伝達関数G1(s)及び前記第2伝達関数G2(s)に基づき、前記第1PIDコントローラ及び前記第2PIDコントローラの各PID制御パラメータを調整する最適化部とを備え、
前記最適化部は、
前記操作量MV2に対する制約条件に基づき上限Tcmaxを定め、前記第2伝達関数G2(s)のステップ応答に基づき下限Tcminを定め、該上限Tcmaxと該下限Tcminとの範囲内で決定された時定数Trefから、規範モデルとなる理想プラントP(s)を作成し、該理想プラントP(s)のステップ応答として、前記第1計測値PV1の第1目標応答PV1tを生成し、該理想プラントP(s)のステップ応答に対し、前記第1伝達関数G1(s)から求めた第1逆伝達関数G1 -1(s)より逆算して、前記第2計測値PV2の第2目標応答PV2tを生成する条件設定部と、
前記第1目標応答PV1t及び前記第2目標応答PV2tに基づき、前記第1PIDコントローラ及び前記第2PIDコントローラの前記各PID制御パラメータを調整するパラメータ最適化部とを備える
ことを特徴とする。
上記課題を解決するための第10の発明に係るプラント制御調整装置は、
上記第9の発明に係るプラント制御調整装置において、
前記条件設定部は、
前記第2伝達関数G2(s)から求めた第2逆伝達関数G2 -1(s)、及び、前記第2目標応答PV2tに基づき、前記操作量MV2の目標操作量MVtを求め、該目標操作量MVtが前記第2PIDコントローラの制約条件を満たすか否かを判断し、
前記制約条件を満たさないと判断した場合は、前記時定数Trefを増加させ、増加させた該時定数Trefに基づき再度前記理想プラントP(s)を作成し、再度生成した前記理想プラントP(s)に基づき、前記第2目標応答PV2t及び前記目標操作量MVtを再度生成し、
前記生成を繰り返し、前記制約条件を満たすようになった前記目標操作量MVtを、前記目標操作量MVtのピーク値の下限と見做し、このときの前記時定数Trefを、前記上限Tcmaxとする
ことを特徴とする。
上記課題を解決するための第11の発明に係るプラント制御調整装置は、
上記第9又は10の発明に係るプラント制御調整装置において、
前記条件設定部は、前記第2伝達関数G2(s)のステップ応答を求め、該応答が定常ゲインの略定常値の割合に初めて到達した時間に基づき、前記下限Tcminを定める
ことを特徴とする。
上記課題を解決するための第12の発明に係るプラント制御調整装置は、
上記第10又は11の発明に係るプラント制御調整装置において、
前記条件設定部は、前記時定数Trefの前記下限Tcminから前記上限Tcmaxの範囲を任意の範囲に正規化し、
前記条件設定部によって正規化された前記時定数Trefが作業者によって入力される条件入力部と、
前記第1目標応答PV1t、前記第2目標応答PV2t及び前記目標操作量MVtの変化を前記作業者に対して表示する出力表示部とをさらに備える
ことを特徴とする。
上記課題を解決するための第13の発明に係るプラント制御調整装置は、
上記第11の発明に係るプラント制御調整装置において、
前記条件設定部は、前記時定数Trefを、前記定常ゲインに基づき前記下限Tcminから前記上限Tcmaxの範囲において決定する
ことを特徴とする。
上記課題を解決するための第14の発明に係るプラント制御調整装置は、
上記第13の発明に係るプラント制御調整装置において、
前記条件設定部は、前記目標操作量MVtの動作点を段階的にゾーニングし、ゾーニングした領域ごとに異なる前記時定数Trefを用いて前記目標応答PV2tを決定する
ことを特徴とする。
上記課題を解決するための第15の発明に係るプラント制御調整装置は、
上記第14の発明に係るプラント制御調整装置において、
前記条件設定部は、前記各領域間に所定のヒステリシス特性を持たせる
ことを特徴とする。
上記課題を解決するための第16の発明に係るプラント制御調整装置は、
上記第14又は15の発明に係るプラント制御調整装置において、
前記条件入力部は、前記領域の区切りの位置を前記作業者により入力可能である
ことを特徴とする。
上記課題を解決するための第17の発明に係るプラント制御調整装置は、
第1PIDコントローラ及び第1プラントからなるシングルループの第1システム、及び、第2PIDコントローラ、第3PIDコントローラ、第2プラント、第3プラントの順にカスケード接続された第2システムのいずれにも接続可能なプラント制御調整装置であって、
各前記プラントの計測値及び各前記PIDコントローラの操作量の数に基づき、接続先が、前記第1システムか前記第2システムかを判断するカスケード判定部と、
前記カスケード判定部により前記第1システムに接続していると判断した場合、前記第1PIDコントローラから出力される第1操作量、及び、前記第1プラントの第1計測値に基づき、前記第1プラントの第1伝達関数を求め、
前記カスケード判定部により前記第2システムに接続していると判断した場合、前記第2プラントの第2計測値及び前記第3プラントの第3計測値に基づき、前記第2プラントの第2伝達関数を求め、前記第3PIDコントローラから出力される第2操作量及び前記第3計測値に基づき、前記第3プラントの第3伝達関数を求める同定部と、
前記カスケード判定部により前記第1システムに接続していると判断した場合、前記同定部から入力した前記第1伝達関数に基づき、前記第1PIDコントローラの各PID制御パラメータを調整し、
前記カスケード判定部により前記第2システムに接続していると判断した場合、前記同定部から入力した前記第2伝達関数及び前記第3伝達関数に基づき、前記第2PIDコントローラ及び前記第3PIDコントローラの各PID制御パラメータを調整する最適化部とを備え、
前記最適化部は、
前記カスケード判定部により前記第1システムに接続していると判断した場合、前記第1PIDコントローラの前記第1操作量に対する制約条件に基づき第1上限を定め、前記第1伝達関数のステップ応答に基づき第1下限を定め、該第1上限と該第1下限との範囲内で決定された第1時定数から、前記第1プラントの規範モデルとなる第1理想プラントを作成し、該第1理想プラントのステップ応答として、前記第1計測値の第1目標応答を生成し、
前記カスケード判定部により前記第2システムに接続していると判断した場合、前記第2操作量に対する制約条件に基づき第2上限を定め、前記第3伝達関数のステップ応答に基づき第2下限を定め、該第1上限と該第2下限との範囲内で決定された第2時定数から、規範モデルとなる第2理想プラントP(s)を作成し、該第2理想プラントのステップ応答として、前記第2計測値の第2目標応答を生成し、該理想プラントP(s)のステップ応答に対し、前記第2伝達関数から求めた第2逆伝達関数より逆算して、前記第3計測値の第3目標応答を生成する条件設定部と、
前記カスケード判定部により前記第1システムに接続していると判断した場合、前記第1目標応答に基づき、前記第1PIDコントローラの前記各PID制御パラメータを調整し、
前記カスケード判定部により前記第2システムに接続していると判断した場合、前記第2目標応答及び前記第3目標応答に基づき、前記第2PIDコントローラ及び前記第3PIDコントローラの前記各PID制御パラメータを調整するパラメータ最適化部とを備える
ことを特徴とする。
上記課題を解決するための第18の発明に係るプラント制御調整装置は、
上記第17の発明に係るプラント制御調整装置において、
前記条件設定部は、
前記カスケード判定部により前記第1システムに接続していると判断した場合、
前記第1伝達関数から求めた第1逆伝達関数、及び、前記第1目標応答に基づき、前記第1操作量の第1目標操作量を求め、該第1目標操作量が前記第1PIDコントローラの制約条件を満たすか否かを判断し、
前記制約条件を満たさないと判断した場合は、前記第1時定数を増加させ、増加させた該第1時定数に基づき再度前記第1理想プラントを作成し、再度生成した前記第1理想プラントに基づき、前記第1目標応答及び前記第1目標操作量を再度生成し、
前記生成を繰り返し、前記制約条件を満たすようになった前記第1目標操作量を、前記第1目標操作量のピーク値の下限と見做し、このときの前記第1時定数を、前記第1上限とし、
前記カスケード判定部により前記第2システムに接続していると判断した場合、
前記第3伝達関数から求めた第3逆伝達関数、及び、前記第3目標応答に基づき、前記第2操作量の第2目標操作量を求め、該第2目標操作量が前記第3PIDコントローラの制約条件を満たすか否かを判断し、
前記制約条件を満たさないと判断した場合は、前記第2時定数を増加させ、増加させた該第2時定数に基づき再度前記第2理想プラントを作成し、再度生成した前記第2理想プラントに基づき、前記第3目標応答及び前記第2目標操作量を再度生成し、
前記生成を繰り返し、前記制約条件を満たすようになった前記第2目標操作量を、前記第2目標操作量のピーク値の下限と見做し、このときの前記第2時定数を、前記第2上限とする
ことを特徴とする。
上記課題を解決するための第19の発明に係るプラント制御調整装置は、
上記第17又は18の発明に係るプラント制御調整装置において、
前記条件設定部は、
前記カスケード判定部により前記第1システムに接続していると判断した場合、
前記第1伝達関数のステップ応答を求め、該応答が第1定常ゲインの略定常値の割合に初めて到達した時間に基づき、前記第1下限を定め、
前記カスケード判定部により前記第2システムに接続していると判断した場合、
前記第3伝達関数のステップ応答を求め、該応答が第2定常ゲインの略定常値の割合に初めて到達した時間に基づき、前記第2下限を定める
ことを特徴とする。
上記課題を解決するための第20の発明に係るプラント制御調整装置は、
上記第18又は19の発明に係るプラント制御調整装置において、
前記条件設定部は、前記時定数Trefの前記下限Tcminから前記上限Tcmaxの範囲を任意の範囲に正規化し、
前記条件設定部によって正規化された前記時定数Trefが作業者によって入力される条件入力部と、
前記カスケード判定部により前記第1システムに接続していると判断した場合、前記第1目標応答及び前記第1目標操作量の変化を前記作業者に対して表示し、前記カスケード判定部により前記第2システムに接続していると判断した場合、前記第2目標応答、前記第3目標応答及び前記第2目標操作量の変化を前記作業者に対して表示する出力表示部とをさらに備える
ことを特徴とする。
上記課題を解決するための第21の発明に係るプラント制御調整装置は、
上記第19の発明に係るプラント制御調整装置において、
前記条件設定部は、
前記カスケード判定部により前記第1システムに接続していると判断した場合、
前記第1時定数を、前記第1定常ゲインに基づき前記下限Tcminから前記上限Tcmaxの範囲において決定し、
前記カスケード判定部により前記第2システムに接続していると判断した場合、
前記第2時定数を、前記第2定常ゲインに基づき前記下限Tcminから前記上限Tcmaxの範囲において決定する
ことを特徴とする。
上記課題を解決するための第22の発明に係るプラント制御調整装置は、
上記第21の発明に係るプラント制御調整装置において、
前記条件設定部は、
前記カスケード判定部により前記第1システムに接続していると判断した場合、
前記第1目標操作量の動作点を段階的にゾーニングし、ゾーニングした領域ごとに異なる前記第1時定数を用いて前記第1目標応答を決定する
前記カスケード判定部により前記第2システムに接続していると判断した場合、
前記第2目標操作量の動作点を段階的にゾーニングし、ゾーニングした領域ごとに異なる前記第2時定数を用いて前記第3目標応答を決定する
ことを特徴とする。
上記課題を解決するための第23の発明に係るプラント制御調整装置は、
上記第22の発明に係るプラント制御調整装置において、
前記条件設定部は、前記各領域間に所定のヒステリシス特性を持たせる
ことを特徴とする。
上記課題を解決するための第24の発明に係るプラント制御調整装置は、
上記第22又は23の発明に係るプラント制御調整装置において、
前記条件入力部は、前記領域の区切りの位置を前記作業者により入力可能である
ことを特徴とする。
本発明に係るプラント制御調整装置によれば、コントローラの調整を行うに当たり、目標応答を自動生成することを可能とし、作業者の手間を大幅に省くことができる。
PIDコントローラ及びその制御対象である第1プラントにより構成されたフィードバック制御系に、本発明の実施例1に係るプラント制御調整装置が設けられた状態を示すブロック図である。 本発明の実施例1に係るプラント制御調整装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施例1に係るプラント制御調整装置の処理を示すブロック図である。 本発明の実施例1におけるプラントの単位ステップ応答を表すグラフである。 本発明の実施例1における単位ステップ入力時の時定数Trefの値に応じた目標操作量MVtの変化の一例を示すグラフである。 カスケード接続された第1PIDコントローラと第2PIDコントローラ、及び、その制御対象である第1プラントと第2プラントにより構成されたフィードバック制御系に、本発明の実施例2に係るプラント制御調整装置が設けられた状態を示すブロック図である。 本発明の実施例2に係るプラント制御調整装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施例2に係るプラント制御調整装置の処理を説明するブロック図である。 本発明の実施例2における目標応答PV1tと入力U1の関係を説明するグラフである。 本発明の実施例2における設定値SV、第1目標応答PV1t、第2目標応答PV2t、目標操作量MVtのイメージを表すグラフである。 本発明の実施例3における、シングルループの2次のプラントG1(s)に対して算出した目標操作量MVtを示したグラフである。 本発明の実施例3における、図3から抜粋した目標操作量MVtの生成過程を示すブロック図である。 本発明の実施例3における、最小時定数Tcminとしたとき、最大時定数Tcmaxのとき、Kst=1.11及びα=0.9で計算した時定数Trefのとき、それぞれの目標操作量MVtを示すグラフである。 本発明の実施例3における、カスケード接続された第1PIDコントローラと第2PIDコントローラ、及び、その制御対象である第1プラントと第2プラントにより構成されたフィードバック制御系を示すブロック図である。 本発明の実施例3における、図8から抜粋した目標操作量MVtの生成過程を示すブロック図である。 本発明の実施例3に係るプラント制御調整装置(プラント制御調整装置30)の構成を示すブロック図である。 本発明の実施例4に係るプラント制御調整装置(プラント制御調整装置40)の構成を示すブロック図である。 本発明の実施例5に係るプラント制御調整装置(プラント制御調整装置50)の構成を示すブロック図である。
以下、本発明に係るプラント制御調整装置について、実施例にて図面を用いて説明する。
[実施例1]
まず、本実施例に係るプラント制御調整装置の構成について説明する。
図1は、シングルループ接続のPIDコントローラ1及びその制御対象であるプラント2により構成されたフィードバック制御系のシステムに、本実施例に係るプラント制御調整装置(プラント制御調整装置10)が設けられた状態を示すブロック図である。
図1に示すフィードバック制御系では、まず作業者により、PIDコントローラ1に設定値SVが入力され、PIDコントローラ1はプラント2へ指令値としての操作量MVを出力する。PIDコントローラ1は、操作量MVが入力されたプラント2の計測値(プラント出力)PV1に基づき、操作量MVを変更する。
プラント制御調整装置10は、このフィードバック制御系に設けられており、操作量MV及び計測値PV1がそれぞれフィードバック制御系から分岐し、プラント制御調整装置10に入力されるようになっている。
図2は、プラント制御調整装置10の構成を示すブロック図である。図2に示すように、プラント制御調整装置10は、データ入力部11、設定読込部12、条件入力部13、記憶部14、条件記憶部14a、同定部15、最適化部16、及び、出力表示部19を備えている。また、最適化部16は、条件設定部17、及び、パラメータ最適化部18を備えている。
データ入力部11は、PIDコントローラ1から、計測値PV1及び操作量MVのデータを読み込む。設定読込部12は、PIDコントローラ1からコントローラ内の設定を読み込む。なお、ここでの「設定」とは、のちに制約条件の基となるパラメータ上限値、下限値、MVリミッタ、及び、レートリミッタ等を指す。
条件入力部13は、予め作業者によって各条件が入力される。入力された各条件は、条件記憶部14aに保存される。この各条件とは、PIDコントローラ1のパラメータに対し設定可能な範囲、制約条件、最適化手法(本実施例ではPSO(粒子群最適化))、及び、最適化そのもののパラメータとなる条件設定(パラメータは、粒子数、反復回数、探索の慣性等となる)を指す。制約条件は、MV係数、位相余裕、オーバーシュート上限値、終点誤差係数等の条件群である。なお、上記データ入力部11は、この条件入力部13において作業者が入力していない条件を読み込む仕様になっている。
そして、データ入力部11に入力された上記データは、記憶部14に保存され、設定読込部12及び条件入力部13に入力された上記設定及び上記各条件は、記憶部14内の特に条件記憶部14aに保存される。
同定部15は、上述のごとくデータ入力部11に入力され記憶部14に保存されたデータ(計測値PV1及び操作量MV)から、プラント2のシステム同定を行う。同定された同定プラントモデル(伝達関数)は、最適化部16内の条件設定部17へ出力する。
最適化部16は、同定部15から入力した同定プラントモデル(伝達関数)に基づき、PIDコントローラ1の各PID制御パラメータを調整するものである。
条件設定部17は、同定部15から入力した同定プラントモデル(伝達関数)等に基づき、計測値PV1の参照先である目標応答を生成し、生成した目標応答を記憶部14及びパラメータ最適化部18に出力する。なお、「目標応答」とは、「理想プラント(後述)に単位ステップを入力したときの応答波形」を指す。
また、条件設定部17は、上記設定及び上記各条件に基づき、重点的にパラメータ探索を行う範囲(重点探索範囲)を決定する。例えば、初期値としてジーグラー・ニコルス法(ZN法)等の古典的経験的手法によって求められる解を中心に展開する。これは同定部15により同定されたデータ(伝達関数)に応じて計算されて決定する。さらに条件設定部17は、解の初期配置を行う。すなわち、重点探索範囲内にランダムに複数の解を配置(初期解配置)する。この初期解配置は、パラメータ最適化部18へ出力する。
パラメータ最適化部18には、上述した目標応答、初期解配置、及び、上記各条件が入力される(なお、条件記憶部14aに保存された上記各条件のうち「制約条件」は、条件設定部17を介してパラメータ最適化部18へ送られる)。そして、パラメータ最適化部18は、目標応答を用いて、評価及びパラメータ探索を行うことによって、PIDコントローラ1の各PID制御パラメータの調整(最適化)を行い、最終的に決定した最適解を出力表示部19へと出力する。
出力表示部19は、後述する目標応答PV1t及び目標操作量MVtの変化、並びに、PIDコントローラ1の各PID制御パラメータの最適解を表示する。
次に、プラント制御調整装置10による主な処理について、図3のブロック図を用いて詳述する。図3では、破線によって「現実の構成」、「仮想の構成(同定したプラントモデル)」、「目標応答生成」、「理想プラント生成」、「パラメータ探索(最適化)」、及び、「仮想の構成(シミュレーションモデル)」ごとに分けて示している。
図3の「現実の構成」には現実のフィードバック制御系が示されている。このフィードバック制御系において、設定値SV、操作量MV、及び、計測値(プラント2の出力)PV1o(PV1の現実のデータ)は分かっており、それ以外(PIDコントローラ1及びプラント2の各パラメータ)については詳細不明な状態である。
≪ステップS1≫
同定部15において、記憶部14に保存された計測値PV1o及び操作量MVの実データから、図3の白抜き矢印で示すようにプラント2の同定を行い、同定プラントモデル(伝達関数)G1(s)を作成する。
≪ステップS2(図3中のS2‐1,S2‐2)≫
条件設定部17において、図3の「理想プラント生成」に示すように、同定プラントモデルの伝達関数G1(s)及びPIDコントローラ1をひっくるめた規範モデルとしての理想プラントP(s)を作成する。
具体的には、同定プラントモデルの伝達関数G1(s)の次数をN、むだ時間をLとするとき、下記(1)式のように、時定数Trefでプラント2における定常ゲインの1次遅れ伝達関数のN乗にむだ時間Lを加えた形として表すことで、その単位ステップ応答(単位ステップ信号を入力したときの応答波形)がオーバーシュートのない減衰応答となるような理想プラントP(s)を作成する。
Figure 2018180665
最初の理想プラントP(s)については、上記(1)式の時定数Trefを最小時定数(時定数の下限)Tcminとする。この点について、ステップS2‐1,S2‐2を用いて詳述する。
≪ステップS2‐1≫
まず、最小時定数Tcminの計算及び記録を行う。すなわち、条件設定部17において、第1同定プラントの伝達関数G1(s)の単位ステップ応答を求め、この応答が、図4のグラフ(縦軸がG1(s)/s、横軸が時間tを表している)に示すように、定常ゲインKst(プラント2の出力)の例えば99%(一般的には90%以上)など略定常値と見做すことのできる割合に、初めて到達した時間に、ある係数Kをかけたものを、最小時定数Tcminとする(すなわち、図4中のTcmin/Kが、定常ゲインKstの99%に到達した時間となる)。
ただし、最小時定数Tcminは、サンプリング定理により同定部15から読み込んだサンプリング時間の2倍を下限とし、係数Kは、次数によって定まる固定値で1次のとき1である。算出した最小時定数Tcminは、条件設定部17から記憶部14に記録する。
≪ステップS2‐2≫
当該ステップでは、時定数Trefを生成し、生成した時定数Trefに基づき上記(1)式から理想プラントP(s)を作成する。最初の理想プラントP(s)は、時定数Tref=最小時定数Tcminとする。
≪ステップS3≫
条件設定部17において、図3の「目標応答生成」に示すように、理想プラントP(s)に単位ステップを入力して目標応答PV1tを生成する。理想プラントP(s)の単位ステップ応答の式である下記(2)式を目標応答PV1tとする。なお、本実施例では、デジタル制御であるため、(1)(2)式は最終的に離散系に変換して演算が行われる。以後の連続系の式も全て離散系へと変換されるものとする(他の実施例も同様)。
Figure 2018180665
≪ステップS4≫
上記ステップS3と並行して、条件設定部17では、図3の「理想プラント生成」に示すように、プラント2の伝達関数G1(s)からプラント2の逆伝達特性を持つ逆伝達関数G1 -1(s)を作成する。例えばプラント2が、下記(3)式のように、むだ時間LでN=1の1次遅れ系の伝達関数G1(s)によって表されるとすれば、逆伝達関数G1 -1(s)は、逆数として表されるため下記(4)式のようになる。
Figure 2018180665
Figure 2018180665
≪ステップS5≫
条件設定部17において、図3の「理想プラント生成」に示すように、目標操作量MVtを求める。すなわち、上記ステップS4で生成した逆伝達関数G1 -1(s)により、プラント2の出力側データである(上記ステップS3で生成した)目標応答PV1tからプラント2の入力U1を逆算すると、下記(5)式のようになる。ただし、プラント2の入力側に戻ってくることで、むだ時間が打ち消されて元に戻るので、実際には目標応答PV1tを求める時点から全てのむだ時間要素を省いて計算してもよい。
Figure 2018180665
こうして求めた入力U1は、PIDコントローラ1の出力(操作量MV)の目標に相当するものであるから、この入力U1を目標操作量MVtと呼称する。
≪ステップS6(図3中のS6‐1〜S6‐3)≫
条件設定部17において、図3の「理想プラント生成」に示すように、目標応答PV1tを再設定する。目標操作量MVtは目標応答PV1tの調整目的で用い、必要があれば改めて目標応答PV1tを再設定する。この点について以下で説明する。
操作量MVは、PIDコントローラ1(制御装置)から実際にプラント2(機器)へと送られる指令値であり、一般的には、機器への急激な負荷や過負荷を避けるために、上限量(リミッタ)や変化率制限(レートリミッタ)といった制限がかけられている。
そして、これらの制限は、機器の入力側ではかけられない場合や制限をかける仕組みそのものが存在しない場合があるため、必ずPIDコントローラ1の出力側すなわち操作量MVに、制限がかけられるような仕組みになっている。
特に、急変を好まないプロセス制御などでは、MVの上下限と変化率制限等、強い制約条件がかけられている場合や、あるいは推奨動作範囲として上限警報が存在する場合もある。
ところで、上述した如く目標応答PV1tは、単位ステップ入力、すなわち、ゼロから100%へといわゆる全開のステップ入力、最大の変化幅に対する目標出力であるから、目標応答PV1tから逆算した目標操作量MVtには、これらの強い制約条件がひっかかる。したがって、目標操作量MVtは、パラメータ探索の評価に直接用いるのではなく、時定数Trefの生成に用いる。
≪ステップS6‐1≫
条件設定部17において、図3の「理想プラント生成」に示すように、上記ステップS5で生成した目標操作量MVt(の時系列データ)が制約条件を満たすか否かを判断する。
≪ステップS6‐2≫
条件設定部17において、上記ステップS6‐1で操作量MVが制約条件を満たさないと判断した場合は、時定数Trefを増加させる。その後、増加させた時定数Trefに基づき再度理想プラントP(s)を作成し、この再度生成した理想プラントP(s)を基にステップS3,S5で説明した処理を再度行い、目標応答PV1t及び目標操作量MVtを再度生成する。
≪ステップS6‐3≫
ステップS6‐1,S6‐2の説明の如くの生成を繰り返し、制約条件を満たすようになった操作量MVを、目標操作量MVtのピーク値の下限と見做し、このときの時定数Trefを、最大時定数(時定数の上限)Tcmaxとして記憶部14に記録する。
したがって、時定数Trefを最大時定数Tcmaxとしたときの目標操作量MVtは、設定値SVがステップ入力という極端な入力の場合であっても制約条件にひっかからないことになる(これは、どのような設定値SVに対してもプラント制御調整装置10による調整を適用することができることを意味する)。
設定値SVがステップ入力の場合、時定数Trefの値が最大時定数Tcmax以外では、制約条件にひっかかる。ただし、実際には、設定値SVとしてステップ入力が行われることは殆どないため、設定値SVの値に応じて時定数Trefの値を決めればよい。
もし、操作量MVの上限も変化率制限も特に定めていないような場合であったとしても、機器側の入力が100%までと見做してMV上限も入力の100%に相当する値を用いることで、最大時定数Tcmaxを一旦設定する。一方で、目標操作量MVtのピーク値の上限は最小時定数Tcminを用いた場合とする。
したがって、理想プラントP(s)の時定数Trefは、下記(6)式のようにαというパラメータ1つで表すことができる。
Figure 2018180665
このように、パラメータα、最小時定数Tcmin、及び、最大時定数Tcmaxから、理想プラントP(s)を表す(1)式における時定数Trefを生成する処理が、本実施例の特徴である。
図5は、理想プラントP(s)に単位ステップを入力したときの時定数Trefの値に応じた目標操作量MVtの変化の一例を示すグラフである。このグラフの横軸は時間、縦軸は振幅を表し、曲線Aはα=1、曲線Cはα=0、曲線Bはその間(0<α<1)をそれぞれ表している。
上記(6)式において、α=1のときTref=Tcmaxとなる。このとき、曲線Aに示すように、PIDコントローラ1が抑制を効かせた非常にゆっくりとした目標応答が設定される。
また、上記(6)式において、α=0のときTref=Tcminとなる。このとき、曲線Cに示すように、PIDコントローラ1に関係なく同定プラントの時定数から決まる早い目標応答が設定される。
なお、パラメータαは、図2の条件入力部13において、作業者によって例えば「α=0.5」という形で予め入力される。
また、最大時定数Tcmaxを求めてしまえば、目標応答生成自体の演算量は少ないため、パラメータαを、例えばスライダ入力によって0〜1の間で動かし、そのときの目標応答PV1t及び目標操作量MVtの変化を、出力表示部19にアニメーション表示させるなどすることもできる。最終的には、出力表示部19で表示された波形を作業者が見て、パラメータαを決定する。
すなわち、条件設定部17は、時定数TrefのTcminからTcmaxの範囲を0から1の値(任意の値に適宜変更してもよい)に正規化する。また、条件入力部13は、正規化された時定数Trefが作業者によって入力されるものである。さらに、出力表示部19は、目標応答PV1t及び目標操作量MVtの変化を作業者に対して表示する。
これによって、従来技術では、作業者が膨大な組み合わせの中から目標応答PV1tを決定しなければならなかったのに対し、プラント制御調整装置10では、作業者がパラメータαのみを決めれば目標応答PV1tを決定することができるものである。
さらに、最大時定数Tcmax自体も、反復計算とはいえシミュレーションを行わないことから、極短時間で終了するため、最大時定数Tcmaxの生成条件である操作量MVへの制約条件ごと変更するような仕組みにしてもよい。
上述のようにして、条件設定部17は、目標応答PV1tを生成し図3に示した如く生成した目標応答PV1tをパラメータ最適化部18へ出力する。そして、条件設定部17から目標応答PV1t、絶対範囲、初期解位置、及び、制約条件が、さらに、記憶部14からPV1が、それぞれ入力されたパラメータ最適化部18により、パラメータの探索、及び、最適化パラメータの決定を行う。下記ステップS7〜S9は、このパラメータ最適化部18の処理についてのものである。
≪ステップS7≫
パラメータ最適化部18において、図3の「仮想の構成(シミュレーションモデル)」に示すように、最適化されたPIDコントローラ1のパラメータ(制御モデル)C1(s)、及び、同定プラントモデルの伝達関数G1(s)を用いて、上記「現実の構成」に対応したシミュレーションモデルを構築し、このシミュレーションモデルに対して単位ステップ入力を行い、単位ステップ応答(図3中のプラント出力)PV1を求める。
≪ステップS8≫
パラメータ最適化部18において、図3の「パラメータ探索(最適化)」に示すように、上記ステップS7で求めた単位ステップ応答PV1(の時系列データ)と、上記ステップS3で求めた目標応答PV1t(の時系列データ)との残差平方和を演算し、これを最適化の評価関数とする。
≪ステップS9≫
パラメータ最適化部18において、図3の「パラメータ探索(最適化)」に示すように、上記ステップS8で求めた最適化の評価関数に基づき、制御モデルC1(s)のPIDパラメータを変更する。
変更した制御モデルC1(s)に基づき、再度上記ステップS7〜S8を行う。そして、上記ステップS7〜S9の処理を繰り返し行うことで、PIDコントローラ1の最適化パラメータを求め、現実のPIDコントローラ1に出力する(図3中の破線矢印「最適化パラメータ」)。
以上がプラント制御調整装置10による主な処理の説明である。
このように、最も演算負荷の高い最適化演算は、図3の「仮想の構成(シミュレーションモデル)」と「パラメータ探索(最適化)」をフィードバックループする形で行われるが、本実施例においては、目標応答PV1tの生成はそれ以前に行われ、このループの外にあること、またその演算量自体も低いことから、全体の演算時間に悪影響を与えない。
このようにしてプラント制御調整装置10は、同定したプラントの次数Nとむだ時間に基づいて1次遅れのN乗+むだ時間で表すことで、時定数のみで調節可能な目標応答について、同定したプラントの時定数によって定まる下限(最小時定数)と、コントローラ出力に対する制限(制約条件)によって定まる上限(最大時定数)を用いた時定数を正規化し、作業者は、プラントがどの程度の時定数で動くかという知識がなくても、速いか遅いかという相対的な割合の指示(例えばスライダなど)によって目標応答を定めることができる。
[実施例2]
実施例1では、対象とするフィードバック制御系が単一のコントローラ(PIDコントローラ1)のみの構成であったが、本実施例は、2つのコントローラ(第1PIDコントローラ3及び第2PIDコントローラ4)がカスケード接続された場合を想定したものである。
まず、本実施例に係るプラント制御調整装置の構成について説明する。
図6は、カスケード接続された第1PIDコントローラ3と第2PIDコントローラ4、及び、その制御対象である第2プラント6と第1プラント5(接続順に記載)により構成されたフィードバック制御系のシステムに、本実施例に係るプラント制御調整装置(プラント制御調整装置20)が設けられた状態を示すブロック図である。
本実施例では、図6中に破線枠で示すように、第1プラント5と第2プラント6とを1つのプラント構成と見做す。設定値SVはこのプラント構成の計測値PV1に対する目標値であり、このプラント構成へ出力される操作量はMV2となる。この外側のフィードバックループを、「メジャーループ」又は「外ループ」と呼称する。一方、内側のループ、すなわち、第1PIDコントローラ3の出力MV1を、第2プラント6の計測値PV2に対する目標値と見做し、第2プラント6への出力が操作量MV2となるループを、「マイナーループ」又は「内ループ」と呼称する。
プラント制御調整装置20は、このフィードバック制御系に設けられており、操作量MV2、及び、計測値PV1,PV2が、それぞれフィードバック制御系から分岐し、プラント制御調整装置20に入力されるようになっている。
図7は、プラント制御調整装置20の構成を示すブロック図である。図7に示すように、プラント制御調整装置20は、データ入力部21、設定読込部22、条件入力部23、記憶部24、条件記憶部24a、同定部25、最適化部26、及び、出力表示部29を備えている。また、最適化部26は、条件設定部27、及び、パラメータ最適化部28を備えている。
上記各構成は、基本的には実施例1におけるデータ入力部11、設定読込部12、条件入力部13、記憶部14、条件記憶部14a、同定部15、最適化部16、条件設定部17、パラメータ最適化部18、及び、出力表示部19にそれぞれ対応している。
ただし、本実施例では2つのPIDコントローラを制御するため、一部の処理が実施例1と異なる。すなわち、最適化パラメータが2組になり、プラントも2つあるため、同定プラントも2つ、逆伝達関数も2つとなる。よって、例えば最適化部26は、同定部25から入力した2つの伝達関数(後述の伝達関数G1(s),G2(s))に基づき、第1PIDコントローラ3及び第2PIDコントローラ4の各PID制御パラメータを調整するものである。
なお、計測値PVも2つになるため、目標応答も2つになるが、原則メジャーループの第1目標応答PV1tにあわせることを第1の目標とし、マイナーループの第2目標応答PV2tは優先度を下げた第2の目標とする。これらの点について、以下で説明する。
図8は、プラント制御調整装置20による主な処理を説明するブロック図である。図8では、実施例1の図3同様、破線によって「現実の構成」、「仮想の構成(同定したプラントモデル)」、「目標応答生成」、「理想プラント生成」、「パラメータ探索(最適化)」、及び、「仮想の構成(シミュレーションモデル)」ごとに分けて示している。
図8の「現実の構成」には現実のフィードバック制御系が示されている。このフィードバック制御系において、設定値SV、操作量MV2、及び、計測値(プラント2の出力)PV1o,PV2o(それぞれPV1,PV2の現実のデータ)はデータ入力部11から入力されるものであり、設定値SVは作業者が設定するものであり、それ以外の要素(PIDコントローラ3,4及びプラント5,6の各パラメータ)については詳細不明な状態である。
≪ステップS1A≫
同定部25において、記憶部24に保存された計測値PV1及び計測値PV2の実データから、図8の白抜き矢印で示すように、第1プラント5の同定を行い第1同定プラントモデル(伝達関数)G1(s)を作成し、それと並行して、記憶部24に保存された計測値PV2及び操作量MV2の実データから、図8の白抜き矢印で示すように、第2プラント6の同定を行い第2同定プラントモデル(伝達関数)G2(s)を作成する。
≪ステップS2A(図8中のS2A‐1,S2A‐2)≫
本実施例では、条件設定部27において、第1プラント5と第2プラント6の2つをかけあわせたプラント伝達関数G1(s)G2(s)を基に、プラントの規範モデルとなる理想プラントP(s)を作成する(図8の「理想プラント生成」)。下記(7)式のように、次数Nには第1プラント5と第2プラント6の次数N1,N2の和を用い、むだ時間Lも同様にL1,L2の和を用いる。
Figure 2018180665
実施例1同様、最初の理想プラントP(s)については、上記(7)式の時定数Trefを最小時定数Tcminとする。この点について、ステップS2A‐1,S2A‐2を用いて詳述する。
≪ステップS2A‐1≫
まず、最小時定数Tcminの計算及び記録を行う。最小の時定数Tcminを算出する際には、第1プラント5と第2プラント6の時定数を比較し、時定数が小さい、つまり高速な応答のみを採用する。ここではマイナーループ側を高速とした場合を想定し、第2同定プラントの伝達関数G2(s)の単位ステップ応答(の時系列データ)を採用する。
そして、第2同定プラントの伝達関数G2(s)の単位ステップ応答を求め、実施例1同様、この応答が定常ゲインの略定常値と見做すことのできる割合に初めて到達した時間に、ある係数Kをかけたものを、最小時定数Tcminとする。算出した最小時定数Tcminは、条件設定部27から記憶部24に記録する。
≪ステップS2A‐2≫
当該ステップでは、時定数Trefを生成し、生成した時定数Trefに基づき理想プラントP(s)を作成する。なお、ここで言う理想プラントP(s)は、第1プラント5と第2プラント6の合計の次数と、同合計のむだ時間、片方のプラント(この場合はマイナーループである第2プラント6)の最小時定数を用いて、「存在しないが出力だけみれば理想形」というプラントを仮定したものである。最初の理想プラントP(s)(上記(7)式)は、時定数Tref=最小時定数Tcminとして求める。
≪ステップS3A≫
条件設定部27において、図8の「目標応答生成」に示すように、理想プラントP(s)に単位ステップを入力して計測値PV1の目標となる第1目標応答PV1tを生成する。理想プラントP(s)の単位ステップ応答の式である下記(8)式を第1目標応答PV1tとする。
Figure 2018180665
≪ステップS4A≫
上記ステップS3Aと並行して、条件設定部27において、図8の「目標応答生成」に示すように、第1プラント5の伝達関数G1(s)から第1プラント5の逆伝達特性を持つ逆伝達関数G1 -1(s)を、第2プラント6の伝達関数G2(s)から第2プラント6の逆伝達特性を持つ逆伝達関数G2 -1(s)を、それぞれ生成する。
≪ステップS4A´≫
さらに、条件設定部27において、図8の「目標応答生成部」に示すように、第1目標応答PV1t及び逆伝達関数G1 -1(s)から、第2目標応答PV2tを求める。
≪ステップS5A≫
条件設定部27において、図8の「理想プラント生成」に示すように、目標操作量MVtを求める。まず、実施例1と同様にして第1プラント5の入力U1を求める。仮に第1プラント5の伝達関数G1(s)が実施例1の(3)式で表されるならば、第1プラント5の入力U1は下記(9)式のようになる。すなわち、理想プラントP(s)のステップ応答に対し、伝達関数G1(s)から求めた(実施例1の(4)式で表される)第1逆伝達関数G1 -1(s)より逆算して、第1プラント5の入力U1を求める。なお、実施例1と異なり、むだ時間が残っているのは、第1プラント5と第2プラント6のうち第1プラント5の分だけしか逆算で遡っていないからである。
Figure 2018180665
ここでは進み処理を行わなければならないので、むだ時間分のサンプル数を「第1目標応答PV1tの時系列データ」の「冒頭」から取り除き、取り除いた数だけ、該データの「末尾」に「該データの末尾の値」をコピーして追加する。簡単のために第1プラント5がむだ時間1秒だけ、すなわちG1(s)=e-sと仮定した場合には、第1目標応答PV1tと入力U1の関係は図9に示すグラフのようになる。このグラフの横軸は時間、縦軸は振幅を表し、第1目標応答PV1tに関するグラフと入力U1に関するグラフとを対比させており、入力U1が第1目標応答PV1tより1秒分進んでいることが示されている。
図8の「仮想の構成(シミュレーションモデル)」に示すように、第1プラント5の入力U1は、第2プラント6にとっては出力PV2であり、特に第1目標応答PV1tから逆算したので、第2プラント6の出力(計測値PV2)の参照先である第2目標応答PV2tとなる。同様にして、第2プラントへの入力U2は、この第2目標応答PV2tから逆算して求められる。
第2プラント6も第1プラント5と同じく1次遅れ系だとすれば、入力U2は下記(10)式のようになる。入力U2はむだ時間が消滅するので、実施例1の入力U1と同様に、最初からむだ時間を省いて直接求めてもよい。この入力U2は第2PIDコントローラ4の出力MV2でもあるので、入力U2を目標操作量MVtと呼称する。
Figure 2018180665
図10は、設定値SV、第1目標応答PV1t、第2目標応答PV2t、目標操作量MVtのイメージを表すグラフである。縦軸は振幅を表し、横軸は時間を表す。図10の白抜き矢印で示すように、最終的なステップ応答PV1の第1目標応答PV1tをまず決定し、第1目標応答PV1tの(逆伝達関数G1 -1(s)を用いた)逆算から第2目標応答PV2tを決定し、さらに、第2目標応答PV2tの(逆伝達関数G2 -1(s)を用いた)逆算から目標操作量MVtを決定する。一方で設定値SVのステップ信号が、これから調整を行う第1PIDコントローラ3及び第2PIDコントローラ4に入り、操作量MVが出力される。
この2つのコントローラを調整することで、操作量MV=目標操作量MVtとなれば理想的であるが、実際には同定した伝達関数モデルG1(s),G2(s)が近似式であるため、目標操作量MVtの方が正確ではなく、いわゆるモデル誤差が含まれていることや、目標操作量MVtがFBループを考慮していないことなどによって、操作量MVと目標操作量MVtを合わせても最も肝心な計測値PV1と第1目標応答PV1tとの間で大きなズレが生じてしまう。
よって、第1目標応答PV1tは最優先の第1の目標、第2目標応答PV2tは優先度を下げた第2の目標とし、MVtは実施例1と同様にTcmaxの算出にのみ用いる。カスケード接続においても実施例1と同じように第1目標応答PV1tのみを目標としても良いが、第2目標応答PV2tは第2の目標であると同時に第1の目標への中間地点でもあり、特にカスケード接続時の探索パラメータ空間は、実施例1のような単一コントローラ構成に比べて遥かに広大であり、しかも、マイナーループを構成する第2PIDコントローラ4のパラメータ探索の方向性は、第1目標応答PV1tを目標に定めるだけでは無数に存在してしまうので、本実施例では、第2目標応答PV2tという指針を設けることにより、より精度の高いパラメータ探索を可能としている。
≪ステップS6A≫
条件設定部27において、目標応答PV1t,PV2tを再設定する。上述のごとく目標操作量MVtは目標応答PV1t,PV2tの調整目的で用い、必要があれば改めて目標応答PV1t,PV2tを再設定する。すなわち、実施例1同様、目標操作量MVtは、パラメータ探索の評価に直接用いるのではなく、時定数Tref(特に最大時定数Tcmax)の生成に用いる。この点については、実施例1のステップS6‐1〜S6‐3と同様である。この点につき、以下詳述する。
まず、伝達関数G2(s)から求めた第2逆伝達関数G2 -1(s)、及び、目標応答PV2tに基づき、操作量MV2の参照先である目標操作量MVtを求め、この目標操作量MVtが第2PIDコントローラ4の制約条件を満たすか否かを判断する。
制約条件を満たさないと判断した場合は、時定数Trefを増加させ、増加させた時定数Trefに基づき再度理想プラントP(s)を作成し、再度生成した理想プラントP(s)に基づき、第2目標応答PV2t及び目標操作量MVtを再度生成する。
このようにして生成を繰り返し、制約条件を満たすようになった目標操作量MVtを、目標操作量MVtのピーク値の下限と見做し、このときの時定数Trefを、最大時定数Tcmaxとする。
以上がプラント制御調整装置20による主な処理の説明である。
なお、パラメータ最適化部28においては、第1目標応答PV1t及び第2目標応答PV2tに基づき、第1PIDコントローラ3及び第2PIDコントローラ4の各PID制御パラメータを調整する。その詳細については、実施例1におけるステップS7〜S9と同様の概念を用いれば良いため、ここでは説明を省略する。
すなわち、条件設定部27は、時定数TrefのTcminからTcmaxの範囲を0から1の値(任意の値に適宜変更してもよい)に正規化する。また、条件入力部23は、正規化された時定数Trefが作業者によって入力されるものである。さらに、出力表示部29は、目標応答PV1t、目標応答PV2t及び目標操作量MVtの変化を、作業者に対して表示する。
本実施例は、基本的には実施例1の場合と同様の処理を行うが、プラントが2段になったことで、最小時定数Tcminを求める際に基になるプラントを一つ選択する必要があること、またプラント同様に逆伝達関数が2段になり、計測値PV1,PV2それぞれの第1目標応答PV1tと第2目標応答PV2tを求めることの2点が特に異なる。
このようにしてプラント制御調整装置20は、カスケード接続の場合においても実施例1同様に目標応答を定めることができ、またマイナーループにも第2の目標応答を作ることで、より精度の高いパラメータ探索を可能とするものである。
[実施例3]
本実施例では、実施例1,2と同様に目標応答の最小時定数Tcminと最大時定数Tcmaxを求め(6)式で表す。一般的に制御ゲインが高い方が外乱抑制性能を高くできるため、常に最小時定数Tcminを選択するようにα=0にしてもよいが、最小時定数Tcminが厳密な速度上限を示していないとき、最適化アルゴリズムによっては最適化の結果が不安定になってしまうことがあるため、達成可能な目標となるようにαを選択することが重要となる。
図11は下記(11)式で表されるシングルループの2次のプラントG1(s)に対して算出した目標操作量MVtを示したグラフであり、縦軸が振幅、横軸が時間を表している。このとき収束する最終値をMV0とする。
Figure 2018180665
図12に図3から抜粋した目標操作量MVtの生成過程を示す。2次の理想プラントP(s)は下記(12)式で表され、これは定常時(s→0)において1になる。
Figure 2018180665
逆伝達関数G1 -1(s)は上記(11)式の逆数であるから定常時において1/K1となり、下記(13)式で表されるようにMV0=1/K1となる。
Figure 2018180665
したがって、定常ゲインKst=K1が小さいときMV0が大きくなる、すなわちコントローラの制御ゲインの影響が相対的に大きくなる(図11中のKst=1.11=1/0.9の曲線)。しかし全開までの余裕が少ない(図11中の一点鎖線両矢印)ので、小さく動かすことが求められる。よって低い制御ゲインが向くプラントである。
逆にMV0が小さくなる場合、制御ゲインがプラントゲインに対して相対的に小さいので、制御対象に与える影響も小さくなっており(図11中のKst=3.33=1/0.3の曲線)、また、操作量全開までは余裕がある(図11中の二点鎖線両矢印)。つまり速く大きい制御ゲインが向いたプラントである。
そこで、定常ゲインKstを用いて下記(14)式のようにα=1/Kstとする。このときMVtからMV0を求めてもよいが、最終値が一定ではない振動系プラントの場合も存在するため、同定したプラントデータから直接定常ゲインKstを求める。
Figure 2018180665
図13は、最小時定数Tcminとしたとき、最大時定数Tcmaxのとき、Kst=1.11及びα=0.9で計算した時定数Trefのとき、それぞれの目標操作量MVtを示すグラフであり、縦軸は振幅、横軸は時間を表している。
一般的に定常ゲインKst≧1であるためα≦1であるが、仮にα>1となっても最大時定数Tcmaxは十分に遅いものとして便宜上定めた上限であるので、これを突破してさらに遅くなってもよい。
逆にプラントが積分系(1/sを含む系)の場合は、Kst=∞(MV0=0)となって常に最小時定数Tcminそのものが選択されてしまうため、この手法は適さない。
ただしプラントの実際の入出力条件がシステム同定に影響し、同定したプラントがほぼ純粋な積分系にならないためMV0=0となることは少なく、さらに、プラントのシステム同定を行う際に常に1次遅れ以上の形で同定を行うとすることで、この手法を適用できる。
カスケード接続時は、図14に示すようにメジャーループとマイナーループのプラント1,2それぞれに定常ゲインK1,K2があるが、MVtから目標応答PV1tへのプラント全体で見るため、定常ゲインKst=K1×K2とする。これはシングルループの場合と同様、MV0の逆数である(図8から抜粋した目標操作量MVtの生成過程である図15参照)。したがってカスケード接続時においても時定数Trefを決定することができる。
図16は、本実施例に係るプラント制御調整装置(プラント制御調整装置30)のブロック図である。図16に示すように、プラント制御調整装置30は、データ入力部31、設定読込部32、条件入力部33、記憶部34、条件記憶部34a、同定部35、最適化部36、及び、出力表示部39を備えている。また、最適化部36は、条件設定部37、及び、パラメータ最適化部38を備えている。
条件設定部37は、実施例1,2の図3,8において作業者がαを入力する代わりに装置自体で1/Kstを用い、実施例1,2同様の処理を行う。したがって、出力表示部39は、PIDコントローラの最適解のみを表示するものとしてもよい。そして、その他の構成及び処理については、実施例1あるいは実施例2と同様とする。
このようにプラント制御調整装置30では、定常ゲインKstというシステム固有のパラメータから理想プラントモデルの時定数Trefを自動的に決定することができ、作業者による指示を必要とせずに目標応答を定めることができる。
なお、本実施例及び下記実施例4は、実施例1,2のみならず、下記実施例5にも適用することが可能である。
[実施例4]
本実施例では、実施例3におけるプラント制御調整装置が、オンラインで自己診断を行い、かつ、MVの動作点が頻繁に変化するシステムである場合、この動作点が多少ずれたとしても基準となる時定数を変更しないことで、評価基準がぶれないようにするものである。
図17は、本実施例に係るプラント制御調整装置(プラント制御調整装置40)の構成を説明するブロック図である。図17に示すように、プラント制御調整装置40は、データ入力部41、設定読込部42、条件入力部43、記憶部44、条件記憶部44a、同定部45、最適化部46、及び、出力表示部49を備えている。また、最適化部46は、条件設定部47、及び、パラメータ最適化部48を備えている。以下では、上記各実施例と重複する説明は省略する。
本実施例では、MVの動作点を段階的にゾーニングし、各ゾーンで目標応答を固定する。具体的にはたとえば0〜30%、30〜90%、90〜100%の3つのゾーンに分け、条件設定部47によって、同定プラントデータから求まる定常ゲインKstがこれらのゾーンのいずれに属するか、前回判定時からゾーンの変更があるかを判定し、ゾーンに変更があれば新規に時定数Trefを算出して記憶部44で保存し、同一のゾーンであればこの記憶部44にて保存した時定数Trefを使用する。
さらにゾーンの切り替え部分においてチャタリングのような動作を防ぐため、ゾーンの区切りには5〜10%程度のヒステリシス特性を持たせる。またゾーンの区切りは条件入力部43にて操作者が予め入力し、たとえば30%と70%に変更することもできる。
カスケード接続の場合は、目標応答PV1tのみを固定し、そこから逆算される目標応答PV2tや目標操作量MVtがプラント同定の結果次第で変化する。よってマイナーループ側の変化に対しては鈍く、必要以上に目標応答を変更されにくい。
このように本実施例では、自己診断機能を持つなど、頻繁にデータ取得と診断が行われる場合でも、目標応答を自動的に決定かつ記憶して、頻繁に変更しないようにすることを特徴とする。
このようにして本実施例では、実施例3において、自己診断機能を持つ装置の場合であっても、自己診断機能を阻害しないように、時定数そして目標応答を自動的に定めることができる。
[実施例5]
実施例1では、対象とするフィードバック制御系のシステムが単一のコントローラ(PIDコントローラ1)のみの構成であり、実施例2では、対象とするフィードバック制御系のシステムが2つのコントローラ(第1PIDコントローラ3及び第2PIDコントローラ4)からなる構成であった。本実施例に係るプラント制御調整装置は、いずれのシステム(上記実施例1〜4)にも適用できるものである。
本実施例に係るプラント制御調整装置の構成について説明する。
図18は、本実施例に係るプラント制御調整装置(プラント制御調整装置50)の構成を示すブロック図である。図18に示すように、プラント制御調整装置50は、データ入力部51、設定読込部52、条件入力部53、記憶部54、条件記憶部54a、同定部55、最適化部56、出力表示部59、及び、カスケード判定部60を備えている。また、最適化部56は、条件設定部57、及び、パラメータ最適化部58を備えている。
カスケード判定部60では、記憶部54に保存されたデータ数(プラント出力値(計測値)及びのコントローラから出力された操作量の数)に基づき、プラント制御調整装置50が接続したフィードバック制御系が、1ループであるか、カスケード接続されたループであるかを判断する。
カスケード判定部60にて、フィードバック制御系がシングルループであると判断した場合、同定部55、条件設定部57及びパラメータ最適化部58は、実施例1における同定部15、条件設定部17及びパラメータ最適化部18と同様の処理(図3参照)を行う。また、カスケード判定部60にて、フィードバック制御系がカスケード接続されたループであると判断した場合、同定部55、条件設定部57及びパラメータ最適化部58は、実施例2における同定部25、条件設定部27及びパラメータ最適化部28と同様の処理(図8参照)を行う。
具体的には、カスケード判定部60の判断結果は同定部55へ出力され、同定部55において、この判定結果に基づき、1つ又は2つの伝達関数を作成する。条件設定部57及びパラメータ最適化部58は、入力された伝達関数の数に基づき、図3に示す1ループ用の処理、又は、図8に示すカスケード接続されたループ用の処理を行う。
このようにしてプラント制御調整装置50は、接続したフィードバック制御系のシステムが、シングルループであっても、カスケード接続されたループであっても、適用することが可能となる。
本発明は、プラント制御調整装置として好適である。
1 PIDコントローラ
2 プラント
3 第1PIDコントローラ
4 第2PIDコントローラ
5 第1プラント
6 第2プラント
10 実施例1に係るプラント制御調整装置
20 実施例2に係るプラント制御調整装置
30 実施例3に係るプラント制御調整装置
40 実施例4に係るプラント制御調整装置
50 実施例5に係るプラント制御調整装置
11 実施例1におけるデータ入力部
21 実施例2におけるデータ入力部
31 実施例3におけるデータ入力部
41 実施例4におけるデータ入力部
51 実施例5におけるデータ入力部
12 実施例1における設定読込部
22 実施例2における設定読込部
32 実施例3における設定読込部
42 実施例4における設定読込部
52 実施例5における設定読込部
13 実施例1における条件入力部
23 実施例2における条件入力部
33 実施例3における条件入力部
43 実施例4における条件入力部
53 実施例5における条件入力部
14 実施例1における記憶部
24 実施例2における記憶部
34 実施例3における記憶部
44 実施例4における記憶部
54 実施例5における記憶部
14a 実施例1における条件記憶部
24a 実施例2における条件記憶部
34a 実施例3における条件記憶部
44a 実施例4における条件記憶部
54a 実施例5における条件記憶部
15 実施例1における同定部
25 実施例2における同定部
35 実施例3における同定部
45 実施例4における同定部
55 実施例5における同定部
16 実施例1における最適化部
26 実施例2における最適化部
36 実施例3における最適化部
46 実施例4における最適化部
56 実施例5における最適化部
17 実施例1における条件設定部
27 実施例2における条件設定部
37 実施例3における条件設定部
47 実施例4における条件設定部
57 実施例5における条件設定部
18 実施例1におけるパラメータ最適化部
28 実施例2におけるパラメータ最適化部
38 実施例3におけるパラメータ最適化部
48 実施例4におけるパラメータ最適化部
58 実施例5におけるパラメータ最適化部
19 実施例1における出力表示部
29 実施例2における出力表示部
39 実施例3における出力表示部
49 実施例4における出力表示部
59 実施例5における出力表示部
60 実施例5におけるカスケード判定部

Claims (24)

  1. PIDコントローラ及びプラントからなるシングルループのシステムに接続されるプラント制御調整装置であって、
    前記PIDコントローラから出力される操作量MV、及び、前記プラントの計測値PV1に基づき、前記プラントの伝達関数G1(s)を求める同定部と、
    前記同定部から入力した前記伝達関数G1(s)に基づき、前記PIDコントローラの各PID制御パラメータを調整する最適化部とを備え、
    前記最適化部は、
    前記操作量MVに対する制約条件に基づき上限Tcmaxを定め、前記伝達関数G1(s)のステップ応答に基づき下限Tcminを定め、該上限Tcmaxと該下限Tcminとの範囲内で決定された時定数Trefから、前記プラントの規範モデルとなる理想プラントP(s)を作成し、該理想プラントP(s)のステップ応答として、前記計測値PV1の目標応答PV1tを生成する条件設定部と、
    前記目標応答PV1tに基づき、前記PIDコントローラの前記各PID制御パラメータを調整するパラメータ最適化部とを備える
    ことを特徴とするプラント制御調整装置。
  2. 前記条件設定部は、
    前記伝達関数G1(s)から求めた逆伝達関数G1 -1(s)、及び、前記目標応答PV1tに基づき、前記操作量MVの目標操作量MVtを求め、該目標操作量MVtが前記PIDコントローラの制約条件を満たすか否かを判断し、
    前記制約条件を満たさないと判断した場合は、前記時定数Trefを増加させ、増加させた該時定数Trefに基づき再度前記理想プラントP(s)を作成し、再度生成した前記理想プラントP(s)に基づき、前記目標応答PV1t及び前記目標操作量MVtを再度生成し、
    前記生成を繰り返し、前記制約条件を満たすようになった前記目標操作量MVtを、前記目標操作量MVtのピーク値の下限と見做し、このときの前記時定数Trefを、前記上限Tcmaxとする
    ことを特徴とする請求項1に記載のプラント制御調整装置。
  3. 前記条件設定部は、前記伝達関数G1(s)のステップ応答を求め、該応答が定常ゲインの略定常値の割合に初めて到達した時間に基づき、前記下限Tcminを定める
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のプラント制御調整装置。
  4. 前記条件設定部は、前記時定数Trefの前記下限Tcminから前記上限Tcmaxの範囲を任意の範囲に正規化し、
    前記条件設定部によって正規化された前記時定数Trefが作業者によって入力される条件入力部と、
    前記目標応答PV1t及び前記目標操作量MVtの変化を前記作業者に対して表示する出力表示部とをさらに備える
    ことを特徴とする請求項2又は3に記載のプラント制御調整装置。
  5. 前記条件設定部は、前記時定数Trefを、前記定常ゲインに基づき前記下限Tcminから前記上限Tcmaxの範囲において決定する
    ことを特徴とする請求項3に記載のプラント制御調整装置。
  6. 前記条件設定部は、前記目標操作量MVtの動作点を段階的にゾーニングし、ゾーニングした領域ごとに異なる前記時定数Trefを用いて前記目標応答PV1tを決定する
    ことを特徴とする請求項5に記載のプラント制御調整装置。
  7. 前記条件設定部は、前記各領域間に所定のヒステリシス特性を持たせる
    ことを特徴とする請求項6に記載のプラント制御調整装置。
  8. 前記条件入力部は、前記領域の区切りの位置を前記作業者により入力可能である
    ことを特徴とする請求項6又は7に記載のプラント制御調整装置。
  9. 第1PIDコントローラ、第2PIDコントローラ、第2プラント、第1プラントの順にカスケード接続されたシステムに接続されるプラント制御調整装置であって、
    前記第1プラントの第1計測値PV1及び前記第2プラントの第2計測値PV2に基づき、前記第1プラントの第1伝達関数G1(s)を求め、前記第2PIDコントローラから出力される操作量MV2及び前記第2計測値PV2に基づき、前記第2プラントの第2伝達関数G2(s)を求める同定部と、
    前記同定部から入力した前記第1伝達関数G1(s)及び前記第2伝達関数G2(s)に基づき、前記第1PIDコントローラ及び前記第2PIDコントローラの各PID制御パラメータを調整する最適化部とを備え、
    前記最適化部は、
    前記操作量MV2に対する制約条件に基づき上限Tcmaxを定め、前記第2伝達関数G2(s)のステップ応答に基づき下限Tcminを定め、該上限Tcmaxと該下限Tcminとの範囲内で決定された時定数Trefから、規範モデルとなる理想プラントP(s)を作成し、該理想プラントP(s)のステップ応答として、前記第1計測値PV1の第1目標応答PV1tを生成し、該理想プラントP(s)のステップ応答に対し、前記第1伝達関数G1(s)から求めた第1逆伝達関数G1 -1(s)より逆算して、前記第2計測値PV2の第2目標応答PV2tを生成する条件設定部と、
    前記第1目標応答PV1t及び前記第2目標応答PV2tに基づき、前記第1PIDコントローラ及び前記第2PIDコントローラの前記各PID制御パラメータを調整するパラメータ最適化部とを備える
    ことを特徴とするプラント制御調整装置。
  10. 前記条件設定部は、
    前記第2伝達関数G2(s)から求めた第2逆伝達関数G2 -1(s)、及び、前記第2目標応答PV2tに基づき、前記操作量MV2の目標操作量MVtを求め、該目標操作量MVtが前記第2PIDコントローラの制約条件を満たすか否かを判断し、
    前記制約条件を満たさないと判断した場合は、前記時定数Trefを増加させ、増加させた該時定数Trefに基づき再度前記理想プラントP(s)を作成し、再度生成した前記理想プラントP(s)に基づき、前記第2目標応答PV2t及び前記目標操作量MVtを再度生成し、
    前記生成を繰り返し、前記制約条件を満たすようになった前記目標操作量MVtを、前記目標操作量MVtのピーク値の下限と見做し、このときの前記時定数Trefを、前記上限Tcmaxとする
    ことを特徴とする請求項9に記載のプラント制御調整装置。
  11. 前記条件設定部は、前記第2伝達関数G2(s)のステップ応答を求め、該応答が定常ゲインの略定常値の割合に初めて到達した時間に基づき、前記下限Tcminを定める
    ことを特徴とする請求項9又は10に記載のプラント制御調整装置。
  12. 前記条件設定部は、前記時定数Trefの前記下限Tcminから前記上限Tcmaxの範囲を任意の範囲に正規化し、
    前記条件設定部によって正規化された前記時定数Trefが作業者によって入力される条件入力部と、
    前記第1目標応答PV1t、前記第2目標応答PV2t及び前記目標操作量MVtの変化を前記作業者に対して表示する出力表示部とをさらに備える
    ことを特徴とする請求項10又は11のいずれか1項に記載のプラント制御調整装置。
  13. 前記条件設定部は、前記時定数Trefを、前記定常ゲインに基づき前記下限Tcminから前記上限Tcmaxの範囲において決定する
    ことを特徴とする請求項11に記載のプラント制御調整装置。
  14. 前記条件設定部は、前記目標操作量MVtの動作点を段階的にゾーニングし、ゾーニングした領域ごとに異なる前記時定数Trefを用いて前記目標応答PV2tを決定する
    ことを特徴とする請求項13に記載のプラント制御調整装置。
  15. 前記条件設定部は、前記各領域間に所定のヒステリシス特性を持たせる
    ことを特徴とする請求項14に記載のプラント制御調整装置。
  16. 前記条件入力部は、前記領域の区切りの位置を前記作業者により入力可能である
    ことを特徴とする請求項14又は15に記載のプラント制御調整装置。
  17. 第1PIDコントローラ及び第1プラントからなるシングルループの第1システム、及び、第2PIDコントローラ、第3PIDコントローラ、第2プラント、第3プラントの順にカスケード接続された第2システムのいずれにも接続可能なプラント制御調整装置であって、
    各前記プラントの計測値及び各前記PIDコントローラの操作量の数に基づき、接続先が、前記第1システムか前記第2システムかを判断するカスケード判定部と、
    前記カスケード判定部により前記第1システムに接続していると判断した場合、前記第1PIDコントローラから出力される第1操作量、及び、前記第1プラントの第1計測値に基づき、前記第1プラントの第1伝達関数を求め、
    前記カスケード判定部により前記第2システムに接続していると判断した場合、前記第2プラントの第2計測値及び前記第3プラントの第3計測値に基づき、前記第2プラントの第2伝達関数を求め、前記第3PIDコントローラから出力される第2操作量及び前記第3計測値に基づき、前記第3プラントの第3伝達関数を求める同定部と、
    前記カスケード判定部により前記第1システムに接続していると判断した場合、前記同定部から入力した前記第1伝達関数に基づき、前記第1PIDコントローラの各PID制御パラメータを調整し、
    前記カスケード判定部により前記第2システムに接続していると判断した場合、前記同定部から入力した前記第2伝達関数及び前記第3伝達関数に基づき、前記第2PIDコントローラ及び前記第3PIDコントローラの各PID制御パラメータを調整する最適化部とを備え、
    前記最適化部は、
    前記カスケード判定部により前記第1システムに接続していると判断した場合、前記第1PIDコントローラの前記第1操作量に対する制約条件に基づき第1上限を定め、前記第1伝達関数のステップ応答に基づき第1下限を定め、該第1上限と該第1下限との範囲内で決定された第1時定数から、前記第1プラントの規範モデルとなる第1理想プラントを作成し、該第1理想プラントのステップ応答として、前記第1計測値の第1目標応答を生成し、
    前記カスケード判定部により前記第2システムに接続していると判断した場合、前記第2操作量に対する制約条件に基づき第2上限を定め、前記第3伝達関数のステップ応答に基づき第2下限を定め、該第1上限と該第2下限との範囲内で決定された第2時定数から、規範モデルとなる第2理想プラントP(s)を作成し、該第2理想プラントのステップ応答として、前記第2計測値の第2目標応答を生成し、該理想プラントP(s)のステップ応答に対し、前記第2伝達関数から求めた第2逆伝達関数より逆算して、前記第3計測値の第3目標応答を生成する条件設定部と、
    前記カスケード判定部により前記第1システムに接続していると判断した場合、前記第1目標応答に基づき、前記第1PIDコントローラの前記各PID制御パラメータを調整し、
    前記カスケード判定部により前記第2システムに接続していると判断した場合、前記第2目標応答及び前記第3目標応答に基づき、前記第2PIDコントローラ及び前記第3PIDコントローラの前記各PID制御パラメータを調整するパラメータ最適化部とを備える
    ことを特徴とするプラント制御調整装置。
  18. 前記条件設定部は、
    前記カスケード判定部により前記第1システムに接続していると判断した場合、
    前記第1伝達関数から求めた第1逆伝達関数、及び、前記第1目標応答に基づき、前記第1操作量の第1目標操作量を求め、該第1目標操作量が前記第1PIDコントローラの制約条件を満たすか否かを判断し、
    前記制約条件を満たさないと判断した場合は、前記第1時定数を増加させ、増加させた該第1時定数に基づき再度前記第1理想プラントを作成し、再度生成した前記第1理想プラントに基づき、前記第1目標応答及び前記第1目標操作量を再度生成し、
    前記生成を繰り返し、前記制約条件を満たすようになった前記第1目標操作量を、前記第1目標操作量のピーク値の下限と見做し、このときの前記第1時定数を、前記第1上限とし、
    前記カスケード判定部により前記第2システムに接続していると判断した場合、
    前記第3伝達関数から求めた第3逆伝達関数、及び、前記第3目標応答に基づき、前記第2操作量の第2目標操作量を求め、該第2目標操作量が前記第3PIDコントローラの制約条件を満たすか否かを判断し、
    前記制約条件を満たさないと判断した場合は、前記第2時定数を増加させ、増加させた該第2時定数に基づき再度前記第2理想プラントを作成し、再度生成した前記第2理想プラントに基づき、前記第3目標応答及び前記第2目標操作量を再度生成し、
    前記生成を繰り返し、前記制約条件を満たすようになった前記第2目標操作量を、前記第2目標操作量のピーク値の下限と見做し、このときの前記第2時定数を、前記第2上限とする
    ことを特徴とする請求項17に記載のプラント制御調整装置。
  19. 前記条件設定部は、
    前記カスケード判定部により前記第1システムに接続していると判断した場合、
    前記第1伝達関数のステップ応答を求め、該応答が第1定常ゲインの略定常値の割合に初めて到達した時間に基づき、前記第1下限を定め、
    前記カスケード判定部により前記第2システムに接続していると判断した場合、
    前記第3伝達関数のステップ応答を求め、該応答が第2定常ゲインの略定常値の割合に初めて到達した時間に基づき、前記第2下限を定める
    ことを特徴とする請求項17又は18に記載のプラント制御調整装置。
  20. 前記条件設定部は、前記時定数Trefの前記下限Tcminから前記上限Tcmaxの範囲を任意の範囲に正規化し、
    前記条件設定部によって正規化された前記時定数Trefが作業者によって入力される条件入力部と、
    前記カスケード判定部により前記第1システムに接続していると判断した場合、前記第1目標応答及び前記第1目標操作量の変化を前記作業者に対して表示し、前記カスケード判定部により前記第2システムに接続していると判断した場合、前記第2目標応答、前記第3目標応答及び前記第2目標操作量の変化を前記作業者に対して表示する出力表示部とをさらに備える
    ことを特徴とする請求項18又は19に記載のプラント制御調整装置。
  21. 前記条件設定部は、
    前記カスケード判定部により前記第1システムに接続していると判断した場合、
    前記第1時定数を、前記第1定常ゲインに基づき前記下限Tcminから前記上限Tcmaxの範囲において決定し、
    前記カスケード判定部により前記第2システムに接続していると判断した場合、
    前記第2時定数を、前記第2定常ゲインに基づき前記下限Tcminから前記上限Tcmaxの範囲において決定する
    ことを特徴とする請求項19に記載のプラント制御調整装置。
  22. 前記条件設定部は、
    前記カスケード判定部により前記第1システムに接続していると判断した場合、
    前記第1目標操作量の動作点を段階的にゾーニングし、ゾーニングした領域ごとに異なる前記第1時定数を用いて前記第1目標応答を決定する
    前記カスケード判定部により前記第2システムに接続していると判断した場合、
    前記第2目標操作量の動作点を段階的にゾーニングし、ゾーニングした領域ごとに異なる前記第2時定数を用いて前記第3目標応答を決定する
    ことを特徴とする請求項21に記載のプラント制御調整装置。
  23. 前記条件設定部は、前記各領域間に所定のヒステリシス特性を持たせる
    ことを特徴とする請求項22に記載のプラント制御調整装置。
  24. 前記条件入力部は、前記領域の区切りの位置を前記作業者により入力可能である
    ことを特徴とする請求項22又は23に記載のプラント制御調整装置。
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