以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、一眼レフカメラ100の模式的断面図である。一眼レフカメラ100は、撮像装置であって、レンズユニット200およびカメラ本体300を備える。
レンズユニット200は、固定筒210、複数のレンズ220、230、240、レンズマウント250および鏡筒CPU260を有する。固定筒210の一端は、レンズマウント250を介してカメラ本体300のボディマウント360に結合される。
レンズマウント250およびボディマウント360の結合は特定の操作により解除できる。これにより、カメラ本体300には、同じ規格のレンズマウント250を有する他のレンズユニット200を装着できる。
レンズユニット200において、カメラ本体300から遠くに位置するレンズ220は、固定筒210から直接に支持される。これに対して、他のレンズ230、240は、固定筒210対して光軸OA方向に移動する。これにより、レンズユニット200の光学系は焦点距離または焦点位置を変化させる。
例えば、レンズ230は、レンズユニット200の倍率を変化させる場合に移動するズームレンズのひとつとなる。また、レンズ240は、レンズユニット200による焦点位置を変化させる場合に移動するフォーカシングレンズのひとつとなる。
鏡筒CPU260は、レンズユニット200の動作を制御すると共に、カメラ本体300との通信も担う。これにより、レンズユニット200がカメラ本体300に装着された場合に、カメラ本体300と連携して動作する。
更に、レンズユニット200は、防振レンズ232、アクチュエータ234および振動センサ262を有する。防振レンズ232は、アクチュエータ234に駆動されて、光軸OAと直交する方向に変位する。振動センサ262は、例えばジャイロセンサにより形成され、レンズユニット200に生じた振動を検出する。これにより、鏡筒CPU260は、振動センサ262が検出した振動を防振レンズ232が打ち消するように、アクチュエータ234を駆動する。
カメラ本体300は、レンズユニット200に対してボディマウント360の背後に配されたミラーユニット400を備える。ミラーユニット400の下方には合焦光学系380が配される。また、ミラーユニット400の上方にはピント板352が配される。
ピント板352の更に上方にはペンタプリズム354が、ペンタプリズム354の後方にはファインダ光学系356が配される。ファインダ光学系356の後端は、ファインダ350としてカメラ本体300の背面に露出する。また、ファインダ350の上方には、後述する操作信号を受信すると共に告知信号を送信するトランシーバ570が配される。
トランシーバ570は、隔地において赤外線、電波等により発生した操作信号を受信する。操作信号を受信したトランシーバ570は、例えば、カメラ本体300に撮影動作を実行させる。また、トランシーバ570は、赤外線、電波等による告知信号を発信する。トランシーバ570が発信した告知信号により、カメラ本体300はカメラ本体300の姿勢が変位したことを使用者に告知する。なお、トランシーバ570は、例えば、赤外線の操作信号を受信し、電波の告知信号を発信する等、異なる種類の信号を併せて用いてもよい。また、操作信号を、赤外線および電波の両方で受信してもよい。
ミラーユニット400の後方には、フォーカルプレンシャッタ370および撮像素子330が順次配される。撮像素子330の更に背後には、主基板320および表示部340が順次配される。主基板320には、本体CPU322、画像処理部324等が実装される。表示部340は、例えば、液晶表示板等を用いて形成され、カメラ本体300の背面に露出する。また、表示部340の下方には、カメラ本体300の背面に向かって音を発生するスピーカ342が配される。
ミラーユニット400は、メインミラー420およびサブミラー460を有する。メインミラー420は、メインミラー保持枠410に支持される。メインミラー保持枠410の一端は、メインミラー回動軸430により軸支される。
サブミラー460は、サブミラー保持枠450により保持される。サブミラー保持枠450の一端は、サブミラー回動軸470により、メインミラー保持枠410から軸支される。よって、サブミラー460は、メインミラー保持枠410に対して回動する。メインミラー保持枠410が回動する場合、サブミラー460およびサブミラー保持枠450もメインミラー保持枠410と共に移動する。
メインミラー保持枠410の前端が回動により降下した場合、メインミラー保持枠410は、前端付近で位置決めピン440に当接して停止する。これにより、メインミラー420は、レンズユニット200から入射した被写体光束に対して傾斜して停止する。こうして、メインミラー420は、レンズユニット200から入射した被写体光束上に斜めに配される斜設状態をとなる。
また、メインミラー保持枠410の前端が上昇した場合、メインミラー保持枠410は、前端付近でストッパ480に当接して停止する。これにより、メインミラー420は、被写体光束の光路から退避した退避状態になる。
斜設状態において、メインミラー420は、レンズユニット200を通じて入射した被写体光束を反射してピント板352に導く。ピント板352は、レンズユニット200の光学系が合焦した場合に被写体像を結ぶ位置に配されて当該被写体像を可視化する。
ピント板352に結像された被写体像は、ペンタプリズム354およびファインダ光学系356を通じてファインダ350から観察される。被写体像の光束がペンタプリズム354を通ることにより、ピント板352上の被写体像は、ファインダ350から正立正像として観察できる。
測光センサ390は、ファインダ光学系356の上方に配され、ペンタプリズム354において分岐されさた被写体光束の一部を受光する。測光センサ390は、受光した被写体光束の一部から被写体の明るさを検出する。本体CPU322は、測光センサ390の測光結果を参照して露光条件を算出する。また、測光センサ390は、受光した被写体光束の一部を三原色毎に測光する。本体CPU322は、三原色毎の測光結果を利用してオートホワイトバランス処理の精度を向上させる。
メインミラー420は、入射した被写体光束の一部を透過するハーフミラー領域を有する。サブミラー460は、ハーフミラー領域から入射した被写体光束の一部を、合焦光学系380に向かって反射する。合焦光学系380は、入射した被写体光束の一部を焦点検出素子382に導く。焦点検出素子382は、メインミラー420が降下して、ファインダ350を使用しながら撮影をする場合に使用される。
更に、カメラ本体300は、底部に水平センサ312および方位センサ314を、頂部の内側に位置検出センサ316をそれぞれ備える。水平センサ312は、例えは加速センサにより形成され、カメラ本体300が水平な状態にあるか、あるいは、水平からどれほど傾いたかを検出する。
方位センサ314は、例えば地磁気センサを含み、カメラ本体300がどの方位を向いているかを検出する。更に、位置検出センサ316は、GPSユニットにより形成することができ、カメラ本体300の位置を検出する。なお、水平センサ312、方位センサ314および位置検出センサ316は、上記のセンサ素子に限らず、他の検出方法で同等の検出結果を得るものを形成し得る。
上記のような一眼レフカメラ100においてレリーズボタンが半押しされると、焦点検出素子382および測光センサ390が有効になり、被写体像を適切な撮影条件で撮影できる状態になる。次いで、レリーズボタンが全押しされると、メインミラー420およびサブミラー460が退避位置に移動して、フォーカルプレンシャッタ370が開く。
これにより、レンズユニット200の光学系から入射した被写体光束は、ローパスフィルタ332を通過して撮像素子330に入射する。これにより、撮像素子330の受光面に被写体像が形成される。
撮像素子330は、受光した入射光束により形成された被写体像を電気信号に変換する。撮像素子330は、CCDセンサ(Charge Coupled Device)、CMOSセンサ(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの光電変換素子により形成される。
なお、カメラ本体300の底面には三脚ねじ穴311が設けられる。これにより、カメラ本体300を三脚、一脚、運台等に固定して、一眼レフカメラ100を自立させることができる。
また、カメラ本体300の頂部には、アクセサリシュー351が設けられる。アクセサリシュー351に嵌合させることにより、様々なカメラアクセサリをカメラ本体300に装着できる。また、アクセサリシュー351には電気的な端子も設けられ、カメラ本体300の内部回路とカメラアクセサリとを電気的にも結合できる。
図2は、一眼レフカメラ100の内部回路500を模式的に示すブロック図である。内部回路500は、本体CPU322に対して直接または間接に接続された要素により形成される。これにより、本体CPU322は、一眼レフカメラ100全体を包括的に制御する。
本体CPU322には、プログラムメモリ520およびメインメモリ530が接続される。プログラムメモリ520は、不揮発性記録媒体および読出専用記録媒体の少なくとも一方を含み、本体CPU322が実行するファームウエア等を格納する。メインメモリ530はRAMを含み、本体CPU322の作業領域として使用される。
また、本体CPU322は、読み込んだプログラムに応じて、検出部512、処理部514、センサ起動制御部516およびセルフタイマ518としても動作する。これらの動作については、他の図を参照して後述する。
本体CPU322には撮像部540が接続される。撮像部540は、撮像素子330、撮像素子駆動部542、アナログ/デジタル変換部544および画像処理部324を含む。撮像素子330は、撮像素子駆動部542に特定のタイミングで駆動され、被写体像を光電変換して画像信号を出力する。
撮像素子330から出力された画像信号は、アナログ/デジタル変換部544により離散化され、画像処理部324において画像データに変換される。画像処理部324は、画像データを生成する過程で、画像のホワイトバランス、シャープネス、ガンマ、階調補正、圧縮等を調整する。
画像処理部324において生成された画像データは、二次記録媒体550に格納して保存される。二次記録媒体550としては、フラッシュメモリカード等の不揮発性記憶素子を備えた媒体が使用される。なお、二次記録媒体550の少なくとも一部は、カメラ本体300から着脱して交換できる。
更に、本体CPU322には、焦点検出素子382および測光センサ390が接続される。焦点検出素子382は、レンズユニット200の光学系が形成した被写体像からデフォーカス量を検出して、レンズユニット200を合焦させる。この過程で、焦点検出素子382は、撮像素子330から被写体までの距離に関する情報も獲得する。
測光センサ390は、カメラ本体300における被写体光束の光路の一部に配される。測光センサ390は、レンズユニット200を通じてカメラ本体300に入射した被写体光束の一部を受光して、被写体輝度を検出する。これにより、本体CPU322は、撮像素子330の感度、シャッタ速度、絞り開度、補助照明の有無、強弱等を算出し、一眼レフカメラ100の各部に指示を発信する。
また更に、本体CPU322には、入力部560、トランシーバ570および表示駆動部580が接続される。入力部560は、カメラ本体300の主に表面に配されたレリーズボタン、ダイアル、十字キー、押しボタン等の被操作部562に対する使用者の操作を入力として受け付け、入力された指示、設定値等を保持する。本体CPU322は、入力部560を参照して動作条件を決定する。
トランシーバ570は、操作信号受付部572と、告知信号送信部574とを含む。操作信号受付部572は、カメラ本体300の外部から送信された操作信号を受信して、当該操作信号に対応した動作をカメラ本体300に指示する。告知信号送信部574は、本体CPU322の処理部514が発生した告知を、告知信号として外部に向かって送信する。
表示駆動部580は、表示部340に表示する画像を生成して表示部340に表示する。また、音声信号を生成して、スピーカ342から発音させる。表示部340は、一眼レフカメラ100が再生モードで動作している場合に、二次記録媒体550から読み出した撮影画像を表示する。また、表示部340は、一眼レフカメラ100が撮影モードで動作している場合に、シャッタ速度、絞り値、撮像素子感度、露出補正等、設定されている撮影条件を表示する。
更に、表示部340は、一眼レフカメラ100がライブビューモードで動作する場合に、撮像素子330から得られたスルー画を表示する。この場合、表示部340はファインダとして使用される。また、ライブビューモードにおいても、スルー画に重ねて、あるいは、画面上の一部領域を分割して、撮影条件等を併せて表示する場合もある。
また更に、表示部340は、被操作部562および入力部560と連携して、一眼レフカメラ100に種々の設定をするモード選択部を形成する。即ち、モード選択部においては、表示部340に表示された複数の選択肢のいずれかを、被操作部562を操作することにより特定して、特定した選択肢に対応する設定値を入力部560が保持することにより、一眼レフカメラ100に選択された設定値を設定する。
なお、この実施形態に係る一眼レフカメラ100の場合、被操作部562は、少なくとも遠隔操作モード選択部564およびセンサ選択部566を備える。遠隔操作モード選択部564は、遠隔操作により一眼レフカメラ100に撮影動作を実行させる遠隔操作モードを、カメラ本体300に設定する。センサ選択部566は、後述するように、遠隔操作モードにおいて検出部512、センサ起動制御部516等が参照するセンサを指定する。
また、検出部512は、撮像部540が連続的に撮像した画像の変化からカメラ本体300の変位を検出してもよい。即ち、撮像素子330により被写界の映像を撮像させ、被写界全体の映像が変化した場合等に、カメラ本体300が変位したと判断できる。よって、検出部512は、撮像部540の出力を参照してカメラ本体300の変位を検出してもよい。
図3は、遠隔操作ユニット600の斜視図である。遠隔操作ユニット600は、筐体610の上面に、表示部620、告知灯630およびレリーズボタン640を備える。レリーズボタン640は、ユーザに押し下げられた場合に、カメラ本体300に向かって、撮影動作を実行すべき旨の操作信号を発生する。
即ち、遠隔操作ユニット600は、操作信号を発信する送信機として動作する。ただし、操作信号は、撮影動作の実行を指示するものとは限らず、他の動作、例えば、閃光照明装置の発光、音声または映像の発生、電源の遮断等であってもよい。
遠隔操作ユニット600は、電池の残量等の遠隔操作ユニット600自体の状態を、告知灯630および表示部620により表示する。また、遠隔操作ユニット600は、告知信号を受信した場合に、当該告知信号に係る告知内容を告知灯630および表示部620により表示する。このように、遠隔操作ユニット600は、告知信号を受信する受信機としても動作する。
図4は、一眼レフカメラ100および遠隔操作ユニット600を用いた撮影システムを示す模式図である。図中、図1から図3までと共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
図4に示す撮影システムにおいて、一眼レフカメラ100は、三脚301に固定されて自立している。よって、遠隔操作ユニット600を所持した使用者が一眼レフカメラ100から離れても、一眼レフカメラ100は、三脚301に固定された時点で決められた被写界を撮影し得る状態を維持する。
また、使用者は、一眼レフカメラ100から離れても、遠隔操作ユニット600のレリーズボタン640を押し下げることにより操作信号を発信し、一眼レフカメラ100のトランシーバ570に受信させることができる。これにより、使用者は、一眼レフカメラ100から離れた位置において、希望するタイミングでレリーズボタン640を押すことにより被写体を撮影できる。
更に、使用者は、一眼レフカメラ100から発信された告知信号を遠隔操作ユニット600で受信することにより、一眼レフカメラ100が発生した告知を認識できる。よって、使用者は、一眼レフカメラ100が見えない遠隔地にいても、告知の内容を通じて一眼レフカメラ100の状態を知ることができる。
図5は、カメラ本体300の内部回路500における検出部512の動作手順を示す流れ図である。三脚301に固定された一眼レフカメラ100に対して、使用者が遠隔操作モード選択部564を操作して、カメラ本体300に対して遠隔操作モードを設定する。これにより、カメラ本体300は、遠隔操作ユニット600から発信された操作信号を受信して撮影を実行する受付期間を開始する。
遠隔操作モードが設定されるまで待機していた(ステップS101:NO)検出部512は、遠隔操作モードが開始されると(ステップS101:YES)、トランシーバ570が操作信号を受信したか否かを監視する(ステップS102)。
操作信号を受信した場合(ステップS102:YES)、検出部512は、カメラ本体300を、撮影を実行させる実行期間に移行させる(ステップS103)。撮影後、検出部512の制御は再びステップS102に戻る。なお、実行期間には、セルフタイマ518による撮影遅延時間も含まれる。
ステップS102において操作信号を受信していない場合(ステップS102:NO)、検出部512は、操作信号を受信するまで待機しつつ、水平センサ312、方位センサ314、位置検出センサ316等の出力を参照して、カメラ本体300の姿勢が変化していないかどうかを監視し続ける(ステップS104:NO)。
なお、検出部512は、水平センサ312、方位センサ314、位置検出センサ316等、複数のセンサの出力を参照する。また、レンズユニット200に設けられた振動センサ262の出力も参照する。これにより、検出部512は、カメラ本体300について、様々な種類および大きさの変位を検出できる。
このように、検出部512は、受付期間に、カメラ本体300の変位を検出する。更に、検出部512は、実行期間にもカメラ本体300の変位を検出してもよい。即ち、ブラケット撮影モード、セルフタイマ518等が有効になっている場合、カメラ本体300が操作信号を受けてから撮影を完了するまでの間にも相当の期間が経過する。よって、この期間についても、検出部512によりカメラ本体300の変位を検出することが有効になる。
なお、使用者は、検出部512が参照するセンサを制限してもよい。即ち、使用者は、被操作部562のセンサ選択部566において、検出部512が参照するセンサの種類を指定できる。これにより、センサが消費する電力を節約すると共に、撮影結果に影響を及ぼしやすい変位を的確に検出できる。
例えば、カメラ本体300の傾きが変化することが撮影に影響すると使用者が考えた場合は水平センサ312を、カメラ本体300の向いている方位が撮影に影響すると使用者が考えた場合は方位センサ314を、カメラ本体300の位置が変化する蓋然性が高いと使用者が考えた場合は位置検出センサ316を個別に有効にしてもよい。
ステップS104において、カメラ本体300の変位が検出された場合、検出部512は、検出された変位の大きさを調べる(ステップS105)。検出された変位が、予め検出部512に設定された閾値よりも小さい場合(ステップS105:NO)、検出部512は、再びステップS102に戻って、操作信号の受信(ステップS102)および変位の検出(ステップS104)に対して待機する。
検出された変位が上記閾値よりも大きい場合、検出部512は、そのまま撮影を実行すると、使用者が当初意図した撮影範囲と異なる範囲が撮影対象となる可能性が高いと判断する。よって、検出部512は、無視できない変位が検出された旨を処理部514に伝えて、カメラ本体300に変位が生じた旨を告知させる(ステップS106)。処理部514の処理手順については、他の図を参照して後述する。
なお、ステップS105における閾値の大きさは、撮影条件により異なる。即ち、カメラ本体300に装着されたレンズユニット200が望遠レンズである場合には、僅かな姿勢の変化が大きな画角の変化をもたらす。よって、レンズユニット200の焦点距離が長い程、閾値は小さくなる傾向がある。また、カメラ本体300に装着されたレンズユニット200が広角レンズである場合は、カメラ本体300の変位により生じる撮影範囲の変位の程度が小さいので、閾値を大きくすることができる。
また、一眼レフカメラ100が被写体に接近している場合は、カメラ本体300の僅かな変位により当該被写体から撮影範囲がはずれてしまう場合がある。よって、閾値は小さくする。反対に、一眼レフカメラ100が被写体から離れている場合は、閾値を大きくすることができる。
これら閾値の調節は、使用者から明示的な指示を受けた入力部560が検出部512に設定してもよい。また、カメラ本体300に装着されたレンズユニット200の種類、焦点検出素子382により合焦されたレンズユニット200が検知した被写体までの距離等に応じて、検出部512が自動的に設定してもよい。
なお、遠隔操作モードで動作するカメラ本体300は、カメラ本体300の変位を検知すると、後述するようにカメラ本体300の使用者に告知する。よって、一眼レフカメラ100の姿勢を撮影対象に合わせる等、カメラ本体300を変位させる作業が終わってから、カメラ本体300に遠隔撮影モードを開始させることが求められる。このため、遠隔操作モード選択部564が遠隔操作モードを設定した後に、更に、遠隔操作モードの開始タイミングをカメラ本体300に伝える段階を有してもよい。
また、カメラ本体300には、遠隔操作モード下においても実行され得る動作モード、例えば、ブラッケトモード、連写モード、合焦モード、合焦領域選択、測光方式、シーンモード等がある。これらの動作モードの選択および設定においてもカメラ本体300が変位する場合があるので、これらの設定を終えた後に、カメラ本体300に、遠隔操作モードにおける待機状態を開始させることが求められる。
図6は、処理部514の処理手順を示す流れ図である。図6に示す手順は、図5に示したステップS106から継続する。検出部512から指示を受けた処理部514は、下記のように予め定められた一連の処理を実行して、変位した旨を告知する。
まず、処理部514は、告知信号送信部574に、告知信号を送信させる(ステップS201)。告知信号は、例えば、遠隔操作ユニット600に受信される。これにより、遠隔操作ユニット600は、告知灯630を点灯あるいは点滅させ、あるいは、表示部620に告知を表示する。
また、処理部514は、表示駆動部580を介してカメラ本体300の表示部340にも告知を表示させる(ステップS202)。表示部340に表示する告知は、表示部340全体を赤くする等、遠隔地にいる使用者にも判別できる表示形式であることが好ましい。
更に、処理部514は、表示駆動部580を介して、スピーカ342に音により使用者に告知する(ステップS203)。この場合も、スピーカ342が発生する音声は、遠隔地にいる使用者に識別され得る刺激的な発生形式、即ち、人間にとって刺激的に帯域、音量、変化を有することが好ましい。
次に、処理部514は、予め定められた第1告知期間が経過したか否かを調べる(ステップS204)。第1告知期間が未だ経過していない場合(ステップS204:NO)、処理部514は、ステップS202およびステップS203を繰り返す。
しかしながら、第1告知期間が既に経過したことが判った場合(ステップS204:YES)、処理部514は、表示部340およびスピーカ342による告知の発生間隔を長くする(ステップS205)。これにより、表示部340およびスピーカ342による告知で消費されるカメラ本体300の電力を抑制できる。
更に、処理部514は、予め定められた第2告知期間が経過したか否かを調べる(ステップS206)。第2告知期間が未だ経過していない場合(ステップS206:NO)、処理部514は、ステップS205で設定された状態を維持する。
第2告知期間が既に経過したことが判った場合(ステップS206:YES)、処理部514は、カメラ本体300への給電を停止させ、休止状態で待機する(ステップS207)。この段階で、処理部514による処理は終了する。このように、処理部514は、検出部512の指示を受けた場合に、予め定められた処理を実行する。
なお、上記ステップS205において、遠隔操作ユニット600の告知灯630および表示部620を用いた告知を継続する代わりに、カメラ本体300の表示部340およびスピーカ342による告知は停止してもよい。これにより、カメラ本体300を早期に休止させ、電力消費を一層抑制できる。
なお、図5のステップS104において変位を検出しつつも、ステップS105において変位が閾値よりも小さい場合、処理部514は受付期間を継続して操作信号の受信による撮影を実行しつつ使用者に告知してもよい。これにより、使用者は、撮影または撮影待機を継続しつつ、カメラ本体300の状態を調べ行くことができる。
図7は、図6に示した検出部512の付加的な処理手順を示す流れ図である。図7に示した処理手順は、図5に示した処理手順のステップS102とステップS104の間に入り、センサ起動制御部516が制御する。
カメラ本体300の変位を検出する振動センサ262、水平センサ312、方位センサ314および位置検出センサ316の少なくとも一部は、変位を検出することなく待機している期間も電力を消費する。よって、待機時間が長くなると、電池容量により電力が制限されたカメラ本体300にとって、消費される電力量が無視し得ないものとなる。
そこで、図7に示すように、ステップS102において操作信号を受信していないことが検出部512で判明した場合(ステップS102:NO)、センサ起動制御部516は、予め定められた待機時間が経過したか否かを調べる(ステップS301)。ここで、待機時間がまだ経過していない場合(ステップS301:NO)、センサ起動制御部516は、各センサを有効にしたまま、検出部512に制御を返して待機する(ステップS104:図5)。
しかしながら、待機時間が既に経過していることが判った場合(ステップS301:YES)、センサ起動制御部516は、最も感度の高い振動センサ262を除いて、他のセンサ、即ち、水平センサ312、方位センサ314および位置検出センサ316を休止状態にする(ステップS302)。これにより、休止したセンサによる電力消費が抑制される。
次いで、センサ起動制御部516は、振動センサ262を有効な状態のまま待機させ(ステップS303:NO)、振動センサ262が振動を検出した場合(ステップS303:YES)に、他のセンサ、即ち、水平センサ312、方位センサ314および位置検出センサ316を起動して有効にする(ステップS304)。ここで、制御が検出部512に戻され、図6に示したステップS104とそれに続く処理手順が全てのセンサにより実行される。
なお、上記の例では、振動センサ262による振動検出をトリガとして、他のセンサを一斉に起動して有効にした。しかしながら、他のセンサが休止している間も有効にするセンサは他の振動センサ以外のセンサでもよい。ただし、有効にしておくセンサは、他のセンサの起動トリガとなるので、小さな変位を検出する、より感度の高いセンサであることが望ましい。また、電力を節約するというセンサ休止の趣旨に鑑みて、有効にしておくセンサは、待機中の電力消費が少ないセンサであることが望ましい。
更に、振動が生じた場合に休止状態から起動される他のセンサは、例えば、感度の高いセンサから順次起動するようにしてもよい。即ち、感度の高いセンサは僅かな変位でも入力が飽和するので、変位が大きい場合には、変位の大きさを検出できない場合がある。よって、感度の高いセンサから順次起動して、あるセンサが変位の大きさを有効に検知できた場合は、残るセンサを起動させることなく待機させてもよい。これにより、電力消費の増加を抑制できる。
また更に、上記の例では、ステップS302において一部のセンサを休止状態にしたが、一眼レフカメラ100の他の部分も併せて休止状態にする給電休止処理を実行してもよい。これにより、電力消費をより一層抑制できる。
ただし、カメラ本体300が遠隔操作ユニット600から操作信号を受信した場合には即座に撮影を実行できることが望ましい。また、撮影を実行する場合には、カメラ本体300に対する様々な設定を保持していることが求められる。よって、センサ起動制御部516は、遠隔操作モードが設定された時点でカメラ本体300に設定されていた設定値を保持しつつ、操作信号の受信と撮影の実行に影響の少ない要素を休止させる給電休止処理を実行する。
図5、図6および図7に示した上記の一連の処理手順を実行させる制御プログラムは、ファームウエアの一部としてカメラ本体300に予め実装してもよい。また、記録媒体、通信回線等を通じてカメラ本体300にインストールし、本体CPU322にプログラムのひとつとして実行させてもよい。更に、カメラ本体300に付加的に装着したカメラアクセサリにおいて実行させてもよい。
図8は、一眼レフカメラ100の他の使用形態を示す斜視図である。図示のように、この使用形態においては、一対の一眼レフカメラ100が、水平な結合部材302により一体的に結合された上で三脚301に固定されている。
一対の一眼レフカメラ100に装着されたレンズユニット200の光軸は互いに平行に固定され、焦点距離も同じに設定されている。このような一対の一眼レフカメラ100で同時に被写体を撮影することにより、一眼レフカメラ100の光軸の間隔が視差となる立体写真を撮影できる。
一方の一眼レフカメラ100のアクセサリシュー351には、相対変位検出ユニット710が装着されている。また、他方の一眼レフカメラ100のアクセサリシュー351には,補助ユニット720が装着されている。
相対変位検出ユニット710は、告知灯712と受発光部714を有する。受発光部714は、カメラ本体300の側方に向かって直進するレーザ光を照射する。一対の一眼レフカメラ100が上記のように平行に固定されている場合、照射したレーザ光は、補助ユニット720の側面に設けられた反射面により反射されて、受発光部714に返される。
しかしながら、一対の一眼レフカメラ100の相対位置が相互に変位した場合、受発光部714が射出したレーザ光が受発光部に戻らなくなる。これにより、相対変位検出ユニット710は、一対の一眼レフカメラ100の相対位置が相互に変位したことを検出できる。相対位置の変位を検出した相対変位検出ユニット710は、即座に告知灯712を点灯して、相対変位が生じたことを使用者に告知する。
なお、図5を参照して既に説明したように、一眼レフカメラ100はそれぞれ検出部512を備え、カメラ本体300の変位が検出され(ステップS104:YES)、且つ、検出された変位が予め定められた閾値よりも大きい場合(ステップS105:YES)に、カメラ本体300が変位した旨を告知する(ステップS106)。これに対して、相対変位検出ユニット710は、ステップS105で定める閾値よりも小さな値を設定された閾値を越える相対変位を検出した場合に、その旨を使用者に告知する。
即ち、一対の一眼レフカメラ100が、相対位置に変位を生じることなく共に変位した場合は、撮影対象は変位するものの、依然として立体写真の撮影を維持できる。よって、相対位置の変位が生じていない場合は撮影を継続してもよい。
しかしながら、一眼レフカメラ100が互いに相対変位を生じた場合は、もはや立体写真としての撮影はできない。よって、相対変位に対しては小さい閾値を設定して、検出感度を高くする。
なお、相対変位検出ユニット710は、告知灯712の点灯に加えて、告知信号を発信して、遠隔操作ユニット600の告知灯630を点灯させ、表示部620に告知を表示させてもよい。更に、図6に示したように、第1告知期間および第2各地期間の経過と共に告知方法を変化させる処理部514の制御を受けてもよい。
図9は、一眼レフカメラ100のまた他の使用形態を示す斜視図である。図示のように、この使用形態では、3台の一眼レフカメラ100、トランシーバユニット740および遠隔操作ユニット750が使用される。
一眼レフカメラ100は、それぞれ、一眼レフカメラ100と同じ仕様を有して、個別に三脚301に固定されている。また、一眼レフカメラ100の各々は、アクセサリシュー351にアダプタ730を装着される。
アダプタ730は、告知灯732、シューコネクタ734およびケーブル736を有する。告知灯732は、処理部514が告知信号を発生した場合に点灯して、広範囲に告知する。
シューコネクタ734は、アダプタ730をアクセサリシュー351に装着した場合に、アクセサリシュー351の接点に電気的に結合される。ケーブル736は、シューコネクタ734を介してカメラ本体300の内部回路500を外部のトランシーバユニット740に結合する。
トランシーバユニット740は、アダプタ730を介して一眼レフカメラ100に共通に接続される。一眼レフカメラ100のいずれかが告知信号を発生した場合に、トランシーバユニット740は、使用者へ告知が生じたことと共に、どの一眼レフカメラ100が告知したかを遠隔操作ユニット750に伝える。
遠隔操作ユニット750は、複数のレリーズボタン751、752、753と、表示部754とを有する。複数のレリーズボタン751、752、753は、一眼レフカメラ100に個別に対応し、使用者に押し下げられた場合に、対応する一眼レフカメラ100を指定する指定信号と操作信号をトランシーバユニット740に送信する。このように、遠隔操作ユニット750は、操作信号を発信する送信機として動作する。
遠隔操作ユニット750の発信した指定信号および操作信号を受けたトランシーバユニット740は、アダプタ730を通じて対応する一眼レフカメラ100に操作信号を伝達する。これにより、遠隔操作ユニット750を使用する使用者は、一人で3台の一眼レフカメラ100に撮影を実行させることができる。
なお、遠隔操作ユニット750の表示部754は、電池の残量等の遠隔操作ユニット750自体の状態を表示すると共に、トランシーバユニット740から告知信号を受信した場合に、当該告知信号と、当該告知信号がどの一眼レフカメラ100に係る告知であるかを表示する。このように、遠隔操作ユニット750は、告知信号を受信する受信機としても動作する。
更に、上記の使用形態では、告知受信ユニット760が使用される。告知受信ユニット760は表示部764を備え、遠隔操作ユニット750の受信機としての機能を有する。よって、告知受信ユニット760を使用する使用者は、一眼レフカメラ100のいずれかの処理部514が告知信号を発生した場合に、一眼レフカメラ100のいずれかに変位が生じたことと、どの一眼レフカメラ100が告知信号を発生したかを知ることができる。
これら、トランシーバユニット740、遠隔操作ユニット750および告知受信ユニット760は、2人の使用者により使用される。即ち、一眼レフカメラ100から離れた遠隔地にいるひとりの使用者が、遠隔操作ユニット750を使用して一眼レフカメラ100に操作信号を送信することにより、複数の一眼レフカメラ100に撮影のタイミングを指示して撮影を実行させる。一眼レフカメラ100の近傍にいる他の使用者は、告知受信ユニット760を使用して告知信号を受信し、変位した一眼レフカメラ100の姿勢を修正する。
これにより、2人の使用者により多数の一眼レフカメラ100を操作して撮影できる。図9には3台の一眼レフカメラ100が描かれているが、一眼レフカメラ100の台数が3台に限られないことはもちろんである。また、一眼レフカメラ100を例にあげて説明したが、上記の制御手順とそれを実行する電子機器は、動画撮影装置、録音装置、レーダ、ソナー等のように指向性が強い電波または音波を発生する装置、スピードガン、放射温度計等のように光または光に近い電磁波を射出または受光する電子機器を遠隔操作する場合にも好適に使用できる。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加え得ることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。