JP2012088177A - 電池の検査装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 外部磁界の影響をなくして磁界を検出する。
【解決手段】 通電信号供給手段31及び通電回路32は、電解質と電極から構成されている電池FCに所定周波数の交流成分を重畳させた直流電圧を印加して電解質に通電する。複数の磁気センサ22をマトリクス状に配置した磁気センサユニット20は、複数の磁気センサ22が電池FCの正負電極Fe1,Fe2間方向に平行な面に対向するように配置される。複数の磁気センサ22は、電解質中を流れる電流によって発生する磁界を検出して、検出磁界を表す信号をそれぞれ出力する。これらの検出信号は、センサ信号取出回路33−1〜N及び信号選択回路34を介してロックインアンプ35に供給される。ロックインアンプ35は、通電信号供給回路31からの所定周波数に等しい信号を用いて、検出信号から所定周波数の信号成分を取出して出力する。
【選択図】 図1
【解決手段】 通電信号供給手段31及び通電回路32は、電解質と電極から構成されている電池FCに所定周波数の交流成分を重畳させた直流電圧を印加して電解質に通電する。複数の磁気センサ22をマトリクス状に配置した磁気センサユニット20は、複数の磁気センサ22が電池FCの正負電極Fe1,Fe2間方向に平行な面に対向するように配置される。複数の磁気センサ22は、電解質中を流れる電流によって発生する磁界を検出して、検出磁界を表す信号をそれぞれ出力する。これらの検出信号は、センサ信号取出回路33−1〜N及び信号選択回路34を介してロックインアンプ35に供給される。ロックインアンプ35は、通電信号供給回路31からの所定周波数に等しい信号を用いて、検出信号から所定周波数の信号成分を取出して出力する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、電解質と電極から構成される電池の電解質に通電して、電池と対向する部分における磁界を検出することにより、電池を検査する電池の検査装置に関する。
従来から、例えば下記特許文献1,2に紹介されているように、燃料電池のように電解質と電極から構成される電池を検査する装置として、電極間に電流を流して電池と対向する複数の部分における磁界を検出する装置がある。下記特許文献1に記載の装置においては、燃料電池の積層体の周囲に複数の磁気センサを配置するとともに一対の集電板間に負荷を接続し、燃料電池の発電による電流を積層体、集電板及び負荷に流して、複数の磁気センサによる、発生される磁界の計測結果に基づいて積層体の積層方向に沿って流れる電流による磁束密度分布を検出するとともに、積層体内の電流分布を検出するようにしている。また、下記特許文献2に記載の装置においては、平面内にマトリクス状に磁気センサを配置したセンサユニットを燃料電池の電極面に平行にセットするとともに、電解質の両側の陽極と陰極との間に負荷を接続し、燃料電池の発電による電流を陽極、電解質、陰極及び負荷に流して、センサユニットによって電極面に対応する磁気分布を検出するようにしている。また、特許文献2には、センサユニット内に複数の磁気センサを対向させて対にして配置し、対になっている磁気センサで得た検出信号の差分をとって、外部磁界による影響をなくすることも示されている。
この種の電池の検査装置においては、磁気センサが検出する磁界は電池内に流れる電流により発生する磁界以外に、地磁気等の外部磁界があり、この外部磁界はノイズとなるために精度のよい測定ができなくなる。前記特許文献1は、この点に関しては全く考慮されていないので、磁界を高精度で測定することができない。一方、前記特許文献2には、磁気センサを対にして配置することにより外部磁界の影響をなくすことが示されているが、この装置では磁気センサの個数が2倍になってコスト高を招くという問題がある。また、外部磁界が一様になるように、測定のために必要な電線等を極力遠ざけるという余計な手間が必要になる。
本発明は、この問題を解決するためになされたもので、電解質と電極から構成される電池に電流を流し、電池に対向する部分の磁界を検出する電池の検査装置において、コスト高を抑えるとともに、外部磁界を一様にする特別な考慮も必要なく、外部磁界の影響をなくして精度よく磁界を検出することができる電池の検査装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、電解質と電極から構成されている電池に所定周波数の交流成分を重畳させた直流電圧を印加して電解質に通電する通電手段(31,32)と、電池の複数の部分に対向して位置し、複数の部分に流れる電流によって発生する磁界を検出して、検出磁界を表す信号を出力する磁界検出手段(20)と、磁界検出手段から出力される検出磁界を表す信号から、所定周波数に等しい周波数の信号成分を取出す周波数成分取出し手段(35)とを備えたことにある。
上記のように構成した本発明の特徴によれば、通電手段及び周波数成分取出し手段の作用により、所定周波数の交流成分に関係して発生される磁界を表す信号のみが取出されるので、比較的簡単な構成で、外部磁界の影響を受けない磁界を検出できる。その結果、検出装置のコストを抑えたうえで、外部磁界が一様になるようにする必要もなく、電池の複数の部分を流れる電流によって発生される磁界を精度よく検出できるので、ひいては電池の異常を精度よく検出できるようになる。
また、本発明の他の特徴は、磁界検出手段は、電池の電極間方向に平行な面の複数の部分で、電解質中を流れる電流によって発生する磁界を検出し、さらに、周波数成分取出し手段から取出された信号成分から、電池の電極間方向に平行な面の複数の部分における磁界の強さ又は電流の大きさの分布を計算する強さ分布計算手段(40,S11〜S22,S31〜S39,S101〜S107,S110,S111)を備えたことにある。これによれば、電池に異常が発生した場合には、電極間方向における磁界の強さ又は電流の大きさの分布が正常な場合に比べて大きく変化するため、電池の異常を容易に検出することができるようになる。
また、本発明の他の特徴は、強さ分布計算手段によって計算された磁界の強さ又は電流の大きさの分布を用いて、電池の電極間方向に平行な面における電極に対向する位置を検出する電極位置検出手段(40,S40〜S49,S65〜S69)を備えたことにある。これによれば、電極位置が検出されるので、電極間方向における磁界の強さ又は電流の大きさの分布を把握でき、電池を置く向きをいずれの方向にしても、電池の異常を容易に検出できるようになる。
また、本発明の他の特徴は、さらに、強さ分布計算手段によって計算された磁界の強さ又は電流の大きさの分布の、電極間の中間線に対する対称性を数値として計算する対称性計算手段(40,S45〜S85)を備えたことにある。この場合、例えば、対称性計算手段によって計算された対称性の数値に基づいて電池の異常を判定する判定手段(40,S87)を設けるとよい。より具体的には、前記対称性として計算された数値と、予め決められた数値とを比較するとよい。これによれば、電池に異常があって電極間方向における磁界の強さ又は電流の大きさの分布が正常な状態から変化する場合、対称性が悪くなる方向に変化するので、計算した対称性の数値から電池の異常の有無を容易に判断できるようになる。特に、判定手段を設ければ、電池の異常が自動的に判定されて、作業者による判断の手間を省くことができる。
また、本発明の他の特徴は、さらに、強さ分布計算手段によって計算された磁界の強さ又は電流の大きさの分布と、予め用意した基準情報とを比較して、前記電池の異常を判定する判定手段(40,S108,S109)を備えたことにある。これによれば、電池の大きさや形状が一定であり、磁界検出手段に対して電池を常に同じようにセットすることができる場合は、予め用意した基準情報との比較により、電池の異常を容易に検出できる。この場合、各測定ポイントで磁界の強さ又は電流の大きさとそれらの向きとを正常な場合と比較してもよいが、電極間方向における磁界の強さ又は電流の大きさに相当する情報を正常な場合と比較すると、より容易に異常を検出できる。
また、本発明の他の特徴は、さらに、前記強さ分布計算手段によって計算された磁界の強さ又は電流の大きさの分布を表示する表示手段(40,42,S86,S112)を備えたことにある。これによれば、視覚的に電池の異常を判断することができる。
以下、本発明の一実施形態に係る電池の検査装置について図面を用いて説明する。図1は電池の検査装置の全体構成図であり、図2は検査対象である電池をセットするためのステージ10を示す図である。本実施形態では、検査対象である電池は、電解質と電極とを備えた燃料電池FCである。
ステージ10は、支持部材11,12と、支持部材11,12を連結する連結部材13,14とで土台を形成している。支持部材11,12は、方形断面を有する長尺状にそれぞれ形成され、Y方向に所定の距離を隔ててX方向に平行に延設されている。連結部材13,14は、方形断面を有する長尺状にそれぞれ形成され、X方向に所定の距離を隔ててY方向に平行に延設されて、支持部材11,12の端部上面に固着されている。支持部材11,12の上面には、X方向に延設された溝11a,12aがそれぞれ設けられている。連結部材13の上面には、後述する磁気センサユニット20の厚さから微量だけ大きな距離を隔てて上方に突出した凸部13a,13bが設けられ、凸部13a,13bの間に磁気センサユニット20を挟みこむための溝を形成している。連結部材14の上面にも、磁気センサユニット20の厚さから微量だけ大きな距離を隔てて上方に突出した凸部14a,14bが設けられ、凸部14a,14bの間に磁気センサユニット20を挟みこむための溝を形成している。
支持部材11,12の上面には、電池FCを載置するための固定載置部15及び移動載置部16が設けられている。固定載置部15は、水平部と垂直部とからなる断面L字形状をなしてY方向に長尺状に形成され、水平部の下面にて支持部材11,12に固着されるとともに、垂直部の外側面にて連結部材13の内側面に固着されている。移動載置部16は、水平部と垂直部とからなる断面逆L字形状をなしてY方向に長尺状に形成され、水平部の下面に設けた凸部(図示しない)を支持部材11,12の溝11a,12aに係合させてX方向に移動可能に支持部材11,12上に載置されている。これらの固定載置部15及び移動載置部16の両垂直部には、前記連結部材13の凸部13a,13bによって形成される溝及び前記連結部材14の凸部14a,14bによって形成される溝とY方向の同一位置にて、磁気センサユニット20を通過させるための溝15a,16aがそれぞれ設けられている。
この検査装置は、磁気センサユニット20を備えている。磁気センサユニット20は、比較的薄い所定の厚さを有する方形状の支持台21を有し、支持台21の上面には磁気センサ22が設けられている。磁気センサ22はN個であり、磁気センサ22(以降、磁気センサ22−1,22−2・・22−Nという)がX−Y方向にマトリクス状に配置されている。そして、これらの磁気センサ22−1,22−2・・22−Nは、通常、支持部材11,12及び連結部材13,14によって形成された方形状の空間に上方に向けて配置されるようになっている。また、支持台21は図示しない調整機構によって上下方向に位置調整可能であり、磁気センサ22−1,22−2・・22−Nの高さが調整されるようになっている。また、支持台21のX方向の両端面には取っ手23,24が設けられており、取っ手23,24を持って磁気センサユニット20を移動することができるようになっている。
磁気センサユニット20の支持台21のX方向の両端部には、方形状の切欠き21a,21bが設けられている。切欠き21a,21bの幅は、連結部材13,14のX方向の幅から微量だけ大きく、切欠き21a,21bを、連結部材13の凸部13a,13bの間の溝及び連結部材14の凸部14a,14bの間の溝を通過させて、連結部材13,14に係合させることにより、図3に示すように、支持台21に組み付けられた磁気センサ22−1,2−2・・22−Nの面(すなわち磁気センサユニット20の磁気検出面)がX―Z平面に平行になるように、磁気センサユニット20をステージ10上に立設させることができる。これにより、燃料電池FCのステージ10上に載置する面を変更しなくても、燃料電池FCの上面を除くあらゆる面に対して磁気センサユニット20の磁気検出面を平行にすることができるようになる。なお、図3は、支持部材11側から見たステージ10の正面図(図2(B)を基準とすれば背面図)である。
この検査装置は、さらに、通電信号供給回路31、通電回路32、N個のセンサ信号取出回路33−1,33−2・・33−N、信号選択回路34、ロックインアンプ35及びコントローラ40を備えている。
通電信号供給回路31は、正弦波発振器及び矩形波変換回路を含み、コントローラ40によって作動制御されて、正弦波発振器によって発振される正弦波信号を通電信号として通電回路32に供給する。なお、通電信号は、「0」を基準に正負に変化する信号であり、その周波数は、例えば数10ヘルツから数100ヘルツ程度の範囲内にある。通電信号供給回路31は、前記正弦波信号からなる通電信号を矩形波変換回路による変換により、前記通電信号と同期して「0」を中心として正負に変化する矩形波信号をそれぞれ生成して、参照信号としてロックインアンプ35に出力する。
通電回路32も、コントローラ40によって作動制御されて、前記供給された通電信号に基づいて燃料電池FCの接続端子Ft1,Ft2を介して正負電極間Fe1,Fe2間を通電制御する。この場合、通電回路32は、通電信号供給回路31から供給される「0」を基準に正負に変化する正弦波信号に正のオフセット電圧を加算して、前記オフセット電圧を中心に正弦波状に変化して常に正の範囲内で変化する通電信号に変換して、燃料電池FCの電極端子Ft1を介して正電極Fe1に正側電圧としてそれぞれ供給する。一方、通電回路32の接地電圧は、燃料電池FCの電極端子Ft2を介して負電極Fe2に供給される。すなわち、所定周波数の交流成分を重畳させた直流電圧が、燃料電池FCの正負電極Fe1,Fe2間に印加される。これにより、燃料電池FCの正負電極Fe1,Fe2間の電解質中に、前記印加電圧に応じた電流が流れる。
次に、磁気センサ22−1,22−2・・22−Nについて説明しておく。磁気センサ22−1,22−2・・22−Nのうちの一つの磁気センサ22−n(n=1〜N)は、図4に示すように、X方向の磁界を検出するX方向磁気センサ22Aと、Y方向の磁界を検出するY方向磁気センサ22Bとを備えている。X方向磁気センサ22Aは、抵抗r11,r12,r13及び磁気抵抗素子MR1からなるブリッジ回路で構成されており、抵抗r11,r13の接続点と、抵抗r12及び磁気抵抗素子MR1の接続点との間に、センサ信号取出回路33−n(n=1〜N)の後述する定電圧供給回路33aから電圧+V,−Vが印加されるようになっている。また、X方向磁気センサ22Aにおいては、抵抗r13及び磁気抵抗素子MR1の接続点と、抵抗r11,r12間の接続点との間の電圧をX方向磁気検出信号として出力する。抵抗r11,r12,r13の値は同じであり、磁界の強さが「0」であるときの磁気抵抗素子MR1の抵抗値に等しい。
Y方向磁気センサ22Bは、抵抗r21,r22,r23及び磁気抵抗素子MR2からなるブリッジ回路で構成されており、抵抗r21,r22の接続点と、抵抗r23及び磁気抵抗素子MR2の接続点との間に、センサ信号取出回路33−nの後述する定電圧供給回路33bから電圧+V,−Vが印加されるようになっている。また、Y方向磁気センサ22Bにおいては、抵抗r22及び磁気抵抗素子MR2の接続点と、抵抗r21,r23間の接続点との間の電圧をY方向磁気検出信号として出力する。抵抗r21,r22,r23の値は同じであり、磁界の強さが「0」であるときの磁気抵抗素子MR2の抵抗値に等しい。
センサ信号取出回路33−1,33−2・・33−Nは、定電圧供給回路33a,33b及び増幅器33c,33dをそれぞれ備えている。図4には、センサ信号取出回路33−1,33−2・・33−Nのうちの一つのセンサ信号取出回路33−n(n=1〜N)を代表して示している。定電圧供給回路33a,33bは、コントローラ40からの指示により、X方向磁気センサ22A及びY方向磁気センサ22Bに対して、定電圧+V,−Vを供給する。増幅器33c、33dは、X方向磁気検出信号及びY方向磁気検出信号をそれぞれ増幅して信号選択回路34へ出力する。信号選択回路34は、コントローラ40によって制御されて、センサ信号取出回路33−1,33−2・・33−Nからそれぞれ出力されるN組のX方向磁気検出信号及びY方向磁気検出信号を一組ずつ選択してロックインアンプ35へ出力する。
ロックインアンプ35は、図5に詳細に示すように、磁気センサ22−1,22−2・・22−NのX方向磁気センサ22Aから増幅器33c及び信号選択回路34を介して供給されるX方向磁気検出信号を入力するハイパスフィルタ35aと、磁気センサ22−1,22−2・・22−NのY方向磁気センサ22Bから増幅器33d及び信号選択回路34を介して供給されるY方向磁気検出信号を入力するハイパスフィルタ35bとを備えている。ハイパスフィルタ35a,35bは、X方向磁気検出信号及びY方向磁気検出信号に含まれる、磁界の強さに比例した信号成分以外の不要な成分を取り除くとともに、信号をグランドレベルを中心に変化するようにする。
ハイパスフィルタ35aの出力は、増幅器35cを介して位相検波回路35d,35eに供給される。位相検波回路35d,35eは、それぞれ乗算器によって構成されている。位相検波回路35dは、ハイパスフィルタ35a及び増幅器35cを介して供給されるX方向磁気検出信号に、通電信号供給回路31からの参照信号を乗算してローパスフィルタ35fに出力する。位相検波回路35eは、ハイパスフィルタ35a及び増幅器35cを介して供給されるX方向磁気検出信号に、通電信号供給回路31からの参照信号を位相シフト回路35gで90度位相を遅らせた遅延参照信号を乗算してローパスフィルタ35hに出力する。これにより、ローパスフィルタ35fにはX方向磁気検出信号の通電信号(参照信号)と同期した成分が供給され、ローパスフィルタ35fは供給された成分信号をローパスフィルタ処理してX方向磁気検出信号の通電信号と同期した成分の大きさを表す信号を出力する。ローパスフィルタ35hにはX方向磁気検出信号の通電信号よりも90度位相を遅らせた信号(遅延参照信号)と同期した成分が供給され、ローパスフィルタ35hは供給された成分信号をローパスフィルタ処理してX方向磁気検出信号の通電信号よりも90度位相を遅らせた信号と同期した成分の大きさを表す信号を出力する。
ハイパスフィルタ35bの出力は、増幅器35iを介して位相検波回路35j,35kに供給される。位相検波回路35j,35kには、ローパスフィルタ35m,35nが接続されている。位相検波回路35j,35k及びローパスフィルタ35m,35nは、前述した位相検波回路35d,35e及びローパスフィルタ35f,35hと同様に構成されている。これにより、ローパスフィルタ35mにはY方向磁気検出信号の通電信号(参照信号)と同期した成分が供給され、ローパスフィルタ35mは供給された成分信号をローパスフィルタ処理してY方向磁気検出信号の通電信号と同期した成分の大きさを表す信号を出力する。ローパスフィルタ35nにはY方向磁気検出信号の通電信号よりも90度位相を遅らせた信号(遅延参照信号)と同期した成分が供給され、ローパスフィルタ35nは供給された成分信号をローパス処理してY方向磁気検出信号の通電信号よりも90度位相を遅らせた信号と同期した成分の大きさを表す信号を出力する。ローパスフィルタ35f,35h,35m,35nは、A/D変換器35o,35p,35q,35rにそれぞれ接続されている。A/D変換器35o,35p,35q,35rは、所定の時間間隔ごとに、ローパスフィルタ35f,35h,35m,35nからの信号をそれぞれA/D変換してコントローラ40に供給する。
ふたたび図1の説明に戻り、コントローラ40は、CPU、ROM、RAMを備えたマイクロコンピュータと、ハードディスクや不揮発性メモリなどの記憶装置と、入出力インタフェース等から構成される電子制御装置である。コントローラ40は、記憶装置に記憶された図6のデータ取得プログラム及び図7A〜図7Dの評価プログラムを実行してこの検査装置の動作を制御する。コントローラ40には、作業者が各種パラメータや処理等を指示するための入力装置41と、作業者に対して作動状況、検査結果等を視覚的に知らせるための表示装置42とが接続されている。
次に、上記のように構成した実施形態の動作について説明する。作業者は、燃料電池FCの大きさに合わせて移動載置部16をX方向に移動する。そして、燃料電池FCの正負電極Fe1,Fe2が磁気センサユニット20の磁気センサ22−1,22−2・・22−Nのマトリクス状に配置した2軸(以下、この2軸をX方向又はY方向という)に平行になるように、燃料電池FCを固定載置部15及び移動載置部16上に載置する。この場合、図1又は図3に示すように、磁気センサユニット20をステージ10の下側に配置したり、ステージ10に立設したりする。そして、燃料電池FCの電極Ft1,Ft2を介して正負電極Fe1,Fe2に通電回路32の出力を接続し、電源を投入して燃料電池FCの電解質中に通電信号に応じた電流を流すことができるようにする。
また、作業者が入力装置41を操作することにより、燃料電池FCの検査の開始をコントローラ40に指示する。この指示に応答して、コントローラ40は、図6のステップS10にてデータ取得プログラムの実行を開始し、ステップS11にて変数nを「1」に初期設定する。変数nは、磁気センサ22−1,22−2・・22−Nをそれぞれ指定するための変数、言い換えれば磁界を検出するX方向及びY方向の位置を指定するための変数である。
前記ステップS11の処理後、コントローラ40は、ステップS12にて通電信号供給回路31に作動開始を指示する。この指示に応答して、通電信号供給回路31は、正弦波状の通電信号を通電回路32に供給するとともに、前記通電信号と同期した矩形波状の参照信号をロックインアンプ35に供給し始める。次に、コントローラ40は、ステップS13にて通電回路32に作動開始を指示する。この指示に応答して、通電回路32は、前記供給された通電信号に応じて正の範囲内で正弦波状に変化する通電信号により、燃料電池FCに正負電極Fe1,Fe2を介して通電を開始する。
次に、コントローラ40は、ステップS14にて、センサ信号取出回路33−1,33−2・・33−Nに作動開始を指示する。この指示に応答して、センサ信号取出回路33−1,33−2・・33−N内の各定電圧供給回路33a,33bは、磁気センサ22−1,22−2・・22−N内の各X方向磁気センサ22A及びY方向磁気センサ22Bにそれぞれ定電圧信号+V,−Vを供給し始める。これにより、磁気センサ22−1,22−2・・22−N内の各X方向磁気センサ22A及びY方向磁気センサ22BによるX方向磁気検出信号及びY方向磁気検出信号が、センサ信号取出回路33−1,33−2・・33−N内の各増幅器33c,33dを介して信号選択回路34にそれぞれ供給され始める。
これらのX方向磁気検出信号及びY方向磁気検出信号について説明しておく。通電回路32による通電により、燃料電池FCの電解質に正負電極Fe1,Fe2を介して電流が流れ、燃料電池FCのX−Y平面近傍には、前記電流による磁界が発生する。そして、磁気センサ22−1,22−2・・22−N内の各X方向磁気センサ22Aは、X方向の磁界Hの強さに比例した電圧をX方向磁気検出信号としてそれぞれ出力し始める。また、磁気センサ22−1,22−2・・22−N内のY方向磁気センサ22Bは、Y方向の磁界Hの強さに比例した電圧をY方向磁気検出信号としてそれぞれ出力し始める。
ふたたび図6のデータ取得プログラムの説明にもどると、前記ステップS14の処理後、コントローラ40は、ステップS15にて、信号選択回路34に変数nを出力する。信号選択回路34は、センサ信号取出回路33−1,33−2・・33−Nのうちで変数nによって指定されるセンサ信号取出回路33−nから出力されているX方向磁気検出信号及びY方向磁気検出信号を選択してロックインアンプ35に出力する。この場合、変数nは「1」であるので、ロックインアンプ35には、センサ信号取出回路33−1からのX方向磁気検出信号及びY方向磁気検出信号、すなわち磁気センサ22−1の検出に基づくX方向磁気検出信号及びY方向磁気検出信号が供給されることになる。
ロックインアンプ35においては、入力されたX方向磁気検出信号がハイパスフィルタ35a及び増幅器35cを介して位相検波回路(乗算器)35d,35eにそれぞれ供給されるとともに、入力されたY方向磁気検出信号がハイパスフィルタ35b及び増幅器35iを介して位相検波回路(乗算器)35j,35kにそれぞれ供給される。位相検波回路35d,35jには、通電信号供給回路31からの矩形波状の参照信号が供給されている。また、位相検波回路35e,35kには、前記参照信号の位相を位相シフト回路35gで90度遅らせた遅延参照信号が供給されている。そして、位相検波回路35d,35eは、増幅器35cを介して供給されたX方向磁気検出信号に参照信号及び遅延参照信号をそれぞれ乗算して、乗算した信号をローパスフィルタ35f,35hを介してA/D変換器35o,35pにそれぞれ供給する。位相検波回路35j,35kは、増幅器35cを介して供給されたY方向磁気検出信号に参照信号及び遅延参照信号をそれぞれ乗算して、乗算した信号をローパスフィルタ35m,35nを介してA/D変換器35q,35rにそれぞれ供給する。
この場合、前述のように、ロックインアンプ35には、通電信号供給回路31からの参照信号が供給されているとともに、磁気センサ22−1の検出に基づくX方向磁気検出信号及びY方向磁気検出信号が供給されている。したがって、位相検波回路35d及びローパスフィルタ35fは、通電信号によって発生された正弦波状に変化するX方向の磁界の強さであって、参照信号(すなわち通電信号)に同期した信号成分の振幅に比例した大きさを表す信号をA/D変換器35oに出力する。位相検波回路35e及びローパスフィルタ35hは、通電信号によって発生された正弦波状に変化するX方向の磁界の強さであって、参照信号(すなわち通電信号)の位相をπ/2だけ遅らせた信号に同期した信号成分の振幅に比例した大きさを表す信号をA/D変換器35pに出力する。位相検波回路35j及びローパスフィルタ35mは、通電信号によって発生された正弦波状に変化するY方向の磁界の強さであって、参照信号(すなわち通電信号)に同期した信号成分の振幅に比例した大きさを表す信号をA/D変換器35qに出力する。位相検波回路35k及びローパスフィルタ35nは、通電信号によって発生された正弦波状に変化するY方向の磁界の強さであって、参照信号(すなわち通電信号)の位相をπ/2だけ遅らせた信号に同期した信号成分の振幅に比例した大きさを表す信号をA/D変換器35rに出力する。そして、A/D変換器35o,35p,35q,35rは、それぞれ供給された信号を所定時間ごとにサンプリングしてA/D変換し、A/D変換したサンプリングデータをコントローラ40に供給する。したがって、コントローラ40には前記各信号成分の所定時間ごとの大きさを表すサンプリングデータが所定時間ごとに供給されるようになる。
前記ステップS15の処理後、コントローラ40は、ステップS16にて、ロックインアンプ35のA/D変換器35o,35p,35q,35rから供給されるサンプリングデータを取込み、ステップS17にて取込んだ各サンプリングデータの数が所定数Kに達したか否かを判定する。この所定数Kは、例えば数個から数十個の各サンプリングデータの数を表す値に設定されている。各サンプリングデータの数が所定数Kに達していなければ、コントローラ40は、ステップS17にて「No」と判定して、ステップS16にてA/D変換器35o,35p,35q,35rから次に出力されるサンプリングデータを取込む。そして、A/D変換器35o,35p,35q,35rから取込んだ各サンプリングデータの数が所定数Kに達すると、コントローラ40は、ステップS17にて「Yes」と判定して、ステップS18以降の処理を実行する。ステップS16にて取込まれたサンプリングデータは、変数nによって指定されるサンプリングデータ群として、RAMに記憶される。
具体的には、A/D変換器35oから取込んだ所定数Kのサンプリングデータ、すなわちX方向磁気検出信号の参照信号と同期した信号成分の大きさを表す所定数Kのデータは、サンプリングデータ群Sx1(n)としてRAMに記憶される。A/D変換器35pから取込んだ所定数Kのサンプリングデータ、すなわちX方向磁気検出信号の遅延参照信号と同期した信号成分の大きさを表す所定数Kのデータは、サンプリングデータ群Sx2(n)としてRAMに記憶される。A/D変換器35qから取込んだ所定数Kのサンプリングデータ、すなわちY方向磁気検出信号の参照信号と同期した信号成分の大きさを表す所定数Kのデータは、サンプリングデータ群Sy1(n)としてRAMに記憶される。A/D変換器35rから取込んだ所定数Kのサンプリングデータ、すなわちY方向磁気検出信号の遅延参照信号と同期した信号成分の大きさを表す所定数Kのデータは、サンプリングデータ群Sy2(n)としてRAMに記憶される。なお、この場合の変数nは、共に「1」である。
前記ステップS16,S17の処理後、コントローラ40は、ステップS18にて変数nが値Nであるか否かを判定する。変数nは「1」に初期設定されているので、この場合、コントローラ40は、ステップS18にて「No」と判定して、ステップS19にて変数nに「1」を加算して、ステップS15に戻る。ステップS15においては、コントローラ40は、前述した場合と同様に信号選択回路34に変数nを出力する。そして、信号選択回路34は、前述のように変数nによって指定されるセンサ信号取出回路33−nから出力されているX方向磁気検出信号及びY方向磁気検出信号を選択してロックインアンプ35に出力する。この場合、変数nは「2」であるので、ロックインアンプ35には、センサ信号取出回路33−2からのX方向磁気検出信号及びY方向磁気検出信号、すなわち磁気センサ22−2の検出に基づくX方向磁気検出信号及びY方向磁気検出信号が供給されることになる。
この場合も、ロックインアンプ35は、前述した場合と同様に動作して、磁気センサ22−2によって検出されたX方向及びY方向の磁界の強さであって、参照信号(すなわち通電信号)及び参照信号(すなわち通電信号)の位相をπ/2だけに遅らせた信号にそれぞれ同期した信号成分の振幅に比例した大きさを表す信号を所定時間ごとにサンプリングしてA/D変換し、A/D変換したサンプリングデータをコントローラ40に供給する。前記ステップS15の処理後、コントローラ40は、前記場合と同様に、ステップS16,S17の処理により、K個ずつのサンプリングデータ群Sx1(n),Sx2(n),Sy1(n),Sy2(n)をRAMに記憶する。なお、この場合の変数nは「2」である。そして、変数nが値Nになるまで、前記ステップS15〜S19からなる処理を繰り返し実行する。変数nが値Nになると、コントローラ40は、ステップS18にて「Yes」と判定して、ステップS20以降の処理を実行する。この状態では、サンプリングデータ群Sx1(n),Sx2(n),Sy1(n),Sy2(n)(n=1〜N)がRAMに記憶されている。
コントローラ40は、ステップS20にてセンサ信号取出回路33−1,33−2・・33−Nに作動停止を指示し、ステップS21にて通電回路32に作動停止を指示し、ステップS22にて通電信号供給回路31に作動停止を指示して、このデータ取得プログラムの実行を終了する。これらの作動停止の指示により、磁気センサ22−1,22−2・・22−N、通電信号供給回路31、通電回路32、及びセンサ信号取出回路33−1,33−2・・33−Nの作動が停止する。
このデータ取得プログラムにより、磁気センサ22−1,22−2・・22−Nの検出に基づくサンプリングデータ群Sx1(n),Sx2(n),Sy1(n),Sy2(n)(n=1〜N)がRAMに記憶されるが、変数nによって指定される磁気センサ22−1,22−2・・22−NのX,Y座標位置はコントローラ40内に予め記憶されている。このX,Y座標値と変数nの関係を視覚的に示すと図8に示すようになる。この場合、磁気センサはX方向にXm個配置されるとともに、Y方向にYm個配置されており、磁気センサの個数Nは値Xm・Ymに等しい。
次に、前記データ取得プログラムで取得した所定数Kずつのサンプリングデータ群Sx1(n),Sx2(n),Sy1(n),Sy2(n)(n=1〜N)を用いて、燃料電池FCを評価する方法について説明する。この場合、作業者は、入力装置41を操作して、コントローラ40に図7A〜図7Dの評価プログラムを実行させる。この評価プログラムの実行はステップS30にて開始され、コントローラ40は、ステップS31にて変数nを「1」に初期設定した後、ステップS32にて、変数nによって指定される所定数Kずつのサンプリングデータ群Sx1(n),Sx2(n),Sy1(n),Sy2(n)の磁界の強さの各平均値Sx1,Sx2,Sy1,Sy2を計算する。具体的には、各サンプリングデータ群Sx1(n),Sx2(n),Sy1(n),Sy2(n)ごとに、K個のサンプリングデータを加算して値Kで除算する。
次に、コントローラ40は、ステップS33にて、前記計算した平均値Sx1,Sx2を用いた下記式1,2の演算の実行により、X方向磁気検出信号の極大値Hxと、X方向磁気検出信号の参照信号に対する位相シフト量θxとを計算する。
Hx=(Sx12+Sx22)1/2 …式1
θx=tan-1(Sx2/Sx1) …式2
これにより、X方向磁気検出信号としてHx・sin(2πft+θx)が検出されたことになる。なお、fは、通電信号供給回路31から出力される通電信号及び参照信号の周波数に等しい。
Hx=(Sx12+Sx22)1/2 …式1
θx=tan-1(Sx2/Sx1) …式2
これにより、X方向磁気検出信号としてHx・sin(2πft+θx)が検出されたことになる。なお、fは、通電信号供給回路31から出力される通電信号及び参照信号の周波数に等しい。
次に、コントローラ40は、ステップS34にて、前記計算した平均値Sy1,Sy2を用いた下記式3,4の演算の実行により、Y方向磁気検出信号の極大値Hyと、Y方向磁気検出信号の参照信号に対する位相シフト量θyとを計算する。
Hy=(Sy12+Sy22)1/2 …式3
θy=tan-1(Sy2/Sy1) …式4
これにより、Y方向磁気検出信号としてHy・sin(2πft+θy)が検出されたことになる。
Hy=(Sy12+Sy22)1/2 …式3
θy=tan-1(Sy2/Sy1) …式4
これにより、Y方向磁気検出信号としてHy・sin(2πft+θy)が検出されたことになる。
次に、コントローラ40は、ステップS35にて、前記計算したHx,θx,Hy,θyを用いた下記式5,6の演算の実行により、通電電流が最大となるタイミング(前記X方向磁気検出信号Hx・sin(2πft+θx)及び前記Y方向磁気検出信号Hy・sin(2πft+θy)における2πftがπ/2のタイミング)における、検査位置の磁界の強さHxy及び磁界の向きθxyを計算する。この場合、通電電流が最大となるタイミングを採用した理由は、位相シフト量θx,θyは小さく、通電電流が最大となるタイミング近傍で検査位置の磁界の強さHxyが最大値近傍の値になるためである。なお、位相シフト量θx,θyが小さくなく、通電電流が最大となるタイミング近傍で検査位置の磁界の強さHxyが最大値近傍にならない場合には、磁界の強さHxyが最大値近傍になるようなタイミングの角度をπ/2に代えて用いればよい。
Hxy=[{Hx・sin(π/2+θx)}2+{Hy・sin(π/2+θy)}2]1/2 …式5
θxy=tan-1{Hy・sin(π/2+θy)}/{Hx・sin(π/2+θx)} …式6
Hxy=[{Hx・sin(π/2+θx)}2+{Hy・sin(π/2+θy)}2]1/2 …式5
θxy=tan-1{Hy・sin(π/2+θy)}/{Hx・sin(π/2+θx)} …式6
次に、コントローラ40は、ステップS36にて、燃料電池FCの電解質中に流れる電流は前記磁界の強さHxyに比例し、かつ方向が磁界の方向θxyと−π/2異なることから、前記計算したHxy,θxyを用いた下記式7,8の演算の実行により、通電電流が最大となるタイミングにおける、燃料電池FCの電解質中の検査位置に流れる電流の大きさIxy及び方向θixyを計算する。ただし、値Kは、比例定数である。
Ixy=K・Hxy …式7
θixy=θxy−π/2 …式8
そして、このステップS36にて、前記計算された電流の大きさIxy及び方向θixyは、燃料電池FCの検査位置を表す変数nを用いて電流の大きさデータIxy(n)及び方向データθixy(n)としてRAM又は記憶装置に記憶される。
Ixy=K・Hxy …式7
θixy=θxy−π/2 …式8
そして、このステップS36にて、前記計算された電流の大きさIxy及び方向θixyは、燃料電池FCの検査位置を表す変数nを用いて電流の大きさデータIxy(n)及び方向データθixy(n)としてRAM又は記憶装置に記憶される。
次に、コントローラ40は、ステップS37にて、前記計算したIxy,θixyを用いた下記式9,10の演算の実行により、燃料電池FCの検査位置においてX方向及びY方向に流れる電流の大きさIx,Iyを計算する。
Ix=Ixy・cosθixy …式9
Iy=Ixy・sinθixy …式10
そして、このステップS37にて、前記計算された電流の大きさIx,Iyは、燃料電池FCの検査位置を表す変数nを用いて電流の大きさデータIx(n),Iy(n)としてRAM又は記憶装置に記憶される。
Ix=Ixy・cosθixy …式9
Iy=Ixy・sinθixy …式10
そして、このステップS37にて、前記計算された電流の大きさIx,Iyは、燃料電池FCの検査位置を表す変数nを用いて電流の大きさデータIx(n),Iy(n)としてRAM又は記憶装置に記憶される。
前記ステップS37の処理後、コントローラ40は、ステップS38にて変数nに「1」を加算し、ステップS39にて変数nが磁気センサ22−1,22−2・・22−Nの数を表す値Nよりも大きい否かを判定する。変数nが値N以下であれば、コントローラ40は、ステップS39にて「No」と判定して、ステップS32に戻って前述したステップS33〜S38の処理を繰り返し実行する。このようなステップS33〜S38の繰り返し処理中、変数nが値Nよりも大きくなると、コントローラ40は、ステップS39にて「Yes」と判定して、ステップS40以降に進む。
ステップS40〜S44の処理は、正負電極Fe1,Fe2に大きな電流が流れることを利用して、正負電極Fe1,Fe2が位置するX,Y座標位置を検出する処理である。ステップS40において、コントローラ40は、前記計算した電流の大きさデータIxy(1)〜Ixy(N)の中から大きな方から順に所定数P個の電流の大きさデータIxy(n)を抽出する。次に、コントローラ40は、ステップS41にて、前記抽出したP個の電流の大きさデータIxy(n)の中から、X座標位置を同一とする電流の大きさデータIxy(n)の数が所定数Q個以上である電流の大きさデータIxy(n)を抽出し、抽出した電流の大きさデータIxy(n)の数を値Nxとして設定する。また、コントローラ40は、ステップS42にて、前記抽出したP個の電流の大きさデータIxy(n)の中から、Y座標位置を同一とする電流の大きさデータIxy(n)の数が所定数Q個以上である電流の大きさデータIxy(n)を抽出し、抽出した電流の大きさデータIxy(n)の数を値Nyとして設定する。そして、コントローラ40は、ステップS43にて前記設定した値Nxが所定値Nxo以上であるかを判定するとともに、ステップS44にて前記設定した値Nyが所定値Nyo以上であるかを判定する。
これらのステップS40〜S44の処理は、次のような理由に基づくものである。正負電極Fe1,Fe2の存在する位置に対応した磁気センサ22−nによって検出される磁界の強さHxyに基づく電流の大きさデータIxy(n)は大きい。前述したように、燃料電池FCは、その正負電極Fe1,Fe2が磁気センサユニット20のX方向又はY方向に沿うようにステージ10上にセットされている。そして、正負電極Fe1,Fe2はある程度の長さを有している。したがって、正負電極Fe1,Fe2がY方向に平行であれば、正負電極Fe1,Fe2が位置する2箇所のX座標位置において、電流の大きさデータIxy(n)は大きく、かつその数もある程度大きいはずである。また、正負電極Fe1,Fe2がX方向に平行であれば、正負電極Fe1,Fe2が位置する2箇所のY座標位置において、電流の大きさデータIxy(n)は大きく、かつその数もある程度大きいはずである。これらに基づいて、前記所定数Pを、正負電極Fe1,Fe2の一辺の長さに対応する磁気センサ22−n(n=1〜N)の数よりも若干大きな値に予め設定する。前記所定数Qを、少なくとも2以上の値であって、正負電極Fe1,Fe2の一辺の長さに対応する磁気センサ22−nの数よりも若干小さな値に設定する。前記所定値Nxo,Nyoを、前記所定数Qの2倍程度の値に設定する。
その結果、正負電極Fe1,Fe2が磁気センサユニット20のY方向に沿うようにステージ10上にセットされていれば、ステップS41の処理によって設定した値Nxは所定値Nxo以上であり、ステップS43にて「Yes」と判定されて、図7BのステップS45〜S64の処理に進められる。一方、正負電極Fe1,Fe2が磁気センサユニット20のX方向に沿うようにステージ10上にセットされていれば、ステップS42の処理によって設定した値Nyは所定値Nyo以上であり、ステップS44にて「Yes」と判定されて、図7CのステップS65〜S84の処理に進められる。さらに、正負電極Fe1,Fe2がX方向又はY方向に沿って延設されておらず、値Nxは所定値Nxo以上でなく、かつ値Nyも所定値Nyo以上でないので、ステップS43,S44にて共に「No」と判定されて、図7DのステップS90,S91の処理に進められる。
ステップS45〜S65の処理においては、コントローラ40は、ステップS45にて、前記ステップS41の処理によって抽出した電流の大きさデータIxy(n)の中から、X座標位置を同一とする電流の大きさデータIxy(n)の数が多い2つのグループを選別して、それらのX座標位置をxa,xbとする。このステップS45の処理は燃料電池FCの正負電極Fe1,Fe2のx方向位置を決定する処理であり、値xa,xbは図9A及び図9Bに示すように正負電極Fe1,Fe2のX座標位置を示す。
次に、コントローラ40は、ステップS46にて、前記ステップS40の処理によって抽出した電流の大きさデータIxy(n)の中から、前記決定した値xaのX座標位置に対応した電流の大きさデータIxy(n)を全て抽出する。そして、コントローラ40は、ステップS47にて、前記ステップS46の処理によって抽出した電流の大きさデータIxy(n)の中から、最大の電流の大きさを最大電流Imaxとして抽出し、かつ度数分布の最大の電流の大きさを中心電流Icとして計算する。図10は、詳しくは後述するように、前記電流の大きさデータIxy(n)の分布、最大電流Imax及び中心電流Icを示している。前記ステップS47の処理後、コントローラ40は、ステップS48にて、前記ステップS46の処理によって抽出した電流の大きさデータIxy(n)の中から、値{Ic−(Imax-Ic)}以上の電流の大きさデータIxy(n)を抽出する。そして、コントローラ40は、ステップS49にて、前記ステップS48の処理によって抽出した電流の大きさデータIxy(n)の中から、前記電流の大きさデータIxy(n)のY座標位置の最小を示す値をyaとして設定し、最大を示す値をybとして設定する。これらの値ya,ybは、図9A及び図9Bに示すように、燃料電池FCの正負電極Fe1,Fe2の軸方向の両端のY座標位置を示している。
このようなステップS46〜S49の処理により、燃料電池FCの正負電極Fe1,Fe2の軸方向の両端のY座標位置を決定した理由は、次の理由による。正負電極Fe1,Fe2の位置における電流の大きさデータIxy(n)は、他に比べて極めて大きい。また、正負電極Fe1,Fe2の両端のうち接続端子Ft1,Ft2側位置の電流の大きさデータIxy(n)が最も大きく、他方の側はそれよりも小さく、その間では連続的に変化する。してみれば、正負電極Fe1,Fe2位置おける電流の大きさデータIxy(n)の度数分布は、正負電極Fe1,Fe2の延設方向に図10に示すように変化する。したがって、最大電流ImaxのY座標位置が正負電極Fe1,Fe2の接続端子Ft1,Ft2側のY方向の端部であり、かつ度数分布が最大である中心電流IcのY座標位置が正負電極Fe1,Fe2のY方向の中心位置である可能性は極めて高い。しかし、正負電極Fe1,Fe2の接続端子Ft1,Ft2側と反対側の端部は、電流の大きさデータIxy(n)が他と隔離されない場合もある。その結果、正負電極Fe1,Fe2の接続端子Ft1,Ft2側と反対側のY方向の端部は、正負電極Fe1,Fe2の延設方向の中心に対して、接続端子Ft1,Ft2側のY方向の端部と対称位置にあることに鑑みて、前記ステップS46〜S49の処理により、正負電極Fe1,Fe2のY方向の両端部をya,ybと定めるようにした。
前記ステップS49の処理後、ステップS50〜S64の処理により、正負電極Fe1,Fe2間に位置する電解質中を流れる電流の大きさの対称性を評価するための差分値Dif(m,s)が計算される。変数mは磁気センサユニット20における磁気センサ22−n(1〜N)のX方向位置を示すための変数であり、変数sは磁気センサユニット20における磁気センサ22−n(1〜N)のY方向位置を示すための変数である。ステップS50において、コントローラ40は、前記ステップS45の処理によって設定したX座標値xa,xbを用いて、(xa+xb)/2の演算値の整数部分をX方向の中心位置xceとして設定する。次に、コントローラ40は、前記変数mを「1」に設定し、前記変数sを「0」に設定する。そして、コントローラ40は、ステップS52にて、値(xa+xb)が偶数であるか奇数であるかを判定する。値(xa+xb)が偶数であれば、ステップS52にて「Yes」と判定されて、値pは「0」に設定される。値(xa+xb)が偶数でなければ、すなわち奇数であれば、ステップS52にて「No」と判定されて、値pは「1」に設定される。
この値pの「0」又は「1」の設定について説明しておく。前記ステップS52の判定処理に用いた値(xa+xb)が偶数であることは、図9Aに示すように、座標位置xa,xb(正負電極Fe1,Fe2のX方向座標位置)間のX方向の座標の数が奇数あることを意味する。そして、この場合には、前記ステップS50の処理によって設定される中心値xceは、座標位置xa,xbのX方向の中央の磁気センサのX座標位置を表している。そして、この場合には、値pは「0」に設定される。一方、前記ステップS52の判定処理に用いた値(xa+xb)が奇数であることは、図9Bに示すように、座標位置xa,xb(正負電極Fe1,Fe2のX方向座標位置)間のX方向の座標の数が偶数あることを意味する。そして、この場合には、前記ステップS50の処理によって設定される中心値xceは、座標位置xa,xbのX方向の中央線の左側の磁気センサのX座標位置を表している。そして、この場合には、値pは「1」に設定される。
まず、値pが「0」に設定される場合について説明する。まず、コントローラ40は、ステップS55にて、前記図6のデータ取得プログラムの実行によって取得された電流の大きさデータIxy(n)(n=1〜N)の中から、X−Y座標値が(xce−m+p,ya+s)で表される電流の大きさデータIxy(n)を抽出して電流値Ix1とする。次に、コントローラ40は、ステップS55にて、前記電流の大きさデータIxy(n)(n=1〜N)の中から、X−Y座標値が(xce+m,ya+s)で表される電流の大きさデータIxy(n)を抽出して電流値Ix2とする。これらの場合、変数mは「1」であり、かつ値pは「0」であるので、図9AのY座標位置がyaであり、X方向の中心位置xceの両隣の2つの磁気センサ22−n位置に対応した1対の電流の大きさデータIxy(n)が電流値Ix1,Ix2として設定される。
前記ステップS55,S56の処理後、コントローラ40は、ステップS57にて、下記式11の演算の実行により、変数m,sによって指定されて前記電流値Ix1,Ix2の差に応じて差分値Dif(m,s)を計算する。
Dif(m,s)=|Ix1−Ix2|/(Ix1+Ix2) 式11
なお、本実施形態においては、電流の大きさデータIxy(n)を用いているが、これに代えて、電極Fe1,Fe2間方向であるX方向の電流の大きさデータIx(n)を用いて差分値Dif(m,s)を計算してもよい。または、電流の大きさデータIxy(n),Ix(n)をそれぞれ用いて2つの差分値Dif(m,s)を計算してもよい。
Dif(m,s)=|Ix1−Ix2|/(Ix1+Ix2) 式11
なお、本実施形態においては、電流の大きさデータIxy(n)を用いているが、これに代えて、電極Fe1,Fe2間方向であるX方向の電流の大きさデータIx(n)を用いて差分値Dif(m,s)を計算してもよい。または、電流の大きさデータIxy(n),Ix(n)をそれぞれ用いて2つの差分値Dif(m,s)を計算してもよい。
そして、コントローラ40は、ステップS58にて、差分値Dif(m,s)が所定の小さな値ΔDif以下であるかを判定する。差分値Dif(m,s)が値ΔDif以下であれば、ステップS58にて「Yes」と判定して、ステップS59にて差分値Dif(m,s)を「0」に変更する。差分値Dif(m,s)が値ΔDif以下でなければ、ステップS58にて「No」と判定して、差分値Dif(m,s)を変更することなく、プログラムをステップS60に進める。これらのステップS55〜S59の処理により、中心位置xceを挟んで左右対称位置の電流の大きさデータIxy(n)がほぼ等しければ、対象であるということで、差分値Dif(m,s)が「0」に変更される。
前記ステップS58,S59の処理後、コントローラ40は、ステップS60にて、値(xce+m)が正負電極Fe1又はFe2のX座標位置xa又はxbを表しているかを判定する。なお、X座標位置xa,xbの両方を利用する理由は、前記ステップS45のX座標位置xa,xbの決定において、X座標位置xa,xbの大小を考慮せず、X座標位置xa,xbを決定したためである。値(xce+m)がX座標位置xa又はxbを表していなければ、コントローラ40は、ステップS61にて変数mに「1」を加算して、前述したステップS55〜S60の処理を実行する。このステップS55〜S60の処理により、前記差分値Dif(m,s)の計算に利用した両X−Y座標位置のX方向外側のX−Y座標位置の1対の電流の大きさデータIxy(n)の差分値Dif(m,s)が計算される。
そして、これらのステップS55〜S61の処理により、値(xce+m)がX座標位置xa又はxbを表すようになると、すなわち値(xce+m)によって示されるX座標位置が正負電極Fe1,Fe2のいずれか一方が位置するX座標位置になると、コントローラ40はステップS60にて「Yes」と判定して、プログラムをステップS62に進める。ステップS62においては、値(ya+s)が値ybに等しいかを判定する。この場合、値(ya+s)は変数sによって指定されるY座標位置を示し、値ybは正負電極Fe1,Fe2のY座標位置の最大値を示している。そして、初期においては変数sは「0」に設定されているので、コントローラ40は、ステップS62にて「No」すなわち値(ya+s)が値ybに等しくないと判定して、ステップS63にて変数sに「1」を加算し、ステップS64にて変数mを「1」に戻して、前述したステップS55〜S61の処理を繰り返し実行する。これにより、図9AのY座標位置yaから順次上方に向かって、前記差分値Dif(m,s)が計算される。そして、変数sの増加により、値(ya+s)が値ybに等しくなると、コントローラ40は、ステップS62にて「Yes」と判定して、プログラムを図7DのステップS85に進める。
次に、前記ステップS54の処理により、値pが「1」に設定された場合について説明する。この場合、値pが「1」であることは、正負電極Fe1,Fe2のX座標位置を示す値xa,xbの和(xa+xb)が奇数であることを意味する。この場合、図9Bに示すように、座標位置xa,xb(正負電極Fe1,Fe2のX方向座標位置)間のX方向の座標の数が偶数あることを意味する。そして、この場合には、前記ステップS50の処理によって設定される中心値xceは、値(xa+xb)/2の整数部分を採用することにより、座標位置xa,xbのX方向の中央の2つの磁気センサのうちの左側の磁気センサのX座標位置を表している。したがって、変数mが「1」に初期設定された状態で、ステップS55のX座標値xce−m+pで指定されるX座標位置は前記中央の2つの磁気センサのうちの左側の磁気センサのX座標位置である。一方、ステップS56のX座標値xce+mで指定されるX座標位置は前記中央の2つの磁気センサのうちの右側の磁気センサのX座標位置である。
そして、ステップS61の処理による変数mの増加により、前記2つの磁気センサの外側の磁気センサのX座標位置が順次指定される。他の処理に関しては、前記値pが「0」の場合と同じである。したがって、この場合も、正負電極Fe1,Fe2間のX−Y座標位置において、中心位置xceに対して左右対称(X方向に対称)であるX−Y座標位置の1対の電流の大きさデータIxy(n)の差分値Dif(m,s)が計算される。なお、この場合も、差分値Dif(m,s)が所定の小さな値ΔDif以下であれば、ステップS58,S59の処理により、差分値Dif(m,s)は「0」に設定される。
次に、図7AのステップS44にて「Yes」と判定されて、図7CのステップS65〜S84の処理に進められる場合について説明する。この場合、正負電極Fe1,Fe2が磁気センサユニット20のX方向に沿うようにステージ10上にセットされている場合である。図7CのステップS65〜S84の処理は、図7BのステップS45〜64にそれぞれ対応し、図7BのX座標値をY座標値に変更するとともにY座標値をX座標値に変更したものである。すなわち、図7BのX座標に関するX座標位置xa,xb及び中心位置xceを、Y座標に関するY座標位置ya,yb及び中心位置yceに変更している。そして、Y座標位置ya,ybにてX方向に延設された正負電極Fe1,Fe2間のX−Y座標値において、中心位置yceに対して図9A及び図9Bにおける上下対称(Y方向に対称)であるX−Y座標位置の1対の電流の大きさデータIxy(n)の差分値Dif(m,s)が計算される。なお、変数mはY方向の座標値を変更するための変数であり、変数sはX方向の座標値を変更するための変数である。また、この場合も、電流の大きさデータIxy(n)に代えて、電極Fe1,Fe2間方向であるY方向の電流の大きさデータIy(n)を用いて差分値Dif(m,s)を計算してもよい。または、電流の大きさデータIxy(n),Ix(n)をそれぞれ用いて2つの差分値Dif(m,s)を計算してもよい。
そして、この場合も、差分値Dif(m,s)が所定の小さな値ΔDif以下であれば、ステップS78,S79の処理により、差分値Dif(m,s)は「0」に設定される。そして、正負電極Fe1,Fe2間のX−Y座標値に関する全ての差分値Dif(m,s)が設定された時点で、コントローラ40は、ステップS82にて、「Yes」と判定して、上記図7Bの場合のステップS45〜S64の場合と同様の図7DのステップS85にプログラムを進める。
ステップS85においては、コントローラ40は、前記計算した全ての差分値Dif(m,s)の平均値を計算して、電極間対称性数値SymとしてRAM又は記憶装置に記憶する。この場合、正負電極Fe1,Fe2間のX−Y座標値において、中心位置xce又はyceを中心とする1対の電流の大きさデータIxy(n)の差を表す差分値Dif(m,s)が小さければ、すなわち正負電極Fe1,Fe2間の電解質中において、電流の大きさデータIxy(n)が中心位置xce又はyceに対して対称であれば、電極間対称性数値Symは「0」に近い小さな値となる。逆に、電流の大きさデータIxy(n)が中心位置xce又はyceに対して対称でなければ、電極間対称性数値Symは大きな値となる。なお、この電極間対称性数値Symの計算が、本発明の電極間の中間線に対する対称性を数値として計算することに対応する。
前記ステップS85の処理後、コントローラ40は、ステップS86にて、燃料電池FCの電解質中を流れる電流の大きさデータIxy(n)、同電流の方向データθixy(n)、X方向に流れる電流の大きさデータIx(n)及びY方向に流れる電流の大きさデータIy(n)(n=1〜N)から表示用画像データを生成して、表示装置42に画像データによって表された画像を表示する。この画像は、例えば、図11に示すように、燃料電池FCのX−Y座標による検査位置ごとに、電流の大きさデータIxy(n)に応じて明度、色彩などを異ならせて表示するとともに、電流の方向データθixy(n)によって示された方向を示す矢印を表示するものである。また、X方向に流れる電流の大きさデータIx(n)及びY方向に流れる電流の大きさデータIy(n)に関しても同様に表示される。さらに、電極間対称性数値Symも表示装置42に表示される。なお、全ての各種データIxy(n),θixy(n),Ix(n),Iy(n)(n=1〜N)でなくても、正負電極Fe1,Fe1間のX−Y座標値に対応した各種データIxy(n),θixy(n),Ix(n),Iy(n)に関する表示を行うようにしてもよい。
前記ステップS86の処理後、コントローラ40は、ステップS87にて、電極間対称性数値Symが所定の小さな値ΔSym以下であるかを判定する。そして、電極間対称性数値Symが所定の小さな値ΔSym以下であれば、コントローラ40は、ステップS87にて「Yes」と判定して、ステップS88にて表示装置42に「合格」を表示する。一方、電極間対称性数値Symが所定の小さな値ΔSym以下でなければ、コントローラ40は、ステップS87にて「No」と判定して、ステップS89にて表示装置42に「不合格」を表示する。これらのステップS88,S89の処理後、コントローラ40は、ステップS92にてこの評価プログラムの実行を終了する。なお、差分値Dif(m,s)を電流の大きさデータIxy(n)での計算に加えて、電極Fe1,Fe2間方向である電流の大きさデータIx(n)又はIy(n)でも計算している場合は、対称性数値Symは2つの値が計算されるので、これらの2つの値でそれぞれ合否を判定し、双方が合格となったとき「合格」と判定し、片方でも不合格であれば、「不合格」と判定するようにするとよい。
次に、ステップS43,S44にて共に「No」と判定されて、図9DのステップS90,S91の処理に進められた場合について説明する。この場合、X方向又はY方向に沿った正負電極Fe1,Fe2が検出されない場合である。この場合、コントローラ40は、ステップS90にて、前記ステップS86の場合と同様にして、電流の大きさデータIxy(n)、同電流の方向データθixy(n)、X方向に流れる電流の大きさデータIx(n)及びY方向に流れる電流の大きさデータIy(n)(n=1〜N)から表示用画像データを生成して、表示装置42に画像データによって表された画像を表示する。なお、この場合も、全ての各種データIxy(n),θixy(n),Ix(n),Iy(n)(n=1〜N)でなくても、正負電極Fe1,Fe1間のX−Y座標値に対応した各種データIxy(n),θixy(n),Ix(n),Iy(n)に関する表示を行うようにしてもよい。次に、コントローラ40は、ステップS91にて、「電極間対称性の計算は不能」である旨を表示装置42に表示して、ステップS92にてこの評価プログラムの実行を終了する。
上記のように動作する実施形態においては、通電信号供給回路31及び通電回路32が、所定周波数の交流成分を重畳した直流電圧を燃料電池FCの正負電極Fe1,Fe2間に通電する。これにより、燃料電池FCの電解質中には前記交流成分に応じた電流が流れ、燃料電池FCが対向する磁気センサ22−1,22−2・・22−N部分には前記交流成分に応じた磁界が発生する。この発生される磁界はセンサ信号取出回路33−1,33−2・・33−Nによって検出され、検出された磁界を表す信号はセンサ信号取出回路33−1,33−2・・33−N及び信号選択回路34を介してロックインアンプ35に供給され、ロックインアンプ35は前記所定周波数の交流成分に関係して発生される磁界を表す信号のみを取出して出力する。したがって、比較的簡単な構成で、外部磁界の影響を受けない磁界を検出でき、検出装置のコストを抑えたうえで、外部磁界が一様になるようにする必要もなく、電池の複数の部分を流れる電流によって発生される磁界を精度よく検出できるので、ひいては電池の異常を精度よく検出できるようになる。
また、上記実施形態においては、コントローラ40のS11〜S22,S31〜S39の処理により、前記ロックインアンプ35により取出された信号成分から、燃料電池FCの正負電極Fe1,Fe2間方向に平行な面の複数の部分における電流の大きさIxy(n)の分布が計算される。これにより、燃料電池FCに異常が発生した場合には、正負電極Fe1,Fe2間方向における電流の大きさIxy(n)の分布が正常な場合に比べて大きく変化するため、電池の異常を容易に検出することができるようになる。この場合、コントローラ40のステップS40〜S49,S65〜S69の処理により、電流の大きさIxy(n)の分布を用いて、燃料電池FCの正負電極Fe1,Fe2間方向に平行な面における正負電極Fe1,Fe2に対向する位置が検出される。その結果、正負電極Fe1,Fe2間方向をX方向及びY方向のいずれの方向を向くように燃料電池FCをステージ10上に配置しても、正負電極Fe1,Fe2に対する電流の大きさIxy(n)の分布を正確に把握でき、燃料電池FCの異常を容易に検出できるようになる。
さらに、上記実施形態においては、コントローラ40のステップS45〜S85の処理により、正負電極Fe1,Fe2間の中間線に対する対称性が数値として計算され、さらにコントローラ40のステップSS87の処理により対称性の数値に基づいて燃料電池FCの異常が判定される。これによれば、燃料電池FCに異常があって正負電極Fe1,Fe2間方向における電流Ixy(n)の大きさの分布が正常な状態から変化する場合、対称性が悪くなる方向に変化するので、計算した対称性の数値から電池の異常の有無を容易に判断できて便利となる。また、燃料電池FCの異常の判断は、コントローラ40のステップS86による電流の大きさIxy(n)の表示からも、作業者によって視覚的に判断され得る。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変形も可能である。
上記実施形態は種々の大きさや形状の燃料電池FCの検査を行うことが可能であるが、検査対象の燃料電池FCの大きさ及び形状が1つに限定されていれば、ステージ10の燃料電池FCをセットする部分は検査対象の燃料電池FCに合う固定された大きさのものとし、磁気センサユニット20を決まった位置に固定し、検査対象の燃料電池FCがある箇所にのみ、磁気センサ22−1,22−2・・22−Nが配置されるようにすればよい。
そして、コントローラ40は、図7A〜図7Dの評価プログラムに代えて図12の評価プログラムを実行する。この図12のステップS101〜S107,S110,S111の処理は図7AのステップS31〜S39の処理と同じであるとともに、図12のステップS112の処理は及び図7DのステップS90の処理と同じである。これらの図12のステップS101〜S107,S110,S111,S112の処理により、上記実施形態の場合と同様に、燃料電池FCの電解質のX−Y座標位置に流れる電流の大きさデータIxy(n)、同電流の方向データθixy(n)、X方向に流れる電流の大きさデータIx(n)及びY方向に流れる電流の大きさデータIy(n)(n=1〜N)が計算されるとともに、表示装置42に表示される。その結果、この変形例によっても、外部磁界の影響を受けることなく、燃料電池FCの電解質中を流れる電流の分布により燃料電池FCを的確に評価できる。
また、この変形例においては、変数nを1からNまで変化させる循環処理中に、ステップS108,S109の処理も実行する。ステップS108においては、前記計算したX方向の電流の大きさデータIx(n)とX方向の電流の大きさの基準値Ixref(n)との差の絶対値|Ix(n)−Ixref(n)|が、比較値3・DEV(n)以上であるか否かを判定する。この場合、基準値Ixref(n)及び比較値3・DEV(n)は、次のような方法で事前に用意されて記憶装置に予め記憶されているデータである。まず、検査対象の燃料電池FCと同一種類であって良品である複数の燃料電池に係るサンプリングデータ群Sx1(n),Sx2(n),Sy1(n),Sy2(n)(n=1〜N)を図6に示すようなデータ取得プログラムで取得する。そして、上述した図12の評価プログラムのステップS102,S103,S107と同様な処理により、検査位置ごとのX方向の電流の大きさデータIx(n)(n=1〜N)を計算して記憶装置に記憶しておく。さらに、検査位置ごとに、前記複数の燃料電池FCの電解質中の電流の大きさデータIx(n)の平均値を計算して、これらの計算した平均値を基準値Ixref(n)として記憶装置に記憶しておく。また、検査位置ごとに、前記複数の燃料電池FCの電解質中の電流の大きさデータIxy(n)の標準偏差DEV(n)を計算して、計算した標準偏差DEV(n)を3倍した値を比較値3・DEV(n)(n=1〜N)として記憶装置に記憶しておく。したがって、前記ステップS108の判定は、検査対象の燃料電池FCの電解質中の検査位置の電流の大きさデータIx(n)が、良品である燃料電池FCの前記検査位置と同一位置の電流の大きさデータよりも許容値以上に大きく異なっているか否かを判定するものである。
ふたたびステップS108の処理の説明に戻ると、前記絶対値|Ix(n)−Ixref(n)|が比較値3・DEV(n)未満であれば、コントローラ40は、ステップS108にて「No」と判定し、ステップS110に進む。一方、前記絶対値|Ix(n)−Ixref(n)|が比較値3・DEV(n)以上であれば、コントローラ40は、ステップS108にて「Yes」と判定して、ステップS109に進む。ステップS109においては、コントローラ40は、検査位置を特定する変数nにより指定されるエラーデータE(n)を、異常を表す“1”に設定する。なお、エラーデータE(n)(n=1〜N)は、初期の状態では全て“0”に設定されている。そして、ステップS102〜S111の循環処理の終了時には、燃料電池FCの検査位置ごとに、前記検査位置の異常の有無を表すエラーデータE(n)(n=1〜N)が、RAM又は記憶装置に記憶されている。
そして、この変形例においては、前記ステップS112の処理後、コントローラ40は、ステップS113にて、エラーデータ(n)(n=1〜N)の中に“1”を示すエラーデータが存在するかを調べる。“1”を示すエラーデータが存在しなければ、コントローラ40は、ステップS113にて「No」と判定して、ステップS114にて表示装置42に「合格」を表示し、ステップS117にてこの評価プログラムの実行を終了する。一方、“1”を示すエラーデータが存在すると、コントローラ40は、ステップS113にて「Yes」と判定して、ステップS115にて表示装置42に「不合格」を表示し、ステップS116にてエラーデータE(n)が“1”である変数nを取り出し、前記ステップS112の処理によって表示した画像中の変数nによって指定される位置に欠陥を表すマーク、色彩などを表示する。ステップS116の処理後、コントローラ40は、ステップS117にてこの評価プログラムの実行を終了する。
この変形例によれば、検査対象である燃料電池FCのX方向の電流の大きさデータIx(n)と正常な燃料電池の基準値Ixref(n)との比較により、検査対象である燃料電池FCの合否を自動的に判定して表示するようにした。その結果、この変形例によっても、作業者は、表示装置42の表示に基づいて検査対象である燃料電池FCの合否を簡単に判断できるようなる。なお、X方向の電流の大きさデータIx(n)を採用した理由は、正負電極Fe1,Fe2がX方向に所定距離だけ離れてY方向に延設されているものとし、この場合には電解質中をX方向に流れる電流の大きさが燃料電池FCの異常を判定するために適しているからである。しかし、正負電極Fe1,Fe2がY方向に所定距離だけ離れてX方向に延設されていれば、電解質中をY方向に流れる電流の大きさデータIy(n)を用いて、この変形例と同様にして燃料電池FCの合否を判定する。
また、この変形例においては、X方向に流れる電流の大きさデータIx(n)又はY方向を流れる電流の大きさデータIy(n)を用いて燃料電池FCの合否を判定するのに代えて、ステップS106にて計算された電流の大きさデータIxy及び同電流の方向データθixyを用いて燃料電池FCの合否を判定するようにしてもよい。この場合も、正常な燃料電池FCに関する電流の大きさデータIxy(n)及び同電流の方向データθixy(n)を、前記場合と同様にして予め計算して基準値Iref(n),θref(n)を用意しておき、前記電流の大きさデータ及び方向データIxy(n)、θixy(n)と基準値Iref(n),θref(n)とを比較すればよい。また、この変形例においても、上記実施形態の電極間対称性数値Symを計算して、この電極間対称性数値Symを用いて上記実施形態の場合と同様に燃料電池FCの合否を判定してもよい。
図13は、前記電流の大きさIxy及び方向θixyと、X方向の電流の大きさIxとY方向の電流の大きさIyの分布とを表示装置42に表示した一例を示している。この場合、図面上はっきりしないが、電流の大きさIxy及び方向θixyが矢印で示されているとともに、各電流の大きさIxy,Ix,Iyが色彩(及び濃度)を代えて示されている。また、破線で磁界の測定領域が示されている。
図13(A)は、電解質と電極を有する電池FCの概略図であり、この電池FCにおいては、電解質中の正負電極Fe1,Fe2の上端部はエポキシ樹脂で形成した絶縁皮膜により覆われている。図13(B)は正常な電池FCの電流の大きさIxy及び方向θixyの分布状態を示し、図13(C)は正常な電池FCのX方向の電流の大きさIxを示し、図13(D)は正常な電池FCのY方向の電流の大きさIyを示している。また、図13(E)は異常な電池FCの電流の大きさIxy及び方向θixyの分布状態を示し、図13(F)は異常な電池FCのX方向の電流の大きさIxを示し、図13(G)は異常な電池FCのY方向の電流の大きさIyを示している。この異常は、図13(F)にて実線で示す位置において、エポキシ樹脂による絶縁被覆の一部が剥がれているものである。そして、図13(B)〜図13(D)の分布状態と、図13(E)〜図13(G)の分布状態とを表示装置に同時に表示して対比することにより、燃料電池FCの異常を検出し易くなる。この場合には、特に、X方向の電流の大きさIxを表す図13(C)の分布状態と図13(F)の分布状態との対比により、前記燃料電池FCの異常を簡単に発見することができる。
また、上記実施形態においては、磁気センサで2方向の磁界の強さHx,Hyを検出して2方向の電流の大きさIx,Iyを計算したが、燃料電池FCをステージ10上にセットしたときの電極間方向がX方向又はY方向に限定されており、表示装置42に表示されるものが電極間方向の電流の強さ分布と、電極間方向の電流の強さ分布の対称性を表す数値Symと、この値による合否判定結果のみでよければ、磁気センサは電極間方向の電流を算出できる1方向のみの磁界を検出するようにしてもよい。これによれば、個々の磁気センサ及びセンサ信号取り出し回路を簡略化することができる。
また、上記実施形態においては、磁気センサ22−1,22−2・・22−Nで検出した磁界から電流の大きさIxy及び方向θixyと、X方向の電流の大きさIxとY方向の電流の大きさIyを計算したが、磁界の強さと電流の大きさは比例関係にあり、磁界の方向と電流の方向は90度異なっていることが決まっているので、検出した磁界から電流の大きさと方向を計算せず、検出した各点の磁界の強さと方向から、磁界の強さと方向の分布、及び電極間方向又はその垂直方向の磁界の強さ分布を表示し、電極間方向の垂直方向における磁界の強さ分布(電極間方向の電流により発生する磁界の強さ分布)の対称性を表す電極間対称性数値Symを計算するようにしてもよい。
また、電流の大きさデータIxy(n)に代えて磁界の強さデータHxy(n)の分布状態を用いることは、正負電極Fe1,Fe2の位置を検出する場合にも適用できる。すなわち、図7AのステップS40〜S44、図7BのステップS45〜S49及び図7CのステップS65〜S69においては、電流の大きさデータIxy(n)を用いて正負電極Fe1,Fe2の位置を検出した。しかし、これに代えて、磁界の強さデータHxy(n)を用いて正負電極Fe1,Fe2の位置を検出するようにしてもよい。この場合、前記図7AのステップS35で計算した磁界の強さHxyを表すデータを磁界の強さデータHxy(n)として記憶装置に記憶しておき、前記図7AのステップS40〜S44、図7BのステップS45〜S49及び図7CのステップS65〜S69の処理において、電流の大きさデータIxy(n)に代えて磁界の強さデータHxy(n)を用いればよい。また、電流の大きさデータIxy(n)に代えてX方向の磁界の強さデータHx(n)を用いてもよい。この場合も、前記図7AのステップS33で計算したX方向の磁界の強さHxを表すデータをX方向の磁界の強さデータHx(n)として記憶装置に記憶しておくようにする。
また、対称性の判断においても、電流の大きさデータIxy(n)に代えて磁界の強さデータHxy(n)を用いることができる。すなわち、図7BのステップS50〜S64、図7CのステップS70〜S84及び図7DのステップS85においては、電流の大きさデータIxy(n)を用いて電極間対称性数値Symを計算した。しかし、これに代えて、磁界の強さデータHxy(n)を用いて電極間対称性数値Symを計算するようにしてもよい。この場合も、前記図7AのステップS35で計算した磁界の強さHxyを表すデータを磁界の強さデータHxy(n)として記憶装置に記憶しておき、前記図7BのステップS50〜S64、図7CのステップS70〜S84及び図7DのステップS85の処理において、電流の大きさデータIxy(n)に代えて磁界の強さデータHxy(n)を用いればよい。また、電流の大きさデータIxy(n)に代えてX方向の磁界の強さデータHx(n)を用いてもよい。この場合も、前記図7AのステップS33で計算したX方向の磁界の強さHxを表すデータをX方向の磁界の強さデータHx(n)として記憶装置に記憶しておくようにする。
さらに、上記変形例における電流のX方向の電流の大きさデータIx(n)と基準値Ixref(n)との差の絶対値|Ix(n)−Iref(n)|に基づく燃料電池FCの異常の判定においても、X方向の電流の大きさデータIx(n)に代えてY方向の磁界の強さデータHy(n)を用いることができる。すなわち、図12のステップS108においては、X方向の電流の大きさデータIx(n)とX方向の電流の大きさの基準値Ixref(n)との差の絶対値|Ix(n)−Iref(n)|が、比較値3・DEV(n)以上であるか否かを判定するようにした。しかし、この場合も、前記図12のステップS103で計算したY方向の磁界の強さHyを表すデータをHy(n)として記憶装置に記憶しておき、この記憶しておいたY方向の磁界の強さデータHy(n)を用いて、正常な燃料電池FCに基づいて計測して予め用意しておいたY方向の磁界の強さの基準値Hyref(n)との差の絶対値|Hy(n)−Hyref(n)|が、比較値3・DEV(n)以上であるか否かを判定するようにすればよい。また、この場合も、Y方向の磁界の強さデータHy(n)に限らず、磁界の強さデータHxy(n)を用いてもよい。
また、上記実施形態及び変形例においては、電極間方向の電流の大きさ分布の対称性を表す電極間対称性数値Sym又は基準値との差分値(Ix(n)−Ixref(n))を用いて、自動で検査対象の燃料電池FCの合否を判定したが、電極間方向及びその垂直方向における電流の大きさ分布又は磁界の強さ分布のみを作業者が見て燃料電池FCの合否を判定するようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、磁気センサ22−1,22−2・・22−Nをマトリクス状に配置したが、磁気センサユニット20の置き方を変更せず、かつ測定を短時間で行う必要がなければ、1つ又は少ない数の磁気センサを磁気センサユニット20に固定して、1方向又は2方向にステージ10又は磁気センサを移動させて、燃料電池FCのX−Y平面を磁気センサが走査するようにしてもよい。
また、上記実施形態及び変形例においては、検査対象の電池は燃料電池FCを想定したが、電解質と電極から構成される電池であれば2次電池でも本検査装置により検査を行うことができる。この場合、燃料電池FCのような形状が電極間の中間で対称になっていないものが多くあるので、正負電極Fe1,Fe2間の対称性を表す電極間対称性数値Symで判定できないときは、各点の測定データを基準値と比較して判断するか、電流分布又は一定方向の電流の大きさの分布を見て判定するかは、適宜判断すればよい。
また、上記実施形態では、磁気センサとして磁気抵抗素子(MR素子)を利用したが、これに代えて、ホール素子、磁気インピーダンス素子効果センサ、フラックスゲート、超伝導量子干渉素子などを利用するようにしてもよい。
FC…燃料電池、10…ステージ、11,12…支持部材、13,14…連結部材、15…固定載置部、16…移動載置部、20…磁気センサユニット、22(22−1,22−2・・22−N)…磁気センサ、31…通電信号供給回路、32…通電回路、33…センサ信号取出回路、34…信号選択回路、35…ロックインアンプ、40…コントローラ、41…入力装置、42…表示装置
Claims (7)
- 電解質と電極から構成されている電池に所定周波数の交流成分を重畳させた直流電圧を印加して前記電解質に通電する通電手段と、
前記電池の複数の部分に対向して位置し、前記複数の部分に流れる電流によって発生する磁界を検出して、検出磁界を表す信号を出力する磁界検出手段と、
前記磁界検出手段から出力される検出磁界を表す信号から、前記所定周波数に等しい周波数の信号成分を取出す周波数成分取出し手段と
を備えたことを特徴とする電池の検査装置。 - 請求項1に記載した電池の検査装置において、
前記磁界検出手段は、前記電池の電極間方向に平行な面の複数の部分で、前記電解質中を流れる電流によって発生する磁界を検出し、さらに、
前記周波数成分取出し手段から取出された信号成分から、前記電池の電極間方向に平行な面の複数の部分における磁界の強さ又は電流の大きさの分布を計算する強さ分布計算手段を備えたことを特徴とする電池の検査装置。 - 請求項2に記載した電池の検査装置において、さらに、
前記強さ分布計算手段によって計算された磁界の強さ又は電流の大きさの分布を用いて、前記電池の電極間方向に平行な面における前記電極に対向する位置を検出する電極位置検出手段を備えたことを特徴とする電池の検査装置。 - 請求項2又は3に記載した電池の検査装置において、さらに、
前記強さ分布計算手段によって計算された磁界の強さ又は電流の大きさの分布の、前記電極間の中間線に対する対称性を数値として計算する対称性計算手段を備えたことを特徴とする電池の検査装置。 - 請求項4に記載した電池の検査装置において、さらに、
前記対称性計算手段によって計算された対称性の数値に基づいて前記電池の異常を判定する判定手段を備えたことを特徴とする電池の検査装置。 - 請求項2又は3に記載した電池の検査装置において、さらに、
前記強さ分布計算手段によって計算された磁界の強さ又は電流の大きさの分布と、予め用意した基準情報とを比較して、前記電池の異常を判定する判定手段を備えたことを特徴とする電池の検査装置。 - 請求項2乃至6のうちのいずれか一つに記載した電池の検査装置において、さらに、
前記強さ分布計算手段によって計算された磁界の強さ又は電流の大きさの分布を表示する表示手段を備えたことを特徴とする電池の検査装置。
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2010
- 2010-10-20 JP JP2010235116A patent/JP2012088177A/ja active Pending
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