JP2012087207A - 共重合樹脂組成物、成形品、及び共重合樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

共重合樹脂組成物、成形品、及び共重合樹脂組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 生分解性を有し、石油系樹脂を含まなくても、十分な耐熱性や機械的強度を有する、バイオマス系の樹脂組成物の提供。
【解決手段】 3ヒドロキシ酪酸モノマーユニット、3ヒドロキシ吉草酸モノマーユニット、及び乳酸モノマーユニットを含有し、前記乳酸モノマーユニットの含有率が50〜97モル%の乳酸共重合体と、3ヒドロキシ酪酸モノマーユニット及び3ヒドロキシ吉草酸モノマーユニットを含有し、3ヒドロキシ酪酸モノマーユニットの含有率が10〜25モル%のポリエステル共重合体とを含むことを特徴とする共重合樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、共重合樹脂組成物、及び前記共重合樹脂組成物を用いた成形品、並びに共重合樹脂組成物の製造方法に関する。
近年の地球環境問題への意識の高まりから、生分解性を有するとともに、化石資源の使用量を削減するための技術開発が盛んに行われるようになってきた。石油を原料とするプラスチックの原料をバイオマス材料に置き換える動きもその一つである。
機械部品、特に複写機やレーザープリンターなど電子写真機器やインクジェット技術を用いた画像出力機器、家電製品などの電気電子機器や自動車の内装部品には、樹脂部品が数多く使用されている。これらの樹脂部品は、ほとんど石油を原料にしたプラスチックから作られるが、二酸化炭素排出量低減問題、石油資源枯渇問題、非生分解性プラスチック問題などのために、バイオマス資源由来樹脂に変換する技術が望まれている。
バイオマス資源とは、植物や動物などの生物体やその生産物を資源にしているという意味であり、木材や木綿、絹、羊毛、天然ゴムといった従来から知られている生物由来原材料に加え、トウモロコシ、大豆や動物から得られるデンプン、油脂、生ゴミなどを指すものである。バイオマス資源由来樹脂は、これらのバイオマス資源を原料にして作られており、一般には、生分解性樹脂であることが多い。生分解性樹脂とは、自然環境下の所定の温度・湿度条件において、微生物により分解される樹脂である。なお、生分解性樹脂としては、バイオマス資源由来樹脂ではなく、石油由来樹脂であってもよいが、既存のほとんどの石油由来樹脂は非生分解性である。
バイオマス資源由来の生分解性樹脂としては、ジャガイモ、サトウキビ、トウモロコシなどから得られる糖質を醗酵させて産生した乳酸(Lactic Acid;LAと略称される。)を原料とし、化学重合により製造されるポリ乳酸(PolyLactic Acid;PLAと略称される。)や、エステル化した澱粉を主成分としたエステル化澱粉、微生物が体内に生産する微生物産生ポリエステル樹脂であるポリヒドロキシアルカノエート(PolyHydoroxy Alkanoate;PHAと略称される。)、醗酵法で得られる1,3−プロパンジオールと、石油由来のテレフタル酸を原料とするポリトリメチレンテレフタレート(Poly Trimethylene Terephtalate;PTTと略称される。)などが知られている。また、ブタンジオールとコハク酸を原料とするポリブチレンスクシネート(Poly Butylene Succinate;PBSと略称される。)は、現在は石油由来原料から製造されているが、バイオマス由来樹脂へ移行するような研究がなされており、将来は主原料の一つであるコハク酸を植物由来で製造することが検討されている。
上記バイオマス資源由来樹脂のうち、ポリ乳酸(PLA)は融点が180℃前後と高く、比較的成形加工性に優れ、かつ市場への供給量も安定しており、これを応用した各種の成形品が実用化されている。しかし、ポリ乳酸はガラス転移温度が56℃前後と低く、それに伴い熱変形温度が55℃前後であり、耐熱性が必要な用途に不向きであるという問題があった。また、ポリ乳酸は結晶性樹脂であることから、アイゾット衝撃強度が2kJ/m以下であり、耐衝撃性が必要な用途には使用できなかった。このため、大量の樹脂製品が使用されている電気電子機器製品の筐体などの耐久部材への採用は困難であるとされていた。
ポリ乳酸の物性向上対策の一つとして、石油系樹脂であるポリカーボネート樹脂とのポリマーアロイを形成する方法が知られている。しかし、成形品に必要な物性を確保するためには石油系樹脂の使用割合を比較的多く含む必要があり、バイオマス資源由来樹脂の割合を50%前後しか含むことができず、二酸化炭素排出量削減や石油使用量削減などの環境負荷低減効果は半減してしまう。
別のポリ乳酸の物性向上対策として、ポリ乳酸が結晶性樹脂であることを利用して、ポリ乳酸の結晶化を促進させて耐熱性を向上させる技術が検討されている。結晶化促進法としては、成形後に再加熱(アニール)して結晶化度を高める方法と、結晶化核剤を添加して成形する方法が知られている。成形後にアニールする手法では、加工工程が煩雑になり、成形時間が長くなるデメリットに加え、結晶化に伴う成形品の変形を防ぐためのアニール用の金型等を設置する必要があり、コストと生産性に課題があった。
結晶化核剤を添加する方法については、結晶化度、結晶化速度を向上させる各種の結晶化核剤の開発が進められているが、現状では結晶化核剤を添加しても、成形時において2分程度の結晶化時間を必要とし、石油系の汎用樹脂と同じような成形サイクル時間では成形できず、生産性に課題があった。
また、ポリ乳酸は100〜110℃前後の温度で結晶化させるため、成形時に100℃以上の金型温度調節が必要であり、安価な水冷式の金型温度調節機を使用することができず、成形コストの増加という問題があった。更に、ポリ乳酸のみを結晶化させた成形品では、アニーリング等により十分に結晶化させても、高荷重下(荷重1.80MPa)での荷重たわみ温度は55℃前後と、耐熱性が不十分であることが課題が残っている。
一方、従来から知られているヒドロキシ酪酸−ヒドロキシ吉草酸共重合体のような耐熱性の優れている微生物産生ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)樹脂は、加熱時における熱分解が起こりやすく、射出成形などの加工法により成形品を生産する場合には、熱分解による物性の低下が課題とされている。ポリヒドロキシアルカノエート樹脂は、従来の熱安定剤、酸化防止剤、加水分解防止剤を添加しても、熱分解による分子量低下を抑制することは困難であった。
以下に、バイオマス資源由来樹脂から生分解性樹脂の製造に関する具体的な文献を紹介する。
引用文献1、引用文献2は、ポリ乳酸樹脂にポリカーボネート樹脂のような石油資源を原料とした樹脂を半分程度ブレンドして、樹脂の荷重たわみ温度や耐衝撃性を改善する方法を提案している。例えば、引用文献1には、ポリ乳酸を20〜80質量部、ポリカーボネートを20〜70質量部、更に強化材を0.1〜50質量部、および難燃剤を0.5〜35質量部の割合で含むことを特徴とする電子機器用部材が開示されている。また、引用文献2には、ポリ乳酸樹脂95〜5重量%、芳香族ポリカーボネート樹脂5〜95重量%、及びこれらの樹脂の合計100重量部に対して、アクリル樹脂ユニット又はスチレン樹脂ユニットを0.1〜50重量部グラフト重合させた高分子化合物に、難燃剤0.1〜50重量部を配合してなる樹脂組成物が開示されている。
また、引用文献3、引用文献4に記載されているように、ポリ乳酸樹脂に紙紛や木粉、天然繊維等のバイオマス系の充填材を添加することにより、樹脂組成物の機械的強度を向上させることができる。この方法を用いれば、石油由来樹脂を使用しないで、バイオマス材料の構成比率を高めることができる。例えば、引用文献3には、難燃剤を含浸させた天然繊維と、少なくとも植物資源由来の樹脂とを混練させることを特徴とする筐体用材料が提案されており、前記天然繊維として、ケナフ繊維、麻繊維、ジュート繊維からなる群から選ばれた繊維が開示されている。
引用文献4においては、植物資源由来の樹脂100重量部に対して、天然物由来の有機充填剤1〜350重量部を配合してなる樹脂組成物を成形してなる電気・電子部品が提案されている。植物資源由来の樹脂はポリ乳酸樹脂であり、天然物由来の有機充填剤が紙粉又は木粉から選ばれる少なくとも一種であり、紙粉の50重量%以上が古紙粉末であることを特徴としている。また、ポリ乳酸樹脂の耐熱性を向上させるために、結晶化核剤の添加、あるいは結晶化促進剤としての可塑剤を添加して、ポリ乳酸樹脂の結晶化度を高め得ることが記載されている。
特許文献5においては、生分解性ポリエステルの中でも特に結晶化の遅い、式[−CHR−CH−CO−O−](式中、RはC2n+1で表されるアルキル基で、nは1〜15の整数である。)で示される繰り返し単位からなる脂肪族ポリエステル系重合体(Poly-3-Hydoroxy Alkanoate;P3HA)の結晶化速度を促進し、射出成形、フィルム成形、ブロー成形、繊維の紡糸、押出発泡、ビーズ発泡などの成形加工における加工性、加工速度を改善した生分解性ポリエステル系樹脂組成物を提案している。提案されている生分解性ポリエステル系樹脂組成物は、微生物から生産されるP3HAと、ポリビニルアルコール(PVA)、キチン、キトサンから選ばれる1種以上からなる結晶化核剤とを混合したものであり、PVA、キチン又はキトサンは好適なP3HA用の結晶化核剤であるとしている。なお、具体的な脂肪族ポリエステル系重合体として、ポリ3−ヒドロキシブチレート(P3HB)、及び(3−ヒドロキシブチレート(3HB))/(3−ヒドロキシヘキサノエート(3HHx))の共重合体が開示されている。
特許文献6においては、ポリ乳酸系樹脂とポリヒドロキシアルカノエートコポリマーとカルボジイミド化合物からなる光学用ポリ乳酸樹脂組成物を提案している。この光学用ポリ乳酸樹脂組成物は、透明性に優れ、引張特性が向上しており、ポリ乳酸系樹脂を99.9〜80質量部およびポリヒドロキシアルカノエートコポリマーを0.1〜20重量部含有するものである。
特許文献7においては、生分解性樹脂である乳酸系重合体の生分解性を増大させ、かつ成形性を改善することを目的として、乳酸系重合体とヒドロキシアルカン酸系重合体とを含有させてなる脂肪族ポリエステル系ポリマーブレンド体が提案されている。この脂肪族ポリエステル系ポリマーブレンド体は生分解性が大きく、成形性が改善され、しかも、成形品の特性が優れているとしている。
特許文献8においては、ポリ乳酸とポリ乳酸以外の脂肪族ポリエステルを含有し、結晶性無機充填剤成分として結晶性SiOを含む耐熱性樹脂組成物が提案されている。この耐熱性樹脂組成物は、(a1)ポリ乳酸75〜25質量%、及び、(a2)ポリ乳酸以外の融点が100〜250℃の脂肪族ポリエステル25〜75質量%を含有する高分子組成物成分(A)に対し、結晶性SiOを10質量%以上含有する結晶性無機充填剤成分(B)を、高分子組成物成分(A)100質量部に対して0.1〜70質量部含んでいる。この耐熱性樹脂組成物は、金型温度を、ガラス転移温度(Tg)以下、又は室温近傍(0〜60℃)として射出成形可能であり、成形加工における結晶化速度が早く、結晶化度も充分高く、したがって、優れた耐熱性を有し、使用時における高分子成分の劣化が起こり難く、脆化し難い性質を有するとしている。具体的実施例においては、ポリブチレンサクシネート(PBS)を用いた樹脂組成物が開示されており、脂肪族ポリエステルの製造方法として、脱水重縮合法、もしくは環状二量体を溶融重合する間接重合法、環状二量体を触媒存在下で溶融重合する開環重合法などの化学的重合処理法が示されている。
特許文献9においては、ポリ乳酸(a1)と脂肪族ポリエステル(a2)との混合物(A)とポリ乳酸セグメントと脂肪族ポリエステルセグメントを有する脂肪族ブロックコポリエステル(B)との混合物からなる乳酸系樹脂組成物を提案している。この乳酸系樹脂組成物は、成形性、柔軟性、安全性に優れ、更には使用後には、生分解性を有し廃棄物処理が容易である。この乳酸系樹脂組成物においては、脂肪族ポリエステル(a2)はポリブチレンサクシネート及び/又はポリカプロラクトンであり、ポリ乳酸(a1)と脂肪族ポリエステル(a2)からなる2成分混合物(A)を、2成分の脂肪族ブロックコポリエステル(B)で相溶化させている。
ポリ乳酸樹脂にポリカーボネート樹脂のような石油資源由来の樹脂を半分程度ブレンドして、耐熱性や機械的強度を改善しても、地球環境対策の観点からは、樹脂製品のバイオマス材料への置き換え効果は半減されてしまう。更に、将来の原油枯渇傾向により、ブレンドに用いた石油由来樹脂の価格が高騰し、実質的に石油由来樹脂は使用できなくなる恐れもある。
ポリ乳酸樹脂に紙紛や木粉、天然繊維等の天然有機物系充填材を利用する方法を用いれば、バイオマス材料の構成比率を高め、石油資源をほとんど使用しない樹脂組成物ができる。しかし、例えば引用文献4において使用している紙紛や木粉、天然繊維の場合、そのサイズは1〜10mm程度であり、紙紛や木粉、天然繊維等が樹脂部品の表面に浮き出てしまい、電気製品の外装筐体のような高い外観精度や美観が要求される成形品には使用することができない。また、外観精度や美観を良くするために、紙紛や木粉、天然繊維を微粉末化するためには、生産コストの増大を招いてしまう。
ポリ乳酸樹脂の耐熱性を向上させるためには、結晶化度を上げる必要があるが、結晶化度を上げるためには、結晶化核剤の添加、あるいは結晶化促進剤としての可塑剤を添加する方法が知られている。しかし、このようにしてポリ乳酸樹脂の結晶化度を高めても、高荷重(例えば、1.80MPa)の荷重たわみ温度は、55℃程度までしか向上しないことが知られている。更に、ポリ乳酸を結晶化させるには、高い金型温度と長い成形時間が必要であり、例えば、厚さ3mmの引張試験片の成形においては、金型温度100℃、成形サイクル時間90〜100秒を要している。従来の化石資源由来の樹脂(例えば、ポリプロピレンやポリスチレン)では、同様の引張試験片の成形は、金型温度50℃程度で成形サイクル時間はせいぜい30秒程度であり、成形容易性は、ポリ乳酸樹脂成形品の工業
生産にとって大きな問題となっている。
一方で、乳酸を含まないポリアルカノエート樹脂として、3ヒドロキシ酪酸(3HBと略称される。)や3ヒドロキシ吉草酸(3HVと略称される。)をモノマーユニットとする生分解性樹脂の利用が考えられている。この中でも、3ヒドロキシ酪酸−3ヒドロキシ吉草酸共重合体(ポリヒドロキシブチレート−ヒドロキシバリレート共重合体)は、グルコースを基質とする培地から微生物発酵により産生することができ、ポリ乳酸樹脂の代替品又はポリ乳酸樹脂へのブレンド等の補完樹脂として期待されている。しかし、3ヒドロキシ酪酸−3ヒドロキシ吉草酸共重合体は、熱分解しやすく、射出成形等の成形処理段階で分解して物性が劣化してしまうという問題がある。この問題点は、共重合体の高分子量化や結晶化核剤の添加、ポリ乳酸樹脂とのブレンドなどでは解決できていない。
特許文献5に記載の生分解性ポリエステル系樹脂組成物においては、具体的に開示されている生分解性ポリエステル系樹脂組成物の成形においては、結晶化温度が110℃と高く(特許文献5図4参照)、金型の温度調節を水冷式温度調節機の上限温度約90℃以下とすることが困難である。また、成形時間40秒でも非晶質部分が残っており、結晶化が十分に進行し難いと考えられる。また、ポリヒドロキシブチレートやポリヒドロキシブチレート−ヒドロキシバリレート共重合体は熱加工時の分子量低下が著しく、樹脂成形品の強度が低下するなどの課題がある。
特許文献6に開示されているポリ乳酸樹脂組成物は、光学用の透明材料なので、非晶質の状態で固化させており、結晶化はしていないので、電器電子機器の筐体などに用いるには耐熱性が十分でないと考えられる。開示されている構成から推測すれば、このポリ乳酸樹脂組成物の耐熱性は、ポリ乳酸のガラス転移点前後である55℃〜60℃程度であると推測される。
特許文献7に開示されている脂肪族ポリエステル系ポリマーブレンド体は、具体的構成として、主鎖にポリエチレングリコール鎖を含む脂肪族ポリエステルと、ポリ3−ヒドロキシ酪酸(P3HB)とのポリマーブレンド体である。しかし、結晶化核剤を含んでおらず、耐熱性の向上、成形温度の低下、成形時間の短縮に課題が残るものと考えられる。
特許文献8に提案されている耐熱性樹脂組成物においては、さらなる耐熱性の向上が望まれる。また、重合において化学的処理によらず、微生物処理による樹脂製造方法の検討が待たれる。
特許文献9に提案されている乳酸系樹脂組成物においては、ポリ乳酸(a1)と脂肪族ポリエステル(a2)との混合物(A)の相溶性を改善するため、ポリ乳酸セグメントと脂肪族ポリエステルセグメントを有する脂肪族ブロックコポリエステル(B)を使用している。この為、脂肪族ブロックコポリエステル(B)は、組成や分子構造を特別に選択する必要がある。
上述のように、バイオマス原料を使用でき、生分解性を有する、経済的に利用可能な汎用樹脂は、まだ開発途上である。特に、ポリ乳酸で達成できなかった60℃を超える耐熱性を有し、且つ成形性の優れた、汎用成形品に使用できる衝撃強度を有する樹脂組成物は得られていない。現実に使用できるとされるバイオマス系樹脂組成物は、ポリ乳酸に石油系樹脂をブレンドして物性向上を図るものがほとんどであり、樹脂の混練工程を必要とする。バイオマス由来ポリエステル樹脂は、熱分解特性のあまりよくないものが多く、2種以上の樹脂の混練工程において、高温で長時間剪断応力を掛けることにより物性劣化を起こしやすい問題がある。更に、樹脂ブレンドにおいては、互いの樹脂の相溶性の変化や結晶化温度の違い等により、物性を安定させるブレンド技術が必要となる。
本発明の目的は、上記課題を踏まえ、生分解性を有し、耐熱性と耐衝撃性の優れたバイオマス系の共重合樹脂組成物、及びこの共重合樹脂組成物を用いた成形品、並びに共重合樹脂組成物の製造方法を提供することである。
本発明の共重合樹脂組成物は、下記化学式[1]、[2]、及び[3]で表されるモノマーユニットを含有している乳酸共重合体(共重合体Aと呼ぶ。)と、下記化学式[1]、[2]で表されるモノマーユニットを含有しているポリエステル共重合体(共重合体Bと呼ぶ。)を含んでいる。
Figure 2012087207
Figure 2012087207
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化学式[1]で表されるモノマーユニットは、3ヒドロキシ酪酸(3ヒドロキシブタン酸;3HBと略称することがある。)のヒドロキシル基とカルボキシル基が結合手となったモノマーユニットである。同様に、化学式[2]で表されるモノマーユニットは、3ヒドロキシ吉草酸(3ヒドロキシペンタン酸;3HVと略称することがある。)のヒドロキシル基とカルボキシル基が結合手となったモノマーユニットである。化学式[3]で表されるモノマーユニットは、乳酸(2ヒドロキシプロピオン酸;LAと略称することがある。)のヒドロキシル基とカルボキシル基が結合手となったモノマーユニットである。
共重合体A中における3HB、3HV、LAの3種のモノマーユニットは、ランダムに配列されていてもよいし、規則性を有して配列されていてもよいが、3HBと3HVの共重合ポリエステルブロックにLA重合体ブロックが付加した形態のブロック共重合体が好ましく使用できる。3HBと3HVの共重合ポリエステルブロックは、発酵法により産生することが好ましく、発酵法により産生された3HBと3HVの共重合ポリエステルブロックに、乳酸を付加重合させたブロック共重合体は、乳酸モノマーユニットの構成比率や配列を制御しやすく、分子量調節が比較的容易で、耐熱性や機械的強度が優れた成形品原料樹脂として好適である。
共重合体B中における3HB、3HVの2種のモノマーユニットも、ランダムに配列されていてもよいし、規則性を有して配列されていてもよいが、発酵法により産生することが好ましく、発酵法により産生された3HBと3HVの共重合ポリエステルはランダムに配列される方が、分子量調節が比較的容易で、生産収率も高くでき、成形品原料樹脂として好適である。
本発明における共重合体Aは、化学式[3]で表される乳酸モノマーユニットの含有率が50〜97モル%、好ましくは50〜95モル%である。共重合体A中の乳酸モノマーユニットの含有率が50モル%より少ないと、共重合体Aの熱処理に対する分子量保持率が低下しやすく、樹脂組成物としての混練時や成形時の加熱処理により熱分解を起こしたり、分子量低下を起こしたりしやすくなる。また、乳酸モノマーユニットの含有率が97モル%を超えると、ポリ乳酸樹脂の性質に近くなり、成形品とした際の耐熱性が劣ってくる。
本発明におけるポリエステル共重合体(共重合体B)は、3ヒドロキシ酪酸モノマーユニットと3ヒドロキシ吉草酸モノマーユニットを含み、3ヒドロキシ吉草酸モノマーユニットをモノマーユニットの比率として共重合体B中のモノマーユニットに対して10〜25モル%、好ましくは10〜20モル%含む。共重合体Bは微生物発酵法により産生するポリエステル共重合体であることが好ましい。
本発明に係る共重合樹脂組成物においては、共重合体Aと共重合体Bを所定の比率、例えば99:1〜60:40、好ましくは97:3〜70:30の比率で混合されている。前記共重合体Aと共重合体Bの混合比が、99:1〜60:40の範囲であると、共重合樹脂組成物の耐衝撃性の優れた改善効果が得られ、また、耐熱性が優れ、熱分解保持率(分子量保持率)を高く維持できる。
本発明の共重合樹脂組成物の耐熱性は、1.80MPaにおける荷重たわみ温度で評価した。この荷重たわみ温度は、JIS K 7191−2(1996)により測定したものであり、共重合樹脂組成物から射出成形により長さ130mm、幅3.2mm、高さ12.7mmの短冊試験片を作製し(短冊試験片は、成形後アニーリングしてもよい。)、これを支点間距離100mm、昇温速度2℃/min、曲げ応力1.80MPa(A法)で測定した結果が65℃以上であることが望ましい。
一般に、汎用の樹脂成形品は、上述の荷重たわみ温度が65℃〜100℃であれば、広範な用途に使用可能であり、特に、電気・電子機器用の筐体としての成形品としては十分な耐熱性を有する。しかし、従来のポリ乳酸樹脂では、アニーリングや結晶化核剤の添加等によっても、上記荷重たわみ温度を65℃以上とすることは容易ではなかった。
本発明の共重合樹脂組成物における乳酸共重合体(共重合体A)は、乳酸モノマーユニットの含有率が50モル%未満の場合でも、共重合樹脂組成物中に熱安定剤及び/又は加水分解防止剤を含有させれば、十分とは言えないまでも、ある程度の熱安定性を発揮することができる。
共重合体A中の乳酸モノマーユニットの含有率が50〜95モル%の場合でも熱安定剤及び/又は加水分解防止剤を含有させることが好ましい。本発明の共重合樹脂組成物は、熱安定剤及び/又は加水分解防止剤を含有することで、更に熱安定性が高く、射出成形などの成形時の熱処理に対しても十分な熱安定性を保つことができる。このため、微生物産生ポリヒドロキシアルカノエートであるポリヒドロキシブチレートやポリヒドロキシブチレート−ヒドロキシバリレート共重合体におけるような熱加工時の著しい分子量低下がなく、成形品の強度が低下するなどの問題がない。
本発明における熱安定剤及び/又は加水分解防止剤としては、ポリ乳酸などのバイオマス資源由来樹脂に用いられる熱安定剤及び/又は加水分解防止剤であれば、どのようなものでも使用できる。本発明における熱安定剤としては、酸化防止剤などが挙げられ、酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、エポキシ化合物、及びヒドロキシアミン系化合物等が挙げられる。加水分解防止剤としては、例えば、カルボジイミド化合物系加水分解防止剤、イソシアネート化合物、オキサゾリン系化合物、エポキシ化合物、エポキシ化脂肪酸アルキルエステル、エポキシ化脂肪酸グリセリンエステル等が挙げられる。
上記の熱安定剤及び/又は加水分解防止剤の中でも、フェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、及びカルボジイミド化合物系加水分解防止剤から選択される少なくともいずれかが好ましく用いられる。また、熱安定剤及び/又は加水分解防止剤は、複数種を同時に使用して効果を向上させることができる。例えば、フェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、及びカルボジイミド化合物系加水分解防止剤を同時に使用することにより、より好ましい効果が期待できる。
フェノール系酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール、多環ヒンダードフェノール、モノエステル型ヒンダードフェノール、テトラエステル型ヒンダードフェノール、ジエステル型ヒンダードフェノールなどが挙げられる。モノエステル型ヒンダードフェノールとしては、3−(4'−ヒドロキシ−3'−5'−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸−n−オクタデシル、ペンタエリスリチル・テトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、n-オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどが挙げられる。テトラエステル型ヒンダードフェノールとしては、テトラキス[メチレン−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、などが挙げられる。
ホスファイト系酸化防止剤としては、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、トリス[2-[[2,4,8,10-テトラキス(1,1-ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン-6-イル]オキシ]エチル]アミン、3,9-ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、2,2'-ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノキシ)-5,5'-スピロビ[1,3,2-ジオキサホスホリナン]、2,2'-ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノキシ)スピロ[4H-1,3,2-ジオキサホスホリン-5(6H),5'(6'H)-[4H-1,3,2]ジオキサホスホリン]、2,2'-ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノキシ)スピロ[1,3,2-ジオキサホスホリナン-5,5'-[1,3,2]ジオキサホスホリナン]、3,9-ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニルオキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、2,2'-ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェノキシ)スピロ[1,3,2-ジオキサホスホリナン-5,5'-[1,3,2]ジオキサホスホリナン]、などが挙げられる。
カルボジイミド化合物系加水分解防止剤としては、カルボジイミド変性イソシアネートなどがあげられる。
本発明の共重合樹脂組成物は、乳酸共重合体(共重合体A)の重量平均分子量(MW)は、20,000以上1,000,000以下、好ましくは50,000以上800,000以下、更に好ましくは70,000以上800,000以下である。重量平均分子量が20,000より小さいと、成形品が脆くなりやすく、機械的強度、特に耐衝撃性が低下することがあり、汎用の樹脂成形品として使用できない場合がある。重量平均分子量が1,000,000を超える乳酸共重合体は、製造が容易ではなくなる。
本発明の共重合樹脂組成物は、上述の構成を備えることにより、従来のポリ乳酸樹脂組成物と同様に容易に入手可能なバイオマス原料から生産でき、生分解性を備え、従来のポリ乳酸樹脂組成物よりも耐熱性が高く、成形性が優れ、また、従来から知られている成形体用の微生物産生ポリヒドロキシアルカノエートに比べ加熱時の熱分解を抑制することができる。
本発明に係る共重合樹脂組成物は、乳酸共重合体(共重合体A)中における上記の化学式[1]で表される3HBモノマーユニットと、化学式[2]で表される3HVモノマーユニットのモル比が、99:1〜75:25の範囲であることが好ましく、96:4〜80:20の範囲であることが特に好ましい。3HBモノマーユニットと3HVモノマーユニットのモル比を99:1〜75:25の範囲とすることにより、共重合樹脂組成物の耐熱性が向上するとともに、グルコースを主体としたバイオマス原料を利用して発酵法により共重合体Aの原料である3HB−3HV共重合体が産生しやすく、原料調達や製造工程上のメリットが生かせる。
本発明に係る共重合樹脂組成物は、共重合樹脂組成物における乳酸共重合体(共重合体A)中の3HBモノマーユニットの比率を増加させると、耐熱性が向上し、3HVモノマーユニットの比率を増加させると、耐衝撃性が向上する傾向にある。乳酸共重合体(共重合体A)中の3HBモノマーユニットと、3HVモノマーユニットのモル比を上記範囲内とすることにより、汎用樹脂としての機械的強度を備え、ポリ乳酸樹脂よりも耐熱性が高く、成形性が優れ、加熱時の熱分解を抑制することができる共重合樹脂組成物を提供できる。
本発明に係る共重合樹脂組成物は、その熱分解保持率(分子量保持率ともいう。)が80%以上であることが好ましい。共重合樹脂組成物の熱分解保持率が80%以上であると、混練、ペレット化や成形加工時の加熱に対してもほとんど熱分解することなく、共重合樹脂組成物の性状を維持した成形品が得られ、電気電子機器の筐体をはじめとする汎用の樹脂成形品として、各種の用途に利用できる。従来から知られている3HB−3HV共重合体では、熱分解特性が劣っており、通常は、熱安定剤を添加しても、熱分解保持率を80%以上とすることは難しいとされていた。ここで、共重合樹脂組成物の熱分解保持率は、共重合樹脂組成物を200℃で1分間加熱した際の重量平均分子量(Mw)の低下率(%)で表す。
本発明に係る共重合樹脂組成物は、化学式[3]で表される乳酸モノマーユニットが、L乳酸モノマーユニット、又はD乳酸モノマーユニットのいずれかであることが好ましい。乳酸モノマーユニットが、L乳酸モノマーユニット、又はD乳酸モノマーユニットのいずれかであると、L乳酸とD乳酸の混合物であるラセミ体(DL体)の乳酸モノマーユニットから得られる共重合樹脂組成物に比べ、耐熱性、特に熱分解保持率の優れた共重合樹脂組成物が得られる。なお、L乳酸及びD乳酸は、純粋なものでなく工業的に得られる程度の純度の光学異性体であればよい。
本発明に係る共重合樹脂組成物は、結晶化核剤を更に含んでいることが好ましい。特に、結晶化核剤が、タルク系核剤、フェニル基を持つ金属塩系材料からなる核剤、ベンゾイル化合物系核剤より選択される一つ以上を含むことが好ましい。
結晶化核剤は、ポリ乳酸系樹脂組成物の結晶化を促進するため、成形時の金型温度を低下でき、成形時間を短縮でき、得られた成形品の耐熱性を向上させる。結晶化核剤のうちでも、タルク系核剤、フェニル基を持つ金属塩系材料からなる核剤、ベンゾイル化合物系核剤が本発明に係る共重合樹脂組成物との相性がよく、結晶化を促進する効果が優れている。
本発明に係る共重合樹脂組成物は、共重合体A及び/又は共重合体B中に4−ヒドロキシブタン酸(4HB)、3−ヒドロキシヘキサン酸(3HHx)、4−ヒドロキシ吉草酸(4HV)、3−ヒドロキシヘキサン酸(3HHx)、グリコール酸等のモノマーユニットを含む共重合樹脂組成物であってもよい。
本発明に係る成形品は、上記の本発明に係る結晶化核剤を含む共重合樹脂組成物を、金型温度を50〜90℃として射出成形法で成形したことを特徴とする。特に、本発明に係る成形品は、電気・電子機器用の筐体としての成形品として優れている。
樹脂の射出成形時の金型温度がおよそ90℃以下であれば、射出成形加工に必要となる金型の温度調節装置として、安価で簡便な水媒体方式を採用することができる。(90℃を超える金型の温度調節には、油媒体方式を採用するのが一般的である。)更に、金型温度が低ければ、金型のキャビティー内に射出された溶融樹脂(硬化前の成形品)の冷却を早くすることができ、成形時間すなわち成形サイクル時間が短縮される。これは、本発明の共重合樹脂組成物が、ポリ乳酸と異なり、50〜90℃の温度範囲で十分に結晶化が進み、更に、結晶化核剤を添加すると、上記温度範囲で結晶化が特に早くなることを見出したために実現できたものである。
汎用の樹脂成形品は、上述の荷重たわみ温度が65℃以上(65〜100℃)であれば、広範な用途に使用可能となり、特に、電気・電子機器用の筐体としての成形品としては十分な耐熱性を有する。また、本発明に係る樹脂成形品は、電気・電子機器用の筐体をはじめとする汎用樹脂成形品として、原料入手性、生産性、経済性に優れ、生分解性等の環境への配慮がなされている点からも好ましい。
本発明の共重合樹脂組成物の製造方法は、3ヒドロキシ酪酸モノマーユニットと3ヒドロキシ吉草酸モノマーユニットを含むポリエステル(3HB−3HV共重合ポリエステル)を微生物発酵法により産生するポリエステル産生行程と、前記3HB−3HV共重合ポリエステルに、乳酸をモノマーユニットの比率として50モル%以上95モル%以下の範囲で付加する乳酸共重合体(共重合体A)を製造する乳酸共重合体製造工程と、3ヒドロキシ酪酸モノマーユニットと3ヒドロキシ吉草酸モノマーユニットをモノマーユニットの比率として10〜25モル%、好ましくは10〜20モル%含むポリエステル共重合体(共重合体B)を微生物発酵法により産生するポリエステル共重合体産生行程と、共重合体Aと共重合体Bを所定の比率、例えば97:3〜70:30の比率で混合して共重合樹脂組成物とする樹脂混合工程とを有する。更に、本発明の共重合樹脂組成物の製造方法は、前記共重合樹脂組成物に結晶化核剤を添加する核剤添加工程を有することが好ましい。また、本発明の共重合樹脂組成物の製造方法は、好ましくは、前記共重合樹脂組成物に熱安定剤及び/又は加水分解防止剤を添加して共重合樹脂組成物とする添加剤添加工程を有する。
熱安定剤及び/又は加水分解防止剤としては、すでに述べた各種のものが使用でき、その中でも、フェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、及びカルボジイミド化合物系加水分解防止剤から選択される少なくともいずれかが好ましく用いられる。また、熱安定剤及び/又は加水分解防止剤は、複数種を同時に使用して効果を向上させることができる。例えば、フェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、及びカルボジイミド化合物系加水分解防止剤を同時に使用することにより、より好ましい効果が期待できる。
本発明の共重合樹脂組成物の製造方法におけるポリエステル産生行程、及びポリエステル共重合体産生行程では、微生物発酵法により3HB−3HV共重合体(乳酸共重合体製造用のポリエステル、及び共重合体B)を産生するので、微生物発酵条件を適宜調整することにより、容易に3HB−3HV共重合体の分子量や、3HBモノマーユニットと3HVモノマーユニットの比率を調整できる。また、微生物発酵法によれば比較的高分子量の3HB−3HV共重合体を産生しやすいので、これを加水分解することにより、所望の重量平均分子量の3HB−3HV共重合体を得ることもできる。
ポリエステル産生行程において所定の重量平均分子量のポリエステル(3HB−3HV共重合体)が製造できれば、乳酸共重合体を製造する乳酸共重合体製造工程においてこのポリエステル、又はこのポリエステルを適宜加水分解して分子量調整したポリエステルに乳酸モノマーを付加して乳酸共重合体を製造することで、乳酸モノマーユニットはポリエステル中にブロック化して導入できる。この為、本発明における乳酸共重合体(共重合体A)は、乳酸モノマーユニットの比率を制御しやすく、乳酸共重合体の分子量や、共重合樹脂組成物の荷重たわみ温度、熱分解保持率などを制御することもでき、耐熱性や機械的強度が優れた成形品原料樹脂として好適である。
本発明に係る共重合樹脂組成物の製造方法においては、前記ポリエステル(3HB−3HV共重合体)の3HBモノマーユニットと3HVモノマーユニットのモル比が、99:1〜50:50、特に95:5〜50:50の範囲であることが好ましい。微生物発酵法によるポリエステル産生行程において、ポリエステル中の3HBモノマーユニットと3HVモノマーユニットのモル比を上記の範囲内に制御することにより、ポリ乳酸樹脂よりも耐熱性が高く、加熱時の熱分解を抑制することができる共重合体樹脂組成物を提供できる。
本発明に係る共重合樹脂組成物の製造方法においては、前記共重合体Aと共重合体Bの混合比が、99:1〜60:40、特に98:2〜65:35、97:3〜70:30の範囲であることが好ましい。共重合体Bの比率が低すぎると耐衝撃性の改善効果が得られなくなり、また、共重合体Bの比率が高すぎると熱分解保持率が低下してしまう。
本発明によれば、生分解性を有し、石油系樹脂を含まなくても、十分な耐熱性や機械的強度を有する、バイオマス系の樹脂組成物、及びこれを用いた成形品、並びにバイオマス系の樹脂組成物の製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
本発明に係る実施形態例としての共重合樹脂組成物について説明する。
(共重合樹脂組成物)
本実施形態における共重合樹脂組成物は、共重合体Aと共重合体Bが所定の割合で混合された混合物である。
共重合体Aのモノマーユニットは3成分である。共重合体Aのモノマーユニットは、上記化学式[1]に示す3ヒドロキシ酪酸(3HB)モノマーユニットと、上記化学式[2]に示す3ヒドロキシ吉草酸(3HV)モノマーユニットと、上記化学式[3]に示す乳酸(LA)モノマーユニットであり、これらがエステル結合により共重合している。本実施形態における共重合体Aは、3HBモノマーユニットと3HVモノマーユニットとの共重合体(3HB−3HV共重合ポリエステル)に乳酸モノマーユニットを共重合させたブロック共重合体である。
共重合体Bのモノマーユニットは2成分である。共重合体Bのモノマーユニットは、上記化学式[1]に示す3ヒドロキシ酪酸(3HB)モノマーユニットと、上記化学式[2]に示す3ヒドロキシ吉草酸(3HV)モノマーユニットであり、これらがエステル結合により共重合している。
(ポリエステル(3HB−3HV共重合ポリエステル))
本発明に係る共重合体Aに含まれる3HB−3HV共重合ポリエステル(単にポリエステルと略称する。)は、3ヒドロキシ酪酸(略称3HB)、3ヒドロキシ吉草酸(略称3HV)の共重合体(略称P−3HB−co−3HV)であってもよく、P−3HB−co−3HVに更に3ヒドロキシヘキサン酸(略称3HHx)が共重合した共重合体(略称P−3HB−co−3HV−co−3HHx)など、他のモノマー成分が含まれていてもよい。生産性や経済性からは、P−3HB−co−3HVが好ましく用いられる。
前記ポリエステルは、ポリヒドロキシアルカノエート(略称PHA)とも言われ、生分解性を有する。原料入手の容易性、生分解性の点からは、グルコース、プロピオン酸等を炭素源として微生物発酵法により産生されたものが好ましい。微生物発酵法は、ポリヒドロキシアルカノエート合成酵素遺伝子を有する微生物に対し、グルコース培地にプロピオン酸やC以上の偶数の脂肪酸を与えることによって産生することが出来る。例えば、P−3HB−co−3HVは、バチルス属菌、ラルストニア属菌、シュードモナス属菌等のポリヒドロキシアルカノエート生産菌を用い、培地成分中の窒素やリン酸を制限した培養法により、菌体増殖とポリエステル生産の2段階で生産することができる。
ポリ3ヒドロキシブチレート(略称P−3HB)は、グルコースを炭素源とするLB培地、MR培地等でシュードモナス属菌、ラルストニア属菌、バチルス属菌、コリネバクテリウム属菌により生産することができ、これに副原料としてプロピオン酸やC以上の偶数の脂肪酸を添加し培地成分中の窒素やリン酸を調整することにより、3HB−3HV共重合ポリエステル(P−3HB−co−3HV)をはじめとする各種の3HB共重合体であるポリヒドロキシアルカノエート(PHA)が産生できる。
(共重合体A)
本発明における共重合体Aは、上記のポリエステル(3HB−3HV共重合体)に、更に乳酸モノマーユニットを含む共重合体であり、広い意味でのポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の一種である。共重合体Aは、乳酸と3HBと3HVとがランダムに又は規則的に共重合していてもよい。本発明における共重合体Aは、上記の微生物発酵法により産生したポリエステル(3HB−3HV共重合体)に、乳酸を付加重合させたブロック共重合体が好ましい。
ポリエステル(3HB−3HV共重合体)への乳酸の付加重合は、有機溶媒中でポリエステル(3HB−3HV共重合体)と乳酸をオクチル酸スズ等の重合開始剤を用いて重合させればよい。得られた乳酸共重合体中の乳酸モノマーユニットの含有量や乳酸共重合体の分子量の調整は、原料ポリエステルと乳酸の比率、重合開始剤の添加量、反応温度、反応時間等により制御できる。通常は、反応温度を100〜150℃、10〜50時間程度で所望の共重合体Aが得られる。また、共重合体Aの分子量や共重合体A中の3HB−3HV共重合ポリエステルブロック(3HB−3HVブロック)の分子量調節には、上記の微生物発酵法で得られたPHAを、加水分解によって所望の分子量にしてから用いればよい。
本発明において共重合体A製造用に用いられる乳酸は、どのような乳酸でもよいが、従来から知られている微生物発酵法により産生された、L乳酸、D乳酸、及びL乳酸とD乳酸の混合物(ラセミ体、DL体)が用いられる。特に、L乳酸、D乳酸のいずれか一方を原料として乳酸共重合体(共重合体A)を作製すると、得られた共重合樹脂組成物の成形時の熱分解を抑制することができるためより好ましい。なお、L乳酸、D乳酸は、通常の分離技術や合成技術により生産されたものであり、厳密にL乳酸、又はD乳酸のみでなくてもよい。
本発実施形態に用いられる共重合体Aの重量平均分子量Mwは、3HB−3HVブロックの分子量調整と、ポリ乳酸ブロックの分子量調整とによって制御される。共重合体Aの重量平均分子量Mwは、20,000〜1,000,000である。重量平均分子量Mwが上記範囲を外れると、樹脂組成物の成形品の耐熱性や耐衝撃性、成形性が劣ってくる。特に、重量平均分子量Mwが20,000未満になると、樹脂組成物が脆くなりやすく、成形性や耐衝撃性が低下してくる。
(共重合体B)
本発明における共重合体Bは、3HBと3HVの共重合したポリエステル共重合体である。共重合体Bは、前記共重合体Aで使用したポリエステル(3HB−3HV共重合体)であってもよいし、3HBと3HVの比率が異なるポリエステル共重合体であってもよい。微生物発酵法により産生する際に培地成分中のグルコース、プロピオン酸等の炭素源の割合を調整することにより、ポリエステル共重合体中(共重合体B)の3HVの比率をコントロールすることができる。また、ポリエステル共重合体中(共重合体B)の分子量は、微生物発酵法により産生した比較的高分子量のポリエステル共重合体を加水分解して調製してもよい。
本実施形態に用いられる共重合体Bの重量平均分子量Mwは、ヒドロキシアルカノエート共重合体ブロックの分子量調整によって制御される。共重合体Bの重量平均分子量Mwは、20,000〜1,000,000である。重量平均分子量Mwが上記範囲を外れると、樹脂組成物の成形品の耐熱性や耐衝撃性、成形性が劣ってくる。特に、重量平均分子量Mwが20,000未満になると、樹脂組成物が脆くなりやすく、成形性や耐衝撃性が低下してくる。
(結晶化核剤)
本発明に係る共重合樹脂組成物に用いられる結晶化核剤は、ポリ乳酸等のバイオマス資源由来の熱可塑性樹脂に用いられる結晶化核剤であれば、どのようなものでもよい。例えば、タルク系核剤、フェニル基を持つ金属塩系材料からなる核剤、ベンゾイル化合物系からなる核剤などが好ましく用いられる。その他公知の結晶化核剤、例えば乳酸塩、安息香酸塩、シリカ、リン酸エステル塩系などを用いてもよい。
(熱安定剤及び加水分解防止剤)
本実施形態の共重合樹脂組成物は、樹脂組成物の熱安定剤として、フェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤を含み、加水分解防止剤としてカルボジイミド化合物系加水分解防止剤、例えば、ポリカルボジイミド樹脂(商品名:カルボジライト、日清紡ケミカル株式会社製)などを含んでいることが好ましい。添加する熱安定剤及び加水分解防止剤は、上記3種の添加剤のうちから選択される一つでもよいが、上記2種の熱安定化剤及び加水分解防止剤は、それぞれ機能が異なっており、それぞれの添加剤がともに加えられたものが好ましい。熱安定剤及び加水分解防止剤の添加量は、種類により異なるが、一般的には、それぞれ共重合樹脂組成物100質量部に対し、0.1質量部から5質量部程度が好ましい。
(その他の添加剤)
本実施形態の共重合樹脂組成物には、更にシリコーン系難燃剤、有機金属塩系難燃剤、有機リン系難燃剤、金属酸化物系難燃剤、金属水酸化物系難燃剤等を添加することが好ましい。これにより、難燃性が向上して延焼が抑制できるとともに、生分解性樹脂組成物の流動性が向上するため、より優れた成形性を確保することができる。
上記シリコーン系難燃剤としては、例えば、アルキルシロキサン、アルキルフェニルシロキサン等を用いるこができる。より具体的には、信越シリコーン社のX40−9805(商品名)、ダウコーニング・シリコーン社のMB50−315(商品名)等の市販品を使用できる。
上記有機金属塩系難燃剤としては、例えば、トリクロロベンゼンスルフォン酸カリウム、パーフルオロブタンスルフォン酸カリウム、ジフェニルスルフォン−3−スルフォン酸カリウム等の有機スルフォン酸金属塩、芳香族スルフォンイミド金属塩、あるいはスチレン系重合体、ポリフェニレンエーテル等の芳香族基含有重合体の芳香環に、スルフォン酸金属塩、硫酸金属塩、リン酸金属塩、ホウ酸金属塩が結合したポリスチレンスルフォン酸アルカリ金属塩等を使用できる。
上記有機リン系難燃剤としては、例えば、ホスフィン、ホスフィンオキシド、ビホスフィン、ホスホニウム塩、ホスフィン酸塩、リン酸エステル、亜リン酸エステル等を用いることができる。より具体的には、トリフェニルフォスフェート、メチルネオペンチルフォスファイト、ペンタエリスリトールジエチルジフォスファイト、メチルネオペンチルフォスフォネート、フェニルネオペンチルフォスフェート、ペンタエリスリトールジフェニルジフォスフェート、ジシクロペンチルハイポジフォスフェート、ジネオペンチルハイポフォスファイト、フェニルピロカテコールフォスファイト、エチルピロカテコールフォスフェート、ジピロカテコールハイポジフォスフェート等を使用できる。
上記金属酸化物系難燃剤としては、例えば酸化マグネシウム等が使用でき、上記金属水酸化物系難燃剤としては、例えば水酸化マグネシウム等が使用できる。
また、難燃助剤としては、ポリ四フッ化エチレン等のドリップ防止剤が使用できる。
本実施形態の共重合樹脂組成物には、更に改質剤として乳酸系ポリエステルを添加することができる。これにより、耐衝撃性が向上するのみならず、難燃化効果も向上する。改質剤としての乳酸系ポリエステルとしては、乳酸とジカルボン酸とジオールとを共重合したポリマーが使用できる。このジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸等を挙げることができる。また、ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等を挙げることができる。より具体的には、大日本インキ社の"EXP−PD−150"(商品名)を好適に用いることができる。更に、他の改質剤としては、セバシン酸1,3−ブタンジオール等を使用できる。
本実施形態の共重合樹脂組成物には、充填剤を添加することができる。充填剤としては、タルク、マイカ、モンモリロナイト、カオリン等を挙げることができる。これらの充填剤が結晶核となることにより、ポリ乳酸の結晶化が促進され、成形体の衝撃強度および耐熱性が向上する。また、成形体の剛性も大きくできる。
本実施形態の共重合樹脂組成物には、可塑化剤、相溶化剤、耐候性改良剤、紫外線吸収剤、加工助剤、帯電防止剤、着色剤、滑剤、離型剤等の各種添加剤を適宜配合することもできる。可塑剤としては、一般にポリマーの可塑剤として用いられる公知のものを特に制限なく用いることができ、例えばポリエステル可塑剤、グリセリン系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、ポリアルキレングリコール系可塑剤およびエポキシ系可塑剤などを挙げることができる。相溶化剤は、共重合体Aと共重合体Bの相溶化剤として機能するものであれば特に制限はない。相溶化剤としては、無機充填剤、グリシジル化合物、酸無水物をグラフト若しくは共重合した高分子化合物、及び有機金属化合物が挙げられ、これらの一種または二種以上を用いてもよい。これらの混練により、耐熱性、曲げ強度、衝撃強度、難燃性等も改善されるため、更にノートパソコン、携帯電話等を代表とする電子機器用筐体等の成形体への適用が促進される。
また、充填剤として、麻繊維、キチン・キトサン、椰子殻繊維、ケナフ、セルロース繊維、絹繊維、これらから誘導された短繊維(長さ10mm以下)、これらから誘導された粉体等を添加することができる。これらの充填剤は、成形体の機械的強度、剛性および耐熱性を向上できる。また、これらは天然素材であり、成形体の生分解性を低下させない。更に、充填剤として、ガラス繊維、カーボン繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ等を添加することが好ましい。これにより、成形体の剛性を大きくできる。上記充填剤は、ポリ乳酸や他の脂肪酸等でコーティング等の表面処理がなされていてもよいし、シランカップリング剤等で表面処理がなされていてもよい。
植物繊維には、植物繊維をそのまま乾燥、粉砕し、リグニンやヘミセルロースその他の成分を含むものや、植物繊維をアルカリ処理で脱リグニンした後に乾燥、粉砕したもの、パルプや古紙を粉砕したもの、更に細かく粉砕しミクロフィブリル化したもの等が挙げられる。成形品の機械的強度向上材としては、植物繊維でなくても微生物産生のバクテリアセルロース等が使用でき、バイオマスであれば特に限定されるものではない。また、原料植物の種類も特に限定されるものではなく、ジュート、ケナフ、竹などの生育の早い植物や、可食部を採取した後の稲、トウモロコシ、さとうきびなど、環境との調和を考慮して、配合物や配合比を適宜選択することが望ましい。
植物繊維等の機械強度強化材料を用いるときには、カップリング剤や相溶化剤を適宜配合することもできる。カップリング剤としては公知のものを特に制限なく用いることができ、例えばシランカップリング剤、アミノシランカップリング剤、アルコキシシランカップリング剤などが挙げられる。また、相溶化剤としては、無機充填剤、グリシジル化合物、酸無水物をグラフト若しくは共重合した高分子化合物、及び有機金属化合物が挙げられ、これらの一種または二種以上を用いてもよい。
(物性測定)
・共重合体A、及び共重合体Bの重量平均分子量
本発明における共重合体A、及び共重合体Bの重量平均分子量(Mw)は、好ましくは20,000〜1,000,000、さらに好ましくは70,000〜800,000である。重量平均分子量(Mw)は、Gel Permeation Chromatography(GPC法)による標準ポリスチレン換算値として算出する。なお、重量平均分子量(Mw)は、共重合体Aに結晶化核剤等の添加剤を加えた共重合体樹脂組成物を測定してもよい。この場合は、GPC法において、添加剤成分由来と考えられる低分子量領域のフラクションをカットして測定すればよい。
・共重合体A、及び共重合体Bのモノマーユニットのモル比の測定
本発明における共重合体A、及び共重合体B中の乳酸モノマーユニット、3HBモノマーユニット、及び3HVモノマーユニットのモル比率は、プロトンNMRの測定結果から算出する。
・荷重たわみ温度
本発明に係る共重合樹脂組成物の荷重たわみ温度は、65℃以上であることが好ましい。荷重たわみ温度は、JIS K 7191−2(1996)A法、すなわち、曲げ応力1.80MPaにおける荷重たわみ温度を測定する。具体的には、長さ130mm、幅3.2mm、高さ12.7mmの短冊試験片を用いて、支点間距離100mm、昇温速度2℃/nin、曲げ応力は1.80MPaで測定する。短冊試験片は、共重合樹脂組成物のペレットを、型締力50トンの電動式射出成形機を用いて、金型温度80℃、シリンダー温度180℃、射出速度20mm/s、射出圧力100MPa、冷却時間30secで成形し、十分結晶化が進むまでアニーリングして作製した。
なお、バイオマス系に限らず樹脂組成物は、耐熱性(荷重たわみ温度)が56℃以上でも使用可能であるが、電子・電気機器用の筐体に使用する場合、その電子・電気機器の輸送時の温度環境から60、好ましくは65℃の耐熱性(荷重たわみ温度)を保証することが必要になる。このため、電子・電気機器には、余裕を見て耐熱性65℃以上の樹脂組成物が選定される場合が多い。樹脂組成物の耐熱性の試験方法は、筐体に機械的な応力がかかることを想定し、JIS準拠の荷重たわみ温度で評価することが一般的である。
・熱分解保持率
本発明に係る共重合樹脂組成物の熱分解保持率(分子量保持率と言うこともある。)(%)は、80%以上であることが好ましい。熱分解保持率は、下式のように共重合樹脂組成物を200℃で10分間加熱した後の重量平均分子量(Mw)の減少率(%)として表し、
[熱分解保持率]={[加熱前のMw]−[加熱後のMw]}/[加熱前のMw]×100
として算出する。なお、重量平均分子量(Mw)は上述のGPC法により測定すればよい。重量平均分子量測定と同じように、乳酸共重合体に結晶化核剤等の添加剤を加えた共重合体樹脂組成物の場合、GPC法において、重量平均分子量(Mw)は、添加剤成分由来と考えられる低分子量領域のフラクションをカットして算出する。
熱分解保持率の試験条件は、樹脂組成物の成形条件から設定される。本発明に係る共重合樹脂組成物の場合、例えば、成形時のシリンダー温度が180℃であるため、熱分解保持率の試験条件には、温度ばらつきの余裕度を加算して200℃と比較的厳しい条件としている。また、成形時に射出成形機の加熱シリンダー内に樹脂組成物が滞留する時間を、例えば、5〜10分間程度とすることから、加熱時間を10分間と定めている。熱分解保持率は、前記試験条件前後における樹脂組成物の熱分解保持率から算出される。一般的に、樹脂組成物は加熱条件下で分子量が低下し、衝撃強度等の機械的強度が低下することが知られている。樹脂組成物の分子量と衝撃強度には比例的な関係があるが、分解前の衝撃強度を100とし、その50%以上を保持するためには、熱分解保持率は80%以上であることが好ましい。
・シャルピー衝撃強度
本発明に係る共重合樹脂組成物のシャルピー衝撃強度は、6kJ/m以上であることが好ましい。シャルピー衝撃強度は、JIS K 7111−1の方法で測定する。具体的には、長さ80mm、幅4mm、高さ10mmの短冊試験片を用いて、支持台スパン62mmで測定する。短冊試験片は、共重合樹脂組成物のペレットを、型締力50トンの電動式射出成形機を用いて、金型温度80℃、シリンダー温度180℃、射出速度20mm/s、射出圧力100MPa、冷却時間30secで成形し、十分結晶化が進むまでアニーリングして作製した。
(実施例1)
<共重合体B1の作製>
バチルス属菌をペプトン5.0g/l、イーストエキス5.0g/l、肉エキス5.0g/lを含む培地で16時間培養した。得られた培養液を、窒素源を制限した最少培地(グルコースを含む)にプロピオン酸を添加し、45℃で48時間培養することでポリエステルを含む培養菌体を得た。得られた培養菌体を凍結乾燥し、クロロホルムを添加して菌体内物質を抽出した。不溶分を濾別し、濾液にメタノールを加え、菌体抽出物を再析出させ、これを濾過し、精製した菌体産生物を共重合体B1とした。共重合体B1をNMR解析することによって、3ヒドロキシ酪酸モノマーユニット(3HB)と3ヒドロキシ吉草酸モノマーユニット(3HV)の含有比(モル比)が約83:17であった。また、共重合体B1のGPC法による重量平均分子量(Mw)は、標準ポリスチレン換算値で350,000であった。
<共重合体A1の作製>
この菌体産生物(共重合体B1)の一部をアルカリ性の温水で処理して加水分解して分子量を下げて乾燥し、ポリエステル1とした。次に、ポリエステル1を0.05gを無水トルエン1リットル中に溶解し、L乳酸0.95g、オクチル酸スズ0.1gを加え、窒素雰囲気中にて130℃で24時間撹拌した後、更に130℃で24時間静置した。その後、真空雰囲気中に1時間保持し、室温に戻し、得られた生成物をクロロホルムに溶かし、メタノールとヘキサンを加えて析出物をろ過、回収した。析出物を溶解、析出、ろ過を繰り返して精製し、最後に真空乾燥して精製物を得た。得られた精製物をNMR解析して、乳酸共重合体(Co−PLA)であることを確認し、これを共重合体A1とした。共重合体A1のL乳酸モノマーユニット(LLA)、3ヒドロキシ酪酸モノマーユニット(3HB)、3ヒドロキシ吉草酸モノマーユニット(3HV)の含有比(モル比)は、95:4:1であった。また、共重合体A1のGPC法による重量平均分子量(Mw)は、標準ポリスチレン換算値で171,000であった。
共重合体A1、及び共重合体B1の組成をそれぞれ表1、表2に示した。なお、表1の共重合比は、共重合体A1中の3HB、3HV、及びLAのモル比であり、表2の共重合比は、共重合体B1中の3HB、3HVのモル比を表している。
Figure 2012087207
Figure 2012087207
<共重合樹脂組成物1の作製>
次に、共重合体A1と共重合体B1を質量比90:10の割合で、2軸混練押出機で180℃の温度で溶融混練して、大きさ3mm程度の成形用のペレットを作製し、共重合樹脂組成物1とした。
<共重合樹脂組成物1の荷重たわみ温度測定>
共重合樹脂組成物1について、作製したペレットを、棚式の熱風乾燥機を使用して50℃で12時間乾燥した後、型締力50トンの電動式射出成形機を使用して、金型温度80℃、シリンダー温度180℃、射出速度20mm/s、射出圧力100MPa、冷却時間30secの設定で射出成形した。成形品を80℃で15分間一次アニーリングし、60℃で12時間二次アニーリングし、荷重たわみ温度試験用の短冊試験片とした。作製した短冊試験片のサイズは、長さ130mm、幅3.2mm、高さ12.7mmである。荷重たわみ温度の試験は、JIS K 7191−2(1996)に従って行った。なお、支点間距離100mm、昇温速度2℃/min、曲げ応力は1.80MPaとした。共重合樹脂組成物1の荷重たわみ温度は、80℃であった。
<共重合樹脂組成物1の熱分解保持率測定>
ホットプレート上に共重合樹脂組成物1を1g置き、200℃で10分間加熱した。加熱前と加熱後の樹脂組成物1について、それぞれGPC法による重量平均分子量(Mw)を測定し、下記の式を用いて熱分解保持率(%)を算出した。
熱分解保持率={(加熱前のMw)−(加熱後のMw)}/(加熱前のMw)×100
共重合樹脂組成物1の熱分解保持率は、90%であった。
<共重合樹脂組成物1のシャルピー衝撃強度測定>
共重合樹脂組成物1について、作製したペレットを、棚式の熱風乾燥機を使用して50℃で12時間乾燥した後、型締力50トンの電動式射出成形機を使用して、金型温度80℃、シリンダー温度180℃、射出速度20mm/s、射出圧力100MPa、冷却時間30secの設定で射出成形した。成形品を80℃で15分間一次アニーリングし、60℃で12時間二次アニーリングし、シャルピー衝撃試験用の短冊試験片とした。作製した短冊試験片のサイズは、長さ80mm、幅4mm、高さ10mmである。シャルピー衝撃強度の試験は、JIS K 7111−1に従って行った。共重合樹脂組成物1のシャルピー衝撃強度は、6.7kJ/mであった。
以上の共重合樹脂組成物1の組成、性状を纏めて表3の実施例1の欄に示した。
Figure 2012087207
(実施例2)
<共重合体A2の作製>
実施例1の<共重合体B1の作製>において、共重合体B1を作成した際のバチルス属菌培地の培養条件及び得られた菌体産生物の加水分解条件を変更した以外は、実施例1と同様にして、3ヒドロキシ酪酸モノマーユニット(3HB)と3ヒドロキシ吉草酸モノマーユニット(3HV)の含有比(モル比)が97:3の共重合体B1'を作製した。
次に、実施例1の<共重合体A1の作製>における共重合体B1を加水分解してポリエステル1の作製に代えて、共重合体B1' を加水分解してポリエステル2を作製し、無水トルエン1リットル中にポリエステル1を0.05g溶解し、L乳酸0.95g、オクチル酸スズ0.1gを添加したのに代えて、無水トルエン1リットル中にポリエステル2を0.05g溶解し、L乳酸0.5g、オクチル酸スズ0.1gを添加し添加した以外は、実施例1と同様にして、精製物を得た。得られた精製物をNMR解析して、乳酸共重合体(Co−PLA)であることを確認し、これを共重合体A2とした。共重合体A2のL乳酸モノマーユニット(LLA)、3ヒドロキシ酪酸モノマーユニット(3HB)、3ヒドロキシ吉草酸モノマーユニット(3HV)の含有比(モル比)は、54:44:2であった。また、共重合体A3のGPC法による重量平均分子量(Mw)は、標準ポリスチレン換算値で73,000であった。共重合体A2の組成と重量平均分子量を表1に示した。
<共重合樹脂組成物2の作製>
次に、共重合体A2と実施例1で作製した共重合体B1を質量比90:10の割合で、2軸混練押出機で180℃の温度で溶融混練して、大きさ3mm程度の成形用のペレットを作製し、共重合樹脂組成物2とした。
<共重合樹脂組成物2の荷重たわみ温度、熱分解保持率、シャルピー衝撃強度測定>
実施例1と同様にして、共重合樹脂組成物2の荷重たわみ温度、熱分解保持率、及びシャルピー衝撃強度を測定し、測定結果を共重合樹脂組成物2の組成等とともに、実施例1と同様にして表3の実施例2の欄に示した。
(実施例3)
<共重合体B2の作製>
実施例1の<共重合体B1の作製>において、バチルス属菌培地の培養条件を調整して、3ヒドロキシ酪酸モノマーユニット(3HB)と3ヒドロキシ吉草酸モノマーユニット(3HV)の含有比(モル比)が、87.6:12.4の共重合体B2を作製した。共重合体B2のGPC法による重量平均分子量(Mw)は、標準ポリスチレン換算値で780,000であった。共重合体B2の組成と重量平均分子量を表2に示した。
<共重合樹脂組成物3の作製>
次に、実施例1で作製した共重合体A1と共重合体B2を質量比90:10の割合で、2軸混練押出機で180℃の温度で溶融混練して、大きさ3mm程度の成形用のペレットを作製し、共重合樹脂組成物3とした。
<共重合樹脂組成物3の荷重たわみ温度、熱分解保持率、シャルピー衝撃強度測定>
実施例1と同様にして、共重合樹脂組成物3の荷重たわみ温度、熱分解保持率、及びシャルピー衝撃強度を測定し、測定結果を共重合樹脂組成物3の組成等とともに、実施例1と同様にして表3の実施例3の欄に示した。
(実施例4)
<共重合樹脂組成物4の作製>
実施例2で作製した共重合体A2と、実施例3で作製した共重合体B2を質量比90:10の割合で、2軸混練押出機で180℃の温度で溶融混練して、大きさ3mm程度の成形用のペレットを作製し、共重合樹脂組成物4とした。
<共重合樹脂組成物4の荷重たわみ温度、熱分解保持率、シャルピー衝撃強度測定>
実施例1と同様にして、共重合樹脂組成物4の荷重たわみ温度、熱分解保持率、及びシャルピー衝撃強度を測定し、測定結果を共重合樹脂組成物4の組成等とともに、実施例1と同様にして表3の実施例4の欄に示した。
(実施例5)
<共重合樹脂組成物5の作製>
実施例1で作製した共重合体A1と共重合体B1を質量比99:1の割合で、2軸混練押出機で180℃の温度で溶融混練して、大きさ3mm程度の成形用のペレットを作製し、共重合樹脂組成物5とした。
<共重合樹脂組成物5の荷重たわみ温度、熱分解保持率、シャルピー衝撃強度測定>
実施例1と同様にして、樹共重合脂組成物5の荷重たわみ温度、熱分解保持率、及びシャルピー衝撃強度を測定し、測定結果を共重合樹脂組成物5の組成等とともに、実施例1と同様にして表3の実施例5の欄に示した。
(実施例6)
<共重合樹脂組成物6の作製>
実施例1で作製した共重合体A1と共重合体B1を質量比70:30の割合で、2軸混練押出機で180℃の温度で溶融混練して、大きさ3mm程度の成形用のペレットを作製し、共重合樹脂組成物6とした。
<共重合樹脂組成物6の荷重たわみ温度、熱分解保持率、シャルピー衝撃強度測定>
実施例1と同様にして、共重合樹脂組成物6の荷重たわみ温度、熱分解保持率、及びシャルピー衝撃強度を測定し、測定結果を共重合樹脂組成物6の組成等とともに、実施例1と同様にして表3の実施例6の欄に示した。
(実施例7)
<共重合樹脂組成物7の作製>
実施例1の<共重合樹脂組成物1の作製>において、作製した樹脂組成物1を100質量部に対して、結晶化核剤として、結晶化核剤1(タルク系核剤;日本タルク株式会社製のSG-2000日産)、結晶化核剤2(フェニル基を持つ金属塩系材料からなる核剤;日産化学株式会社製のPPA-Zn)、結晶化核剤3(ベンゾイル化合物系核剤;株式会社ADEKA製のT-1287N)をそれぞれ0.5質量部ずつ添加し、混練して共重合樹脂組成物7とした。
<共重合樹脂組成物7の荷重たわみ温度、熱分解保持率、シャルピー衝撃強度測定>
実施例1と同様にして、共重合樹脂組成物7の荷重たわみ温度、熱分解保持率、及びシャルピー衝撃強度を測定し、測定結果を共重合樹脂組成物7の組成等とともに、実施例1と同様にして表3の実施例7の欄に示した。
(比較例1)
<共重合樹脂組成物8の調製と荷重たわみ温度、及びシャルピー衝撃強度測定>
市販のポリL乳酸(PLA;三井化学株式会社製のレイシア H−100)を共重合樹脂組成物8とした。実施例1と同様にして、共重合樹脂組成物8の荷重たわみ温度、及びシャルピー衝撃強度を測定し、測定結果を表4の比較例1の欄に示した。
Figure 2012087207
(比較例2)
<共重合樹脂組成物9の作製と荷重たわみ温度、及びシャルピー衝撃強度測定>
比較例1において、調製した共重合樹脂組成物8(市販のポリ乳酸)100質量部に対して、結晶化核剤として、結晶化核剤1(タルク系核剤;日本タルク株式会社製のSG-2000)、結晶化核剤2(フェニル基を持つ金属塩系材料からなる核剤;日産化学株式会社製のPPA-Zn)、結晶化核剤3(ベンゾイル化合物系核剤;株式会社ADEKA製のT-1287N)をそれぞれ0.5質量部ずつ添加し、混練して共重合樹脂組成物9とした。実施例1と同様にして、共重合樹脂組成物9の荷重たわみ温度、及びシャルピー衝撃強度を測定し、測定結果を共重合樹脂組成物9の組成等とともに、測定結果を表4の比較例2の欄に示した。
(比較例3)
<共重合樹脂組成物10の調製と荷重たわみ温度、熱分解保持率、及びシャルピー衝撃強度測定>
実施例1で作製した共重合体A1を共重合樹脂組成物10とした。実施例1と同様にして、共重合樹脂組成物10の荷重たわみ温度、及びシャルピー衝撃強度を測定し、測定結果を表4の比較例3の欄に示した。
(比較例4)
<共重合樹脂組成物11の調製と荷重たわみ温度、熱分解保持率、及びシャルピー衝撃強度測定>
実施例1で作製した共重合体B1を共重合樹脂組成物11とした。実施例1と同様にして、共重合樹脂組成物11の荷重たわみ温度、熱分解保持率、及びシャルピー衝撃強度を測定し、測定結果を表4の比較例4の欄に示した。
(比較例5)
<共重合体A12の作製>
実施例1の<共重合体B1の作製>において、バチルス属菌培地の培養条件を調整して、3ヒドロキシ酪酸モノマーユニット(3HB)と3ヒドロキシ吉草酸モノマーユニット(3HV)の含有比(モル比)が、92:8のポリエステルを作製した。このポリエステルのGPC法による重量平均分子量(MW)は、標準ポリスチレン換算値で1,300,000であった。このポリエステルをアルカリ性の温水により、加水分解して分子量を低下させてポリエステル12を作製した。
次に、実施例1の<共重合体A1の作製>において、無水トルエン1リットルにポリエステル1を0.05g溶解し、L乳酸0.95g、オクチル酸スズ0.1gを添加したのに代えて、無水トルエン1リットルにポリエステル12を0.7g、L乳酸0.3g、オクチル酸スズ0.1gを添加した以外は実施例1と同様にして、精製物を得た。得られた精製物をNMR解析して、乳酸共重合体(Co−PLA)であることを確認し、これを共重合体A12とした。共重合体A12のL乳酸モノマーユニット(LLA)、3ヒドロキシ酪酸モノマーユニット(3HB)、3ヒドロキシ吉草酸モノマーユニット(3HV)の含有比(モル比)は、35:60:5であった。また、共重合体A12のGPC法による重量平均分子量(Mw)は、標準ポリスチレン換算値で280,000であった。共重合体A12の組成及び重量平均分子量を表1に示した。
<共重合樹脂組成物12の作製>
共重合体A12と、実施例1で作製した共重合体B1を90:10の割合で、2軸混練押出機で180℃の温度で溶融混練して、大きさ3mm程度の成形用のペレットを作製し共重合樹脂組成物12とした。
<共重合樹脂組成物12の荷重たわみ温度、熱分解保持率、及びシャルピー衝撃強度測定>
実施例1と同様にして、共重合樹脂組成物12の荷重たわみ温度、熱分解保持率、及びシャルピー衝撃強度を測定し、測定結果を共重合樹脂組成物12の組成等とともに、実施例1と同様にして表4の比較例5の欄に示した。
(比較例6)
<共重合体B13の作製>
実施例1の<ポリエステル1の作製>において、バチルス属菌培地の培養条件を調整して、3ヒドロキシ酪酸モノマーユニット(3HB)と3ヒドロキシ吉草酸モノマーユニット(3HV)の含有比(モル比)が、93:7の共重合体B13を作製した。このポリエステルのGPC法による重量平均分子量(Mw)は、標準ポリスチレン換算値で1,300,000であった。共重合体B13の組成及び重量平均分子量を表2に示した。
<共重合樹脂組成物13の作製>
次に、実施例1で作製した共重合体A1と、共重合体B13を90:10の割合で、2軸混練押出機で180℃の温度で溶融混練して、大きさ3mm程度の成形用のペレットを作製し共重合樹脂組成物13とした。
<共重合樹脂組成物13の荷重たわみ温度、熱分解保持率、及びシャルピー衝撃強度測定>
実施例1と同様にして、共重合樹脂組成物13の荷重たわみ温度、熱分解保持率、及びシャルピー衝撃強度を測定し、測定結果を共重合樹脂組成物13の組成等とともに、実施例1と同様にして表4の比較例6の欄に示した。
(比較例7)
<共重合樹脂組成物14の作製>
実施例1で作製した共重合体A1と共重合体B1を50:50の割合で、2軸混練押出機で180℃の温度で溶融混練して、大きさ3mm程度の成形用のペレットを作製し共重合樹脂組成物14とした。
<共重合樹脂組成物14の荷重たわみ温度、熱分解保持率、及びシャルピー衝撃強度測定>
実施例1と同様にして、共重合樹脂組成物14の荷重たわみ温度、熱分解保持率、及びシャルピー衝撃強度を測定し、測定結果を共重合樹脂組成物14の組成等とともに、比較例1と同様にして表4の比較例7の欄に示した。
(実施例、比較例における共重合樹脂組成物の評価)
上述の実施例1〜7、比較例1〜7における共重合樹脂組成物の組成、性状等を、それぞれ表3、表4にまとめて示した。表3、表4における判定結果は、荷重たわみ温度、熱分解保持率、及びシャルピー衝撃強度の判定基準を3項目全て満足しているものを○、判定基準を1項目でも満足していないものを×としている。なお、判定基準は、荷重たわみ温度は65℃以上、熱分解保持率80%以上、及びシャルピー衝撃強度6kJ/m以上である。また、n.d.は未測定であることを表す。
実施例1〜7における樹脂組成物1〜7の荷重たわみ温度は、78〜85℃と65℃以上であり、通常想定される程度の高温使用環境では機械的強度を維持することができ、電気電子機器の筐体等、汎用の樹脂成形品として多くの用途に利用でき好ましい樹脂組成物である。
実施例1〜7の熱分解保持率は、81%以上と80%より高く、射出成形などの成形加工工程における加熱に対しても、耐熱性を有しほとんど劣化せず、電気電子機器の筐体等、汎用の樹脂成形品として多くの用途に利用できる。
実施例1〜7のシャルピー衝撃強度は、6kJ/m以上が確保されており、電気電子機器の筐体等、汎用の樹脂成形品として多くの用途に利用できる。
一方、比較例1、2における樹脂組成物8、9は、3HBモノマーユニット及び3HVモノマーユニットを含まず、荷重たわみ温度が56℃と低くなっている。樹脂組成物の荷重たわみ温度が65℃以下になると、成形品としての用途が限られ、特に、ある程度の耐熱性を求められる電気電子機器の筐体や、食品包装体としての用途には使用制限されることが多くなる。
比較例3における樹脂組成物10はシャルピー衝撃強度が2kJ/mと低く、共重合体Aのみでは耐衝撃性能が低く、電気電子機器の筐体等、汎用の樹脂成形品用途では人の手が触れない場所や、強度を必要としない箇所等、使用制限されることが多くなる。
比較例4における樹脂組成物11はLAユニットを含まないものであり、熱分解保持率が30%と低く、混練、ペレット化、成形時などの成形加工工程における加熱によって、分子量低下を起こしやすく、成形品の物性劣化が大きくなる恐れがある。
比較例5における樹脂組成物12は、共重合体A中のLAモノマーユニットの含有率が35%と低いものであり、熱分解保持率が40%と低く、混練、ペレット化、成形時などの成形加工工程における加熱によって、分子量低下を起こしやすく、成形品の物性劣化が大きくなる恐れがある。
比較例6における樹脂組成物13は、共重合体B中の3HVユニットの分率が7%と低いものであり、シャルピー衝撃強度が1.6kJ/mと低く、電気電子機器の筐体等、汎用の樹脂成形品用途では人の手が触れない場所や、強度を必要としない箇所等、使用制限されることが多くなる。
比較例7における樹脂組成物14は、共重合体Aと共重合体Bの混合比が50:50であり、荷重たわみ温度が63℃と低く、熱分解保持率も68%と低くなっている。
本発明の共重合体樹脂組成物は、各種の汎用樹脂成形品として利用することができる。特に、複写機やプリンター等の画像出力機器や家電製品等の電気・電子機器に使用される筐体等の樹脂部品に好適に利用することができる。電気電子機器や自動車部品等の使用、保存環境は様々であるが、家庭やオフィス環境で使用される機器は、一般的に60℃程度の使用、保存環境を保証することが多い。本発明の共重合体樹脂組成物からなる成形品は、荷重たわみ温度が60℃以上、好ましくは65℃以上であり、電気電子機器や自動車部品等に組み込まれ、実際に使用される環境でも変形することなく使用できる。
また、本発明の共重合体樹脂組成物は、原料がバイオマス材料から得られ、生分解性を有するので、環境問題、資源問題の観点からも優れた製品である。
特開2006−335909号公報 特開2007−056247号公報 特開2007−231034号公報 特開2005−023260号公報 特開2007−077232号公報 特開2006−274182号公報 特許第3609543号公報 特許第3599533号公報 国際公開第02/006400号パンフレット

Claims (10)

  1. 下記化学式[1]、[2]、及び[3]で表されるそれぞれのモノマーユニットを含有し、前記化学式[3]で表されるモノマーユニットの含有率が50〜97モル%の乳酸共重合体と、前記化学式[1]、及び[2]で表されるモノマーユニットを含有し、前記化学式[2]で表されるモノマーユニットの含有率が10〜25モル%のポリエステル共重合体とを含むことを特徴とする共重合樹脂組成物。
    Figure 2012087207
    Figure 2012087207
    Figure 2012087207
  2. 前記乳酸共重合体と前記ポリエステル共重合体の質量混合比が、99:1〜60:40の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の共重合樹脂組成物。
  3. 前記化学式[3]で表されるモノマーユニットが、L乳酸モノマーユニット、D乳酸モノマーユニットのいずれかであることを特徴とする請求項1又は2に記載の共重合樹脂組成物。
  4. 結晶化核剤を更に含んでいることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の共重合樹脂組成物。
  5. 前記結晶化核剤が、タルク系核剤、フェニル基を持つ金属塩系材料からなる核剤、及びベンゾイル化合物系核剤より選択される少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項4に記載の共重合樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の共重合樹脂組成物を、金型温度を50℃以上90℃以下の射出成形金型で成形したことを特徴とする成形品。
  7. 3ヒドロキシ酪酸モノマーユニットと3ヒドロキシ吉草酸モノマーユニットを含むポリエステルを微生物発酵法により産生するポリエステル産生行程と、
    前記ポリエステルに、乳酸をモノマーユニットの比率として50〜97モル%の範囲となるように付加して乳酸共重合体を製造する乳酸共重合体製造工程と、
    3ヒドロキシ酪酸モノマーユニットと、10〜25モル%の3ヒドロキシ吉草酸モノマーユニットとを含むポリエステル共重合体を微生物発酵法により産生するポリエステル共重合体産生工程と、
    前記乳酸共重合体と前記ポリエステル共重合体を所定の比率で混合する共重合体混合工程と、
    を有することを特徴とする共重合樹脂組成物の製造方法。
  8. 前記共重合体混合工程において、結晶化核剤を更に混合することを特徴とする請求項7に記載の共重合樹脂組成物の製造方法。
  9. 前記結晶化核剤は、タルク系核剤、フェニル基を持つ金属塩系材料からなる核剤、及びベンゾイル化合物系核剤より選択される少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項8に記載の共重合樹脂組成物の製造方法。
  10. 前記乳酸共重合体と前記ポリエステル共重合体の質量混合比が、99:1〜60:40の範囲であることを特徴とする請求項7〜9のいずれか一項に記載の共重合樹脂組成物の製造方法。
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