JP2012082373A - ボールペン用インキ - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、インキのボテを軽減させることができ、さらに、軽い書き味を与えるボールペン用インキを提供することを目的とする。
【解決手段】 少なくとも、シクロヘキサノン−ケトン樹脂とエチレングリコールモノプロピルエーテルとから少なくともなるボールペン用油性インキ組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、筆記部材としてインキを紙面等の被筆記面に転写するボールと、このボールを先端開口部から一部臨出させて回転自在に抱持するボールホルダーとから少なくともなるボールペンチップをペン先としたボールペンに収容されたボールペン用油性インキに関する。
従来、ボールペン用油性インキ組成物は、染料や顔料などの着色剤と、グリコール類や、グリコールエーテル類、高沸点のアルコール等の溶剤と、ケトン樹脂、キシレン樹脂、ロジン誘導樹脂などの紙面への定着性を主な目的とした樹脂と、必要に応じてポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール等の粘度調整、流動等性調整、ボテを防止することを主な目的とした樹脂からなっている。
ボールペンによる筆記は、ペン先の先端に回転自在に抱持されたボールに付着したインキが、ボールが紙面上を回転して移動することによって紙面に転写されたり、ボールとボールホルダーとの隙間から出てくるインキが直接に紙面に流出することによって筆跡を形成するものであるが、ボールに付着したインキの全てが筆跡として紙面に転写されるのではなく、ボールの表面に残ったインキはボールの回転に伴って再度ボールホルダー内に戻されようとする。このような戻されようとするインキの一部が、ボールホルダーの外周に乗り上げて付着し、書き始めや、筆記途中でインキの固まりが滴下されるいわゆるボテ現象が発生することがある。
また、筆記中は、ボールが紙面に押し付けられて後退し、インキの流出する隙間が形成されているが、筆記を止めてボールが紙面から離れた際に少量のインキが流出し、小口部分に溜まることがある。漢字を筆記する場合のように、頻繁に紙面との接触・非接触を繰り返すような筆記の場合、ごく少量のインキの漏れ出しが繰り返され小口の外側に溜まることもあった。重力に耐えられなくなり、筆記の衝撃などによって紙面に触れて落下していわゆるボテ現象となると考えられる。
このような、ボテ現象を防止することは古くから様々な研究がなされている。例えば、重量平均分子量が200万以上のポリビニルピロリドンを使用したもの(特許文献1)や、重量平均分子量が100万〜150万のポリビニルピロリドンと重量平均分子量が250万〜300万のポリビニルピロリドンを併用したもの(特許文献2)などがある。
さらに、剪断速度400s−1での粘度が100mPa・s以下でかる剪断速度5s−1での粘度が1000mPa・s以上であるもの(特許文献3)や、剪断速度500s−1時のインキ粘度が1000〜10000mPa・sで、非ニュートン粘性指数のn値が0.45〜0.90であるもの(特許文献4)などが開示されている。
特開平10−297158号公報 特開平06−313143号公報 特開平08−239616号公報 特開2001−139866号公報
特許文献1、2に記載されているような、重量平均分子量の高いポリビニルピロリドンを使用したインキは、インキの凝集力が大きくなり、得られた糸引き性により余剰のインキをボールペンチップ内に戻す力が高まってボテを軽減させることができるが、ボールホルダーの外面先端に付着するインキをゼロにはできないので、付着したインキが呼び水となり徐々に堆積していくことを抑えられず、ボテの完全な解消にはなっていない。
また、特許文献3、4に記載されているような、インキに剪断減粘性を付与して筆記時のインキ粘度を下げて、インキが紙に浸透し易くし、粘度が高い状態では筆跡とならずに余剰となっていたインキを紙へ浸透させるので、ボールホルダーの外面に乗り上げようとするインキも少なくなり、結果としてボテを減少させることができるものであるが、相対的な量が少なくなるだけで根本的な問題解決にはならず、完全なボテの解消にはなっていない。
また、低粘度で浸透し易いが故に、筆跡が著しくにじんだり、粘度の下がったインキはボールとボールホルダー内壁面との間のクッション材としては働かずに移動してしまうので、両者が物理的に直接接触して摩擦抵抗が上がり、ボールの回転を阻害して、筆跡にカスレが生じたり、書き味が重くなることがあった。
本発明は、このような従来の油性ボールペン用インキが有する欠点を改良し、ボテを軽減させることができ、さらに、ボールとボール受け座との物理的接触を抑制することで軽い書き味を与えるボールペン用インキを提供することを目的とする。
即ち、本発明は、少なくとも、シクロヘキサノン−ケトン樹脂とエチレングリコールモノプロピルエーテルとから少なくともなるボールペン用油性インキを第1の要旨とするものである。
また、前記シクロヘキサノン−ケトン樹脂の重量平均分子量が1000以上3000未満の範囲にあるボールペン用油性インキを第2の要旨とするものである。
更に、前記、第2の要旨のシクロヘキサノンーケトン樹脂の添加量が9.0%以上15.0%未満の範囲にあるボールペン用油性インキを第3の要旨とするものである。
シクロヘキサノン−ケトン樹脂とエチレングリコールモノプロピルエーテルとを併用すると、シクロヘキサノン−ケトン樹脂の主鎖にほぼ等間隔に存在するケトン基の酸素にエチレングリコールモノプロピルエーテルの水酸基の水素が水素結合し、さらに、エチレングリコールモノプロピルエーテルのプロピル基がケトン樹脂の六員環の炭素と疎水性結合することで安定な複合体を形成する。このシクロヘキサノン−ケトン樹脂とエチレングリコールモノプロピルエーテルとの複合体は内部にエチレングリコールモノプロピルエーテルが包括されてある程度の厚みを持ち、また、シクロヘキサノン−ケトン樹脂の主鎖にほぼ等間隔に配置したケトン基やエチレングリコールモノプロピルエーテのエーテル結合は分極して負電荷を帯びており、金属と結合しやすい性質を備えており、ボールホルダーの内壁のみならずボールホルダーの小口部分にも付着する。
小口付近に付着したこのシクロヘキサノン−ケトン樹脂とエチレングリコールモノプロピルエーテルとの複合体は、比較的低沸点な溶剤であるエチレングリコールモノプロピルエーテルの蒸発によって高分子濃度が高い層を形成する。この高分子濃度が高い層は、周囲に存在するインキ中の高分子に対して強い静電的反発を生じており、さらに、流体力学的相互作用および排除体積効果が小さくなることで、高分子濃度が高い層よりも外側に存在する高分子との引力は小さくなっているので、ボールの回転により小口付近に新たに供給されたインキは、前述の複合体の層に反発してそれ以上の堆積状態が形成されず、ボテが抑制されていると推察される。
尚、エチレングリコールモノプロピルエーテルのプロピル基がメチル基、エチル基に置換されたものだと疎水性が弱すぎてケトン樹脂との疎水結合が不十分であり、ブチル基だと立体障害が大きく、安定した複合体を形成できず、高分子の膨潤が不十分なために高分子の広がりが小さく、十分な静電的反発が発揮できず、ボテの抑制が不十分になる。
また、前述のシクロヘキサノン−ケトン樹脂とエチレングリコールモノプロピルエーテルとの複合体がボールやチップの金属表面に均一に厚い吸着層を形成することでボールとボール受座との物理的接触を抑制できる。このため、潤滑効果を効率的に発揮でき、軽い書き味を維持できると推察される。
以下に発明を詳細に説明する。
シクロヘキサノン−ケトン樹脂は、ハイラック901、同111、同222(以上、日立化成工業(株)製)、ケトンレジン K−90(荒川化学工業(株)製)等が挙げられる。好ましくは、インキへの添加量を多くしても粘度の上がりにくい、重量平均分子量が1000以上3000未満の範囲のものを使用する。また、その使用量はインキ組成物全量に対し0.5〜20.0重量%以下の範囲で使用でき、好ましくは9.0〜15.0重量%未満である。0.5重量%ではボテ防止効果が得られず、20.0重量%を超えるとインキの粘度が高くなりペン先からのインキ吐出が悪くなる不具合が発生する可能性がある。
エチレングリコールモノプロピルエーテルの添加量は、インキ全量に対して0.1〜50.0重量%以下の範囲で使用でき、好ましくは3.0〜30.0重量%以下である。0.1重量%以下だとボテ防止効果が得られず、50.0重量%を超えると経時的な固形分の増加により書き味が重くなる不具合などが発生する可能性がある。
有機溶剤はエチレングリコールモノプロピルエーテルと併用するのであれば、通常ボールペン用油性インキに使用される溶剤であれば使用可能である。
具体例を挙げると、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、エチレングリコールモノノルマルブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、フェニルセロソルブ、ベンジルアルコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、イソブチルジグリコール、フェニルジグリコール、フェニルトリグリコール、ベンジルグリコール、ベンジルジグリコール、ベンジルトリグリコール等がある。
着色剤は通常一般的に使用されている染料、顔料が使用可能である。染料の一例を挙げると、SPILON BLACK GMH SPECIAL、SPILON RED C−GH、SPILON RED C−BH、SPILON BLUE C−RH、SPILON BLUE BPNH、SPILON YELLOW C−2GH、SPILON VIOLET C−RH、S.P.T. ORANGE6、S.P.T. BLUE111(保土ヶ谷化学工業(株)製)などのアイゼンスピロンカラー、アイゼンSOT染料、ORIENT SPRIT BLACK AB、VALIFAST BLACK 3804、VALIFAST RED 1320、VALIFAST RED 1360、VALIFAST ORANGE 2210、VALIFAST BLUE 1605、VALIFAST VIOLET 1701、VALIFAST BLUE 1601、VALIFAST BLUE 1603、VALIFAST BLUE 1621、VALIFAST BLUE 2601、VALIFAST YELLOW 1110、VALIFAST YELLOW 3104、VALIFAST YELLOW 3105、VALIFAST YELLOW 1109(オリエント化学工業(株)製)などのバリファストカラー、オリエントオイルカラー、ローダミンBベース、ソルダンレッド3R、メチルバイオレット2Bベース、ビクトリアブルーF4R等や、ネオスーパーブルーC−555(中央合成化学(株)製)が挙げられる。
顔料は通常一般的に使用されているものは使用することが可能である。一例を挙げると、カーボンブラックや不溶性アゾ顔料、アゾレーキ系顔料、縮合アゾ系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、イソインドリン系顔料、アントラキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、インジゴ系顔料、チオインジゴ系顔料、キノフタロン系顔料、ペリノン、ペリレン系顔料等有機顔料などの従来公知の一般的な顔料が使用可能である。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組合せ調色して用いてもよい。
黒色顔料としてはカーボンブラックが使用できる。その一例を挙げると、プリンテックス3、同25、同30、同35、同40、同45、同55、同60、同75、同80、同85、同90、同95、同300、スペシャルブラック4、同5、同100、同250、同550(以上デグサヒュルスジャパン(株)製)。三菱カーボンブラック#2700、同#2650、同#2600、同#2400、同#2350、同#2300、同#2200、同#1000、同#990、同#980、同#970、同#960、同#950、同#900、同#850、同#750、同#650、同#52、同#50、同#47、同#45、同#45L、同#44、同#40、同#33、同#32、同#30、同#25、同#20、同#10、同#5、同#95、同#260、同CF9、同MCF88、同MA600、同MA77、同MA7、同MA11、同MA100、同MA100R、同MA100S、同MA220、同MA230(以上、三菱化学(株)製)、トーカブラック#8500/F、同#8300/F、同#7550SB/F、同#7400、同#7360SB/F、同#7350/F、同#7270SB、同#7100/F、同#7050(以上東海カーボン(株)製)等が挙げられる。
青色顔料としては例えばC.I.Pigment Blue 2、同9、同15、同15:1、同15:2、同15:3、同15:4、同15:6、同16、同17、同28、同29、同36、同60、同68、同76、同80等が使用できる。
赤色の顔料としてはC.I.Pigment Red 2、同3、同5、同8、同14、同17、同22、同23、同31、同48:1、同48:2、同48:3、同48:4、同53:1、同53:2、同57:1、同112、同122、同144、同146、同149、同166、同170、同175、同176、同177、同179、同184、同185、同187、同188、同202、同207、同208、同209、同210、同211、同213、同214、同242、同253、同254、同255、同256、同257、同264、同266、同268、同270、同272等が使用できる。
黄色の顔料としてはC.I.Pigment Yellow 1、同3、同12、同13、同14、同16、同17、同55、同73、同74、同79、同81、同83、同93、同94、同95、同97、同109、同110、同111、同120、同128、同133、同136、同138、同139、同147、同151、同154、同155、同167、同173、同174、同175、同176、同180、同185、同191、同194、同213等が使用できる。
橙色の顔料としてはC.I.Pigment Orange5、同13、同16、同34、同36、同38、同43、同62、同68、同72、同74等がある。
緑色の顔料としてはC.I.Pigment Green7、同36、同37等が使用できる。
紫色の顔料としてはC.I.Pigment Violet19、同23等が使用できる。
これらの染料および顔料の使用量はボールペン用油性インキ全量に対し1重量%以上40重量%以下が好適に使用でき、1重量%以上30重量%以下がより好ましい。使用量が1重量%より少ないと筆跡が薄すぎて判読がし難くなる。また、40重量%より多いと経時的な沈降による目詰まりによる筆記不能やボールペン用油性インキ中の固形分の増加により書き味が重くなる不具合を生じやすくなる。
顔料を分散するには通常一般的な方法で可能である。
例えば、顔料と、エチレングリコールモノプロピルエーテルと、分散剤とを混合し、プロペラ撹拌機等で均一に撹拌した後、分散機で顔料を分散する。ロールミル、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、ホモジナイザー等の分散機はインキの溶剤量や、顔料濃度によって適宜選択する。
筆跡の筆記面への定着性を付与するためにシクロヘキサノン−ケトンレジンと樹脂をインキ組成物中に併用して添加することも可能である。具体例としては、例えば、フェノール樹脂、ケトン樹脂、ロジン樹脂などのインキ組成物用樹脂が挙げられる。
インキ組成物用樹脂の具体例としては、フェノール樹脂として、タマノル100S、同510(以上、荒川化学工業(株)製)、ヒタノール1501、同2501(以上、日立化成工業(株)製)、YP−90、YP−90L、YSポリスターS145、同#2100、同#2115、同#2130、同T80、同T100、同T115、同T130、同T145、マイティエースG125、同150(以上、ヤスハラケミカル(株)製)などが、ケトン樹脂として、ハイラック110H(日立化成工業(株)製)、ハロン110H(本州化学製)、レジンSK(ヒュルス社製)など、ロジン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂として、ハーコリンD、ペンタリン255、同261、同269、同830(以上、理化ハーキュレス(株)製)、ハリエスターNL、同L、同MT、同MSR−4、ハリマック135G、同T−80、同FX−25、同AS−5、同AS−9、ネオトールC、ガムロジンX(以上、ハリマ化成(株)製)、ガムロジンWW(中国産)、エステルガムH、マルキード#30A、同#31、同#32、同#33、同#34(荒川化学工業(株)製)などが挙げられる。
これらの樹脂は、シクロヘキサノン−ケトン樹脂と混合して使用でき、筆記面への定着性を付与するために添加する場合、その使用量はインキ組成物全量に対し0.5〜20.0重量%以下が好ましい。0.5重量%未満では筆記面に対する筆跡の定着性が不十分となる場合があり、20.0重量%を超えるとインキの粘度が高くなりペン先からのインキ吐出が悪くなる不具合が発生する可能性がある。
以上の成分の他に更に必要に応じて、従来インキ組成物に使用されている界面活性剤、防錆剤などの各種添加剤を適宜使用できる。界面活性剤の一例を挙げると、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンひまし油、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸などが挙げられる。防錆剤の一例を挙げると、ベンゾトリアゾール、シクロヘキシルアンモニウムクロライド、2−メルカプトベンゾトリアゾール、ベンゾイルアミノカプロン酸、硝酸カルシウムなどが挙げられる。
インキを製造するには、染料や上記で分散した顔料と、シクロヘキサノン−ケトン樹脂とエチレングリコールモノプロピルエーテルをホモミキサー等の撹拌機にて充分に混合攪拌した後、他の成分、例えば粘度調整剤や溶剤、色調調整のための油性染料、潤滑剤等を混合し、更に均一になるまで溶解・混合することで得られるが、場合によって混合したインキをさらに分散機にて分散したり、得られたインキを濾過や遠心分離機に掛けて粗大粒子や不溶解成分を除いたりすることは何ら差し支えない。
以下、実施例及び比較例に基づき更に詳細に説明する。尚、各実施例中単に「部」とあるのは「重量部」を表す。
(実施例1)
エチレングリコールモノプロピルエーテル 26.7部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル 30.3部
フェニルセロソルブ 10.9部
プリンテックス 35(カーボンブラック、デグサヒュルスジャパン(株)製)
10.8部
SPILON BLUE C−RH(油性染料、保土谷化学工業(株)製) 4.7部
SPILON RED C−BH(油性染料、保土谷化学工業(株)製) 5.8部
VALIFAST YELLOW 1109(油性染料、オリエント化学工業(株)製)
3.2部
ハイラック 901(シクロヘキサノン−ケトン樹脂、日立化成工業(株)製)(重量平均分子量:2400) 5.0部
エスレック BL−1(ポリビニルブチラール、分散剤、積水化学工業(株)製)
1.6部
エスレック BH−3(ポリビニルブチラール、粘度調整剤、積水化学工業(株)製)
1.0部
上記成分のうち、ジエチレングリコールモノメチルエーテルの全量と、エスレックBL−1の全量を70℃で撹拌、混合溶解した後、これを室温まで放冷してからプリンテックス35の全量を加えダイノーミル(ビーズミル、(株)シンマルエンタープライス製)で直径0.3mmのジルコニアビーズを用い、10回通しを行い黒色のペーストを得た。
ついでこのペーストにエチレングリコールモノプロピルエーテルの全量と、フェニルセロソルブの全量と、SPILON BLUE C−RHの全量と、SPILON RED C−BHの全量とVALIFAST YELLOW 1109の全量と、ハイラック 901の全量と、エスレック BH−3の全量を加え、70℃で3時間撹拌、混合した後室温まで放冷し黒色のボールペン用インキを得た。
(実施例2)
エチレングリコールモノプロピルエーテル 13.3部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル 34.4部
ジエチレングリコールジメチルエーテル 15.2部
Pigment Red 2 11.1部
VALIFAST YELLOW 1109(油性染料、オリエント化学工業(株)製)
5.6部
SPILON RED C−GH(油性染料、保土谷化学工業(株)製) 8.2部
ハイラック 901(シクロヘキサノン−ケトン樹脂、日立化成工業(株)製)9.1部
PVP K−90(ポリビニルピロリドン、日本触媒(株)製) 1.5部
エスレックBL−1(ポリビニルブチラール、分散剤、積水化学工業(株)製)1.6部
上記成分のうち、ジエチレングリコールモノメチルエーテルの全量と、エスレックBL−1の全量を70℃で撹拌、混合溶解した後、これを室温まで放冷してからPigment Red2の全量を加えダイノーミル(ビーズミル、(株)シンマルエンタープライス製)で直径0.3mmのジルコニアビーズを用い、10回通しを行い赤色のペーストを得た。
ついでこのペーストにエチレングリコールモノプロピルエーテルの全量と、ジエチレングリコールジメチルエーテルの全量と、VALIFAST YELLOW 1109の全量と、SPILON RED C−GHの全量と、ハイラック 901の全量と、PVP K―90の全量を加え、70℃で3時間撹拌、混合した後室温まで放冷し赤色のボールペン用インキを得た。
(実施例3)
エチレングリコールモノプロピルエーテル 22.4部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル 22.2部
フェニルセロソルブ 8.8部
Pigment Blue 9 13.5部
VALIFAST RED #1320(油性染料、オリエント化学工業(株)製)
3.5部
VALIFAST BLUE #1605(油性染料、オリエント化学工業(株)製)
12.0部
ハイラック901(シクロヘキサノン−ケトン樹脂、日立化成工業(株)製)15.0部
エスレック BL−1(ポリビニルブチラール、分散剤、積水化学工業(株)製)
1.6部
エスレック BH−3(ポリビニルブチラール、粘度調整剤、積水化学工業(株)製)
1.0部
上記成分のうち、ジエチレングリコールモノメチルエーテルの全量と、エスレックBL−1の全量を70℃で撹拌、混合溶解した後、これを室温まで放冷してからPigment Blue9の全量を加えダイノーミル(ビーズミル、(株)シンマルエンタープライス製)で直径0.3mmのジルコニアビーズを用い、10回通しを行い青色のペーストを得た。
ついでこのペーストにエチレングリコールモノプロピルエーテルの全量と、フェニルセロソルブの全量と、VALIFAST RED #1320の全量と、VALIFAST BLUE #1605の全量と、ハイラック 901の全量と、エスレック BH−3の全量を加え、70℃で3時間撹拌、混合した後室温まで放冷し青色のボールペン用インキを得た。
(実施例4)
エチレングリコールモノプロピルエーテル 19.0部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル 30.0部
ジエチレングリコールジメチルエーテル 8.6部
フェニルセロソルブ 5.9部
SPILON RED C−GH(油性染料、保土谷化学工業(株)製) 5.6部
SPILON RED C−BH(油性染料、保土谷化学工業(株)製) 6.2部
VALIFAST YELLOW 1109(油性染料、オリエント化学工業(株)製)
3.5部
ハイラック 901(シクロヘキサノン−ケトン樹脂、日立化成工業(株)製)
20.0部
エスレック BH−3(ポリビニルブチラール、粘度調整剤、積水化学工業(株)製)
1.0部
上記成分を70℃で撹拌し、均一に溶解して赤色のボールペン用油性インキを得た。
(実施例5)
実施例3においてハイラック 901を抜いて、その分ハイラック 111(シクロヘキサノン−ケトン樹脂、日立化成工業(株)製)(重量平均分子量:3200)を添加した以外は同様に為し、青色のボールペン用油性インキを得た。
(実施例6)
実施例3においてハイラック 901を抜いて、その分ハイラック 222(シクロヘキサノン−ケトン樹脂、日立化成工業(株)製)(重量平均分子量:3200)を添加した以外は同様に為し、青色のボールペン用油性インキを得た。
(実施例7)
実施例3においてハイラック 901を抜いて、その分ケトンレジン Kー90(シクロヘキサノン−ケトン樹脂、荒川化学工業(株)製)(重量平均分子量:700)を添加した以外は同様に為し、青色のボールペン用油性インキを得た。
(比較例1)
実施例3においてエチレングリコールモノプロピルエーテルを抜いて、その分ベンジルアルコールを添加した以外は同様に為し、青色のボールペン用油性インキを得た。
(比較例2)
実施例3においてエチレングリコールモノプロピルエーテルを抜いて、その分ジエチレングリコールジメチルエーテルを添加した以外は同様に為し、青色のボールペン用油性インキを得た。
(比較例3)
実施例3においてエチレングリコールモノプロピルエーテルを抜いて、その分へキシレングリコールを添加した以外は同様に為し、青色のボールペン用油性インキを得た。
(比較例4)
実施例2においてハイラック 901を抜いて、ヒタノール 1501(フェノール樹脂、日立化成工業(株)製)を6.2部、スーパーベッカサイト 1001(フェノール樹脂、大日本インキ化学工業(株)製)を2.9部を添加した以外は同様に為し、赤色のボールペン用油性インキを得た。
(比較例5)
実施例2においてハイラック 901を抜いて、スーパーベッカサイト 1001(フェノール樹脂、大日本インキ化学工業(株)製)を3.8部、エステルガム H(水素添加ロジンエステル、荒川化学工業(株)製)を5.3部を添加した以外は同様に為し、赤色のボールペン用油性インキを得た。
(比較例6)
実施例2においてハイラック 901を抜いて、その分EGC−1720(フッ素系樹脂、住友スリーエム(株)製)を添加した以外は同様に為し、赤色のボールペン用油性インキを得た。
(比較例7)
実施例2においてハイラック 901を抜いて、ハリエスター L(ロジン変性グリセリンエステル、ハリマ化成(株)製)を5.0部、ハリマック T−80(ロジン変性マレイン酸、ハリマ化成(株)製)を4.1部を添加した以外は同様に為し、赤色のボールペン用油性インキを得た。
(比較例8)
実施例2においてハイラック 901を抜いて、その分ハイラック 110H(アセトフェノン系ケトン樹脂、重量平均分子量:1500、日立化成工業(株)製)を添加した以外は同様に為し、赤色のボールペン用油性インキを得た。
(試験用油性ボールペンの作製)
上記実施例1〜6及び比較例1〜3で得たボールペン用油性インキを市販の油性ボールペン(VICUNA、製品符号 BX157、ぺんてる(株)製(ボール径φ0.7))と同構造の筆記具に0.2g充填し、遠心機にて遠心力(1000rpm、5分間)を加えてインキ中の気泡を脱気して、試験用ボールペンを作製した。
ボテ試験:400時詰め原稿用紙((株)コクヨ製、品番:ケ−10)1枚にひらがな50音を繰り返し筆記したときに紙面に発生したボテの数を数えた。結果を表1に示す。
筆記抵抗値の測定:上記実施例、比較例のインキを収容した試験用のボールペンを、n=3本ずつ(株)トリニティーラボ製のTribo−master(Type:TL201Sa)にて、試験用のボールペン作成後美筆記の筆記抵抗値を測定した。筆記抵抗値を測定した際の筆記角度は、70°にて筆記させ、その他の条件としては、筆記荷重150g、筆記速度7cm/secとした。
筆記抵抗値の測定については、測定周波数200Hz(1秒間に200プロット測定)にて2秒間測定を行ったデータの各プロットにおける値の総和を総プロット数(400プロット/2秒間)で割って平均値とし、検体に対する平均筆記抵抗値を算出した。更に、5本の検体に対する各平均筆記抵抗値からn=3本の平均値を算出して各実施例、比較例を使用した試験用のボールペンの筆記抵抗値とした。
書き味の官能試験(書き味の軽さ、滑らかさ):モニター20人で手書きによる官能試験をペン作成後未筆記の状態の書き味を評価した。
評価基準は、重いもしくは滑らかでない(1点)、軽いが滑らかでない、もしくは滑らかだが重い(2点)、軽くて滑らか(3点)、非常に軽くて滑らか(4点)、で評価し、20人の平均値を算出した。
Figure 2012082373
実施例1〜7のボールペン用インキ組成物は、シクロヘキサノン−ケトン樹脂とエチレングリコールモノプロピルエーテルを併用しているので、安定した複合体の金属表面への高い吸着性を有して軽い書き味を得られ、また、ボールの回転により小口付近に新たに供給されたインキは、前述の複合体の層に反発してそれ以上の堆積状態が形成されず、ボテ防止効果を得られた。
また、実施例2、3のボールペン用インキ組成物は、シクロヘキサノン−ケトン樹脂とエチレングリコールモノプロピルエーテルを好ましい添加量で併用しているので、より強いボテ防止効果とより軽い書き味を得られた。
これに対して、比較例1〜3のボールペン用インキ組成物は、エチレングリコールモノプロピルエーテルを使用していないので、シクロヘキサノン−ケトン樹脂と安定な複合体を形成する溶剤が無いためボテ防止効果を得られない。
比較例4〜7のボールペン用インキ組成物は、添加した樹脂にボテ防止効果が無いと推察される。
以上、詳細に説明したように本発明のボールペン用インキは、ボールペンを用いて筆記したときにインキのボテを軽減させることができ、さらに、軽く滑らかな書き味を与えるボールペン用インキ組成物に関するものである。

Claims (3)

  1. シクロヘキサノン−ケトン樹脂と、着色剤と、エチレングリコールモノプロピルエーテルとから少なくともなるボールペン用油性インキ。
  2. シクロヘキサノン−ケトン樹脂の重量平均分子量が1000以上3000未満の範囲である請求項1記載のボールペン用油性インキ。
  3. シクロヘキサノン−ケトン樹脂の添加量が9.0以上15.0未満の範囲にある請求項2記載のボールペン用油性インキ。
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