JP2012081145A - タフテッドカーペット及びその施工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】施工現場で手間を掛けずに床面に強固に貼着施工できて、位置ずれ防止性があり、接着剤を用いずに環境面からも優れたタフテッドカーペット及びその施工方法を提供する。
【解決手段】タフテッドカーペット1の裏面の少なくとも一部に粘着剤組成物からなる粘着層4が設け、さらにその裏面に離型紙5が積層することにより、施工現場で離型紙を剥がしながらタフテッドカーペットを簡単に床面に強固に貼着させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、オフィスやホテル、列車、航空機等の広いフロア面に敷設して用いられるロールカーペットに好適に用いられるタフテッドカーペット及びその施工方法に関するものである。
ロールカーペットとは、幅の広い、長いロール状のカーペットを、ある程度の大きさにカットしているカーペットのことで、店頭でそのロール自体から切り売りされているものも同様に呼んでいます。オフィスやホテル、列車、航空機等の広いフロアはもちろん、最近多くなってきた一般家庭のワンルーム形式のリビング・ダイニングルームなど、広い面積にカーペットを敷き詰めるときに使用します。タイルカーペット等の小片のカーペットを使用すると、ジョイント(継ぎ目)が入り美観を損ね、意匠の表現も低下します。
従来、カーペットの施工方法として、特許文献1〜4に記載されているように、クリツパー法と呼ばれる、床にクツシヨン材を敷き、この上面にカーペットを貼着して、その周縁端部をエツヂの針に引掛けて、カーペットを施工する方法、またピールアツプ法と呼ばれる、床に接着剤を塗布し、カーペットとクツシヨン材を複合した製品を貼り合わせてカーペットを施工する法等が知られている。さらに最近ではより簡易性が求められて、特許文献5に記載されているように、床面に両面テープを貼着して、その上にカーペットを施工する方法が多く用いられている。
しかしながら、クリツパー法では、施工の際に煩雑で熟練技術を必要とし、施工賃が高くなると云う欠点があり、固定に使用しているピンが表に出る危険性があった。また、ピールアツプ法では、現場で接着剤を使用する必要があるために、作業環境や、接着剤の缶の処理の問題があった。さらにカーペットを使用している間に接着剤から有害揮発物質が発生する恐れもあった。一方、両面テープを用いる方法では、カーペットを貼着する作業は簡単になったが、施工現場で両面テープを準備し、床面に貼着させる煩雑な作業が必要であった。さらに両面テープが貼られていない部分では、位置ずれが生じるという問題もあった。
特開昭49−49424号公報 特開昭56−142056号公報 実開昭49−25222号公報 実開昭48−104132号公報 特開平9−279106号公報
本発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、施工現場で手間を掛けずに床面に強固に貼着施工できて、位置ずれ防止性があり、接着剤を用いずに環境面からも優れたタフテッドカーペット及びその施工方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、このような課題を解決するために鋭意検討の結果、タフテッドカーペットの裏面の少なくとも一部に粘着剤組成物からなる粘着層が設け、さらにその裏面に離型紙が積層することにより、施工現場で離型紙を剥がしながらタフテッドカーペットを簡単に床面に強固に貼着させることができることを見出し本発明に到達した。前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
[1]タフテッドカーペットからなる長尺ロール状のロールカーペットにおいて、前記タフテッドカーペットの裏面の少なくとも一部に粘着剤組成物からなる粘着層が設けられ、さらにその裏面に離型紙が積層されていることを特徴とするタフテッドカーペット。
[2]前記粘着剤組成物を構成する粘着剤として、非架橋のアクリル系粘着剤が用いられ、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂を含有してなることを特徴とする前項1に記載のタフテッドカーペット。
[3]前記粘着層が、前記粘着剤組成物の水性エマルジョンが塗布されることにより形成されたものである前項1または2に記載のタフテッドカーペット。
[4]前記長尺ロール状のタフテッドカーペットを巻戻しつつ、前記タフテッドカーペットの裏面の前記離型紙を剥がしながら床面上の所定の位置に貼りつけ施工することを特徴とするタフテッドカーペットの施工方法。
[1]の発明では、長尺ロール状のロールカーペットを構成するタフテッドカーペットが、裏面の少なくとも一部に粘着剤組成物からなる粘着層が設けられているために、床面に強固に貼着させ、位置ずれ防止性があり、さらに、ジョイント(継ぎ目)が入る事が無いので、美観を損ねず、高い意匠も表現できるタフテッドカーペットとすることができる。またさらにその裏面に離型紙が積層されていることから、現場施工時に接着剤や両面テープを用意する事無く、前記離型紙を剥がして床面に貼着させる簡単な作業で、強固に床面に貼着するタフテッドカーペットとすることができる。また、接着剤を使用していないので、カーペットを使用している間に接着剤から有害揮発物質が発生する恐れもないタフテッドカーペットとすることができる。
[2]の発明では非架橋のアクリル系粘着剤が用いられているために、施工面に対して十分な粘着強度を長期間にわたって確保することができる。また、非架橋系であるから、ポットライフが非常に長く、在庫管理が極めて容易なものとなる。更に、非架橋のアクリル系粘着剤は一般的に安価であるから、一層コストを低減できる利点もある。またエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂を含有してなることから、可塑剤等からの悪影響を受けにくくすることができ、ひいては施工面に対して十分な粘着強度を長期間にわたって確保することができる。
[3]の発明では前記粘着層が、粘着剤組成物の水性エマルジョンが塗布されることにより形成されたものであるために、粘着層形成の作業性を向上できると共に、粘着強度等の品質をより安定させることができ、しかも十分な粘着強度を一層長期間にわたって確保できる。
[4]の発明では前記長尺ロール状のタフテッドカーペットを巻戻しつつ、前記タフテッドカーペットの裏面の前記離型紙を剥がしながら、床面上の所定の位置に貼りつけ施工することにより、簡単な作業でタフテッドカーペットを貼着施工をすることができる。また、施工現場で両面テープを準備する必要も無く、当然施工後の処理も必要の無い簡便な施工方法となり、さらに接着剤も使用しないので、作業環境にも考慮した施工方法となる。
本発明のタフテッドカーペット及びその施工方法は、前記タフテッドカーペットの裏面の少なくとも一部に粘着剤組成物からなる粘着層を設け、さらにその裏面に離型紙を積層することにより、ジョイント(継ぎ目)が入る事が無く、高い意匠も表現でき、現場施工時に接着剤や両面テープを用意する事無く、前記離型紙を剥がして床面に貼着させる簡単な作業で、強固に床面に貼着し、位置ずれ防止性のあるタフテッドカーペット及びその施工方法とすることができることを見出し本発明に到達したものである。
本発明を図面に基づいて説明する。図1に示すように、タフテッドカーペット(1)は表面パイル層(2)と、バッキング層(3)、粘着層(4)と、離型紙(5)からなる。
本発明におけるタフテッドカーペット(1)の表面パイル層(2)はタフティング機により基布(6)にパイル糸(7)を植設したタフテッドカーペット原反を用い、タフテッドカーペット原反の形態としては、カットパイル、ループパイル、カットアンドループ等どの様な形態でも応用できる。
前記パイル糸(7)を構成するパイル素材としては、一般的にカーペット素材として使用しているものを用いればよく、ウール、麻、コットン等の天然繊維やポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアクリル系繊維、ポリプロピレン系繊維等の合成樹脂繊維等が挙げられる。またパイルが植設される基布(6)はポリエステル系繊維、ポリプロピレン系繊維等の合成樹脂繊維からなる織布や不織布を用いることが好ましい。
本発明におけるタフテッドカーペット(1)のバッキング層(3)は、タフテッドカーペット(1)の形状保持や、パイル糸(7)の抜糸強度、および耐毛羽立ち性(フアズ現象)の確保するために形成され、使用する材質は特に限定されないが、通常は樹脂組成物やゴム組成物で構成される。この樹脂組成物の樹脂成分としては、スチレンブタジエン樹脂やポリ塩化ビニルなどの樹脂を挙げることができる。基布(5)の裏面に樹脂組成物を塗布し、乾燥工程を経て形成する。例えば、固形分濃度約50%のスチレンブタジエンラテックスを200〜1000g/m塗布、乾燥して形成するバッキング層(3)は広く用いられている。
本発明におけるタフテッドカーペット(1)の粘着層(4)は、粘着剤組成物で構成され、さらに前記粘着剤組成物を構成する粘着剤としては、粘着性能を発現するものであれば特に限定されずに用いることができるが、これらの中でも非架橋系の粘着剤を用いるのが好ましい。非架橋系であるから、ポットライフが非常に長くなり、在庫管理が極めて容易なものとなるし、初期粘着強度を向上させ、位置ずれ防止性を確保することができる利点がある。
前記非架橋系の粘着剤としては、例えば非架橋のアクリル系粘着剤、非架橋のシリコーン系粘着剤、非架橋のゴム系粘着剤などを例示できる。
これら非架橋系粘着剤の中でも、非架橋のアクリル系粘着剤を用いるのが特に好ましい。アクリル系粘着剤であるので、粘着強度を一層向上させることができる。また、非架橋系であるから、ポットライフが非常に長く、在庫管理が極めて容易なものとなる。更に、非架橋のアクリル系粘着剤は一般的に安価であるから、一層コストを低減できる利点もある。
非架橋のアクリル系粘着剤としては、特に限定されるものではないが、例えば2−エチルヘキシルアクリレート、n−ブチルアクリレート、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル等の共重合体等を主としたもの等が挙げられる。
なお、前記粘着剤としては、架橋系アクリル粘着剤等の架橋系粘着剤を用いたり、併用したりすることもできるが、粘着剤として非架橋系粘着剤を用いる場合と比べて、架橋剤による架橋構造の形成によって初期粘着強度が低下するし、架橋剤の含有によってポットライフが短いものとなって在庫管理が難しくなるので、好ましくない。
さらに、粘着剤組成物にエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂を含有させることが好ましい。エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂を含有させることにより、バッキング層(3)から発生する可塑剤等からの悪影響を受けにくくすることができ、ひいては施工面に対して十分な粘着強度を長期間にわたって確保することができる。このようなエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂の含有により可塑剤等からの悪影響を受けにくくすることが可能となるのは次のような作用によると推定される。即ち、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂における酢酸ビニル骨格は可塑剤との相溶性が良好ではなく、これにより可塑剤の影響を受けにくいということ、更にエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂のエチレン骨格部分が非極性であるために全体として極性を有する可塑剤の影響を受けにくいということ、これらの相互作用によって可塑剤の悪影響を受け難いものとなっていると推定される。また、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂は汎用樹脂であって安価であるので、コストの低減が可能となる。
エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂におけるエチレン含有率は10〜50重量%の範囲にあるのが、粘着強度の初期強度を向上させることができ、かつこの優れた粘着強度を長期間にわたって確保できる点で好ましい。
粘着層における粘着剤/エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂の重量比(固形分比)は70/30〜20/80の範囲にあるのが、粘着強度の初期強度を向上させることができ、かつこの優れた粘着強度を長期間にわたって確保でき、位置ずれ防止性を確保できる点でより好ましい。
粘着剤組成物塗布領域における粘着剤組成物の塗布量は、固形分重量で2.5〜50g/mであるのが、粘着強度を十分に確保しつつ、タイルカーペット同士の分離性をより良好なものとなし得る点で好ましい。
粘着層は、粘着剤組成物の水性エマルジョンが塗布されることにより形成されたものであるのが好ましい。これにより、粘着層形成の作業性を向上できると共に、粘着強度等の品質をより安定させることができ、しかも十分な粘着強度を一層長期間にわたって確保できる。
前記粘着層(4)の形成方法は、特に限定されるものではないが、前記粘着剤組成物の水性エマルジョンを塗布することにより形成するのが、塗布工程における作業性を向上できる点で、好ましい。また、粘着剤組成物を構成する粘着剤およびエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂のいずれもがエマルジョン形態で塗布されるので、形成される粘着層(4)において粘着剤とエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂とが均一な相互分散形態となされ、これにより粘着強度等の品質をより安定したものとすることができ、またエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂の均一分散により可塑剤の影響をより受け難いものとなし得て、十分な粘着強度を一層長期間にわたって確保することができる利点がある。なお、塗布を行う場合には、スクリーンコート法を好適に使用できる。
本発明におけるタフテッドカーペット(1)の離型紙(5)は、一般的に離型紙として使用しているものを用いればよく、クラフト紙、グラシン紙などの基材表面にシリコーンなどの剥離剤を塗設してなるもので、粘着層(4)の粘着剤組成物に軽く貼着させて、使用時に粘着層(4)と離型紙(5)とを容易に剥離可能としたものである。従来より、この種の離型紙(5)では、目止めのために基材表面にポリエチレンやクレー剤などからなる目止め層を塗工し、その上面にシリコーン等の剥離剤を塗設してなる構造が一般的である。
本発明におけるタ離型紙(5)の基材としては、クラフト紙、グラシン紙、ポリラミネート紙などが使用可能であるが特にこれらに限定されるものではなく、その厚さも特に限定されるものでない。
また、目止め層としては、離型紙を使用後に再利用する場合に、水中で容易に溶解することによって基材との離解性が良好で、かつ目止めとしての本来の機能を考慮すれば、水溶性高分子を含有した目止め剤から構成する。なお、この水溶性高分子としては、例えば、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリイタコン酸、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレングリコール、及びこれらの共重合体からなるグループから選択された1種若しくは2種以上の水溶性高分子が好適であるが、これ以外でも目止め機能を有し且つ基材との離解性を有する水溶性高分子であれば何れも使用可能である。
また、この目止め剤を基材の表面に塗工し、目止め層3を形成する方法としては、周知の塗布方法を用いればよく、一例を挙げれば、「テーブル塗布法」が使用可能である。さらに、この場合、目止め層3の厚さとしては、特に限定されるものではないが、目止め効果を考慮すれば、1〜50μm程度とするのが好ましい。
さらに、剥離剤層としては、前述した目止め剤との目止め性が良好な剥離剤であれば良く、その種類は目止め剤に応じて選択すればよく特に限定されるものではないが、一例を挙げれば、シリコーン樹脂、アミノ・アルキッド樹脂、シリコーン樹脂とアルリル酸エステルの混合物などが使用可能である。また、剥離剤の塗布方法としては、周知の塗布方法を用いればよく、一例を挙げれば、「テーブル塗布法」が使用可能である。さらに、この場合、剥離層の厚さとしては、特に限定されるものではないが、剥離効果を考慮すれば、1〜50μm程度とするのが好ましい。
本発明におけるタフテッドカーペット(1)の製造方法は、タフティング機によって、基布(6)にパイル糸(7)を植え込んでタフテッドカーペット原反を作成し、コーティング加工機を用いて、パイル糸(6)の抜糸強度、および耐毛羽立ち性(フアズ現象)の確保するために、スチレンブタジエン樹脂やポリ塩化ビニル等の樹脂組成物を塗布し、乾燥を行いバッキング層(3)を形成する。さらに、スクリーンコート加工機を用いて、前記バッキング層(3)裏面に粘着剤組成物を塗布して粘着層(4)を形成し、その上に離型紙(5)を積層一体化し、ロール状に巻き取り、ロールカーペット用途のタフテッドカーペット(1)が得られる。
本発明におけるタフテッドカーペット(1)の施工方法は、前記長尺ロール状のタフテッドカーペット(1)を巻戻しつつ、前記タフテッドカーペット(1)の裏面の前記離型紙(5)を剥がしながら床面上の所定の位置に貼りつけ施工することを特徴とする。従来方法では、接着剤を床面、或いはカーペット裏面、あるいはその両方に塗布し、決められたオープンタイムを計測し、所定の形状に裁断されたカーペットを貼りつける。または、カーペットを貼りつけた場合の端のめくれ、中央部のふくれ等が発生しないように、両面テープを床面に万遍なく貼り付け、所定の形状に裁断されたカーペットを貼りつける。共に施工作業に手間が掛かり、専門技術を要するものであった。
しかしながら、本発明におけるタフテッドカーペット(1)の施工方法では、タフテッドカーペット(1)の裏面に粘着層(4)と、離型紙(5)が積層されていることから、現場施工時に接着剤や両面テープを用意する事無く、前記離型紙(5)を剥がして床面に貼着させる簡単な作業で、強固に床面に貼着するタフテッドカーペットとすることができる。サイズの大きなロールカーペットを簡単に施工できることにより、ジョイント(継ぎ目)が入る事が無いので、美観を損ねず、高い意匠も表現できるタフテッドカーペットとすることができる。また、接着剤を使用していないので、カーペットを使用している間に接着剤から有害揮発物質が発生する恐れもないタフテッドカーペットとすることができる。
以下、本発明の実施例について説明する。
<実施例1>表面パイル層として、ナイロン糸を用い、パイル長10mm、ステッチ30/10cm、目付800g/mとし、表面に花柄をプリントし、基布はポリエステルスパンボンド不織布(目付100g/m)を使用したカットパイルのタフテッドカーペット原反を用意した。次にコーティング加工機において、タフテッドカーペット原反の裏面に固形分濃度約50%のスチレンブタジエンラテックスを800g/m塗布し、乾燥してバッキング層を形成した。一方、非架橋のアクリル系粘着剤とエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)とを固形分重量比でアクリル系/EVA=60/40で含有する水性エマルジョン(水/固形樹脂分=45/55)を、スクリーンを用いて前記バッキング層の裏面に塗布し粘着層を形成し、さらにその上に離型紙を積層した。次に、バッキング層、粘着層、離型紙が積層された前記タフテッドカーペット原反を80℃で5分間オーブン内で加熱して乾燥させて、タフテッドカーペットを得た。なお、粘着層における粘着剤組成物の塗布量は15g/m(固形分重量)であった。また、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂におけるエチレン含有率は30重量%であった。次に作成したタフテッドカーペットを用いて、5m四方のスレート板地の小部屋に、離型紙を剥がして貼り付け施工を行った。
<実施例2〜4>水性エマルジョンにおけるアクリル系粘着剤/エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂の重量比(固形分比)を表1に示す比率とした以外は、実施例1と同様にしてタフテッドカーペットを得て、離型紙を剥がして貼り付け施工を行った。
<比較例1>粘着層及び離型紙を積層しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、タフテッドカーペットを得て、アクリル系接着剤をスレート板床地に塗布した後に、タフテッドカーペットの貼り付け施工を行った。
<比較例2>粘着層及び離型紙を積層しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、タフテッドカーペットを得て、両面テープをスレート板床地に貼り付けた後に、タフテッドカーペットの貼り付け施工を行った。
<比較例3>タフテッドカーペットを50cm角のタイル状にしたこと以外は、実施例1と同様にしてタフテッドカーペットを得て、離型紙を剥がして貼り付け施工を行った。
<比較例4>水性エマルジョンとして、非架橋のアクリル系粘着剤を含有する水性エマルジョン(水/固形樹脂分=45/55)を用いた(EVAを全く含有しない)以外は
、実施例1と同様にして、タフテッドカーペットを得て、離型紙を剥がして貼り付け施工を行った。
上記のようにして得られた各タフテッドカーペットに対して下記の評価を行った。その結果を表1に示す。
<初期滑り抵抗強度(施工面上における位置ずれ防止性の評価)>タフテッドカーペットをPP板(ポリプロピレン板)、スレート板、鉄板の上に貼着して、タフテッドカーペットを面方向に引っ張った時の滑り抵抗強度を測定した。
<促進試験後の滑り抵抗強度(施工面上における位置ずれ防止耐久性の評価)>タフテッドカーペットを60℃のオーブン中に10日間入れた後、これを取り出して常温になってからタフテッドカーペットをPP板、スレート板、鉄板の上に貼着して、タフテッドカーペットを面方向に引っ張った時の滑り抵抗強度を測定した。
<施工性の評価>任意の作業員(カーペットの施工経験2〜3回)によって5m四方のスレート板地の小部屋に、タフテッドカーペットを貼り付け施工に要した時間を測定した。
<意匠性の評価>施工後のタフテッドカーペットを観察し、カーペットとしての意匠性を目視により評価した。意匠性のあるものを(○)、意匠性のないものを(×)とした。
表1から明らかなように、この発明の実施例1〜4のタフテッドカーペットは、いずれの施工面に対しても初期滑り抵抗強度が大きくて施工面上における位置ずれ防止性に優れると共に、いずれの施工面に対しても長期間にわたって十分な粘着強度を確保できることを確認し得た。また、施工時間も短く施工性に優れ、意匠性も優れたタフテッドカーペットであった。
これに対し、比較例1のタフテッドカーペットは長い施工時間を要し、比較例2のタフテッドカーペットは両面テープの準備、処理に手間がかかり。端のめくれ、中央部のふくれも発生し、意匠性の劣るタフテッドカーペットであった。また、比較例3のタフテッドカーペットはジョイント(継ぎ目)が入り意匠性が劣り、粘着層にエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂を含有しない比較例4のタフテッドカーペットは粘着強度の初期強度は十分にあるが、経時的に粘着強度が顕著に低下していた。
この発明に係る、タフテッドカーペットの概略断面図である。
1・・・タフテッドカーペット 2・・・表面パイル層 3・・・バッキング層 4・・・粘着層 5・・・離型紙 6・・・基布 7・・・パイル糸

Claims (4)

  1. タフテッドカーペットからなる長尺ロール状のロールカーペットにおいて、前記タフテッドカーペットの裏面の少なくとも一部に粘着剤組成物からなる粘着層が設けられ、さらにその裏面に離型紙が積層されていることを特徴とするタフテッドカーペット。
  2. 前記粘着剤組成物を構成する粘着剤として、非架橋のアクリル系粘着剤が用いられ、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂を含有してなることを特徴とする請求項1に記載のタフテッドカーペット。
  3. 前記粘着層が、前記粘着剤組成物の水性エマルジョンが塗布されることにより形成されたものである請求項1または2に記載のタフテッドカーペット。
  4. 前記長尺ロール状のタフテッドカーペットを巻戻しつつ、前記タフテッドカーペットの裏面の前記離型紙を剥がしながら床面上の所定の位置に貼りつけ施工することを特徴とするタフテッドカーペットの施工方法。
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