JP2012110403A - タイルカーペットの製造方法及びその製造方法で製造されたタイルカーペット - Google Patents

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政春 信田
Kazufumi Shimizu
和文 清水
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宏明 石井
Takeshi Sakurai
武 櫻井
Akihiro Yonemura
尭紘 米村
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Abstract

【課題】プレコートを施さなくても、或いは少量の目止め用接着樹脂で十分な耐ホツレ性(ファズ強度)が得られ、少量の接着樹脂で表面パイル層と裏貼層を強固に接着できるタイルカーペットの製造方法を提供する。
【解決手段】カーペット表皮材と裏貼層3を接着させる前に、バックステッチ7側に浮いた繊維束(縫い目)を軟化状態にして、ローラーで押さえこむことにより、繊維束(縫い目)を平坦化させ、接着面積を大きくさせることにより、十分な表面パイル層2と裏貼層3の接着力と耐ホツレ性(ファズ強度)の得られるタイルカーペット1の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、表面パイル層と、裏貼層を積層するタイルカーペットの製造方法、さらに詳しくは、カーペットの剥離強度、耐ホツレ性(ファズ強度)など、パイル繊維を少量の目止め用接着樹脂で保持し、表面パイル層と、裏貼層を強固に接着することができるタイルカーペットの製造方法及びその製造方法で製造されたタイルカーペットに関する。
従来からのタイルカーペットの製造方法において、カーペットの剥離強度と、パイル糸の耐ホツレ性(ファズ強度)をある程度以上に確保する必要のあるタイルカーペットでは、表面パイル層のバックステッチ側に接着樹脂を塗布して接着樹脂層を形成するまえに、プレコートと称して目止め用接着樹脂をバックステッチ側に厚く塗布して、パイル糸と基布を予め固定してから、接着樹脂を塗布して接着樹脂層を形成し裏貼層と張り合わせていた。このため多量の目止め用接着樹脂が必要となっていた。
その製造方法として、例えば、特許文献1においては、1次基布にパイルが植設された生機の裏面に多量の目止め用接着樹脂を塗布するプレコート加工を施し、パイルの抜脱を十分に防止する効果と裏貼層との強い接着性を十分に得るために、合成樹脂エマルジョンの形態で塗布後、乾燥する方法が採られている。
また、特許文献2では、パイル糸をタフティングした基布に、目止め用接着樹脂としてのラテックスを介して、低融点の融着用合成繊維を含有させたニードルパンチング布を貼り合わせ、これを加熱して融着用合成繊維を融着させることにより、パイルの抜脱を防止し、ニードルパンチング布を硬化させることにより、裏貼層との接着性を有するカーペットを得る方法が開示されている。
さらに、特許文献3においては、タフテッドカーペットのパイル糸の抜糸強度、毛羽立ちなど、パイル繊維を保持する耐久性を確保し、裏貼層と接着させる製造方法として、タフテッドカーペットのバックステッチ側に、ゴムシートや合成樹脂シートからなる裏貼層を貼り合わせる前に、プレコートと称して一次水系接着樹脂をバックステッチ側にコーティング、乾燥という工程を経て、パイル糸及び接着樹脂を予め固定する方法が開示されている。
しかし、特許文献1〜3のいずれも、目止め用接着樹脂及び裏貼層との接着樹脂として多量の合成樹脂エマルジョンを塗布後、乾燥するプレコート加工及び接着剤塗布加工を必要としている。そのため、経済的に不利が生じ、該多量の合成樹脂エマルジョンを乾燥、または固化させるために、煩雑な工程と大きなエネルギーを必要としていた。
特開2005−273272号公報 登録実用新案第3042597号公報 特開平10−85117号公報
本発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、プレコートを施さなくても、表面パイル層と裏貼層の強固な接着強度が得られ、さらに、少量の目止め用接着樹脂や接着用樹脂で、十分な表面パイル層と裏貼層の接着強度と耐ホツレ性(ファズ強度)が得られるタイルカーペットの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、このような課題を解決するために鋭意検討の結果、表面パイル層のバックステッチ側に裏貼層を接着する前に、バックステッチ側に浮いた繊維束(縫い目)を加熱し、軟化状態にして、押さえこむことにより、繊維束(縫い目)の高さを低くし、横方向に広げ、平坦化させ、及び接着面積を大きくしてから、裏貼層を接着することにより、十分な表面パイル層と裏貼層の接着強度と耐ホツレ性(ファズ強度)の得られるタイルカーペットの製造方法とすることができることを見出し本発明に到達した。前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
[1]表面パイル層と、裏貼層からなるタイルカーペットの製造方法において、前記表面パイル層がタフテッドカーペットで構成され、該タフテッドカーペットのバックステッチ側を加熱し、バックステッチの繊維束(縫い目)を軟化させ、該軟化状態のバックステッチの繊維束(縫い目)をローラーで押さえ繊維束(縫い目)を平坦化、及び接着面積を大きくし、前記表面パイル層と前記裏貼層と積層したことを特徴とするタイルカーペットの製造方法。
[2]前項1のタイルカーペットの製造方法で製造されたタイルカーペット。
[1]の発明では、タフテッドカーペットのバックステッチ側を加熱し、バックステッチの繊維束(縫い目)を軟化させ、該軟化状態のバックステッチの繊維束(縫い目)をローラーで押さえ繊維束(縫い目)を平坦化、及び接着面積を大きくすることによって、表面パイル層と、裏貼層を強固に接着することができ、多量の接着樹脂を必要としないタイルカーペットの製造方法となる。また、十分な耐ホツレ性(ファズ強度)が要求される場合、表面パイル層の裏面に目止め用接着樹脂を塗布する必要があるが、少量の目止め用接着樹脂で十分な耐ホツレ性(ファズ強度)のあるタイルカーペットとすることができる。したがって、従来のような多量の目止め用接着樹脂や多量の接着用樹脂を必要としない製造方法とすることができる。その結果、煩雑な工程や、多大なエネルギーを要することの無い製造方法となる。
[2]の発明では前項1の裏加工方法で製造されたタイルカーペットであるので、少量の目止め用接着樹脂、或いは少量の接着用樹脂で表面パイル層と裏貼層の強固な接着強度や、十分な耐ホツレ性(ファズ強度)が得られるタイルカーペットとすることができる。
本発明のタイルカーペットの製造方法は、少量の目止め用接着樹脂、或いは少量の接着用樹脂で、表面パイル層と裏貼層の強固な接着強度や、十分な耐ホツレ性(ファズ強度)を得るために、バックステッチ側に浮いた繊維束(縫い目)を軟化状態に加熱して、ローラーで押さえる処置をすることにより、繊維束(縫い目)が押さえられて平坦化され、及び接着面積が大きくなり、表面パイル層と裏貼層の強固な接着強度や、十分な耐ホツレ性(ファズ強度)を有するタイルカーペット得られることを見出し本発明に到達したものである。
本発明を図面に基づいて説明する。図1に示すように、タイルカーペット(1)は表面パイル層(2)と、裏貼層(3)からなる。
本発明におけるタイルカーペット(1)の表面パイル層(2)はタフティング機により基布(4)にパイル糸(5)を植設したタフテッドカーペット原反を用い、タフテッドカーペット原反の形態としては、カットパイル、ループパイル、カットアンドループ等どの様な形態でも応用できる。
従来のタイルカーペットは、図2に示すように、タフティング機によって、基布(4)にパイル糸(5)を植え込んでタフテッドカーペット原反を作成し、十分なパイル糸(5)の耐ホツレ性(ファズ強度)を得るために、煩雑で、大きなエネルギーを必要とする、多量の目止め用接着樹脂を用いて、前記表面パイル層(2)の裏面にプレコート加工を施して一次接着樹脂層(6)を形成し、さらに、表面パイル層(2)と裏貼層(3)の強固な接着強度を得るために、前記裏貼層(3)の表面に多量の接着用樹脂を用いて二次接着樹脂層(8)を形成して、表面パイル層と裏貼層を積層しタイルカーペット(1)としている。
本発明では、前記従来方法のように、煩雑で、大きなエネルギーを必要とするコーティング、乾燥という工程を用いての、多量の目止め用接着樹脂によるプレコート加工を施す事無く、手間がかからず、大きなエネルギーを必要としない加工方法で、プレコート加工を省く、或いは少量の目止め用接着樹脂でプレコート加工を施し、十分な耐ホツレ性(ファズ強度)のあるタイルカーペット(1)を得ることができる。また、大きなエネルギーを必要とする、コーティング、乾燥という工程を用いての表面パイル層と裏貼層の接着加工において、多量の接着樹脂を用いる事無く、少量の接着樹脂で強固に表面パイル層と裏貼層を接着させることができるタイルカーペット(1)を得ることができる。
プレコート加工を用いない、もしくは、少量の目止め用接着樹脂でのプレコート加工を用いるという加工方法の選別は、要求される耐ホツレ性(ファズ強度)によって使い分けることが出来る。例えば一般家庭等の通常の歩行頻度の床では、プレコート加工を用いなくても対応が可能である。しかしオフィスやホテル等の歩行頻度の高い床では少量の目止め用接着樹脂でのプレコート加工を用いて、より耐久性の高い耐ホツレ性(ファズ強度)を有する少量の目止め用接着樹脂でのプレコート加工を用いる事が好ましい。
少量の目止め用接着樹脂でのプレコート加工を用いる場合、前記目止め用接着樹脂として、公知の接着樹脂として用いられる低粘度のポリ塩化ビニル樹脂やカルボキシ変性スチレン・ブタジエン共重合体等のラテックス層(6)等を用いることができるが、含浸性、接着性、加工性の面から低粘度のポリ塩化ビニル樹脂が好ましく、ゲル化状態で可撓性を呈し、タイルカーペット(1)の目止め用接着樹脂に好適である。
低粘度のポリ塩化ビニル樹脂としては、粘度5000cps以下のペーストゾルを用いることが好ましく、上記範囲の粘度であれば、公知のコーティング方法で塗布することが可能で、前記表面パイル層(2)に樹脂が含浸し、十分な耐ホツレ性(ファズ強度)を確保できる。この粘度を上回れば、接着樹脂の塗布ムラが発生する恐れがあり、耐ホツレ性(ファズ強度)を確保できない。
前記目止め用接着樹脂の塗布量としては、従来の方法では、耐ホツレ性(ファズ強度)を確保するために、1500〜2500g/mが必要であるが、本発明においては、例えば低粘度のポリ塩化ビニル樹脂を用いれば200〜700g/mで十分な耐ホツレ性(ファズ強度)を確保できる。
また、前記塩化ビニル樹脂からなるペーストゾルとしては、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム等の充填剤、DOP、DINP、DIOP等の可塑剤の混入も容易で、さらには必要に応じて更に各種の添加剤等の混入も可能である。含有させる充填剤としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムあるいはガラス粉末などを使用できる。これらのうち、特に炭酸カルシウムが経済性および加工性の点で好ましい。充填剤の平均粒径は5〜500ミクロン、好ましくは10〜100ミクロンの範囲である。粒径が5ミクロンより小さいと該接着樹脂層の溶
融時の粘度が増大し、加工が困難となる。また500ミクロンより大きいと、得られるゾルの取り扱い温度に於ける粘度を極力低く保つ上で有効であるが、無機化合物の沈降によるゾルの不均質化を生じる可能性がある。
本発明における樹脂組成物からなる裏貼層(3)はタイルカーペットの形状を形成するもので、主に生成の塩化ビニル樹脂組成物が用いられるが、塩化ビニル樹脂系ゾルとDOP(ジオクチルフタレート)等の可塑剤との混合物ゾルに充填剤、安定剤、顔料等の所要の添加剤を配合したペースト状物であり、加熱によってゲル化して均質な樹脂層を形成する。
前記裏貼層(3)に含有させる充填剤としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムあるいはガラス粉末などを使用できる。これらのうち、特に炭酸カルシウムが経済性および加工性の点で好ましい。充填剤の平均粒径は5〜500ミクロン、好ましくは10〜100ミクロンの範囲である。粒径が5ミクロンより小さいと該樹脂層の溶融時の粘度が増大し、加工が困難となる。また500ミクロンより大きいと該樹脂層の表面の肌あれが起こり、外観不良が発生し、強度が低くなる。
前記裏貼層(3)に含有させる充填剤は寸法安定性の向上と製品を安価にするという経済効果のために配合される。具体的には、該充填剤の含有量はポリ塩化ビニル100重量部に対して200〜500重量部、好ましくは300〜400重量部である。200重量部より少ないと寸法安定性が不安定になり、また添加する経済効果も得られない。一方500重量部より多いと粘度が高くなりすぎるために、強度が得られない。
また、地球環境に貢献するために、カーペット廃材を粉砕して得られたリサイクル樹脂組成物を用いることもできる。塩化ビニル樹脂が含有してなるカーペット廃材としては、特に限定されるものではないが、例えばカーペット製造時の裁断端材、一般家庭やオフィス等から出た廃棄処分に供されるカーペットなどが挙げられ、中でも塩化ビニル樹脂が裏打ちされたタイルカーペットが好適に用いられる。
該リサイクル樹脂組成物を裏貼層(3)として用いた場合は、前記裏貼層(3)の表面の凹凸が激しく、前記接着樹脂を多量に塗布する必要があるが、本発明の製造方法を用いれば、少量の接着樹脂で、十分な耐ホツレ性(ファズ強度)と表面パイル層(2)と裏貼層(3)の強固な接着力が得られる、リサイクル樹脂組成物を使ったタイルカーペット(1)とすることができる。したがって、リサイクル樹脂組成物を使ったタイルカーペット(1)には本発明が好適に用いることができる。
本発明のタイルカーペット(1)の製造方法は、図3に示すように、加熱ヒーター(9)で表面パイル層(2)のバックステッチ(7)側を暖め、バックステッチ(7)側に浮いた繊維束(縫い目)(10)を軟化状態にし、さらに、ヒートローラー(11)の熱で軟化状態を維持しつつ、ヒートローラー(11)の圧力で、バックステッチ(7)側に浮いた繊維束(縫い目)(10)を押さえて、繊維束(縫い目)(10)を平坦化、及び接着面積を大きくするものである。
前記バックステッチ(7)側に浮いた繊維束(縫い目)(10)を押さえて、繊維束(縫い目)(10)を平坦化、及び接着面積を大きくする工程は、裏貼層を接着複合化させる前であれば、目止め用接着樹脂によるプレコート加工の前でも後でも良い。
本発明においては、繊維束(縫い目)(10)を軟化状態にすることが大切で、溶融状態にまで加熱すると、カーペットになってからの風合が硬くなるので好ましく無い。また、加熱が不足して軟化状態にならないままでローラー(11)で押さえても、繊維束(縫い目)(10)を平坦化、及び接着面積を大きくできないので好ましくない。本発明において、軟化状態とは、繊維の形態を残したまま柔らかくなっている状態をいい、全体として10〜90%軟化しているのが好ましい。さらに好ましくは20〜60%軟化しているのがよい。
本発明において、最初に表面パイル層(2)のバックステッチ(7)側を加熱する必要がある。赤外線ヒーター等の公知の加熱ヒーター(9)を用いればよく、温度はバックステッチ(7)の繊維の種類にもよるが、100〜180℃に設定するのが好ましい。但し、表面パイル層(2)の表面を加熱しないようにする必要がある。もし、表面パイル層(2)の表面に、構成する繊維のガラス転移点以上の熱が加われば、表面パイル層(2)の表面が硬化し、表面風合が劣化する可能性がある。
次に、ヒートローラー(10)の形状は、接触面に均一に押さえが効く物であれば、公知のフラットな表面を有するローラーでも、細かいエンボス柄の付いたローラーでもを用いることができる。細かいエンボス柄としては、上辺が幅0.8mm以内の長方形で高さが1.5mm程度の角錐台形状の突起を隙間なく彫ったエンボスロールを挙げることができる。該フラット、もしくは細かいエンボス柄の付いたローラーであれば、繊維束(縫い目)(10)を確実に押さえて、平坦化、及び接着面積を大きくすることができる。加熱温度はバックステッチ(7)の繊維の種類にもよるが、100〜180℃に設定するのが好ましい。該範囲の温度であれば、表面パイル層(2)の表面を硬化させる事無く、繊維束(縫い目)の軟化状態を維持しつつ、繊維束(縫い目)を平坦化、及び接着面積を大きくすることができる。
また、ヒートローラー(10)の反対側には図3に示すようにプレスローラー(11)を配置し、バックステッチの繊維束(縫い目)に確実に圧力がかかるようにするのが好ましい。ローラー(10)とプレスローラー(11)の間隔は表面パイル層(2)のパイル長や目付けによって微妙に調整しなければ、バックステッチの繊維束(縫い目)に正確に圧力をかけるのは難しい。また、プレスローラー(11)の過度の熱の上昇を防ぐために、冷却ローラーをプレスローラー(11)とともに配置するのが好ましい。
このようにして、目止め用接着樹脂として、低粘度のポリ塩化ビニル樹脂等をコーティングせず、或いはコーティングした場合でも、そのコーティングの前、或いは後に、表面パイル層(2)のバックステッチ(7)側に浮いた繊維束(縫い目)をヒートローラー(10)で押さえて平坦化、及び接着面積を大きくし、パウダー散布加工、コーティング加工、カレンダー加工等の公知の加工技術を用いて、PVC(ポリ塩化ビニル)等からなる裏貼層と積層一体化し、タイルカーペット(1)が得られ、最後に所定形状、例えば500mm角の正方形に裁断すれば、最終製品としてのタイルカーペット(1)が得られる。
以下、本発明の実施例について説明する。
<実施例1>表面パイル層として、ナイロン糸を用い、パイル長3.0mm、ステッチ38/10cm、目付610g/mとし、基布はポリエステルスパンボンド不織布(目付90g/m)を使用したループパイルカーペットを用意した。次に図3に示すタイルカーペット製造ラインにおいて、ループパイルカーペットのバックステッチ側に、赤外線ヒーターからなる加熱ヒーターを用いて165℃で加熱し、バックステッチ側に浮いた繊維束(縫い目)を軟化状態にした。さらに、175℃で加熱したヒートローラーで軟化状態のバックステッチを押さえ、繊維束(縫い目)を平坦化、及び接着面積を大きくした。次に、表面パイル層のバックステッチ側に接着樹脂(ポリ塩化ビニル樹脂パウダー)を2500g/m塗布し、加熱ヒーターで接着樹脂を溶融して接着樹脂層とし、その上にガラス基布を重ね、さらに該ガラス基布の上に接着樹脂(ポリ塩化ビニル樹脂パウダー)を1000g/m塗布し、次の加熱ヒーターで接着樹脂を溶融して接着樹脂層とし、プレスロールで加圧して一体化しタイルカーペットとした。
<実施例2>繊維束(縫い目)を平坦化、及び接着面積を大きくした後に、目止め用接着樹脂として、粘度1500cpsのポリ塩化ビニル樹脂を400g/m塗布したこと以外は実施例1と全く同様にしてタイルカーペットを得た。
<比較例1>ループパイルカーペットのバックステッチ側に、加熱ヒーターを用いずに、バックステッチ側に浮いた繊維束(縫い目)を軟化状態にせずに、175℃で加熱したヒートローラーで押さえたこと以外は実施例1と全く同様にしてタイルカーペットを得た。
<比較例2>ループパイルカーペットのバックステッチ側に浮いた繊維束(縫い目)を常温のローラーで押さえたこと以外は実施例1と全く同様にしてタイルカーペットを得た。
<比較例3>ループパイルカーペットのバックステッチ側に浮いた繊維束(縫い目)をヒートローラーで押さえずに加工したこと以外は実施例1と全く同様にしてタイルカーペットを得た。
上記のようにして得られた各タイルカーペットに対して下記評価法に基づいてタイルカーペットの表面パイル層と裏貼層の剥離強度と耐ホツレ性(ファズ強度)を調べた。その結果を表1に示す。
(表面パイル層と裏貼層の剥離強度)JIS L 1021.7の規定に準じ、表面パイル層と裏貼層の剥離強度(N)を測定した。50N以上を合格とした。
(耐ホツレ性―ファズ強度)テーバー型摩耗試験機(JIS L 1096.17.3に規定)に準じた。針布状摩耗輪を使用し、それぞれの摩耗輪に片輪300gの荷重をかけ試験台を20回回転して試験片を引掻き、そのパイル糸の毛羽立ち状態を目視により評価した。毛羽立ちの非常に少ないものを(◎)、毛羽立ちの少ないものを(○)、毛羽立ちがある程度あるものを(△)、毛羽立ちが多いものを(×)とした。
表1から明らかなように、実施例1、2のタイルカーペットは、表面パイル層と裏貼層の剥離強度に優れ、耐ホツレ性(ファズ強度)にも優れ、十分に使用に耐えうるタイルカーペットを得た。
これに対し、比較例1〜3のタイルカーペットは表面パイル層と裏貼層の剥離強度に劣り、使用時の耐久性においても、耐ホツレ性(ファズ強度)が不十分で使用に耐えうるタイルカーペットは得られなかった。
この発明に係る、タイルカーペットの概略断面図である。 通常の加工で作られたタイルカーペットの概略断面図である。 この発明に係る、タイルカーペットの加工ラインを示す概略図である。
1・・・タイルカーペット 2・・・表面パイル層 3・・・裏貼層 4・・・基布 5・・・パイル糸 6・・・一次接着樹脂層 7・・・バックステッチ 8・・・二次接着樹脂層 9・・・加熱ヒーター 10・・・・ヒートローラー 11・・プレスローラー

Claims (2)

  1. 表面パイル層と、裏貼層からなるタイルカーペットの製造方法において、前記表面パイル層がタフテッドカーペットで構成され、該タフテッドカーペットのバックステッチ側を加熱し、バックステッチの繊維束(縫い目)を軟化させ、該軟化状態のバックステッチの繊維束(縫い目)をローラーで押さえ繊維束(縫い目)を平坦化、及び接着面積を大きくし、前記表面パイル層と前記裏貼層と積層したことを特徴とするタイルカーペットの製造方法。
  2. 請求項1のタイルカーペットの製造方法で製造されたタイルカーペット。
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