JP2012079415A - 高分子電解質膜、およびそれを用いた膜/電極接合体,燃料電池 - Google Patents
高分子電解質膜、およびそれを用いた膜/電極接合体,燃料電池 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】芳香族炭化水素系高分子電解質と、含燐高分子化合物と金属元素とを混合し、含燐高分子化合物と金属元素を膜中に均一に分散させる。
【選択図】なし
Description
すなわち、本発明は、以下の構成からなる。
(1)芳香族炭化水素系高分子電解質90〜99.95質量部と含燐高分子化合物0.05〜10質量部と金属元素10〜5000ppmを含む固体高分子電解質組成物からなる高分子電解質膜であって、高分子電解質膜中に存在する燐元素と金属元素を含む組成物が0.5μm以下のサイズで均一に分散している高分子電解質膜。
(2)上記の高分子電解質膜の膜表面5〜10nmにある金属元素量が、全添加量に対して10%以下であり、膜厚が5〜30μmである(1)に記載の高分子電解質膜。
(3)高分子電解質と金属アルコキシドあるいは金属キレート化合物と高分子電解質を溶解する非プロトン性極性溶媒あるいは非プロトン性極性溶媒と水あるいはアルコールとの混合溶媒を含む溶液から製膜される(1)又は(2)のいずれかに記載の高分子電解質膜。
(4)高分子電解質と金属アルコキシドあるいは金属キレート化合物と含燐高分子化合物と高分子電解質を溶解する非プロトン性極性溶媒あるいは非プロトン性極性溶媒と水あるいはアルコールとの混合溶媒を含む溶液から製膜される(1)又は(2)のいずれかに記載の高分子電解質膜。
(5)前記含燐高分子化合物が、ポリビニルホスホン酸であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の高分子電解質膜。
(6)前記金属元素がMg、Ca、Co、Ni、Zn、Sr、Zr、Ba、Ceからなる群より選ばれる1種以上の金属元素であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の高分子電解質膜。
(7)(1)〜(6)のいずれかに記載の高分子電解質膜を用いた膜/電極接合体。
(8)(7)に記載の膜/ 電極接合体を用いた燃料電池。
有機プロトン酸としては、酢酸、シュウ酸、メタンスルホン酸等が挙げられる。酸の量により金属化合物の溶媒への溶解度が変化するため、金属化合物が可溶な溶解度になるように調節しなければならず、金属アルコキシドに対して0 . 0 0 0 1 〜 1 当量が好ましい。
電極は、電極材料と、その表面に形成された触媒を含む層(電極触媒層)とからなり、電極材料としては、公知の材料を用いることができる。例えば、カーボンペーパーやカーボンクロスなど、導電性の多孔質材料を用いることができるが、それらに限定されるものではない。カーボンペーパーやカーボンクロスなど、導電性の多孔質材料は、撥水処理、親水処理などの表面処理がされたものを用いることもできる。触媒には、公知の材料を用いることができる。例えば、白金、白金とルテニウムなどの合金などを挙げることができるが、それらに限定されるものではない。
触媒は公知の任意の形態で用いることができ、例えば触媒微粒子を坦持させたカーボン粒子を用いることができるが、それらに限定されるものではない。
触媒や触媒を坦持した粒子を含む電極触媒層には、接着剤を用いることができ、接着剤としては、プロトン伝導性を有する樹脂を用いることができる。
ポリマー粉末を0.5g/dLの濃度でN−メチル−2−ピロリドン(略号:NMP)に溶解し、30℃の恒温槽中でウベローデ型粘度計を用いて粘度測定を行い、対数粘度(ln[ta/tb])/cで評価した(taは試料溶液の落下秒数、tbは溶媒のみの落下秒数、cはポリマー濃度を表す)。
自作測定用プローブ(テフロン(登録商標)製)上で短冊状膜試料の表面に白金線(直径:0.2mm)を押しあて、80℃95%RHの恒温・恒湿オーブン(株式会社ナガノ科学機械製作所、LH−20−01)中に試料を保持し、白金線間のインピーダンスをSOLARTRON社1250FREQUENCY RESPONSE ANALYSERにより測定した。極間距離を変化させて測定し、極間距離とC−Cプロットから見積もられる抵抗測定値をプロットした勾配から以下の式により膜と白金線間の接触抵抗をキャンセルした導電率を算出した。
導電率[S/cm]=1/膜幅[cm]×膜厚[cm]×抵抗極間勾配[Ω/cm]
デュポン社製20%ナフィオン(商品名)溶液に、市販の40%Pt触媒担持カーボン(田中貴金属工業株式会社 燃料電池用触媒 TEC10V40E)と、少量の超純水及びイソプロパノールを加えた後、均一になるまで撹拌し、触媒ペーストを調製した。この触媒ペーストを、東レ製カーボンペーパーTGPH−060に白金の付着量が0.5mg/cm2になるように均一に塗布・乾燥して、電極触媒層付きガス拡散層を作製した。上記の電極触媒層付きガス拡散層の間に、高分子電解質膜を、電極触媒層が膜に接するように挟み、ホットプレス法により160℃、10MPaにて3分間加圧、加熱することにより、膜−電極接合体とした。この接合体をElectrochem社製の評価用燃料電池セルFC25−02SPに組み込んでセル温度80℃で、アノード及びカソードにそれぞれ75℃で加湿した水素と空気を供給して発電特性を評価した。電流密度が0.5A/cm2における出力電圧を電力(V)とした。
ポリマー(スルホン酸基はNaもしくはK塩)を溶媒に溶解し、VARIAN社製UNITY−500を用いて室温で1H−NMRの測定を行った。溶媒にはNMPと重ジメチルスルホキシドの混合溶媒(85/15 vol./vol.)を用いた。ブロックポリマーの親水性セグメント及び疎水性セグメントをそれぞれ構成する親水性オリゴマー及び疎水性オリゴマーは、1H−NMRスペクトルを測定し、末端基由来のピークと骨格部分のピークのそれぞれの積分比から、数平均分子量を求めた。また、ブロックポリマーについては、親水性セグメントと疎水性セグメントの組成比を1H−NMRで分析した。
23℃50%RHの室内に1日放置しておいた高分子電解質膜を50mm四方に切り出した後、80℃の熱水に24時間浸漬した。浸漬後、膜の寸法及び重量をすばやく測定した。膜は120℃で3時間乾燥させ、乾燥重量を測定した。以下の式に従って、吸水率及び面積膨潤率を算出した。膜の寸法は特定の頂点に結合した直交する2辺の長さを測定した。
吸水率(%)={浸漬後の重量(g)−乾燥重量(g)}÷乾燥重量(g)×100
面積膨潤率(%)={浸漬後の辺の長さA(mm)×浸漬後の辺の長さB(mm)}÷{50×50}×100−100
高分子電解質膜を真空乾燥器(110℃)で8時間乾燥させた後、デシケーター中で室温まで放冷した。試料の一部を50ml三角フラスコに秤量し、硫酸(97%、精密分析用)3ml、硝酸(60%、精密分析用)3.5ml、過塩素酸(60%、精密分析用)0.5mlを加えて、ホットプレート上で除々に昇温し、酸分解した。最終的には、硫酸白煙が確認されるまで加熱を続け、硝酸、過塩素酸を除去した。アンモニア水を用いて中和処理を行い、モリブデン酸と分解液中のリン酸を反応させ、リンモリブデン酸とし、これを硫酸ヒドラジンで還元して生じるヘテロポリ青の830nmにおける吸光度を測定して定量した。定量に際しては、別途、リン標準溶液を用いて求めた検量線を用いて行った。
高分子電解質膜を真空乾燥器(110℃)で8時間乾燥させた後、デシケーター中で室温まで放冷した。試料の一部を白金るつぼに秤量し、ホットプレート上で加熱、炭化し、炭化後に電気炉(550℃)で一晩加熱し、灰化した。灰化残渣に塩酸(6M)5mlおよびフッ化水素酸(50%)数滴を添加し、ホットプレート上で加熱処理(100℃)を行った。酸が揮発した後、塩酸(1.2M)20mlを添加し、一晩静置し、無機物を完全に溶解させた。溶解液中のジルコニウム量については、ICP発光分析装置を用いて検量線法により求めた。
試料を真空乾燥器(110℃)で8時間乾燥させた後、デシケーター中で室温まで放冷した。試料の一部を密閉系酸分解用のテフロン(登録商標)製容器に秤量し、硝酸(60%、精密分析用)4mlを加えて、マイクロ波分解装置内で加熱酸分解を行った。完全分解後を確認した後、精製水を用いて30 mlに希釈定容したものを測定液とした。測定液中のセリウム量については、ICP発光分析装置を用いて検量線法により求めた。
高分子電解質膜を重量で500倍以上の過剰量の水に浸漬し、80℃のオーブンで48時間加熱した。試料を取り出し、風乾させた後、燐の定量分析を行った。含燐化合物の溶出量は以下の式より求めた。
溶出量(%)=(溶出試験前の燐の量−溶出試験後の燐の量)/溶出試験前の燐の量×100
硫酸第一鉄(7水和物)0.149gを1Lの水に溶解し、30ppmのFe水溶液を調整した。30ppmのFe水溶液50mlに30% 過酸化水素水50 g を加え、さらに水を加えてよく攪拌し全量を500mlとしてフェントン試薬を調整した。予め100 ℃ で1 時間乾燥した後で重量を測定しておいた高分子電解質膜52m g を、試薬瓶に入れたフェントン試薬29mlに浸漬し、60℃ で3時間または4時間処理し、膜を取り出して水洗し、100 ℃ で1 時間乾燥した後重量を測定した。膜が形状をとどめていない場合は、残渣をガラスフィルターで濾過し、100 ℃ で1 時間乾燥した後重量を測定した。処理前の重量に対する処理後の重量の残存%を求めた。
乾燥させた高分子電解質膜をエポキシ樹脂に包埋した。包埋した試料をミクロトームで超薄切片とし、カーボン蒸着を施してTEM観察用の試料とした。日本電子製JEM2100透過電子顕微鏡を加速電圧200kVで使用し、観察、写真撮影を行った。また、STEM−EDXで元素分析を行った。
XPS測定はShimadzu−Kratos ESCA−3400を用いて行った。X線源としてMgKα線を用い、中性炭素を285eVにシフトした。
4,4’−ジクロロベンゾフェノン−3,3−ジスルホン酸ナトリウム86.90g(190.9mmol)、2,6−ジクロロベンゾニトリル(略号:DCBN)41.91g(242.9mmol)、4,4’−ビフェノール(略号:BP)65.14g(353.6mmol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(略号:6F−BisA)26.81g(80.2mmol)、炭酸カリウム65.95g(477.2mmol)、NMP 500ml、トルエン100mlを、窒素導入管、攪拌翼、ディーンスタークトラップ、温度計を取り付けた1000ml枝付きフラスコに入れ、オイルバス中で攪拌しつつ窒素気流下で加熱した。トルエンとの共沸による脱水を140℃で行なった後、トルエンをすべて留去した。その後、200℃に昇温し、5時間加熱した。反応溶液を室温まで冷却した後、3000mlの純水に注ぎオリゴマーを固化させ、さらに純水で5回洗浄して、NMP及び無機塩を除去した。濾別した後、120℃で16時間減圧乾燥してランダム共重合体の高分子電解質(P1)を得た。以下、概高分子電解質を(P1)と略記する。P1の化学構造を以下に示す。P1の対数粘度は、1.2dL/gだった。
[上記式中XはNaイオン又はKイオンを表す。]
2,6−ジクロロベンゾニトリル(略号:DCBN)30.00g(173.9mmol)、4,4’−ビフェノール(略号:BP)33.75g(181.1mmol)、炭酸カリウム27.54g(199.2mmol)、NMP440mlを窒素導入管、攪拌翼、ディーンスタークトラップ、温度計を取り付けた1000ml枝付きフラスコに入れ、オイルバス中で攪拌しつつ窒素気流下で加熱した。200℃に昇温し、4時間攪拌した。反応溶液を室温まで冷却した後、3000mlの純水に注ぎオリゴマーを固化させ、さらに純水で3回洗浄して、NMP及び無機塩を除去した。水洗したオリゴマーは、濾別した後、120℃で16時間減圧乾燥して疎水性オリゴマーを得た。1H−NMR測定による数平均分子量は6840だった。
4,4’−ジクロロジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ソーダ(略号:S−DCDPS)250.0g(508.9mmol)、BP103.5g(555.2mmol)、炭酸カリウム84.40g(610.7mmol)、NMP700ml、トルエン150mlを、窒素導入管、攪拌翼、ディーンスタークトラップ、温度計を取り付けた2000ml枝付きフラスコに入れ、オイルバス中で攪拌しつつ窒素気流下で加熱した。トルエンとの共沸による脱水を140℃で行なった後、トルエンをすべて留去した。その後、200℃に昇温し、16時間加熱した。続いて、NMP500mlを投入し、攪拌しながら室温まで冷却した。得られた溶液を、25G2ガラスフィルターで吸引濾過したところ、黄色の透明な溶液が得られた。得られた溶液を3Lのアセトンに滴下してオリゴマーを固化させた。オリゴマーはさらにアセトンで3回洗浄した後、濾別して減圧乾燥し親水性オリゴマーを得た。1H−NMR測定による数平均分子量は6650であった。親水性オリゴマーの化学構造を以下に示す。
[上記式中XはNaイオン又はKイオンを表す。]
親水性オリゴマー 6.95g、疎水性オリゴマー 6.44g、NMP110mlを、窒素導入管、攪拌翼、ディーンスタークトラップ、温度計を取り付けた200ml枝付きフラスコに入れ、窒素気流下70℃のオイルバス中で攪拌し溶解させた。その後、デカフルオロビフェニル(DFB) 0.67g、炭酸カリウム0.25gを加え、110℃まで加熱し、10時間反応させた。反応溶液の固形分濃度は10重量%とした。その後、室温まで冷却し、1Lの純水中に滴下してポリマーを固化させた。純水で3回洗浄した後、純水に浸漬したまま80℃で5時間処理した。さらに水を除去したポリマーを、1000mlのイソプロパノールと500mlの水との混合溶媒に室温で16時間浸漬し、ポリマーを取り出し洗浄を行った。同じ操作をもう一度行った。その後、濾過でポリマーを濾別し、120℃で12時間減圧乾燥して高分子電解質(P2)を得た。P2の対数粘度は、2.2dL/gだった。1H−NMRから求めた親水性セグメントと疎水性セグメントの組成比は32/68だった。
P2を2N硫酸に一晩浸漬して、スルホン酸基を酸型に変換し、純水で洗浄して遊離の硫酸を除き、110℃で8時間減圧乾燥した。得られた酸型のP2の12%NMP溶液20gにアセチルアセトンジルコニウム(キシダ化学)の2%NMP溶液量0.15gを加え混合し、ポリビニルホスホン酸(略称PVPA、PANCHIM製)の10%水溶液0.6gを加えて混合した。その後、アプリケーターを用いてガラス板上に300μmの厚みでキャストし、100℃で2時間加熱して乾燥した。その後、ガラス板を室温付近まで放冷し、膜ごと水につけて膜を剥離した。剥離した膜を純水で洗浄して残留NMPを除き、風乾して高分子電解質膜を得た。
P2のかわりにP1を用い、アセチルアセトンジルコニウムの2%NMP溶液量を1.2gにした以外は実施例1と同様にして高分子電解質膜を作成した。
アセチルアセトンジルコニウムの2%NMP溶液量を0.05g、PVPAの10%水溶液量を0.3gにした以外は実施例1と同様にして高分子電解質膜を作成した。
アセチルアセトンジルコニウムの2%NMP溶液0.2gのかわりにアセチルアセトンジルコニウムの3%NMP溶液量を2.3g、PVPAの10%水溶液0.3gのかわりにPVPAの20%水溶液1.5gを用いた以外は実施例1と同様にして高分子電解質膜を作成した。
P2を2N硫酸に一晩浸漬して、スルホン酸基を酸型に変換し、純水で洗浄して遊離の硫酸を除き、110℃で8時間減圧乾燥した。得られた酸型のP2の12%NMP溶液20gにPVPAの10%水溶液1.4gを加えて混合し、アセチルアセトンジルコニウムの2%NMP溶液1.6gを加え混合した。その後、アプリケーターを用いてガラス板上に300μmの厚みでキャストし、100℃で2時間加熱して乾燥した。その後、ガラス板を室温付近まで放冷し、膜ごと水につけて膜を剥離した。剥離した膜を純水で洗浄して残留NMPを除き、風乾して高分子電解質膜を得た。
P2の12%NMP溶液20gにアセチルアセトンジルコニウム20mgを加えアセチルアセトンジルコニウムが溶解するまで混合した。その後、アプリケーターを用いてガラス板上に300μmの厚みでキャストし、100℃で2時間加熱して乾燥した。その後、ガラス板を室温付近まで放冷し、膜ごと水につけて膜を剥離した。その後、膜を純水に浸漬して洗浄し、2N硫酸に1時間浸漬して、スルホン酸基を酸型に変換し、純水で洗浄して遊離の硫酸を除き、風乾した。この膜を過剰量のPVPAの10%水溶液に浸漬し、1時間加熱還流処理した。処理後、室温で膜を水洗し、風乾して高分子電解質膜を得た。
アセチルアセトンジルコニウムの2%NMP溶液0.2gのかわりに、85%ジルコニウム(IV)ブトキシド、1-ブタノール溶液(和光純薬工業製)とアセチルアセトン(東京化成工業製)と酢酸(ナカライテスク製)のZrとアセチルアセトンと酢酸のmol比が1:2:1の混合物0.03gを使用し、PVPAの10%水溶液量を0.6gにした以外は実施例1と同様にして高分子電解質膜を作成した。
PVPAのかわりに、VP−Nの10%メタノール溶液0.6gを用いた以外は実施例1と同様にして高分子電解質膜を得た。
アセチルアセトンジルコニウムのかわりに、アセチルアセトンセリウム(III)(2水和物)(キシダ化学製)の2%NMP溶液0.15gを用いた以外は実施例3と同様にして高分子電解質膜を作成した。
P1の12%NMP溶液20gをアプリケーターを用いてガラス板上に300μmの厚みでキャストし、100℃で2時間加熱して乾燥した。その後、ガラス板を室温付近まで放冷し、膜ごと水につけて膜を剥離した。剥離した膜は純水に浸漬した後、1N硫酸に1時間浸漬して、スルホン酸基を酸型に変換し、純水で洗浄して遊離の硫酸を除き、風乾して高分子電解質膜を得た。
P1のかわりにP2を用いた以外は比較例1と同様にして高分子電解質膜を作成した。
アセチルアセトンジルコニウムを添加しなかった以外は実施例3と同様にして高分子電解質膜を作成した。
P2の12%NMP溶液20gとPVPAの5%NMP/水=15/85(wt/wt)溶液0.6gを混合した。その後、アプリケーターを用いてガラス板上に300μmの厚みでキャストし、100℃で2時間加熱して乾燥した。その後、ガラス板を室温付近まで放冷し、膜ごと水につけて膜を剥離した。剥離した膜を純水に浸漬した後、ZrOCl2・8H2Oの0.015wt%水溶液に一晩浸漬した。その後、膜を純水に浸漬して洗浄し、2N硫酸に1時間浸漬して、スルホン酸基を酸型に変換し、純水で洗浄して遊離の硫酸を除き、風乾して高分子電解質膜を得た。
比較例2で得られたプロトン交換膜0.4gをZrOCl2・8H2Oの4wt%水溶液100mlに浸漬し、2時間加熱還流した。その後、膜を取り出して、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)(キレスト株式会社)の50%水溶液に一晩浸漬した。膜を純水で洗浄して遊離の酸を除き、風乾してプロトン交換膜を得た。
含燐高分子化合物および金属元素を膜中に0.5μm以下のサイズで均一に分散させた実施例1〜9では、添加剤を加えていない比較例1、2と比べて高いプロトン伝導性を示した。
含燐高分子化合物と金属元素を添加した膜で、燐元素と金属元素を含む組成物のサイズが0.5μm以下で、かつ膜表面に燐元素と金属元素を含む層がない膜を、添加剤が均一に分散していると判定した。
またXPS測定で得られた膜表面の元素量の分析結果を表2に示す。膜表面の金属元素の全体量に対する割合は以下の式より求めた。XPSの検出範囲を0.0075μmとして計算した。
膜表面の金属元素の全体量に対する割合=[{膜表面のZr量(Atom%)×0.0075(μm)/膜厚(μm)}/膜全体のZr量(Atom%)]×100
比較例3、4ではTEM写真で黒色部がひも状の形状をとり、明確な長さが判別できなかったので、黒色部の幅を示した。
実施例1〜9では燐元素と金属元素を含む組成物のサイズが0.5μm以下で、かつ比較例4で見られるような添加剤を含む表面層が見られなかった。XPS分析でも比較例4では膜表面にZr元素が多くなっていたが、実施例1〜9ではZr元素は検出限界以下で、Zrが膜全体に均一に分散している場合に妥当な値であった。
比較例1のランダムポリマーの高分子電解質膜は3時間で膜がかなり脆い状態となり、4時間ではほとんど形状を留めていなかった。比較例2のブロック共重合体ポリマーの高分子電解質膜は4時間で親水性セグメントが完全に脱落し、疎水部のみが残留した状態であった。実施例1〜9及び比較例3〜5の含燐化合物を添加した高分子電解質膜は重量変化が小さく、含燐化合物の添加によりフェントン耐性が上がることを確認した。
80℃の水に48時間浸漬することにより、含燐高分子化合物のみを添加した比較例3では燐の溶出が見られたが、含燐高分子化合物と金属元素を添加した実施例1〜9、比較例4では燐の溶出が抑制されていた。また低分子量の含燐化合物と金属元素を添加した比較例5では燐の溶出の抑制が不十分であった。
溶出試験後の膜のフェントン試験を行ったところ、含燐高分子化合物と金属元素を添加した実施例1〜9は金属元素を添加していない比較例3および溶出の抑制が不十分な比較例5より高いフェントン耐性を示し、金属元素の添加により含燐高分子化合物の溶出を抑制することで長期にわたる高い耐酸化性が得られると考えられる。
電力は、比較例2より実施例1の方が高く、高い電池性能を示した。
Claims (8)
- 芳香族炭化水素系高分子電解質90〜99.95質量部と含燐高分子化合物0.05〜10質量部と金属元素10〜5000ppmを含む固体高分子電解質組成物からなる高分子電解質膜であって、高分子電解質膜中に存在する燐元素と金属元素を含む組成物が0.5μm以下のサイズで均一に分散している高分子電解質膜。
- 上記の高分子電解質膜の膜表面5〜10nmにある金属元素量が、全添加量に対して10%以下であり、膜厚が5〜30μmである請求項1に記載の高分子電解質膜。
- 高分子電解質と金属アルコキシドあるいは金属キレート化合物と高分子電解質を溶解する非プロトン性極性溶媒あるいは非プロトン性極性溶媒と水あるいはアルコールとの混合溶媒を含む溶液から製膜される請求項1又は2のいずれかに記載の高分子電解質膜。
- 高分子電解質と金属アルコキシドあるいは金属キレート化合物と含燐高分子化合物と高分子電解質を溶解する非プロトン性極性溶媒あるいは非プロトン性極性溶媒と水あるいはアルコールとの混合溶媒を含む溶液から製膜される請求項1又は2のいずれかに記載の高分子電解質膜。
- 前記含燐高分子化合物が、ポリビニルホスホン酸であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の高分子電解質膜。
- 前記金属元素がMg、Ca、Co、Ni、Zn、Sr、Zr、Ba、Ceからなる群より選ばれる1種以上の金属元素であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の高分子電解質膜。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の高分子電解質膜を用いた膜/電極接合体。
- 請求項7に記載の膜/ 電極接合体を用いた燃料電池。
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