JP2012079197A - プローブ情報の処理装置、コンピュータプログラム、情報処理システム及びリンク端の通過時刻算出方法 - Google Patents
プローブ情報の処理装置、コンピュータプログラム、情報処理システム及びリンク端の通過時刻算出方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】 本発明のプローブ情報の処理装置(中央装置4)は、車両5の停止位置と、この停止位置における車両5の停止時間と、停止位置に対する停止が生じた時刻である停止時刻とを含む単独停止イベントが記録されたプローブ情報S3を取得する取得手段(通信部403)と、停止時刻に停止時間を加算することにより停止位置から車両5が発進した時刻である発進時刻を求め、当該発進時刻と停止位置とを含む発進イベントを生成してプローブ情報S3に追加する情報処理手段(制御部401)とを備える。
【選択図】 図1
Description
かかるシステムでは、信号制御に未来の予測情報を用いて青時間を最適化することにより、更にリアルタイム性を高めたプロファイル制御が採用されている。このプロファイル制御の特徴は次の通りである(非特許文献1参照)。
(2) 車両の時間遅れの直接評価に基づいたリアルタイム制御の実現
(3) 分散型の制御意思決定:中央制御と連携するハイブリッド型または隣接交差点が強調して動作する自律型の制御モードが選択可能
このシミュレーション演算は、具体的には、交差点全体の待ち行列台数の変動状況である遅れ時間(信号停止待ち時間)を求め、この遅れ時間に基づく評価値が最小となる青終了タイミングを探索し、最適な青終了タイミングを決定する(非特許文献1参照)。
このサブシステムのうち、車両運行管理システム(MOCS)や動的経路誘導システム(DRGS)を行う場合には、交通指標として旅行時間と走行経路が必要である。
そこで、道路を走行するプローブ車両との無線通信を通じて、車両の位置とこの位置に対応する時刻とを含む走行軌跡情報を取得し、この走行軌跡情報を利用して旅行時間や走行経路の推定精度の向上を図ることがある。
そこで、車両の走行軌跡そのものではなく、走行中の車両に生じる代表的なイベント(走行挙動)を定義し、このイベント単位でプローブ情報の記録内容を構成する方式(以下、「イベント記録方式」ということがある。)が提案されている。
(1) 信号待ちや渋滞末尾への到達による停止と推定される「単独停止」
(2) 曲率半径が小さい大きな走行方向の変動(交差点での右折や左折を含む。)である「方向変動」
(3) 車両が一定距離以上の走行を継続する「一定距離走行」
従って、イベント記録方式のプローブ情報を用いてリンク旅行時間を算出するには、車両の位置とその時刻を含む先後2つのイベント間の通過時刻差を、両イベント間にあるリンクの距離比で配分した時間を求め、先のイベントの通過時刻と配分した時間とに基づいてリンク端の通過時刻を算出することになる。
このため、単独停止の時刻データとして、例えば上記停止時刻を記す規約である場合において、単独停止のイベントに含まれる停止時刻だけを無条件に採用してリンク端の通過時刻(図9中の時刻ta,tb)を算出すると、当該リンク端の通過時刻が実際の通過時刻(図9中のt1,t2)とかけ離れた値になり、リンク旅行時間の推定精度が悪化するおそれがある。
また、本発明の情報処理システムによれば、イベント判定手段が、単独停止と反復停止を別個のイベントとして判定し、情報生成手段が、単独停止についてはプローブ情報に含め、反復停止についてはプローブ情報に含めないので、待ち行列台数や飽和交通流率等の交通指標の算出のために必要な情報(この場合は、単独停止の停止位置)を、効率的に含むプローブ情報を生成することができ、プローブ情報の記憶や送信のためのデータ量を低減できるという利点がある。
(7) 第2の本発明に係るコンピュータプログラムは、第2の本発明に係るプローブ情報の処理装置による処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、当該プローブ情報の処理装置と同様の作用効果を奏する。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明が適用可能な交通制御システムの一例を示す道路平面図である。
図1に示すように、本実施形態の交通制御システムは、交通信号機1、車載装置2、車両感知器等よりなる路側センサ3、中央装置4、車載装置2を搭載したプローブ車両5(以下、単に車両5という場合がある。)、及び光ビーコン6等を含む。
交通信号制御機1aは、電話回線等の通信回線を介して交通管制センター内の中央装置4に接続されており、中央装置4は、自身の管轄エリア内にある各交差点Cの交通信号制御機1aとローカルエリアネットワーク(LAN)を構成している。
交通信号制御機1aは、MODERATO(Management by Origin-DEstination Related Adaptation for Traffic Optimization)制御等の交通感応制御を行った結果の出力である信号制御指令S1を、中央装置4から受信し、この信号制御指令S1に基づいて、各信号灯器1bに含まれる信号灯の点灯、消灯及び点滅を制御する。
光ビーコン6は、車載装置2を搭載したプローブ車両5と光信号での双方向通信が可能であり、上記交通情報S2をダウンリンク情報DLに含めて送信する。また、車載装置2が光ビーコン6に送信するアップリンク情報ULには、後述のプローブ情報S3が含まれている。このプローブ情報S3は、そのアップリンク情報ULの受信時刻及びビーコンIDとともに、交通信号制御機1aを介して中央装置4に転送される。
路側センサ3が検出した路側計測情報S4は、交通信号制御機1aで中継されて、通信回線を介して中央装置4に送信される。
図3は、中央装置4の内部構成を示す機能ブロック図である。
図3に示すように、中央装置4は、制御部401、表示部402、通信部403、記憶部404及び操作部405を含んでいる。
中央装置4の制御部401は、ワークステーション(WS)やパーソナルコンピュータ(PC)等よりなり、交通信号制御機1aからの各種の交通情報の収集・処理(演算)・記録、信号制御及び情報提供を統括的に行う。なお、中央装置4の制御部401は、内部バスを介して上記ハードウェア各部と繋がっており、これら各部の動作も制御する。
すなわち、中央装置4の制御部401は、交通状況に応じて信号制御パラメータ(スプリット、サイクル長及びオフセット等)を設定する交通感応制御を行うものであり、制御部401が行う交通感応制御には、例えば、前記MODERATO制御やプロファイル制御等を含む複数種類のものが含まれる。
信号制御指令S1は、信号制御パラメータの演算周期(例えば、1.0〜2.5分)ごとに送信され、交通情報S2は例えば5分ごとに送信される。
中央装置4の操作部405は、キーボードやマウス等の入力インタフェースよりなり、この操作部405によって中央オペレータが上記表示部402に対する表示切り替え操作等を行えるようになっている。
また、中央装置4の記憶部404は、プローブ用データベースDB1、路側用データベースDB2及び地図データベースDB3を備えている。
また、路側用データベースDB2には、路側計測情報S4の各種計測値(リンクに対する車両の通過台数等)が集積される。
このうち、交差点データは、交差点IDと交差点の位置とを対応付けたものである。また、リンクデータは、リンクIDと、リンクの始点・終点・補間点(道路が折れ曲がる地点に対応)のそれぞれの位置と、リンクの始点に接続するリンクのリンクIDと、リンクの終点に接続するリンクのリンクIDとを対応付けたものである。このリンクデータには、各リンクの車線数も含まれている。
また、複数のヘッドを有する光ビーコン6の場合には、そのうちの代表車線のヘッドの設置位置を光ビーコン6の位置としてもよいし、プローブ情報S3がアップリンクされた位置を、車線別により正確に特定したい場合には、各ヘッドの設置位置を個別に記憶しておいてもよい。
そこで、中央装置4の制御部401は、イベント記録方式のプローブ情報S3に基づいて、プローブ車両5が走行したリンク(走行リンク)の推定処理や、その走行リンクにおけるリンク端の通過時刻算出処理などを行う。
(1) イベントの追加処理
(2) マップマッチング処理
(3) 走行リンクの推定処理
(4) 通過時刻算出処理
すなわち、中央装置4の制御部401は、車載装置2では記録されなかった上記各イベントを補完的に生成し、その生成したイベントを、対応する車両IDのプローブ情報S3のイベント情報としてプローブ用データベースDB1に格納する。なお、このイベントの追加処理の詳細については後述する。
従って、イベント記録方式のプローブ情報S3を生成する車載装置2と、そのプローブ情報S3に他のイベントを追加する中央装置4とにより、その両者が協同してプローブ情報S3に関する情報処理を行う情報処理システムが構成されている。
すなわち、本実施形態の情報処理システムは、イベント記録方式のプローブ情報S3を生成するプローブ情報の生成装置である車載装置2と、生成されたプローブ情報S3を取得し、取得したプローブ情報S3に含まれるイベント以外のイベントを生成して当該プローブ情報S3に追加する情報処理装置である中央装置4とを備える。
「走行リンクの推定処理」は、マップマッチングされた任意の2つのイベント間を、所定条件(最短距離又は最短時間等)の下での総当たりやダイクストラ法等のアルゴリズムによる経路探索を行い、プローブ車両5が走行したリンクを推定する処理である。
制御部401は、算出したリンク端の通過時刻をプローブ用データベースDB1に格納する。なお、この算出処理の詳細についても後述する。
例えば、制御部401は、プローブ情報S3又は路側計測情報S4のいずれか一方が得られているリンクについては、その情報から求まる旅行時間を当該リンクの旅行時間と推定し、双方が得られているリンクについては、双方の情報から求まる各旅行時間に所定の重み付けで補正処理した時間を当該リンクの旅行時間と推定する。
また、リンク旅行時間は、通常、最新の路側計測情報S4に基づいて5分ごとに更新される言わば過去の推定値であるが、この過去の推定値に基づいて所定の予測アルゴリズムを用いて求められた、将来に向けての予測値であってもよい。
図2は、中央装置4の制御部401が実行する交通制御のアプリケーションと、それに必要な入力情報である交通指標と、その交通指標の算出のために必要となるプローブ情報との関係を示す表である。
例えば、信号制御の高度化にために実施されるMODERATO制御やプロファイル制御に必要な交通指標(交通制御に対する入力情報)は、待ち行列台数と飽和交通流率であり、迂回路優先制御に必要な交通指標は、旅行時間と走行経路である。
更に、MOCSで行われるCO2排出量の推定には、車両5の停止回数(なお、この場合には、後述する反復停止と単独停止の区別が必要。)が必要であり、MOCSで行われる動態管理に必要な交通指標は、車両5の走行経路である。
図4は、プローブ車両5の車載装置2の内部構成を示す機能ブロック図である。
この車載装置2は、光ビーコン6との間で双方向の光通信を行う路車間通信機能と、搭乗者が設定した目的地に案内するナビゲーション機能を有する。
図4に示すように、車載装置2は、GPS処理部201、方位センサ202、車速取得部203、光通信部204、記憶部205、操作部206、表示部207、音声出力部208及び制御部209等を含む。
方位センサ202は、光ファイバジャイロなどで構成されており、プローブ車両5の方位及び角速度を計測する。車速取得部203は、車速センサ(図示せず)が車輪の角速度を検出することにより計測したプローブ車両5の速度データを取得する。
記憶部205は、道路地図データも記憶している。この道路地図データには、交差点IDと交差点の位置とを対応付けた交差点データが含まれている。また、道路地図データには、リンクIDと、リンクの始点・終点・補間点(道路が折れ曲がる地点に対応)それぞれの位置と、リンクの始点に接続するリンクのリンクIDと、リンクの終点に接続するリンクのリンクIDと、最適経路の特定に使用するリンクコストとを対応付けたリンクデータも含まれている。
すなわち、リンクコストには、リンクの始点から終点までを走行するのに要するコスト(時間)と、リンクの終点から次のリンクの始点までを走行するのに要するコスト(時間)、つまり、交差点を通過するのに要するコストが含まれている。
車載装置2の表示部207は、車両5のダッシュボード部分に取り付けられたモニタ装置(図示せず)よりなり、制御部209が後述する感応要求処理において作成した画像データを搭乗者に表示する。また、音声出力部208は、制御部209が作成した音声データをスピーカー(図示せず)から出力する。
また、車載装置2の制御部209は、GPS処理部201が計測した車両5の位置、方位センサ202が計測した車両5の方位及び角速度、車速取得部203が取得した車両5の速度の各データ、記憶部205に記憶している道路地図データに基づいてマップマッチング処理を行い、道路地図データのリンク上におけるプローブ車両5の位置を算出することができる。
なお、本実施形態では、インフラ側へのプローブ情報S3の送信手段として光ビーコン6を利用しているので、車載装置2の制御部209は、ある光ビーコン6とその次に通過する光ビーコン6との間の経路を走行中に生じた各種イベントとその関連情報を記載したプローブ情報S3を生成する。
本実施形態の制御部209が判定する停止イベントには、「単独停止」と「反復停止」とがある。
図5は、それら単独停止と反復停止との判定方法を示すグラフである。図5のグラフにおいて、横軸は車両5の走行距離であり、縦軸は速度である。
また、図5の第1閾値V1は、車両5の停止が反復停止か単独停止かを判別するための閾値であり、例えば30km/hに設定されている。第2閾値V2は、これ未満の速度の場合に実質的に停止と見なせる値であり、例えば5km/hに設定されている。
例えば、図5の点A及び点Bのように、車両5の速度が、第1閾値(渋滞判定用の速度閾値)V1を超えた状態から減少し、その速度が第2閾値(停止判定用の速度閾値)V2を下回って車両5が停止した場合には、「単独停止」と判定される。
なお、本明細書において、「停止時間」とは、車両5が停止位置にとどまっていた時間のことを意味し、「停止時刻」とは、停止位置に対する停止が生じた時刻のことを意味する。また、「発進時刻」とは、停止位置から車両5が発進した時刻のことを意味する。従って、車両5の停止時間、停止時刻及び発進時刻の間には、「停止時間=発進時刻−停止時刻」の関係が成立する。
(1) まず、制御部209は、イベント判定処理の起動時に、反復停止の回数、単独停止の回数、停止時刻と停止位置、及び、高速走行フラグをすべてクリアする。
(2) 次に、制御部209は、予め設定された所定時間(例えば、1秒)ごとに車両5の速度を監視しており、この速度が第1閾値V1以上になれば、高速走行フラグをオンに設定する。
この場合、高速走行フラグがオンの場合は、車両5が図5の点A又は点Bの状態であると見なせるので、単独停止の回数をインクリメントし、高速フラグがオフの場合は、図5の点Cの状態であるともなせるので、反復停止の回数をインクリメントする。
ただし、制御部209は、停止位置付きの単独停止のイベントについて、プローブ情報S3に含めることができる限定数(定数設定:例えば5回)を予め設定している。
(5) 制御部209は、次の光ビーコン6との通信が発生するまで、上記(2)〜(4)の処理を繰り返す。
(a) 単独停止のイベント情報
・停止位置、停止時刻及び停止時間
・前回の記録イベントから当該単独停止の前に発生した反復停止の回数
・前回の記録イベントから当該単独停止の前に発生した、データ更新によって記録イベントではなくなった単独停止の回数
なお、制御部209は、光ビーコン6へのアップリンク情報ULの送信後は、記録イベントとしての単独停止のイベント情報を構成する、停止位置、停止時刻及び停止時間をすべてクリアする。
もっとも、単独停止と反復停止の停止回数については、次の記録イベントに付随するイベント情報として、プローブ情報S3に含められる。
また、停止回数については、単独停止と反復停止の判別が可能となるように各記録イベントのイベント情報に含められるので、車載装置2からのプローブ情報S3を取得した中央装置4は、その記録イベントに含まれる停止回数を用いて、MOCSによるCO2の排出量の推定を実行することができる。
図6は、方向変動イベントの例を示す道路平面図である。
図6(a)は、交差点での右折(ただし、左折でもよい。)に生じる方向変動イベントを示し、図6(b)は、比較的急カーブの単路で生じる方向変動イベントを示している。
車載装置2の制御部209は、図6に示すような、曲率半径が小さくて車両5の走行方向の変化が大きい「方向変動」をイベントとして抽出し、これに関するプローブ情報S3を生成するため、次の各処理(1)〜(5)を実行する。
(2) 次に、制御部209は、前回軌跡と今回軌跡との方位差が一定(定数設定:例えば5度)以上あれば、方位変化が開始されたと見なす。
(4) 次に、制御部209は、方位変化の開始時点の方位と、方位変化の終了時点の方位との差が一定(定数設定:例えば30度)以上であれば、「方向変動」のイベントが発生したとみなし、その方位変化の終了時点での時刻、位置及び方位を記憶部205に記憶させる。
従って、制御部209は、それらのイベントの前回のアップリンク情報ULからの合計回数がその限定数を超える場合には、例えば最も古いデータに上書して、方位変化の終了時刻、終了位置及び絶対方位をクリアする。
(5) 制御部209は、次の光ビーコン6との通信が発生するまで、上記(1)〜(4)の処理を繰り返す。
(b) 方向変動のイベント情報
・方位変化の終了時刻、終了位置及び絶対方位
・前回の記録イベントから当該方向変動の前に発生した反復停止の回数
・前記の記録イベントから当該方向変動の前に発生した、データ更新によって記録イベントではなくなった単独停止の回数
また、車載装置2の制御部209は、車両5が十分に長い一定距離だけ走行したか否か(一定距離走行)をイベントとして判定するため、次の処理(1)〜(4)を実行する。
(2) 次に、制御部209は、一定時間(定数設定:例えば1秒)ごとに走行軌跡を監視し、前回のイベントからの走行距離を積算して行く。
ただし、前記した通り、方向変動と一定距離走行の合計数に限定数(定数設定:例えば2回)が設定されているので、それらのイベントの前回のアップリンク情報ULからの合計回数がその限定数を超える場合には、例えば最も古いデータに上書きして、累積走行距離をクリアする。
(c) 一定距離走行のイベント情報
・一定距離走行の終了時刻、位置および累積走行距離
・前回の記録イベントから当該一定距離走行の前に発生した反復停止の回数
・前回の記録イベントから当該一定距離走行の前に発生した、データ更新によって記録イベントではなくなった単独停止の回数
ところで、図6(a)の点Pは、右折時における交差点内の停止位置を示している。ここで、右折車線に先行車両がない場合には、走行中の車両5が点Pにおいて第2閾値V2未満まで減速し、当該点Pにおいて単独停止又は反復停止が生じる場合がある。
しかし、交差点内の点Pは、信号待ちとは無関係であり、前記待ち行列台数や飽和交通流率の算出には不要であるため、これを停止イベントとして採用すると、無駄なプローブ情報S3を含むアップリンク情報ULがインフラ側に送出されることになる。
すなわち、制御部209は、上記右折停止については、これを記録イベントとせず、プローブ情報S3に含めない停止イベントとして処理する。
従って、このような単路での方位変更中の点Qでの停止は、図6(a)の右折時とは異なり、待ち行列台数や飽和交通流率の算出に必要であると考えられるため、プローブ情報S3に含める停止イベントとすべきである。
すなわち、制御部209は、上記単路停止については、これをプローブ情報S3に含める停止イベントとして処理する。
図7は、車載装置2の制御部209が生成するプローブ情報S3のフレームフォーマットを示す表である。
図7に示すように、プローブ情報S3のデータ領域には、ヘッダ、基本項目及び属性種別が含まれており、ヘッダには、単独停止の回数と反復停止の回数とを記載することができる。
更に、属性項目には、イベント種別とイベント値の記載領域が含まれている。イベント種別には、その種別或いはフラグが記載される。例えば、各イベントの種別値として、単独停止に「1」、方向変動に「2」、一定距離走行に「3」がそれぞれ割り当てられている場合には、これら1〜3の値のいずれかがイベント種別に記される。
なお、本実施形態では、中央装置4の制御部401が「アップリンクイベント」と「発進イベント」を生成してプローブ情報S3に追加するが、この場合、制御部401は、車載装置2が生成するイベントとは区別できる種別値(例えば、アップリンクイベント=4、発進イベント=5)をイベント種別に記すようになっている。
図8は、プローブ情報S3に記す各種情報のビット割り当てを示す表である。
図8に示すように、単独停止の場合の停止時間は8ビットで表され、当初ビットの値で秒と分の場合に区分し、残りの7ビットで時間を表すようになっている。このため、1秒を最小単位として、16進数で0x01(1秒)から0xff(127分)までの時間を割り当てることができる。
更に、一定距離走行や方向変動の場合の、前回イベントからの走行距離には8ビットが割り当てられており、5m単位になっている。この場合、16進数で0x01(5m)から0xff(1275m)までの走行距離を割り当てることができる。
<アップリンクイベントの追加処理>
前述の通り、光ビーコン6は、車載装置2からプローブ情報S3を含むアップリンク情報ULを受信すると、そのプローブ情報S3を、自身のビーコンIDとともに、交通信号制御機1aを介して中央装置4に送信する。
一方、中央装置4の記憶部404の地図データベースDB3には、管轄エリア内のすべての光ビーコン6のビーコンIDとこれと対応する位置が格納されている。
また、中央装置4の制御部401は、通信部403がプローブ情報S3とともに受信したビーコンIDに対応する設置位置(例えば、ビーコン制御機の設置位置)を、地図データベースDB3のビーコンデータから抽出し、抽出された位置データを、当該プローブ情報S3がアップリンクされた位置(以下、アップリンク位置という。)として特定する。
なお、前述の通り、ビーコンデータに記録される光ビーコン6の位置は、(1)ビーコン制御機の設置位置、(2)代表車線のヘッドの設置位置、(3)各ヘッドの設置位置のいずれかであるから、アップリンク位置もこれらの設置位置のいずれかを採用し得る。
従って、その追加がない通常のプローブ情報S3を利用する場合に比べて、インフラ側における旅行時間や走行経路の算出精度をより向上することができる(特願2009−185144号参照)。
ところで、本実施形態の中央装置4では、制御部401が、プローブ車両5の位置とその時刻を含む先後2つのイベント間の通過時刻差を、両イベント間にあるリンクの距離比で配分した時間を求め、先のイベントの通過時刻と配分した時間とに基づいてリンク端の通過時刻を算出する。
一方、単独停止の場合には、その停止位置で車両5がとどまっていた停止時間が長時間(例えば数十秒)になると、その停止位置に対する停止が生じた時刻である停止時刻と、その停止位置から車両が発進した時刻である発進時刻との間の時刻差も長くなる。例えば、図9に示す、単独停止であるイベントE1(100,10)やイベントE2(240,60)のように、停止位置において車両が30秒停止した場合には、その停止位置からのプローブ車両5の発進時刻は停止時刻から30秒遅れることになる。
このため、中央装置4において、単独停止のイベントに含まれる「停止時刻」だけを無条件に採用してリンク端の通過時刻(図9中の時刻ta,tb)を算出すると、当該リンク端の通過時刻が実際の通過時刻(図9中のt1,t2)とかけ離れた値になり、リンク旅行時間の推定精度が悪化するおそれがある。
制御部401は、生成した発進イベントを、プローブ情報S3における対応する単独停止イベントの1つ後のレコードに追加してプローブ用データベースDB1に格納する。
また、発進イベントに含める「停止位置」は、単独停止イベントから抽出した「停止位置」と同じ値である。
図9は、中央装置4によるリンク端の通過時刻算出処理を示すためのグラフである。
図9において、l(小文字のエル)1〜l3は、中央装置4の地図データベースDB3に記録されている特定のリンクを示し、その接続端(ノード)をn0〜n3とする。l1〜l3の長さはいずれも150mとする。
図9の○印(イベントE0)はそのイベントが「一定距離走行」であることを示し、△印(イベントE3)はそのイベントが方向変動であることを示している。図9の■印(イベントE1,E2)はそのイベントが「単独停止」であることを示し、□印(イベントE1’,E2’)はそのイベントが「発進イベント」であることを示している。
すなわち、イベントE1,E1’はリンクl1を2:1に内分する位置にあり、イベントE2,E2’はリンクl2を3:2に内分する位置にある。また、イベントE3はリンクl3を1:1に内分する位置にある。
その理由は、先後2つのイベントEj,Ej+1が同じリンクにあれば、そのイベントEj,Ej+1間の通過時刻差を複数のリンクに配分する必要がないからである。なお、図例では、イベントE1〜E3がいずれも1つのリンクl1〜l3の途中にあるので、上記判定の判定結果は否(No)となる。
t1=40+(60−40)×{50/(240−100)}=47.1秒
t2=90+(110−90)×{60/(375−240)}=98.9秒
ta=10+(60−10)×{50/(240−100)}=27.9秒
また、先のイベントとして「単独停止ベントE2」を採用し、かつ、後のイベントとして「方向変動イベントE3」を採用して、リンク端n2の通過時刻tbを求めるとすると、次式のようになる。
ta=60+(110−60)×{50/(375−240)}=78.5秒
このため、プローブ情報S3を用いてリンク端niの通過時刻t1,t2を求める場合に、単独停止イベントの停止位置からの発進時刻をその都度演算する必要がなく、通過時刻t1,t2の算出処理を迅速に行えるという利点もある。
上記実施形態では、車載装置2が「単独停止イベント」を生成し、これを記録したプローブ情報S3を中央装置4が取得した場合に、中央装置4が「発進イベント」を生成してプローブ情報S3に追加することになっているが、単独停止イベントと発進イベントの生成主体を逆にしてもよい。
そして、中央装置4は、その発進イベントを記録したプローブ情報S3を取得した場合に、発進時刻から停止時間を減算することにより停止時刻を求め、当該停止時刻と停止位置とを含む「単独停止イベント」を生成して、プローブ情報S3における対応する発進イベントの1つ後のレコードに追加してプローブ用データベースDB1に格納する。
図10は、本発明が適用可能な別の交通制御システムを示す道路平面図である。
図10に示す変形例が上記実施形態(図1)と異なる点は、車載装置2がイベント記録方式のプローブ情報S3を生成するのではなく、交通信号制御機1aと中央装置4との間の情報通信を中継する情報中継装置8が、路側通信機7を介して車載装置2から取得した走行軌跡情報S5に基づいてイベント記録方式のプローブ情報S3を生成し、これを中央装置4に送信する点にある。
車載装置2は、自車両の走行軌跡情報S5を路側通信機2へのアップリンク情報ULに含めて送信し、このアップリンク情報ULを受けた路側通信機7は走行軌跡情報S5を情報中継装置8に送る。
中央装置4は、情報中継装置8から上記プローブ情報S3を取得すると、単独停止イベントが記録されているか否かを判定し、記録されている場合には、それに対応する発進イベントを生成してプローブ情報S3に追加する。
このように、第2の変形例では、情報中継装置8がイベント記録方式のプローブ情報S3を生成し、中央装置4がそのプローブ情報S3に含まれるイベント以外のイベントを生成して当該プローブ情報S3に追加する情報処理装置として機能する。
図11は、本発明が適用可能な別の交通制御システムを示す道路平面図である。
図11に示す変形例が上記実施形態(図1)と異なる点は、車載装置2の無線通信部が携帯電話機2A等のモバイル通信端末よりなり、車載装置2が生成したイベント記録方式のプローブ情報S3を、当該モバイル通信端末を通じて中央装置4に送信するようにした点にある。
なお、携帯電話機2A等の広域のモバイル通信端末の場合は、中央装置Aの管轄エリア内のほぼすべての道路からアップリンク情報ULを送信できるので、プローブ車両5において、イベント記録方式のプローブ情報S3ではなく、走行軌跡情報S5をアップリンク情報ULに格納して送信することにしてもよい。
1a 交通信号制御機
2 車載装置(プローブ情報の生成装置)
3 路側センサ
4 中央装置(プローブ情報の処理装置)
5 プローブ車両
6 光ビーコン
8 情報中継装置(プローブ情報の生成装置)
401 制御部(情報処理手段、時刻算出手段)
403 通信部(取得手段)
404 記憶部
DB1 プローブ用データベース
DB2 路側用データベース
DB3 地図データベース
Claims (8)
- 車両の停止位置と、この停止位置における前記車両の停止時間と、前記停止位置に対する停止が生じた時刻である停止時刻とを含む単独停止イベントが記録されたプローブ情報を取得する取得手段と、
前記停止時刻に前記停止時間を加算することにより前記停止位置から前記車両が発進した時刻である発進時刻を求め、当該発進時刻と前記停止位置とを含む発進イベントを生成して前記プローブ情報に追加する情報処理手段と、
を備えていることを特徴とするプローブ情報の処理装置。 - 車両の停止位置と、この停止位置における前記車両の停止時間と、前記停止位置から前記車両が発進した時刻である発進時刻とを含む発進イベントが記録されたプローブ情報を取得する取得手段と、
前記発進時刻から前記停止時間を減算することにより前記停止位置に対する停止が生じた時刻である停止時刻を求め、当該停止時刻と前記停止位置とを含む単独停止イベントを生成して前記プローブ情報に追加する情報処理手段と、
を備えていることを特徴とするプローブ情報の処理装置。 - 同じ前記停止位置についての前記単独停止イベントと前記発進イベントの双方が記録された前記プローブ情報を用いて、リンク端の通過時刻を求める時刻算出手段を更に備えている請求項1又は2に記載のプローブ情報の処理装置。
- 前記時刻算出手段は、前記車両の位置とその時刻を含む先後2つのイベント間にある前記リンク端の通過時刻を求める場合において、前記発進イベントについては前記先のイベントとして用い、前記単独停止イベントについては前記後のイベントとして用いる請求項3に記載のプローブ情報の処理装置。
- 走行中に車両に生じる複数種類のイベントをプローブ情報に含めて記憶可能な情報記憶手段と、
前記車両の前回の停止から当該車両の速度が所定の第1閾値以上となって当該車両が停止する単独停止と、この単独停止以外の停止である反復停止とを、別個の前記イベントとして判定するイベント判定手段と、
前記単独停止イベントについては、その停止位置、停止時刻及び停止時間を前記プローブ情報に含めて当該プローブ情報を生成し、前記反復停止イベントについては、その停止位置、停止時刻及び停止時間を前記プローブ情報に含めずに当該プローブ情報を生成する情報生成手段と、を有するプローブ情報の生成装置と、
生成された前記プローブ情報を取得して、取得した前記プローブ情報に前記発進イベントを追加する請求項1に記載のプローブ情報の処理装置と、
を備えていることを特徴とする情報処理システム。 - プローブ情報に記録された単独停止イベントから発進イベントを生成して当該プローブ情報に追加する処理を、コンピュータに実行させるコンピュータプログラムであって、
車両の停止位置と、この停止位置における前記車両の停止時間と、前記停止位置に対する停止が生じた時刻である停止時刻とを含む単独停止イベントが記録された前記プローブ情報を取得するステップと、
前記停止時刻に前記停止時間を加算することにより前記停止位置から前記車両が発進した時刻である発進時刻を求め、当該発進時刻と前記停止位置とを含む発進イベントを生成して前記プローブ情報に追加するステップと、
を含むことを特徴とするコンピュータプログラム。 - プローブ情報に記録された発進イベントから単独停止イベントを生成して当該プローブ情報に追加する処理を、コンピュータに実行させるコンピュータプログラムであって、
車両の停止位置と、この停止位置における前記車両の停止時間と、前記停止位置から前記車両が発進した時刻である発進時刻とを含む発進イベントが記録された前記プローブ情報を取得するステップと、
前記発進時刻から前記停止時間を減算することにより前記停止位置に対する停止が生じた時刻である停止時刻を求め、当該停止時刻と前記停止位置とを含む単独停止イベントを生成して前記プローブ情報に追加するステップと、
を含むことを特徴とするコンピュータプログラム。 - 車両の位置とその時刻を含む先後2つのイベント間にあるリンク端の通過時刻を、当該イベントの位置と時刻を用いて算出するリンク端の通過時刻算出方法であって、
前記車両の停止位置と、この停止位置から前記車両が発進した時刻である発進時刻とを含む発進イベントについては、前記先のイベントとして用い、
前記車両の停止位置と、この停止位置に対する停止が生じた時刻である停止時刻とを含む単独停止イベントについては、前記後のイベントとして用いることを特徴とするリンク端の通過時刻算出方法。
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