JP2012077357A - めっき装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】めっき液の循環を利用しないときや、少量のめっき液で循環量を充分に確保できないときにもめっき液の温度制御を可能としためっき装置を提供する。
【解決手段】本発明は、垂直軸で水平回転可能なめっき液を貯留するめっき槽2と、該めっき槽内周部に配設された陰極2aと、前記めっき槽内中央部に配設された陽極ケース3内部に収納された陽極8とを具備するめっき装置において、前記陽極ケース3の内部には前記めっき液を保温、冷却または加温する温度調整管7を配設するめっき装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、微小球へのめっきに好適なめっき装置に関するものである。
近年、半導体パッケージの高密度化に伴い、BGA(Ball Grid Array)に代表されるエリアアレイ端子型パッケージの端子等に、はんだめっき層を形成した複合ボールが用いられるようになってきた。この用途においては、直径1000μm以下のボールが要求されている。
このような微小球にめっき層を、めっき槽を用いて形成するためには、めっき処理中のボール同士の付着を防止するために、ボールの分散性を向上させる必要がある。
たとえば、特許文献1には、陰極を槽内内周部に、陽極を槽内中央部に配置した垂直軸で水平方向に回転可能な密閉されためっき槽を高速回転させることで、遠心力により被めっき物を陰極へ集め、めっきを行なう方法が開示されている。この方法においては、正転、逆転を周期的に繰り返すことで、ボールの分散性を向上させ、ボール同士の付着を防止している。
また、特許文献2には、特許文献1と基本構造が類似するめっき技術が開示され、めっき液の温度上昇や酸化促進等によるめっき品質の不具合を改善するために、めっき槽底面に排液部材を設置することにより、めっき槽外へ排出されるめっき液の流量を充分に確保する方法が示されている。
特開平11−92994号公報 特開2004−300470号公報
上述した特許文献2に開示される装置は、大量のめっき液の交換によるめっき液の温度上昇を抑制する温度制御の点では有利であるものの、高価なめっき液を大量に使用するという点では経済的に不利である。また、少量のめっき処理で少量のめっき液を使用して連続して長時間のめっきを行なうには、めっき液を冷却する温度制御が困難になり、めっき皮膜の品質が低下する問題があった。めっき液の温度制御の問題は、めっき皮膜の品質を実用化する上で大きな問題となる。
本発明の目的は、垂直軸で水平回転可能なめっき槽を用いためっき装置において、高価なめっき液を大量に使用することなく、めっき層の形成に重要なめっき液の温度変化を抑制することができ、平滑かつ均一なめっき層を形成できるめっき装置を提供することである。
本発明者は、垂直軸で水平回転可能なめっき槽を用いたときの、めっき処理中のめっき液温度を制御することを検討した。そして、陽極ケース内部にめっき液を冷却する冷却管を配設する構成を採用することで、高価なめっき液を大量に使用することなく、温度制御性を大きく改善できることを見出し本発明に到達した。
すなわち本発明は、垂直軸で水平回転可能なめっき液を貯留するめっき槽と、該めっき槽内周部に配設された陰極と、前記めっき槽内中央部に配設された陽極ケース内部に収納された陽極とを具備するめっき装置において、前記陽極ケースの内部には前記めっき液を保温、冷却または加温する温度調整管を配設するめっき装置である。
また、前記陽極ケースは、めっき槽の回転軸心上に設置された陽極支持棒で配設されることが好ましい。
また、前記温度調整管は、前記めっき槽の回転軸心に沿って取り巻く螺旋状であることが好ましい。
本発明によれば、水平回転可能なめっき装置において、高価なめっき液を大量に使用することなく、めっき層の形成に重要なめっき液の温度を容易に制御することができるとともに、平滑かつ均一なめっき層を形成できるため、有効な技術である。
本発明めっき装置の一例を示す模式図である。
本発明の重要な特徴は、水平回転可能なめっき液を貯留するめっき槽と該めっき槽内周部に配設された陰極と、前記めっき槽内中央部に配設された陽極ケース内部に収納された陽極とを具備するめっき装置において、前記陽極ケース内部には前記めっき液を保温、冷却または加温する温度調整管を配設する構成を採用したことにある。以下、本発明のめっき装置について詳しく説明する。
図1は、本発明のめっき装置の一例を示す模式図である。
本発明のめっき装置は、垂直軸1で水平回転可能なめっき槽2、垂直軸1に接続する回転ベース2b、回転ベースと導通ねじ9で接続された陰極2aからなり、垂直軸1が水平回転することで、めっき槽2も一緒に水平回転する。垂直軸1内部に設置された陰極は、回転ベース2bおよび導通ねじ9、陰極2aと電気導通が取れる構造となっている。めっき槽2の内部にはめっき液4が貯留されている。
めっき槽2内中央部に配設された陽極ケース3の内部には、陽極8が収納され、めっき液4を保温、冷却または加温する温度調整管7を配設する。温度調整管7はチラー(図示しない)と接続し、温度調整溶媒の流入6aと温度調整溶媒の流出6bが行われる。
上述したように、特許文献1や特許文献2のめっき装置を用いて、少量のめっき処理で少量のめっき液を使用して連続して長時間のめっきを行うと、導体であるめっき液の電気抵抗によるジュール熱の発生により、めっき液の温度上昇が生じ、結果として、被めっき品に形成されるめっき層の品質低下をもたらす。特に、粘性が高く、電導塩が少ないめっき液を用いた場合は、より電気抵抗が高くなり、陽極近傍でのめっき液の温度上昇が顕著に見られる。
本発明のめっき装置は、めっき槽2の内部に貯留されためっき液4を保温、冷却または加温するための温度調整管7を陽極ケース3内部に配設することで、めっき液4の温度変化が生じやすい陽極8付近のめっき液4の温度変化を抑制することができる。これにより、温度変化しやすい少量のめっき液によるめっき処理であっても、めっき液の温度変化を緩和することが可能となり、平滑かつ均一なめっき層の形成が実現できる。
また、本発明のめっき装置は、陽極ケース3内部に温度調整管7を配設することで、高価なめっき液の垂れ流しや循環のための貯留液を削減することができ、それに伴う複雑な機構を排除できる。また、本発明のめっき装置で、めっき槽の一部にめっき液を排出させるための空孔を有する部材を用いず、めっき槽を閉鎖系とすることにより、被めっき物が微小であっても、被めっき物を損失せずにめっきすることが可能となる。
また、多元系組成の合金めっきにおいては、めっき液中の金属イオン量と温度が、得られるめっき層の合金組成に大きな影響を及ぼす。本発明のめっき装置では、めっき槽を閉鎖系としても、めっき液の温度を効率的に制御できるため、多元系組成の合金めっきを行うのに好適である。
陽極ケース3内部のめっき液4を保温、冷却または加温する温度調整管7の材質は、電気めっきの際に陽極と接触しても温度調整管7自身が溶出せず、熱交換性の高い材質を用いるとよく、例えばTiが好ましい。また、Tiより熱交換性は劣るステンレス、銅などの金属に樹脂コーティングしたものを用いてもよい。
温度調整管7の形状は、陽極ケース3内部の側面に沿わせる、陽極ケース3内部の底面に渦巻状に配設するなど適宜選択でき、温度調整されるめっき液4との接触面積を確保するために、めっき槽2の回転軸心に沿って取り巻く螺旋状であることが好ましい。陽極ケース3内部の側面に沿わせて温度調整管7を配設する場合は、電気めっきの際、陽極8から溶出したイオンがめっき液4に拡散しやすいように、温度調整管7の螺旋間には隙間が開いているとよい。
温度調整管7の螺旋の径は、陽極ケース3内部に納まる範囲内で適宜選択できる。また、温度調整管7は、めっき液4と接触面積を大きくすることで温度調整を効率的に行うために、陽極ケース3内部の底面近傍まで配置させることが好ましい。
温度調整管7には、チラーから供給された目的温度の冷却水や温水などの温度調整溶媒が6aから流入し、6bから流出する。
温度調整溶媒は、形成するめっきに応じて、最適なめっき液温度を維持するためのものであり、水を用いることが好ましい。これは、安全でかつ温度管理などの取扱いが容易で、調達しやすく経済的なためである。また、温度調整溶媒の使用温度としては、被めっき物に形成するめっき組成に応じて、5℃〜90℃の範囲が適宜適用できる。
本発明のめっき装置は、陽極8をめっき槽内中央部に配設された陽極ケース3内部に収納する。陽極ケース3は、めっき槽2が水平回転した際のめっき液4の液流を妨げないようにするために、めっき槽2内中央部に配置する。また、陽極ケース3は、めっき槽の回転軸心上に設置された陽極支持棒5で配設されることが好ましい。陽極ケース3の形状は、円筒形状が好ましく、めっき液4と陽極8とを接触させるために、側面には孔、スリットまたはメッシュを設ける。好ましいのはメッシュ状である。また、陽極ケース3の底面は、メッシュ状でも底部全面が板状に覆われていてもよい。
陽極ケース3の材質は、電気めっきにより陽極ケース3自身が溶出せず、めっき液により溶解せず、整流器からの電気を低い抵抗で導通可能であるTiなどが好ましい。
本発明のめっき装置は、陽極電流密度を小さくすることで電気抵抗を小さくし、安定しためっきを行うために、陽極8を陽極ケース3内部に収納する。
陽極8は、陽極支持棒5からの電気導通を低抵抗で行うために、温度調整管7の周囲に密に配置することが好ましい。また、陽極8の形状は適宜選択できるが、温度調整管7の周囲に充填しやすいように、球体または直方体などの小片が好ましい。陽極8には、可溶性金属体または不溶性金属体をめっき液性に合わせて適宜選択することができる。
陽極8に、形成するめっき層に含まれる組成の可溶性金属体を用いる際は、酸化反応によりイオン化してめっき液中に溶出し、陰極にて還元反応により金属として析出し、めっき液中に金属を補充して、連続してめっきを行うことができ、被めっき物に厚膜のめっき層を形成する場合に使用するとよい。
また、貴金属のめっきを行う際に、可溶性金属体が高価である場合やめっき金属の析出量が少なくめっき液中の金属の枯渇が問題にならない場合は、不溶性金属体を用いることもできる。不溶性金属体としては、Tiに白金をコーティングしたものなどを用いることができる。
1.垂直軸
2.めっき槽
2a.陰極
2b.回転ベース
3.陽極ケース
4.めっき液
5.陽極支持棒
6a.温度調整溶媒流入
6b.温度調整溶媒流出
7.温度調整管
8.陽極
9.導通ねじ

Claims (3)

  1. 垂直軸で水平回転可能なめっき液を貯留するめっき槽と、該めっき槽内周部に配設された陰極と、前記めっき槽内中央部に配設された陽極ケース内部に収納された陽極とを具備するめっき装置において、前記陽極ケースの内部には前記めっき液を保温、冷却または加温する温度調整管を配設することを特徴とするめっき装置。
  2. 前記陽極ケースは、めっき槽の回転軸心上に設置された陽極支持棒で配設されることを特徴とする請求項1に記載のめっき装置。
  3. 前記温度調整管は、前記めっき槽の回転軸心に沿って取り巻く螺旋状であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のめっき装置。
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