JP2012077093A - 骨形成作用を有する新規なペプチドおよびこれを固定化してなる骨形成促進剤 - Google Patents

骨形成作用を有する新規なペプチドおよびこれを固定化してなる骨形成促進剤 Download PDF

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Abstract

【課題】 低毒性で優れた骨形成作用を有するペプチドの提供を目的とする。
【解決手段】 本発明によれば、骨形成作用を有するペプチド及びこれを有効成分として含有することからなる骨形成促進剤が提供される。
これらを用いることにより、骨折の治療、骨量減少の抑制、骨折の予防を有効に行うことができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は骨形成作用を有するペプチド及びこれを有効成分として含有することからなる骨形成促進剤に関する。
本発明により提供されるペプチドおよびこれを有効成分として含有する骨形成促進剤は、骨形成作用を有することから、骨折の治療、骨粗鬆症や歯周病疾患における骨量減少の抑制、骨粗鬆症やリウマチ性関節炎における骨折の予防等に有用である。
BMP(Bone morphogenetic protein)はTGF(トランスフォーミング成長因子)βファミリーに属する蛋白質で(Wozney, J.M.ら、Science, 242, 1528(1988))、活性型は分子量が約18kDのホモダイマーとして存在する。BMPは、未分化な間葉系細胞に作用して、軟骨芽細胞と骨芽細胞に分化誘導し、軟骨および骨形成を引き起こす作用を有する(Wang,E. A.ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87, 2220 (1990))。このため、骨折の治療、骨粗鬆症や歯周病疾患による骨量減少の抑制、骨粗鬆症やリウマチ性関節炎における骨折の予防等において、BMPの有効性が期待されている。
しかしながら、上記のBMPは、経口投与や経皮投与では有効量が体内に吸収されず、直接血管内や組織に投与した場合においても数分内に血中や組織から消失する。一方、BMPを大量に投与すると、肝臓および腎臓に対する毒性など、種々の副作用が発現する可能性がある。また、BMPは分子量が大きいことから免疫原性があり、反復投与によりアナフィラキシーショックを引き起こす恐れがある。さらに、BMPを脱灰骨やコラーゲンのマトリクスに含浸させて用いると、骨形成作用が発現されるが、これらのマトリクス自体に由来する抗原性や感染性の問題が新たに生じる。
本発明者らが、これらの副作用を軽減した、骨形成作用を有するペプチドを提供することを目的として鋭意研究したところ、BMPから誘導されるペプチドの変異体がBMPと同様の骨形成作用を有することを認め、発明を完成するに至った。
本発明によれば、上記の目的は、配列表の配列SEQ ID NO:1で表されるアミノ酸配列を少なくとも有するペプチドにより達成される。
また、本発明の目的は、有効量の上記ペプチドを含有する骨形成促進剤により達成される。
本発明によれば、骨形成作用を有するペプチド及びこれを有効成分として含有することからなる骨形成促進剤が提供される。
これらのペプチド及び骨形成促進剤は、低毒性で優れた骨形成作用を有することから、骨折の治療、骨粗鬆症や歯周病疾患における骨量減少の抑制、骨粗鬆症やリウマチ性関節炎における骨折の予防に有効に用いることができる。
本発明のペプチドは、骨形成作用を示す配列SEQ ID NO:1で表されるアミノ酸配列を有する限り、これに任意の1以上のアミノ酸が付加していてもよい。
すなわち、SEQ ID NO:1に示す配列は、SEQ ID NO:2と組合わさるか、SEQ ID NO:3と組合わさるか、さらにはSEQ ID NO:2及びSEQ ID NO:3の双方と組合わさっていてもよい。
ここで、SEQ ID NO:1〜SEQ ID NO:3の各配列のN末端及びC末端は、常法にしたがってN末端が配列の左、C末端が配列の右の方向づけであるが、例えばSEQ ID NO:1とSEQ ID NO:2 の組み合わせではN末端-KIPKA STLY-C末端及びN末端-STLY KIPKA-C末端の両者が挙げられるように、配列全体におけるSEQ ID NO:1〜SEQ ID NO:3の各配列の方向付けは限定されず、配列全体の方向付けを常法により行った場合に考えられ得る全ての組合わせが本発明の範囲に包含される。
また、上記の組合わせにおいて、SEQ ID NO:1〜SEQ ID NO:3の各配列のあいだ及び/又はSEQ ID NO:1〜SEQ ID NO:3の各配列から配列全体における各末端方向にはアミノ酸が1〜10残基介在していてもよく、そのような配列もまた本発明の範囲に包含される。アミノ酸は、SEQ ID NO:1が有する骨形成作用を実質的に阻害しないアミノ酸であればよく、具体的にはAsn、Cys、Pro、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Ser、Thr、Glu、Asp、Lys、Tyrからなる群から選択され、それらのアミノ酸は同一であっても、異なっていてもよい。
しかしながら、いずれの組み合わせにおいてもSEQ ID NO:1は配列全体でC末端側に位置することが好ましく、組合わせの具体的な例としては、SEQ ID NO: 4〜SEQ ID NO:7で表されるアミノ酸配列が好適に用いられる。
なお、この発明における「骨形成作用」とは、骨芽細胞のアルカリホスファターゼの活性化を促し(山口朗、Molecular Medicine, Vol.30, No.10, 1232 (1993))、新生骨を形成するか、または既存の骨の成長を誘発する作用等としてとらえることができる。
本発明のペプチドは、ペプチドの合成において通常用いられる方法、例えば固相合成法又は液相合成法によって調製されるが、固相合成法が操作上簡便である[例えば、日本生化学会編「続 生化学実験講座2 タンパク質の化学(下)」(昭和62年5月20日 株式会社東京化学同人発行)、第641-694頁、及びAtherton, E.ら、「固相ペプチド合成 -実用的な方法」(1989年IRLプレス、オックスフォード発行)、第152-154頁参照]。固相合成は、通常アミノ基を適当な保護基、例えばBoc (tert-ブトキシカルボニル)又はFmoc (9-フルオレニルメチルオキシカルボニル)のどちらか、あるいはそれらの組合わせで保護して行うことができる。
本発明のペプチドの固相合成法による調製は、例えば反応媒体に不溶性の重合体を用いて、1)重合体に、目的とするペプチドのC末端に対応するアミノ酸をそれが有するα-COOH基を介して結合させ、2)次いで該アミノ酸に目的とするペプチドのN末端の方向に向かって、対応するアミノ酸又はペプチド断片を該アミノ酸又はペプチド断片が有するα-COOH基以外のα-アミノ基などの官能基を保護した上で縮合させて結合させ、3)該結合したアミノ酸又はペプチド断片におけるα-アミノ基などのペプチド結合を形成するアミノ基が有する保護基を除去する操作を順次繰り返すことによって、ペプチド鎖を伸長させ、目的とするペプチドに対応するペプチド鎖を形成する。
このようにして形成されたペプチド鎖は、重合体から脱離させ、かつ保護されている官能基から保護基を除去することによって、目的とするペプチドとし、適宜精製して、得ることができる。
重合体としては、例えばスチレン-ジビニルベンゼン共重合体、メリーフィールド樹脂、クロロメチル樹脂、ウォン樹脂、シーバー樹脂、リンクアミド樹脂、リンクアシッド樹脂、2-クロロトリチルクロライド樹脂、HMBA-MBHA樹脂、MBHA樹脂、オキシム樹脂等を用いることができる。これらのうち、好ましいのはスチレン-ジビニルベンゼン共重合体である。
また、重合体からのペプチド鎖の脱離及び保護基の除去は、トリフルオロ酢酸又はフッ化水素を用いて同時に行うのが、副反応を抑制する観点から好ましい。
ペプチド合成における溶媒及び縮合剤等は、当該分野で一般的に知られているものを適宜用いることができえる。溶媒としては、例えばDMF(ジメチルホルムアミド)、トリクロロエタノール、N-メチルピロリドン等を、縮合剤としては、例えばDCC、HATU(O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート)、HOBt(1-ヒドロキシベンゾトリアゾール)、HBTU(O-ベンゾトリアゾール-1-イル-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート)、PyBOP(ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシ-トリス-ピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート)、CF3-NO2-PyBOP等を挙げることができる。
得られたペプチドの精製は、逆相液体クロマトグラフィーで行うのが効果的である。
上記のように調製された本発明のペプチドのN末端あるいはC末端、又はそれらの両方は、化学的に適宜修飾されていてもよく、具体的には例えばN末端がアセチル化され、C末端がアミド化もしくはエステル化されていてもよい。
また、本発明のペプチドは、通常の塩生成反応を利用することにより、生理的に許容される塩を形成していてもよい。そのような塩としては、例えば、塩酸、硫酸、燐酸、乳酸、酒石酸、マレイン酸、フマール酸、シュウ酸、リンゴ酸、クエン酸、オレイン酸、パルミチン酸などの酸との塩;ナトリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物または炭酸塩との塩;トリエチルアミン、ベンジルアミン、ジエタノールアミン、t-ブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、アルギニンなどのアミンとの塩が挙げられる。
本発明のペプチドは、骨形成作用を有し、かつ毒性試験において低毒性である。
したがって、本発明のペプチドは、骨形成を目的とする場合に、それ自体で、又は薬理学的に許容される安定化剤、保存剤、増粘剤、可溶化剤等の任意の添加剤を含む適当な担体に固定するか、又は水性溶剤に溶解もしくは懸濁させて得られる骨形成促進剤として用いることができる。
この発明による骨形成促進剤は、ペプチドを担体に固定化してなるものが特に好ましい。
担体は、生体内で分解吸収されるものが好ましく、例えば各種のセラミックス、アルギン酸の共有結合架橋ゲル(Suzuki, Y.ら、J. Biomed. Mater. Res., 39, 317(1998))等の多糖類からなるゲル、コラーゲンなどの蛋白質からなるゲルを1種又は2種以上組合わせて用いることができる。
これらの担体のうち、多糖類からなるゲルが非炎症性と非免疫原性の観点から好ましく、ジメチルホルムアミドなどのペプチド含有溶液を用いた浸漬、噴霧、塗布、滴下などにより形成される共有結合、イオン結合、疎水結合、水素結合、SS結合等を利用して、ペプチドを担体に固定化することができる。
固定化は、安定性と作用の持続性の観点から共有結合によることが好ましく、通常、酵素などの生理活性蛋白質の固定化で用いられる方法によって行うことができる(例えば、Scouten, W. H., Methods in Enzymol., 135, Mosbach, K. Ed., 1987, Academic Press, NY, pp30-65参照)。
このようにして得られる固体形態の骨形成促進剤は、骨欠損部位への埋植などに用いることができる。
一方、液体形態の骨形成促進剤の調製に用いられる水性溶剤としては、生理食塩水、マンニトール、ショ糖、乳糖、マルトース、ブドウ糖、フルクトース等の生理的に許容し得る水溶液、好ましくは5%ブドウ糖液や生理食塩水が挙げられる。
これらの水性溶剤にペプチドを溶解又は懸濁させて得られる骨形成促進剤は、その製剤の種類によって、静脈投与、皮下投与、腹腔内投与、関節内投与、経皮投与又は骨欠損部位への充填などに用いることができ、さらに常法によりカプセル化またはリポソーム化することにより、経口投与形態にすることができる。
本発明のペプチド及び骨形成促進剤は、外因性骨折、リウマチ性関節炎や骨粗鬆症における骨折などの患者に投与するか、又は骨折部位に埋植あるいは充填することにより、骨折の治療を促進することができる。
また、これらを骨粗鬆症、歯周病疾患及びリウマチ性関節炎の患者に投与することにより、骨粗鬆症及び歯周病疾患による骨量減少を抑制し、骨粗鬆症及びリウマチ性関節炎に起因する骨折を予防することができる。
本発明のペプチドは、形成が望まれる骨の重量、骨損傷の部位、骨の状態、患者の年齢、性別、体重等によって適宜増減されるが、通常0.01μg/kg〜2g/kg(成人)、好ましくは0.01μg/kg〜200mg/kg(成人)の量を有効成分として埋植又は投与等することにより、骨形成活性を発現する。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1
ペプチド自動合成装置を用いる固相合成法により、配列表の配列SEQ ID NO:4に示す配列(N末端はアミノ基、C末端はカルボキシル基)を有するペプチドを合成した。
すなわち、4-(Nα-9-(フルオレニルメトキシカルボニル)-L-ロイシル)-オキシメチル-フェノキシ-メチル基を0.74ミリモル/g(樹脂)の割合で有するスチレン−ジビニルベンゼン共重合体〔スチレンとジビニルベンゼンの構成モル比:99対1〕からなる粒状樹脂〔米国アプライド・バイオシステムズ社製、HMPロイシン〕0.1ミリモルを用い、目的とするペプチドのカルボキシル末端からアミノ末端に向かって順次対応するアミノ酸を結合させた。結合反応において、アミノ酸として、米国アプライド・バイオシステムズ社製のNα-9-(フルオレニルメトキシカルボニル)-Nβ-トリチル-L-アスパラギン〔Fmocアスパラギン〕、Nα-9-(フルオレニルメトキシカルボニル)-O-t-ブチル-L-セリン〔Fmocセリン〕、Nα-9-(フルオレニルメトキシカルボニル)-バリン〔Fmocバリン 〕、Nα-9-(フルオレニルメトキシカルボニル)-Nε-t-ブチルオキシカルボニル-L-リジン〔Fmocリジン〕、Nα-(フルオレニルメトキシカルボニル)-L-イソロイシン〔Fmocイソロイシン〕、Nα-(フルオレニルメトキシカルボニル)-L-プロリン〔Fmocプロリン〕、Nα-(フルオレニルメトキシカルボニル)-L-アラニン〔Fmocアラニン〕、Nα-9-(フルオレニルメトキシカルボニル)-S-トリチル-L-システイン〔Fmocシステイン〕、Nα-9-(フルオレニルメトキシカルボニル)-O-t-ブチル-L-トレオニン〔Fmocトレオニン〕、Nα-9-(フルオレニルメトキシカルボニル)-γ-ブチル-L-グルタミン酸〔Fmocグルタミン酸〕、Nα-(フルオレニルメトキシカルボニル)-L-ロイシン〔Fmocロイシン〕、Nα-(フルオレニルメトキシカルボニル)-O-t-ブチル-L-チロシン〔Fmocチロシン〕を、各結合ステップについてそれぞれ1ミリモルずつ用いた。
各アミノ酸の結合の生成には、HOBtとHBTUを用いた。
得られたペプチド樹脂を、2.5%の水と2.5%のエタンジチオールを含むトリフルオロ酢酸10mlで3時間処理した。得られた溶液をジエチルエーテルに加えて生じる沈殿をさらに数回ジエチルエーテルで洗浄し、ペプチドの脱保護と樹脂からの脱離を行った。粗生成物を逆相分取用高速液体クロマトグラフ〔カラム:日本ウオーターズ株式会社製ノバパックHR C18 25×100mm、RCM25×10加圧モジュ−ル付〕で精製した。
得られた精製ペプチドをファルマシアバイオテク株式会社製AKTA explorer 10XT〔カラム:日本ウオーターズ株式会社製ノバパック C18 3.9×150mm、移動相:トリフルオロ酢酸を0.05容量%含有するアセトニトリルと水の混合溶媒(アセトニトリル濃度を30分間で5容量%から50容量%に変化させた)、流速1ml/分〕に付したところ、21.6分に単一のピ−クが示された。FAB法マススペクトルにより求めた精製ペプチドの分子量は2637であった(理論値:2636.06)。
実施例2〜5
4-(2',4'-ジメトキシフェニル-フルオレニルメトキシカルボニル-アミノエチル)フェノキシアセトアミド-エチル基を0.62ミリモル/g(樹脂)の割合で有するスチレン-ジビニルベンゼン共重合体〔スチレンとジビニルベンゼンの構成モル比:99対1〕からなる粒状樹脂〔米国アプライド・バイオシステムズ社製、Fmocアミドレジン〕0.1ミリモルを用いる以外は実施例1と同様にして、配列表の配列SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5及びSEQ ID NO:6を有し、N末端がアミノ基、C末端がアミド基であるペプチド(実施例2〜4)ならびにSEQ ID NO:7を有し、N末端がアミノ基、C末端がアミド基であるペプチド(実施例5)を合成した。
得られたそれぞれのペプチド樹脂について実施例1と同様にして脱保護と固相からの脱離を行い、粗生成物を精製した。
それぞれの精製ペプチドについて、分析用高速液体クロマトグラフにおける溶出時間およびFAB法マススペクトルによる分子量測定結果を第1表にまとめて示す。
Figure 2012077093
試験例−1:C3H10T1/2細胞株に対するアルカリフォスファターゼ活性誘導試験
未分化なマウス間葉系細胞株C3H10T1/2(大日本製薬(株)より購入)を10%の牛胎児血清を含むイーグルのMEM培地に、細胞濃度が3.75×104細胞/mlになるように分散して細胞培養液を調製し、これを、実施例1〜5に示すペプチド各200μgを風乾固相化した96穴プレートの各ウエルに100μLずつ分注し、5%CO2存在下、37℃で培養した。
コントロールとして、ペプチドを固相化しないウエルに、細胞を同じ個数分注し、その後ヒト組換えBMP-2(R&D Systems、Inc.)を50ng添加した。ペプチドを固相化せず、ヒト組換えBMP-2を添加しないウエルをブランクとした。
培養開始から3日後に培養上清を除去し、リン酸塩緩衝(PBS:10mM、0.15Mの食塩を含む、pH7.4)溶液で1回洗浄した。96穴プレートの各ウエルに、100μLの1%トリトンX-100を含むトリス緩衝溶液(20mM、pH8.5)を加えて、30分間静置して細胞を溶解した。細胞溶解液100μLに対し、7.5mMのパラニトロフェニルフォスフェイト(和光純薬工業(株))を含むトリス緩衝溶液(1.5M、1mMのZnCl2と1mMのMgCl2を含む、pH8.5)100μLを加えて、405nmの吸光度の増加を測定し、細胞溶解液中のアルカリフォスファターゼ活性を求めた。また、細胞溶解液の蛋白質濃度を、BCAアッセイキット(ピアス社製)を用いて求めた。
ブランクウエルのアルカリフォスファターゼ活性が0.24±0.11nmol/分・mg蛋白であったのに対し、実施例1〜5のペプチドを固相化したウエルのアルカリフォスファターゼ活性は、各々1.3±0.9nmol/分・mg蛋白、1.5±0.6nmol/分・mg蛋白、1.5±0.8nmol/分・mg蛋白、1.7±0.1nmol/分・mg蛋白、0.61±0.07nmol/分・mg蛋白であった。
これに対して、ヒト組換えBMP-2を添加したウエルでは、1.7±0.4nmol/分・mg蛋白であり、実施例1〜4に示すペプチドは、ヒト組換えBMP-2と同程度の顕著なアルカリフォスファターゼ活性の増大を引き起こした。
また、BMPファミリーの公知配列と比較することにより、実施例5の結果から、ペプチドSTLYがアルカリホスファターゼの活性に良好な影響を及ぼしていることが推測された。
実施例6
10mlのメタノールに溶解した0.6g(10mmol)のエチレンジアミン(EDA、和光純薬工業株式会社)を、2.3g(20mmol)のN-ヒドロキシコハク酸イミド(HOSu、(株)ペプチド研究所)を溶解した150mlのメタノールに室温で撹拌しながら滴下した。滴下終了後さらに1時間撹拌を続けた。析出した結晶を濾取し、減圧下に乾燥して2.6g(収率約90%)のエチレンジアミン2N-ヒドロキシコハク酸イミド塩(EDA・2HOSu)を得た。
アルギン酸ナトリウム(フナコシ株式会社、粘度550cp、M/G比1.0)の1重量%水溶液30mlに、66mgのEDA・2HOSuと0.48gの1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド塩酸塩(WSCD・HCl、(株)ペプチド研究所)を溶解して、10cm×10cmのテフロン(登録商標)被覆アルミ製トレイに流延し25℃で48時間静置して、アルギン酸の共有結合架橋ゲルを得た。
これを、2.5mMのCaCl2と143mMのNaClを溶解した注射用水(大塚製薬)で十分に洗浄し、その後注射用水のみで洗浄した。洗浄後のアルギン酸ゲルを凍結乾燥して、白色のスポンジ状ゲルを得た。
得られたスポンジ状ゲルの0.2gをジメチルホルムアミド4mlに浸漬し、6mgのN-ヒドロキシコハク酸イミドと10mgのWSCD・HClを加えて、室温で一晩振盪した。スポンジ状ゲルをメタノールとジメチルホルムアミドで良く洗浄した後、実施例2に示すペプチド13mgを含むジメチルホルムアミド溶液1mlとジイソプロピルエチルアミン0.86μLを加えて、室温で一晩振盪した。メタノールとエタノールで良く洗浄して、実施例2で示すペプチドが固定化された骨形成促進剤を得た。
試験例−2:ラット筋肉内埋植試験
実施例6で得られた骨形成促進剤0.01gを、6週齢の雄性Wistarラット(チャールスリバー・ジャパン)の下腿部筋肉内に埋植した。4週間後に、埋植部を含む周辺組織をとりだして、組織染色を行った。
その結果、von Kossa染色において埋植部位に明らかなCaの沈着が認められた。比較として、同ラットの反対側にペプチドを固定化しないスポンジ状ゲルを埋植した部位には、Caの沈着は全く認められなかった。
試験例−3:ラット脛骨欠損部位埋植試験
実施例6で得られた骨形成促進剤0.01gを、6週齢の雄性Wistarラット(チャールスリバー・ジャパン)の脛骨に人為的に作製した直径約3mmの円形の骨欠損部位に埋植した。
埋植後4週間目に、埋植部位を含む組織をとりだして組織染色を行った結果、明らかな新生骨の形成を認めた。比較として、同ラットの反対側にペプチドを固定化しないスポンジ状ゲルを埋植した部位の新生骨形成は微弱であった。

Claims (5)

  1. Asn、Cys、Pro、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Ser、Thr、Glu、Asp、LysおよびTyrからなる群より選択される、同一又は異なっていてもよいアミノ酸1〜10残基を介在するか介在せずして、SEQ ID NO:7がSEQ ID NO:2と結合した配列を有し、かつ骨形成作用を有するペプチド。
  2. Asn、Cys、Pro、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Ser、Thr、Glu、Asp、LysおよびTyrからなる群より選択される、同一又は異なっていてもよいアミノ酸1〜10残基を介在するか介在せずして、SEQ ID NO:7がSEQ ID NO:2およびSEQ ID NO:3と結合した配列を有し、かつ骨形成作用を有するペプチド。
  3. 前記SEQ ID NO:7で表されるアミノ酸配列がC末端に位置する請求項1または2に記載のペプチド。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載のペプチドを有効成分として含有する骨形成促進剤。
  5. 前記ペプチドが担体に固定化されてなる請求項4に記載の骨形成促進剤。
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