JP2012076934A - 圧電磁器、圧電素子及び圧電デバイス - Google Patents

圧電磁器、圧電素子及び圧電デバイス Download PDF

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Abstract

【課題】振動速度が高く、温度に対して共振周波数が安定である圧電磁器を提供する。
【解決手段】 式(1)で表される複合酸化物と、マンガンと、を含有し、MnCOに換算したときの前記マンガンの含有量が、上記複合酸化物に対して0.2〜3質量%である圧電磁器。
(Pb1−a )TiZr1−x−y−b(Zn1/3 2/3Sn …(1)
[式(1)中、Aはカルシウム、ストロンチウム及びバリウムから選ばれる少なくとも一種の元素を示し、Aはニオブ及びタングステンから選ばれる少なくとも一種の元素を示し、Aは少なくともニオブを含む。a、x、y及びbは、それぞれ、下記式(1a)、(1x)、(1y)及び(1b)を満たす数である。]
0≦a≦0.04 …(1a)
0.4≦x≦0.48 …(1x)
0.03≦y≦0.2 …(1y)
0.02≦b≦0.04 …(1b)
【選択図】なし

Description

本発明は、圧電磁器、圧電素子及び圧電デバイスに関する。
圧電磁器(圧電セラミックス)は、例えば、超音波モータ及び圧電トランス等のハイパワーデバイスに応用されている。これらのデバイスには、高振動速度で駆動し、大振幅の得られる材料が必要である。
高振動速度を満足する圧電磁器として、例えば、ペロブスカイト型化合物であるチタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O(PZT))系の主成分とリラクサーと呼ばれる副成分からなる圧電磁器が用いられている。また、特に高い振動速度を示す圧電磁器として、亜鉛ニオブ酸チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O−Pb(Zn,Nb)O(PZT―PZN))系の圧電磁器が提案されている(例えば、特許文献1,2を参照)。
特許第2957564号公報 特許第2957537号公報
また、上記従来の圧電磁器には、共振子として使用した場合において、共振周波数と駆動周波数のずれが大きくなると、変位が急激に低下するという問題があった。特に、室温では高い振動速度や大きな変位が得られていたとしても、温度変化に対する共振周波数の変化が大きい場合には、共振子の温度が低下したり上昇したりすると、変位の低下が大きくなるといった問題があった。すなわち、ハイパワーデバイスに用いられる圧電磁器は、共振周波数が温度に対して安定であることが望ましい。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、振動速度が高く、温度に対して共振周波数が安定である圧電磁器並びにそのような圧電磁器を備える圧電素子及び圧電デバイスを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、下記式(1)で表される複合酸化物と、マンガンと、を含有し、MnCOに換算したときの上記マンガンの含有量が、上記複合酸化物に対して0.2〜3質量%である圧電磁器を提供する。
(Pb1−a )TiZr1−x−y−b(Zn1/3 2/3Sn …(1)
式(1)中、Aはカルシウム、ストロンチウム及びバリウムから選ばれる少なくとも一種の元素を示し、Aはニオブ及びタングステンから選ばれる少なくとも一種の元素を示し、Aは少なくともニオブを含む。a、x、y及びbは、それぞれ、下記式(1a)、(1x)、(1y)及び(1b)を満たす数である。
0≦a≦0.04 …(1a)
0.4≦x≦0.48 …(1x)
0.03≦y≦0.2 …(1y)
0.02≦b≦0.04 …(1b)
本発明の圧電磁器は、上記構成を有することにより、振動速度が高く、温度に対する共振周波数が安定である。このような圧電磁器は、ハイパワーデバイスの材料として十分優れた圧電特性を有するため、圧電トランス及び超音波モータ等のハイパワーデバイスの材料として有用である。
本発明の圧電磁器が、振動速度が高く、温度に対する共振周波数が安定であるとの効果を奏する理由について、本発明者らは以下のように推測する。本発明の圧電磁器は、Zn1/3 2/3及びSnを含有し、かつAは少なくともニオブを含む。この特定の組み合わせを有することにより振動速度が高く、温度に対する共振周波数が安定なものとなると考えられる。また、aが0.06以上であると、振動速度が不十分となり、xが0.49以上又は0.39以下であると温度に対する共振周波数の安定性が低下すると考えられる。また、yが0.02以下又は0.25以上であっても、bが0.06以上又は0.01以下であっても、温度に対する共振周波数の安定性が低下すると考えられる。そして、MnCOに換算したときのマンガンの含有量が、0.1質量%以下又は4.0質量%以上であると分極が困難になると考えられる。これに対して、本発明の圧電磁器は、上記組成を有するため、振動速度が高く、温度に対する共振周波数が安定なものとなると考えられる。
本発明の圧電磁器においては、上記Aがニオブ及びタングステンを含有することが好ましい。
このような圧電磁器によれば、温度に対する共振周波数の安定性が向上する。
本発明は、上記圧電磁器を備える圧電素子を提供する。
このような圧電素子は上記圧電磁器を備えるため、振動速度が高く、温度に対する共振周波数が安定である。また、このような圧電素子は、振動速度が高く、温度に対する共振周波数が安定であることから、圧電トランス、超音波モータをはじめ、超音波振動子、共振変位を利用した圧電アクチユエータなどのデバイス材料として有用である。
本発明は、上記圧電素子を備える圧電デバイスを提供する。
このような圧電デバイスは、上記圧電素子を備えるため、十分に高い出力を有する。
本発明によれば、振動速度が高く、温度に対して共振周波数が安定である圧電磁器並びにそのような圧電磁器を備える圧電素子及び圧電デバイスを提供することができる。
本発明に係る圧電素子の好適な一実施形態を示す斜視図である。 本発明に係る圧電素子の別の実施形態を示す断面図である。 評価に用いた振動速度測定装置の概要を示す説明図である。
以下、場合により図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図面において、同一または同等の要素には同一の符号を付与し、重複する説明を省略する。
本実施形態の圧電磁器は、下記式(1)で表される複合酸化物と、マンガンと、を含有し、MnCOに換算したときのマンガンの含有量が、上記複合酸化物に対して0.2〜3質量%であるものである。
(Pb1−a )TiZr1−x−y−b(Zn1/3 2/3Sn …(1)
式(1)中、Aはカルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)及びバリウム(Ba)から選ばれる少なくとも一種の元素を示し、Aはニオブ(Nb)及びタングステン(W)から選ばれる少なくとも一種の元素を示し、Aは少なくともニオブを含む。a、x、y及びbは、それぞれ、下記式(1a)、(1x)、(1y)及び(1b)を満たす数である。
0≦a≦0.04 …(1a)
0.4≦x≦0.48 …(1x)
0.03≦y≦0.2 …(1y)
0.02≦b≦0.04 …(1b)
このような圧電磁器は、振動速度が高く、温度に対して共振周波数が安定である。また、このような圧電磁器は、ハイパワーデバイスの材料として十分優れた圧電特性を有するため、圧電トランス及び超音波モータ等のハイパワーデバイスの材料として有用である。
上述のとおり、aは0〜0.04の範囲である。振動速度をより高める等の観点からは、aは0〜0.02の範囲であることが好ましい。
上述のとおり、xは0.4〜0.48の範囲である。温度に対する共振周波数の安定性をより向上させる等の観点からは、xは0.4〜0.47の範囲であることが好ましい。
上述のとおり、yは0.03〜0.2の範囲である。温度に対する共振周波数の安定性をより向上させる等の観点からは、yは0.03〜0.12の範囲であることが好ましく、0.03〜0.09の範囲であることがより好ましい。
上述のとおり、Aは、Ca,Sr,Baから選ばれる少なくとも一種の元素である。温度に対する共振周波数の安定性をより向上させる等の観点からは、Aは、Caであることが好ましい。
温度に対する共振周波数の安定性をより向上させる等の観点から、Aは、ニオブ及びタングステンを含有することがより好ましい。
が、ニオブ及びタングステンを含有する場合において、ニオブ及びタングステンの合計量に対するタングステンの量は、モル基準で0〜0.83であることが好ましく、0〜0.5であることがより好ましい。
上述のとおり、本実施形態の圧電磁器において、MnCOに換算したときのマンガンの含有量は、式(1)で表される複合酸化物に対して0.2〜3質量%である。この含有量は、分極の容易さ、振動速度をより高める等の観点から、0.2〜1質量%であることが好ましく、0.2〜0.4質量%であることがより好ましい。
圧電磁器として実用に十分な振動速度が得られる等の観点から、式(1)で表される複合酸化物の含有量は、圧電磁器全体を基準として、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、98質量%以上であることが更に好ましい。
上記圧電磁器は、上記式(1)で表される複合酸化物及びマンガン以外の成分を含むこともできる。このような成分としては、例えば、Fe、Co、Sc、Ga、Cr、Mg、Cuが挙げられる。上記圧電磁器がこのような成分を含む場合には、式(1)で表される複合酸化物に対する当該成分の含有量が、0.1〜1質量%であることが好ましく、0.1〜0.5質量%であることがより好ましい。
ここで、圧電磁器の組成は、例えば、X線回折やICP発光分光分析で測定することができる。
また、上記圧電磁器は通常、焼結体、すなわち多結晶体で構成されるが、当該圧電磁器中のマンガンは、式(1)で表される複合酸化物に固溶した化合物であってもよく、酸化物などの化合物として上記複合酸化物の結晶粒の粒界に偏析していてもよい。
上記圧電磁器の相対密度は、95%以上の相対密度を有することが好ましい。ここで、本明細書において、相対密度とは、理論密度に対する、密度の実測値をいう。なお、理論密度は、X線回折によって求めた格子定数と、完全結晶を仮定して求めた量論比により計算される。このように高い相対密度を有する圧電磁器によれば、振動速度及び温度に対する共振周波数の安定性がより向上する。圧電磁器の相対密度は、例えば、アルキメデス法によって測定することができる。ここで、圧電磁器の相対密度は、焼成温度や焼成時間を変えることによって調整することができる。
上記圧電磁器の結晶粒径は、3μmを超えると抗折強度が大きく低下するため、好ましくは3μm以下であり、より好ましくは1μm以下である。ここで、本明細書において、圧電磁器の結晶粒径とは円面積相当径をいう。
以上、本実施形態の圧電磁器について説明したが、当該圧電磁器は、振動速度が高く、温度に対して共振周波数が安定であるため、例えば、超音波モータ、圧電トランス等に用いられる圧電素子に好適に用いることができる。
次に、本実施形態の圧電磁器を備える圧電素子について、振動子を例として、説明する。
図1は、本発明に係る圧電素子(振動子)の好適な一実施形態を示す斜視図である。図1に示す振動子20は、圧電磁器5と、圧電磁器5を挟むようにして圧電磁器5の対向面上にそれぞれ設けられる一対の電極2,3を備える。電極2,3はAg等の金属で構成される。また、圧電磁器5は、本実施形態に係る圧電磁器である。
圧電磁器5は、例えば、厚さ方向、すなわち一対の電極2,3が対向する方向に分極されており、電極2,3を介して電圧が印加されると長辺方向伸び振動する。
圧電磁器5の寸法は、用途に応じて適宜選択すればよいが、通常、縦10〜50mm×横3〜10mm×厚み1〜3mm程度であることが好ましい。
電極2,3の寸法についても、用途に応じて適宜選択すればよい。
次に、図1に示す振動子20の製造方法の一例について以下に説明する。
まず、圧電磁器5の出発原料として、酸化鉛(PbO)、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ニオブ(Nb)、酸化錫(SnO)、並びに、必要に応じて、炭酸カルシウム(CaCO)、炭酸ストロンチウム(SrCO)炭酸バリウム(BaCO)及び炭酸マンガン(MnCO)等の粉末を準備する。
そして、本焼成後の圧電磁器(焼結体)が、本実施形態に係る圧電磁器の組成を満たすものとなるように、上記粉末原料を秤量する。
次に、秤量した各原料粉末を、ボールミル等により湿式混合する。そして、湿式混合により得られた混合物を仮焼することにより仮焼物を得る。ここで、仮焼は、通常空気中で施される。また、仮焼温度は700〜850℃であることが好ましく、仮焼時間は2時間程度が好ましい。
得られた仮焼物を、ボールミル等で湿式粉砕した後、これを乾燥させることにより、仮焼物粉体を得る。次いで、得られた仮焼物粉体に少量の結合剤を添加し、プレス成形することにより、成形体を得る。ここで、成形圧力は5t/cm程度であることが好ましい。成形体の形状に特に制限はなく、例えば、平面寸法50mm×50mm、厚さ10mm程度の板状成形体とすることができる。
そして、得られた成形体を焼成することにより圧電磁器試料を得る。ここで、焼成は、通常空気中で施される。また、焼成温度は950〜1200℃であることが好ましく、焼成時間は2時間程度であることが好ましい。
次いで、得られた圧電磁器試料を、所望の寸法に切出し、さらに、両面に、銀等の金属電極を焼き付ける。切出しの寸法に特に制限はなく、例えば、12mm×3mm、厚さ1mm程度の寸法とすることができる。
そして、電極が焼き付けられた圧電磁器試料を、120℃程度のシリコーンオイル中において、分極処理をすることにより振動子20を製造できる。分極処理の条件に特に制限はないが、例えば、2kV/mm程度の電界により、厚み方向に30分間程度の分極処理を施すことが好ましい。
図2は本発明に係る圧電素子(振動子)の別の実施形態を示す断面図である。図2に示す積層型の振動子(圧電振動素子)である積層型圧電素子10は、直方体状の積層体11と、この積層体11の対向する端面にそれぞれ形成された一対の端子電極17A,17Bとを備えている。
積層体11は、圧電体層12を介して内部電極層(電極層)13A,13Bを交互に積層してなる素体14と、この素体14をその積層方向の両端面側(図中上下方向)から挟み込むように設けられた一対の保護層15及び16とから構成される。素体14においては、圧電体層12と内部電極層13A,13Bとが交互に積層されている。
圧電体層12は、本実施形態に係る圧電磁器からなる層である。
圧電体層12の1層当たりの厚さは、任意に設定することができるが、例えば1〜100μmにすることができる。
内部電極層13A,13Bはそれぞれ平行となるように設けられている。内部電極層13Aは、一方の端部が積層体11における端子電極17Aが形成された端面に露出するように形成されている。また、内部電極層13Bは、一方の端部が積層体11における端子電極17Bが形成された端面に露出するように形成されている。さらに、内部電極層13Aと内部電極層13Bとは、これらの大部分が積層方向に重なり合うように配置されている。そして、内部電極層13A,13B間に挟まれた圧電体層12の活性領域18は、内部電極層13A,13Bに電圧を印加したときに積層方向に伸縮(変位)する活性部分となる。一方、内部電極層13A,13B間に挟まれていない領域19は不活性部分(不活性領域)である。
内部電極層13A,13Bの材質としては、例えば、Au,Pt,Pd,Ni,Cu若しくはAg等の金属、又はこれらの金属を2種以上含有する合金(Ag−Pd合金など)が用いられる。
保護層15,16は、セラミックスから構成され、圧電磁器で構成される層であることが好ましい。この保護層15,16を形成する圧電磁器としては、圧電体層12と同様のものが挙げられる。なお、図2においては、保護層15,16が圧電体層12と同様のものである場合を例示しているが、保護層15,16は、圧電体層12とは異なる層であってもよい。
端子電極17A,17Bは、これらが設けられている積層体11の端面において、当該端面に露出している内部電極層13A,13Bの端部とそれぞれ接している。これにより、端子電極17A,17Bは、内部電極層13A,13Bとそれぞれ電気的に接続される。この端子電極17A,17Bは、Ag,Au,Cu等を主成分とする導電材料から構成することができる。端子電極17A,17Bの厚さは、用途や積層型圧電素子のサイズ等によって適宜設定されるが、例えば10〜50μmにすることができる。
次に積層型圧電素子10の製造方法の一例について説明する。
積層型圧電素子10の製造方法においては、まず、上述の圧電磁器5の製造方法と同様にして仮焼物粉体を得る。続いて、当該仮焼物粉体に、有機バインダ、有機溶剤、有機可塑剤等を加えてボールミル等により20時間程度の混合を行い、圧電体ペーストを得る。
そして、この圧電体ペーストを、例えばドクターブレード法によって、ポリエチレンテレフタレート(PET)製のベースフィルム上等に塗布して、圧電体層12を形成するための圧電体グリーンシートを得る。この圧電体グリーンシートは、上記仮焼物粉体及びバインダを主に含有する構成を有する。
その後、圧電体グリーンシート上に、スクリーン印刷法等により内部電極層13A,13B形成用の電極ペーストを塗布し、この電極ペーストからなる電極ペースト層を形成する。こうして、圧電体グリーンシート上に電極ペースト層を備える積層用シートを得る。この際、電極ペースト層は、上述した内部電極層13A及び13Bの形状が得られるようなパターンでそれぞれ形成する。
ここで、電極ペースト層を形成するための電極ペーストは、Au,Pt,Pd,Ni,Cu若しくはAg等の金属、又はこれらの金属を2種以上含有する合金(Ag−Pd合金など)、バインダ及び有機溶剤を含むものである。バインダ及び有機溶剤としては、公知のものが使用できる。電極ペースト中の金属の合計含有量は、40質量%以上とすることが好ましく、50〜60質量%とすることがより好ましい。
次に、積層用シートを、電極ペースト層と圧電体グリーンシートとが交互に配置されるように複数重ねるとともに、この積層構造の積層方向の両端面の表面上に、更に圧電体グリーンシートを複数層ずつ積層する。こうして得られた積層体を、適宜加熱しながら積層方向に加圧し、更に必要に応じて所望のサイズに切断することで、積層体グリーン(積層体)を得ることができる。
その後、この積層体グリーンを、マグネシアセッター等に載置した後、大気雰囲気中で加熱することにより、圧電体グリーンシート及び電極ペースト層中に含まれるバインダや有機溶剤を除去する脱脂処理を行う。
それから、脱バインダ後の積層体グリーンに対し、密閉された容器中(空気雰囲気)で、焼成処理(本焼成)を行い、積層体11を得る。なお、当該焼成処理における焼成温度及び焼成時間はそれぞれ、900〜1015℃及び1〜10時間であることが好ましい。この本焼成処理において、圧電体グリーンシート及び電極ペースト層が一体焼成され、電極ペースト層から内部電極層13A,13Bが形成され、内部電極層13A,13B間に挟まれた圧電体グリーンシートから圧電体層12が形成される。また、積層体グリーンの積層方向の両端面上に積層された圧電体グリーンシートから、保護層15,16がそれぞれ形成される。
次に、得られた積層体11の積層方向に平行であり互いに対向している端面(内部電極層13A,13Bの端部が露出している端面)に、端子電極17A,17Bをそれぞれ焼き付ける。具体的には、端子電極17A,17Bを構成する金属、有機バインダ等を含む端子電極形成用のペーストを積層体11の上記端面に塗布した後、これを焼成することで、端子電極17A,17Bが形成される。このようにして、図2に示す構造を有する積層型圧電素子10が得られる。なお、端子電極17A,17Bは、上記の焼付けのほか、スパッタリング、蒸着、無電解めっき等の方法によっても形成することができる。
そして、例えば、この積層型圧電素子10に対し、室温〜120℃の環境下、端子電極17A,17B間に電界強度が1〜3kV/mmとなるように10〜30分間程度電圧を印加する分極処理を行うことで、積層型圧電素子10を得ることができる。
以上、本実施形態の圧電磁器を備える圧電素子について振動子を例として、説明したが、このような圧電素子は、振動速度が高く、温度に対する共振周波数が安定であるため、例えば、圧電トランス、超音波モータをはじめ、超音波振動子、共振変位を利用した圧電アクチユエータ等の圧電デバイスに好適に用いることができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記振動子において、圧電磁器以外の構成として、公知のものを用いることもできる。また、例えば、上記振動子の製造において、当該仮焼物粉体を水熱合成法等により製造することもできる。
以下、実施例及び比較例を用いて、本発明を更に詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜35、比較例1〜8)
圧電磁器を作製するため、出発原料として、酸化鉛(PbO)、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ニオブ(Nb)、酸化錫(SnO)炭酸カルシウム(CaCO)、炭酸ストロンチウム(SrCO)炭酸バリウム(BaCO)及び炭酸マンガン(MnCO)の粉末を準備した。
本焼成後の圧電磁器(焼結体)が、表1及び2の組成を満たすものとなるように、上記粉末原料を秤量した。なお、ここで、表1及び2中のa,b,x及びyは、それぞれ下記式(1)におけるa,b,c,x及びyの数値を示し、A及びAは、下記式(1)におけるA,Aの元素を示す。また、cは、式(1)表される複合酸化物に対する、MnCOに換算したときのマンガンの含有量を示す。さらに、aSr,aCa及びaBaは、Aとして2種以上の元素を用いた場合におけるSr,Ca及びBaそれぞれの内訳を示し、yZnNb及びyZnWは、AとしてNb及びWを併用した場合におけるZnNb及びZnWそれぞれの内訳を示す。
(Pb1−a )TiZr1−x−y−b(Zn1/3 2/3Sn …(1)
次に、秤量した各原料粉末を、ボールミルにより湿式混合した後、得られた混合物を、空気中において700〜850℃で2時間仮焼して仮焼物を得た。そして、得られた仮焼物をボールミルで湿式粉砕して、仮焼物粉体を得た。次いで、仮焼物粉体に少量の結合剤を添加し、約5t/cmの圧力で成形し、平面寸法50mm×50mm、厚さ10mmの板状成形体を得た。
次に、得られた成形体を空気中において950〜1200℃で2時間焼成して、圧電磁器試料を得た。得られた圧電磁器試料について密度測定を行ったところ、すべての試料の密度が、理論密度に対し95%以上であった。
得られた圧電磁器試料を、12mm×3mm、厚さ1mmとなるように切出し、両面にAg電極を焼き付けた。次いで、120℃のシリコーンオイル中において、2kV/mmの電界により厚み方向に30分間分極を行い、振動子を得た。
得られた各振動子のハイパワー駆動特性を調べた。図3に示すように、測定素子の電極の中央部をコンタクトプローブにより保持し、駆動電圧150V、駆動波形は矩形波とし、あらかじめインピーダンスアナライザーで求めた共振周波数近傍の数値とした駆動周波数の信号を印加した。このとき、レーザードップラー変位計により測定した値から振動速度、また、放射温度計から発熱量を求めた。
次に、−20℃〜80℃における共振周波数をインピーダンスアナライザーにより測定し、−20℃〜80℃における共振周波数の最大値(Fr(max))及び最小値(Fr(min))並びに20℃における共振周波数(Fr(20℃))を決定した。そして、これらの数値及び下記式(α)より、共振周波数の変化率(ΔFr)を求めた。
ΔFr=(Fr(max)−Fr(min))/Fr(20℃) …(α)
振動速度及びΔFrの算出結果を表1及び2に示す。
以上より、実施例1〜35の圧電磁器は、振動速度が実用上十分に高く、温度特性の変化率も1%未満と安定した値を有することを確認した。また、比較例1〜8の圧電磁器は、高い振動速度及び温度特性の変化率の安定性の両立の面で、実施例1〜35の圧電磁器に劣ることを確認した。
5…圧電磁器、2,3…電極、20…振動子、10…積層型圧電素子、11…積層体、12…圧電体層、13A,13B…内部電極層、14…素体、15,16…保護層、17A,17B…端子電極、18…活性領域、19…不活性領域。

Claims (4)

  1. 下記式(1)で表される複合酸化物と、
    マンガンと、を含有し、
    MnCOに換算したときの前記マンガンの含有量が、前記複合酸化物に対して0.2〜3質量%である圧電磁器。
    (Pb1−a )TiZr1−x−y−b(Zn1/3 2/3Sn …(1)
    [式(1)中、Aはカルシウム、ストロンチウム及びバリウムから選ばれる少なくとも一種の元素を示し、Aはニオブ及びタングステンから選ばれる少なくとも一種の元素を示し、Aは少なくともニオブを含む。a、x、y及びbは、それぞれ、下記式(1a)、(1x)、(1y)及び(1b)を満たす数である。]
    0≦a≦0.04 …(1a)
    0.4≦x≦0.48 …(1x)
    0.03≦y≦0.2 …(1y)
    0.02≦b≦0.04 …(1b)
  2. 前記Aがニオブ及びタングステンを含有する、請求項1に記載の圧電磁器。
  3. 請求項1又は2に記載の圧電磁器を備える圧電素子。
  4. 請求項3に記載の圧電素子を備える圧電デバイス。
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