JP2012073137A - 回転体のアンバランス修正方法及びアンバランス修正量演算装置 - Google Patents

回転体のアンバランス修正方法及びアンバランス修正量演算装置 Download PDF

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Abstract

【課題】判定回転数範囲内の振動値を規格以下とする。
【解決手段】アンバランス修正方法は、初期振動測定工程S1、仮修正工程S2及びアンバランス状態確認工程S3及び修正ベクトル集合範囲演算工程S4の実施により仮修正前及び仮修正後の回転体の振動状態を判定回転数範囲内の複数の回転数において測定し、各回転数における振動ベクトルから振動値が振動規格を満たす修正ベクトルの先端の集合範囲を回転数毎に演算する。そして、適正修正量設定工程S5で各回転数の前記集合範囲の重なる領域に先端を有する修正ベクトルから本修正ベクトルを選定し、本修正ベクトルに基づいて修正量及び修正位相を設定し、その修正量及び修正位相に基づいてアンバランス修正工程S6で回転体のアンバランス修正を行なう。
【選択図】図1

Description

本発明は、回転体のアンバランス修正方法及びアンバランス修正量演算装置に関する。
ターボチャージャ、回転電機、発電用タービン等の回転機器においては、回転体の回転により発生する振動を低減するために、回転機器の各構成部品の精度を高めるだけでなく、組み立てられた回転機器のアンバランスの修正(不釣合いの修正)が行なわれる。従来、ターボチャージャアッセンブリに対するアンバランス修正方法として、2回の修正により、ターボチャージャアッセンブリのアンバランスを精度良く修正する方法が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1の方法では、ターボチャージャアセンブリに対して2回の測定および2回の修正を行う。第1の測定では初期不釣合いを測定し、第1の修正ではその初期不釣合いを取り除くようにする。そして第1の修正が行われたターボチャージャアセンブリに対して第2の測定を行って残留不釣合いを測定する。測定された残留不釣合いを、そのまま修正するのではなく、第1の測定で測定された初期不釣合いと第1の修正で実際に修正された修正量との比に基づいて測定された残留不釣合いを補正する。そして補正された残留不釣合いを修正するように第2の修正を行う。
また、回転体の特定の回転数(多くは実働のときの回転数)のみの不釣合いを検出し、これに基づいてアンバランスの修正を行なったり、回転体を剛体としてアンバランス修正を行なったりするアンバランス修正方法の問題を改良する釣合い試験機も提案されている(特許文献2参照)。特許文献2の釣合い試験機は、ロータ(回転体)を保持する保持部材を有して任意の回転数で駆動されるロータ保持装置と、ロータの回転数を検出する回転数検出器と、ロータの軸方向位置の一又は複数の個所で当該位置におけるロータの不釣合い振動を検出する振動検出器とを有する。釣合い試験機は、両検出器で最低回転数から最高回転数までの間の予め設定した任意の回転数ごとのロータの不釣合い振動を計測し、この計測結果を基に予め設定したロータの軸方向特定位置(修正面)に付加又は削除する修正重りを計算する。また、釣合い試験機は、この修正重りを修正面に付加又は削除したと仮定したときの各回転数の残留振動を予測するとともに、修正重りを修正面に取り付ける重り量と位相角として表示する制御装置を有し、制御装置で表示された重り量の修正重りを実際に修正面に取り付けて、残留振動を実測し、残留振動が管理値を下回るまで繰り返す。修正重りの計算は最小二乗法で行なう。
特開2003−302305号公報 特開2005−308538号公報
特許文献1のアンバランス修正方法では、特定回転数(振動値が最大となる回転数)での振動値を0とする修正であるため、図17に実線で示すように、その特定回転数以外では振動を十分小さくすることができない場合がある。その結果、ターボチャージャのように、実用回転数が広範囲にわたっており、回転体の軸振動の規格も幅を持った回転数範囲での振動値が一定以下と設定されている回転機器の場合には、軸振動規格を満足することができない場合がある。
一方、特許文献2の釣合い試験機では、最低回転数から最高回転数までの間の予め設定した任意の回転数ごとのロータの不釣合い振動を計測し、この計測結果を基に修正重りを計算する一方、この修正重りを修正面に付加又は削除したと仮定したときの各回転数の残留振動を予測する。そのため、特許文献1の場合と異なり、幅を持った回転数範囲での回転体の振動値が一定以下と設定された軸振動規格に対応可能となる。しかし、修正重りの計算を最小二乗法で行なうため、必ずしも判定回転数範囲内で残留振動が規格内に収まらない場合が生じる。例えば、特定の回転数以外では残留振動値が極めて小さいが、特定回転数でのみ残留振動値が規格を超える場合には、最小二乗法で適正な重り量と計算された修正重りを使用しても、特定回転数での残留振動値が規格を超える可能性がある。
本発明は前記の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は判定回転数範囲内の振動値を規格以下とすることができる回転体のアンバランス修正方法及びアンバランス修正量演算装置を提供することにある。
前記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、仮修正前及び仮修正後の回転体の振動状態を判定回転数範囲内の複数の回転数において測定し、各回転数における振動ベクトルから振動値が振動規格を満たす修正ベクトルの先端の集合範囲を回転数毎に演算し、各回転数の前記集合範囲の重なる領域に先端を有する修正ベクトルから本修正ベクトルを選定し、前記本修正ベクトルに基づいて修正量及び修正位相を設定し、その修正量及び修正位相に基づいて回転体のアンバランス修正を行なう。ここで、「判定回転数範囲」とは、回転体の振動値が振動規格内であるか否かの判断を行なう回転数の範囲を意味し、使用時における回転体の回転数範囲(使用回転数範囲)の中で選択され、必ずしも使用回転数範囲と同じではない。また、「本修正ベクトル」とは、仮修正後に最終的にアンバランスを修正するための修正量及び修正位相を有する修正ベクトルを意味する。
この発明では、仮修正前及び仮修正後の回転体の振動状態が判定回転数範囲内の複数の回転数において測定され、両振動状態の各回転数における振動ベクトルから、振動値が振動規格を満たす修正ベクトルの先端の集合範囲が回転数毎に演算される。次にその集合範囲の重なる領域に先端を有する修正ベクトルから本修正ベクトルが選定され、その本修正ベクトルに基づいて最終的にアンバランス修正を行うための修正量及び修正位相が設定される。そして、その修正量及び修正位相に基づいて回転体のアンバランス修正が行なわれる。したがって、判定回転数範囲内の振動値を規格以下とすることができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記仮修正を行なうときの修正位相は、治具固有振動数に対応する回転体の回転数における初期振動位相に基づいて設定される。ここで、「治具固有振動数」とは、回転体の振動状態を測定する際に使用する治具に回転体を支持した状態における非回転時の治具及び回転体を含む全体の固有振動数を意味する。
請求項1に記載のアンバランス修正方法を実施した場合、仮修正前の回転体のアンバランス状態によっては仮修正を行う際に、修正位相を所定の範囲内で行わないと適切な本修正ベクトルを設定できない虞がある。しかし、この発明では、仮修正を行なうときの修正位相がより適切な値となり、仮修正前の回転体のアンバランス状態に拘らずより適切な本修正ベクトルを設定することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記仮修正を行なうときの修正量は、初期振動値の平均値と初期状態アンバランス量との関係に基づいて演算される。請求項1に記載のアンバランス修正方法を実施した場合、仮修正前の回転体のアンバランス状態により、仮修正を行う際の修正量によっては本修正ベクトルに基づいて決定された修正量及び修正位相でアンバランス修正を行なっても、修正後の振動値が予想振動値からずれて、振動値が振動規格を満たさない状態になる虞がある。しかし、この発明では、仮修正を行なうときの修正量がより適正な修正量になり、本修正ベクトルに基づいて決定された修正量及び修正位相でアンバランス修正を行なった後の振動値がより確実に振動規格を満たすようになる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記本修正ベクトルとして、前記集合範囲の重なる領域に先端を有する修正ベクトルのうち最も修正効果の高いものを選定する。したがって、この発明では、本修正ベクトルとして最適な修正ベクトルが選定される。
請求項5に記載の発明は、回転体の回転速度を検出する回転数計測手段と、振動値計測手段と、振動位相計測手段と、判定回転数範囲内の複数の回転数において測定された仮修正前の振動状態及び仮修正後の振動状態に基づき、各回転数における振動ベクトルから振動値が振動規格を満たす修正ベクトルの先端の集合範囲を回転数毎に演算し、各回転数の前記集合範囲の重なる領域に先端を有する修正ベクトルから本修正ベクトルを選定し、前記本修正ベクトルに基づいて回転体のアンバランス修正のための適正修正量を演算する演算手段とを備えている。ここで、「適正修正量」とは、アンバランス修正に必要な修正量と修正位相とを意味する。
この発明のアンバランス修正量演算装置では、請求項1のアンバランス修正方法を実施する場合の手順のうち、本修正ベクトルに基づいて最終的にアンバランス修正を行うための修正量及び修正位相を決定するまでを実施することができる。したがって、決定された修正量及び修正位相で最終的にアンバランス修正を行なえば、回転体の判定回転数範囲内の振動値を規格以下とすることができる。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記演算手段は、前記仮修正を行なうときの修正位相を、治具固有振動数に対応する回転体の回転数における初期振動位相に基づいて設定する。したがって、この発明では、仮修正前の回転体のアンバランス状態に拘らず適切な本修正ベクトルを設定することができる。
請求項7に記載の発明は、請求項5又は請求項6に記載の発明において、前記演算手段は、前記仮修正を行なうときの修正量を、初期振動値の平均値と初期状態アンバランス量との関係に基づいて演算する。したがって、この発明では、仮修正を行なうときの修正量が適正修正量になり、本修正ベクトルに基づいて決定された修正量及び修正位相でアンバランス修正を行なった後の振動値が必ず振動規格を満たすようになる。
本発明によれば、回転体の判定回転数範囲内の振動値を規格以下とすることができる。
第1の実施形態のアンバランス修正方法の手順を示すフローチャート。 修正装置及び回転機器の概略図。 (a)は初期振動状態の回転数と振動値との関係を示すグラフ、(b)は初期振動状態の回転数と位相との関係を示すグラフ。 回転体の振動ベクトルと振動規格との関係をモード円で示す図。 (a),(b)は特定回転数の振動値を規格内にする修正ベクトルを求める操作を示す模式図。 (a),(b)は各回転数の振動値を規格内にする修正ベクトルを求める操作を示す模式図。 アンバランス修正前後の回転数と振動値との関係を示すグラフ。 各回転数の修正ベクトルの集合範囲を表す円が重ならない場合の概略図。 試し重り取付け具の正面図。 (a),(b),(c),(d)は解なし位置のある異なるワークにおける試し重りの取付け位置と解あり及び解なしの関係を示す模式図。 第2の実施形態のアンバランス修正方法の仮修正工程のフローチャート。 (a),(b)は初期振動、試し修正振動、本修正後振動の関係を示す模式図。 初期状態アンバランス量と初期振動平均値との関係を示すグラフ。 第3の実施形態のアンバランス修正方法の仮修正工程のフローチャート。 (a),(b),(c),(d)は従来のインペラナット研削方法を説明するための模式図。 (a),(b),(c),(d)は第4の実施形態のインペラナット研削方法を説明するための模式図。 第1の特許文献の方法で修正を行なった場合の問題を示すグラフ。
(第1の実施形態)
以下、本発明を自動車用ターボチャージャのアンバランス修正方法に具体化した第1の実施形態を図1〜図7にしたがって説明する。
アンバランス修正方法は、図1に示すように、初期振動測定工程S1、仮修正工程S2、アンバランス状態確認工程S3、修正ベクトル集合範囲演算工程S4、適正修正量設定工程S5及びアンバランス修正工程S6を備えている。
初期振動測定工程S1では、回転機器としてのターボチャージャの初期振動状態、即ち仮修正前の振動状態が判定回転数範囲内の複数の回転数において測定され、各回転数において回転数と振動値との関係及び回転数と位相との関係が求められる。
仮修正工程S2では、任意の修正ベクトルに基づいて仮修正を行う。アンバランスを修正するには、重りを付加する方法と、修正部を削除する方法とがあるが、この実施形態では削除する方法が行われる。
アンバランス状態確認工程S3では、仮修正が行われた後のターボチャージャの振動状態が判定回転数範囲内の複数の回転数において測定される。測定結果から振動規格を示す円と、各回転数における振動ベクトルとの関係が求められる。
修正ベクトル集合範囲演算工程S4では、アンバランス状態確認工程S3で求められた判定回転数範囲内の複数の回転数における振動ベクトルと、振動規格を示す円との関係と、初期振動測定工程S1で測定された振動のアンバランスを修正する修正ベクトルとに基づいて、判定回転数範囲内の各回転数における修正ベクトルについて集合範囲を演算する。
適正修正量設定工程S5では、修正ベクトル集合範囲演算工程S4で演算された各回転数における修正ベクトルの集合範囲の重なる領域に基づいて一つの本修正ベクトルを選定し、その本修正ベクトルの振動値と位相から適正修正量を演算、設定する。
アンバランス修正工程S6では、適正修正量設定工程S5で演算された修正量及び修正位相に基づいて修正加工が行われる。
前記アンバランス修正方法を実施するための修正装置は、図2に示すように、ベースプレート10上に吸振ゴム11を介して固定された取付け用治具12と、振動ピックアップ13と、回転数計測手段としてのレーザー回転計14と、FFTアナライザー15と、演算手段としての制御装置16と、修正加工装置17とを備えている。ベースプレート10、吸振ゴム11、取付け用治具12、振動ピックアップ13、レーザー回転計14、FFTアナライザー15及び制御装置16によりアンバランス修正量演算装置が構成されている。振動ピックアップ13及びFFTアナライザー15により振動値計測手段及び振動位相計測手段が構成されている。
取付け用治具12には、取付け用治具12上に取り付けられたターボチャージャ20の吸気口(図示せず)に圧縮空気を供給するため、工場エアの供給配管31が連結されている。供給配管31にはターボチャージャ20に供給される圧縮空気の流量を調整する流量調整弁32が設けられ、流量調整弁32を調整することによりターボチャージャ20のタービンホイールの回転速度が調整可能になっている。
振動ピックアップ13は、取付け用治具12上に取り付けられたターボチャージャ20の振動を測定し、測定信号がFFTアナライザー15へ出力される。レーザー回転計14は、取付け用治具12上に取り付けられたターボチャージャ20のインペラ21の回転数を測定し、測定信号がFFTアナライザー15へ出力される。
FFTアナライザー15は、振動ピックアップ13及びレーザー回転計14の測定信号に基づいて、周波数解析を行い、その結果を制御装置16へ出力する。
制御装置16は、FFTアナライザー15の出力信号に基づいて、判定回転数範囲内の複数の回転数において測定された仮修正前の振動状態及び仮修正後の振動状態に基づき、各回転数における振動ベクトルから振動値が振動規格を満たす修正ベクトルの先端の集合範囲を回転数毎に演算する。また、制御装置16は、各回転数の前記集合範囲の重なる領域に先端を有する修正ベクトルから本修正ベクトルを選定し、その本修正ベクトルに基づいて回転体のアンバランス修正のための適正修正量、即ち修正量及び修正位相(修正方向)を演算する。この実施形態では振動値として加速度が用いられている。制御装置16は、適正修正量に基づいて修正量と修正位相の信号を修正加工装置17に出力する。
修正加工装置17は、制御装置16から出力された信号に基づいてアンバランス修正を行う。修正加工装置17は、インペラ21をシャフトに固定するインペラナット22を切削することにより、アンバランス修正を行う。
次に前記のように構成された修正装置の作用を説明する。
図2に示すように、取付け用治具12を介して修正装置の所定位置にターボチャージャ20を取り付けた状態で、図1のフローチャートに従ってアンバランス修正方法が実施される。
先ず、制御装置16は、初期振動測定工程S1で判定回転数範囲内において、振動ピックアップ13及びレーザー回転計14の測定信号をFFTアナライザー15を介して入力して、ターボチャージャ20の初期振動状態を確認(把握)する。詳述すると、流量調整弁32を調整して判定回転数範囲として、例えば、60000rpm〜85000rpmの範囲において、200rpm間隔でインペラ21の回転数を変更し、各回転数における振動ピックアップ13及びレーザー回転計14の測定信号をFFTアナライザー15を介して入力する。そして、図3(a)及び図3(b)に示すように、回転数と振動値との関係及び回転数と位相との関係が求められる。
図3(a)に示すように、例えば、回転数80000rpmで振動値が最大となっており、図3(b)に示すように、そのときの位相は−109degである。この関係を、振動値を原点からの距離で表わし、位相を基準軸からの角度で表わす座標系においてモード円法で表すと、図4に示す状態、即ち振動ベクトル先端の軌跡である曲線Cとなる。図4において、原点から右側へ延びる軸が基準軸となり、位相は基準軸から反時計方向に向かって計測した場合にプラスで表され、時計方向に向かって計測した場合にマイナスで表される。また、図4において、原点を基端とし、曲線C上の1点を先端とする直線がその回転数における振動ベクトルになる。図4では回転数80000rpmにおける振動ベクトルが図示されている。また、図4には振動規格が原点を中心とした円で表わされている。図4において、回転数を示す曲線Cのうち振動規格の円内に存在する部分以外の部分は振動規格を満たしていないことを表す。
次に仮修正工程S2に進み、アンバランスの仮修正を行う。仮修正は、任意の修正ベクトルに基づいて仮修正を行う。具体的には、制御装置16は、例えば最大振動値の回転数における振動ベクトルに対応する修正ベクトルを演算し、その修正ベクトルの振動値と位相に基づいて演算した修正量と修正方向の信号を修正加工装置17に出力する。修正加工装置17は、制御装置16から出力された信号に基づいてインペラナット22の切削を行う。
次にアンバランス状態確認工程S3に進み、制御装置16は、判定回転数範囲内の複数の回転数において、振動ピックアップ13及びレーザー回転計14の測定信号を、FFTアナライザー15を介して入力して、ターボチャージャ20の振動状態を確認把握する。そして、初期振動測定工程S1と同様に判定回転数範囲内の複数の回転数において、回転数と振動値との関係及び回転数と位相との関係が求められる。次に制御装置16は、振動規格を示す円と、判定回転数範囲内の200rpm間隔の各回転数における振動ベクトルとの関係を求める。詳述すると、各回転数と、振動値と、位相との関係に基づいて、図5(a)に示すように、各回転数における振動ベクトルの先端の位置を示す曲線Cを、振動値を原点からの距離で表わし、位相を基準軸からの角度で表わす座標系において表す。各回転数における振動ベクトルの先端は図5(a)に示す曲線上の点として表わされる。図5(a)の座標の原点と各回転数における振動ベクトルの先端を示す曲線C上の点とを結ぶ直線がそれぞれ各回転数における振動ベクトルになる。
次に修正ベクトル集合範囲演算工程S4に進み、制御装置16は、アンバランス状態確認工程S3で求められた判定回転数範囲内の各回転数における振動ベクトルと、振動規格を示す円との関係に基づいて、各回転数における修正ベクトルについて集合範囲を演算する。特定回転数θrpmの振動値を振動規格内にする修正ベクトルは1つに限らない。例えば、図5(a)に示すように、曲線C上の特定回転数に対応する点θと、振動規格の円内の点(3点のみ代表例として図示)とを結ぶ各ベクトルV1,V2,V3に対応して、図5(b)に示すように、それぞれ修正ベクトルV1s,V2s,V3sが存在する。図5(b)に示すように、図5(a)の各ベクトルV1,V2,V3に対応して演算された全ての修正ベクトルV1s,V2s,V3sの先端が存在する円AS内が修正ベクトルの集合範囲となる。
次に適正修正量設定工程S5に進み、制御装置16は、図6(a)に示す規格化前の回転数を表わす曲線C上の各回転数における修正ベクトルの集合範囲を演算して、各回転数に対応する修正ベクトルの集合範囲を演算する。各回転数に対応する修正ベクトルの集合範囲は、図6(b)に示すように、一部が他の円ASと重なる円ASとして表わされる。図6(b)において、座標の原点と、各円ASの重なり領域Ao内の1点とを結び、原点側を基端とするベクトルが、アンバランス修正後においてターボチャージャ20の判定回転数範囲内の各回転数における振動値を振動規格内にする適正修正量を示す修正ベクトルになる。制御装置16は、適正修正量を示す修正ベクトルの全てに対して、その修正ベクトルに基づいて演算される修正量及び修正位相で修正が行われた場合のアンバランス修正効果のシミュレーションを演算で行い、最も修正効果の高いものを本修正ベクトルに選定し、本修正ベクトルの振動値と位相から適正修正量(修正量及び修正位相)を演算する。
次にアンバランス修正工程S6に進み、制御装置16は、適正修正量設定工程S5で設定した適正修正量に対応するインペラナット22の修正量(切削量)と、修正位相(切削位置)とを示す指令信号を修正加工装置17に出力する。修正加工装置17は、その指令信号に基づいてインペラナット22の切削加工を行う。アンバランス修正工程S6終了後、ターボチャージャ20の振動値と回転数との関係は、図7に示すように、判定回転数範囲内で振動値が振動規格を満足する状態になる。
この実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)アンバランス修正方法は、仮修正前及び仮修正後の回転体の振動状態を判定回転数範囲内の複数の回転数において測定し、各回転数における振動ベクトルから振動値が振動規格を満たす修正ベクトルの先端の集合範囲を回転数毎に演算し、各回転数の前記集合範囲の重なる領域に先端を有する修正ベクトルから本修正ベクトルを選定する。そして、その本修正ベクトルに基づいて修正量及び修正位相を設定し、その修正量及び修正位相に基づいて回転体のアンバランス修正を行なう。したがって、判定回転数範囲内の振動値を規格以下とすることができる。
(2)本修正ベクトルとして、前記集合範囲の重なる領域に先端を有する修正ベクトルのうち最も修正効果の高いものを選定する。したがって、本修正ベクトルとして最適な修正ベクトルが選定される。
(3)修正装置は、アンバランス修正量演算装置と修正加工装置17とを備えている。アンバランス修正量演算装置は、回転体の回転速度を検出する回転数計測手段と、振動値計測手段と、振動位相計測手段と、アンバランス修正のための適正修正量を演算する演算手段とを備えている。演算手段は、判定回転数範囲内の複数の回転数において測定された仮修正前及び仮修正後の振動状態に基づき、各回転数における振動ベクトルから振動値が振動規格を満たす修正ベクトルの先端の集合範囲を回転数毎に演算し、各回転数の前記集合範囲の重なる領域に先端を有する修正ベクトルから本修正ベクトルを選定する。そして、その本修正ベクトルに基づいて回転体のアンバランス修正のための適正修正量を演算する。したがって、アンバランス修正量演算装置では、アンバランス修正方法を実施する場合の手順のうち、本修正ベクトルに基づいて最終的にアンバランス修正を行うための修正量及び修正位相を決定するまでを実施することができる。そして、決定された修正量及び修正位相で修正加工装置17が最終的にアンバランス修正を行なえば、回転体の判定回転数範囲内の振動値を規格以下とすることができる。
(第2の実施形態)
次に第2の実施形態を図8〜図11にしたがって説明する。この実施形態では、仮修正工程S2において仮修正(試し削り)を行う場合、インペラナット22の試し削りを行うときの修正位相は、治具固有振動数に対応する回転体の回転数における初期振動位相に基づいて設定される点が前記第1の実施形態と異なっている。第1の実施形態と同一部分は同一符号を付して詳しい説明を省略する。
第1の実施形態によるアンバランス修正方法を種々のワーク(ターボチャホジャ)に適用した。その結果、適正修正量設定工程S5においてワークによっては、図8に示すように、各回転数における振動ベクトルから演算した振動値が振動規格を満たす修正ベクトルの先端の集合範囲を示す円ASのうち、一部の円が他の一部の円との重なり領域がない状態になる場合が生じた。この原因を究明した結果、曲げ増幅方向に修正を行うと、見かけのアンバランス量が増幅し、アンバランスと振動との線形関係が不成立となるため、修正ベクトルの算出結果にずれが発生して、一部の円が他の一部の円との重なり領域がない状態になると考えられた。
この考えを検証するため、図9に示すように、試し重りの取付け孔25aが周方向に所定間隔で形成された試し重り取付け具25を、適正修正量設定工程S5において問題の生じたワークに取り付けるとともに、試し重りを各取付け孔25aに順次取り付けた状態で、解あり位相と解なし位相とを調べた。ここで、解あり位相とは、その位相の取付け孔25aに試し重りを取り付けた場合、適正修正量設定工程S5において、各回転数における振動ベクトルから演算され、振動値が振動規格を満たす修正ベクトルの先端の集合範囲を示す全ての円の一部の重なり領域が存在する場合の位相を意味する。また、解なし位相とは、その位相の取付け孔25aに試し重りを取り付けた場合、適正修正量設定工程S5において、各回転数における振動ベクトルから演算され、振動値が振動規格を満たす修正ベクトルの先端の集合範囲を示す円の中に、他の円と重ならない円が存在する場合を意味する。
その結果、適正修正量設定工程S5において問題の生じたワークでも、全ての位相において解なしとなるのではなく、検討結果の一部を例示する図10(a)〜(d)に示すように、同じワークで解あり位相と解なし位相とがあり、解あり位相と解なし位相とはそれぞれ連続して存在するとともに、その範囲がワークによって異なることが確認された。また、各ワークにおいて、それぞれ試し重りの取付け位相を図10(a)〜(d)に示す矢印FA方向、即ち第1の実施形態の修正方法を用い修正を行った際に、修正後ピーク振動値が最小になる位相(理想修正位相)にすれば、いずれのワークにおいても解ありとなることが確認された。したがって、初期振動測定結果から理想修正位相が予測できれば、仮修正工程S2において仮修正を行う位相(方向)を適正な修正位相とすることができる。そして、適正修正量設定工程S5において、各回転数における振動ベクトルから演算され、振動値が振動規格を満たす修正ベクトルの先端の集合範囲を示す全ての円の一部の重なり領域が存在するようになり、解ありとなる。なお、実施形態のように修正を試し重りの付加ではなく、インペラナット22の切削で行う場合には、修正位相(方向)は試し重りの取付け位相と180degずれた位相、即ち、図10(a)〜(d)に示す矢印FA方向になる。
また、治具固有振動数に対応する回転数では、ワークの持つ性質が最も増幅されて発現するため、ワークのアンバランス方向と振動発生方向とが一致し、初期振動測定時に治具固有振動数に対応する回転数での振動位相を把握することで、理想修正位相の導出が可能になると考えられる。固有振動数の異なる治具を用いて、治具固有振動数と理想修正位相との関係を調べたところ、治具固有振動数に対応する回転数での振動発生方向と、理想修正位相とが一致することが確認された。ここで、治具固有振動数とは図2において、取付け用治具12にターボチャージャ20が取り付けられた状態における非回転時の取付け用治具12及びターボチャージャを含む全体(吸振ゴム11より上の部分)の固有振動数を意味する。
以上の検討結果に基づいて、この実施形態のアンバランス修正方法が発明された。この実施形態のアンバランス修正方法は、第1の実施形態の各工程、即ち初期振動測定工程S1、仮修正工程S2、アンバランス状態確認工程S3、修正ベクトル集合範囲演算工程S4、適正修正量設定工程S5及びアンバランス修正工程S6を備えており、仮修正工程S2のみが第1の実施形態と異なっている。図11に示すように、この実施形態の仮修正工程S2は、治具固有振動数確認工程S2−1及び試し修正位相導出工程S2−2を備えている。
制御装置16は、治具固有振動数確認工程S2−1においてターボチャージャ20の非回転状態において検出された治具固有振動数から治具固有振動数に対応する回転数を演算する。次に制御装置16は、試し修正位相導出工程S2−2に進み、治具固有振動数に対応する回転数における初期振動位相に基づいて仮修正位相(修正方向)を決定し、その修正方向に対応する修正ベクトルから修正量を演算する。そして、演算した修正量と修正方向の信号を修正加工装置17に出力する。修正加工装置17は、制御装置16から出力された信号に基づいてインペラナット22の切削(試し削り)を行う。以下、アンバランス状態確認工程S3〜アンバランス修正工程S6の各工程が第1の実施形態と同様に実施されてアンバランス修正が完了する。
したがって、この第2の実施形態によれば、第1の実施形態の(1)〜(3)と同様な効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(4)仮修正を行なうときの修正位相は、治具固有振動数に対応する回転体の回転数における初期振動位相に基づいて設定される。したがって、仮修正を行なうときの修正位相がより適切な値となり、仮修正前の回転体のアンバランス状態に拘らずより適切な本修正ベクトルを設定することができる。
(第3の実施形態)
次に第3の実施形態を図12〜図14にしたがって説明する。この実施形態では、仮修正工程S2において仮修正(試し削り)を行う場合に、インペラナット22の試し削り量をより適正な量で行う点が前記第1の実施形態と異なっている。第1の実施形態と同一部分は同一符号を付して詳しい説明を省略する。
第1の実施形態によるアンバランス修正方法を種々のワーク(ターボチャホジャ)に適用して実施したところ、ワークによっては、適正修正量設定工程S5において演算された適正修正量(修正量及び修正位相)となるように修正を行っても、修正後の振動値が予想振動値からずれて、振動値が振動規格を満たさない状態になる場合が生じた。この原因を究明した結果、振動測定には必ずバラツキが生じ、仮修正工程S2における仮修正の際の修正量によっては、仮修正を行った後の振動測定時のバラツキが大きくなり、結果として予想振動値と、実際の修正結果とに不整合が発生したと考えられる。
振動測定のバラツキの影響を図12(a),(b)にイメージとして示す。図12(a),(b)において、各振動を表す円の大きさが、振動のバラツキの大きさを示す。
図12(a)に示すように、修正量が適正でない場合は、本修正後の振動のバラツキが大きくなる。一方、図12(b)に示すように、修正量が適正な場合、本修正後の振動のバラツキが小さくなる。初期状態アンバランス量と初期振動平均値(加速度)との関係を調べた結果、図13に示すように、両者には強い相関(比例関係)があることが確認された。比例定数は軸径、軸長、回転体質量等の製品設計値と治具の共振状態、質量により変化し、機種、治具ごとに固有値を持つ。
以上の検討結果に基づいて、この実施形態のアンバランス修正方法が発明された。この実施形態のアンバランス修正方法は、第1の実施形態の各工程、即ち初期振動測定工程S1、仮修正工程S2、アンバランス状態確認工程S3、修正ベクトル集合範囲演算工程S4、適正修正量設定工程S5及びアンバランス修正工程S6を備えており、仮修正工程S2のみが第1の実施形態と異なっている。図14に示すように、この実施形態の仮修正工程S2は、初期振動平均値演算工程S2−3及び試し修正量演算工程S2−4を備えている。また、制御装置16は、機種、治具ごとに予め求められた初期状態アンバランス量と初期振動平均値(加速度)との関係を示すマップ又は関係式をメモリに記憶している。
制御装置16は、初期振動平均値演算工程S2−3において、初期振動測定工程S1で確認された判定回転数範囲内の振動値(具体的には加速度)の平均値を演算する。次に制御装置16は、試し修正量演算工程S2−4において、初期状態アンバランス量と初期振動平均値との関係を示すマップ又は関係式と、初期振動平均値演算工程S2−3で演算された初期振動平均値とから初期状態アンバランス量を演算し、その値から仮修正の修正量を演算する。また、制御装置16は、第2の実施形態における理想修正方向又は任意の修正ベクトルに基づいて仮修正の修正方向を求める。そして、制御装置16は、前記修正量及び修正方向の信号を修正加工装置17に出力する。修正加工装置17は、制御装置16から出力された信号に基づいてインペラナット22の切削を行う。以下、アンバランス状態確認工程S3〜アンバランス修正工程S6の各工程が第1の実施形態と同様に実施されてアンバランス修正が完了する。
したがって、この第3の実施形態によれば、第1の実施形態の(1)〜(3)と同様な効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(5)仮修正を行なうときの修正量は、初期振動値の平均値と初期状態アンバランス量との関係に基づいて演算される。したがって、仮修正を行なうときの修正量がより適正になり、本修正ベクトルに基づいて決定された修正量及び修正位相でアンバランス修正を行なった後の振動値がより確実に振動規格を満たすようになる。
(第4の実施形態)
次に第4の実施形態を図15及び図16にしたがって説明する。この実施形態では、インペラナット22の形状及び切削方法に特徴を有する。インペラナット22の切削によりアンバランスの修正を行なう場合、従来、図15(a)に示すように、外周部に多数の凸部22a及び凹部22bを有するインペラナット22を使用する。そして、図15(b)に示すように、切削具26をインペラナット22の接線方向に移動(走行)させて切削を行なうとともに、切削具26を走行方向と垂直方向に移動させることにより切削深さを調整して切削量の調整を行ない、1箇所の切削加工で修正を行なうものがある。この場合、加工ユニットの切削具26の移動に必要な軸数は2軸になり、1軸に比べて高価になる。また、切削が凸部22aと凹部22bとに跨って行なわれるため、切削による切削量(修正量)に誤差が発生し易い。また、アンバランス修正工程S6における修正加工においてインペラナット22をクランプする際、図15(c)に示すように、クランプ部材27によるクランプ位置が仮修正工程S2で切削された部分に跨る状態になると、切削位相のずれが生じる場合がある。さらに、アンバランス修正工程S6における修正位相が仮修正工程S2における修正位相と同位相、あるいは図15(d)に示すように、修正箇所の一部が仮修正工程S2で既に切削加工が行なわれた部分に跨る状態になると、修正不能になるという問題がある。
一方、この実施形態では、図16(a)に示すように、従来のインペラナット22より大きな幅の凸部22aを有するインペラナット22を使用するとともに、切削位置を凸部22aに限定し、2箇所を切削してその合成ベクトルで切削位相を調整する点が従来の切削方法と大きく異なっている。切削は、図16(b)に示すように、切削具26をインペラナット22の中心から一定の距離において、インペラナット22の軸方向と平行に移動させることで行ない、切削量の調整は切削距離(切削具26の移動量)の調整で行なう。そのため、加工ユニットの切削具26の移動に必要な軸数は1軸になる。また、図16(c)に示すように、クランプ部材27によるインペラナット22のクランプ位置は、加工を行なわない凸部22aに限定する。
したがって、この第4の実施形態のインペラナット22及び切削方法を前記各実施形態において実施すれば、各実施形態における効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(6)6個以上の凸部22aを有するインペラナット22を切削加工することによりアンバランス修正を行う際に、修正位置(切削位置)を凸部22aに限定する。したがって、凹凸による修正量の誤差が発生しない。
(7)インペラナット22の修正加工時に、クランプ部材27によるインペラナット22のクランプ位置を非加工箇所に限定するとともに、修正加工を2箇所(2個の凸部22a)で行う。したがって、クランプ箇所が仮修正で切削した修正箇所を含む事態にならず、修正精度が低下することはなく、修正精度が向上する。
(8)切削具26をインペラナット22の中心から一定の距離において、インペラナット22の軸方向と平行に移動させることで切削加工を行う。したがって、加工ユニットの軸数が1軸になり、従来の2軸に比べて安価になる。
(9)切削量の調整は切削距離(切削具26の移動量)の調整で行なうため、仮修正及び本修正の修正位相が同じになっても適正な修正が可能になる。
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 適正修正量設定工程S5において、適正修正量(修正量及び修正位相)を演算するための本修正ベクトルとしては、図6(b)の座標の原点と、重なり領域Ao内の任意の1点とを結ぶ修正ベクトルを選定すればよい。例えば、原点と、重なり領域Aoの重心とを結ぶベクトルを本修正ベクトルに選定してもよい。この場合、適正修正量を示す修正ベクトルの全てに対して、その修正ベクトルに基づいて演算される修正量及び修正位相で修正が行われた場合のアンバランス修正効果のシミュレーションを演算で行い、最も修正効果の高いものを本修正ベクトルに選定するより、本修正ベクトルの選定が簡単になる。
○ 仮修正工程S2及びアンバランス修正工程S6における修正は、インペラナット22を切削して行う方法に限らず、インペラナット22と別に切削修正用部材をインペラ21と一体回転可能に回転軸に固定して、その切削修正用部材を切削するようにしてもよい。
○ 仮修正工程S2及びアンバランス修正工程S6における修正は、インペラナット22あるいは切削修正用部材を切削する代わりに、修正用の重りを付加するようにしてもよい。例えば、第2の実施形態で説明した試し重り取付け具25のような修正用の重り取付け具を設けて、仮修正工程S2あるいはアンバランス修正工程S6において修正量に対応する重りを修正用の重り取付け具に取り付けるようにする。
○ 第4の実施形態において、インペラナット22の凸部22aの数は6個より多くてもよい。
○ 修正装置は、必ずしもアンバランス量演算装置及び修正加工装置17の両者を備えている必要はない。例えば、アンバランス量演算装置と修正加工装置17とを独立して設け、アンバランス量演算装置で演算された修正量及び修正位相でインペラナット22の修正加工を専用の修正加工装置17で行うようにしてもよい。
○ 初期振動測定工程S1及びアンバランス状態確認工程S3で振動状態を測定する回転数の間隔は200rpmに限らず、200rpmより小さくても、大きくてもよい。回転数の間隔が小さくなれば、精度は高くなるが演算の手間が大きくなり、回転数の間隔が大きくなれば、精度は低くなるが演算の手間が小さくなる。回転数の間隔は1000rpm程度までは許容される。
○ 判定回転数範囲は必ずしもターボチャージャ20の使用回転数範囲と同じにする必要はなく、使用時に回転振動が大きくなる可能性のある範囲にすればよい。例えば、使用回転数範囲が広くても、使用時に回転振動が大きくなる可能性のない低速回転域にまで判定回転数を拡げなくてもよい。
○ 回転機器はターボチャージャ20に限らず、回転電機、発電用タービン等の他の回転機器に適用してもよい。
以下の技術的思想(発明)は前記実施形態から把握できる。
(1)回転体が回転軸にナットを用いて固定された回転機器において、回転体のアンバランスを前記ナットの切削により修正する回転体のアンバランス修正方法であって、前記ナットとして6個以上の凸部を有するものを使用し、前記ナットの凸部のみを切削加工することによりアンバランス修正を行う。
(2)前記技術的思想(1)に記載の発明において、前記ナットの修正加工時に前記ナットのクランプ位置を非加工箇所に限定するとともに、修正加工を異なる2個の前記凸部に対して行う。
(3)前記技術的思想(1)又は(2)に記載の発明において、前記ナットの切削加工は、切削具を前記ナットの中心から一定の距離において、前記ナットの軸方向と平行に移動させることにより行う。
AS…集合範囲を示す円、Ao…重なり領域、V1s,V2s,V3s…修正ベクトル、13…振動値計測手段及び振動位相計測手段を構成する振動ピックアップ、15…同じくFFTアナライザー、14…回転数計測手段としてのレーザー回転計、16…演算手段としての制御装置。

Claims (7)

  1. 仮修正前及び仮修正後の回転体の振動状態を判定回転数範囲内の複数の回転数において測定し、各回転数における振動ベクトルから振動値が振動規格を満たす修正ベクトルの先端の集合範囲を回転数毎に演算し、各回転数の前記集合範囲の重なる領域に先端を有する修正ベクトルから本修正ベクトルを選定し、前記本修正ベクトルに基づいて修正量及び修正位相を設定し、その修正量及び修正位相に基づいて回転体のアンバランス修正を行なうことを特徴とする回転体のアンバランス修正方法。
  2. 前記仮修正を行なうときの修正位相は、治具固有振動数に対応する回転体の回転数における初期振動位相に基づいて設定される請求項1に記載の回転体のアンバランス修正方法。
  3. 前記仮修正を行なうときの修正量は、初期振動値の平均値と初期状態アンバランス量との関係に基づいて演算される請求項1又は請求項2に記載の回転体のアンバランス修正方法。
  4. 前記本修正ベクトルとして、前記集合範囲の重なる領域に先端を有する修正ベクトルのうち最も修正効果の高いものを選定する請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の回転体のアンバランス修正方法。
  5. 回転体の回転速度を検出する回転数計測手段と、
    振動値計測手段と、
    振動位相計測手段と、
    判定回転数範囲内の複数の回転数において測定された仮修正前の振動状態及び仮修正後の振動状態に基づき、各回転数における振動ベクトルから振動値が振動規格を満たす修正ベクトルの先端の集合範囲を回転数毎に演算し、各回転数の前記集合範囲の重なる領域に先端を有する修正ベクトルから本修正ベクトルを選定し、前記本修正ベクトルに基づいて回転体のアンバランス修正のための適正修正量を演算する演算手段と
    を備えていることを特徴とするアンバランス修正量演算装置。
  6. 前記演算手段は、前記仮修正を行なうときの修正位相を、治具固有振動数に対応する回転体の回転数における初期振動位相に基づいて設定する請求項5に記載の回転体のアンバランス修正量演算装置。
  7. 前記演算手段は、前記仮修正を行なうときの修正量を、初期振動値の平均値と初期状態アンバランス量との関係に基づいて演算する請求項5又は請求項6に記載の回転体のアンバランス修正量演算装置。
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