以下、本実施形態の洗濯乾燥機について、図1ないし図19を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態の洗濯乾燥機Sは、ドラム式の洗濯乾燥機であり、外郭を構成する筐体1を有し、筐体1がベース1hの上に取り付けられて構成されている。筐体1は、左右の側板1a,1b(1bは図4参照)、前面カバー1c、背面カバー1d(図2参照)、上面カバー1e、下部前面カバー1fで構成されている。左右の側板1a,1bは、コの字型の上補強材(図示せず)、前補強材(図示せず),後補強材(図示せず)で結合されており、ベース1hを含めて箱状の筐体1を形成し、筐体として十分な強度を有している。
前面カバー1cの略中央には、衣類など(洗濯物)を出し入れするための投入口を塞ぐドア2が、前補強材に設けたヒンジで開閉可能に支持されて構成されている。ドア2の近傍の前面カバー1cには、ドア2のロック機構(図示せず)を解除するドア開放ボタン3が設けられている。ドア開放ボタン3を押すことで、ロック機構(図示せず)が外れてドア2が開き、ドア2を前面カバー1cに押し付けることでロックされて閉じるようになっている。図示しない前補強材は、後記する外槽20(図2参照)の開口部と同心に、衣類を出し入れするための円形の開口部を有している。
筐体1の上部中央には、電源スイッチ4a、操作スイッチ4b,4c、表示器4dなどを備えた操作パネル4が設けられている。操作パネル4は、筐体1下部に設けた制御装置60(図2および図3参照)に電気的に接続されている。また、操作パネル4の左側には、洗剤や柔軟剤などを投入する引き出し式のトレイ5が設けられている。また、筐体1内には、トレイ5が装着される洗剤容器5a(図3参照)が設けられている。
また、操作パネル4の右側には、引き出し式の乾燥フィルタ6が設けられている。なお、乾燥フィルタ6は、メッシュ式のフィルタ6a(図5参照)を備えており、糸くずなどが除去されるようになっている。乾燥フィルタ6の掃除は、乾燥フィルタ6を引き出してメッシュ式のフィルタ6aを取り出して行う。また、上面カバー1eには、水道栓からの給水ホース接続口7a,風呂の残り湯の吸水ホース接続口7bが設けられている。
図2に示すように、洗濯乾燥機Sは、筐体1内に、回転可能に支持された円筒状の洗濯兼脱水槽としての内槽(回転ドラム)10が設けられている。なお、図2に示す内槽10は、破線で一部のみ図示している。この内槽10は、前側(手前側)端面に衣類を出し入れするための開口部10aを有するとともに、その外周壁および底壁(奥側)に通水および通風のための多数の貫通孔(図示せず)を有している。開口部10aの縁部には、内槽10と一体の流体バランサ10bが設けられている。また、内槽10の内側の外周壁には、奥行き方向(軸方向)に延びるリフタ10cが複数個設けられており、洗濯、乾燥時に内槽10を回転すると、衣類などがリフタ10cと遠心力で外周壁に沿って持ち上がり、重力で落下するような動きを繰り返す。内槽10の回転中心軸は、水平または開口部10a側が高くなるように傾斜している。
図3に示すように、洗濯乾燥機Sは、内槽10を同軸上に内包し(図4参照)、前面が開口した円筒状の外槽20を備えている。外槽20の前面の開口部には、外槽カバー20aが設けられ、外槽20内への貯水を可能としている。外槽カバー20aの前側(手前側)中央には、衣類などを出し入れするための開口部20bが形成されている。開口部20bと前補強材に設けた開口部は、ゴム製のベローズ22(図5参照)で接続されており、ドア2を閉じることで外槽20を密閉することができる。外槽20の底面最下部には、排水口20c(図2参照)が設けられ、排水ホース8が接続されている(図2参照)。また、排水ホース8の出口側の端部は、図示しない床面に設けられた排水口(図示せず)に接続されている。なお、排水ホース8の途中には排水弁(図示せず)が設けられ、この排水弁を閉じて給水することで外槽20内に水が溜められ、排水弁を開くことで外槽20の水が機外へ排出される。
図4に示すように、外槽20の背面には、内槽10を回転駆動するための外側中央にモータ21が取り付けられている。なお、モータ21の回転軸は、外槽20を貫通し、内槽10と結合している。また、外槽20の下側は、下側をベース1hに固定されたサスペンション9,9(コイルばねとダンパで構成)で防振支持されている。また、外槽20の上側は、上部補強部材に取り付けた補助ばね(図示せず)で支持されており、外槽20の前後方向への倒れを防ぐように構成されている。
トレイ5の後ろ側には、給水電磁弁7a1や風呂水給水ポンプ7b1,水位センサ(図示せず)など給水に関連する部品が設けられている。洗剤容器5a(図3参照)は、外槽20と連通するように構成されており、給水電磁弁7a1を開く、あるいは風呂水給水ポンプ7b1を運転することで、外槽20に洗濯水を供給する。
筐体1の背面内側には、上下方向に延びる乾燥ダクト30が設けられている。乾燥ダクト30の下部は、外槽20の背面下部に設けられた吸気口20dにゴム製の蛇腹管31(図2参照)を介して接続されている。乾燥ダクト30内には、水冷除湿機構(図示せず)を内蔵しており、給水電磁弁7a1から水冷除湿機構へ冷却水を供給する。冷却水は乾燥ダクト30の壁面を伝わって流下し吸気口20dから外槽20に入り排水口20c(図2参照)から排出される。
図5に示すように、乾燥ダクト30の上部は、筐体1内の上部右側に前後方向に設置したフィルタダクト32と接続されている。フィルタダクト32の前面は開口部を有しており、この開口部に引き出し式の乾燥フィルタ6が挿入される。乾燥ダクト30からフィルタダクト32へ入った空気は、乾燥フィルタ6のフィルタ6aに流入することで糸くずが除去される。また、フィルタダクト32には、乾燥フィルタ6の挿入部の下面に開口部(図示せず)が形成されており、この開口部が吸気ダクト33(図4、図6、図10、図14参照)に接続されている。吸気ダクト33の他端は後記する送風ユニット(送風手段)40の吸気口41a(図9および図10参照)と接続されている。
送風ユニット40の吐出口41b(図6参照)は、温風ダクト34(図2参照)の一端と接続され、他端がゴム製の蛇腹管35(図2参照)、蛇腹管継ぎ手36(図2参照)を介して外槽カバー20aに設けた温風吹き出し口37(図3参照)に接続されている。
図6に示すように、送風ユニット40は、ファンケース41、羽根車42(図10参照)、駆動用モータ(電動機)43、ヒータ50(図10参照)などで構成されている。なお、図6は、送風ユニット40の取付状態を洗濯乾燥機Sの筐体1の真上(上方)から見たときのものであり、送風ユニット40が筐体1内の上部右側に位置し、駆動用モータ43側が後方かつ右側に位置し、吐出口41bが前方に位置し、駆動用モータ43の上側が下側よりも内側(左側)に位置するように傾斜して配置されている。
ファンケース41は、耐熱性の合成樹脂などで形成され、駆動用モータ43(電動機)が取り付けられる主ファンケース41Aと、吸気ダクト33が取り付けられるファンカバー41Bとが外周において嵌合して構成され、略偏平な外形を呈している。また、主ファンケース41Aとファンカバー41Bとが組み合わされたファンケース41には、ファンケース41に加熱前の空気を取り込むための吸気口41a(図9および図10参照)と、加熱後の空気が吐出される吐出口41bとが設けられている。
図7に示すように、ファンケース41は、内部に羽根車42(図10参照)が設けられる円形部41cと、内部にヒータ50(図10参照)が設けられる矩形部41dとを有している。図7は、送風ユニット40の取付状態を筐体1の右側方から見たときのものであり、円形部41cの前方に、矩形部41dが位置し、矩形部411dの上部41d1が下部41d2よりも後方に位置するように鉛直方向(上下方向)に対して傾斜して配置されている。
図8に示すように、主ファンケース41Aは、前記円形部41cの一面側を構成する円形部41a1と、前記矩形部41dの一面側を構成する矩形部41a2と、加熱後の空気が通流する一面側を構成する略山型部41a3とを有している。
円形部41a1の径方向の略中央には、駆動用モータ43の回転軸43a(図10参照)が挿通される貫通孔41fが形成され、この貫通孔41fの周囲に、羽根車42が対向して配置される回転平面41gが形成されている。そして、回転平面41gの周囲には、羽根車42から吐出された空気が回転しながら流れる一面側の渦巻き状のスクロール流路(渦巻き室)Qが形成されている。
スクロール流路Qは、略1回転して構成され、その出口Qout近傍に、ノーズ部41hが形成されている。ノーズ部41hは、回転平面41gの周囲に沿って、図8において反時計回り方向へ円弧を描くように延びて、円形部41a1と接続されている。補足すると、ノーズ部41hには、ファンカバー41B(図7参照)と対向する側に突条の嵌合突起41h1が形成されている。また、ノーズ部41hは、回転平面41gの周縁に沿って円形部41a1と矩形部41a2との境界部まで延びて形成されている。
主ファンケース41Aには、ノーズ部41hと回転平面41gとの間に、径方向内側から外側に向けて回転平面41gから離れる方向(図8の紙面垂直方向に対して手前側)へ立ち上がる円状の曲率を有する流路Q1が形成されている。また、主ファンケース41Aには、円形部41a1の外周縁と回転平面41gとの間に、円状の曲率を有する流路Q2が形成されている。
また、スクロール流路Qの出口Qoutに対向する位置には、ヒータ50が配置されている。このヒータ50は、PTC(Positive Temperature Coefficient)などで構成され、矩形状、すなわち空気の流れ方向に対して略直交する方向に細長く延びる直方体形状を呈している。また、ヒータ50は、長手方向に波型に形成された熱交換用のフィン50aが高さ方向(紙面略垂直方向)に複数段配置されて構成されている。ヒータ通電時にフィン50a間にスクロール流路Qからの空気を通過させることにより、乾燥用の空気(温風)が生成される。
また、ヒータ50は、長手方向の両端部に、合成樹脂製のブラケット51,51が取り付けられ、各ブラケット51がねじ52を介して主ファンケース41Aに固定されている。また、ヒータ50は、回転平面41gに対して、主ファンケース41A側の面50bよりも、ファンカバー41B側の面50cが下流側に後傾するように配置されている(図10のラインS3参照)。
また、スクロール流路Qの出口Qoutにおける流れ方向の中心軸(幅方向の中心)Oが、矩形状のヒータ50の長手方向(幅方向)のほぼ中心に位置するようにスクロール流路Qとヒータ50との位置関係が設定されている。また、出口Qoutとヒータ50との間には、ヒータ50側に向けて、流路が漸次拡大して空気を放出する放出部が形成されている。すなわち、この放出部は、流路の一方の端部41iが上流側から下流側に向けて中心軸Oから漸次離れるように、また他方のノーズ部41hの端部41jが上流側から下流側に向けて中心軸Oから漸次離れるように、流路が拡大するように構成されている。また、端部41iの下流側先端の延長線S1上にヒータ50の一方の端部が位置し、端部41jの下流側先端の延長線S2上にヒータ50の他方の端部が位置している。
図9に示すように、ファンカバー41Bは、前記円形部41cの他面側を構成する円形部41a4と、前記矩形部41dの他面側を構成する矩形部41a5と、加熱後の空気が通流する流路の他面側を構成する略山型部41a6とを有している。
円形部41a4の径方向の略中央には、空気が吸気される大径の吸気口41aが形成されている。ファンカバー41B内には、吸気口41aの周縁部に、環状のシール部材46が挿入されるシール挿入溝41a7が形成されている。なお、シール挿入溝41a7に挿入されるシール部材46は、耐熱性、耐湿性、耐摩擦性、耐薬品性などの特性を有するフッ素系樹脂であり、具体的には、多孔質PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)が好適に用いられる。
また、ファンカバー41B内の吸気口41aの周囲には、羽根車42と対向する前記回転平面41gと平行な回転平面41kが形成されている。そして、回転平面41kの周囲には、羽根車42から吐出された空気が回転しながら流れる他面側の渦巻き状のスクロール流路(渦巻き室)Qが形成されている。
また、ファンカバー41Bには、主ファンケース41Aのノーズ部41hと対向する位置にノーズ部41mが形成されている。また、ノーズ部41mには、突条のノーズ部41hと嵌合する凹条の嵌合溝41m1が形成されている。
また、ファンカバー41B内には、ノーズ部41mと回転平面41kとの間に、径方向内側から外側に向けて回転平面41kから離れる方向(図9の紙面略垂直方向に対して手前側)に立ち上がる円状の曲率を有する流路(半流路)Q3が形成されている。また、ファンカバー41B内には、円形部41a4の外周縁と回転平面41kとの間に、円状の曲率を有する流路(半流路)Q4が形成されている。
スクロール流路Qの出口Qoutには、ヒータ50が設置される矩形状の設置面41sが形成されている。この設置面41sは、回転平面41kよりも吸気口41a側(図9では下側)に位置しており(図10参照)、さらに、図9の紙面上側が下側よりも回転平面41kから離れる方向へ傾斜して配置されている。
また、ファンカバー41Bの出口Qoutからヒータ50(図8参照)に至る流路Q5(図9参照)では、円形部41a4の出口Qoutから矩形部41a5に至る外縁部が回転平面41kから離れる方向(下る(くだる)ように)に傾斜して形成されている。一方(図8参照)、主ファンケース41Aの出口Qoutからヒータ50に至る流路Q6では、円形部41a1の出口Qoutから矩形部41a2に至る外縁部が駆動用モータ43から離れる方向(上る(のぼる)ように)に傾斜して形成されている。
したがって、スクロール流路Qの出口Qoutからヒータ50に至る流路(Q5,Q6)の断面が拡大したときに、ファンケース41の矩形部41dが駆動用モータ43から回転軸43aの軸方向外側に突出しないように形成されている。さらに説明すると、羽根車42が収容される円形部41c(図10のラインS4参照)に対して、ヒータ50が収容される矩形部41d(図10のラインS5参照)が交差するように配置されている。すなわち、ヒータ50が収容される矩形部41dの一端(図10の紙面奥側)が円形部41cに対して上側、他端(紙面手前側)が円形部41cに対して下側に位置するように交差して配置されている。このとき、矩形部41cの一端が駆動用モータ43から軸方向外側に突出しないように形成されている。
図11に示すように、羽根車42は、駆動用モータ43の回転軸43a(図9参照)に固定される円形の主板42a(図示上側)と、複数の羽根42bと、中央に開口を持つ円形の側板42c(図示下側)とで構成されている。主板42aの中心部は、補強板42a1と補強板42a2とで挟み込まれ、複数のカシメ部42a3によって固定されている。側板42cは、主板42aとほぼ平行になる水平部42c1と、その中央部に主板42aと反対方向(外側)に曲げられた円環部42c2とで構成されている。
図12に示すように、羽根42bは、羽根車42の回転方向Rに対して、内径側から外径側にかけて後退するように湾曲して形成されている。このような羽根42bは、一般には後ろ向き羽根とも呼ばれ、このような羽根形状を持つ羽根車を用いたものはターボファンとも呼ばれる。ちなみに、羽根が回転方向に前進するような形のものは前向き羽根と呼ばれ、このような羽根形状を持つ羽根車を用いたものはシロッコファン、あるいは、多翼ファンとも呼ばれる。
また、羽根42bにはその上下両側に5個ずつの突起42b1が形成されており、各突起42b1が、側板42cと主板42aにそれぞれ貫通して形成された長方形の穴(図示しない)に差し込まれ、両側から力を加えて突起42b1をつぶすことで固定されている。なお、このとき、超音波を加えながら行うとカシメたときの高さを小さくできる。
なお、羽根車42のうち、側板42cと主板42aと羽根42bとは金属製であり、特にアルミニウムを含む金属が用いられ、補強板42a1,42a2にはステンレスなどが用いられる。
このように構成された羽根車42が駆動用モータ43によって高速回転することにより、ファンケース41の吸気口41aから回転軸芯線方向に空気を吸引して、主板42aと側板42cとの間の羽根42b間を通って外周方向に吐き出すようになっている。
図10に戻って、駆動用モータ43は、主ファンケース41A(図8参照)の中央の貫通孔41fを貫いてファンケース41の内部に延在し、羽根車42を固定支持する回転軸43aを有する。回転軸43aは、羽根車42の主板42aの回転中心に固定されている。
また、駆動用モータ43のハウジング43bの下面には、回転軸43aの外側に環状の凹溝43dが形成されている。この凹溝43dが主ファンケース41A上に環状の中央防振ゴム44を介して支持されている。中央防振ゴム44は、断面略山型に形成され、ハウジング43bの凹溝43dに嵌合して保持される。一方、ハウジング43bの外周部分は、図示しない複数の外周防振ゴムを介して支持されている。なお、中央防振ゴム44は主ファンケース41A内からの空気の流出を防ぐように気密をする機能を合わせ持っている。
なお、中央防振ゴム44および外周防振ゴム(不図示)を備えた送風ユニット40では、ファンケース41の中央部位と駆動用モータ43の中央部位とがゴム硬度の高い中央防振ゴム44で弾性的に接合されている。これにより、乾燥運転時の羽根車42の強い吸引作用が回転軸43aの軸芯線方向に作用してもゴム硬度の高い中央防振ゴム44で弾性的に支持されているので軸芯線方向へ大きく動くのを抑えることができる。
また、駆動用モータ43は、羽根車42を含めた残留不釣合いの遠心力により加振されるが、外周側部位に配置した複数の外周防振ゴム(不図示)で径方向の動きは拘束される。このため、残留不釣合いの遠心力による加振は、中央防振ゴム44を支点としたバタフライ振動に変わる。このバタフライ振動は外周側が大きな振幅になるので、ゴム硬度の低い外周防振ゴム(不図示)でそっと支えることにより振動伝達を抑えることができる。
また、外周防振ゴム(不図示)は、撓ませない程度で駆動用モータ43の外周部位を支えるようにしているので、大きな変位に対しては変位に比例する力で拘束するが、微振動に対して殆んど力は発生しないようになっている。したがって、ファンケース41には振動が伝達されず、送風ユニット40の騒音低減が図られる。
図10に示すように、主ファンケース41Aとファンカバー41Bとで形成されるファンケース41の内部には、流路断面が円形のスクロール流路Qが形成されている。なお、流路断面とは、空気の流れ方向に直交する面で切断したときの断面(輪切り断面)である。具体的には、ノーズ部41h,41m(図8、図9参照)側では、前記した流路Q1および流路Q3によって羽根車42の外周における流路断面(流れ方向に直交する方向の断面)が半円を呈するように(円弧部分を含むように)形成されている。また、回転軸43aを挟んだ流路Q1,Q3と反対側では、流路Q2および流路Q4によってほぼ円形を呈するように(円弧部分を含むように)形成されている。さらに、上流側の流路Q1,Q3の半円の内径(直径)をR1とし、下流側の流路Q2,Q4のほぼ円の内径(直径)をR2としたときに、内径R2が内径R1よりも大きくなるように、つまり上流側から下流側に向けて流路断面積が漸次大きくなるように形成されている。なお、スクロール流路Qの他の部分におい
ても、流路断面が円弧部分を含む流路となるように形成されている。
また、スクロール流路Qの出口Qoutからヒータ50に至る流路(Q5,Q6)においては、ヒータ50の幅方向(長手方向)および上下方向(高さ方向)に拡大するように、さらに流路が急激に拡大するようにして形成されている(図8および図9参照)。このように形成された渦巻状のスクロール流路Qは、羽根車42から排出された流れを減速しながら静圧として回収する働きを有している。
また、ファンカバー41Bに形成された円形の吸気口41aは、断面が曲率の部分と円環状の部分とを持ったベルマウス部41uを有する形状となっている。また、この吸気口41aを覆うようにして、吸気ダクト33が接続されている。
次に、送風ユニット40内での空気の流れについて説明する。各図(図8、図9、図10、図13)において、空気(風)の流路を矢印で示している。すなわち、駆動用モータ43が通電されて回転軸43aが回転すると、羽根車42が回転し、それに伴ってフィルタダクト32(図5参照)、乾燥フィルタ6(図5参照)、吸気ダクト33、ファンケース41の吸気口41aを通って空気が導入される。吸気口41aから導入された空気は、羽根車42の円環部42c2から羽根42bと羽根42bとの間を通って羽根車42の外周に向けて流れる。羽根42bで昇圧された高速の空気は、羽根車42の全周から排出され、スクロール流路Qで集められると共に減速され、スクロール流路Qの出口Qoutに向かって流れる。
そして、出口Qoutから出た高速の空気は、ヒータ50に向けてその流路が広げられて、ヒータ50のほぼ全面に吹き付けられる。ヒータ50のフィン50a間を通過して加熱された空気は、吐出口41bを介して送風ユニット40から排出される。例えば、羽根車42の外径は140mmであり、これを16000r/minで回転させているが、この条件での羽根車42の周速は約117m/secであり、送風ユニット40としての出力は約200Wとなっている。
また、ファンケース41の吐出口41bから排出された乾燥用の空気(温風)は、温風ダクト34(図2参照)、蛇腹管35(図2参照),蛇腹管継ぎ手36(図2参照)を介して外槽カバー20aに設けた温風吹き出し口37(図3参照)から吐出される。吐出された乾燥用の空気は、湿った衣類に当たり、衣類を温めることで衣類から水分を蒸発させる。高温多湿となった空気は、内槽10に設けた貫通孔(不図示)から外槽20に流れ、吸気口20d(図2参照)から乾燥ダクト30に吸い込まれ、乾燥ダクト30を下から上へ流れる。なお、高温多湿の空気は、乾燥ダクト30を通る際、例えば、水冷除湿機構によって冷却水と壁面を介して接触することで冷却除湿され、乾いた低温空気となりフィルタダクト32に戻る。そして、フィルタダクト32に設けたフィルタ6aを通り糸屑が取り除かれ、吸気ダクト33に入り、送風ユニット40に吸い込まれる。そして、ヒータHで再度加熱され、外槽20内に吹き込むように循環する。
ところで、図15において比較例としての送風ユニット100を示す。この送風ユニット100は、主ファンケース100Aとファンカバー100Bとが組み合わされて構成されたファンケースを有し、このファンケース内に収容された羽根車42の外周に、流路断面が略矩形のスクロール流路Q100が形成されている。すなわち、スクロール流路Q100は、主ファンケース100A側の面100a、100b(上面および周面)がそれぞれ角形の平面状に形成され、ファンカバー100B側の面100c,100d(上面および周面)もそれぞれ角形の平面状に形成されている。これにより、矩形状のスクロール流路Q100が構成されている。
本実施形態の洗濯乾燥機Sによれば、ファンケース41内の羽根車42の外周に流路断面が円形の曲率を有するスクロール流路Qを設けたので(図10参照)、図15に比較例として示す流路断面が矩形状のスクロール流路Q100を備えた送風ユニット100と比べて全体の効率をアップすることができる。すなわち、本実施形態の送風ユニット40と比較例の送風ユニット100とを同じ電力(例えば、200W)で作動させたときに、スクロール流路Qの流路断面を円形にした本実施形態の送風ユニット40により得られる効率(風量、乾燥効率)を、スクロール流路Q100の流路断面を矩形状にした比較例に対してさらに向上させることが可能になる。
また、本実施形態の洗濯乾燥機Sによれば、スクロール流路Qの出口Qoutにおける空気の流れ方向の中心軸Oが、ファンケース41内に設けられた矩形状のヒータ50のほぼ中心と一致するように構成したので(図8参照)、スクロール流路Qから放出された空気を有効に加熱することが可能になり(空気が当たらない部分を無くすことができ)、乾燥時間の短縮など省電力化を図ることが可能になる。
また、本実施形態の洗濯乾燥機Sによれば、ヒータ50を、羽根車42が設置される回転平面41g,41k(羽根車42の回転面)に対して、図13に示すように、ヒータ50が傾斜するように配置したので、洗濯乾燥機S内の限られた狭いスペースに配置することが可能になる。
すなわち、ヒータ50の長手方向において、羽根車42の中心に近い側の一端が、羽根車42の回転平面に対して駆動用モータ43側に傾斜するようにして、羽根車42の回転平面とヒータ50の設置面とが傾斜する配置にすることで(図13参照)、洗濯乾燥機S内の右側上部に、送風ユニット40の上部が下部よりも内側(左側)に位置するように送風ユニット40を傾斜して配置したときに、送風ユニット40の矩形部41dが側方(右側)へ出っ張るのを抑えることができる。よって、図14に示すように、駆動用モータ43が取り付けられた円形部41cの前部が後部よりも右外側に傾斜するように配置されたとしても(図6および図14参照)、特に、矩形部41dの図示下部(端部)41d2(図7参照)がさらに右側方に出っ張るのを防止することができ、洗濯乾燥機Sの左右方向(幅方向)の寸法を短く抑えることが可能になる。なお、このように送風ユニット40を斜めに配置することで、上下方向に必要なスペースを短く設定することができるので、洗濯乾燥機Sの上下方向の寸法を低く抑えることができ、また駆動用モータ43を筐体1の右側上部の角部に配置できるのでデッドスペースを少なくすることができる。
次に、洗濯乾燥機Sの操作手順について簡単に説明する。例えば、制御装置60は、電源スイッチ4aの投入が検知されると、洗濯乾燥機Sの状態確認及び初期設定を行う。そして、操作パネル4の表示器4dを点灯し、操作スイッチ4cからの指示入力にしたがって洗濯/乾燥コースを設定する。指示入力がない状態では、標準の洗濯/乾燥コースまたは前回実施の洗濯乾燥コースを自動的に設定する。
そして、制御装置60は、操作パネル4のスタートスイッチ(操作スイッチ)4bからの指示入力を監視し、例えば、洗濯/乾燥工程が選択された場合には、まず、洗濯工程において、洗い、中間脱水、すすぎ、最終脱水を順次実行する。なお、洗濯終了後、制御装置60は、洗濯乾燥コースが設定されているかどうかを確認して、洗濯コースのみが設定されている場合には、運転を終了する。
また、洗濯乾燥コースが設定されている場合には、温風脱水を実行する。温風脱水は、送風ユニット40の駆動用モータ43を低速回転で運転し、ヒータ50に通電(強モード)して温風を内槽10内に吹き込み衣類の温度を上昇させる。同時に、内槽10を高速で回転させ温まった衣類から効果的に水分を脱水する。
続いて、制御装置60は、乾燥運転を実行する。送風ユニット40は低速回転、ヒータ50は強モードで運転し、内槽10の正逆回転を繰り返し、内槽10内の衣類の位置を入れ替えながら、高温の温風を衣類に吹き付ける。これにより、衣類全体の温度が上昇し衣類から水分が蒸発する。
そして、制御装置60は、別の乾燥運転に切り替える。この乾燥運転では、内槽10の正逆回転は続けたまま、送風ユニット40を高速回転し、ヒータ50を弱モードにして内槽10内の衣類に高速の風を吹き付け、しわを伸ばしながら乾燥を行う。
なお、前記した実施形態では洗濯乾燥機Sを例に挙げて説明したが、衣類乾燥用の乾燥機に適用することもできる。乾燥機は、被乾燥物(洗濯後の衣類など)を収容するドラム(内槽+外槽)と、ドラム(内槽)を回転駆動するモータ(駆動手段)と、ドラムに乾燥用の空気を送る送風ユニット(送風手段)とを備えて構成することで、乾燥時の効率をアップさせることができる。
また、前記した実施形態では、スクロール流路Qの流路断面が円形の場合を例に挙げて説明したが、真円からなる円形に限定されるものではなく、流路断面が楕円など真円に近い形状のものであってもよい。
次に図8、図9、図16〜図19を引用してノーズ部とノーズ部の先端側に設けた逃がし通風路に関して説明する。
ノーズ部は、図17に示すように、ファンケース41を構成する主ファンケース41Aに設けたノーズ部41hとファンカバー41Bに設けたノーズ部41mとを重ね合わせてできる。ノーズ部41hとノーズ部41mは同じ丈である。このため、ノーズ部丈方向の中間でノーズ部41hとノーズ部41mは当接して重ね合わされる。
ノーズ部には、図17に示すように、一方(左側)に小さい半径R1の円弧(スクロール流路Qの一部)が、他方(右側)に大きい半径R2の円弧(スクロール流路Qの一部)が設けられる。半径R1、半径R2の中心は、羽根車42の回転平面でノーズ部丈方向の中間333を通る線上に位置する。そして、半径R1、半径R2の二つの円弧は、羽根車42の回転中心を通り前記回転平面に対する垂直な平面に描くように形成される。つまり、二つのスクロール流路Q(半径R1・半径R2)は、ノーズ部丈方向の中間333を通る線上に中心をもつ円弧で描く大きさの異なる円弧面を有する。この二つの円弧面は羽根車42の回転平面に対する垂直な平面で背中合わせになるようにノーズ部に形成されているのである。
半径R1で形成される流路断面積が小さいスクロール流路Qは上流側、半径R2で形成される流路断面積が大きいスクロール流路Qは下流側になる。ノーズ部はスクロール流路Qの上流入口側300で流れる流入空気流と下流吐出側310で流れる吐出空気流とに分ける。この上流入口側での流入空気流と下流吐出側での吐出空気流はノーズ部の先端で二手に分けられるのである。ノーズ部の先端側には、前記流入空気流が流れるノーズ部内側と前記吐出空気流が流れるノーズ部外側を連通する逃がし通風路330(図18)を設ける。逃がし通風路330は、羽根車42よりノーズ部の先端側に排出された圧力の高い空気をノーズ部外側に逃がす。詳しくは後述する。
逃がし通風路330は、図18に示すように、角度θ1が55°である。これ以外の角度、例えば、30°〜70°でも良い。逃がし通風路330はノーズ部の先端側で、かつノーズ部丈方向の両端331、332から下流側に向かってノーズ部丈方向の中間333で交える二つの線により区切られる三角の形状をしている。この二つの線に当るところが傾斜面334、335である(図17、図18、図8、図9、図16)。主ファンケース41A側のノーズ部41hに設けた傾斜面334と、ファンケース41B側のノーズ部41mに設けた傾斜面335は同角で、55°の半分である。傾斜面334、335は主ファンケース41Aとファンケース41Bが合成樹脂で別体に形成され、ノーズ部41hとノーズ部41mが重ね合わされるところに設けるので、スクロール流路Qの内部でも容易に作ることができる。
羽根車42の回転により、羽根車42で加圧された空気はスクロール流路Qに放出され、スクロール流路Q内をスクロール流路の円弧面に沿って旋回しながら下流に向かって流れ、下流吐出側310からヒータ50に向けて吐出される。ノーズ部のところでは、羽根車42から放出された加圧された空気は、図19(比較例2)に示すような逃がし通風路330がない場合(ノーズ部の先端がノーズ部丈方向にストレート)にはノーズ部に衝突するのでノーズ部外側への流れが遮られる。上記実施形態ではノーズ部の先端に逃がし通風路330があるので、羽根車42から放出された加圧された空気はノーズ部の先端にまともに遮られることがなくなり、前記ノーズ部外側へと流れ、ノーズ部との衝突減少で騒音が緩和される。
殊に、逃がし通風路330はノーズ部丈方向での幅がノーズ部の先端側で広く、先端より下流側で狭い。すなわち、逃がし通風路330はノーズ部丈方向での幅が羽根車の回転平面に対し先端側から下流側に向かって傾斜するように狭まる三角の形状になっている。このため、図19(比較例2)のものとは違い、逃がし通風路330の傾斜面への衝突になり、加圧されて放出空気の衝撃は緩和され騒音が低減される。
また、スクロール流路内を旋回しながら下流吐出側310から吐出される空気流の一部がノーズ部の先端に衝突する。これも同様に逃がし通風路330の傾斜面への衝突になるので、衝撃の緩和で騒音が低減される。
更に羽根車の発生音(加圧放出空気による騒音)は、主に羽根枚数と回転数の積に依存する周波数の音である。羽根枚数が8枚、回転数が13500rpmで、羽根車による騒音の成分は1800HZである。羽根車42から加圧放出される空気は、羽根のところが速度が高く羽根から離れると速度が下がる。つまり、羽根と羽根の中間点で速度が低く、羽根に近づくと速度が高まる。この速度変化する羽根車からの放出空気がノーズ部の先端に衝突して1800HZの騒音になる。図19(比較例2)では騒音が45dbであるのに対し、上記実施形態(三角形状の逃がし通風路)では40dbになるので、5dbの騒音低減を図ることができた。
この騒音低減は、上述したように、傾斜面により衝突が緩和されるからである。下流吐出側310から吐出される空気流も同様に衝突緩和により騒音が低減される。
上記の実施形態では、三角形状の逃がし通風路について述べたが、湾曲をともなう傾斜やU字形状を有する逃がし通風路にすることも可能である。