JP2015039563A - 洗濯乾燥機 - Google Patents
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Abstract
【課題】 送風ファンの運転効率を向上させた洗濯乾燥機を提供する。
【解決手段】 衣類が収容される洗濯兼脱水槽と、この洗濯兼脱水槽を駆動する槽駆動モータと、前記洗濯兼脱水槽を支持する筺体と、前記洗濯兼脱水槽内に乾燥空気を送るために複数枚の羽根を有する羽根車を備える送風ファンと、前記送風ファンを駆動するファン駆動モータを備えた洗濯乾燥機において、前記羽根車は、内径側で羽根間面積が急増加し、急増加してから外径側へ行くに従って羽根間面積の増加が緩やかになる形状とした。
【選択図】図21
【解決手段】 衣類が収容される洗濯兼脱水槽と、この洗濯兼脱水槽を駆動する槽駆動モータと、前記洗濯兼脱水槽を支持する筺体と、前記洗濯兼脱水槽内に乾燥空気を送るために複数枚の羽根を有する羽根車を備える送風ファンと、前記送風ファンを駆動するファン駆動モータを備えた洗濯乾燥機において、前記羽根車は、内径側で羽根間面積が急増加し、急増加してから外径側へ行くに従って羽根間面積の増加が緩やかになる形状とした。
【選択図】図21
Description
本発明は衣類の洗濯と乾燥を行なうことができる洗濯乾燥機に関するものである。
洗濯から乾燥まで連続して行える洗濯乾燥機による衣類の乾燥は、送風ファンと熱源により高温、低湿度の空気を作り、これを洗濯槽内に吹き込んで衣類の温度を高くして衣類から水分を蒸発させ、蒸発した水分を機外へ排出することにより行う。蒸発した水分の除去方法としては、そのまま洗濯乾燥機外へ排出する排気方式(常に新しい空気を供給)と蒸発した水分を冷却して結露させて水分を除去する除湿方式(同じ空気を循環させる)があるが、家庭用では洗濯乾燥機を設置した室内へ水分が出ることが少ない除湿方式が多く用いられている。
この除湿方式に使用される洗濯乾燥機においては、乾燥空気を循環するための送風ファンユニットが使用されている。送風ファンユニットは送風ファンと、例えば正特性サーミスタ素子(セラミスタ素子)を使用した加熱手段を備えており、空気を効率良く加熱するために種々の技術的な提案がなされている。
例えば、洗濯から乾燥まで連続して行える洗濯乾燥機の送風ファンユニットとして、特開2011-45512公報(特許文献1)に記載の洗濯乾燥機がある。これによれば、内径側から外径側にかけて後退していく羽根車を用いたターボファンを搭載した送風ファンユニットにより、高速の風を吹き出して衣類のシワを伸ばすことが記載されている。
しかしながら、特許文献1に記載の送風ファンの場合、羽根車に吸気された空気が羽根へ入る場所における羽根間面積が小さいため、流速変化による損失が無視できず、送風ファンの効率の低下につながっていた。
本発明の目的は、送風ファンの運転効率を向上させた洗濯乾燥機を提供することにある。
本発明は、衣類が収容される洗濯兼脱水槽と、この洗濯兼脱水槽を駆動する槽駆動モータと、前記洗濯兼脱水槽を支持する筺体と、前記洗濯兼脱水槽内に乾燥空気を送るために複数枚の羽根を有する羽根車を備える送風ファンと、前記送風ファンを駆動するファン駆動モータを備えた洗濯乾燥機において、前記羽根車は、内径側で羽根間面積が急増加し、急増加してから外径側へ行くに従って羽根間面積の増加が緩やかになる形状とした。
本発明によれば、送風ファンの羽根の入口面積が拡大し、送風ファンに吸気される空気が羽根に入る際の損失が低減されるため、送風ファンの運転効率を向上させた洗濯乾燥機が提供できる。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されることなく、本発明の技術的な概念の中で種々の変形例や応用例をもその範囲に含むものである。
まず、本発明が適用されるドラム式洗濯乾燥機の全体構造を図12乃至図16を用いて説明する。図12はドラム式洗濯乾燥機の外観図であり、図13は内部の構造を示すために筐体1の一部を切断して示した斜視図、図14は内部の構造を示すために背面カバー1dを取り外した背面図、図15は内部の構造を示す側面図、図16は内部の構造を示すために筐体1の上部を切断して示した上面図である。
ドラム式洗濯乾燥機は、衣類を収容する洗濯兼脱水槽3と、この洗濯兼脱水槽3を回転させる駆動モータ4と、洗濯兼脱水槽3を支持する筐体1を備えている。ここで、外郭を構成する筐体1は、ベース1hの上に取り付けられる。左側板1a、右側板1b、前面カバー1c、背面カバー1d、上面カバー1e、下部前面カバー1fで構成されている。左側板1a及び右側板1bは、コの字型の上補強材(図示せず)、前補強材(図示せず)、後補強材(図示せず)で結合されており、ベース1hを含めて箱状の筐体1を形成し、十分な強度を有している。
また、衣類を出し入れするための投入口を塞ぐドア9が前面カバー1cの略中央に設けられ、前補強材に設けたヒンジで開閉可能に支持されている。ドア開放ボタン9dを押すことでロック機構(図示せず)が外れてドアが開き、ドアを前面カバー1cに押し付けることでロックされて閉じる。前補強材は、後述する外槽の開口部と同心に、衣類を出し入れするための円形の開口部を有している。
更に、筐体1の上部中央には、操作パネル6が設けられており、電源スイッチ39、スタートスイッチ12、操作ボタンスイッチ13、表示器14を備える。操作パネル6は、筐体1下部に設けた制御装置38に電気的に接続している。
洗濯兼脱水槽3は、回転可能に支持された円筒状の回転ドラムで構成され、その内周面に通水および通風のための多数の貫通孔を有し、前側端面に衣類を出し入れするための開口部3aを設けてある。開口部3aの外側には、洗濯兼脱水槽3と一体の流体バランサ3cを備えている。外周壁の内側には、軸方向に伸びるリフタ3bが複数設けてあり、洗濯、乾燥時に洗濯兼脱水槽3を回転すると、衣類はリフタ3bと遠心力で外周壁に沿って持ち上がり、重力で落下するような動きを繰り返す。尚、洗濯兼脱水槽3の回転軸は、水平または開口部3a側が高くなるように傾斜している。
また、洗濯水を溜めるための円筒状の外槽2が、筐体1に支持され、洗濯兼脱水槽3を同軸上に内包し、前面は開口し、後側端面の外側中央に駆動モータ4を取り付ける。駆動モータ4の回転軸は、外槽2を貫通し、洗濯兼脱水槽3の底面の中心と結合している。前面の開口部には外槽カバー2dを設け、外槽2内への貯水を可能としている。外槽カバー2dの前側中央には、衣類を出し入れするための開口部2cを有している。本開口部2cと前補強材に設けた開口部は、ゴム製のベローズ10で接続しており、ドア9を閉じることで外槽2を水封する。
そして、外槽2の底面最下部には、図15のように排水口2bが設けてあり、排水ホース26が接続されている。排水ホース26の途中には排水弁(図示せず)が設けてあり、排水弁を閉じて給水することで外槽2に水を溜め、排水弁を開いて外槽2内の水を機外へ排出する。
外槽2は、下側をベース1hに固定されたサスペンション5(コイルばねとダンパで構成)で防振支持されている。また、外槽2の上側は上部補強部材に取り付けた補助ばね(図示せず)で支持されており、外槽2の前後方向への倒れを防ぐ。
筐体1内の上部左側には、洗剤投入室兼仕上剤投入室19が設けられており、前開口部から引き出し式のトレイ7を装着する。洗剤類を入れる場合は、トレイ7を図12の二点鎖線で示すように引き出す。洗剤投入室兼仕上剤投入室19は、筐体1の上補強材に固定されている。
更に、図16のように、洗剤投入室兼仕上剤投入室19の後ろ側には、給水電磁弁16や風呂水ポンプ17、水位センサ(図示せず)など給水に関連する部品を設けてある。また、図14に示す上面カバー1eには、水道栓からの給水ホース接続口16a、風呂の残り湯の吸水ホース接続口17aが設けてある。洗剤投入室兼仕上剤投入室19は、外槽2に接続されており、給水電磁弁16を開く、あるいは風呂水ポンプ17を運転することで、外槽2に洗濯水を供給する。
上述の通り、外槽2の上方に給水機構が設置されており、その前端部側(ドラムの開口部側)に、洗剤投入室兼仕上剤投入室19を構成するトレイ7が設けられている。そして、この給水機構は、主としてホースで形成される各給水経路と、給水電磁弁16を有し、水道栓または風呂水ポンプ17から洗濯乾燥機の各部へ供給される水が、この給水電磁弁16で制御される。
ここで、給水電磁弁16は、図14に示す通り、洗剤給水用弁16bと、仕上剤給水用弁16cと、冷却水給水用弁16dと、スプレー給水用弁16eとを備えている。
洗剤給水用弁16bは、給水ホース接続口16aから流入する水道水を洗剤投入室へ供給するものである。この洗剤投入室には、水道栓からの水の他、風呂水ポンプからの水も供給可能であり、この洗剤投入室から洗剤とともに流れ出した水が、外槽2内へ吐き出される。
仕上剤給水用弁16cは、給水ホース接続口16aから流入する水道水を仕上剤投入室へ供給するものである。この仕上剤投入室には、水道栓からの水の他、風呂水ポンプ17からの水も供給可能であり、この仕上剤投入室から仕上剤とともに流れ出した水が、外槽2内へ吐き出される。
冷却水給水用弁16dは、給水ホース接続口16aから流入する水道水を、乾燥運転中に、水冷除湿機構へ供給するものである。この水冷除湿機構では、乾燥用空気が供給された水と接触し、乾燥用空気中の水分が除去される。
また、乾燥ダクト29が、筐体1の背面内側に縦方向に設置されており、そのダクト下部は外槽2の背面下方に設けた吸気口2aにゴム製の蛇腹管29aで接続されている。乾燥ダクト29内には、水冷除湿機構(図示せず)を内蔵しており、給水電磁弁16から水冷除湿機構へ冷却水を供給する。冷却水は乾燥ダクト29の壁面を伝わって流下し吸気口2aから外槽2に入り排水口2bから排出される。
乾燥ダクト29の上部は、筐体1内の上部右側に前後方向に設置したフィルタダクト27に接続している。フィルタダクト27の前面には開口部を有しており、この開口部に引き出し式の乾燥フィルタ8を挿入してある。
乾燥ダクト29からフィルタダクト27へ入った空気は、乾燥フィルタ8のメッシュフィルタ8aに流入し糸くずが除去される。乾燥フィルタ8の掃除は、乾燥フィルタ8を引き出してメッシュフィルタ8aを取り出して行う。また、フィルタダクト27の乾燥フィルタ8挿入部の下面には開口部が設けてあり、この開口部は吸気ダクト33と接続されており、吸気ダクト33の他端は送風ユニット28の吸気口と接続している。
乾燥用の空気の流れは太い矢印41から太い矢印42、太い矢印43及び太い矢印44で示すように流れており、洗濯兼脱水槽3にある衣類を乾燥した温風で水分を除去した後に、乾燥ダクト29でこの水分を凝縮して空気を除湿乾燥し、再び送風ファンユニット28で加熱して洗濯兼脱水槽3に流れ込むように循環している。
送風ファンユニット28は主な構成要素として送風ファン、この送風ファンを駆動するためのファン駆動モータ28a、ファンケース28bとで構成されている。ファンケースにはヒータが内蔵されており、送風ファンから送られる空気を加熱する。ファンケース28bには、ファン駆動モータ28aとは反対側に送風ユニット28内へ空気を取り込むための吸気口が設けられている。送風ユニット28の吐出口は温風ダクト30に接続されている。温風ダクト30は、ゴム製の蛇腹管30a、蛇腹管継ぎ手30bを介して外槽カバー2dに設けた温風吹き出し口32に接続している。
以上のようなドラム式洗濯乾燥機において、本発明の一実施例になる送風ファンユニット28について以下に説明する。
ドラム式洗濯乾燥機に搭載する送風ファンユニット28の全体形状は図1にあるような形状に形成されている。そして、この送風ファンユニット28は図1に示しているように羽根車102と、羽根車102を駆動するための駆動モータ103と、スクロール流路を形成するためのファンカバー104及びファンケース107とにより構成されている。後で詳細に説明するようにファンケース107には加熱手段であるヒータが取り付けられており、ベルマウス形状を有する吸入口105を介して羽根車102から送られてきた空気を加熱する機能を有している。
送風ファンユニット28の吐出口106から吐出された加熱空気は洗濯兼脱水槽3内に送られて衣類の乾燥を行い、その後乾燥ダクト29に送られ除湿、乾燥されて再び送風ファンユニット28に戻るようになっている。
図1乃至図3を用いて送風ファンユニット28の詳細を説明すると、送風ファンユニット28は羽根車102と羽根車102を駆動する駆動モータ103と、羽根車101を内包するファンカバー104とファンケース107からなる。ファンカバー104とファンケース107は合成樹脂により形成されたもので、図2にあるようにファンカバー104とファンケース107にはファン収納部108とヒータ収納部109を備えている。
ファンカバー104とファンケース107の相互の組合せ連結部分はほぼ同じ形状を有しており、これらのファンカバー104とファンケース107が組み合わされて形成される空間にファン収納部108が形成されて羽根車102等が収納され、またヒータ収納部109が形成されてヒータ201等が収納されるようになっている。
図2に示すように、ファンカバー104のファン収納部108には円形の開口を持ち、その断面が内部に向かって縮径する曲率を持った形状部分とこれに繋がる円形開口の部分とで形成されるベルマウス形状の吸入口105が設けられている。吸入口105の周囲には環状隙間壁211が設けられ、その外側に断面が半円状でしかもその断面積が外側に向けて連続的に増加する渦巻き状のスクロール流路204が形成されている。
更に、スクロール流路204の終了部601の上流の内周側には内周側舌部205が形成され、外周側には外周側終端部206が形成されている。本実施例では終了部601がスクロール流路204の出口として定義されていても良いし、その直下流を出口として定義されていても良いものである。つまり、終了部601そのものが出口であっても良いし、終了部601から直下流側にずれて出口があっても良いものである。以下の説明では終了部601を出口601として説明を進める。
そして、スクロール流路204の終了部601から上流側に所定の長さに亘って、スクロール流路204の内周側と外周側の間の通路幅が殆ど変化しない直線状の略平行流路領域204Aが形成されている。略平行流路領域204Aはスクロール流路204の円弧部分とほぼ接線を形成するように直線状に延びている。つまり、環状隙間壁211の外周側の円弧と略平行流路領域204Aの内周側の直線上の壁とが接線として接する形で両者は接続されているものである。この略平行流路領域とはスクロール流路204の内周側と外周側の間の通路幅が一定である状態から或る程度の傾きや拡大を有したものまでも含むものである。
したがって、この略平行流路領域204Aに繋がるスクロール流路204の内周側と外周側の間の幅と略平行流路領域204Aの内周側と外周側の間の幅は入口では同一であり、下流側に行くに従って若干増加している。
また、略平行流路領域204Aは上述の通り、スクロール流路204の出口601から上流側に向かって形成されているので、内周側舌部205を越えてスクロール流路204の出口601まで延びていることになる
したがって、この内周側舌部205の下流側の所定位置と外周側終端部206とを結ぶ所定部分によってスクロール流路204が終了して出口601が形成される。スクロール流路204は内部を流れる空気の流れが乱れないような所定の増加率を有する流路断面積に形成されているので空気の流れの乱れは少なく、且つ途中から略平行流路領域204Aをその状態を維持して流れている。このため、このスクロール流路204の出口601付近まで空気はその乱れを出来るだけ少なく維持されて流れ出るものである。
したがって、この内周側舌部205の下流側の所定位置と外周側終端部206とを結ぶ所定部分によってスクロール流路204が終了して出口601が形成される。スクロール流路204は内部を流れる空気の流れが乱れないような所定の増加率を有する流路断面積に形成されているので空気の流れの乱れは少なく、且つ途中から略平行流路領域204Aをその状態を維持して流れている。このため、このスクロール流路204の出口601付近まで空気はその乱れを出来るだけ少なく維持されて流れ出るものである。
尚、本実施例においては略平行流路領域204Aは図面上で奥側に流路面積を徐々に拡大するようにその内面が傾けて形成されている。つまり、略平行流路領域204Aの内周側と外周側とで形成される面に直交する方向に向けて流路面積を徐々に拡大しているものである。
ファンカバー104のスクロール流路204の出口601から所定の距離をおいて加熱手段であるヒータ201が位置している。このヒータ201は横方向に細長い形状を備え、後述するようにファンケース107に固定されているので図面上では破線で表示している。そして、このヒータ201は長さ方向でスクロール流路204の出口601の中心軸線とほぼ直交するように配置されている。このように直交させる理由は、スクロール流路204の出口601から出た空気を加熱手段であるヒータ201の放熱フィンの隙間に効率よく進入させるためである。ヒータ201の放熱フィンはスクロール流路204の出口601の中心軸線とほぼ平行に設置されているので、なるべくこの方向に沿って空気を流すことで熱交換効率を向上することができるようになる。
また、スクロール流路204の出口601とヒータ201の間の流路は連続的に流路断面積が大きく拡大していく拡大流路部207が形成されている。この拡大流路部207の断面積の増加率はスクロール流路204の断面積の増加率よりかなり大きく設定されており、これはスクロール流路204の出口601とヒータ201の実質的な横方向の長さに合わせて決められている。つまり、拡大流路部207はスクロール流路204の出口601とヒータ201を結ぶ直線に近似して形成されている。ここで、実質的な横方向の長さとはヒータ201の発熱部分の長さに対応するものであるが、この長さに多少の増減があっても差し支えないものである。
拡大流路部207は、上述したようにスクロール流路204の出口601とヒータ201を結ぶ直線に近似して形成されているので、ヒータ201の設置場所によって種々の形状をとるが、望ましくはスクロール流路204の出口601の中心軸線に対してほぼ対称に流路を拡大する形状となっている方が望ましい。このように対称に流路が拡大するようにすると、ヒータ201に対しても流れの偏りがより低減されるからである。
また、図3に示すように、ファンケース107のファン収納部108には羽根車102が収納され、図面上では羽根車円環部203とその内部に駆動モータシャフトが挿通する軸穴が示されている。この羽根車102の周囲には断面が半円状でしかもその断面積が外側に向けて連続的に増加する渦巻き状のスクロール流路204が形成されている。
更に、スクロール流路204の終了部601の上流の内周側には内周側舌部205が形成され、外周側には外周側終端部206が形成されている。上述したように本実施例では終了部601がスクロール流路204の出口として定義されていても良いし、その直下流を出口として定義されていても良いものである。以下の説明では終了部601を出口601として説明を進める。
そして、スクロール流路204の終了部601から上流側に所定の長さに亘って、スクロール流路204の内周側と外周側の間の通路幅が殆ど変化しない直線状の略平行流路領域204Aが形成されている。略平行流路領域204Aはスクロール流路204の円弧部分とほぼ接線を形成するように直線状に延びている。つまり、環状隙間壁211の外周側の円弧と略平行流路領域204Aの内周側の直線上の壁とが接線として接する形で両者は接続されているものである。この略平行流路領域とはスクロール流路204の内周側と外周側の間の通路幅が或る程度の傾きや拡大を有したものまでも含むものである。
したがって、この略平行流路領域204Aに繋がるスクロール流路204の内周側と外周側の間の幅と略平行流路領域204Aの内周側と外周側の間の幅は入口では同一であり、下流側に行くに従って若干増加している。これらはファンカバー104で説明した形状と同一形状である。
また、略平行流路領域204Aは上述の通り、スクロール流路204の出口601から上流側に向かって形成されているので、内周側舌部205を越えてスクロール流路204の出口601まで延びていることになる。
したがって、この内周側舌部205の下流側の所定位置と外周側終端部206とを結ぶ所定部分によってスクロール流路204が終了して出口601が形成される。スクロール流路204は内部を流れる空気の流れが乱れないような所定の増加率を有する流路断面積に形成されているので空気の流れの乱れは少なく、且つ途中から略平行流路領域204Aをその状態を維持して流れている。このため、このスクロール流路204の出口601付近まで空気はその乱れを出来るだけ少なく維持されて流れ出るものである。
尚、ファンケース106の略平行流路領域204Aには、略平行流路領域204Aの内周側と外周側とで形成される面に直交する方向に向けて流路面積を徐々に拡大するようにしている。ファンケース106にも略平行流路領域204Aの内周側と外周側とで形成される面に直交する方向に向けて流路面積を徐々に拡大するようにしても良いものである。ファンケース106とファンカバー104に対称に流路面積を徐々に拡大すればより空気の流れの乱れを低減する効果が期待できる。
ファンケース107のスクロール流路204の出口601から所定の距離をおいてヒータ収納部109に加熱手段であるヒータ201が位置している。このヒータ201は横方向に細長い形状を備え、固定ねじによってファンケース107の壁面に固定されている。そして、このヒータ201は長さ方向でスクロール流路204の出口601の中心軸線とほぼ直交するように配置されている。
ファンカバー104と同様に、ファンケース107にはスクロール流路204の出口601とヒータ201の間の流路は連続的に流路断面積が大きく拡大していく拡大流路部207が形成されている。この拡大流路部207の断面積の増加率はスクロール流路204の断面積の増加率よりかなり大きく設定されており、これはスクロール流路204の出口601とヒータ201の実質的な横方向の長さに合わせて決められている。
つまり、拡大流路部207はスクロール流路204の出口601とヒータ201を結ぶ直線に近似して形成されている。ここで、実質的な横方向の長さとはヒータ201の発熱部分の長さに対応するものであるが、この長さに多少の増減があっても差し支えないものである。
拡大流路部207は、上述したようにスクロール流路204の出口601とヒータ201を結ぶ直線に近似して形成されているので、ヒータ201の設置場所によって種々の形状をとるが、望ましくはスクロール流路204の出口601の中心軸線に対してほぼ対称に流路を拡大する形状となっている方が望ましい。このように対称に流路が拡大するようにすると、ヒータ201に対しても流れの偏りがより低減されるからである。
そして、ファンカバー104とファンケース107を組み合わせることによって、ファンカバー104とファンケース107とで形成された半円状のスクロール流路204は結果的に断面が円形状のスクロール流路204として形成されるものである。このスクロール流路204の内周側に羽根車102の羽根部に繋がる環状隙間212が形成されており、この環状隙間212を介して羽根車102から空気がスクロール流路204に供給されるものである。
羽根車102は内周側に形成した空気取入口から吸入口105を介して空気を取り込み、羽根車によって生じる遠心力によって空気をスクロール流路204に押し出すようにして空気の流れを減速しながら静圧として回収するようにして送風作用を実行するものである。
また、ファンケース107のヒータ201の下流側のヒータ収納部109の壁面には温度センサ202が設けられており、ヒータ201で加熱された空気の温度を測定して洗濯兼脱水槽3に送る加熱空気の温度をフィードバックするように調整している。
ヒータ201は図7に示されているように正温度係数型ヒータ(いわゆるPTCヒータ)を用いている。この正温度係数型ヒータは安全性が高く、多くの乾燥機や洗濯乾燥機で使用されている。正温度係数型ヒータは複数個のセラミスタ素子701に通電することでセラミスタ素子701が発熱し、この発熱を効率よく放熱させるためにフィン702が設置されている。複数個のセラミスタ素子701は並列に配置されており、正温度係数型ヒータはセラミスタ素子701およびフィン702を通過する風速で発熱量が変化するもので自己温度制御機能を備えている。フィン702は上述したように拡大流路207を流れてくる空気が良く通るように空気の流れに対してできるだけ流路抵抗が少なくなるように配置されることが重要である。本実施例ではフィン702の向きとスクロール流路204の出口601の軸線とはほぼ平行になるように構成されている。
このヒータ201は図3にあるように横方向に細長い形状を有しており、両端を耐熱性、電気絶縁性を有する材料で形成された取付固定部201Aに固定、支持されてファンケース107の内部壁面に固定ねじによって固定されるものである。
そして、上述したようにヒータ201を通過する空気の流速分布、すなわちヒータ入口流速分布が不均一になっているとセラミスタ素子701の発熱量も不均一となる。このため、ヒータ201の入口側の流速分布を均一にすることが重要である。
ここで、羽根車102の具体的な形状について、図17(a)及び図17(b)を用いて説明する。羽根車102は、駆動モータ103の回転軸に固定される後面プレート102bと、羽根102cと、中央に吸い込み口を有する前面プレート102aとで構成されている。後面プレート102bは補強板102dと補強板102eとで挟み込まれ、加締め部112aと加締め部112bとで固定されている。この加締め部112aと加締め部112bとは1個おきに羽根側と反羽根側とから力を加え、加締めることによって固定されている。前面プレート102aは、後面プレート102bと略平行になる部分と、その中央部には後面プレート102bと反対方向に曲げ込まれており、吸い込み口を形成する円環部102fとが設けられている。
また、羽根102cは、羽根車102の回転方向に対して、内径側から外径側にかけて後退していくような形をしており、所謂ターボファンと呼ばれる羽根車を構成している。そして、駆動モータ103を少なくとも8000rpm以上の高速で回転することにより、温風吹き出し口32から50m/s以上の高速の風を吹き出し、風の力で衣類のシワを伸ばす乾燥運転を行う。なお、本実施例では、羽根102cの枚数を、従来(特許文献1参照)の8本と比べて多い12本としたが、この羽根102cの枚数と騒音の関係については後述する。
以上のような構成において、次に図4及び図5を用いて送風ファンユニット28内の空気の流れについて説明する。今、駆動モータ103が矢印501の方向に回転するとこれに同期して羽根車102が回転し、それに伴って吸入口105から羽根車102に向かって矢印401に示されるように空気が流入する。
羽根車102に取り込まれた空気は羽根車の羽根によって遠心力を与えられ、これによって増速された高速の空気は矢印402、403で示す向きに流れて羽根車全周からスクロール流路204内に移送される。そして、スクロール流路204に空気が流入すると、ここで空気の移送速度は減速されて空気は矢印502に示すようにスクロール流路204の出口601を通過して拡大流路部207に至り、更にヒータ201で加熱された後に送風ファンユニット28の吐出口106より吐出される。
本実施例においては、ファンカバー104とファンケース107の両者によって形成される略平行流路領域204Aは、 スクロール流路204の円弧部分とほぼ接線を形成するように直線状に延びている。つまり、環状隙間壁211の外周側の円弧と略平行流路領域204Aの内周側の直線上の壁とが接線として接する形で両者は接続されているものである。この略平行流路領域204Aとはスクロール流路204の内周側と外周側の間の通路幅が或る程度の傾きや拡大を有したものまでも含むものである。
したがって、この略平行流路領域204Aに繋がるスクロール流路204の内周側と外周側の間の幅と略平行流路領域204Aの内周側と外周側の間の幅は入口では同一であり、下流側に行くに従って若干増加している。そして、スクロール流路204は内部を流れる空気の流れが乱れないような所定の増加率を有する流路断面積に形成されているので空気の流れの乱れは少なく、且つ途中から略平行流路領域204Aをその状態を維持して流れている。このため、このスクロール流路204の出口601付近まで空気はその乱れを出来るだけ少なく維持されて流れ出るものである。このため、スクロール流路204の出口601付近では、内周側から外周側に亘って乱れが抑制された空気の流れとされるものである。したがって、特許文献1のようにスクロール流路の終端より前において外周側を広げて流路断面積を拡大することによる、スクロール流路の外周側の出口付近の空気の乱れを生じるという現象を抑制することができる。
本実施例においては、略平行流路領域204Aの上流側の幅を1としたときに、長さが約2.3倍離れた下流側の幅を約1.2倍に拡大していて、幅方向の拡大角は約4度である。このため、ひろがり管としては殆ど乱れを発生させない値になるようにしている。また、略平行流路領域204Aの上流側の面積を1としたときに下流側の面積を約1.6倍としている。これも円管のひろがり管に相当させて、拡大角をもとめると約7度としている。この見方でも、流路としての損失を低く抑えることができている。このため、流れの乱れが抑えられたまま、舌部205を通過するので、騒音の発生が抑制される。また、損失が低くなるので、送風ファンとしての圧力上昇の低下が抑えられるので、同じ風量でのモータ入力を低くすることができる。
なお、略平行流路領域204Aの下流側(出口側)の形状は略円弧をなしたり、角が丸まった長方形などでもかまわない。
一方、このような構成においてはスクロール流路204の出口601付近までの空気の流れの乱れは抑制できるが、本発明者等の検証によると送風ファンユニットとしてみた場合には以下のような現象が発現した。
送風ファンユニット28はドラム式洗濯乾燥機に使用されるが、その設計仕様によって設置面積が制限される傾向にあると共に、乾燥効率を上げるためヒータ201の大きさ(長さ)は小さくできないという環境にある。このため、図6にあるように、スクロール流路204の内周側舌部205の下流と外周側終端部206を結ぶスクロール流路204の出口601からヒータ入口面602を結ぶ流路拡大部207の長さは短くせざるを得ず、またヒータ201の長さは短縮できないことから、流路拡大部207の流路の拡大率がかなり大きくなり流路断面積が急激に増大することになった。
このように急激な流路断面積の増大は、拡大流路部207を流れる空気の流れの急激な減速を余儀なくされて剥離を発生するようになる。特に、このような急激な流路断面積の増大は流れの全剥離をもたらし、大きな流体抵抗となるので送風ファンとしての圧力上昇機能が大きく低下する。また、これ以外にも次のような問題が新たに判明した。
今回、本発明者等は図6に示すような形状において空気の流れに関して数値計算による流体解析を行った。計算条件として羽根車回転数を13500回転/分、流量1.4立方メータ/分を与えて解析した。その結果、スクロール流路204内部の空気流れ、特にスクロール流路204の出口601からヒータ201の入口面602までの流れは、図6にあるように、主流がスクロール流路204の外周側に接続された外周側領域(主流領域)603に偏り、スクロール流路204の内周側に接続された内周側領域(剥離領域)604では流れが大きく剥離する結果となった。
このため、この内周側領域(剥離領域)604は空気の速度が減速される結果となるので、主流が流れる外周側領域(主流領域)603との間で速度差が発生してヒータ201を通過する空気の流速分布が不均一になる。このため、例えばスクロール流路204の出口601からヒータ201の入口面602までの距離を長くすることができれば、ヒータ201の入口面602での流速分布の不均一性を或る程度改善できる。
しかしながら、上述したように送風ファンユニット28をドラム式洗濯乾燥機に搭載する場合では、その設計仕様によって設置面積が制限される傾向にあるので、スクロール流路204の出口601からヒータ入口面602を結ぶ流路拡大部207の長さは短くせざるを得ない。このため、拡大流路部207の流路断面積の増加率を急激に大きくしなければならずヒータ201の入口面602での流速分布はより不均一となる。
本実施例になる送風ファンユニット28においては、ヒータ201は図7に示されているように正温度係数型ヒータを用いている。(このヒータ201の詳細は上述の通りである。)ところで、このヒータ201は図3にあるように横方向に細長い形状を有しており、ヒータ201を通過する空気の流速分布、すなわちヒータ入口流速分布が不均一になっているとセラミスタ素子701の発熱量も不均一となる。このため、ヒータ201の入口面601側の流速分布を均一にすることが重要である。
すなわち、このヒータ201は正温度係数型ヒータであるので自己温度制御機能を有しており、例えば流速が遅い領域と流速が早い領域では空気に与える熱量が異なり、流速が遅い空気の場合はその熱量が少なく空気が低温となってしまう現象がある。乾燥空気の温度が低いと湿った衣類の水分蒸発速度も遅くなり、乾燥時間が延び、ひいてはヒータ201に通電する時間も延びて消費する電力量が増大する恐れがある。このためには、拡大流路部207の内周側領域604側のヒータ201の入口面602での剥離を抑制して空気の流速分布を改善することが有効である。
このような、送風ファンユニット28における課題を解決するための実施形態を図8乃至図10を用いて説明する。ヒータ201の入口面602の流速分布をより均一化するために、本実施形態においてはスクロール流路204の出口601からヒータ201の入口面602までの拡大流路部207に空気の流れを制御する空気流案内機能部801、802を設ける構成としている。
すなわち、本実施形態ではファンカバー104側のスクロール流路204の出口601からヒータ201(このヒータ201はファンケース107側に固定されている)の入口面602までの拡大流路部207に第1の空気流案内機能部801と、第2の空気流案内機能部802を設けている。尚、参照番号804はスクロール通路204の略平行流路領域204Aの内周側に形成した内周側舌部205から略平行流路領域204Aに延びる舌部延長直線部を示している。
第1の空気流案内機能部801は第2の空気流案内機能部802よりもスクロール流路204の内周側に位置し、かつ、第1の空気流案内機能部801と第2の空気流案内機能部802は、羽根車の中心軸803とスクロール流路204の最下流側の内周側舌部205の先端円弧部分を結ぶ線分805よりも回転方向で下流側に設けられている。つまり、図8において第1の空気流案内機能部801はスクロール流路204の出口601に近接し、第2の空気流案内機能部802は第1の空気流案内機能部801に対してスクロール流路204の出口601から離れている。
そして、第1の空気流案内機能部801と第2の空気流案内機能部802は拡大流路部207に設けられているので、流路抵抗をそれほど大きくすることがない。尚、スクロール流路204内に第1の空気流案内機能部801と第2の空気流案内機能部802を設けるとこの部分での流路抵抗がかなり大きくなり、この点で本実施形態は大きく有利である。
図8にあるように、第1の空気流案内機能部801は第2の空気流案内機能部802に比べて長く形成されており、拡大流路部207の内周側領域(剥離領域)604を指向してその設置位置、設置角度が決められている。このように第1の空気流案内機能部801の長さと設置位置、設置角度を決めているので、スクロール流路204の出口601から流れ出た乱れの少ない流れ806、807は、その状態を維持しながらヒータ201の入口面602付近まで流れることができる。
また、上述の通り、第1の空気流案内機能部801はスクロール流路204の出口601に近接しているが、これは、内周側領域(剥離領域)604で剥離が発生し易いのでより早くから乱れの少ない空気を導入するためである。
尚、第1の空気流案内機能部801を長く形成しているのは、第1の空気流案内機能部801を途中で短く終了するように形成すると後流で剥離を生じる可能性が考えられからである。このため、第1の空気流案内機能部801はヒータ201の入口面602付近まで延長するのが望ましい。
同様に、第2の空気流案内機能部802は第1の空気流案内機能部801に比べて拡大流路部207の外周側領域(主流領域)603を指向してその設置位置と設置角度が決められている。スクロール流路204の出口601から流れ出た乱れの少ない流れ808は、その状態を維持しながらヒータ201の入口面602付近まで流れることができる。
また、上述の通り、第2の空気流案内機能部802はスクロール流路204の出口601に対して離れているが、これは、外周側領域(主流領域)603であるので剥離が少なく乱れの少ない空気を容易に導入できるからである。
尚、第2の空気流案内機能部802を短く形成しているのは、外周側領域(主流領域)603は剥離が少ないことと、場合によってはヒータ201の入口面602と第2の空気流案内機能部802との間の空間を増やして外周側領域60での空気の配分をより均一になるように改善するためである。
ここで、第1の空気流案内機能部801及び第2の空気流案内機能部802は具体的には空気の流れに沿って、或いは空気を流す方向に沿って細長い突起で形成されており、本実施例ではファンカバー104に一体的に形成されている。また、この細長い突起は直線状であるが、製品仕様等の要請によって空気の流れを制御するように角度をつけたり、或いは曲線状に形成されても差し支えないものである。
そして、図8にあるように第1の空気流案内機能部801によって、矢印806で示すようにスクロール流路204の出口601から吐出された乱れの少ない空気の一部分をスクロール流路204の内周側に接続される拡大流路207の内周側領域(剥離領域)604側に分配することが可能となる。同様に、第1の空気流案内機能部801及び第2の空気流案内機能部802によって拡大流路部207における流れが矢印807、808で示す3方向に分配される。従って、ヒータ201の入口面602付近において、空気の速度をより均一な流速分布に近づけることができる。
更に、第1の空気流案内機能部801及び第2の空気流案内機能部802の前縁位置(空気の流れから見て前側)を線分805よりも回転方向で下流側、すなわち、スクロール流路204の内周側舌部205下流の出口601の位置よりも下流側に設けることで、内周側舌部205より回転方向上流側の流れに対し悪影響を与えにくくなる。このため、流路抵抗になりがちな空気流案内機能部を設けてもファン性能は維持できるものである。今回の流体解析によるファン性能計算結果は、本実施形態の空気流案内機能部を設けた場合と、空気流案内機能部を設けない図5に示した構成の場合において、仕様点流量でファン効率が約1%変化する程度である。したがって、ヒータ201の入口面602付近の流速をより均一化したい場合は本実施形態が有利である。
ところで、送風ファンユニット28を構成するファンカバー104及びファンケース107は、通常では射出成型で加工される場合が多い。よって、ファンカバー104に一体形成される突起状の第1の空気流案内機能部801及び第2の空気流案内機能部802は高さ方向にある一定の抜き勾配を設けなければならない。以下の説明では第1の空気流案内機能部801及び第2の空気流案内機能部802を第1の突起板801及び第2の突起板802と呼ぶ。
したがって、図9及び図10に示されるように第1の突起板801及び第2の突起板802は、ファンカバー104側に第1の突起板801及び第2の突起板802の基部801A、802Aを設け、ファンケース107側に向かうに従って細くなる先端部801B、802Bを有する断面形状に形成されている。尚、同様にファンケース107側に第1の突起板801及び第2の突起板802の基部を設けて先細りの断面形状を形成しても差し支えないものである。
ただ、本発明者等の検証によると、今回の数値計算による流体解析の結果によれば、スクロール流路204の出口601の流れは、流路の高さ方向に見るとファンケース107側に偏る傾向があった。よって、空気流れの乱れが少ない主流付近に突起板の基部の様な大きな流路抵抗を存在させたくない場合は、整流効果と流路抵抗によるファン性能低下防止を両立させるため、突起板の基部をファンカバー104側に設け、ファンケース107側に向かうに従って細くなる形状にした方が望ましい。
また、第1の突起板801の低圧側の後流が剥離した場合の対策として、第3の突起板1101を設けることも有効である。例えば、図11に示す通り、第3の突起板1101を第1の突起板801と第2の突起板802の間に位置するようにファンケース107側に設けることで、さらなる整流効果を実現することができる。この第3の突起板1101をファンカバー104側に設けても同等の整流効果が得られるが、流路抵抗の増大を避けるため、第1の突起板801と第2の突起板802とは逆のファンケース107の壁面に第3の突起板1101を設けた方がより望ましい。
次に、本実施例における羽根102cの形状と、送風ファンユニット28の効率との関係について詳述する。まず、本実施例の羽根形状の特徴を説明するために、図18−図20のように羽根102cの各部を定義する。
重なり長さとは、羽根間中心線における、入口側の羽根B先端から伸ばした垂線との交点から、出口側の羽根A先端から伸ばした垂線との交点までの長さである。羽根半径とは、送風ファン中心から羽根までの距離である。入口角とは、羽根A先端(入口側)と、羽根B先端(入口側)とを結び、送風ファン中心を円の中心とする円弧と、羽根間中心線のそれぞれに正接する直線間の角度である。重なり入口角とは、送風ファン中心を円の中心とし、羽根B先端(入口側)から伸ばした垂線と、羽根間中心線との交点と一致する円と、羽根間中心線にそれぞれに正接する直線間の角度である。入口面積とは、前記重なり入口部における、羽根B先端(入口側)から伸ばした垂線が羽根Aに一致するまでの距離と、図示しない羽根高さを乗じたものである。出口角とは、羽根車外径と、羽根間中心線における、それぞれに正接する直線間の角度である。
図21は、本実施例の送風ファンにおける羽根角度分布を、従来の送風ファンにおける羽根角度分布と比較して示した図である。この図21によれば、従来の送風ファンは、入口角から出口角まで、約25度で角度の変化がないのに対し、本実施例の送風ファンは、入口角と出口角は小さく、重なり入口角は大きくなっていることが分かる。なお、実際の形状としては、羽根半径が約27mmの位置から始まるので、従来の送風ファンの入口角は25度、本実施例の送風ファンの入口角は20度となる。また、本実施例では、重なり入口角が、羽根全体の中で最大の角度となるように構成されている。
そして、図22は、本実施例の送風ファンにおける羽根間面積分布を、従来の送風ファンにおける羽根間面積分布と比較して示した図である。この図22によれば、従来の送風ファンが、勾配一定で羽根間面積が増えているのに対し、本実施例の送風ファンは、内径側で羽根重なり長さが約10mmまで急激に羽根間面積が増え、そこからは外径側へ行くに従って少しずつ面積が増えている(面積増加が緩やかになっている)。なお、この図22に示す羽根間面積分布は、図21に示す羽根角度分布から決定されるものである。
このように、本実施例では、重なり入口角を大きくすることで、羽根車に吸気された空気が羽根へ入る場所における、羽根間面積縮小を抑えられる。その結果、流速変化による損失を低減することができ、送風ファンユニット運転時の効率上昇を図ることが可能となる。一方、従来の羽根形状(特許文献1の図21)の場合、重なり入口における羽根間面積が小さいため、流速変化による損失が大きくなり、送風ファンユニットの効率低下につながる。
なお、羽根の重なり入口角を(例えば、15度や20度に)変化させて、重なり入口角が送風ファンユニットの効率上昇にどう寄与しているのかを試作し確認したところ、重なり入口角を小さくした試作品において、著しく効率低下が見られた。したがって、重なり入口角は、少なくとも30度以上にすることが望ましい。
また、本実施例では、内径側から重なり入口近傍にかけては羽根角度を急拡大させつつ、急拡大してからは徐々に羽根角度を小さくし、重なり入口角から出口角までの角度変化も滑らかにしている。その結果、重なり入口近傍以降の羽根間面積変化が少なくなり、流速変化による損失が低減されるため、送風ファンユニット運転時の効率上昇を図ることが可能となる。具体的には、重なり入口以降の羽根間面積変化を10%以下に抑えることが望ましい。
なお、羽根の入口角についても、本実施例の20度の他に、15度、30度、35度などと変化させて実験を行ったところ、入口角に寄らず、重なり入口角が送風ファンユニットの効率向上に寄与していることが判明した。
次に、羽根枚数を従来の8枚から増加させた場合における、騒音との関係について説明する。図23は、送風ファンユニット運転時の周波数と、騒音レベルの関係を示すものである。送風ファンの回転速度は、従来も本実施例も共に1,3500r/minである。送風ファンの羽根枚数と、送風ファンの回転速度を乗じた周波数成分が羽根音であり、従来の送風ファンは羽根枚数が8枚なので、羽根音は1800Hzにて生じ、本実施例による送風ファンは羽根枚数が12枚なので、羽根音は2700Hzにて生じる。その他の流体音等の騒音レベルが低い、高周波側に羽根音を移動させることで、羽根音の低減を図ることが出来る。しかも、羽根音のピーク周波数が、高周波側に移動するので、人の聴感でも聞き取りに難くなる。このように、羽根枚数10枚や16枚等、従来の送風ファンよりも羽根枚数を増やすことで、羽根音低減と騒音レベル低減ができる。
例えば、羽根枚数を24枚に増やせば、羽根音の低減が見込めるが、羽根車を回転させる際の負荷が増え、送風ファンユニット効率が低減してしまう。よって、単純に羽根枚数を増やすだけでなく、前述の羽根の形状変更により、羽根枚数を増やして低減した、送風ファンユニット効率を補うことが望ましい。
本実施例による送風ファンは、羽根の形状を変更することで、羽根枚数を12枚に増やしても、送風ファンユニット効率を上昇させることができ、羽根音の低減と両立させることができる。
28…送風ファンユニット、102…羽根車、103…駆動モータ、104…ファンカバー、105…吸入口、106…吐出口、107…ファンケース、201…加熱手段であるヒータ、202…温度計、203…羽根車円環部、204…スクロール流路、205…内周側舌部、206…外周側終端部、207…拡大流路部、401、402、403…空気の流れ、501…羽根車の回転方向、502…空気の流れ、601…スクロール流路の出口、602…ヒータの入口面、603…拡大流路の外周側領域(主流領域)、604…拡大流路部の内周側領域(剥離領域)、701…セラミスタ素子、702…フィン、801、802…空気流案内機能部(突起板)、803…羽根車の回転中心軸、805…羽根車の回転中心軸と内周側舌部を結ぶ線分、806、807、808…空気の流れ。
Claims (5)
- 衣類が収容される洗濯兼脱水槽と、この洗濯兼脱水槽を駆動する槽駆動モータと、前記洗濯兼脱水槽を支持する筺体と、前記洗濯兼脱水槽内に乾燥空気を送るために複数枚の羽根を有する羽根車を備える送風ファンと、前記送風ファンを駆動するファン駆動モータを備えた洗濯乾燥機において、
前記羽根車は、内径側で羽根間面積が急増加し、急増加してから外径側へ行くに従って羽根間面積の増加が緩やかになる形状としたことを特徴とする洗濯乾燥機。 - 衣類が収容される回転ドラムと、この回転ドラムを駆動するドラム駆動モータと、前記回転ドラムを支持する筺体と、前記回転ドラム内に乾燥空気を送るために複数枚の羽根を有する羽根車を備える送風ファンと、前記送風ファンを駆動する駆動モータと、前記送風ファンの外周に配置されたスクロール流路を備えた送風ファンユニットを有したドラム式洗濯乾燥機において、
前記羽根車は、重なり入口角を出口角よりも大きくしたことを特徴とするドラム式洗濯乾燥機。 - 請求項2に記載のドラム式洗濯乾燥機において、前記重なり入口角を30度以上としたことを特徴とするドラム式洗濯乾燥機。
- 請求項2に記載のドラム式洗濯乾燥機において、前記重なり入口以降の面積変化率を10%以下としたことを特徴とするドラム式洗濯乾燥機。
- 請求項2に記載のドラム式洗濯乾燥機において、前記送風ファンの羽根枚数を10以上16以下としたことを特徴とするドラム式洗濯乾燥機。
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