本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機について、図面に基づいて説明する。図1に示すように、実施形態のパチンコ遊技機は、前面枠10の内側に取着された遊技盤1を備え、遊技盤1には、ハンドル11の操作により発射された遊技球が流下する遊技領域2が、レール12で囲まれて形成されている。遊技領域2には、図示しない釘が多数突設されている。前面枠10には、複数の枠ランプ17及びスピーカ18が配設されている。また、遊技盤1には、可動役物6や盤ランプ19が設けられている。
遊技領域2には、中央下部に第1始動入賞装置5aが、右側下部に第2始動入賞装置5bが設けられている。第1始動入賞装置5aは第1始動口51aを備え、第2始動入賞装置5bは、第2始動口51bと電動チューリップと称される開閉部材(以下、「電チュー」という。)50とを備え、電チュー50は電チューソレノイド53(図2参照)により開閉し、電チュー50が開いているときのみ、第2始動口51bに遊技球が入賞可能となる。
遊技領域2には、大入賞口71を有する大入賞装置7が設けられている。大入賞装置7は、大入賞口ソレノイド72(図2参照)により動作して大入賞口71を開閉する開閉部材73を備えている。
また、遊技領域2には、複数の普通入賞装置9が設けられ、各普通入賞装置9に入った遊技球は、その普通入賞装置9内の普通入賞口90に入賞する。
遊技領域2の外側には、普通図柄表示器13、第1特別図柄表示器14a、及び、第2特別図柄表示器14bが設けられるとともに、普通図柄保留ランプ15、第1特別図柄保留ランプ16a、第2特別図柄保留ランプ16bがそれぞれ4つ設けられている。
第1特別図柄表示器14a、第2特別図柄表示器14bは、図柄表示部に相当し、それぞれ、遊技球の第1始動口51aまたは第2始動口51bへの入賞を契機として行われる大当たり抽選(当たり判定に相当。)の結果を、変動表示を経て停止表示された図柄により報知する特別図柄変動を行うものである。なお、第1特別図柄表示器14a及び第2特別図柄表示器14bに表示される図柄を特別図柄という。大当たり抽選において大当たり(当たりに相当。)と判定されれば、特別図柄は大当たり図柄で停止表示され、大入賞口71を所定回数開閉する大当たり遊技(当たり遊技に相当。)が行われる。
遊技球が第1始動口51aまたは第2始動口51bに入賞すると、メイン制御基板20(図2参照)は、その入賞に対して取得した大当たり乱数、大当たり図柄乱数、及び、リーチ乱数を、第1始動口51aへの入賞であれば第1保留記憶部27a(図2参照)に、第2始動口51bへの入賞であれば第2保留記憶部27b(図2参照)に記憶(保留)する。大当たり乱数、大当たり図柄乱数、及び、リーチ乱数は、入賞情報に相当し、大当たり乱数は当たり判定用情報に、リーチ乱数はリーチ判定用情報に相当する。そして、特別図柄変動を実行可能になったとき、即ち、前の入賞に対する特別図柄変動も大当たり遊技も実行されていない状態になったときに、記憶しておいた大当たり乱数を用いて大当たりか否かの判定を行い、大当たりの場合には大当たり図柄乱数を用いて停止表示する大当たり図柄を決定して、特別図柄変動を実行する。第1特別図柄保留ランプ16a、第2特別図柄保留ランプ16bは、それぞれ、第1保留記憶部27a、第2保留記憶部27bに記憶されている入賞情報の個数(即ち、保留数)を表示するものである。なお、第1保留記憶部27a、第2保留記憶部27bに記憶される入賞情報は、それぞれ4個が上限とされているため、第1保留記憶部27aに4個の入賞情報が記憶されている状態で遊技球が第1始動口51aに入賞したときや、第2保留記憶部27bに4個の入賞情報が記憶されている状態で遊技球が第2始動口51bに入賞したときは、その入賞に対する入賞情報の取得延いては大当たり抽選は行われず、所謂無駄球になってしまう。
遊技領域2には、液晶表示装置である画像表示器4の表示部4aが配置されている。画像表示器4は、客待ち用のデモ表示、第1始動口51aや第2始動口51bへの遊技球の入賞に基づく装飾図柄変動演出、大当たり遊技に並行して行われる大当たり演出などを表示部4aに表示する。装飾図柄変動演出は、数字等の装飾図柄と装飾図柄以外の画像とにより構成されて、図柄変動を行った後に装飾図柄を停止表示することにより大当たり抽選の結果を報知する演出である。装飾図柄変動演出は、同じ大当たり抽選の結果を報知する特別図柄変動に並行して行われるため、装飾図柄の変動時間は並行する特別図柄の変動時間と略同一となる。
ここで、特定の演出に相当するリーチ演出について説明する。リーチ演出とは、装飾図柄変動演出において装飾図柄が最終的に停止表示されるまでの装飾図柄の変動表示中に行われる演出であり、遊技者に大当たり発生への期待を持たせるために、大当たりになる可能性を示唆する演出である。なお、リーチ演出の変動パターン(リーチ演出有りの変動パターン)が、特定の変動パターンに相当する。リーチ演出としては、例えば、装飾図柄が複数の図柄(例えば、左右中の3つの図柄)からなり、それら複数の図柄が特定の態様(例えば、3つの図柄が同一図柄となる態様)で停止表示されたときに大当たりとなる場合において、それら複数の図柄を変動させた後に、最後に停止される図柄(例えば中図柄)以外の図柄を、所定時間継続して、同一図柄で停止させるが、最後に停止される図柄の変動を続けるような演出や、それら複数の図柄が同一図柄であるが停止せずに変動を続けるような演出がある。ここで、変動とは、位置が変わる場合のみならず、変形する場合や、拡大若しくは縮小する場合、揺動する場合等を含む。かかるリーチ演出の後、装飾図柄が大当たりとなる特定の態様と一致して停止すれば、大当たりとなるが、特定の態様と一致せずに停止すれば、ハズレとなる。リーチ演出の後にハズレとなる場合を、リーチ演出有りハズレまたはリーチ有りハズレという。
また、遊技領域2の右側下部には遊技球が通過可能なゲート8が設けられ、普通図柄表示器13は、遊技球のゲート8の通過を契機として行われる普通図柄抽選の結果に応じた普通図柄を、普通図柄の変動表示を経て停止表示するものであり、停止表示された普通図柄が当たり図柄であれば、所定時間及び所定回数電チュー50を開く補助遊技が行われる。
普通図柄の変動表示中または補助遊技中に、遊技球がゲート8を通過すると、メイン制御基板20は、その通過に対して取得した当たり乱数を記憶しておき、普通図柄の変動表示を開始可能な状態になったときに、記憶しておいた当たり乱数を用いて当たりか否かの判定を行い、普通図柄の変動表示を開始してその判定を報知する普通図柄を停止表示する。普通図柄保留ランプ15は、このように記憶されている当たり乱数の個数を表示するものである。なお、記憶される当たり乱数は4個が上限とされているため、4個の当たり乱数が記憶されている状態で遊技球がゲート8を通過しても、その通過に対する普通図柄抽選は行われない。
図2に示すように、実施形態のパチンコ遊技機は、メイン制御基板20、払出制御基板21、演出制御手段に相当するサブ制御基板25を備え、サブ制御基板25は、演出制御基板22、画像制御基板23、及び、ランプ制御基板24を備えている。そして、払出制御基板21及び演出制御基板22はメイン制御基板20に接続され、画像制御基板23及びランプ制御基板24は演出制御基板22に接続されている。各制御基板は、CPU、ROM、RAM等を備えている。また、メイン制御基板20は、RAM内に第1保留記憶部27a及び第2保留記憶部27bを有する保留記憶部27を備えている。また、メイン制御基板20は、遊技状態遷移手段、保留手段、及び、保留消化手段に相当する。
メイン制御基板20には、第1始動口51a内に設けられて第1始動口51aに入賞した遊技球を検出する第1始動口SW(スイッチ)54a、第2始動口51b内に設けられて第2始動口51bに入賞した遊技球を検出する第2始動口SW54b、電チューソレノイド53、ゲート8内に設けられてゲート8を通過した遊技球を検出するゲートSW81、大入賞口71内に設けられて大入賞口71に入賞した遊技球を検出する大入賞口SW74、大入賞口ソレノイド72、各普通入賞口90内にそれぞれ設けられてその普通入賞口90に入賞した遊技球を検出する普通入賞口SW91、第1特別図柄保留ランプ16a、第2特別図柄保留ランプ16b、普通図柄保留ランプ15、第1特別図柄表示器14a、第2特別図柄表示器14b、及び、普通図柄表示器13がそれぞれ接続され、図2の矢印で示すように、各スイッチからはメイン制御基板20に信号が入力され、各ソレノイドやランプにはメイン制御基板20から信号が出力される。
また、メイン制御基板20は、払出制御基板21に各種コマンドを送信し、払出制御基板21には、払出装置(図示せず。)を駆動する払出駆動モータ26が接続されて、払出制御基板21は、メイン制御基板20から受信したコマンドに従って払出駆動モータ26を動作させ、賞球の払出を行わせる。
さらに、メイン制御基板20は、演出制御基板22に対し各種コマンドを送信し、演出制御基板22は、画像制御基板23との間でコマンドや信号の送受信を行う。画像制御基板23には画像表示器4及びスピーカ18が接続され、画像制御基板23は演出制御基板22から受信したコマンドに従って、画像表示器4の表示部4aに装飾図柄その他の画像を表示して、装飾図柄変動演出等を行い、また、スピーカ18から音声を出力する。また、演出制御基板22はランプ制御基板24にコマンドを送信する。ランプ制御基板24には、可動役物6、枠ランプ17、及び、盤ランプ19が接続され、ランプ制御基板24は、演出制御基板22から受信したコマンドに従って、可動役物6を作動し、枠ランプ17や盤ランプ19を点灯・消灯する。
次に、実施形態のパチンコ遊技機の遊技状態及び大当たりの種類について説明する。実施形態のパチンコ遊技機には、時短無し遊技状態と時短遊技状態があるととともに、低確率遊技状態と高確率遊技状態があり、低確率遊技状態でかつ時短無し遊技状態を、通常遊技状態という。
時短遊技状態とは、時短無し遊技状態よりも第2始動口51bへ遊技球が入賞し易い状態をいう。具体的には、時短無し遊技状態では、普通図柄抽選の当選確率が約1/10、普通図柄変動時間が4秒、第2始動口51bの開放時間が0.15秒、第2始動口51bの開放回数が1回であるのに対して、時短遊技状態では、普通図柄抽選の当選確率が約9/10、普通図柄変動時間が1.5秒、第2始動口51bの開放時間が1.80秒、第2始動口51bの開放回数が3回となっている。
高確率遊技状態(以下、「確変遊技状態」ともいう。)とは、低確率遊技状態よりも大当たりに当選し易い状態をいう。具体的には、低確率遊技状態では、大当たり当選確率が約1/99.9であるのに対して、確変遊技状態では、大当たり当選確率が約1/11.6となっている。
初期状態では(即ち、電源が投入されて最初の遊技が開始されるときは)通常遊技状態である。そして、いずれの遊技状態であっても、大当たりが発生すれば、大入賞口71を大当たりの種類に応じた所定回数開放(この開放回数若しくは開放期間を「ラウンド」といい、Rで表記する。)する大当たり遊技を経て、5回の特別図柄変動を上限として確変遊技状態とされるとともに、その大当たりの種類及びその大当たりが発生したときの遊技状態に応じた所定回数(図20参照)の特別図柄変動を上限として、時短遊技状態とされる。そして、かかる大当たり遊技後の確変遊技状態及び/または時短遊技状態の間に大当たりが発生しなければ通常遊技状態に戻るが、大当たりが発生すれば、大当たり遊技を経て、再び上述したように遊技状態が遷移する。
大当たりの種類は、特別図柄表示部14に停止表示される大当たり図柄で示され、ここでは、図柄A、B、C、D、Eの5種類がある。そして、図柄A、BまたはCであれば15R、図柄DまたはEであれば5Rの大当たり遊技が行われる。但し、図柄Eの場合、5Rのうち4Rは出玉が殆ど望めない極短期間の開放とされる。そして、いずれの大当たり遊技後も、上述したように特別図柄変動が5回行われるまで確変遊技状態とされる。また、図20は、時短遊技状態とされる特別図柄変動の上限回数(以下、「時短回数」という。)を示し、例えば、低確率かつ時短無し遊技状態、即ち、通常遊技状態において、図柄Aで大当たりした場合には時短回数は99回、図柄B、CまたはDで大当たりした場合には時短回数は5回、図柄Eで大当たりした場合には時短回数は0回である。したがって、通常遊技状態で、図柄A〜Dのいずれかで大当たりした場合には、大当たり遊技後、特別図柄変動が5回行われるまで、高確率かつ時短遊技状態とされ、図柄Aで大当たりした場合には、さらに、特別図柄変動が94回行われるまで低確率かつ時短遊技状態とされる。また、通常遊技状態で、図柄Eで大当たりした場合には、大当たり遊技後、特別図柄変動が5回行われるまで、高確率かつ時短無し遊技状態とされる。但し、いずれの場合も、特別図柄変動が上記所定回数行われるまでの途中で大当たりが発生したときは、大当たり遊技後、その大当たりの種類に応じた遊技状態に遷移する。
次に、図3〜13に基づいてメイン制御基板20の動作について説明する。なお、後述する各カウンタは、RAMに設けられ、パチンコ遊技機の電源投入時にゼロクリアされる。
[メイン側タイマ割込処理]メイン制御基板20は、図3に示すメイン側タイマ割込処理を例えば4msecといった短時間毎に繰り返す。まず、メイン制御基板20は、大当たり抽選に用いる大当たり乱数、大当たり図柄(即ち、大当たりの種類)を決めるための大当たり図柄乱数、リーチ演出をするか否かを決めるためのリーチ乱数、変動パターンを決定するための変動パターン乱数、普通図柄抽選に用いる当たり乱数等を、それぞれの乱数記憶部において更新する乱数更新処理を行う(ステップS101)。
次に、メイン制御基板20は、後述する始動口SW処理(S102)及びゲートSW処理(S103)の他、大入賞口SW処理(S104)及び普通入賞口SW処理(S105)を行う。大入賞口SW処理は、大入賞口SW74がONしていれば、大当たり遊技(後述する大当たり遊技フラグがON)中か否かを判定して、大当たり遊技中であれば、入賞個数カウンタの値Cに1を加算するとともに、大入賞口カウンタの値に1を加算する処理である。普通入賞口SW処理は、普通入賞口SW91がONしていれば普通入賞口カウンタの値に1を加算する処理である。
続いて、メイン制御基板20は、後述する特別図柄処理(S106)、普通図柄処理(S107)、大入賞口処理(S108)、及び、電チュー処理(S109)を行う。そして、メイン制御基板20は、大入賞口カウンタの値に応じた数の賞球、及び、普通入賞口カウンタの値に応じた数の賞球を払い出すためのコマンドをセットして、それらのカウンタをゼロクリアする賞球処理(S110)を行い、以上の各処理においてセットしたコマンドを払出制御基板21及び演出制御基板22に出力する出力処理(S111)を行う。
[始動口SW処理]図4に示すように、始動口SW処理では、メイン制御基板20は第1始動口SW54aがONしたか否かを判定し(S201)、ONしていなければステップS206に進み、ONしていれば、第1保留記憶部27aに記憶されている入賞情報の個数を数える第1始動口保留カウンタの値U1が、上限値の4未満か否かを判定する(S202)。そして、4未満でない場合はステップS206に進み、4未満の場合はU1に1を加算して(S203)、入賞情報として、大当たり乱数、大当たり図柄乱数、及び、リーチ乱数を、それぞれの乱数記憶部から取得して、第1保留記憶部27aに格納し(S204)、第1保留数増加コマンドをセットする(S205)。
ステップS206では、メイン制御基板20は第2始動口SW54bがONしたか否かを判定し、ONしていなければ処理を終え、ONしていれば、第2保留記憶部27bに記憶されている入賞情報の個数を数える第2始動口保留カウンタの値U2が、上限値の4未満か否かを判定する(S207)。そして、4未満でない場合は始動口SW処理を終え、4未満の場合は、U2に1を加算して(S208)、入賞情報として、大当たり乱数、大当たり図柄乱数、及び、リーチ乱数を、それぞれの乱数記憶部から取得して、第2保留記憶部27bに格納し(S209)、第2保留数増加コマンドをセットして(S210)、始動口SW処理を終える。
[ゲートSW処理]図5に示すように、ゲートSW処理では、メイン制御基板20はゲートSW81がONしたか否かを判定し(S301)、ONしていなければ処理を終え、ONしていれば、ゲート保留カウンタの値Gが上限値の4未満か否かを判定する(S302)。そして、4未満でない場合はゲートSW処理を終え、4未満であればGに1を加算して(S303)、当たり乱数をその乱数記憶部から取得して所定記憶域に格納し(S304)、ゲートSW処理を終える。
[特別図柄処理]図6に示すように、特別図柄処理では、メイン制御基板20は、大当たり遊技中か否かを示す大当たり遊技フラグがONか否かを判定し(S401)、ONであれば、特別図柄変動を開始できないため処理を終え、ONでなければ特別図柄変動中か否かを判定する(S402)。そして、変動中であればステップS411に進むが、変動中でなければ、特別図柄変動を開始できるため、第2始動口保留カウンタの値U2が1以上か否かを判定する(S403)。メイン制御基板20は、U2が1以上であれば、第2保留記憶部27bに記憶されている入賞情報のうち最先に記憶されたものを、後述する大当たり判定処理(S407)及び変動パターン選択処理(S408)に用いるために所定の判定用領域に読み出した後、第2保留記憶部27bから消去し、U2から1を減算する(S404)。なお、判定用領域には、入賞情報とともに、その入賞情報が第1始動口51aと第2始動口51bのいずれへの入賞に対するものかを示す情報、及び、第1保留記憶部27aまたは第2保留記憶部27bにおいて何番目の保留であったか(即ち、その入賞情報をカウントしたときの第1始動口保留カウンタまたは第2始動口保留カウンタの値)を示す情報も記憶される。一方、U2が1以上でなければ、第1始動口保留カウンタの値U1が1以上か否かを判定して(S405)、U1が1以上でなければ、処理を終えるが、U1が1以上であれば、第1保留記憶部27aに記憶されている入賞情報のうち最先に記憶されたものを、大当たり判定処理(S407)及び変動パターン選択処理(S408)に用いるために判定用領域に読み出した後、第1保留記憶部27aから消去し、U1から1を減算する(S406)。このように、第2保留記憶部27bに記憶されている入賞情報は、第1保留記憶部27aに記憶されている入賞情報に優先して処理されるとともに、先に記憶されたものから順に処理される。なお、ここでは、入賞情報を大当たり判定処理及び変動パターン選択処理に用いるために読み出した後、保留記憶部27から消去するが、要するにその入賞情報が再度使用されないように無効化すればよく、消去以外の方法で無効化してもよい。
メイン制御基板20は、判定領域に読み出した入賞情報を用いて、後述する大当たり判定処理(S407)、及び、後述する変動パターン選択処理(S408)を行う。そして、その読み出した入賞情報が、第1始動口51aへの入賞に対するものであれば第1特別図柄表示器14a、第2始動口51bへの入賞に対するものであれば第2特別図柄表示器14bにおいて、特別図柄変動を開始し(S409)、変動開始コマンドをセットして(S410)、ステップS411に進む。なお、変動開始コマンドには、その変動が第1始動口51a、第2始動口51bのいずれへの入賞に対するものかを示す情報と、現在の遊技状態を示す情報と、大当たり判定処理でセットされた図柄(大当たり図柄またはハズレ図柄)を示す情報と、変動パターン設定処理でセットされた変動パターンとが含まれている。ステップS411では、変動パターンで示される特別図柄の変動時間が経過したか否かを判定し、経過していなければ特別図柄処理を終えるが、経過していれば、大当たり判定処理でセットされた図柄で特別図柄を停止表示し(S412)、変動停止コマンドをセットして(S413)、後述する停止中処理(S414)を行って、特別図柄処理を終える。
[大当たり判定処理]図7に示すように、大当たり判定処理では、メイン制御基板20は、確変遊技フラグがONか否かを判定し(S501)、ONであれば大当たり判定用テーブルとして高確率テーブルを選択し(S502)、ONでなければ低確率テーブルを選択する(S503)。大当たり判定用テーブルは、大当たりとされる乱数値が格納されたテーブルであり、大当たり乱数とこのテーブル内の乱数値とを照合することにより、大当たりか否かが判定される。実施形態では、図19(a)に示すように、大当たり乱数の範囲は0〜65535とされ、低確率テーブルにはそのうちの656個の乱数値が、高確率テーブルにはそのうちの5256個の乱数値が格納されて、低確率テーブルの場合656/65535(約1/99.9)、高確率テーブルの場合5256/65535(約1/11.6)の確率で大当たりとなるように構成されている。
メイン制御基板20は、選択した大当たり判定用テーブルを用いて、判定用領域に読み出されている入賞情報中の大当たり乱数が、大当たりか否かの判定を行う(S504)。そして、大当たりであれば(S505でYES)、判定用領域に読み出されている入賞情報中の大当たり図柄乱数を、大当たり図柄判定用テーブル内の乱数値と照合することにより、大当たり図柄を決定する(S506)。大当たり図柄判定用テーブルには、図19(b)(c)に示すように、第1始動口51aへの入賞に対して用いられるテーブルと、第2始動口51bへの入賞に対して用いられるテーブルとがあり、大当たり図柄乱数の範囲は0〜199とされて、第1始動口51aへの入賞に対する判定では、図柄A、B、C、D、Eが8:36:4:92:60の割合で選択され、第2始動口51bへの入賞に対する判定では、図柄B、Dが48:152の割合で選択されるように、各大当たり図柄を示す情報とそれらに対応する乱数値とが格納されている。メイン制御基板20は、決定した大当たり図柄をセットする(S507)。一方、大当たり乱数が大当たりでなければ(S505でNO)、ハズレ図柄をセットする(S508)。これらセットされた図柄を、以下、停止図柄という。
[変動パターン選択処理]図8に示すように、変動パターン選択処理では、メイン制御基板20は、通常遊技状態(低確率かつ時短無し遊技状態)であるか否かを確変遊技フラグ及び時短遊技フラグにより判定し(S600)、通常遊技状態であれば、ステップS601に進む。メイン制御基板20は、判定用領域に読み出されている入賞情報が、大当たり判定処理において大当たりと判定されたものである場合(S601でYES)、その入賞情報が第1始動口51aへの入賞(第1保留)に対するものか否かを判定し(S602)、第1始動口51a、第2始動口51bのいずれへの入賞であるかに応じるとともに、大当たり判定処理において決定した大当たり図柄に応じた変動パターンテーブルをセットする(S603,S604)。変動パターンテーブルは、各変動パターンに対して乱数値(判定値)が割り当てられたものであり、変動パターンには、リーチ演出無しの変動パターンと、リーチ演出有りの変動パターンがある。図18に示すように、大当たりが第1始動口51aへの入賞(即ち、第1保留)に対するものであって、大当たり図柄が図柄A、B、C、D、Eの場合、それぞれ、変動パターンテーブルとして、テーブルA1、A2、A3、A4、A5がセットされる。これらのテーブルA1〜A5を、第1保留大当たり用変動パターンテーブルという。また、大当たりが第2始動口51bへの入賞(即ち、第2保留)に対するものであって、大当たり図柄が図柄B、Dの場合、それぞれ、テーブルA100、A101がセットされる。これらのテーブルA100、A101を第2保留大当たり用変動パターンテーブルという。
図18に、各テーブルにおけるリーチ確率(リーチ演出有りとなる確率)、リーチ種類(リーチ演出の種類)、リーチ時平均変動時間(リーチ演出有りの場合の特別図柄変動時間の平均)、及び、非リーチ時平均変動時間(リーチ演出無しの場合の特別図柄変動時間の平均)を示す。装飾図柄変動演出は特別図柄変動に並行して(略同期して)行われるので、リーチ時平均変動時間、非リーチ時平均変動時間は、それぞれ、装飾図柄変動演出における、リーチ演出有りの場合の平均図柄変動時間、リーチ演出無しの場合の平均図柄変動時間に相当する。例えば、テーブルA1であれば、リーチ確率は100%、リーチ種類は44種類、リーチ時平均変動時間は約132秒である。なお、テーブルA1等、大当たりの場合のテーブルは、リーチ確率が100%であり、リーチ演出は必ず行われるので、非リーチ時平均変動時間は存在しない。なお、図18における括弧内の数値は、振分け率である。
また、メイン制御基板20は、判定用領域に読み出されている入賞情報が、大当たり判定処理において大当たりでないと判定されたものである場合(S601でNO)、その入賞情報中のリーチ乱数を、リーチ判定用テーブル中の乱数値と照合することにより、特別図柄変動に並行して行われる装飾図柄変動演出においてリーチ演出有りとするか否かのリーチ判定を行う(S605)。リーチ乱数は、図19(d)に示すように、0〜250までの範囲で値をとることとされ、リーチ判定用テーブルには、リーチ有り(リーチ演出有り)とされる割合が41/251となるように、乱数値が格納されている。但し、後述するように、リーチ判定でリーチ有りとされた場合であっても、結局はリーチ演出有りとされない場合があり、リーチ判定でリーチ有りとされる確率よりも、大当たり抽選でハズレとなった場合に実際にリーチ演出が出現する(即ち、リーチ有りハズレとなる)確率は低い。一方、リーチ判定でリーチ無しとされた場合には、リーチ演出は行われないため、リーチ判定は、リーチ演出の可能性有りとするか否かの判定と言える。
メイン制御基板20は、入賞情報中のリーチ乱数を用いてリーチ有りと判定した場合(S606でYES)、その入賞情報が第1保留か否かを判定し(S607)、第1保留であれば、第1保留リーチ有りハズレ用変動パターンテーブルであるテーブルB4をセットする(S608)。テーブルB4は、図18に示すように、リーチ確率が約43%となるように乱数値が格納されたテーブルである。一方、ステップS607において第1保留でない、即ち、第2保留であると判定した場合には、第2保留リーチ有りハズレ用変動パターンテーブルであるテーブルB101をセットする(S609)。テーブルB101は、図18に示すように、リーチ確率がテーブルB4よりかなり低く、約6%となるように乱数値が格納されたテーブルである。テーブルB101はテーブルB4よりも、リーチ時平均変動時間が短い。また、図18には示されていないが、テーブルB101には長いリーチ演出の変動パターンが設定されてなく、テーブルB101はテーブルB4よりも、リーチ時の最大図柄変動時間が短い。
メイン制御基板20は、入賞情報中のリーチ乱数を用いてリーチ無し(リーチ演出無し)と判定した場合(S606でNO)、その入賞情報が第1保留か否かを判定し(S610)、第1保留であれば、その入賞情報が第1保留記憶部27aにおいて何番目の保留であったかに応じて、変動パターンテーブルをセットする。ここでは、図18に示すように、1番目あるいは2番目の保留であった場合にはテーブルB1、3番目の保留であった場合にはテーブルB2、4番目の保留であった場合にはテーブルB3をセットする(S611)。これらテーブルB1、B2及びB3を、第1保留リーチ無しハズレ用変動パターンテーブルという。テーブルB1、B2及びB3は、図18に示すように、リーチ確率が0%とされ、非リーチ時変動時間はそれぞれ約12秒、約8秒、約4秒とされ、保留数が多いとき程早く保留が消化されるようになっている。一方、ステップS610において第2保留と判定した場合には、第2保留リーチ無しハズレ用変動パターンテーブルであるテーブルB100をセットする(S612)。テーブルB100は、図18に示すように、リーチ確率が0%とされ、非リーチ時変動時間は約4秒とされて、保留数にかかわらず早く保留が消化されるように乱数値が格納されたテーブルである。このように、リーチ演出無しの変動パターンとして、特別図柄変動時間が約4秒の変動パターン(以下、「短変動パターン」という。)が設けられ、この短変動パターンは、いずれのリーチ演出有りの変動パターンよりも、特別図柄の変動時間が短い。そして、実施形態では、第2保留でハズレと判定された場合、第1保留でハズレと判定された場合よりも、短変動パターンが選択され易く構成されている。より具体的に説明すれば、第2保留でハズレと判定された場合、第1保留でハズレと判定された場合よりも、リーチ演出無しの変動パターンが選択され易く、かつ、リーチ演出無しの変動パターンが選択されるときは、短変動パターンが100%選択されるように構成されている。なお、短変動パターンの選択率を必ずしも100%としなくてもよいことは勿論であり、要するに、第2保留でハズレと判定された場合、第1保留でハズレと判定された場合よりも、短変動パターンが選択され易く構成すればよい。
このように、変動パターンテーブルは、大当たりの場合もハズレの場合も、更にハズレの場合においてリーチ有りの場合もリーチ無しの場合も、第1保留に対するものと第2保留に対するものとで、別々のテーブルが用いられる。
次に、メイン制御基板20は、変動パターン乱数を取得して(S614)、上記のようにセットした変動パターンテーブルを参照して、取得した変動パターン乱数がいずれの変動パターンに対応しているかの判定を行い(S615)、対応する変動パターンをセットする(S616)。変動パターンは、変動時間を示すとともに、演出の種類(リーチ演出の有無及びリーチ演出有りの場合にはその種類を含む。)を示すものである。また、変動パターン乱数は0〜10362の範囲の値をとることとされ、テーブルB4には、このうち5933個の乱数値がリーチ演出無し、4430個の乱数値がリーチ演出有りの変動パターンに対応するものとして格納されて、テーブルB4のリーチ確率は、4430/10363=約43%とされている。また、テーブルB101には、9718個の乱数値がリーチ演出無し、645個の乱数値がリーチ演出有りの変動パターンに対応するものとして格納されて、テーブルB101のリーチ確率は、645/10363=約6%とされている。
ここで、通常遊技状態の場合、大当たり抽選がハズレの確率は、(65535−656)/65535=64879/65535であり、大当たり抽選がハズレの場合においてリーチ乱数によりリーチ有りとされる確率は、上述したように41/251であり、第2保留であった場合のテーブルB101のリーチ確率は、645/10363であるので、通常遊技状態で第2保留の場合、リーチ有りハズレの出現率は、(64879/65535)×(41/251)×(645/10363)≒1/99となり、通常遊技状態における大当たり確率と略同じとなる。したがって、通常遊技状態であっても第2保留に対してリーチ演出が出現すれば、約1/2の確率で大当たりとなるため、リーチ演出に対する遊技者の期待感を高めることができる。また、通常遊技状態で第1保留の場合、リーチ有りハズレの出現率は、第2保留の場合と同様に計算すると、(64879/65535)×(41/251)×(4430/10363)≒1/14となり、第2保留の場合よりもリーチ演出が出現し易いので、第1保留に対するリーチ演出により、興趣の低下を防止できる。なお、通常遊技状態で第1保留に対してリーチ演出が出現したときは、リーチ有りハズレの出現率が約1/14、大当たり確率が約1/99.9であることから、約1/8の確率で大当りになることとなり、通常遊技状態で第2保留に対してリーチ演出が出現したときの方が、通常遊技状態で第1保留に対してリーチ演出が出現したときよりも大当りになり易くなっている。
メイン制御基板20は、ステップS600において通常遊技状態でないと判定した場合には、非通常遊技状態用変動パターンテーブルセット処理を行う(S613)。非通常遊技状態用変動パターンテーブルセット処理において、メイン制御基板20は、通常遊技状態の場合と同様に、判定用領域に読み出されている入賞情報が、大当たりと判定されたものであるか否か、ハズレの場合にはリーチ演出有りとするか否かについて判定し、その結果に応じて用意されている変動パターンテーブルをセットする。なお、このときの変動パターンテーブルは、第1保留に対するものと第2保留に対するものとで、別々のテーブルとしてもよいし、共通のテーブルとしてもよい。そして、メイン制御基板20は、変動パターン乱数を取得して(S614)、セットした変動パターンテーブルを参照して、その変動パターン乱数がいずれの変動パターンに対応しているかの判定を行い(S615)、対応する変動パターンをセットする(S616)。
[停止中処理]図9に示すように、停止中処理では、メイン制御基板20は、時短遊技状態か否かを示す時短遊技フラグがONか否かを判定し(S701)、ONでない場合はステップS705に進むが、ONの場合は、時短遊技状態中の特別図柄変動回数を数える時短変動カウンタの値Jを1減算し(S702)、Jが0であれば時短遊技状態を終えるために時短遊技フラグをOFFして(S703、704)、ステップS705に進む。ステップS705では、メイン制御基板20は、確変遊技状態か否かを示す確変遊技フラグがONか否かを判定し、ONでない場合はステップS709に進むが、ONの場合は、確変遊技状態中の特別図柄変動回数を数える高確率変動カウンタの値Xを1減算し(S706)、Xが0であれば、確変遊技状態を終えるために、確変遊技フラグをOFFして(S708)、ステップS709に進む。
メイン制御基板20は、判定用領域に読み出されている入賞情報が、大当たり判定処理において大当たりと判定されたものである場合(S709でYES)、その大当たりの種類(即ち、大当たり図柄)に応じた大当たり遊技フラグをONする(S710)。大当たりの種類は、上述したように5種類あるので、大当たり遊技フラグも5種類存在することになる。そして、メイン制御基板20は、時短変動カウンタの値J及び高確率変動カウンタの値Xを0とし(S711)、時短遊技フラグ及び確変遊技フラグをOFFし(S712)、オープニングを開始するとともに(S713)、オープニングコマンドをセットして(S714)、停止中処理を終える。一方、判定用領域に読み出されている入賞情報が、大当たり判定処理において大当たりと判定されたものでない場合(S709でNO)、メイン制御基板20は、停止中処理を終える。
[普通図柄処理]図10に示すように、普通図柄処理では、メイン制御基板20は、補助遊技中か否かを示す補助遊技フラグがONか否かを判定し(S801)、ONであれば普通図柄処理を終え、ONでなければ普通図柄の変動中か否かを判定する(S802)。そして、変動中の場合にはステップS813に進み、変動中でない場合には、ゲート保留カウンタの値Gが1以上か否かを判定し(S803)、Gが1以上でなければ普通図柄処理を終え、Gが1以上であればGから1を減算して(S804)、ステップS304で格納しておいた当たり乱数が当たりか否かを判定して(S805)、当たりであれば(S806でYES)、当たり図柄をセットし(S807)、当たりでなければ(S806でNO)、ハズレ図柄をセットする(S808)。そして、時短遊技フラグがONであれば(S809でYES)、変動時間1.5秒をセットし(S810)、時短遊技フラグがOFF(S809でNO)、変動時間4秒をセットして(S811)、普通図柄の変動を開始して(S812)、ステップS813に進む。
ステップS813では、メイン制御基板20は、変動時間が経過したか否かを判定し、経過していなければ普通図柄処理を終えるが、経過していれば、普通図柄の変動を停止してステップS807、808でセットした図柄を停止表示する(S814)。そして、停止した図柄が当たり図柄であれば(S815でYES)、補助遊技フラグをONし(S816)、ハズレ図柄であれば(S815でNO)、補助遊技フラグをONせずに、普通図柄処理を終える。
[大入賞口処理]図11に示すように、大入賞口処理では、メイン制御基板20は、まず、大当たり遊技フラグがONか否かを判定し(S901)、ONでなければ大入賞口処理を終えるが、ONであれば、オープニング中であるか否かを判定する(S902)。オープニングとは、大当たり遊技の開始から第1ラウンドの開始までの期間をいう。メイン制御基板20は、オープニング中と判定した場合には、オープニング時間が経過したか否かを判定し(S903)、経過していなければ大入賞口処理を終え、経過していれば、大当たりの種類に応じた最大R数(ラウンド数)と作動パターンとを設定する(S904)。そして、入賞個数カウンタの値Cをゼロクリアし(S905)、ラウンドカウンタの値Rに1を加算し(S906)、大入賞口71の作動(開放)を開始する(S907)。
次に、メイン制御基板20は、大入賞口71の作動時間(開放時間。ここでは、図柄Eで当たったときの2〜5Rは0.06秒、それら以外は全て29.5秒。)が経過したか否かを判定し(S908)、経過していれば大入賞口71を閉口し(S910)、経過していなければ、入賞個数カウンタの値Cが規定個数であるか否かを判定して(S909)、規定個数でなければ大入賞口処理を終え、規定個数であれば大入賞口71を閉口する(S910)。
そして、メイン制御基板20は、ラウンドカウンタの値Rが最大R数であるか否かを判定し(S911)、最大R数でなければ大入賞口処理を終え、最大R数であれば、エンディングを開始して(S912)、エンディングコマンドをセットし(S913)、ラウンドカウンタの値Rをゼロクリアする(S914)。なお、エンディングとは、最終ラウンドの終了から大当たり遊技の終了までの期間をいう。次に、メイン制御基板20は、エンディング時間が経過したか否かを判定し(S917)、経過していなければ大入賞口処理を終え、経過していれば後述する遊技状態設定処理を行って(S918)、当たり遊技フラグをOFFし(S919)、大入賞口処理を終える。
一方、メイン制御基板20は、ステップS902においてオープニング中でないと判定したときは、エンディング中であるか否かを判定し(S915)、エンディング中であればステップS917に移行し、エンディング中でなければ大入賞口の作動中か否かを判定する(S916)。そして、作動中でなければステップS905に移行し、作動中であればステップS908に移行する。
[遊技状態設定処理]図12に示すように、遊技状態設定処理では、メイン制御基板20は、今終了した大当たり遊技が、時短付き大当たり(時短遊技状態に遷移する大当たり)に対するものであれば(S1001でYES)、時短遊技フラグをONし(S1002)、時短変動カウンタの値Jに時短回数をセットする(S1003)。なお、時短回数は、大当たりが発生したときの遊技状態及び大当たりの種類に応じて、図20に示すように定められている。時短回数0は、時短付きでないことを示している。即ち、図柄Aで大当たりしたときは、遊技状態を問わず時短付きで時短回数は99回であり、図柄B、C、Dのいずれかで大当たりしたときは、いずれも時短付きであるが、時短無し遊技状態で発生したものであれば時短回数は5回、時短遊技状態で発生したものであれば時短回数は99回であり、図柄Eで大当たりしたときは、時短無し遊技状態で発生したものであれば時短付きではなく、時短遊技状態で発生したものであれば時短付きで時短回数は99回となる。そして、いずれの大当たりでも、特別図柄変動5回を上限として確変遊技状態に遷移するため、メイン制御基板20は、確変遊技フラグをONし(S1004)、高確率変動カウンタの値Xを5とする(S1005)。
ここで、時短無し遊技状態では、第2始動口51bへの入賞の可能性は非常に低いため、遊技者は通常、第1始動口51aを狙って遊技球を発射し、時短遊技状態では、第1始動口51aよりも第2始動口51bへの入賞の可能性が飛躍的に高くなるため、遊技者は通常、ゲート8及び第2始動口51bを狙って遊技球を発射する。実施形態のパチンコ遊技機では、第1始動口51aは遊技領域2の中央下部に、ゲート8及び第2始動口51bは遊技領域2の右側下部に配置されているため、ゲート8及び第2始動口51bを狙うときは所謂右打ちをすることとなって、第1始動口51aに入賞することはまずない。したがって、第1始動口51aへの入賞に基づく大当たりは、殆どが時短無し遊技状態で発生し、第2始動口51bへの入賞に基づく大当たりは、殆どが時短遊技状態で発生することとなる。図19(b)(c)に示す時短回数が、第1始動口51aについては時短無し(時短無し遊技状態)時に当選したもの、第2始動口51bについては時短有り(時短遊技状態)時に当選したものとして示されているのは、かかる理由による。
[電チュー処理]図13に示すように、電チュー処理では、メイン制御基板20は、補助遊技フラグがONか否かを判定し(S1101)、ONでないと判定すれば電チュー処理を終える。一方、ONと判定すれば、電チュー50が作動中か否かを判定する(S1102)。そして、作動中である場合はステップS1107に進むが、作動中でない場合、時短遊技フラグがONであれば(S1103でYES)、1.80秒の開放を3回行う作動パターン(S1104)、ONでなければ(S1103でNO)、0.15秒の開放を1回行う作動パターンをセットして(S1105)、その作動パターンに則った作動を開始し(S1106)、ステップS1107に進む。ステップS1107では、メイン制御基板20は、作動時間(複数の開放を含む作動パターンでは、開放間のインターバル時間を含む。)が経過したか否かを判定し、経過していなければ電チュー処理を終え、経過していれば補助遊技フラグをOFFして(S1108)、電チュー処理を終える。
以上のメイン制御基板20における処理と並行して、演出制御基板22では図14〜16に示すような処理を行う。以下、演出制御基板22の動作について説明する。
[サブ側タイマ割込処理]演出制御基板22は、図14に示すようなサブ側タイマ割込処理を所定の短時間毎に繰り返す。サブ側タイマ割込処理では、後述するコマンド受信処理(S1201)と、コマンド受信処理でセットしたコマンドを画像制御基板23やランプ制御基板24に送信するコマンド送信処理(S1202)とを行う。
[コマンド受信処理]図15に示すように、コマンド受信処理では、演出制御基板22は、メイン制御基板20から保留数増加コマンド(第1保留数増加コマンドまたは第2保留数増加コマンド)を受信したか否かを判定し(S1301)、受信していれば、第1保留数増加コマンドであれば第1保留数、第2保留数増加コマンドであれば第2保留数を加算し(S1302)、その保留数を表示部4aに表示させるための保留数コマンドをセットする(S1303)。次に、演出制御基板22は、変動開始コマンドを受信していれば後述する演出選択処理を行い(S1304,S1305)、変動停止コマンドを受信していれば後述する変動演出終了中処理を行う(S1306,S1307)。そして、演出制御基板22は、オープニングコマンドを受信していれば、オープニングコマンドを解析して大当たり演出パターンを選択し、オープニング演出開始コマンドをセットする大当たり演出選択処理を行い(S1308,S1309)、エンディングコマンドを受信していれば、エンディングコマンドを解析してエンディング演出パターンを選択し、エンディング演出開始コマンドをセットするエンディング演出選択処理を行う(S1310,S1311)。
[演出選択処理]図16に示すように、演出選択処理では、演出制御基板22は、メイン制御基板20から受信した変動開始コマンドを解析する(S1401)。変動開始コマンドには、その変動が第1始動口51a、第2始動口51bのいずれへの入賞に対するものかを示す情報、現在の遊技状態を示す情報、大当たり判定処理においてセットされた停止図柄を示す情報、及び、変動パターンが含まれている。演出制御基板22は、その変動が第1始動口51aへの入賞に対するものであれば第1保留数、第2始動口51bへの入賞に対するものであれば第2保留数を1減算して、表示部4aに表示される保留数を減らすための保留数コマンドをセットする(S1403)。そして、変動パターンと、停止図柄を示す情報によって示される停止図柄とに応じた装飾図柄変動演出パターンを選択する(S1404)。例えば、変動パターンが変動時間12秒のリーチ演出無しを示し、停止図柄を示す情報がハズレ図柄を示していれば、変動時間12秒でリーチ演出が無くハズレの態様で装飾図柄が停止表示されるような装飾図柄変動演出パターンを選択する。変動パターンが変動時間60秒のリーチ演出を示し、停止図柄を示す情報がハズレ図柄を示していれば、変動時間60秒で変動パターンが示す演出の種類に応じたリーチ演出の後に、ハズレの態様で装飾図柄が停止表示されるような図柄変動演出パターンを選択する。変動パターンが変動時間60秒のリーチ演出を示し、停止図柄を示す情報が大当たり図柄を示していれば、変動時間60秒で変動パターンが示す演出の種類に応じたリーチ演出の後に、その大当たり図柄に応じた大当たりの態様で装飾図柄が停止表示されるような装飾図柄変動演出パターンを選択する。このように装飾図柄変動演出パターンを選択後、メイン制御基板20は、選択された装飾図柄変動演出パターンを示す情報を含む変動演出開始コマンドをセットする(S1405)。保留数コマンド及び変動演出開始コマンドは、上述したコマンド送信処理(S1202)において画像制御基板23及びランプ制御基板24に送信され、これを受信した画像制御基板23は、保留数を減らす表示を画像表示器4に実行させるとともに、装飾図柄変動演出パターンに従った装飾図柄変動演出を画像表示器4に開始させる。装飾図柄変動演出が可動役物6や盤ランプ19等の作動を伴うものであれば、ランプ制御基板24は、装飾図柄変動演出パターンに従って可動役物6や盤ランプ19等を作動させる。
[変動演出終了中処理]図17に示すように、変動演出終了中処理では、演出制御基板22は、変動停止コマンドを解析し(S1501)、演出モードの変更の必要があるか否かを判定(例えば、大当たり後にその大当たりの種類に応じた演出モードに変更するのであれば、現在変動中の装飾図柄変動演出が大当たりとなるものであるか否かを判定)して(S1502)、必要があれば演出モードを変更する処理(例えば、大当たりの種類に応じて、演出モードを示すモードフラグを変更する処理)を行う(S1503)。なお、演出モードとは、画像表示器4における演出の態様であり、演出モードが異なると、登場するキャラクタや背景が異なる等、画像表示器4に表示される動画が異なり、装飾図柄変動演出も演出モードに応じたものが選択される。そして、演出制御基板22は、演出モードを示す情報(例えばモードフラグ)を含む変動演出終了コマンドをセットする(S1504)。変動演出終了コマンドは、上述したコマンド送信処理(S1202)において画像制御基板23に送信され、これを受信した画像制御基板23は、装飾図柄変動演出を終了し、演出モードを示す情報にしたがって演出モードを変更する。
以上説明したように、実施形態のパチンコ遊技機は、第1の変動パターンテーブルB4と第2の変動パターンテーブルB101とを備え、B4、B101は、それぞれ、リーチ演出有りの変動パターンとリーチ演出無しの変動パターンとが選択されるように構成され、かつ、B101はB4よりもリーチ演出有りの変動パターンが選択される確率が低確率となるように構成されている(B4は約43%、B101は約6%)。そして、通常遊技状態においてハズレかつリーチ判定でリーチ有りと判定された入賞情報に対して、その入賞情報が第1保留である場合には変動パターンテーブルB4を用いて、その入賞情報が第2保留である場合には変動パターンテーブルB101を用いて、変動パターンを選択する。
したがって、時短遊技状態から通常遊技状態に戻ったときに溜まっている第2保留については、ハズレかつリーチ演出有りと判定された場合、変動パターンテーブルB101により変動パターンが選択されるので、変動パターンテーブルB4により変動パターンが選択される第1保留よりも、リーチ演出有りハズレが出現しにくい。つまり、上述したように、第2保留でリーチ演出有りの変動パターンが選択された場合(即ち、第2保留でリーチ演出が出現した場合)は、第1保留でリーチ演出有りの変動パターンが選択された場合(即ち、第1保留でリーチ演出が出現した場合)よりも大当たりになり易くなっている。実施形態では、第2保留でリーチ演出が出現したときは、約1/2の確率で大当たりになる。このように、第2保留でリーチ演出が出現したときの信頼度が高いので、第2保留の消化でリーチ演出が出現したときに遊技者は期待感を持つこととなり、面白さが向上する。
なお、実施形態のパチンコ遊技機においては、時短遊技状態中(時短中)に大当たりになれば必ず時短遊技状態が継続し(図20参照)、時短中に大当たりにならなければ通常遊技状態に戻るので、時短遊技状態から高確率かつ時短無し遊技状態に遷移することはない。したがって、時短遊技状態から時短無し遊技状態に遷移することと、時短遊技状態から通常遊技状態に遷移することは、同等と言え、時短遊技状態から通常遊技状態に戻ったときとは、時短遊技状態から時短無し遊技状態に戻ったときと換言できる。但し、時短遊技状態から高確率かつ時短無し遊技状態に遷移することがあるパチンコ遊技機においても、少なくとも時短遊技状態から時短無し遊技状態に遷移したときに保留されている入賞情報について、その入賞情報が第2保留であってリーチ演出有りの変動パターンが選択された場合、その入賞情報が第1保留であってリーチ演出有りの変動パターンが選択された場合よりも、大当たりになり易いように構成すればよい。
なお、変動パターンテーブルB4は、少なくともリーチ演出有りの変動パターンが選択されるように構成すればよく、リーチ演出無しの変動パターン情報が選択されるように構成するか否かは任意である。
上記公報の遊技機のように、第1保留と第2保留とで同じ変動パターンテーブルを用いるということは、第1保留と第2保留とでリーチ発生率が同じということであるが、通常、第1保留の消化の際に興趣を盛り上げるために、通常遊技状態におけるリーチ発生率は当たりの発生率に比して高いものとされている。上記公報の遊技機でも、通常遊技状態では、最も低いリーチ発生率で1/32と、大当たり確率20/3967(同公報の段落0037参照)に比して高いものとなっている。このため、第2保留の消化においても当たりの発生率に比べリーチが多く発生するので、リーチ演出になっても遊技者は当たりに対する期待を持ち難かったが、実施形態のパチンコ遊技機によれば、上述したように、第2保留に対するリーチ発生率を小さくすることにより、第2保留に対してリーチ演出が出現したときの大当たりとなる確率を相対的に高くすることができるため(実施形態では約1/2)、第2保留でリーチ演出になったときの遊技者の期待感を高めることができる。
また、第2保留でリーチ演出が出現したときは、第1保留でリーチ演出が出現したときよりも大当たりになり易いということは、第2保留でリーチ演出が出現したときは、第1保留でリーチ演出が出現したときよりもハズレになり難いということであるので、第2保留の消化の際に、リーチ有りハズレにより遊技者を失望させることが少なくなり、リーチ演出に対する遊技者の期待感を持続できる。
なお、実施形態では、通常遊技状態においては常に、第2保留でリーチ演出の変動パターン(以下、単に「リーチ演出」という。)が選択された場合、第1保留でリーチ演出が選択された場合よりも、大当りになり易い(すなわち、ハズレになり難い)ように構成しているが、少なくとも時短遊技状態から時短無し遊技状態に遷移したときに保留されている入賞情報について、第2保留でリーチ演出が選択された場合、第1保留でリーチ演出が選択された場合よりも、大当りになり易いように構成すればよい。時短遊技状態から時短無し遊技状態に戻ったときの第2保留の消化における面白さを向上させることができるとともに、時短無し遊技状態中に第2始動口51bに入賞することは極稀であるので、かかる極稀な場合にリーチ演出の信頼度を上げる等しなくても、遊技の面白さを損なう虞は無いからである。例えば、時短遊技状態から通常遊技状態に遷移した後に第2始動口51bに入賞し、通常遊技状態においてその入賞情報について変動パターンを選択するときは、変動パターンテーブルB4を用いたり、テーブルB4、B101以外の変動パターンテーブルを用いたりしてもよい。但し、実施形態のように、時短遊技状態から通常遊技状態に遷移したときに保留されている入賞情報と、遷移後の通常遊技状態において保留された入賞情報とで使用するテーブルを同じにすれば、処理が簡単である。
また、実施形態では、リーチ演出有りの変動パターンよりも特別図柄の変動時間が短い短変動パターンが設けられ、第2保留でハズレと判定された場合、第1保留でハズレと判定された場合よりも、短変動パターンが選択され易く構成されている。したがって、第2保留の消化が迅速に進むこととなり、遊技者を苛々させることが少なくなる。なお、少なくとも時短遊技状態から時短無し遊技状態に遷移したときに保留されている入賞情報について、第2保留でハズレの場合、第1保留でハズレの場合よりも、短変動パターンが選択され易いように構成すればよい。
また、図18に示すテーブルB1、B2、B3、B4の非リーチ時平均変動時間と、テーブルB100、B101の非リーチ時平均変動時間とを比較すれば分かるように、通常遊技状態において、第2保留でハズレでリーチ演出が選択されなかった場合、第1保留でハズレでリーチ演出が選択されなかった場合よりも、平均図柄変動時間が短くなる。すなわち、時短遊技状態から通常遊技状態に戻ったときの第2保留の消化の場合、リーチ演出無しハズレのときの平均図柄変動時間が、第1保留の消化の場合のリーチ演出無しハズレのときの平均図柄変動時間よりも短いので、第2保留の消化が迅速に進むこととなり、遊技者の苛々感を低減できる。なお、少なくとも時短遊技状態から時短無し遊技状態に遷移したときに保留されている入賞情報について、第2保留でハズレでリーチ演出が選択されなかった場合、第1保留でハズレでリーチ演出が選択されなかった場合よりも、平均図柄変動時間が短くなるように構成すればよい。
また、図18に示すように、変動パターンテーブルB4におけるリーチ時平均変動時間は約100秒であるが、変動パターンテーブルB101におけるリーチ時平均変動時間は約25秒と短くなっている。すなわち、通常遊技状態において、第2保留でリーチ演出有りハズレが選択された場合、第1保留でリーチ演出有りハズレが選択された場合よりも、平均図柄変動時間は短い。したがって、第2保留でリーチ演出有りハズレになったとしても、第1保留でリーチ演出有りハズレになったときに比べ、リーチ演出時間の短いものになり易いので、遊技者を苛々させることを防止できる。なお、少なくとも時短遊技状態から時短無し遊技状態に遷移したときに保留されている入賞情報について、第2保留でリーチ演出有りハズレが選択された場合、第1保留でリーチ演出有りハズレが選択された場合よりも、平均図柄変動時間が短くなるように構成すればよい。
また、上述したように、通常遊技状態において、第2保留でリーチ演出有りハズレが選択された場合、第1保留でリーチ演出有りハズレが選択された場合よりも、最大図柄変動時間が短い。すなわち、第2保留では、第1保留のように長いリーチ演出の後にはずれてしまうことがないので、遊技者の苛々感を低減できる。なお、少なくとも時短遊技状態から時短無し遊技状態に遷移したときに保留されている入賞情報について、第2保留でリーチ演出有りハズレが選択された場合、第1保留でリーチ演出有りハズレが選択された場合よりも、最大図柄変動時間が短くなるように構成すればよい。
また、リーチ判定においてリーチ有りとされる確率は、第1保留と第2保留とで41/251と同じにされている。これは、図柄変動開始時の判定とは別に、入賞情報の取得時に、大当たりか否か、大当たりでなければリーチ演出有りとするか否かについて判定を行い、その判定結果に応じて予告等の演出を行う、所謂保留の先読みを行う場合に、処理を複雑にしないためである。実施形態においても、保留の先読みを行っているが、その説明は省略している。このように保留の先読みを行う場合、第1保留と第2保留とでリーチ判定においてリーチ有りとされる確率を同一としつつ、リーチ有りとされた場合に第1保留と第2保留とで用いる変動パターンテーブルを変えれば、先読みの処理が複雑になることを防止しつつ、第1保留と第2保留とで実際にリーチ演出が行われる確率を変えることができ、上述したように第2保留の消化の際の遊技者の苛々感を低減しつつ、遊技の興趣の低下を防止することができる。