次に、本発明の実施の形態を実施例を用いて説明する。なお、以下では、特別図柄の変動表示の終了に伴い大当り図柄が停止表示され、これを契機に大当り遊技が開始されるタイプ(いわゆるセブン機タイプ)のパチンコ機に本発明を適用した例を説明する。
[第1実施例]
まず、第1実施例のパチンコ機10について説明する。なお、この第1実施例が本発明の実施例に相当する。図1はパチンコ機10(遊技機)の外観を示す外観斜視図であり、図2はパチンコ機10の遊技盤30の構成の概略を示す構成図であり、図3はパチンコ機10の制御回路の構成の概略を示すブロック図である。
[パチンコ機10の全体構成]
実施例のパチンコ機10は、図1に示すように、前面枠11に嵌め込まれたガラス板12(透明板)を介して盤面が視認可能に配置された遊技盤30(図2参照)と、遊技球を貯留する上受け皿14および下受け皿16と、上受け皿14に貯留されている遊技球を遊技盤30へ発射するための発射ハンドル18と、を備える。
前面枠11は、本体枠21に嵌め込まれており、左辺を回動軸として本体枠21に対して回動できるようになっている。本体枠21は、外枠22に嵌め込まれており、左辺を回動軸として外枠22に対して回動できるようになっている。なお、前面枠11と本体枠21は、略長方形状のプラスティック製の枠体として構成されている。また、外枠22は、略長方形状の木製の枠体として構成されており、パチンコホールの島設備の島枠に固定される。
また、前面枠11の左上部と右上部には、遊技の進行に伴って種々の効果音を鳴らしたり遊技者に遊技状態を報知したりするためのスピーカ28a,28bが設けられており、右端部には、前面枠11を本体枠21に対して施錠するための施錠装置29が設けられている。また、前面枠11の左側には、図示しないプリペイドカード式の球貸装置(CRユニット)が設けられている。
上受け皿14は、その上面右部に、CRユニットに挿入されたカードの価値残高(有価残高)の範囲内で遊技球の貸し出しを指示するための球貸ボタン24aと、CRユニットに挿入されているカードの返却を指示するための返却ボタン24bとが配設されている。また、上受け皿14は、その上面中央部には、遊技者の操作に応じて各種演出を行うための演出ボタン26が配設されている。
発射ハンドル18は、前面枠11の右下部に設けられており、遊技者がハンドルに触れていることを検知するタッチセンサ18a(図3参照)や遊技球の発射を一時的に停止する発射停止スイッチ18b(図3参照)が設けられている。発射ハンドル18の回転軸には、上受け皿14に貯留されている遊技球を1球ずつ打ち出すための図示しない発射装置が接続されており、発射ハンドル18が回転操作されると、発射装置が備える発射モータ19(図3参照)が回転し、これに伴って発射ハンドル18の操作量に応じた強さの打撃力で遊技球を打ち出す。
[遊技盤30の構成]
遊技盤30は、図2に示すように、外レール31aと内レール31bとによって囲まれる遊技領域31が形成されている。この遊技盤30は、遊技領域31の左部に配置され遊技球の通過を検知するゲートスイッチ32a(図3参照)を有する普通図柄作動ゲート32と、遊技領域31の右下部に配置された図柄表示装置40と、遊技領域31の中央部に配置された演出表示装置34と、演出表示装置34の外枠を囲むように配置されたセンター役物50と、センター役物50の下側に配置され遊技球の入賞を検知する第1始動口スイッチ36a(図3参照)を有する第1始動口36と、センター役物50の左部に一体的に形成され遊技球の入賞を検知する第2始動口スイッチ38a(図3参照)を有する第2始動口38と、第2始動口38に取り付けられた開閉可能なチューリップ式の普通電動役物39と、遊技領域31の右下部に配置された開閉可能な大入賞口44と、遊技領域31の左下部に配置され遊技球の入賞を検知する一般入賞口スイッチ45a(図3参照)を有する計3つの一般入賞口45と、いずれの入賞口にも入らなかった遊技球を回収するためのアウト口46と、を備える。また、遊技盤30は、この他、普通図柄作動ゲート32の下側には風車48が設けられ、上述した各入賞口の周辺等には遊技球をガイドしたり弾いたりする図示しない多数の釘が設けられている。
普通電動役物39は、第2始動口38に設けられた翼片部39aと、翼片部39aを作動させる普通電動役物ソレノイド39b(図3参照)と、を備える。この普通電動役物39では、翼片部39aが直立しているときには第2始動口38への遊技球の入賞の可能性が比較的低い通常状態となり(図2の点線参照)、翼片部39aが左側に開いているときには第2始動口38への遊技球の入賞の可能性が通常状態よりも高い開放状態となる(図2の実線参照)。なお、本実施例では、翼片部39aが直立した通常状態においては、第2始動口38への遊技球の入球が不可能となるように構成されている。
大入賞口44は、開閉部材によって通常は遊技球を受け入れない閉状態(閉鎖状態)とされており、大当り遊技(特別遊技)のときに、大入賞口ソレノイド44a(図3参照)によって開閉部材を作動して、遊技球を受け入れやすい開状態(開放状態)となるよう駆動される。大入賞口44には、遊技球の入賞を検知すると共にその入賞数をカウントするための大入賞口スイッチ44b(図3参照)が取り付けられている。本実施例では、大当り遊技の処理として、大入賞口スイッチ44bが遊技球の入賞を10個カウントするか10個カウントする前に所定時間(例えば、25秒)が経過するまでを1ラウンドとして大入賞口44を開放し、規定ラウンドまで大入賞口44の開放動作を繰り返す。なお、各ラウンドの間には、所定時間(例えば、2秒間)だけ大入賞口44を閉状態とする。
図柄表示装置40は、図4の構成図に例示するように、普通図柄の変動表示および停止表示が可能な普通図柄表示装置41と、特別図柄の変動表示および停止表示が可能な特別図柄表示装置42と、を備える。普通図柄表示装置41は、発光ダイオード(LED)を用いて構成された左普通図柄表示部41aおよび右普通図柄表示部41bを備える。図5に、普通図柄表示装置41の表示態様の一例を示す。普通図柄表示装置41は、図5に示すように、左普通図柄表示部41aと右普通図柄表示部41bとが共に消灯した表示態様(図5の上から1段目参照)と、左普通図柄表示部41aが点灯し右普通図柄表示部41bが消灯した表示態様(図5の上から2段目参照)と、左普通図柄表示部41aが消灯し右普通図柄表示部41bが点灯した表示態様(図5の上から3段目参照)と、左普通図柄表示部41aと右普通図柄表示部41bとが共に点灯した表示態様(図5の上から4段目参照)の4通りの表示態様がある。普通図柄表示装置41は、遊技球が普通図柄作動ゲート32を通過するのを検知したときに、4通りの表示態様を順次切り替えることにより変動表示し、変動表示の実行時間が経過すると、上記表示態様のうちのいずれかの表示態様で停止表示される。このとき、停止表示された表示態様が特定の表示態様(例えば、図5の上から4段目に示す表示態様)であるときに、当りとして普通電動役物39を一定時間(例えば、0.5秒)に亘って開放する。なお、普通図柄の変動表示中に、遊技球が普通図柄作動ゲート32を通過したときには、普通図柄の変動表示を最大4回まで保留し、現在の変動表示が終了したときに、保留されている変動表示が順次消化される。
特別図柄表示装置42は、図4に示すように、7セグメント表示器を用いて構成された第1特別図柄表示部42aと第2特別図柄表示部42bとを備えており、各セグメントの点灯と消灯との組み合わせにより特別図柄を複数通りの表示態様(最大128通り)で表現している。特別図柄表示装置42は、第1始動口36か第2始動口38への入賞が検知されたときに、表示状態を順次切り替えることにより特別図柄を変動表示し、変動表示の実行時間が経過すると、表現可能な表示態様のうちのいずれかの表示態様で特別図柄を停止表示する。このとき、停止表示された特別図柄の表示態様が特定の表示態様であるときに、大当りとして大入賞口44を一定時間(例えば、25秒など)に亘って開放する。実施例では、第1特別図柄表示部42aは第1始動口36への遊技球の入賞時に特別図柄を変動表示する第1始動口入賞時用の表示部とし、第2特別図柄表示部42bは第2始動口38への遊技球の入賞時に特別図柄を変動表示する第2始動口入賞時用の表示部としている。以下、特に、第1始動口入賞時用の第1特別図柄表示部42aで表示される特別図柄を第1特別図柄とも呼び、第2始動口入賞時用の第2特別図柄表示部42bで表示される特別図柄を第2特別図柄とも呼ぶ。即ち、第1始動口36に入球した場合には、第1特別図柄が変動表示し、第2始動口38に入球した場合には、第2特別図柄が変動表示することになる。図6に、大当り時における特別図柄表示装置42の表示態様の一例を示す。図示するように、第1の通常大当りとなる特別図柄(第1の通常大当り図柄)は、第1特別図柄表示部42aにおける右上,右下,左下の縦棒セグメントが点灯する表示態様と、第2特別図柄表示部42bにおける中段の横棒セグメントと右上,左下の縦棒セグメントが点灯する表示態様とがある(図6の上から1段目参照)。また、第1の確変大当りとなる特別図柄(第1の確変大当り図柄)は、第1特別図柄表示部42aにおける上段の横棒セグメントと右下および左下の縦棒セグメントとが点灯する表示態様と、第2特別図柄表示部42bにおける上段の横棒セグメントと左上および左下の縦棒セグメントとが点灯する表示態様とがある(図6の上から2段目参照)。第2の確変大当りとなる特別図柄(第2の確変大当り図柄)は、第1特別図柄表示部42aにおける上段の横棒セグメントと右下の縦棒セグメントとが点灯する表示態様と、第2特別図柄表示部42bにおける上段および下段の横棒セグメントと左下の縦棒セグメントとが点灯する表示態様とがある(図6の上から3段目参照)。なお、大当り時における特別図柄の表示態様は、上記態様に限られることはなく、如何なる態様で表示するものとしてもよいし、各大当り時における特別図柄の表示態様の種類も1種類に限られず、複数種類用意するものとしてもよい。特別図柄の変動表示中に、遊技球が第1始動口36および第2始動口38のいずれかに入賞したときには、それぞれの始動口毎に特別図柄の変動表示を最大4回まで保留し、現在の変動表示が終了したときに、保留されている特別図柄の変動表示が順次消化される。なお、後述するが、第1特別図柄の変動表示の保留数は第1保留図柄35aによって表示され、第2特別図柄の変動表示の保留数は第2保留図柄35bによって表示される。
ここで、第1の通常大当りは、大入賞口44の開放動作が所定ラウンド数(例えば、15ラウンド)に亘って繰り返される大当り遊技が行われると共に、大当り遊技の終了後には、所定回数(例えば、100回)の特別図柄の変動表示が行われるまで、特別図柄および普通図柄の変動時間が短縮されると共に普通図柄が当りで停止表示されたときに普通電動役物39の開放時間が延長される状態(いわゆる時短状態)となる大当り態様である。なお、第1の通常大当りに係る大当り遊技の終了後には、大当り判定の結果が大当りとなる確率が低い低確率状態(低確率モードとも呼ぶ)となる。第1の確変大当りは、第1の通常大当りと同様に大入賞口44の開放動作が所定ラウンド数(例えば、15ラウンド)に亘って繰り返される大当り遊技が行われると共に、大当り遊技の終了後には、次に大当りを引くまで、大当り判定の結果が大当りとなる確率が低確率モードよりも高くなる確変状態(高確率モードとも呼ぶ)となり且つ時短状態となる大当り態様である。また、第2の確変大当りは、大入賞口44の開放が第1の通常大当りよりも少ないラウンド数(例えば、2ラウンド)に亘って繰り返される大当り遊技が行われると共に、大当り遊技の終了後には、次に大当りを引くまで確変状態となり且つ時短状態となる大当り態様である。なお、本実施例では、大当り遊技の開始に際して、その大当り遊技の最大ラウンド数を示す図柄を表示するラウンド表示部43を、図柄表示装置40の一部に設けてある(図4参照)。このラウンド表示部43は、第1特別図柄表示部42aおよび第2特別図柄表示部42bと同様に7セグメント表示器を用いて構成されている。ラウンド表示部43の表示態様としては、上段および中段の横棒セグメントと左上,左下の縦棒セグメントとが点灯(英字の「F」の形に点灯)する表示態様と、ラウンド表示部43における上段,中段,下段の横棒セグメントと右上および左下の縦棒セグメントとが点灯(算用数字の「2」の形に点灯)する表示態様とがあり、前者の表示態様が「第1の通常大当り」および「第1の確変大当り」を契機とする大当り遊技のラウンド数表示に対応し、後者の表示態様が「第2の確変大当り」を契機とする大当り遊技のラウンド数表示に対応する。
演出表示装置34は、液晶ディスプレイなどの表示装置として構成されており、表示画面上で演出図柄の変動表示やリーチ演出や予告演出などの様々な変動演出が表示される。演出表示装置34の表示画面には、図7に例示する画面構成に示すように、横方向に並んで配置されキャラクタや数字などにより構成される左,中,右の3つの演出図柄(疑似特別図柄あるいは疑似図柄とも呼ぶ)34L,34M,34Rと、図示しない背景図柄と、が表示される。この演出図柄34L,34M,34Rは、遊技球が第1始動口36に入賞したとき、または、遊技球が第2始動口38に入賞したときに変動表示し、演出図柄34L,34M,34Rの変動表示および停止表示は、第1特別図柄または第2特別図柄の変動表示および停止表示に連動して行われる。図8に、演出表示装置34の演出図柄(演出図柄34L,34M,34R)の変動表示および停止表示の一例を示す。演出図柄34L,34M,34Rは、変動表示が開始されると、それぞれ上から下に向かって高速でスクロールするように変動表示し、変動表示の実行時間(予め定められた変動表示時間)が経過すると、左の演出図柄34L,右の演出図柄34R,中の演出図柄34Mの順に停止表示する。このとき、3つの演出図柄34L,34M,34Rがいずれも一致しなかったとき(3つともが互いに異なるとき)にはリーチなしの単純な外れとなり(例えば、「231」,図8(a)参照)、左の演出図柄34Lと右の演出図柄34Rとが一致したときにはリーチとなる。そして、所定のリーチ演出を伴って中の演出図柄34Mが停止したときに、中の演出図柄34Mと左右の演出図柄34L,34Rとが一致しなかったときにはリーチありの外れとなり(例えば、「353」,図8(b)参照)、中の演出図柄34Mと左右の演出図柄34L,34Rとが一致したときに大当りとなる(例えば、「777」,図8(c)参照)。この演出表示装置34で表示される演出図柄の当否の結果は、基本的には、上述した特別図柄表示装置42により表示される特別図柄(第1特別図柄,第2特別図柄)の当否の結果と一致する。
また、本実施例では、演出表示装置34の表示画面内に第1保留図柄35aと第2保留図柄35bも表示されている。第1保留図柄35aは、第1特別図柄または第2特別図柄の変動表示中に第1始動口36に遊技球が入賞するごとに左側から順に一つずつ表示され、第1特別図柄の変動表示が開始されるごとに右側から順に一つずつ消去される(古い保留情報に対応する保留図柄から順に消去される)。第2保留図柄35bは、第1特別図柄または第2特別図柄の変動表示中に第2始動口38に遊技球が入賞するごとに左側から順に一つずつ表示され、第2特別図柄の変動表示が開始されるごとに右側から順に一つずつ消去される(古い保留情報に対応する保留図柄から順に消去される)。
こうして構成された実施例のパチンコ機10では、第1始動口36はセンター役物50の下側に配置されており、大当り遊技でない通常遊技のときに、遊技者は遊技球を遊技領域31の左側に流下させるように発射ハンドル18を回転操作(所謂左打ち)することにより、遊技球を第1始動口36に入賞させることができる。また、第2始動口38はセンター役物50の左部に形成されており、時短中のときに、遊技者は左打ちをすることにより、遊技球を第2始動口38に入賞させることができる。大入賞口44は遊技領域31の右下部に配置されており、大当り遊技が開始されると、遊技者は発射ハンドル18を最大限右回転させて遊技球を発射させる所謂右打ちを行うことにより、遊技球を遊技領域31の右側に流下させて大入賞口44に入賞させることができる。
[制御回路の構成]
次に、実施例のパチンコ機10の制御回路の構成について主として図3を参照しながら説明する。パチンコ機10の制御回路は、図3に示すように、遊技の基本的な進行の制御を司る主制御基板70と、賞球や球貸の払い出しに関する制御を司る払出制御基板80と、遊技の進行に伴って行われる各種演出の全体的な制御を司るサブ制御基板90と、演出表示装置34の表示制御を司る演出表示制御基板91と、遊技球の発射に関する制御を司る発射制御基板100などの制御基板により構成されている。これらの制御基板は、各種論理演算や算出演算を実行するCPUや、CPUで実行される各種プログラムやデータが記憶されているROM,プログラムの実行に際してデータを一時的に記憶するRAM,周辺機器との間でデータをやり取りするための周辺機器インターフェース(PIO),CPUが演算を行うためのクロックを出力する発振器,CPUの暴走を監視するウォッチドッグタイマ,定期的に割り込み信号を発生させるCTC(カウンター・タイマー・サーキット)などの種々の周辺LSIがバスにより相互に接続されている。なお、図3では、各制御基板に搭載された各種デバイスのうち主制御基板70のCPU70a,ROM70b,RAM70cのみを図示し、その他については図示を省略した。なお、制御回路の一部をなすサブ制御基板90の構成の概略を示すブロック図を図9に示す。
主制御基板70は、遊技の基本的な進行の制御を行うために必要な信号として、図3に示すように、第1始動口スイッチ36aからの入賞信号や第2始動口スイッチ38aからの入賞信号が直接に入力されると共にゲートスイッチ32aからの通過信号や大入賞口スイッチ44bからの入賞信号,一般入賞口スイッチ45aからの入賞信号,磁気を検知するための磁気センサ52からの検知信号,電波を検知するための電波センサ54からの検知信号などが中継端子板72を介して入力されている。なお、磁気センサ52は、第1始動口36や第2始動口38,大入賞口44などの入球口近傍に配設されて、磁気(磁力)により遊技球を入球口に不正に誘導する不正行為を発見するためのセンサである。電波センサ54は、主制御基板70やサブ制御基板90,演出表示制御基板91などの制御基板近傍に配設されて、電波により制御基板を誤作動させる不正行為を発見するためのセンサである。この主制御基板70は、磁気センサ52により磁気が検知されたり、電波センサ54により電波が検知されたりすると、発射ハンドル18の操作に拘わらず遊技球の発射を停止して所定のエラー処理を行う。また、主制御基板70からは、図柄表示装置40の表示制御を司る図柄表示基板40aへの制御信号や普通電動役物ソレノイド38bへの駆動信号,大入賞口ソレノイド44aへの駆動信号などが中継端子板72を介して出力されている。また、主制御基板70は、払出制御基板80やサブ制御基板90,発射制御基板100(払出制御基板80を介して通信)と通信しており、各種指令信号(コマンドや駆動信号など)やデータのやり取りを行っている。
払出制御基板80は、賞球や球貸の払い出しに関する制御を行うために必要な信号として、図3に示すように、前面枠11の開放を検知する枠開放スイッチ81からの検知信号が直接に入力され、球貸ボタン24aや返却ボタン24bからの操作信号が球貸表示基板82,中継端子板83を介して入力され、賞球の払い出しを検知する払出前スイッチ84および払出後スイッチ85からの検知信号が中継端子板87を介して入力されている。払出制御基板80からは、賞球の払い出しを行う払出モータ86への駆動信号などが中継端子板87を介して出力されている。また、払出制御基板80は、主制御基板70や発射制御基板100と通信しており、各種指令信号やデータのやり取りを行っている。
サブ制御基板90は、図9に示すように、CPU90aやROM90b,RAM90cなどを備えており、主制御基板70から各種指令信号を受信してその指令に応じた遊技の演出を行う。サブ制御基板90は、演出表示装置34の制御を行う演出表示制御基板91や各種スピーカ28a,28bを駆動するアンプ基板92、各種LEDランプ93aを駆動したり可動式の装飾部材を作動させるための装飾モータ93bを駆動したりする装飾駆動基板93,演出ボタン26からの操作信号を入力する演出ボタン基板94などが接続されている。演出表示制御基板91は、演出図柄や背景図柄などの各種の演出用の画像データを記憶する画像ROM91bを備えており、主制御基板70あるいはサブ制御基板90からの制御信号に基づき、遊技進行状況に応じた演出用の画像データを画像ROM91bから読み出して演出表示装置34の表示画面に表示する制御を行う。
発射制御基板100は、タッチセンサ18aからの検知信号や発射停止スイッチ18bからの操作信号,下受け皿16に遊技球が満タン状態となるのを検知する下受け皿満タンスイッチ102からの検知信号などを入力しており、発射モータ19へ駆動用のパルス信号などを出力している。発射制御基板100は、発射ハンドル18が回転操作されてタッチセンサ18aがオンで発射停止スイッチ18bがオフで下受け皿満タンスイッチ102がオフのときに発射モータ19を駆動して遊技球を発射し、タッチセンサ18aがオフか発射停止スイッチ18bがオンか下受け皿満タンスイッチ102がオンかのいずれかが成立したときに発射モータ19の駆動を停止して遊技球の発射を停止する。また、発射制御基板100は、払出制御基板80を介して主制御基板70と通信しており、タッチセンサ18aからの検知信号などの発射ハンドル18の操作状態に関する情報を払出制御基板80を介して主制御基板70に送信する。また、発射制御基板100は、磁気センサ52により磁気が検知された検知情報や電波センサ54により電波が検知された検知情報を主制御基板70から受信すると、発射ハンドル18の操作に拘わらず発射モータの駆動を停止して遊技球の発射を停止する。
[主制御処理]
次に、こうして構成された実施例のパチンコ機10の動作について説明する。図10は、主制御基板70のCPU70aにより実行される主制御処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、パチンコ機10の電源が投入されたときに実行される。主制御処理は、初期化処理などの電源投入に必要な電源投入処理を実行した後(S100)、入力判定処理(S110)と、普通図柄遊技処理(S120)と、普通図柄当り遊技処理(S130)と、特別図柄遊技処理(S140)と、大当り遊技処理(S150)と、エラー処理(S160)と、変動パターンコマンド送信処理(S170)と、を繰り返し実行することにより行われる。主制御基板70は、これらの処理の実行に伴って、各種コマンドを担当する制御基板に送信してコマンドに応じた処理を実行させることにより、パチンコ機10の全体の遊技を進行させている。本実施例では、S110〜S170の繰り返しは、所定の制御周期(本実施例では4msecとする)で実行されることになっており、このため、S110〜S170の処理に要する時間を4msec以内に収める必要がある。なお、制御周期は、4msecに限られず、4msecよりも長い時間(例えば8msec)としてもよいし、短い時間(例えば2msec)としてもよい。
[入力判定処理]
S110の入力判定処理では、主制御基板70のCPU70aは、まず、各種センサ(ゲートスイッチ32aや第1始動口スイッチ36a,第2始動口スイッチ38a,大入賞口スイッチ44b,一般入賞口スイッチ45aなど)からの入力を判定してRAM70cの所定の状態記憶領域に保存したり、各種乱数値(後述する大当り判定用乱数や大当り図柄決定用乱数,リーチ用乱数,変動パターン決定用乱数など)を更新したりする。続いて、遊技球の入賞に関わるスイッチ(第1始動口スイッチ36aや第2始動口スイッチ38a,大入賞口スイッチ44b,一般入賞口スイッチ45aなど)からの入力により遊技球が検知されたか否かを判定する。遊技球が検知されたと判定すると、払い出すべき賞球数を演算して賞球情報としてRAM70cの所定の賞球情報記憶領域に保存し、賞球情報が値0でないときには賞球数指定コマンド(賞球情報)を払出制御基板80に送信して入力判定処理を終了する。このように、入力判定処理は、第1始動口36や第2始動口38,大入賞口44,一般入賞口45への遊技球の入球が判定された場合には、払い出すべき賞球数の演算や賞球数指定コマンドの送信の必要が生じるため、遊技球の入球が判定されない場合に比して処理時間が長いものとなる。即ち、入力判定処理は、遊技球の入球の有無に応じて、処理時間の長短が異なるものとなる。払出制御基板80は、賞球数指定コマンドを受信すると、払出モータ86を駆動制御して遊技球を1球ずつ払い出すと共に払出前スイッチ84および払出後スイッチ85により払い出した遊技球が検知される度に賞球情報(未払いの遊技球数)を値1ずつデクリメントする賞球払出処理を実行する。この賞球払出処理は、賞球情報が値0となるまで繰り返し実行されるが、遊技球の入賞が検知されて主制御基板70から新たな賞球数指定コマンドを受信すると、その賞球情報も値0となるまで処理が繰り返される。入力判定処理が終了すると、主制御処理に戻って次のS120の普通図柄遊技処理に進む。
[普通図柄遊技処理]
S120の普通図柄遊技処理では、主制御基板70のCPU70aは、まず、普通図柄の保留が値0でない即ち値1以上あるか否かを判定し、保留が値1以上あるときには保留数を値1だけデクリメントして普通図柄の当否判定を行うと共に当否判定の結果に基づいて停止表示させる普通図柄を決定する。即ち、当否判定の結果が当りのときには、当り図柄(図5の上から4段目参照)を停止表示させる図柄に決定し、当否判定の結果が外れのときには、外れ図柄(図5の上から1〜3段目参照)のうちのいずれかを停止表示させる図柄に決定する。そして、普通図柄の変動表示時間を設定して普通図柄の変動表示を開始し、変動表示時間が経過するのを待つ。変動表示時間の設定は、時短状態にないときには長時間(例えば、30秒)に設定され、時短状態にあるときには短時間(例えば、1秒)に短縮される。変動表示時間が経過すると、決定した図柄で普通図柄を停止表示し、停止表示した図柄が当り図柄のときには、普通電動役物39の開放時間を設定し、普通電動役物39の開放を開始して普通図柄遊技処理を一旦終了し、停止表示した図柄が外れ図柄のときには、何もせずに普通図柄遊技処理を終了する。普通電動役物39の開放時間は、時短状態にないときには短時間(例えば0.5秒)に設定され、時短状態にあるときには長時間(例えば5秒)に延長される。また、普通電動役物39の開放は、上述したように、普通電動役物ソレノイド39bを駆動制御することにより、翼片部39aを左に開くことにより行う。普通図柄遊技処理を終了すると、主制御処理に戻って次のS130の普通図柄当り遊技処理に進む。
[普通図柄当り遊技処理]
S130の普通図柄当り遊技処理では、主制御基板70のCPU70aは、普通電動役物39が開放を開始してからの経過時間(開放経過時間)が普通図柄遊技処理で設定された設定時間に達しているか否か、規定数(例えば、8個)の遊技球が第2始動口38に入賞しているか否かを判定する。開放経過時間が設定時間に達しておらず規定数の遊技球が第2始動口38に入賞してもいないと判定すると、普通電動役物39の開放を維持したまま普通図柄当り遊技処理を一旦終了する。一方、開放経過時間が設定時間に達していると判定したり、開放経過時間が設定時間に達する前であっても既に規定数の遊技球が第2始動口38に入賞していると判定すると、普通電動役物39の駆動を停止して、普通図柄当り遊技処理を終了する。普通図柄当り遊技処理を終了すると、主制御処理に戻って次のS140の特別図柄遊技処理に進む。
[特別図柄遊技処理]
S140の特別図柄遊技処理は、図11〜図13に示すフローチャートに従って実行される。特別図柄遊技処理が実行されると、主制御基板70のCPU70aは、まず、第1始動口スイッチ36aからの検知信号を入力して第1特別図柄を変動表示させるための第1始動口36に遊技球が入賞したか否かを判定する(S200)。第1始動口36に遊技球が入賞したと判定すると、現在の第1特別図柄の保留数がその上限値(本実施例では、値4)よりも少ないか否かを判定する(S202)。第1特別図柄の保留数が上限値よりも少ないと判定したときには、第1特別図柄の保留数を値1だけインクリメントすると共に(S204)、判定用乱数を取得してRAM70cの所定の判定用乱数記憶領域に格納する(S206)。この判定用乱数としては、第1始動口36への遊技球の入賞により行われる大当り判定の際に用いられる大当り判定用乱数や、大当り判定の結果が大当りのときに第1特別図柄表示部42aに停止表示させる大当り図柄を決定するための大当り図柄決定用乱数,今回の保留が特定保留であるか否かを判定するための特定保留判定用乱数などが挙げられる。なお、特定保留とは、特別図柄の変動表示において当り図柄で停止表示される可能性が通常の保留に比べて高い保留であり、その発生を遊技者に予告するため、保留図柄の予告表示や特別図柄の予告演出などが行われる。特別図柄の予告演出については後述するが、保留図柄の予告表示としては、例えば、第1保留図柄35aや第2保留図柄35bを通常とは異なる色で表示させたり、通常の点灯表示とは異なる点滅表示で表示させたりすることが行われる。また、この特定保留に該当する乱数値が予め設定されており、取得した特定保留判定用乱数がその乱数値に一致するか否かに基づいて、特定保留であるか否かを判定する。なお、特定保留に該当する乱数値は、その全てに大当りと判定される乱数値が設定されたり、その多くに大当りと判定される乱数値が設定されると共に一部に外れと判定される乱数値が設定されたりする。こうして取得した特定保留判定用乱数に基づいて、今回の保留が特定保留であるか否かを判定し(S208)、特定保留であると判定したときには、第1特別図柄保留発生時コマンドに特定保留コマンドを含めてサブ制御基板90に送信し(S210)、特定保留でないと判定したときには第1特別図柄保留発生時コマンドをサブ制御基板90に送信する(S212)。なお、特定保留コマンドは、第1特別図柄保留発生時コマンドに含めずに別々のコマンドでサブ制御基板90に送信するものとしてもよい。サブ制御基板90は、第1特別図柄保留発生時コマンドを受信すると、演出表示装置34の表示画面内の第1保留図柄35aの表示を更新する。なお、S200で第1始動口36に遊技球が入賞していないと判定したり、S202で第1特別図柄の保留数が上限値に達していると判定すると、S204〜S212の処理をスキップして次の処理に進む。
続いて、第2始動口スイッチ38aからの検知信号を入力して第2特別図柄を変動表示させるための第2始動口38に遊技球が入賞したか否かを判定する(S214)。第2始動口38に遊技球が入賞したと判定すると、現在の第2特別図柄の保留数がその上限値(本実施例では、値4)よりも少ないか否かを判定する(S216)。第2特別図柄の保留数が上限値よりも少ないと判定したときには、第2特別図柄の保留数を値1だけインクリメントすると共に(S218)、判定用乱数を取得してRAM70cの所定の判定用乱数記憶領域に格納し(S220)、取得した判定用乱数に基づいて今回の保留が特定保留であるか否かを判定する(S222)。ここで、S220で取得される判定用乱数としては、第1始動口36への遊技球の入賞時と同様に、大当り判定用乱数や大当り図柄決定用乱数,特定保留判定用乱数などが挙げられ、特定保留判定用乱数が上述した特定乱数値に一致するか否かに基づいて、特定保留であるか否かを判定する。S222で特定保留であると判定したときには、第2特別図柄保留発生時コマンドに特定保留コマンドを含めてサブ制御基板90に送信し(S224)、特定保留でないと判定したときには第2特別図柄保留発生時コマンドをサブ制御基板90に送信する(S226)。なお、第1特別図柄保留発生時コマンドと同様に、特定保留コマンドは、第2特別図柄保留発生時コマンドに含めずに別々のコマンドでサブ制御基板90に送信するものとしてもよい。サブ制御基板90は、第2特別図柄保留発生時コマンドを受信すると、演出表示装置34の表示画面内の第2保留図柄35bの表示を更新する。なお、S214で第2始動口38に遊技球が入賞していないと判定したり、S216で第2特別図柄の保留数が上限値に達していると判定すると、S218〜S226の処理をスキップして次の処理に進む。
次に、大当り遊技中であるか否か(S228)、第1特別図柄および第2特別図柄のいずれかが変動表示中であるか否か(S230)、第1特別図柄および第2特別図柄のいずれかが停止表示時間中であるか否か(S232)をそれぞれ判定する。大当り遊技中と判定すると、これで特別図柄遊技処理を終了し、主制御処理に戻って次のS150の大当り遊技処理に進む。一方、大当り遊技中でなく、第1特別図柄および第2特別図柄のいずれもが変動表示中でなく、第1特別図柄および第2特別図柄のいずれもが停止表示時間中でないと判定すると、第2特別図柄の保留数が値0であるか否かを判定する(S234)。第2特別図柄の保留数が値0でないと判定すると、乱数記憶領域(RAM70c)に記憶されている第2特別図柄の判定用乱数(大当り判定用乱数)のうち最も古い判定用乱数を読み出し(S236)、図14に示す変動表示関連処理を実行して(S238)、特別遊技処理を一旦終了する。一方、第2特別図柄の保留数が値0と判定すると、第1特別図柄の保留数が値0であるか否かを判定する(S240)。第1特別図柄の保留数が値0でないと判定すると、乱数記憶領域(RAM70c)に記憶されている第1特別図柄の判定用乱数(大当り判定用乱数)のうち最も古い判定用乱数を読み出し(S242)、変動表示関連処理を実行して(S244)、特別図柄遊技処理を一旦終了する。第1特別図柄の保留数も値0のときには、これで特別図柄遊技処理を終了する。S234〜S244では、第1特別図柄の保留数と第2特別図柄の保留数がいずれも値0でないときには第2特別図柄の変動表示(保留の消化)が優先して実行される。以下、変動表示関連処理の詳細について説明する。なお、第1特別図柄の変動表示関連処理と第2特別図柄の変動表示関連処理はいずれも共通の処理が実行されるため、共通のフローチャート(図14のフローチャート)を用いて説明する。
変動表示関連処理では、まず、確変フラグがオンか否か、即ち現在の遊技状態が高確率モードおよび低確率モードのいずれの状態であるかを判定する(S300)。確変フラグがオフのとき、即ち現在の遊技状態が低確率モードのときにはS236やS242で読み出した大当り判定用乱数と低確率用大当り判定テーブルとを用いて大当り判定を行い(S302)、確変フラグがオンのとき、即ち現在の遊技状態が高確率モードのときには読み出した大当り判定用乱数と高確率用大当り判定テーブルとを用いて大当り判定を行って(S304)、その判定結果が大当りか否かを判定する(S306)。大当り判定テーブルの一例を図15に示す。なお、図15(a)に低確率用大当り判定テーブルを示し、図15(b)に高確率用大当り判定テーブルを示す。図示するように、本実施例では、第1特別図柄と第2特別図柄とで同一の大当り判定テーブルを用いるものとし、低確率用大当り判定テーブルでは大当り判定用乱数が値0〜796のうち値60,61のときに大当りとし(1/398.5の大当り確率)、高確率用大当り判定テーブルでは当り判定用乱数が値0〜796のうち値60〜79のときに大当りとするものとした(1/39.85の大当り確率)。
S306で大当り判定の結果が大当りと判定したときには、判定用乱数記憶領域(RAM70c)から大当り図柄決定用乱数を読み出し(S308)、読み出した大当り図柄決定用乱数に基づいて停止表示させる大当り図柄を選択して設定する(S310)。ここで、第1特別図柄の大当り図柄の決定には、図16に例示する第1特別図柄用の大当り図柄決定用テーブルが用いられ、第2特別図柄の大当り図柄の決定には、図17に例示する第2特別図柄用の大当り図柄決定用テーブルが用いられる。第1特別図柄用の大当り図柄決定用テーブルでは、図16に示すように、大当り図柄決定用乱数が値0〜255のうち値0〜101のときに図6の左上段の図柄が選択されて「第1の通常大当り」となり(約40%の大当り振り分け確率)、大当り図柄決定用乱数が値102〜203のときに図6の左中段の図柄が選択されて「第1の確変大当り」となり(約40%の大当り振り分け確率)、大当り図柄決定用乱数が値204〜255のときに図6の左下段の図柄が選択されて「第2の確変大当り」となる(約20%の大当り振り分け確率)。また、第2特別図柄用の大当り図柄決定用テーブルでは、図17に示すように、大当り図柄決定用乱数が値0〜255のうち値0〜101のときに図6の右上段の図柄が選択されて「第1の通常大当り」となり(約40%の大当り振り分け確率)、大当り図柄決定用乱数が値102〜229のときに図6の右中段の図柄が選択されて「第1の確変大当り」となり(約50%の大当り振り分け確率)、大当り図柄決定用乱数が値230〜255のときに図6の右下段の図柄が選択されて「第2の確変大当り」となる(約10%の大当り振り分け確率)。このように、本実施例では、第2始動口38の入賞時における「第1の確変大当り」の発生確率は第1始動口36の入賞時における「第1の確変大当り」の発生確率よりも高くなり、第2始動口38の入賞時における「第2の確変大当り」の発生確率は第1始動口36の入賞時における「第2の確変大当り」の発生確率よりも低くなっている。
大当り図柄を決定すると、大当り時の特別図柄の変動パターンを決定するための大当り用変動パターンテーブルを設定する(振り分ける)大当り用変動パターンテーブル振分処理を実行する(S312)。ここで、大当り用変動パターンテーブル振分処理は、複数の大当り用変動パターンテーブルが用意されており、現在の確変フラグや変動短縮フラグ、保留数などの状態に応じたテーブルを選択することにより行われる。本実施例では、演出図柄の変動開始から変動停止までの一連の変動演出(変動パターン)が、主に複数の変動演出から構成されている(一部は単数の変動演出のみで構成)。一連の変動演出(「全体変動演出」ともいう)を構成する変動演出を「単位変動演出」ともいい、本実施例の遊技機には、複数の異なる単位変動演出が記憶されている(単位変動演出記憶手段)。そして変動開始の際に決定される変動パターンコマンドによって、単位変動演出1個で構成される一連の変動演出が実行されたり、複数の単位変動演出を組み合わせて構成される一連の変動演出が実行されたりする。この一連の変動演出の実行をサブ制御基板90に指示するための変動パターンコマンドは、単位変動演出に対応する変動コマンド(「単位変動コマンド」ともいう)を、複数組み合わせることにより構成されている。このため、それらの変動コマンドを説明してから、変動パターンコマンドについて説明する。図18に変動コマンドテーブルの一例を示し、図19に大当り用変動パターンテーブルの一例を示す。
変動コマンドテーブルは、図18に示すように、変動演出毎(単位変動演出毎)に、変動コマンドと、変動演出の演出時間とが対応付けられたテーブルとして作成されており、ROM70aに記憶されている。本実施例における変動演出には、リーチ演出を伴わずに演出図柄を変動表示させる通常変動と、リーチ演出を伴って演出図柄を変動表示させるノーマルリーチ変動と、ノーマルリーチ変動よりも当りの期待感が高まるような演出を伴って演出図柄を変動表示させるスーパーリーチ変動と、ノーマルリーチ変動よりも当りの期待感が高まるようにキャラクタなどを用いたストーリー展開を伴って演出図柄を変動表示させるストーリーリーチ変動と、演出図柄の変動表示が一旦停止したように見せかけた後に変動表示を再開させる再抽選変動(復活演出)とがある。また、各変動演出は複数の種類があり、それぞれに変動コマンド(単位変動コマンド)と、対応する演出時間とが割り当てられている。例えば、通常変動であれば、通常変動A(変動A)から通常変動E(変動E)までの5種類があり、それぞれに「8000」から「8004」の変動コマンドと、2秒から17秒の演出時間とが割り当てられている。
図19の大当り用変動パターンテーブルは、変動パターンを示す変動パターンコマンドが図18に示した変動コマンド(単位変動コマンド)により構成されて、ROM70aに記憶されている。なお、図示の都合上、変動パターンの一部を省略した。この大当り用変動パターンテーブルでは、各変動パターンコマンドが変動パターン決定用乱数に対応付けられており、変動パターン決定用乱数に基づいて、単数または複数の変動コマンドで構成された変動パターンコマンドを設定することができる。本実施例では、変動パターンコマンドは、1個から6個までの変動コマンドで構成されている。1個の変動コマンドで構成される変動パターンコマンドとして、例えば変動パターン決定用乱数が値0〜255のうち値0のときに、通常変動Eを1回だけ行う変動パターンを示す「8004」が設定される。また、2個の変動コマンドで構成される変動パターンコマンドとして、例えば変動パターン決定用乱数が値1〜2のときには、一連の変動演出として、通常変動Dを2回繰り返すいわゆる疑似2連(疑似連続演出:一回の変動演出において停止演出及び再変動演出を行うことで、複数回の変動演出が実行されているように見せる演出)の変動パターンを示す「8003」と「8003」が設定される。さらに、3個の変動コマンドで構成される変動パターンコマンドとして、例えば変動パターン決定用乱数が値43〜47のときには、一連の変動演出として、通常変動Bの後にストーリーリーチAと再抽選Aとを順に行う変動パターンを示す「8001」と「8300」と「8400」とが設定される。そして、4個の変動コマンドで構成される変動パターンコマンドとして、例えば変動パターン決定用乱数が値76〜81のときには、一連の変動演出として、通常変動Eを3回繰り返すいわゆる疑似3連(疑似連続演出)の後にスーパーリーチAを行う変動パターンを示す「8004」と「8004」と「8004」と「8200」とが設定される。また、5個の変動コマンドで構成される変動パターンコマンドとして、例えば変動パターン決定用乱数が値94〜99のときには、一連の変動演出として、通常変動Eの疑似3連の後にスーパーリーチAとストーリーリーチAとを順に行う変動パターンを示す「8004」と「8004」と「8004」と「8200」と「8300」とが設定される。さらに、6個の変動コマンドで構成される変動パターンコマンドとして、例えば変動パターン決定用乱数が値220〜225のときには、一連の変動演出として、通常変動Eの疑似3連の後にスーパーリーチBとストーリーリーチAと再抽選Bとを順に行う変動パターンを示す「8004」と「8004」と「8004」と「8201」と「8300」と「8401」とが設定される。このように、本実施例では、変動パターン決定用乱数に基づいて、変動パターンコマンドを構成する変動コマンドが設定されるのである。なお、図19の大当り用変動パターンテーブルでは、通常変動A〜Dだけを行う変動パターンに対応する変動パターン決定用乱数が定められていないが、上述したように、大当り用変動パターンテーブルは複数用意されており、他の大当り用変動パターンテーブルにおいて、これらの変動パターン決定用乱数が定められている。
大当り用変動パターンテーブルを設定すると、変動パターン決定用乱数を読み出して(S314)、設定した大当り用変動パターンテーブルと読み出した変動パターン決定用乱数とを用いて変動パターンコマンドを設定し(S316)、設定した変動パターンコマンドのコマンド数(変動コマンドの数であり、図19中の個数参照)をコマンド個数カウンタに設定する(S318)。なお、S316で設定された変動パターンコマンドは、後述するS170の変動パターンコマンド送信処理でサブ制御基板90に送信される。
一方、S306で大当り判定の結果が大当りでないと判定すると、外れ図柄を設定する(S320)。なお、外れ図柄は、詳細な説明は省略するが、例えば、大当り図柄決定用乱数(単に「図柄決定用乱数」ともいう)と図示しない外れ図柄決定用テーブルとを用いて設定することができる。勿論、大当り図柄決定用乱数とは別に外れ図柄決定用乱数を取得するものとすれば、この外れ図柄決定用乱数と外れ図柄決定用テーブルとを用いて設定することもできる。外れ図柄を設定すると、外れ時の特別図柄の変動パターンを決定するための外れ用変動パターンテーブルを設定する(振り分ける)外れ用変動パターンテーブル振分処理を実行し(S322)、変動パターン決定用乱数を読み出して(S324)、設定した外れ用変動パターンテーブルと読み出した変動パターン決定用乱数とを用いて変動パターンコマンドを設定する(S326)。ここで、外れ用変動パターンテーブル振分処理は、大当り用変動パターンテーブル振分処理と同様に、複数の大当り用変動パターンテーブルが用意されており、現在の確変フラグや変動短縮フラグ、保留数、大当り遊技終了後の所定期間などの状態(遊技状態)に応じたテーブルを選択することにより行われる。図20に外れ用変動パターンテーブルの一例を示す。外れ用変動パターンテーブルでは、大当り用変動パターンテーブルと同様に、変動パターン決定用乱数に基づいて変動パターンコマンドを設定することができ、各変動パターンコマンドは、1の変動コマンドにより、又は複数の変動コマンドを組み合わせて設定されている。
外れ用変動パターンテーブルを設定すると、変動パターン決定用乱数を読み出し(S324)、読み出した変動パターン決定用乱数とセットした外れ用変動パターンテーブルとを用いて変動パターンコマンドを設定すると共に(S326)、設定した変動パターンコマンドのコマンド数(図20中の個数参照)をコマンド数カウンタに設定する(S328)。なお、S326で設定された変動パターンコマンドは、後述するS170の変動パターンコマンド送信処理でサブ制御基板90に送信される。
こうして大当り図柄とその変動パターンコマンド(コマンド数)あるいは外れ図柄とその変動パターンコマンド(コマンド数)を設定すると、特別図柄の変動表示を開始して(S330)、変動パターンコマンドを構成するコマンド数(コマンド個数カウンタの値)が所定数を超えるか否かを判定する(S332)。ここで、所定数は、S110の入力判定処理が長時間となった場合でも、4msの一回の制御周期内で確実に送信が可能なコマンドの数として予め定められており、本実施例では値1とした。このため、S332の判定は、設定された変動パターンコマンド(変動コマンド)を一回の制御周期内で送信できるか否かを判定するものとなる。そして、コマンド個数カウンタが所定数(値1)を超えるとき、即ち、変動パターンコマンドのコマンド数が値2以上のときには、分割送信フラグをオンとする(S334)。ここで、本実施例では、設定した変動パターンコマンドを構成する複数の変動コマンドをすべてまとめて一回の制御周期(一回の変動パターンコマンド送信処理)で送信する一括送信と、設定した変動パターンコマンドを構成する複数の変動コマンドを複数回の制御周期(複数回の変動パターンコマンド送信処理)に分けて送信する分割送信とが可能となっている。即ち、本実施例のパチンコ機10は、変動パターンコマンドの一括送信機能と分割送信機能とを有するものといえる。そして、分割送信フラグは、S170の変動パターンコマンド送信処理において、送信対象の複数の変動コマンドを一括送信するか分割送信するかの判定に用いられるフラグである。次に、特別図柄の保留数を値1だけデクリメントして(S336)、特別図柄保留消化時コマンドをサブ制御基板90に送信して(S338)、変動表示関連処理を終了する。なお、この変動表示関連処理は、第1特別図柄用と第2特別図柄用との共通の処理として説明しているが、現在の処理が第1特別図柄用の処理であれば、S336,S338では第1特別図柄の保留数を値1だけデクリメントして第1特別図柄の保留消化時コマンドを送信する。また、現在の処理が第2特別図柄用の処理であれば、S336,S338では第2特別図柄の保留数を値1だけデクリメントして第2特別図柄の保留消化時コマンドを送信する。一方、コマンド個数カウンタが所定数(値1)を超えないとき、即ち、変動パターンのコマンド数が値1のときには、分割送信フラグをオンすることなく、S336,S338で特別図柄の保留数を値1だけデクリメントし保留消化時コマンドをサブ制御基板90に送信して、変動表示関連処理を終了する。
図11〜図13の特別図柄遊技処理に戻って、特別図柄の変動表示が開始されてその変動表示が実行されている状態で特別図柄遊技処理が実行されると、S230で第1特別図柄および第2特別図柄のいずれかが変動表示中と判定するため、主制御基板70のCPU70aは、変動表示時間が経過したか否かを判定する(S246)。変動表示時間は特別図柄の変動パターンを決定する際に変動パターンに応じて決定されているから、変動表示時間が経過したか否かは、特別図柄(第1特別図柄または第2特別図柄)の変動表示が開始されてからの経過時間と決定されている変動表示時間とを比較することにより行うことができる。変動表示時間が経過していないと判定すると、特別図柄遊技処理を一旦終了する。変動表示時間が経過していると判定すると、特別図柄(第1特別図柄または第2特別図柄)の変動表示を停止し(S248)、図柄停止コマンドをサブ制御基板90に送信する(S250)。なお、図柄停止コマンドは、例えば「8700」で示される。図柄停止コマンドを受信したサブ制御基板90は、その図柄停止コマンドを演出表示制御基板91に転送する。そして、停止表示時間を設定し(S252)、停止表示時間が経過したか否かを判定する(S254)。ここで、停止表示時間は、特別図柄の変動表示を停止してから次に変動表示を開始するまでのインターバルであり、例えば0.6秒に設定される。停止表示時間が経過していないと判定すると、特別図柄遊技処理を一旦終了する。特別図柄の停止表示がなされると、S232で停止表示時間中と判定するため、再びS254で停止表示時間が経過したか否かを判定し、停止表示時間が経過していると判定すると、停止表示している特別図柄が大当り図柄であるか否かを判定する(S256)。
S256で大当り図柄と判定すると、大当り遊技フラグをオンとすると共に(S258)、大当り遊技開始指定コマンドをサブ制御基板90に送信する(S260)。これにより、後述する大当り遊技処理によって大当り遊技が開始されることになる。また、大当り遊技中には確変機能や時短機能,開放延長機能を停止させるために、確変フラグがオンのときには確変フラグをオフとし(S262,S264)、変動短縮フラグがオンのときには変動短縮フラグをオフとすると共に開放延長フラグをオフとして(S266〜S270)、特別図柄遊技処理を終了し、主制御処理に戻って次のS150の大当り遊技処理に進む。
一方、S256で大当り図柄でないと判定すると、変動短縮フラグがオンであるか否かを判定し(S272)、変動短縮フラグがオンでないときにはそのまま特別図柄遊技処理を一旦終了する。変動短縮フラグがオンときには変動短縮カウンタを値1だけデクリメントし(S274)、変動短縮カウンタが値0であるか否かを判定する(S276)。ここで、変動短縮カウンタは、時短(特別図柄および普通図柄の変動短縮)状態を維持する特別図柄の変動回数の上限値を示すものであり、大当り遊技の終了に際して大当り態様に応じた値がセットされる。変動短縮カウンタが値0でないときには、時短状態を維持したまま特別図柄遊技処理を一旦終了し、変動短縮カウンタが値0のときには、時短状態を終了させるために、変動短縮フラグをオフとすると共に(S278)、開放延長フラグをオフとし(S280)、遊技状態指定コマンドをサブ制御基板90に送信して(S282)、特別図柄遊技処理を一旦終了する。これにより、パチンコ機10の遊技状態は、時短状態から非時短状態に変更されることになる。なお、遊技状態指定コマンドには、パチンコ機10の現在の遊技状態を示す変動短縮フラグや開放延長フラグの設定状況などが含まれる。遊技状態指定コマンドを受信したサブ制御基板90は、例えば、演出表示制御基板91に遊技状態を示す演出コマンドを送信して演出表示装置34の背景画面を時短用の背景から非時短用の背景に変更する等の処理を行う。なお、S276の判定は低確率モードか高確率モードかに拘わらず実行されるが、第1の確変大当りや第2の確変大当りでは、大当り終了後に、変動短縮カウンタに10,000回が設定されるため、これらの確変大当りの場合に、変動短縮カウンタが値0となることは通常あり得ず、次回に大当りを引くまで時短状態が終了することはない。
[変動パターンコマンド送信処理]
ここで、説明の便宜上、S150の大当り遊技処理とS160のエラー処理の前に、S170の変動パターンコマンド送信処理について説明する。この変動パターンコマンド送信処理は、図21に示すフローチャートに従って実行される。図21の変動パターンコマンド送信処理が実行されると、主制御基板70のCPU70aは、まず、コマンド個数カウンタが値0であるか否かを判定し(S400)、コマンド個数カウンタが値0であると判定すると、送信すべき変動コマンドがないと判断して、そのまま変動パターンコマンド送信処理を終了する。一方、コマンド個数カウンタが値0でないと判定すると、後述する処理で時間が設定されるタイマ(カウントダウンタイマ)が値0であるか否かを判定する(S402)。タイマが値0ではないと判定すると、そのまま変動パターンコマンド送信処理を終了する。
一方、タイマが値0であると判定すると、分割送信フラグがオンであるか否かを判定する(S404)。分割送信フラグがオンではなくオフであると判定すると、送信対象の変動パターンコマンド(図14の変動表示関連処理のS316やS326で設定した変動パターンコマンド)を構成する複数の変動コマンドを一括送信用に送信設定する一括設定を行う(S406)。本実施例では、この一括設定は、送信対象の複数の変動コマンドの末尾に、一括送信であることを示す一括フラグを付すことにより行うものとした。なお、上述したように、本実施例では、変動表示関連処理のS332,S334でコマンド個数カウンタが所定数の値1を超えるときに分割送信フラグをオンとしたから、分割送信フラグがオフのときには、S406では1つの変動コマンドが一括設定されることになる。次に、図14の変動表示関連処理のS310で設定した大当り図柄の情報またはS320で設定した外れ図柄の情報を示す特別図柄停止情報指定コマンドと、S406で送信設定した変動コマンドとを合わせて図柄変動開始時コマンドとしてサブ制御基板90に一括送信する(S408)。サブ制御基板90は、変動開始時コマンドを受信すると、特別図柄停止情報指定コマンドに基づいて停止図柄を設定すると共に変動コマンドに基づいて演出パターンを読み出して図柄変動表示を開始する。なお、特別図柄停止情報指定コマンドと変動コマンドとは、図柄変動開始時コマンドとしてまとめて送信するものに限られず、それぞれ別々に送信するものとしても構わない。また、本実施例では、一括送信される変動コマンドを1つとしているが、図14の変動表示関連処理のS332の判定に用いられる所定数を値1よりも大きな値(値2や値3やそれ以上)とすることにより、一括送信する変動コマンドの数を値1よりも大きな値(値2や値3やそれ以上)としてもよい。例えば所定数を3と設定した場合、変動パターンコマンドを構成する変動コマンドの数(コマンド個数カウンタの値)が1、2、又は3個の場合には、一回の制御周期においてそれらが一括送信され、4個以上の場合には、複数回の制御周期に分けて分割送信される。具体的に、7個の変動コマンドからなる場合には、一回目の制御周期で3個の変動コマンドが送信され、次回以降の所定の制御周期で3個の変動コマンドが送信され、更に次回以降の所定の制御周期で残り1個の変動コマンドが送信される(これによりコマンド個数カウンタの値が0となる)。また分割送信する際には、連続する制御周期で分割送信してもよいし、所定数の制御周期をあけて分割送信してもよいし、前回送信した変動コマンドにかかる演出の終了にあわせて(その時の制御周期で)次の変動コマンドを分割送信するようにしてもよい。
こうして図柄変動開始時コマンドを送信すると、変動パターンコマンドを構成するすべての変動コマンドが送信されたことになるから、コマンド個数カウンタを値0にリセットして(S410)、送信した変動コマンドに対応する演出時間をタイマにセットすると共にタイマのカウントダウンを開始して(S412)、変動パターンコマンド送信処理を終了する。サブ制御基板90は、変動開始時コマンドを受信すると、後述するように、特別図柄停止情報指定コマンドに基づいて停止図柄を設定すると共に変動コマンドに基づいて演出パターンを読み出して図柄変動表示を開始する。ここで、タイマにセットされる演出時間は、送信した1つの変動コマンドに対応する演出時間(図18参照)となる。例えば、通常変動Eを1回だけ行う変動パターンを示す変動パターンコマンドとして「8004」が設定されている場合には、その変動コマンド「8004」が一括送信されるから、送信された変動コマンド「8004」に対応する演出時間の17秒(図18参照)がタイマにセットされることになる。また、タイマは、S412で演出時間がセットされると共にカウントダウンが開始されるものとしたから、送信した変動コマンドに対応する演出がほぼ終了するタイミングで値0となる。このため、上述したS402において、タイマが値0であるか否かを判定する処理は、送信した変動コマンドに対応する演出が終了したか否かを判定するものとなる。
また、S404で分割送信フラグがオンと判定すると、送信対象の変動パターンコマンド(図14の変動表示関連処理のS316やS326で設定した変動パターンコマンド)を構成する複数の変動コマンドを所定数以下のコマンドに分けて送信設定する分割設定を行う(S414)。本実施例では、この分割設定は、送信対象の所定数以下の変動コマンドの末尾に、分割送信であることを示す分割フラグを付すことにより行うものとした。また、上述したように、本実施例では所定数を値1としているため、まず、先頭の変動コマンドを1つ分割設定することになる。次に、特別図柄(第1特別図柄または第2特別図柄)が変動表示中であるか否かを判定し(S416)、変動表示中ではないと判定したときには、図14の変動表示関連処理のS310で設定した大当り図柄またはS320で設定した外れ図柄の情報を示す特別図柄停止情報指定コマンドと、S414で分割設定した先頭の変動コマンドとを合わせて図柄変動開始時コマンドとしてサブ制御基板90に送信する(S418)。そして、コマンド個数カウンタを値1だけデクリメントして(S422)、コマンド個数カウンタが値0となったか否かを判定する(S424)。コマンド個数カウンタが値0となっていないと判定したときには、送信された変動コマンドに対応する演出時間をタイマにセットすると共にタイマのカウントダウンを開始して(S428)、変動パターンコマンド送信処理を一旦終了する。サブ制御基板90は、変動開始時コマンドを受信すると、特別図柄停止情報指定コマンドに基づいて停止図柄を設定すると共に先頭の変動コマンドに基づいて先頭の演出パターンを読み出して図柄変動表示を開始する。
先頭の変動コマンド(図柄変動開始時コマンド)を送信した後に、次回以降の制御周期で再び変動パターンコマンド送信処理が実行されてS402でタイマが値0になったと判定すると、先頭の変動コマンドに対応する演出の実行が終了したと判断して、S414で次の変動コマンド(未送信の変動コマンドのうち先頭のもの)の末尾にオンの分割送信フラグを付して分割設定を行う。即ち、本実施例では、S414の処理がなされる度に、未送信の変動コマンドの先頭から1つずつ分割設定するのである。そして、この場合には、既に図柄変動開始時コマンドが送信されており、S416で特別図柄が変動表示中であると判定するから、分割設定した変動コマンドをそのままサブ制御基板90に分割送信し(S420)、S422でコマンド個数カウンタを値1だけデクリメントして、S424でコマンド個数カウンタが値0になっていなければ、S428で送信コマンドに対応する演出時間をタイマにセットして、変動パターンコマンド送信処理を終了する。こうした処理を繰り返すうちに、S424でコマンド個数カウンタが値0になったと判定したときには、すべての変動コマンドの送信が完了したとして、分割送信フラグをオフとし(S426)、S428で送信コマンドに対応する演出時間をタイマにセットして、変動パターンコマンド送信処理を終了する。
このように、本実施例では、分割送信フラグがオンの場合には、変動パターンコマンドを構成する変動コマンドを、先頭の変動コマンドから順に1つずつ分割送信し、その際、先に送信した変動コマンドに対応する演出時間が経過したタイミングで次の変動コマンドを送信するのである。また、サブ制御基板90は、後述するように、変動コマンドを受信する度に、受信した変動コマンドに基づいて演出の実行を開始する。変動パターンコマンドの分割送信の様子を図22に示す。図22では、一例として、図19の大当り用変動パターンテーブルで変動パターン決定用乱数が値94〜99のときや図20の外れ用変動パターンテーブルで変動パターン決定用乱数が値220〜221のときに選択される変動パターンコマンドとして、「8004」と「8004」と「8004」と「8200」と「8300」との5個の変動コマンドが設定される場合を示す。図示するように、まず、時刻t1で先頭の通常変動Eの変動コマンド「8004」が送信され、通常変動Eの演出時間の17秒が経過した時刻t2で(17秒経過後に実行される制御周期において)、次の通常変動Eの変動コマンド「8004」が送信される。さらに、通常変動Eの演出時間の17秒が経過した時刻t3で(17秒経過後に実行される制御周期において)、通常変動Eの変動コマンド「8004」が送信され、その通常変動Eの演出時間の17秒が経過した時刻t4で(17秒経過後に実行される制御周期において)、スーパーリーチAの変動コマンド「8200」が送信される。そして、スーパーリーチAの演出時間の15秒が経過した時刻t5で(15秒経過後に実行される制御周期において)、ストーリーリーチAの変動コマンド「8300」が送信される。なお、ストーリーリーチAの変動コマンドが送信されてから、そのストーリーリーチAの演出時間の20秒が経過した時刻t6では(20秒経過後に実行される制御周期において)、すべての演出が終了して変動表示時間が経過したことになるから、上述した図12の特別図柄遊技処理のS250の処理で図柄停止コマンド(「8700」)が送信される。
[大当り遊技処理]
S150の大当り遊技処理は、図23に示すフローチャートに従って実行される。図23の大当り遊技処理が実行されると、主制御基板70のCPU70aは、まず、大当り遊技フラグがオンか否か、即ち大当り遊技中か否かを判定する(S500)。大当り遊技フラグがオフと判定すると、そのまま大当り遊技処理を終了する。一方、大当り遊技フラグがオンと判定すると、大当り遊技を開始するタイミングか否かを判定し(S502)、大当たり遊技の開始タイミングである場合には、大入賞口の開放回数Nを値0に初期化すると共に残りラウンド数を大当りの種類に応じたラウンド数に初期化する(S504)。残りラウンド数の初期化は、本実施例では、大当りの種類が第1の通常大当りまたは第1の確変大当りの場合には15ラウンドとなり、第2の確変大当りの場合には2ラウンドとなる。なお、大当たり遊技の開始タイミングでない場合には、残りラウンド数は初期化済みであるから、S504の処理をスキップして次のS506の処理に進む。
そして、大入賞口44が開放中であるか否かを判定し(S506)、大入賞口44が閉鎖中である(開放中でない)と判定すると、大入賞口44の開放タイミングか否かを判定する(S508)。この判定は、規定の閉鎖時間(本実施例では、2秒)が経過したか否かを判定することにより行われる。大入賞口44の開放タイミングであると判定すると、大入賞口44が開放されるよう大入賞口ソレノイド44aを駆動制御し(S510)、開放回数Nを値1だけインクリメントすると共に残りラウンド数を値1だけデクリメントし(S512)、N回目開放指定コマンドをサブ制御基板90に送信して(S514)、大当り遊技処理を一旦終了する。一方、大入賞口44の開放タイミングでないと判定すると、大当り遊技処理を一旦終了する。
一方、S506で大入賞口44が開放中であると判定すると、大入賞口44の閉鎖タイミングか否かを判定する(S516)。この判定は、規定の開放時間が経過したか、大入賞口44に入賞した遊技球の数が規定数(本実施例では、10個)に達したかのいずれかの成立を判定することにより行われる。なお、開放時間は、本実施例では、25秒に設定される。大入賞口44の閉鎖タイミングでないと判定すると、大入賞口44の開放を維持したまま大当り遊技処理を一旦終了する。一方、大入賞口44の閉鎖タイミングであると判定すると、大入賞口44が閉鎖されるよう大入賞口ソレノイド44aを駆動制御し(S518)、残りラウンド数が値0よりも多いか否かを判定する(S520)。残りラウンド数が値0よりも多いときには、大入賞口閉鎖指定コマンドをサブ制御基板90に送信して(S522)、大当り遊技処理を一旦終了し、残りラウンド数が値0のときには、図24に例示する大当り遊技終了時処理を実行して(S524)、大当り遊技処理を終了する。
図24の大当り遊技終了時処理では、主制御基板70のCPU70aは、まず、大当り遊技フラグをオンからオフとし(S550)、大当り図柄が確変図柄、即ち今回の大当りが「第1の確変大当り」および「第2の確変大当り」のいずれかであるかを判定する(S552)。確変図柄でない、即ち今回の大当りが「第1の通常大当り」であると判定すると、確変フラグはオフのまま維持して、変動短縮カウンタを100回に設定し(S554)、確変図柄と判定すると、確変フラグをオンとすると共に(S556)、変動短縮カウンタを10,000回に設定する(S558)。上述したように、変動短縮カウンタが10,000回に設定されると、実質的には、次回の大当りを引くまで時短状態が継続される。こうして変動短縮カウンタをセットすると、変動短縮フラグをオンとすると共に(S560)、開放延長フラグをオンとし(S562)、遊技状態指定コマンドをサブ制御基板90に送信して(S564)、大当り遊技終了時処理を終了する。遊技状態指定コマンドを受信したサブ制御基板90は、例えば、演出表示制御基板91に遊技状態を示す演出コマンドを送信して演出表示装置34の背景画面を確変用あるいは時短用の背景に設定する等の処理を行う。
[エラー処理]
S160のエラー処理は、図25に示すフローチャートに従って実行される。図25のエラー処理が実行されると、主制御基板70のCPU70aは、まず、前面枠11の開放を検知する枠開放スイッチ81からの検知信号に基づいて前面枠11の開放が検知されているか否かを判定する(S600)。前面枠11の開放が検知されていると判定したときには、枠開放異常コマンドをサブ制御基板90に送信して(S602)、次の処理に進む。また、前面枠11の開放が検知されていないと判定したときには、枠開放正常コマンドをサブ制御基板90に送信して(S604)、次の処理に進む。
次に、磁気センサ52からの検知信号に基づいて磁気が検知されているか否かを判定する(S606)。磁気が検知されていると判定したときには、磁気異常コマンドをサブ制御基板90に送信して(S608)、次の処理に進む。また、磁気が検知されていないと判定したときには、磁気正常コマンドをサブ制御基板90に送信して(S610)、次の処理に進む。
続いて、電波センサ54からの検知信号に基づいて電波が検知されているか否かを判定する(S612)。電波が検知されていると判定したときには、電波異常コマンドをサブ制御基板90に送信して(S614)、エラー処理を終了する。また、電波が検知されていないと判定したときには、電波正常コマンドをサブ制御基板90に送信して(S616)、エラー処理を終了する。なお、サブ制御基板90は、枠開放異常コマンドや磁気異常コマンド,電波異常コマンドを受信すると、後述するエラー報知処理においてエラー報知を実行したり、枠開放正常コマンドや磁気正常コマンド,電波正常コマンドを受信するとエラー報知を終了したりする。
[演出制御処理]
次に、サブ制御基板90により実行される動作について説明する。図26は、サブ制御基板90のCPU90aにより実行される演出制御処理の一例を示すフローチャートである。演出制御処理は、保留表示演出処理(S700)と、図柄変動演出処理(S710)と、大当り遊技演出処理(S720)と、エラー報知処理(S730)とを繰り返し実行することにより行われる。
[保留表示演出処理]
保留表示演出処理は、図27,28に例示するフローチャートに従って実行される。この保留表示演出処理では、サブ制御基板90のCPU90aは、まず、第1特別図柄保留発生時コマンドを受信したか否かを判定する(S800)。この第1特別図柄保留発生時コマンドは、図11の特別図柄遊技処理のS210,212の処理で主制御基板70により送信される。第1特別図柄保留発生時コマンドを受信したと判定すると、第1特別図柄の保留数カウンタを値1だけインクリメントして(S802)、今回発生した保留が特定保留であるか否かを判定する(S804)。この判定は、受信した第1特別図柄保留発生時コマンドに特定保留コマンドを含むか否かにより行われる。特定保留であると判定すると、保留図柄35aに特定保留図柄の表示を1つ追加して(S806)、次のS810の処理に進み、特定保留ではないと判定すると、保留図柄35aに通常の保留図柄の表示を1つ追加して(S808)、次のS810の処理に進む。なお、S800で第1特別図柄保留発生時コマンドを受信していないと判定すると、S802〜S808の処理をスキップして次のS810の処理に進む。
次に、第1特別図柄保留消化時コマンドを受信したか否かを判定する(S810)。この第1特別図柄保留消化時コマンドは、図14の変動表示関連処理を第1特別図柄用の処理として実行しているときにS338の処理で主制御基板70により送信される。第1特別図柄保留消化コマンドを受信したと判定すると、第1特別図柄の保留数カウンタを値1だけデクリメントして(S812)、保留図柄35aのうち最も古い保留図柄の表示を1つ消去して残りの保留図柄の表示を順に左側に移動させることにより保留図柄35aの表示を更新して(S814)、次のS816の処理に進む。なお、S810で第1特別図柄保留消化時コマンドを受信していないと判定すると、S812〜S814の処理をスキップして次のS816の処理に進む。
続いて、第2特別図柄保留発生時コマンドを受信したか否かを判定する(S816)。この第2特別図柄保留発生時コマンドは、図11の特別図柄遊技処理のS224,226の処理で主制御基板70により送信される。第2特別図柄保留発生時コマンドを受信したと判定すると、第2特別図柄の保留数カウンタを値1だけインクリメントして(S818)、今回発生した保留が特定保留であるか否かを判定する(S820)。この判定は、第2特別図柄保留発生時コマンドに特定保留コマンドを含むか否かにより行われる。特定保留であると判定すると、保留図柄35bに特定保留図柄の表示を1つ追加して(S822)、次のS826の処理に進み、特定保留ではないと判定すると、保留図柄35bに通常の保留図柄の表示を1つ追加して(S824)、次のS826の処理に進む。なお、S816で第2特別図柄保留発生時コマンドを受信していないと判定すると、S818〜S824の処理をスキップして次のS826の処理に進む。
そして、第2特別図柄保留消化時コマンドを受信したか否かを判定する(S826)。この第2特別図柄保留消化時コマンドは、図14の変動表示関連処理を第2特別図柄用の処理として実行しているときにS338の処理で主制御基板70により送信される。第2特別図柄保留消化時コマンドを受信したと判定すると、第2特別図柄の保留数カウンタを値1だけデクリメントして(S828)、保留図柄35bのうち最も古い保留図柄の表示を1つ消去して残りの保留図柄の表示を順に左側に移動させることにより保留図柄35bの表示を更新して(S830)、次のS832の処理に進む。なお、S826で第2特別図柄保留消化時コマンドを受信していないと判定すると、S828〜S830の処理をスキップして次のS832の処理に進む。
次に、現在の保留表示の中に特定保留があるか否かを判定する(S832)。特定保留があると判定したときには、S170の図柄変動演出処理で特定保留が生じていることを示唆する予告用の演出を行うための予告フラグをオンにセットして(S834)、保留表示演出処理を終了する。また、特定保留がないと判定したときには、予告フラグをオフにセットして(S836)、保留表示演出処理を終了する。
[図柄変動演出処理]
図柄変動演出処理は、図29,30に例示するフローチャートに従って実行される。この図柄変動演出処理では、サブ制御基板90のCPU90aは、まず、変動コマンドを受信したか否かを判定し(S900)、変動コマンドを受信したと判定したときにはその変動コマンドを一括受信したか否かを判定する(S902)。上述したように、図21の変動パターンコマンド送信処理で主制御基板70は、一括送信のときに末尾に一括フラグを付して変動コマンドを送信し、分割送信のときに末尾に分割フラグを付して変動コマンドを送信するため、受信した変動コマンドの末尾のフラグに基づいて変動コマンドを一括受信したか否か(分割受信したか)を判定することができる。
一括受信したと判定したときには、図21の変動パターンコマンド送信処理のS408の処理で特別図柄停止情報指定コマンドと変動コマンドとが変動開始時コマンドとして主制御基板70から送信されているから、まず、特別図柄停止情報指定コマンドに基づいて停止図柄を決定する(S904)。ここでは、ROM90bに予め記憶されている大当り図柄や外れ図柄のうち、受信した特別図柄停止情報指定コマンドに対応する図柄を読み出すことにより停止図柄を決定する。次に、変動開始時コマンドに含まれる変動コマンドや予告フラグのオンオフに基づいて各変動シーンの演出決定用テーブルを選択する(S906)。なお、本実施例では、変動開始時コマンドに含まれる変動コマンドは、1つの通常コマンドだけであるから、演出表示装置34で表示される演出図柄が停止している状態から、演出図柄の変動表示(スクロール変動)が開始されて、その変動表示を所定時間維持してから停止するまでの1つの変動シーンだけとなる。なお、予告フラグは、上述した図28の保留表示演出処理のS832〜S836の処理で特定保留の有無に応じてそのオンオフがセットされている。
ここで、図31に演出決定用テーブルの一例を示す。図示するように、各変動コマンド毎に、変動コマンドと予告フラグのオンオフとに対応付けて複数の演出パターンが登録された演出決定用テーブルが用意されている。このため、各変動演出(各変動コマンド)において、それぞれ、予告フラグがオフであれば通常演出用の演出決定用テーブルが選択され、予告フラグがオンであれば予告演出用(「先読み演出用」)の演出決定用テーブルが選択される。通常演出用の演出決定用テーブルでは、通常演出用の4つの演出パターンが演出決定用の乱数に対応付けて記憶され、予告演出用の演出決定用テーブルでは、予告演出用(「先読み演出用」)の4つの演出パターンが演出決定用の乱数と対応付けて記憶されている。なお、演出パターンの数は、4つに限られず、1つ、2つ、又は3つとしてもよいし、5つ以上としてもよい。また、各演出パターンの詳細は省略するが、予告演出用の各演出パターンは、それぞれ通常演出用の各演出パターンと対をなすように、一部の演出内容が異なる点を除いて、通常演出用の演出パターンと同様の演出内容で同じ演出時間となっている。一部の異なる演出内容としては、例えば、予告演出用の演出パターンにおいて、通常演出用の演出パターンにはないキャラクタが登場したり、通常演出用の演出パターンとはキャラクタのセリフなどが異なっていたり、通常演出用の演出パターンとはキャラクタの色や模様などが異なっていたり、通常演出用の演出パターンにはない色などで背景が表示されたり、通常演出用の演出パターンにはないボタン操作演出(演出ボタン26の操作を伴う演出)が行われたりする。なお、図31では、一部の変動コマンドのみを図示しているが、他の変動コマンドについても同様に演出決定用テーブルが用意されている。
こうした演出決定用テーブルのうち、S906では、受信した変動開始時コマンドに含まれる通常変動の変動コマンドに基づいて、1つの変動シーンである通常変動の変動演出の種類(通常変動A〜Eのいずれか)を定め、さらに予告フラグがオフであれば通常演出用の演出決定用テーブルを選択し、予告フラグがオンであれば予告演出用の演出決定用テーブルを選択する。続いて、演出決定用の乱数値を読み出しその乱数値と選択した演出決定用テーブルとに基づいて各変動シーン毎に演出パターンを決定する(S908)。
演出パターンを決定すると、決定した演出パターンに従って図柄変動演出を開始する(S910)。図柄変動演出は、演出パターンに基づいて演出表示装置34に演出図柄の変動表示が行われるよう決定した演出パターンの指示を含む演出コマンドを演出表示制御基板91に送信し、画面表示に対応する音声がスピーカ28a,28bから出力されるようアンプ基板92に駆動信号を出力し、画面表示に対応する点灯態様によりLED93aが点灯するよう装飾駆動基板93に駆動信号を出力することにより行われる。なお、演出コマンドを受信した演出表示制御基板91は、画像ROM91aから、指示された演出パターンに対応する演出用の画像データを読み出して演出表示装置34に表示する。
こうして図柄変動演出を開始したときやS900で変動コマンドを受信していないと判定したときには、図柄停止コマンドを受信したか否かを判定し(S912)、図柄停止コマンドを受信したときには図柄変動演出を終了して(S914)、図柄変動演出処理を終了する。一方、S912で図柄停止コマンドを受信していないと判定したときには、そのまま図柄変動演出処理を終了する。
一方、変動コマンドを分割受信したためにS902で変動コマンドを一括受信していないと判定したときには、変動開始時コマンドを受信したか否かを判定する(S916)。変動開始時コマンドを受信したと判定すると、変動開始時コマンドに含まれる特別図柄停止情報指定コマンドに基づいて停止図柄を決定する(S918)。上述したように、ROM90bに予め記憶されている大当り図柄や外れ図柄のうち、受信した特別図柄停止情報指定コマンドに対応する図柄を読み出すことにより停止図柄を決定する。
S916で変動開始時コマンドを受信していないと判定したときやS918で停止図柄を決定したときには、通常変動の変動コマンドを分割受信したか否かを判定する(S920)。ここで、本実施例では、図21の変動パターンコマンド送信処理で変動コマンドが分割送信されると、疑似2連や疑似3連を指示する通常変動コマンド(変動パターンコマンドの先頭から2つ目や3つ目の通常変動コマンド)が変動開始時コマンドとは別に送られることになる。このため、S916の変動開始時コマンドとは別に、S920で通常変動の変動コマンドを受信したか否かを判定するのである。なお、変動開始時コマンドには、変動パターンコマンドの先頭の通常変動コマンドが含まれるから、変動開始時コマンドを受信して停止図柄を決定したときには、S920で通常変動の変動コマンドを分割受信したと判定することになる。なお、通常変動の変動コマンドが変動開始時コマンドに含まれるものであれば、演出図柄が停止している状態から変動表示が開始されるときの、先頭の変動シーンにおける通常変動の演出パターンが決定されることになる。また、通常変動の変動コマンドが変動開始時コマンドとは別に送信されたものであれば、通常変動Dや通常変動Eに続く疑似2連や通常変動Eに続く疑似3連の通常変動の演出パターン(図19,20参照)が決定されることになる。
S920で通常変動の変動コマンドを分割受信したと判定したときには、予告フラグがオフであるか否かを判定する(S922)。予告フラグがオフであると判定したときには、通常演出用の通常変動の演出決定用テーブルを選択し(S924)、予告フラグがオフではなくオンであると判定したときには、予告演出用の通常変動の演出決定用テーブルを選択する(S926)。S924,S926では、まず、受信した通常変動の変動コマンド(変動開始時コマンドに含まれる通常変動の変動コマンド)に基づいて、リーチ演出を伴わずに演出図柄を変動表示させる通常変動の変動演出の種類(通常変動A〜Eのいずれか)を定め、さらに、予告フラグがオフであれば通常演出用の演出決定用テーブルを選択し、予告フラグがオンであれば予告演出用の演出決定用テーブルを選択する。続いて、演出決定用の乱数値を読み出しその乱数値と選択した演出決定用テーブルとに基づいて通常変動の演出パターンを決定し(S928)、決定した演出パターンに従って通常変動演出(変動開始時コマンドを受信しているときには、図柄変動演出)を開始して(S930)、次のS932の処理に進む。一方、S920で、通常変動の変動コマンドを受信していないと判定したときには、S922〜S930の処理をスキップして次のS932の処理に進む。
次に、ノーマルリーチ(NMリーチ)の変動コマンドを分割受信したか否かを判定し(S932)、分割受信したと判定したときには、予告フラグがオフであるか否かを判定する(S934)。予告フラグがオフであると判定したときには、通常演出用のノーマルリーチの演出決定用テーブルを選択し(S936)、予告フラグがオフではなくオンであると判定したときには、予告演出用のノーマルリーチの演出決定用テーブルを選択する(S938)。S936,S938では、まず、受信したノーマルリーチの変動コマンドに基づいて、通常変動Eの変動演出に続くノーマルリーチ演出(図19,20参照)を行うための変動演出の種類(ノーマルリーチA〜Cのいずれか)を定め、さらに、予告フラグがオフであれば通常演出用の演出決定用テーブルを選択し、予告フラグがオンであれば予告演出用の演出決定用テーブルを選択する。続いて、演出決定用の乱数値を読み出しその乱数値と選択した演出決定用テーブルとに基づいてノーマルリーチの演出パターンを決定し(S940)、決定した演出パターンに従ってノーマルリーチ演出を開始して(S942)、次のS944の処理に進む。一方、S932で、ノーマルリーチの変動コマンドを分割受信していないと判定したときには、S934〜S942の処理をスキップして次のS944の処理に進む。
続いて、スーパーリーチ(SPリーチ)の変動コマンドを分割受信したか否かを判定し(S944)、分割受信したと判定したときには、予告フラグがオフであるか否かを判定する(S946)。予告フラグがオフであると判定したときには、通常演出用のスーパーリーチの演出決定用テーブルを選択し(S948)、予告フラグがオフではなくオンであると判定したときには、予告演出用のスーパーリーチの演出決定用テーブルを選択する(S950)。S948,S950では、まず、受信したスーパーリーチの変動コマンドに基づいて、通常変動Dの疑似2連や通常変動Eの疑似3連に続くスーパーリーチ変動(図19,20参照)に発展させるための変動演出の種類(スーパーリーチA〜Cのいずれか)を定め、さらに、予告フラグがオフであれば通常演出用の演出決定用テーブルを選択し、予告フラグがオンであれば予告演出用の演出決定用テーブルを選択する。続いて、演出決定用の乱数値を読み出しその乱数値と選択した演出決定用テーブルとに基づいてスーパーリーチの演出パターンを決定し(S952)、決定した演出パターンに従ってスーパーリーチ演出を開始して(S954)、次のS956の処理に進む。一方、S944で、スーパーリーチの変動コマンドを分割受信していないと判定したときには、S946〜S954の処理をスキップして次のS956の処理に進む。
そして、ストーリーリーチ(STリーチ)の変動コマンドを分割受信したか否かを判定し(S956)、分割受信したと判定したときには、予告フラグがオフであるか否かを判定する(S958)。予告フラグがオフであると判定したときには、通常演出用のストーリーリーチの演出決定用テーブルを選択し(S960)、予告フラグがオフではなくオンであると判定したときには、予告演出用のストーリーリーチの演出決定用テーブルを選択する(S962)。S960,S962では、まず、受信したストーリーリーチの変動コマンドに基づいて、通常変動BやスーパーリーチA〜Cのいずれかに続くストーリーリーチ変動(図19,20参照)に発展させるための変動演出の種類(ストーリーリーチA〜Cのいずれか)を定め、さらに、予告フラグがオフであれば通常演出用の演出決定用テーブルを選択し、予告フラグがオンであれば予告演出用の演出決定用テーブルを選択する。続いて、演出決定用の乱数値を読み出しその乱数値と選択した演出決定用テーブルとに基づいてストーリーリーチの演出パターンを決定し(S964)、決定した演出パターンに従ってストーリーリーチ演出を開始して(S966)、次のS968の処理に進む。一方、S956で、ストーリーリーチの変動コマンドを分割受信していないと判定したときには、S958〜S966の処理をスキップして次のS968の処理に進む。
次に、再抽選の変動コマンドを分割受信したか否かを判定し(S968)、分割受信したと判定したときには、予告フラグがオフであるか否かを判定する(S970)。予告フラグがオフであると判定したときには、通常演出用の再抽選の演出決定用テーブルを選択し(S972)、予告フラグがオフではなくオンであると判定したときには、予告演出用の再抽選の演出決定用テーブルを選択する(S974)。S972,S974では、まず、受信した再抽選の変動コマンドに基づいて、ストーリーリーチA〜Cのいずれかに続く再抽選変動(図19,20参照)の変動演出の種類(再抽選A,Bのいずれか)を定め、さらに、予告フラグがオフであれば通常演出用の演出決定用テーブルを選択し、予告フラグがオンであれば予告演出用の演出決定用テーブルを選択する。続いて、演出決定用の乱数値を読み出しその乱数値と選択した演出決定用テーブルとに基づいて演出パターンを決定し(S976)、決定した演出パターンに従って再抽選演出を開始して(S978)、図柄変動演出処理を終了する。一方、S968で、再抽選の変動コマンドを分割受信していないと判定したときには、S970〜S978の処理をスキップして図柄変動演出処理を終了する。
このように、サブ制御基板90(サブ制御手段)は、変動コマンドを分割受信する度に予告フラグがオフであるか否か(予告フラグの状態)を判定して、その判定結果(予告フラグのオンオフ)に基づいて予告演出用か通常演出用のいずれかの演出決定用テーブルを選択して演出パターンを決定するのである。このため、サブ制御基板90(サブ制御手段)が変動コマンドを分割受信したタイミングの予告フラグの状態に応じて、予告演出用か通常演出用のいずれかの演出パターンが決定されることになる。したがって、主制御基板70(主制御手段)で変動パターンコマンドを設定したときには特定保留が発生しておらず、変動表示が開始された後に特定保留が発生した場合であっても、予告フラグがオンとなった以降に実行が開始される単位変動表示については(一連の変動表示の途中でも)、通常演出用の演出から予告演出用の演出に替えることができる。尚、従来の遊技機においては、変動表示の開始に際して変動表示する内容を全て決定するため、一旦変動表示が開始された場合には、その後に特定保留が発生したとしても、変動表示の内容(リーチの種類、変動演出の種類等)を変更することはできなかった。ここで、図32は、主制御基板70から分割送信される変動コマンドと予告フラグの状態とサブ制御基板90で実行される演出の時間変化の様子を示す説明図である。この図32では、上述した図22と同じタイミングで主制御基板70から変動コマンドが分割送信されるものとした。そして、変動開始時には特定保留が発生しておらず予告フラグはオフであったが、その後の時刻taで特定保留が発生して予告フラグがオフからオンとされる。このため、サブ制御基板90は、特定保留が発生した時刻ta以降には、通常演出用ではなく予告演出用の演出パターンを決定して演出を実行するのである。このため、3つ目の通常変動Eの変動コマンド「8004」やその後のスーパーリーチAの変動コマンド「8300」,ストーリーリーチAの変動コマンド「8300」を受信したときには、予告演出用の演出パターンを読み出して演出が実行されることになる。
[大当り遊技演出処理]
大当り遊技演出処理は、図33に例示するフローチャートに従って実行される。図33の大当り遊技演出処理では、サブ制御基板90のCPU90aは、まず、大当り遊技開始指定コマンドを受信したか否かを判定する(S1000)。ここで、大当り遊技開始指定コマンドは、前述したように、図13の特別図柄遊技処理で大当りと判定したときにS260の処理で主制御基板70により送信される。大当り遊技開始指定コマンドを受信したと判定すると、大当り遊技開始演出(大当りファンファーレ演出)を実行し(S1002)、大当り遊技開始指定コマンドを受信していないと判定すると、S1002の処理をスキップして次のS1004の処理に進む。大当りファンファーレ演出は、大当りの発生を示す大当りファンファーレ画面が演出表示装置34に表示されるよう演出表示制御基板91に演出コマンドを送信し、画面表示に対応する音声がスピーカ28a,28bから出力されるようアンプ基板92に駆動信号を出力し、画面表示に対応する点灯態様によりLED93aが点灯するよう装飾駆動基板93に駆動信号を出力することにより行われる。
次に、N回目開放指定コマンドを受信したか否かを判定する(S1004)。ここで、N回目開放指定コマンドは、図23の大当り遊技処理で大当り遊技のラウンドを開始する際にS514の処理で主制御基板70により送信される。N回目開放指定コマンドを受信したと判定すると、設定したラウンド演出パターンに基づいてN回目ラウンド演出を実行し(S1006)、N回目開放指定コマンドを受信していないと判定すると、S1006の処理をスキップして次のS1008の処理に進む。N回目ラウンド演出は、N回目のラウンドの実行を示す演出であるN回目ラウンド演出画面が演出表示装置34に表示されるよう演出表示制御基板91に演出コマンドを送信し、画面表示に対応する音声がスピーカ28a,28bから出力されるようアンプ基板92に駆動信号を出力し、画面表示に対応する点灯態様によりLED93aが点灯するよう装飾駆動基板93に駆動信号を出力することにより行われる。
続いて、大入賞口閉鎖指定コマンドを受信したか否かを判定する(S1008)。ここで、大入賞口閉鎖指定コマンドは、図23の大当り遊技処理で残りラウンド数が値0よりも多い状態で大入賞口44を閉鎖する際にS522の処理で主制御基板70により送信される。大入賞口閉鎖指定コマンドを受信したと判定すると、大入賞口閉鎖中演出(インターバル演出)を実行し(S1010)、大入賞口閉鎖指定コマンドを受信していないと判定すると、S1010の処理をスキップして次のS1012の処理に進む。大入賞口閉鎖中演出は、大入賞口44が閉鎖してから次に開放するまでのインターバルを示すインターバル画面が演出表示装置34に表示されるよう演出表示制御基板91に演出コマンドを送信し、画面表示に対応する音声がスピーカ28a,28bから出力されるようアンプ基板92に駆動信号を出力し、画面表示に対応する点灯態様によりLED93aが点灯するよう装飾駆動基板93に駆動信号を出力することにより行われる。
そして、大当り遊技終了指定コマンドを受信したか否かを判定する(S1012)。ここで、大当り遊技終了指定コマンドは、図24の大当り遊技終了時処理でS564の処理で主制御基板70により送信される。大当り遊技終了指定コマンドを受信したと判定すると、大当り遊技終了演出(大当りエンディング演出)を実行して(S1014)、大当り遊技演出処理を終了し、大当り遊技終了指定コマンドを受信していないと判定すると、S1014の処理をスキップして大当り遊技演出処理を終了する。大当り遊技終了演出は、大当り遊技の終了を示す大当りエンディング画面が演出表示装置34に表示されるよう演出表示制御基板91に演出コマンドを送信し、画面表示に対応する音声がスピーカ28a,28bから出力されるようアンプ基板92に駆動信号を出力し、画面表示に対応する点灯態様によりLED93aが点灯するよう装飾駆動基板93に駆動信号を出力することにより行われる。
[エラー報知処理]
エラー報知処理は、図34に例示するフローチャートに従って実行される。図34のエラー報知処理では、サブ制御基板90のCPU90aは、まず、枠開放異常コマンドを受信したか否か(S1100)、磁気異常コマンドを受信したか否か(S1102)、電波異常コマンドを受信したか否か(S1104)をそれぞれ判定する。ここで、枠開放異常コマンドや磁気異常コマンド,電波異常コマンドは、それぞれ、図25のエラー処理のS602やS608,S614の処理で主制御基板70により送信される。S1100〜S1104で、枠開放異常コマンドか磁気異常コマンドか電波異常コマンドのいずれかを受信したと判定すると、エラー報知演出を実行して(S1106)、エラー報知処理を終了する。ここで、エラー報知演出は、演出表示装置34の表示画面に「エラー発生」などの警告表示がなされるよう演出表示制御基板91に制御信号を出力したり、各種スピーカ28a,28bからブザー音などの警告音が発せられるようアンプ基板92に駆動信号を出力したり、各種LEDランプ93aが警告用の点灯態様(例えば、点灯したまま保持する態様)で点灯されるよう装飾駆動基板93に駆動信号を出力したりすることにより行なわれる。また、併せて図示しないホールコンピューターへエラーが報知されるようにしてもよい。
一方、S1100〜S1104で、枠開放異常コマンドと磁気異常コマンドと電波異常コマンドのいずれをも受信していないと判定すると、エラー報知演出を実行中であるか否かを判定する(S1108)。エラー報知演出を実行中ではないと判定したときには、そのままエラー報知処理を終了する。一方、エラー報知演出を実行中であると判定したときには、枠開放正常コマンドを受信したか否か(S1110)、磁気正常コマンドを受信したか否か(S1112)、電波正常コマンドを受信したか否か(S1114)をそれぞれ判定する。そして、S1110〜S1114で、枠開放正常コマンドと磁気正常コマンドと電波正常コマンドのいずれをも受信したと判定すると、エラー報知演出を終了して(S1116)、エラー報知処理を終了する。また、S1110〜S1114で、枠開放正常コマンドと磁気正常コマンドと電波正常コマンドのうちいずれか1つでも受信していないと判定すると、そのままエラー報知処理を終了する。この場合、エラー報知演出が継続して実行される。
以上説明した第1実施例のパチンコ機10によれば、主制御基板70は、送信対象の変動パターンコマンドを構成する変動コマンドのコマンド数が所定数以下の場合にはサブ制御基板90に一括送信し、コマンド数が所定数を超える場合にはサブ制御基板90に分割送信するから、コマンド数に応じて変動コマンドを一括送信するか分割送信するかを切り替えることができる。そして、変動パターンコマンドを構成するコマンド数が所定数以下の場合には、当該変動パターンコマンドを一括送信することで、送信回数を1回にして効率よく送信することができる。また、変動パターンコマンドを構成するコマンド数が所定数を超える場合には、分割送信により一回の制御周期内における変動パターンコマンドの送信時間(変動パターンコマンド送信処理の処理時間)を抑えて、他の必要な処理を確実に実行することができる。即ち、変動コマンドの一括送信と分割送信とを切り替えることで、変動コマンドの効率的な送信と各制御周期内の確実な処理の実行との両立を図ることができる。この結果、一連の変動演出を指示するための変動パターンコマンドが複数の変動コマンドからなるパチンコ機10において、当該変動コマンド数が所定数以下か、所定数を超えるかによって、一括送信か分割送信かを可能としたことで、変動コマンドをより適切に(状況に応じて確実かつ迅速に)送信することができる。また、一括送信するか分割送信するかをコマンド数に応じて切り替えるから、簡易な処理で変動コマンドをより適切に送信することができる。さらに、先の変動コマンドを送信してから、その変動コマンドに対応する演出の演出時間が経過したタイミングで、次の変動コマンドを送信するから、複数の変動コマンドの送信が集中して送信時間が長くなるのを確実に防止しつつ変動コマンドに対応する変動演出の実行開始が大きく遅れるのを防止することができる。
また、第1実施例のパチンコ機10によれば、サブ制御基板90は、一連の変動演出の表示を制御している最中に、主制御基板70から送信された特定保留コマンド(特定保留コマンドが含まれる保留発生時コマンド)を受信した場合、以降の変動演出については、通常演出用の演出パターンに代えて予告演出用の演出パターンをROM90bから読み出して実行するから、変動演出が開始された後に特定保留が発生した場合においても、未実行の変動コマンドに対応する変動演出に関しては、一連の変動演出の途中であっても通常演出から予告演出(「先読み演出」ともいう)に切り替えることができる。このように、一連の変動演出の途中で発生した特定保留に直ちに対応して予告演出を実行するから、特定保留が発生したことを、現在進行中の変動表示において報知することができ、遊技者に強く印象付けることができる。この結果、特定保留の発生を遊技者に効果的に報知して、遊技の興趣の向上を図ることができる。また、先の演出の実行が終了したタイミングで、次の演出パターンを読み出して実行するから、個別の変動演出が開始される直前まで通常演出から予告演出に差し替え可能として通常演出から予告演出に差し替える機会を増やすことができる。
第1実施例のパチンコ機10では、サブ制御基板90が、変動コマンド(変動パターンコマンド)を分割受信している場合において通常演出から予告演出に切り替えることができることを説明したが、複数の変動コマンドを一括受信している場合においても同様に通常演出から予告演出に切り替えることができるものとしてもよい。この場合、変動パターンコマンド(複数の変動コマンドからなる)を一括受信しても、先の変動コマンドに対応する変動演出が終了したタイミングで次の変動コマンドに対応する変動演出の演出パターンを決定するものとしておき、先の変動演出が終了したタイミングで予告フラグのオンオフを判定して、そのオンオフの判定結果に基づいて次の変動演出の演出パターンが通常演出用か予告演出用かを決定するものなどとすればよい。つまり、先の変動コマンドに対応する変動演出の実行途中に特定保留が発生し、予告フラグがオンとなった場合には、次の変動コマンドに対応する変動演出を実行する際に、予告演出用(先読み演出用)の変動演出を選択し実行することができる。
ここで、第1実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。第1実施例では、パチンコ機10が「遊技機」に相当し、演出表示装置34が「演出表示装置」に相当し、図10の主制御処理のS170(図21)の変動パターンコマンド送信処理を実行する主制御基板70が「変動パターンコマンド送信手段」に相当し、主制御基板70のRAM70cが「保留記憶手段」に相当し、図11の特別図柄遊技処理を実行する主制御基板70が「特定保留コマンド送信手段」に相当し、主制御基板70が「メイン制御手段」に相当し、サブ制御板90のROM90bと演出表示制御基板91の画像ROM91bが「演出記憶手段」に相当し、図26の演出制御処理のS710(図29,30)の図柄変動演出処理を実行するサブ制御基板90と演出表示制御基板91とが「表示制御手段」に相当し、サブ制御基板90が「サブ制御手段」に相当する。また、主制御基板70のROM70bが「変動コマンド記憶手段」に相当する。なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行われるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
[第2実施例]
次に、第2実施例のパチンコ機10Bについて説明する。この第2実施例のパチンコ機10Bは、第1実施例のパチンコ機10と同じ構成を備え、処理の一部やテーブルの一部が異なるだけなので、各構成要素についてはパチンコ機10の構成要素と同一の符号を付してその説明を省略し、一部の異なる処理やテーブルについて以下に説明する。
まず、主制御基板70側の処理やテーブルについて説明する。第2実施例の主制御基板70のROM70bには、図35に示す第2実施例の変動コマンドテーブルが記憶されている。図示するように、第2実施例の変動コマンドテーブルでは、各変動演出の種類毎に、通常演出用の変動コマンドと、予告演出用の変動コマンドとが記憶されている。通常演出用の各変動コマンドは、第1実施例の図18の変動コマンドテーブルと同一の変動コマンドであり、それらの通常演出用の変動コマンドと対をなす予告演出用(「先読み演出用」)の変動コマンドが定められている。
また、この図35に示した変動コマンドで構成された変動パターンコマンドを定めた変動パターンテーブルがROM70bに記憶されている。これらの変動パターンテーブルの図示は省略するが、第1実施例の図19の大当り用変動パターンテーブルや図20の外れ用変動パターンテーブルと同様に複数のテーブルが用意されている。なお、上述したように、第2実施例では、通常演出用の変動コマンドと、予告演出用の変動コマンドとを用意しているから、図14の変動表示関連処理のS312〜S316,S322〜S326では、特定保留が発生していなければ、通常演出用の変動コマンドで変動パターンコマンドが構成された変動パターンテーブルの中から、確変フラグや変動短縮フラグ,保留数の状態に応じたものを選択して、変動パターンコマンドを設定する。また、特定保留が発生していれば(予告フラグがオン)、予告演出用の変動コマンドで変動パターンコマンドが構成された複数の変動パターンテーブルの中から、確変フラグや変動短縮フラグ,保留数の状態に応じたものを選択して、変動パターンコマンドを設定する。即ち、基本的には、変動パターンコマンドの設定時に特定保留が発生していなければ、通常演出用の変動コマンドで変動パターンコマンドが構成され、特定保留が発生していれば予告演出用の変動コマンドで変動パターンコマンドが構成されることになる。
図36は、第2実施例の主制御基板70のCPU70aにより実行される変動パターンコマンド送信処理の一例を示すフローチャートである。この図36では、第1実施例の図21の変動パターンコマンド送信処理と同じ処理には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。図示するように、S400〜S404で、コマンド個数カウンタが値0ではなくタイマが値0で且つ分割送信フラグがオフであると判定すると、S406〜S412で変動コマンドを一括送信して、変動パターンコマンド送信処理を終了する。また、S400〜S404でコマンド個数カウンタが値0ではなくタイマが値0で且つ分割送信フラグがオンであると判定すると、特定保留が発生しているか否かを判定し(S413a)、特定保留が発生していなければ、S414〜S428で変動コマンドを分割送信して、変動パターンコマンド送信処理を終了する。なお、S413aの判定は、図11の特別図柄遊技処理のS208,S222の判定結果に基づいて行うことができる。
そして、S413aで特定保留が発生していると判定したときには、未送信の変動コマンドは通常演出用であるか否かを判定する(S413b)。ここで、第2実施例では、上述したように、変動パターンコマンドの設定時に、特定保留が発生していれば、予告演出用の変動コマンドで変動パターンコマンドが構成される。このため、S413a,S413bの判定で特定保留が発生しており且つ未送信の変動コマンドが通常演出用と判定するのは、変動パターンコマンドの設定時には特定保留が発生しておらず、その後に特定保留が発生した場合となる。
そして、S413bで未送信の変動コマンドが通常演出用であると判定すると、その通常演出用の変動コマンドを予告演出用の変動コマンドに差し替える(S413c)。この差し替えは、未送信の通常演出用の変動コマンドと、対をなす予告演出用の変動コマンドをROM70bの変動コマンドテーブルから読み出して設定し直すことにより行われる。例えば、未送信の変動コマンドが通常変動Eの通常演出用の「8004」であれば、それと対をなす通常変動Eの予告演出用の「8009」に差し替えられる。変動コマンドを差し替えると、S414〜S428で変動コマンドを分割送信して、変動パターンコマンド送信処理を終了する。また、S413bで未送信の変動コマンドが通常演出用ではないと判定すると、既に予告演出用の変動コマンドに差し替えた後や当初から予告演出用の変動コマンドが設定された場合であるため、S413cの処理をスキップしてS414〜S428で変動コマンドを分割送信して、変動パターンコマンド送信処理を終了する。このように、第2実施例の変動パターンコマンド送信処理では、図14の変動表示関連処理のS316やS326で変動パターンコマンドを設定した以降に、特定保留が発生した場合には、未送信の通常演出用の変動コマンドを予告演出用の変動コマンドに差し替えてサブ制御基板90に分割送信するのである。
次に、サブ制御基板90側の処理やテーブルについて説明する。第2実施例の図柄変動演出処理は、図37,38に例示するフローチャートに従って実行される。図37,38では、第1実施例の図29,30の図柄変動演出処理と同じ処理には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。第2実施例の図柄変動演出処理では、S900,S902で変動コマンドを受信しそれが一括受信であると判定したときには、S904〜S910で、特別図柄停止情報指定コマンドに基づいて停止図柄を決定し、変動開始時コマンドに含まれる変動コマンドに基づいて各変動の演出決定用テーブルを選択し、演出決定用の乱数値を読み出しその乱数値と選択した演出決定用テーブルとに基づいて各変動の演出パターンを決定し、決定した演出パターンに従って図柄変動演出を開始する。なお、S900で変動コマンドを受信していないと判定したときやS910で図柄変動演出を開始したときには、S912〜S914で、図柄停止コマンドを受信したと判定したときに図柄変動演出を終了して図柄変動演出処理を終了し、図柄停止コマンドを受信していないと判定したときにはそのまま図柄変動演出処理を終了する。
ここで、第2実施例の演出決定用テーブルの一例を図39に示す。図示するように、通常演出用の変動コマンドには通常演出用の演出決定用テーブルが対応付けられ、予告演出用の変動コマンドには予告演出用の演出決定用テーブルが対応付けられている。このため、第2実施例では、受信した変動コマンドに基づいて(予告フラグのオンオフを参照することなく)、通常演出用か予告演出用の演出決定用テーブルを決定することができる。なお、各演出決定用テーブルは、図31に示した第1実施例の演出決定用テーブルと同様に、それぞれ4つの演出パターンが登録されているが、4つに限られず、1つ、2つ、又は3つとしてもよいし、5つ以上としてもよい。
また、S902で変動コマンドを一括受信していない即ち分割受信したと判定したときには、S916,S918で変動開始時コマンドを受信したと判定したときに特別図柄停止情報指定コマンドに基づいて停止図柄を決定する。S916で変動開始時コマンドを受信していないと判定したときやS918で停止図柄を決定したときには、S920で通常変動の変動コマンドを分割受信したと判定したときに、受信した通常変動の変動コマンド(変動開始時コマンドに含まれる通常変動の変動コマンド)に基づいて、通常変動A〜Eのいずれかにおける、通常演出用または予告演出用の演出決定用テーブルを選択する(S925)。続いて、S928,930で、演出決定用の乱数値を読み出しその乱数値と選択した演出決定用テーブルとに基づいて通常変動の演出パターンを決定し、決定した演出パターンに従って通常変動演出(図柄変動演出)を開始して、次のS932の処理に進む。一方、S920で、通常変動の変動コマンドを分割受信していないと判定したときには、S925〜S930の処理をスキップして次のS932の処理に進む。
次に、S932でノーマルリーチ(NMリーチ)の変動コマンドを分割受信したと判定したときに、受信したノーマルリーチの変動コマンドに基づいて、ノーマルリーチA〜Cのいずれかにおける、通常演出用または予告演出用の演出決定用テーブルを選択する(S937)。続いて、S940,S942で、演出決定用の乱数値を読み出しその乱数値と選択した演出決定用テーブルとに基づいてノーマルリーチの演出パターンを決定し、決定した演出パターンに従ってノーマルリーチ演出を開始して、次のS944の処理に進む。一方、S932で、ノーマルリーチの変動コマンドを分割受信していないと判定したときには、S937〜S942の処理をスキップして次のS944の処理に進む。
続いて、S944でスーパーリーチ(SPリーチ)の変動コマンドを分割受信したと判定したときに、受信したスーパーリーチの変動コマンドに基づいて、スーパーリーチA〜Cのいずれかにおける、通常演出用または予告演出用の演出決定用テーブルを選択する(S949)。続いて、S952,S954で、演出決定用の乱数値を読み出しその乱数値と選択した演出決定用テーブルとに基づいてスーパーリーチの演出パターンを決定し、決定した演出パターンに従ってスーパーリーチ演出を開始して、次のS956の処理に進む。一方、S944で、スーパーリーチの変動コマンドを分割受信していないと判定したときには、S949〜S954の処理をスキップして次のS956の処理に進む。
そして、S956でストーリーリーチ(STリーチ)の変動コマンドを分割受信したと判定したときに、受信したストーリーリーチの変動コマンドに基づいて、ストーリーリーチA〜Cのいずれかにおける、通常演出用または予告演出用の演出決定用テーブルを選択する(S961)。続いて、S964,S966で演出決定用の乱数値を読み出しその乱数値と選択した演出決定用テーブルとに基づいてストーリーリーチの演出パターンを決定し、決定した演出パターンに従ってストーリーリーチ演出を開始して、次のS968の処理に進む。一方、S956で、ストーリーリーチコマンドを分割受信していないと判定したときには、S961〜S966の処理をスキップして次のS968の処理に進む。
次に、S968で再抽選の変動コマンドを分割受信したと判定したときに、受信した再抽選の変動コマンドに基づいて、再抽選A,Bのいずれかにおける、通常演出用または予告演出用の演出決定用テーブルを選択する(S973)。続いて、S976,S978で演出決定用の乱数値を読み出しその乱数値と選択した演出決定用テーブルとに基づいて演出パターンを決定し、決定した演出パターンに従って再抽選演出を開始して、図柄変動演出処理を終了する。一方、S968で、再抽選の変動コマンドを分割受信していないと判定したときには、S973〜S978の処理をスキップして図柄変動演出処理を終了する。
このように、第2実施例では、サブ制御基板90(サブ制御手段)は、受信した変動コマンドに基づいて、通常演出用か予告演出用のいずれかの演出パターンを決定して実行するのである。また、この変動コマンドは、上述したように、主制御基板70(主制御手段)から通常演出用か予告演出用に予め区別して送信される。また、主制御基板70(主制御手段)が、一連の変動表示の変動開始時に変動パターンコマンドを決定したときには、特定保留が発生しておらず、一連の変動表示が開始された後に(一連の変動表示の途中で)特定保留が発生したときには、主制御基板70(主制御手段)からサブ制御基板90(サブ制御手段)に対して未送信の変動コマンドがあれば、当該未送信の変動コマンドが予告演出用の変動コマンドに差し替えて送信されている。このため、サブ制御基板90(サブ制御手段)は、受信した変動コマンドに従って、通常演出用又は予告演出用の変動演出を実行するだけで、実行中の一連の変動演出が、通常演出用の変動演出となったり、途中で予告演出用の変動演出となったりすることになる。ここで、図40は、主制御基板70から分割送信される変動コマンドと特定保留の有無とサブ制御基板90で実行される演出の時間変化の様子を示す説明図である。この図40では、上述した図22と同じタイミングで主制御基板70から変動コマンドが送信されるものとした。図示するように、変動開始時には特定保留が発生していなかったが、その後の時刻taで特定保留が発生している。このため、主制御基板70は、時刻ta以降は、予告演出用の変動コマンドに差し替えてサブ制御基板90に送信する。即ち、時刻t3で通常変動Eの変動コマンドを通常演出用の「8004」から予告演出用の「8009」に差し替えて送信し、時刻t4でスーパーリーチAの変動コマンドを通常演出用の「8200」から予告演出用の「8203」に差し替えて送信し、時刻t5でストーリーリーチAの変動コマンドを通常演出用の「8300」から予告演出用の「8303」に差し替えて送信する。このため、予告演出用に差し替えられた変動コマンドを受信したサブ制御基板90では、3つ目の通常変動E以降は、予告演出用の演出パターンを決定して実行することができる。
以上説明した第2実施例のパチンコ機10によれば、主制御基板70は、一連の変動演出を表示させているときに、特定保留が発生した場合には、送信前の通常演出用の変動コマンドを、当該通常演出用の変動コマンドと対をなす予告演出用の変動コマンドに差し替えてサブ制御基板90に送信することで、変動演出を通常演出から予告演出に切り替えることができる。このように、一連の変動演出の途中で発生した特定保留に直ちに対応して予告演出(図柄変動演出)を実行するから、特定保留が発生したことを遊技者に強く印象付けることができる。この結果、特定保留の発生を効果的に報知して、遊技の興趣を向上させることができる。また、一連の変動演出が複数の変動演出からなり、先の変動演出の実行が終了したタイミングで、次の変動演出を指示する変動コマンドを送信するから、送信済みの変動コマンドに対応する個別の変動演出が終了するまで(次の変動コマンドが送信される直前まで)、送信する変動コマンドを変更できる。そして、実行される変動演出を通常演出から予告演出に差し替え可能とし、通常演出から予告演出に差し替える機会を増やすことができ、一連の変動演出の途中における予告演出への切り替えを積極的に行うことができる。尚、従来では、特定保留が発生した時に既に実行されている一連の変動表示(図柄変動表示)については、そのまま(変動開始時に定めた通りに)実行していた。そして、次の一連の変動表示において、特定保留が発生したことを報知するべく、予告演出用(先読み演出用)の一連の変動表示を実行するものはあった。
第1実施例や第2実施例のパチンコ機10では、一括送信するか分割送信するかを変動コマンドの数(コマンド数)に基づいて判断するものとしたが、これに限られず、変動コマンドの容量(コマンド容量)に基づいて判断するものとしてもよいし、変動コマンドの数や容量に基づいて変動コマンドの送信時間を推定し、推定した送信時間に基づいて判断するものとしてもよい。また、変動コマンドの数や容量,推定した送信時間を予め定められたしきい値(第1実施例の所定値に相当)と比較することにより判断(しきい値以下のときには一括送信し、しきい値を超えるときには分割送信)するものとしてもよいし、推定した送信時間を制御周期の残り時間と比較することにより判断するものとしてもよい。推定した送信時間を制御周期の残り時間と比較する場合、図14の変動表示関連処理ではS332,S334の処理(コマンド個数カウンタが所定数を超えるときに分割送信フラグをオンとする処理)を省略して、図41に示す変形例の変動パターンコマンド送信処理を実行する。この図41では、図21の変動パターンコマンド送信処理と同じ処理には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
変形例の変動パターンコマンド送信処理では、S402でタイマが値0であると判定すると、今回の制御周期の残り時間を算出する(S403a)。ここで、本変形例では、S110の入力判定処理の開始からS160のエラー処理の終了までの時間を計測するものとした。そして、上述したように、制御周期は4msecとしたから、S403aの残り時間の算出は、制御周期の4msecから今回の計測時間を減じることにより行われる。次に、送信対象の変動コマンドの送信時間を推定する(S403b)。ここでは、変動コマンドのコマンド数(1〜6個)と送信に要する時間との関係を予め調べてROM70bに記憶しておき、その関係を参照して、現在の送信対象の変動コマンドのコマンド数から送信時間を導出することにより推定するものとした。続いて、S404で分割送信フラグがオンであるか否かを判定し、オンではなくオフであると判定したときには、S403bで推定した送信時間がS403aで算出した残り時間未満であるか否かを判定する(S405a)。送信時間が残り時間未満であれば、今回の制御周期の残り時間内で送信対象のすべての変動コマンドを送信できると判断し、S406〜S412で変動コマンドを一括送信して、変動パターンコマンド送信処理を終了する。
一方、送信時間が残り時間未満ではない、即ち、送信時間が残り時間を超えると判定したときには、分割送信フラグをオンにして(S405b)、残り時間内で変動コマンドを送信可能であるか否かを判定する(S405c)。ここでは、上述したコマンド数と送信に要する時間との関係を参照して、現在の制御周期の残り時間が、1つの変動コマンドの送信に要する時間を上回っていれば、変動コマンドを送信可能であると判定するものとした。S405cで送信可能ではないと判定したときには、そのまま変動パターンコマンド送信処理を一旦終了する。
また、S405cで送信可能であると判定したときには、送信可能な変動コマンドの末尾に、それを示すオンの分割送信フラグ(分割送信の区切りを示す情報)を付すことにより送信設定する分割設定を行う(S414a)。このS414aでは、コマンド数と送信に要する時間との関係を参照して、現在の制御周期の残り時間で送信可能な最大のコマンド数を分割設定するものとした。変動コマンドを分割設定すると、S416〜420で変動コマンドを分割送信し、コマンド個数カウンタから送信したコマンド数を減算して(S422a)、S424以降の処理を実行して、変動パターンコマンド送信処理を一旦終了する。
変動コマンド(図柄変動開始時コマンド)を送信した後に、次回以降の制御周期で再び変動パターンコマンド送信処理が実行されてS402でタイマが値0になったと判定すると、先頭の変動コマンドに対応する演出の実行が終了したと判断して、S403a,403bで制御周期の残り時間を算出すると共に送信対象の残りの変動コマンドの送信時間を推定する。続くS404では分割送信フラグはオンと判定するから、S405cで残り時間内で変動コマンドを送信可能であるか否かを判定し、送信可能であれば、S414a〜S428で変動コマンドを分割送信し、送信可能でなければ、そのまま変動パターンコマンド送信処理を一旦終了する。このように、制御周期の残り時間に応じて、変動コマンドを一括送信するか分割送信するかを切り替えるから、送信処理が他の制御に影響を及ぼすのを確実に防止しつつ制御周期の残り時間を効率よく利用することができるから、変動コマンドの送信処理をより適切に行うことができる。
第1実施例や第2実施例のパチンコ機10では、変動コマンドを分割送信する際にはタイマが値0になったときに送信するもの、即ち先に送信した変動コマンドに対応する演出時間が経過したときに送信するものとしたが、これに限られるものではない。例えば、連続する制御周期で送信するものとしてもよいし、所定周期の間を空けて送信するものとしてもよい。この所定周期の間は、例えば、1回おきの制御周期での送信など同じ制御周期数の一定の間隔としてもよいし、1回おきの制御周期での送信と2回おきの制御周期での送信を繰り返すなど、異なる制御周期数の一定の間隔としてもよいし、あるいは、一定の間隔ではなく可変の間隔としてもよい。
第1実施例や第2実施例のパチンコ機10では、変動コマンドの分割送信として1つずつの変動コマンドに分けて送信するものとしたが、これに限られず、複数ずつ(例えば、2つや3つ)の変動コマンドに分けて送信するものなどとしてもよい。あるいは、1つの変動コマンドを送信した後は、2つの変動コマンドを送信するなど、異なる数に分けて変動コマンドを送信するものとしてもよい。
第1実施例や第2実施例のパチンコ機10では、変動コマンド(変動パターンコマンド)を対象として一括送信か分割送信をするものとしたが、変動コマンドに加えて、他の如何なるコマンドを対象として一括送信か分割送信をするものとしてもよい。例えば、第1特別図柄保留発生時コマンドやそれに含まれる特定保留コマンドを対象としてもよいし、第2特別図柄保留発生時コマンドやそれに含まれる特定保留コマンドを対象としてもよい。あるいは、図25のエラー処理でサブ制御基板90に送信される各コマンド(枠開放異常コマンドや磁気異常コマンド,電波異常コマンド,枠開放正常コマンド,磁気正常コマンド,電波正常コマンド)を対象としてもよい。なお、説明は省略したが、これらのコマンド以外にエラー処理に用いられるコマンドを対象としてもよく、例えば、所定時間内に同一の入球口(第1始動口36や第2始動口38など)に連続して入球したこと(磁石により操作されたおそれがあること)を検知したときの異常を通知するコマンドなどを対象としてもよい。あるいは、例えば、普通図柄の変動に応じて演出表示装置34で変動演出をしたり普通図柄の当りを予告するために演出表示装置34で予告演出をしたりする場合には、その変動演出の変動パターンを指示するためのコマンドを対象としてもよいし、その予告演出を指示するためのコマンドを対象としてもよい。さらに、コマンドの送信を先送りにするものを加えてもよく、その場合、払出制御基板80に送信する賞球数指定コマンドを先送りの対象にするものなどとしてもよい。
第1実施例や第2実施例のパチンコ機10では、各変動演出の区切りを単位として変動コマンドや演出パターンが定められているものとしたが、これに限られず、さらに細かい区切りを単位として変動コマンドや演出パターンを定めるものとしてもよい。例えば、各変動を前半と後半とに分けて変動コマンドや演出パターンを定めるものなどとしてもよい。この場合、送信すべきコマンド数はさらに増えることになるが、特定保留が発生したとき(予告フラグがオンになったとき)に、既に前半の変動コマンドを送信していても後半の変動コマンドを予告演出用に差し替えて送信したり、既に前半の変動演出に対応する演出パターンを実行していても後半の変動演出に対応する演出パターンを予告演出用に差し替えて実行したりすることができる。即ち、変動コマンドを差し替えたり演出パターンを差し替えたりすることができる機会をさらに増やすことができるから、特定保留の発生を直ちに演出に反映できる可能性をより高めることができる。
第1実施例や第2実施例のパチンコ機10では、主制御基板70とサブ制御基板90として、メイン制御手段とサブ制御手段とが別基板で構成されるものとして記載したが、これに限られず、同一基板上にメイン制御手段とサブ制御手段とが構成されるものとしてもよい。
また、上記実施例では、遊技ホールの島設備から供給される遊技球を「貸球」や「賞球」として利用し、遊技盤に設けられた各種入賞口(第1始動口、第2始動口、大入賞口等)への遊技球の入球に応じて所定数の賞球を払い出すことによって、遊技上の利益(遊技価値)を遊技者に付与する遊技機(パチンコ機)に本発明を適用した例を説明したが、「賞球の払い出し」とは異なる形態で遊技上の利益を付与するタイプの遊技機にも、本発明を適用することができる。例えば、各種入賞口への遊技球の入球が発生することで、その入球に対応する利益の量(遊技価値の大きさ)を示すデータを主制御部あるいは払出制御部のRAM(遊技価値管理制御部)に記憶することによって、遊技上の利益(遊技価値)を遊技者に付与するタイプの遊技機にも本発明を適用することができ、この場合にも、上記実施例と同様の効果を得ることができる。もちろん、遊技価値管理制御部が管理する遊技価値として、遊技の結果得られた遊技価値と、現金等を投入することで得られた遊技価値とを別に管理(別途に表示)してもよいし、一緒に管理(加減算して表示)してもよい(別表示と加減算表示の両方をしてもよい)。なお、遊技上の利益(遊技価値)をデータ化して遊技者に付与するタイプの遊技機としては、遊技機に内蔵された複数個の遊技球を循環させて使用する遊技機、具体的には、各種入賞口あるいはアウト口を経て遊技盤の裏面に排出された遊技球を、再度、発射位置に戻して発射するように構成された遊技機(いわゆる封入式遊技機)を例示できる。
以上、本発明の実施の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。