JP2012070680A - 製麹基材及びその製造方法、並びにそれを用いた発酵調味料の製造方法 - Google Patents

製麹基材及びその製造方法、並びにそれを用いた発酵調味料の製造方法 Download PDF

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【課題】 乳製品(乳又は乳加工処理物)を用い発酵調味料を製造するための製麹基材及びその製造方法を提供し、それを用いた発酵調味料の製造方法を提供すること。
【解決手段】 本発明の製麹基材は、乳及び/又は乳加工処理物を、ラクターゼの存在下に凝固剤により凝固させてなる。また、本発明の発酵調味料の製造方法は、本発明の製麹基材に麹菌を培養して製麹して麹を得る、製麹工程;製麹工程において得られた麹と、乳及び/又は乳加工処理物とを混合し、麹混合材料を得る麹混合工程;及びラクターゼの存在下に麹混合材料を醸造発酵する醸造発酵工程を含む。
【選択図】 なし

Description

本発明は、乳又は乳加工品処理物を用いて発酵調味料を製造するための製麹基材及びその製造方法、並びにそれを用いた発酵調味料の製造方法に関する。
日本国内では、伝統的な発酵食品として、麹菌や酵母を利用することによって特徴的な風味を付与した独特の食文化が作り上げられている。その中でも、味噌や醤油が代表的な醸造調味料であり、植物性の原料を用いた代表的な発酵食品として全国各地において多種多様なものが製造されている。
味噌とは、大豆若しくは大豆及び米、麦等の穀類を蒸煮したものに、米、麦等の穀類を蒸煮して麹菌を培養したものを加えたもの又は大豆を蒸煮して麹菌を培養したもの若しくはこれに米、麦等の穀類を蒸煮したものを加えたものに食塩を混合し、これを発酵させ、及び熟成させた半固体状のものと定義され、醤油は、大豆若しくは大豆及び麦、米等の穀類(小麦グルテンを加えたものを含む)を蒸煮その他の方法で処理して、麹菌を培養したもの(醤油麹)又は醤油麹に米を蒸し、若しくは膨化したもの若しくはこれを麹菌により糖化したものを加えたものに食塩水を加えたものを発酵させ、及び熟成させて得られた清澄な液体調味料と定義されている。
なお、味噌は、ガンの予防、血中コレステロールの上昇抑制、抗酸化作用や血栓防止効果のような機能を有することが知られている(例えば、非特許文献1)。また、レニン−アンジオテンシン系血圧制御系におけるアンジオテンシン変換酵素(ACE)の活性を阻害することにより血圧上昇を抑制するACE阻害剤の存在が知られており、味噌には、このようなACE阻害効果があることが認められている。しかしながら、味噌のACE阻害効果はそれほど高くはないものである。更に、味噌は上述したように大豆や穀類を原料としているため、大豆アレルギーや穀物アレルギーを有する人は食することができない。
一方、牛乳やヨーグルト、チーズ等の乳製品は栄養バランスに優れた良質の食品として消費者に広く認知されているが、近年においては消費者の牛乳、乳製品離れが深刻化しており、消費者に提案可能な新規な乳製品の開発が望まれている。従来より知られている乳製品としては、チーズやヨーグルト等のカビや乳酸菌を使用したものが主流である。上述したような、味噌や醤油のように麹菌を用いて乳製品を加工することはあまり実施されていなかった。また、従来より味噌や醤油を製造する際に用いられる方法は、穀物を原料として製造することを想定しており、乳タンパク質を含む乳製品を用いることを想定していない。このため、従来より穀物や大豆を原料として味噌や醤油を製造する方法を、そのまま乳製品を原料として用いることに適用することはできなかった。
麹菌を用いて乳製品を加工したものとして、特許文献1には、豆類蒸煮物及び/又は穀類蒸煮物に麹菌を培養して製麹された麹と、乳及び/又は乳加工処理物とを含む麹混合材料を用いて製造した調味料が開示されている。また、特許文献2には、豆類蒸煮物及び/又は穀類蒸煮物に麹菌を培養して製麹された麹と、乳及び/又は乳加工処理物とを含む麹混合材料を用いて製造したチーズ様食品が開示されている。更に、特許文献3には、味噌原料の一部が乳及び/又は乳加工処理物により代替された醸造された、醸造物を含む味噌様食品が開示されている。
特開2006−296421号公報 特開2006−296422号公報 WO2005/074712 味噌・醤油入門、1994年 日本食料新聞発行
上記特許文献1〜3には、いずれにも、乳製品を材料として用いて味噌などの食品を製造することが開示されている。しかし、いずれも穀類や豆類を主原料とし、原料の一部として乳製品を含むものであり、乳製品のみから製造されるものではない。また、原料に穀類や豆類を含むため、大豆アレルギー、穀物アレルギーの人が食することができないという問題を解消するものではなかった。また、更にACE阻害効果の高い食品が望まれている。
従って、本発明は、乳製品(乳又は乳加工処理物)を用い発酵調味料を製造するための製麹基材及びその製造方法を提供すると共に、それを用いた発酵調味料の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明者らは鋭意検討した結果、乳及び/又は乳加工処理物をラクターゼの存在下に凝固剤により凝固させることにより、上記課題を解決し得るという知見を得た。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、乳及び/又は乳加工処理物を、ラクターゼの存在下に凝固剤により凝固させてなる、製麹基材を提供するものである。
製麹基材は、10mm以下の大きさに細断されていることが好ましい。
乳及び又は乳加工処理物としては脱脂乳、脱脂濃縮乳又は脱脂粉乳が挙げられる。
凝固剤としては、トランスグルタミナーゼ又はグルコノデルタラクトンが挙げられる。
また、本発明は、乳及び/又は乳加工処理物を凝固剤により凝固させる工程;及び乳及び/又は乳加工処理物をラクターゼ処理する工程を含む、製麹基材の製造方法を提供する。
また、本発明は、乳及び/又は乳加工処理物を直接利用するか、又は水に溶解することによって水分含有量が40〜60%の乳及び/又は乳加工処理物水溶液を得る工程;乳及び/又は乳加工処理物100重量部に対して0.1〜2.0重量部の凝固剤を、乳及び/又は乳加工処理物水溶液に添加する工程;上記乳及び/又は乳加工処理物水溶液を5〜85℃の温度で0.5〜24時間反応させ、乳及び/又は乳加工処理物を凝固させる工程を含み、更に乳及び/又は乳加工処理物をラクターゼで処理する工程を含む、製麹基材の製造方法を提供する。
上記製麹基材の製造方法においては、乳及び/又は乳加工処理物を凝固させた後、10mm以下の大きさに細断することが好ましい。
乳及び/又は乳加工処理物としては脱脂乳、脱脂濃縮乳又は脱脂粉乳が挙げられる。
凝固剤としてはトランスグルタミナーゼ又はグルコノデルタラクトンが挙げられる。
また、本発明は、本発明の製麹基材に麹菌を培養して製麹して麹を得る、製麹工程;
製麹工程において得られた麹と、乳及び/又は乳加工処理物とを混合し、麹混合材料を得る麹混合工程;及びラクターゼの存在下に麹混合材料を醸造発酵する醸造発酵工程を含むことを特徴とする発酵調味料の製造方法を提供する。
前記麹混合材料の水分含有量は、麹混合材料の重量に対し、40〜60重量%であることが好ましい。乳及び/又は乳加工処理物としては脱脂乳、脱脂濃縮乳、脱脂粉乳又はホエーパウダーが挙げられる。
醸造発酵工程は、5〜40℃の温度で7〜60日間実施されることが好ましい。
本発明によれば、乳及び/又は乳加工処理物を用いて発酵調味料を製造するための製麹基材が提供され、それを用いて、乳及び/又は乳加工処理物から発酵調味料を製造することができる。このため、穀類アレルギーや大豆アレルギーの人も食することができる発酵調味料が得られる。また、本発明の発酵調味料の製造方法によれば、アンジオテンシン変換酵素の含有量の高い発酵調味料を得ることができる。
本発明の製麹基材の写真である。 本発明の製麹基材を切断したものの写真である。 本発明で得られる乳麹の写真である。 図4は、得られた乳ペーストの写真である。
以下、まず本発明の製麹基材について説明する。
本発明の製麹基材は、乳及び/又は乳加工処理物を、ラクターゼの存在下に凝固剤により凝固させてなるものである。
本発明において用いられる乳としては、食用又は食品材として利用することのできる、哺乳動物由来のものであれば、特に制限なく用いることができ、例えば、牛、山羊、ヒツジ等の動物由来の乳を用いることができる。この中でも牛由来の乳が好ましい。乳加工処理物としては、上記哺乳動物由来の乳を加工処理したものが挙げられ、例えば、全(脂)粉乳、脱脂乳、部分脱脂乳、全脂濃縮乳、脱脂濃縮乳、発酵乳、ホエイ、タンパク質濃縮ホエイ、脱脂粉乳、部分脱脂粉乳、濃縮乳粉乳、発酵乳粉乳、濃縮ホエイ、ホエイパウダー、タンパク質濃縮ホエイパウダー等が挙げられる。上記乳及び/又は乳加工処理物は単独で用いてもよく、又は2種以上を混合して用いてもよい。発酵・醸造の際の麹との相性や栄養のバランス等を考慮した場合、脱脂乳、脱脂濃縮乳、脱脂粉乳、ホエイパウダーを用いることが好ましい。
本発明の製麹基材は、乳及び/又は乳加工処理物を、ラクターゼの存在下に凝固剤により凝固させたものである。本発明の製麹基材は、後述するように、発酵調味料の製造方法に用いることができるが、従来、乳及び/又は乳加工処理物を原料として用いて発酵調味料を製造する場合、その食感がざらついたものとなる場合があるが、本発明においては、乳及び/又は乳加工処理物をラクターゼの存在下に凝固剤により凝固させており、得られる発酵調味料の食感が良好なものとなる。ラクターゼの使用量等については後述する。
本発明の製麹基材は、好ましくは10mm以下、更に好ましくは5mm以下の大きさ、又は5〜10mm程度、又は2〜5mmに細断されている。このような大きさに細断することにより、発酵調味料を製造する際に原料と混合されやすくなる。形状は、球状、円柱状、立方体、直方体など、どのような形状であてもよい。なお、本明細書において、10mm以下に細断されているとは、最大寸法が10mm以下の大きさに切断されていることをいう。
本発明の製麹基材は、凝固剤により凝固されている。凝固剤としては、例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、トランスグルタミナーゼ、グルコノデルタラクトン、食酢、クエン酸、食塩等が挙げられる。上記凝固剤の中でも、本発明においては、トランスグルタミナーゼ及びグルコノデルタラクトンが好ましく用いられる。使用量等については後述する。
次に、本発明の製麹基材の製造方法について説明する。
本発明の製麹基材の製造方法は、乳及び/又は乳加工処理物を凝固剤により凝固させる工程;及び 乳及び/又は乳加工処理物をラクターゼ処理する工程を含む。
具体的には、本発明の製麹基材の製造方法は、乳及び/又は乳加工処理物を直接利用するか、又は水に溶解することによって水分含有量が40〜60%の乳及び/又は乳加工処理物水溶液を得る工程;
乳及び/又は乳加工処理物100重量部に対して0.1〜2.0重量部の凝固剤を、乳及び/又は乳加工処理物水溶液に添加する工程;
上記乳及び/又は乳加工処理物水溶液を5〜85℃の温度で0.5〜24時間反応させ、乳及び/又は乳加工処理物を凝固させる工程を含み、
更に乳及び/又は乳加工処理物をラクターゼで処理する工程を含む。
本発明の製麹基材の製造方法において用いられる乳及び/又は乳加工処理物としては上述したものを用いることができる。本発明の製麹基材の製造方法においては、まず、乳及び/又は乳加工処理物を、直接利用するか、又は水に溶解することによって水分含有量が40〜60%の乳及び/又は乳加工処理物水溶液を得る。ここで、直接利用するとは、乳及び/又は乳加工処理物の水分含有量が40〜60%である場合には、水を加えることなく、そのまま利用することを意味する。水分乳及び/又は乳加工処理物の水分含有量が40%未満の場合には、水を加えて水分含有量を40〜60%とする。乳及び/又は乳加工処理物の水分含有量が40%未満であると、混合した際ダマになりやすくうまく混ぜ合わせる事ができない、一方、水分含有量が60%を超えると混合はしやすいが麹を発酵させる基材としては水分が多く良い麹に仕上げる事ができない。なお、本発明においては、水に代え、例えば、pHが7.0付近の緩衝液を用いてもよい。
次いで、上述のようにして得られた乳及び/又は乳加工処理物の水溶液に、乳及び/又は乳加工処理物100重量部に対して0.1〜2.0重量部、好ましくは0.5重量部の凝固剤を添加する。凝固剤としては、例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、トランスグルタミナーゼ、グルコノデルタラクトン、食酢、クエン酸、食塩等が挙げられる。上記凝固剤の中でも、本発明においては、トランスグルタミナーゼ及びグルコノデルタラクトンが好ましく用いられる。凝固剤は、固形(粉末)のまま添加してもよく、若しくは水又は適切な緩衝液に溶解したものを添加してもよい。添加量が、乳及び/又は乳加工処理物100重量部に対して0.1重量部未満であると、乳及び/又は乳加工処理物が凝固しなくなり、一方、2.0重量部を超えると、トランスグルタミナーゼでは特に問題は無いがグルコノデルタラクトンではpHが低下し、その後のペーストの味に影響を与える。
次いで、上記乳及び/又は乳加工処理物の水溶液を5〜85℃の温度で0.5〜24時間反応させ、乳及び/又は乳加工処理物を凝固させる。この加温工程は、凝固剤を添加した後に、乳及び/又は乳加工処理物が凝固することを補助する役割を果たす。また、凝固剤として、特にトランスグルタミナーゼを用いる場合に、その酵素活性を発揮させるのに重要である。反応温度は好ましくは40〜55℃であり、反応時間は、好ましくは12〜24時間である。また、グルコノデルタラクトンおいては加温工程を行う事で凝固するため重要な工程となる。反応温度は好ましくは70〜85℃で、反応時間は0.5〜1.5時間である。なお、乳及び/又は乳加工処理物を凝固させる際には、熱が全体に伝わりやすくするように、乳及び/又は乳加工処理物の水溶液を広い面積の容器等に入れることにより、シート状に凝固させることが好ましい。このようにシート状にすることにより、凝固に必要な時間を短縮することができる。このような効果を発揮するため、シート状に固める際には、その厚みを30mm以下とすることが好ましく、20mm以下とすることが更に好ましい。
なお、本発明の製麹基材の製造方法においては、更に乳及び/又は乳加工処理物をラクターゼで処理する工程を含む。乳及び/又は乳加工処理物をラクターゼで処理する工程は、具体的には、乳及び/又は乳加工処理物の水溶液にラクターゼを添加することにより実施される。ラクターゼの添加は、凝固剤の添加の前であっても、後であってもよく、又は凝固剤と一緒にラクターゼを添加してもよい。
ラクターゼの添加量は、乳及び/又は乳加工処理物100重量部に対し、0.1〜2.0重量部、好ましくは0.13〜0.25重量部である。ラクターゼの添加量が、乳及び/又は乳加工処理物100重量部に対して0.1重量部未満であると、得られる製麹基材を及び後述する発酵調味料の食感のざらつき感を防止する効果が得られない場合がある。一方、2.0重量部を超えて使用しても含まれる乳糖の分解には差し支えない。
ラクターゼを、凝固剤を添加する前に加えるか、又は凝固剤と同時に加える場合には、乳及び/又は乳加工処理物の水溶液が、上述したような加温反応に供されるので、その温度でラクターゼが活性化し、乳及び/又は乳加工処理物の水溶液中に含まれている乳糖が分解され、それにより、製麹基材及び後述する発酵調味料の製造方法により得られる発酵調味料の食感のざらつきが防止し得るものと思われる。また、ラクターゼを、凝固剤の添加後に加える場合は、5〜45℃の温度で加温する前に加えてもよく、又は加温後に加えてもよい。加温前にラクターゼを加える場合は、反応温度によってラクターゼが活性化される。本発明の製麹基材の製造方法においては、ラクターゼを添加するのは、上述した反応温度で反応させた後に実施してもよい。この場合には、乳及び/又は乳加工処理の水溶液を再度、5〜45℃、好ましくは 40℃の温度にし、ラクターゼを活性化させることが好ましい。
本発明の製麹基材の製造方法においては、上述の工程の後に、例えば、75℃を超える温度で、乳及び/又は乳加工処理物水溶液を処理することにより、ラクターゼと、凝固剤としてトランスグルタミナーゼを加える場合には、それらの酵素が不活性化するので、このような加温処理を行うことが好ましい。加温処理は、75℃を超える温度で、かつ85℃以下の温度で0.5〜1.5時間程度実施すればよい。
本発明の製麹基材の製造方法においては、凝固して得られた製麹基材を、10mm以下、、更に好ましくは5mm以下の大きさ、又は5〜10mm程度、又は2〜5mmの大きさに細断されている。このような大きさに細断することにより、発酵調味料を製造する際に原料と混合されやすくなる。形状は、上述したのと同様、どのようなものであってもよい。製麹基材を上記の大きさに切断する方法としては、特に制限はないが、例えば、ミンサーを用いることにより実施することができる。
次に、本発明の発酵調味料の製造方法について説明する。
本発明の発酵調味料の製造方法は、本発明の製麹基材に麹菌を培養して製麹して麹を得る、製麹工程;
製麹工程において得られた麹と、乳及び/又は乳加工処理物とを混合し、麹混合材料を得る麹混合工程;及び
ラクターゼの存在下に麹混合材料を醸造発酵する醸造発酵工程を含む。
本発明の発酵調味料の製造方法においては、まず、上述したような本発明の製麹基材に麹菌を培養して製麹して麹を得る(製麹工程)。
なお、本明細書において、発酵調味料とは、味噌、醤油、魚醤、食酢、酒類(清酒、ワイン、味醂等)、調理用酒、味醂風調味料等に代表されるものであり、食品製造、調理の分野においてその食品・料理 の味付け、味の調和、テクスチャーの保持改善、保存性の改善、不快臭の改善等その目的に応じて広く利用されているものを意味する。本発明の発酵調味料の製造方法においては、味噌様のペースト状の発酵調味料(乳ペースト)、醤油様の液状の発酵調味料(乳醤)を得ることができる。
本発明において用いられる麹菌としては、食品に適用することが可能であり、アミラーゼ、プロテアーゼ、プロテイナーゼ、グルタミナーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ等の酵素を産生する麹菌であれば、特に制限なく用いることができ、一般的に使用されているアスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス・ソーヤ(Aspergillus sojae)のような麹菌等を用いることができ、得ようとする発酵調味料の種類や品質等に応じて菌株を選択すればよい。例えば、味噌様の発酵調味料を得ようとする場合には、アスペルギルス・オリゼを、醤油様の発酵調味料を得ようとする場合には、アスペルギルス・ソーヤを用いることが好ましい。一般に市販されている味噌麹や醤油麹を用いることもできる。
製麹工程においては、上述した、本発明の製麹基材に、上記のような麹菌を接種して培養し、麹を得る。このようにして得た麹を、本明細書において、乳麹ともいう。製麹工程においては、このように、麹菌を接種して培養するので、10mm以下、更に好ましくは5mm以下の大きさ、又は5〜10mm程度、又は2〜5mmに細断されているものを用いることが好ましい。
製麹工程においては、麹菌を製麹基材に接種した後、発酵槽で25〜40℃、好ましくは35〜38℃の温度で、(好ましくは60〜100%の湿度の環境下で)、36〜84時間程度静置することにより、製麹を得る。製麹工程においては、空気(酸素)を混入させることにより、麹菌の繁殖を促進させることができる。従って、撹拌等を行って実施してもよい。また、同様の目的で製麹工程を複数回行ってもよい。すなわち、製麹時間を分割し、一旦発酵槽から取り出し、麹全体に空気(酸素)を供給しムラなく製麹する手入れも有効である。
次いで、上述の製麹工程において得られた麹と、乳及び/又は乳加工処理物とを混合し、麹混合材料を得る。ここで用いられる乳及び/又は乳加工処理物としては、上述したものが用いられる。好ましくは脱脂乳、脱脂濃縮乳、脱脂粉乳、ホエイパウダーである。乳及び/又は乳加工処理物と麹との混合割合は、乳及び/又は乳加工処理物の乾燥重量100重量部に対し、好ましくは麹20〜60重量部、更に好ましくは50〜60重量部である。麹の混合割合が、20重量部未満であると、以下の醸造発酵工程において、醸造発酵が十分でない場合があり、一方、混合割合が 60重量部を超えると 熟成が早く進み、熟成期間が短縮される場合がある。また、麹混合材料中の水分含有量は、麹混合材料の重量に対し、好ましくは40〜50重量%であり、更に好ましくは 44〜47重量%である。水分含有量が40重量%未満であると、ペーストとして固くなりすぎる場合があり、一方、50重量%を超えるとタンパク質の分解が早く進み苦味の強いペーストに仕上がる場合がある。
なお、麹混合材料には、その他、発酵調味料を製造する際に用いられる材料を添加、混合することができる。このような材料としては、例えば、塩材料やアルコール等が挙げられる。塩材料としては、食品に適用可能な塩であれば、特に制限なく用いることができ、例えば、食塩、並塩、天日製塩等の原塩、粉砕塩、焼塩、にがり添加塩、塩化カリウム添加塩、酢酸塩添加塩等の加工塩が挙げられる。このような塩材料は単独で用いてもよく、又は2種以上を混合してもよい。このような塩材料を麹混合材料に加えると、以下の醸造発酵工程において、異常発酵、変敗等の原因となる雑菌が繁殖することを抑制することができる。塩材料を加える場合、その添加量は、麹混合材料100重量部に対し、4〜15重量部程度が好ましい。添加量が4重量部未満であると、雑菌繁殖抑制効果が不十分となる場合があり、一方、15重量部を超えて添加すると、得られる発酵調味料の塩味が強すぎる場合がある。
また、アルコールとしては、例えば、エタノール含有液等が挙げられ、食品に適用可能なものであれば、特に制限なく用いることがでいる。例えば、ウオッカ、焼酎、ブランデー等の蒸留酒、清酒、ワイン等の醸造酒が挙げられる。このようなアルコールを加えることにより、塩材料と同様、以下の醸造発酵工程において、異常発酵、変敗等の原因となる雑菌が繁殖することを抑制することができる。アルコールを加える場合、その添加量は、麹混合材料100重量部に対し、1.0〜3.0重量部程度が好ましい。添加量が1.0重量部未満であると、雑菌繁殖抑制効果が不十分となる場合があり、一方、3.0重量部を超えて添加すると、得られる発酵調味料にアルコール臭が残留する場合がある。
本発明の発酵調味料の製造方法においては、上述のようにして得られた麹混合材料を醸
造発酵することにより、発酵調味料を得る。本発明において、醸造発酵工程は、5〜40℃、好ましくは20〜30℃の温度で7〜200日間、好ましくは 14〜60日間実施する。このような醸造発酵工程により、味噌様のペースト状の発酵調味料(乳ペースト)、醤油様の液状の発酵調味料(乳醤)を得ることができる。なお、この醸造発酵工程においては、必要に応じて耐塩性酵母を添加することができる。耐塩性酵母としては、例えば、チゴサッカロミセス・ルーキシー(Zygosaccharomyces rouxii)等が挙げられる。
本発明の発酵調味料の製造方法においては、例えば、酵母の添加の有無、塩分濃度、熟成期間等を変えることにより、種々の製品を製造することができる。例えば、酵母を使用することによって、味噌様のフレーバーを強くすることができ、酵母を使用せずに塩分濃度を高めにすることにより、乳製品の特徴を残し、クリームの風味を保持することができる。また、塩分濃度を高くすることにより、色調は茶褐色が薄くなる。また、水分含有量を高くすることによって、より液状に近いものが得られ、水分含有量を低くすることによって、よりクリーム状のものが得られる。
また、本発明の発酵調味料の製造方法により得られる発酵調味料は、そのアンジオテンシン変換酵素(ACE)含有量が高いものであり、従って、高血圧予防効果等が期待されるものである。また、本発明の発酵調味料の製造方法において用いられる乳麹には、大豆や穀類を原料とする麹と比較し、繊維質が含まれないため、大豆や穀類を原料とする麹を用いる場合に発生する醤油粕がほとんど発生しない。更に、本発明の発酵調味料の製造方法においては、穀類や大豆を原料として用いていないので、穀物や大豆のアレルギーを抱える人にも食することができるものであり、味噌や醤油の代替物として用いることが可能である。
本発明の発酵調味料の製造方法においては、乳及び/又は乳加工処理物から発酵調味料を得ているので、その原料の性質から、低脂肪、高タンパク質、高カルシウムの調味料を得ることができる。また、乳タンパク質は麹に分解されやすいので、アミノ酸含量が高く、また早熟傾向が見られる。また、乳麹には、穀物や大豆の麹と異なり、繊維質が含まれず、原料とともに分解されるので、醤油粕等の副産物が少ないものとなる。また、ACE阻害活性を示す機能性ペプチドが多量に含まれるため、血圧降下作用が期待される。更に、穀類、大豆を用いないので、これらのアレルギーを有する人にも利用可能である。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。なお、本発明の範囲は、かかる実施例に限定されないことはいうまでもない。
実施例1
脱脂粉乳100g及び水100g(配合1)、脱脂粉乳100g及び水85g(配合2)、並びに脱脂粉乳100g及び水75g(配合3)それぞれを混合溶解した。得られた溶液にトランスグルタミナーゼ(商品名:アクティバTG−K(味の素株式会社製))0.5%及びラクターゼ(GODO−YNL (合同酒精株式会社製))0.13%を加えてよく撹拌した後、溶液を、溶液の深さが20mm程度になるように容器に流し入れ、40℃で2時間、45℃の温度で18時間加温を行い、溶液を凝固させた。次いで、85℃で30分間の加温を行い、酵素を失活させ、製麹基材を得た。次いで、得られた製麹基材を2〜5mm角に切断した。
得られた製麹基材の写真を図1に、2〜5mm角に切断したものの写真を図2に示す。
得られた製麹基材について、水分量は及び水分活性は以下の方法に従い測定した。その結果を表1に示す。
水分は、乳製品試験法常圧加熱乾燥法に従って測定した。
水分活性は水分活性測定装置HUMIDAT-TH-2(ノバシーナ社)を用いて測定した。
表1に示す結果から明らかなように、配合1、配合2及び配合3のいずれにおいても、得られた製麹基材は、麹菌の繁殖に十分な水分量及び活性水分量を示し、これらが、発酵調味料を製造するための基材として用いることが可能であることがわかった。ただし、水分活性が0.96を超える基材は微生物による腐敗が起きやすく望ましくない。
実施例2
実施例1の配合3で得られた製麹基材を用いて乳麹を調製した。実施例1の配合3で得られた製麹基材に麹菌を接種し、35℃で72時間、製麹を行い、途中24時間目に発酵酵槽から取り出し十分に空気を供給する手入れを行い乳麹を得た。得られた乳麹の写真を図3に示す。なお、麹菌としては、Aspergillus oryzae及びAspergillus sojaeを用いた。得られた乳麹について、アミラーゼ活性、プロテアーゼ活性(酸性、中性及びアルカリ性)を測定した。なお、比較として、通常使用される米麹を同様に製麹しアミラーゼ活性及びプロテアーゼ活性を測定した。すなわち、蒸し米を基材に、種麹としてAspergillus oryzaeを用いて上述の乳麹と同様の製麹方法によって米麹を得た。結果を表2に示す。
アミラーゼ活性及びプロテアーゼ活性は、以下のようにして測定した。
アミラーゼ活性は基準みそ分析法、麹の分析に従い、ボォールゲムス法によるα―アミラーゼ酵素活性をアミラーゼ活性として測定した。プロテアーゼ活性は基準みそ分析法、麹の分析に従い、pH3.0乳酸緩衝液、pH6.0リン酸緩衝液、pH7.5リン酸緩衝液で抽出した各酵素液のプロテアーゼ酵素活性をそれぞれ酸性プロテアーゼ(pH3.0)中性プロテアーゼ(pH6.0)、アルカリ性プロテアーゼ(pH7.5)として測定した。
表2から明らかなように、乳麹は、従来より用いられている米麹と比較し、酸性プロテアーゼ、中性プロテアーゼ、アルカリ性プロテアーゼは、いずれも同等の活性を示した。これに対し、アミラーゼ活性は、米麹よりも低いものであった。一般にアミラーゼ活性の低い麹を使用した味噌は、糖類が少なくなり呈味性で問題を生じるが、しかし、本発明の発酵調味料の製造方法においては、糖以外の炭水化物を含まない乳及び/又は乳加工処理物を原料として用いていること、ラクターゼを使用することにより乳及び/又は乳加工処理物中のラクトースをグルコース及びガラクトースに分解することにより糖分を供給することで上述のようにして得られた乳麹により十分に目的が達成されると考えられる。
実施例3
実施例2で得られた乳麹(Aspergillus oryzaeを用いて製造したもの、以下、乳麹1ともいう)を用いて乳ペーストを製造した。脱脂粉乳を原料とし、乳麹1を麹添加量が30重量%となるように加え、塩分濃度5、7又は10重量%に調製し、更にZygosaccharomyces rouxiiを添加し、表3に示す麹混合材料を得た。この麹混合材料を、30℃の温度で10、20、30、40及び60日間醸造発酵させ、乳ペーストを得た。10、20、30、40日間醸造発酵して得られた乳ペーストの写真を図4に示す。図4においては、上段が塩分濃度5重量%、中段が塩分濃度7重量%、下段が塩分濃度10重量%に調製したものであり、図の左側から、それぞれ醸造10日、20日、30日、40日行ったものである。図4に示すように、醸造の時間が長くなるほど、色調は白色から茶褐色になり、醸造発酵が進んでいることが示された。
実施例4
実施例3で得られた乳ペースト3(表3)の製造のための麹混合材料にラクターゼを0.13%添加し、麹混合材料を得た。この麹混合材料を、30℃の温度で60日間醸造発酵させ、乳ペースト4を得た。
塩分濃度を10%とし、60日間醸造発酵した乳ペースト4について、遊離アミノ酸量を測定した。遊離アミノ酸量の測定は、衛生試験法、食品成分試験法、飲食物試験法アミノ酸に従って実施した。
なお、比較として丸大豆に実施例2で得られた米麹を利用して同様に試験醸造した塩分10%の米麹味噌の遊離アミノ酸を測定した。結果を表4に示す。表4において、単位はmg/100gである。
表4から乳ペーストは呈味に関与するグルタミン酸や分鎖アミノ酸であるバリン、ロイシン、イソロイシン等の遊離アミノ酸を多く産生することがわかった。また、産生される遊離アミノ酸の濃度は米麹味噌よりは全体的に高く、タンパク質の分解が進んでいることが示された。
60日間醸造発酵して得られた乳ペーストを食したところ、従来の味噌のような食感を有しており、食感がざらつくこともなかった。
乳ペースト4について、一般成分(水分、タンパク質、脂質、炭水化物、灰分、ナトリウム及びカルシウム)の含有量を測定した。各成分の測定は乳製品試験法に従い、水分は常圧加熱乾燥法、タンパク質はセミミクロケルダール法、脂質はレーゼ・ゴットリーブ法、灰分は電気マッフル炉による灰化法、ナトリウムおよびカルシウムは原子吸光法によって実施した。炭水化物は各成分値から算出した。
なお、比較として丸大豆に実施例2で得られた米麹を利用して同様に試験醸造した塩分10%の米麹味噌の一般成分を測定。結果を表5に示す。
表5から明らかなように、得られた乳ペーストは、その水分、炭水化物、灰分及びナトリウム含有量については市販の米麹味噌とほとんど変わらなかった。本発明の発酵調味料の製造方法により得られた乳ペーストはその脂質含有量が低く、高タンパク質で、カルシウム含有量が高いことがわかった。これにより、本発明の発酵調味料の製造方法により得られた乳ペーストが、低脂肪、高タンパク質、高カルシウムの食品であると共に、アミノ酸を豊富に含む食品であることがわかる。
実施例5
実施例2で得られた乳麹(Aspergillus sojaeを用いて製造したもの、以下、乳麹2ともいう)を用いて乳醤を製造した。脱脂粉乳を原料とし、乳麹2を麹添加量が10重量%となるように加え、塩分濃度10、15及び20重量%に調製し、表6に示す麹混合材料を得た。この麹混合材料を30℃の温度で45日間醸造発酵させ、乳醤を得た。得られた乳醤は淡色で大豆を原料とする、従来の醤油よりもタンパク質の分解が速く早熟の傾向が見られた。乳麹は、乳及び/又は乳加工処理物を原料としており、繊維質を含まず、原料の乳及び/又は乳加工処理物と同様に発酵に伴って分解するため、醤油粕がほとんど発生することがない。
得られた乳醤を食したところ、従来の醤油のような味があり、食感がざらつくこともなかった。
実施例6
実施例3で得られた乳ペースト及び実施例5で得られた乳醤について、アンジオテンシンI変換酵素(ACE)に対する50%阻害活性(IC50)の測定を行った。ACEに対するIC50の測定は、Cushman−Cheungの方法(Biochemical Pharmacology、20:pp1637−1648、1971)に従って行った。すなわち、試料30μLに、7.6mM濃度のヒプリル−L−ヒスチジル−L−ロイシン(HHL、ナカライテスク社製)溶液(0.608M塩化ナトリウム含有0.1Mホウ酸Na緩衝液、pH8.5)250μL、及び60mU/mLのウサギ肺由来ACE又はウシ肺由来ACE(いずれも和光純薬工業社製)溶液(0.25Mホウ酸Na緩衝液、pH8.5)100μLを加え、37℃で30分間反応させた後、1N塩酸 250μLを加えて反応を停止した。
次いで、酢酸エチル(ナカライテスク社製、試薬特級)1.5mLを加えてACEの作用により遊離した馬尿酸を振とう抽出し、遠心分離(1200×g、10分)を行い、酢酸エチル層1.0mLを分取して蒸発乾固した(100℃、10分)。乾固した馬尿酸は、lM塩化ナトリウム溶液5mLで溶解し、 228nmにおける吸光度を測定した。
阻害率は、試料の吸光度をS、コントロールとして試料を溶解している緩衝液を加えて同様に反応させたときの吸光度をC、あらかじめACEの反応を停止させてから反応させたときの吸光度をBとして、以下の計算式により求めた。
阻害率(%)=[(C−S)/(C−B)]×100
阻害活性は、上式により求められる阻害率が50%を示す時の阻害物質濃度(反応液1mL当たりのタンパク質量、IC50)で示した。lC50値の上昇はACE阻害活性の低下を示し、IC50値の低下はACE阻害活性の上昇を示す。結果を表5に示す。なお、比較として、市販の味噌2種類について同様にACE阻害活性を測定した。また、実施例3の乳ペーストは、原料中の塩分濃度が5、7及び10%のもの、それぞれについて醸造発酵10、20、30及び40日目の試料を用いた。
表7から明らかなように、実施例3で得られた乳ペーストのIC50は、いずれの塩分濃度の場合であっても、醸造発酵10日目〜40日目までにおいて、市販の味噌に比べて高いACE阻害活性を示すことがわかった。
実施例7
脱脂乳、脱脂粉乳に代え、ホエイパウダー(副有割合35重量%)、塩分濃度を15重量%とした以外は実施例5と同様に操作を行い、乳醤(ホエイ醤と呼ぶ)を得た。
実施例8
実施例5で得られた乳醤及び実施例7で得られたホエイ醤について、実施例6と同様にしてACE阻害活性を測定した。結果を表8に示す。
表8から明らかなように、実施例5で得られた乳醤及び実施例7で得られたホエイ醤は、いずれも、高いACE阻害活性を示すことがわかる。乳醤においては、塩分濃度を15重量%とした場合に特に高いACE阻害活性が認められた。

Claims (13)

  1. 乳及び/又は乳加工処理物を、ラクターゼの存在下に凝固剤により凝固させてなる、製麹基材。
  2. 10mm以下の大きさに細断されている、請求項1記載の製麹基材。
  3. 乳及び/又は乳加工処理物が脱脂乳、脱脂濃縮乳又は脱脂粉乳である、請求項1又は2記載の製麹基材。
  4. 凝固剤がトランスグルタミナーゼ又はグルコノデルタラクトンである、請求項1〜3のいずれか1項記載の製麹基材。
  5. 乳及び/又は乳加工処理物を凝固剤により凝固させる工程;及び
    乳及び/又は乳加工処理物をラクターゼ処理する工程を含む、製麹基材の製造方法。
  6. 乳及び/又は乳加工処理物を直接利用するか、又は水に溶解することによって水分含有量が40〜60%の乳及び/又は乳加工処理物水溶液を得る工程;
    乳及び/又は乳加工処理物100重量部に対して0.1〜2.0重量部の凝固剤を、乳及び/又は乳加工処理物水溶液に添加する工程;
    上記乳及び/又は乳加工処理物水溶液を5〜85℃の温度で0.5〜24時間反応させ、乳及び/又は乳加工処理物を凝固させる工程を含み、
    更に乳及び/又は乳加工処理物をラクターゼで処理する工程を含む、製麹基材の製造方法。
  7. 乳及び/又は乳加工処理物を凝固させた後、10mm以下の大きさに細断することを含む、請求項5又は6記載の製麹基材。
  8. 乳及び/又は乳加工処理物が脱脂乳、脱脂濃縮乳又は脱脂粉乳である、請求項5〜7のいずれか1項記載の製麹基材の製造方法。
  9. 凝固剤がトランスグルタミナーゼ又はグルコノデルタラクトンである、請求項5〜8のいずれか1項記載の製麹基材の製造方法。
  10. 請求項1〜4のいずれか1項記載の製麹基材に麹菌を培養して製麹して麹を得る、製麹工程;
    製麹工程において得られた麹と、乳及び/又は乳加工処理物とを混合し、麹混合材料を得る麹混合工程;及び麹混合材料を醸造発酵する醸造発酵工程
    を含むことを特徴とする発酵調味料の製造方法。
  11. 前記麹混合材料の水分含有量が、麹混合材料の重量に対し、40〜60重量%である、請求項10記載の発酵調味料の製造方法。
  12. 乳及び/又は乳加工処理物が脱脂乳、脱脂濃縮乳、脱脂粉乳又はホエーパウダーである、請求項10又は11記載の発酵調味料の製造方法。
  13. 醸造発酵工程が、5〜40℃の温度で7〜200日間実施される、請求項10〜12のいずれか1項記載の発酵調味料の製造方法。




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