JP2003134997A - チーズカードの製造方法 - Google Patents

チーズカードの製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】乳タンパク質にトランスグルタミナーゼが反応
することによる凝乳酵素の反応阻害を回避でき、収率の
向上したチーズカードの製造方法を提供すること。 【解決手段】原料乳を乳タンパク質が凝乳酵素の作用に
よっても凝固の起きない低温下に保持し、その状態でこ
れに凝乳酵素を添加して凝乳酵素を作用させた後、トラ
ンスグルタミナーゼを添加し、昇温してトランスグルタ
ミナーゼを作用させることにより、または前記低温下に
凝乳酵素とトランスグルタミナーゼを同時に添加し、一
定時間この温度に保持して主として凝乳酵素を作用さ
せ、次いで昇温して主としてトランスグルタミナーゼを
作用させることにより凝乳させ、凝固した乳をカッティ
ングし、ホエー分離を経てチーズカードを得る方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、チーズカードの製
造方法に関する。より詳しくは、凝乳酵素による原料乳
に対する酵素作用の発現を低温下で行うことと、トラン
スグルタミナーゼ(以下、TGと略記することがある)
の酵素作用を組み合わせて活用することによりチーズカ
ードの収率を向上させる方法に関する。また、本発明
は、このようにして得られたチーズカードを使用して製
造されるチーズに関する。
【0002】
【従来の技術】FAO専門委員会によれば、「チーズ」
とは、乳、クリーム、脱脂乳または部分脱脂乳、バター
ミルクまたはこれらの製品の一部または全部を組み合わ
せて凝固させた後、ホエーを排出して得られる新鮮物ま
たは熟成品と定義されている(「乳製品製造I」、乳業
技術講座編集委員会編、昭和38年10月30日 初
版、朝倉書店、東京)。
【0003】さらに、チーズは、大別してナチュラルチ
ーズとプロセスチーズに分けることができる。前者は、
乳に乳酸菌や凝乳酵素などを加え、凝固させた新鮮物あ
るいはその熟成したもの、そして後者は、ナチュラルチ
ーズを加熱溶融し、乳化して作られる加工チーズのこと
を指す。ナチュラルチーズは、さらに超硬質チーズ、硬
質チーズ、半硬質チーズ、軟質チーズなど熟成を伴うタ
イプのものと、熟成工程のないフレッシュチーズとに分
類される。
【0004】チーズ製造において、特筆すべき点は、凝
乳酵素による凝乳工程である。もちろん、上記のチーズ
の定義からいえば、凝乳酵素を用いずに乳を凝固させ、
チーズを製造することも可能であるが、本発明に関して
は、チーズとは凝乳酵素を用いて凝乳させて製造するチ
ーズのことを指すものとする。
【0005】凝乳酵素は、周知のように、レンネットあ
るいはキモシンと呼ばれ、子牛の第四胃から抽出して得
ることができるが、その他の起源のもの、例えば微生物
起源のレンネットも存在する。
【0006】凝乳酵素による凝乳反応は、非常に精緻か
つ洗練された原理によるものである。この凝乳反応に付
すべき乳(原料乳)としては、牛乳、山羊乳、水牛乳、
トナカイ乳、ロバ乳、ラクダ乳などがあるが、これら全
乳だけでなく、部分脱脂乳、脱脂乳あるいは乾燥して得
られる粉乳類も用いることができる。いずれの場合も、
原料乳を構成しているタンパク質の主要成分はカゼイン
であり、カゼインが凝乳酵素により反応するのが、凝乳
における重要な段階である。
【0007】カゼインは、大別してα−、β−及びκ−
カゼインに分けられ、乳中ではα−とβ−カゼインを内
部に、そしてκ−カゼインが外部に局在し、さらにカル
シウムを介したカゼインミセル構造を形成している。す
なわち、κ−カゼインがカゼインミセルの表面に露出し
ている。κ−カゼインは、分子量約19,000の糖を
含むタンパク質であり、親水性に富む部分と疎水性に富
む部分が存在する。そして、疎水性部分が内部に親水性
部分が外側に配置しており、このためカゼインミセルが
安定して乳中に存在している。
【0008】凝乳酵素は、非常に基質特異性の高いプロ
テアーゼであり、κ−カゼインのN末端から105番目
のアミノ酸であるフェニルアラニンと106番目のアミ
ノ酸であるメチオニンとの間の結合を切断する。この切
断点は疎水性部分と親水性部分との境界点であり、従っ
て凝乳酵素の酵素作用により、κ−カゼインは親水性部
分が切り離されて疎水性部分がカゼインミセル構造の表
面に露出することになる。疎水性部分同士は、やがて疎
水性部分の相互作用により凝集し、カルシウムイオンの
存在によりさらに不安定になり、温度を上げることによ
り沈殿を生ずることになる。これが凝乳であり、凝乳し
ない水溶性部分は、ホエーとして分離する。ホエー画分
にはα−ラクトアルブミン、β−ラクトグロブリン、乳
糖などが主要成分として存在する。凝乳した画分は、カ
ゼインであり、いわゆるチーズカードを得ることができ
る。チーズカードは、その後、一般には加塩処理され、
ナチュラルチーズとなる。
【0009】上述したように、チーズは原料乳中のカゼ
イン画分を沈殿して得られるものであり、その収率の向
上は工業的視点からは非常に重要な問題である。すなわ
ち、一定量の原料乳からより大量のチーズカードを得る
ことは、製造コストの低減、乳資源の有効活用、消費者
により安価に製品を提供できる、などの点で大きなメリ
ットがあることは論を待たない。
【0010】このため、数多くのチーズカードの収率向
上に関する技術が開発されてきている。収率をいかにあ
げるかという問題を解決することと、ホエーとして排出
されるタンパク質や乳糖をいかにカードへ取り込ませる
かという技術的課題とが密接に関連している。
【0011】例えば、米国特許第4205090号明細
書には、限外濾過法による濃縮により高濃度の乳を調製
し、これを用いてチーズカードの、延いてはチーズの収
率を向上させる技術が記載されている。また、特表昭5
7−501810号公報には、原料乳を選択的に限外濾
過で濃縮して、原料乳中のイオン強度を高めてから発酵
させ、水を除去したものを原料乳としてチーズを製造す
る方法が記載されている。また、特開平2−30875
6号公報には、チーズ製造時に副生するホエーを濃縮
し、この濃縮ホエータンパク質と濃縮原料乳とを用いて
チーズを製造すると、得られたチーズカード中にはホエ
ータンパク質が高濃度に含有されており、結果として副
生するホエータンパク質を有効利用できる、とする記述
がある。
【0012】しかしながら、これらの技術では、原料乳
または再利用するホエーに限外ろ過などによる前処理を
行う必要があり、工業的に簡便な方法とは言い難い。ま
た、限外ろ過により処理された原料乳を用いたチーズ製
造方法は、短期熟成型のチーズでは製品の品質に影響が
ないことが知られているが、長期熟成型の場合、タンパ
ク質の分解やチーズのフレーバー生成を阻害することが
ある。これらは未変性ホエータンパク質の豊富なチーズ
において、ホエータンパク質自身が分解しにくいこと及
びホエータンパク質がプロテアーゼによるカゼインの分
解を阻害することで説明できると思われる(Jameson an
d Lelierve; Bulletin of the IDF, 313巻、3〜8頁、19
96年、deKoning et al.; Neth. Milk Dairy Journal, 3
5巻、35〜46頁、1981年、Bech; International Dairy J
ournal, 3巻、329〜342頁、1993年)。
【0013】結論として、現在の原料乳濃縮によるチー
ズ製造技術では、品質的な意味で消費者を十分に満足さ
せているとは言い難い。
【0014】一方、近年、タンパク質架橋酵素を利用し
たチーズ製造の技術が報告されてきている。ここでいう
タンパク質架橋酵素とは、TGのことをいう。例えば、
特開昭64−27471号公報では、TGを用いたチー
ズの製造例が開示されている。しかし、この場合、乳の
凝固は、凝乳酵素ではなく、グルコノデルタラクトンあ
るいは乳酸菌による酸性化により行っていることに加え
て、本明細書において先に掲げたFAO委員会によるチ
ーズの定義の中に有る「ホエーを排出して得られる」点
が欠けていることから、後に詳述する本発明に係わるチ
ーズとは異なるものである。また、特開平2−1315
37号公報では、TGを用いてチーズフードを製造する
技術が記載されている。ここでいうチーズフードとは、
ナチュラルチーズを原料としたプロセスチーズのことを
指し、本発明に係わるナチュラルチーズとは異なる食品
である。
【0015】WO93/19610では、pHを下げた
酸性乳タンパク質溶液にTGを添加する方法が開示され
ているが、ここでは凝乳酵素による凝固が含まれておら
ず、本発明に係わるナチュラルチーズとは異なるもので
ある。WO94/21129でも、乳タンパク質の酸性
食用ゲルにTGを使用する方法が記されているが、ここ
でも凝乳酵素は用いられておらず、本発明に係わるナチ
ュラルチーズとは異なるものである。WO93/229
30では凝乳酵素を用いた乳様製品(milk like produc
t)の製造方法が開示されているが、チーズそのものの
製造については全く言及されていない。また、本発明の
チーズカードの製造方法における必須の特徴となってい
る乳タンパク質溶液への凝乳酵素とTGの添加順序につ
いても全く開示されていない。
【0016】WO94/21130では、まず、原料乳
にTGを添加し、続いて凝乳酵素を添加し、加熱処理を
行う乳ベースの非酸性可食ゲルの製造方法が述べられて
いる。この際の加熱処理は、TGと凝乳酵素添加後、6
0〜140℃の加熱であるが、これが酵素の失活とゲル
形成をもたらすものと推定される。ここでも、チーズ製
造の特徴であるホエー分離は含まれておらず、また、T
Gと凝乳酵素の添加順序及び加熱の温度範囲は本発明の
ものと大きく異なるものである。
【0017】一方、WO97/01961では、原料乳
にTGを添加し、続いて凝乳酵素を添加し、ホエーを分
離するチーズの製造方法が開示されている。ここでは、
TGの反応を5〜60℃、好ましくは40〜55℃で行
うことが記載されている。本発明のチーズカードの製造
方法におけるTGの作用温度は、同じ酵素(TG)の作
用温度であることからこの温度範囲と重複することはも
ちろんであるが、本発明の場合、TGによる酵素反応に
先だって凝乳酵素によるκ−カゼインの切断反応を行う
ことが必須の要件となっている点で上記WO97/01
961に開示の製造方法とは明確に異なるものである。
【0018】また、特開平8−173032号公報で
は、(1)原料乳にTGを添加し、一定時間酵素反応を
行った後、加熱処理をしてTGを失活させた後、凝乳酵
素を添加する、(2)原料乳に凝乳酵素を添加し、一定
時間反応を行った後、TGを添加する、(3)原料乳に
凝乳酵素とTGを同時に添加する、方法について記載さ
れている。これらの工程において、TGによる酵素反応
を10〜40℃で行うことも記載されているが、本発明
に係わる低温下で凝乳酵素を作用させるものとは明らか
に異なるものである。
【0019】さらに、TGを利用したチーズの製造方法
として、EP1057411には、原料乳にTGとレン
ネットではないプロテアーゼ(非レンネット)とを添加
してチーズカードを調製する方法が開示されているが、
非レンネットを用いることが特徴であり、本発明の製造
方法とは本質的に異なるものである。また、EP105
7412では、原料乳にTGを添加し、一定時間反応さ
せた後、脂肪、乳化剤、食塩などを添加し、それを別に
既に加熱溶解させてあるチーズ溶液に混合させ、チーズ
を調製する方法が開示されているが、これはプロセスチ
ーズの製造方法であり、ナチュラルチーズを対象とする
本発明の製造方法とは異なるものである。また、上記E
P1057411には、ホエーを原料乳に添加して、相
対的なホエータンパク質濃度を上げた状態でTGを反応
させ、さらに凝乳酵素でカードを得る方法が記載されて
いるが、これもまた本発明とは全く異なるものである。
【0020】さて、ナチュラルチーズのカード製造にお
いて、TGを利用する場合、(1)原料乳にTGを直接
添加し、一定時間反応後、凝乳酵素を添加する方法、
(2)原料乳に凝乳酵素を添加し、一定時間反応後、T
Gを添加する方法、(3)原料乳に凝乳酵素とTGを同
時に添加する方法の3通りが考えられる。
【0021】このうち、まず(1)の方法は、原料乳中
のタンパク質(カゼイン)にTGが最初に作用し、次に
凝乳酵素が作用することになる。凝乳酵素は、先に述べ
たように、基質特異性の非常に高い酵素であり、TGに
より修飾されたκ−カゼインに対しては反応性が低下す
る(酵素反応が阻害を受ける)こと、すなわち凝乳反応
が抑制されてしまう可能性が考えられる。Lorenzenによ
ると、実際にTGで処理を行ったスキムミルクにおい
て、凝乳性が著しく低下する事例が報告されている(Mi
lchwissenschft, 55, 8, 433-437, 2000)。
【0022】次に、(2)の方法では、原料乳に凝乳酵
素を先に添加することになるが、この場合、凝乳酵素が
作用する間はTGが存在しないために、凝乳酵素による
酵素反応の、TGによる阻害は起きない。しかしなが
ら、凝乳酵素による酵素反応が進行するにつれてκ−カ
ゼインが切断され、親水性部分のグリコマクロペプチド
が遊離し、同時にカゼインミセル表面の疎水性が増加す
ることになる。この現象は、同時に凝乳反応が進行す
る、すなわち乳の凝固が起こることを意味するものであ
る。凝乳反応後すなわちカード形成後にTGを添加する
ことは、TGをカード中に均一に混合させることが困難
であるという問題点が存在する。
【0023】最後に、(3)の方法は、原料乳に凝乳酵
素とTGを同時に添加する方法であるが、この場合も
(1)の方法の場合と同様にTG反応の進行とともにκ
−カゼインの修飾が起こり、凝乳酵素による凝乳反応が
阻害されるという問題点が存在する。
【0024】以上の事柄を考慮した場合、ナチュラルチ
ーズ製造におけるカード調製においては、TGの利用
は、凝乳反応を抑制する(カード形成阻害をもたらす)
という観点から、必ずしも好ましいと言うことはできな
い。実際にTG処理により、凝乳反応が阻害を受けるこ
とは、前掲WO93/22930においても記載されて
いる。ただし、凝乳現象が起るには、ある一定温度(3
0℃前後)以上が必要であることや、乳中のカルシウム
濃度が関係していることから、TG処理によっては必ず
しもナチュラルチーズが製造できなくなるということで
はない。いいかえれば、TGで処理を行った原料乳で
も、温度を上げることや、カルシウムを添加することに
よりカードを得ることができるのである。
【0025】前掲特開平8−173032号公報および
前掲WO97/01961では、それらを巧みに利用
し、TGによる凝乳阻害効果を回避した技術ではある
が、本質的な解決策は他にも存在するはずである。かく
して、チーズカードの調製においてTGによる凝乳阻害
をいかに回避し、これを有効に添加する方法を生み出す
ことが課題となる。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、乳タ
ンパク質にTGが一定以上作用すると、κ−カゼインが
修飾されることにより乳タンパクが質が凝乳酵素の作用
を受けにくくなり、結果としてカード形成が良好に行わ
れなくなるという問題が存在する。かくして、本発明の
課題は、TGを使用してもカードの形成が妨げられず、
かつTGを利用して品質が良好でかつ収率の向上をはか
ることができるチーズカードの製造技術の開発である。
【0027】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明者らは、鋭意研究開発を行った結果、低温下
では原料乳に凝乳酵素が作用しても凝乳しないという性
質を利用し、これをTGと組み合わせることにより前記
課題を解決することができることを見出し、このような
知見に基いて本発明の完成に至った。
【0028】すなわち、本発明は、低温に保持した原料
乳または乳タンパク質の水溶液に凝乳酵素を添加し、一
定時間保持して凝乳酵素を作用させた後にトランスグル
タミナーゼを添加し、昇温させて一定時間保持してトラ
ンスグルタミナーゼを作用させ、乳または乳タンパク質
の水溶液を凝乳後、ホエーを分離することを特徴とする
チーズカードの製造方法、および原料乳または乳タンパ
ク質の水溶液に低温で凝乳酵素とトランスグルタミナー
ゼを同時に添加し、一定時間保持して主として凝乳酵素
を作用させた後に昇温し、一定時間保持して主としてト
ランスグルタミナーゼを作用させ、乳または乳タンパク
質の水溶液を凝乳後、ホエーを分離することを特徴とす
るチーズカードの製造方法に関する。
【0029】ここでいう低温下での凝乳酵素の反応(以
下、低温レンネッティングと記す)とは、具体的には原
料乳を0〜25℃、好ましくは5〜15℃の低温に保
ち、そこに凝乳酵素を加えて作用せしめることである。
因みに、通常、凝乳酵素による凝乳反応は、30℃前後
に加温した状態で行う。低温レンネッティング法による
利点としては、キモシンなどの酵素作用によるκ−カゼ
インの切断反応が十分進行した状態で原料乳を凝乳待機
状態に置くことができ、温度を上げることにより事実上
瞬時に凝乳させることができる点である。これにより連
続的なチーズカード製造が可能になるわけである。実
際、この方法を用いた連続式カード生産システムとし
て、フランスで開発されたHutin-Stenne方式、カッテー
ジチーズ用にアメリカのCrepaco社の開発したCP方式、
オランダで開発されたNizo方式などが実用化されてい
る。
【0030】TGは、天然界に広く分布するタンパク質
の架橋酵素である。タンパク質中のグルタミン残基とリ
ジン残基とをアシル交換反応により架橋させ、タンパク
質の網目構造を形成することができる。この網目構造の
中に、本来ホエーとして排出される成分がカード中に取
りこまれることにより、収率を上げることができると推
定される。
【0031】本発明は、第一段階として低温下で原料乳
に凝乳酵素を作用させるが現実には凝乳を起こさない状
態(以下、「凝乳待機状態」と略称することがある)に
しておき、そして第二段階としてそこにTGを添加し、
温度を上げることで凝乳とタンパク質の均一な分布状態
でTGによる架橋反応を行わせることで、結果的にカー
ドの収率を向上させるものである。
【0032】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
【0033】本発明のチーズカードの製造方法に用いら
れる原料乳は、牛、山羊などの動物から得られるもので
あり、生乳、脱脂乳、部分脱脂乳および加工乳のことを
指す。生乳とは、搾乳したままの乳、脱脂乳とは、生乳
からほとんどすべての乳脂肪分を除去したもの、部分脱
脂乳とは、生乳から乳脂肪分を除去したもので脱脂乳以
外のもの、そして加工乳とは生乳、脱脂乳、部分脱脂乳
などを加工処理したものをいう。また、粉乳(全脂粉
乳、脱脂粉乳、インスタント粉乳、調製粉乳など)を水
に溶解した乳タンパク質の水溶液も本発明のチーズカー
ドの製造方法の原料として用いることができる。
【0034】本発明のチーズカードの製造方法に用いら
れるTGは、タンパク質中のグルタミン残基中のγ−カ
ルボキシアミド基とリジン残基中のε−アミノ基間のア
シル交換反応を触媒するものであればその起源を問わず
用いることができる。例えば、放線菌由来のもの(特許
第2572716号明細書)、枯草菌由来のもの(特開
平11−137254号公報)、モルモット肝臓由来の
もの(特許第1689614号明細書)、カキ由来のも
の(米国特許第5736356号明細書)等を挙げるこ
とができる。また、遺伝子組換えにより製造されたもの
も当然用いることができる。このうち、最も用いやすい
ものは、比較的熱に安定で、基質特異性が低く、安定供
給可能である点から、放線菌由来の酵素(前掲特許第2
572716号明細書)である。
【0035】本発明の製造方法で使用されるTGの活性
については、基質としてベンジルオキシカルボニル−L
−グルタミニル−グリシンとヒドロキシルアミンを用い
た場合、37℃において1分間あたりに1マイクロモル
の反応生成物を生じさせる活性を1ユニットと定義する
(ハイドロキサメート法)。ただし、既に述べたように
TGには様々な起源があり、必ずしも常にこの定義で活
性を決めることができるとは限らない。その場合におい
ても、実質的に本発明の所期の効果を示す量であれば、
本発明におけるTGの添加範囲に含まれ、延いては本発
明の範囲に含まれることはいうまでもない。
【0036】本発明のチーズカードの製造方法に用いら
れる凝乳酵素は、これが特定の起源に限定されることは
ない。例えば、最も一般的に用いられている仔牛レンネ
ットをはじめ、動物起源のものでは牛レンネット、豚ペ
プシン、鶏レンネット、羊レンネット、山羊レンネッ
ト、微生物起源のものではMucor属由来のもの、その他
植物起源のもの、遺伝子組換えによって生産されたもの
などを用いることができる。
【0037】さて、本発明の第一段階においては、まず
原料乳または乳タンパク質水溶液(以下の説明では、両
者を原料乳をもって代表させる)を0〜25℃、好まし
くは5〜15℃の低温に保持し、この低温状態を維持し
たまま凝乳酵素を添加してκ−カゼインの切断反応を行
う(低温レンネッティング)。反応時間は、温度に依存
するが、15分〜6時間、好ましくは30分〜3時間行
うことが望ましい。もっとも、低温レンネッティングの
場合は、通常のレンネッティングと異なり、長時間(例
えば一晩)放置することもできる。また、この段階で必
要に応じて(例えば、クワルクなどのフレッシュチーズ
の場合)、乳酸菌スターターを同時に添加して発酵を行
うこともできる。発酵により原料乳のpHは徐々に低下
するが、凝乳酵素の作用至適pHは酸性域に存在するた
めに、発酵により凝乳酵素の酵素作用に阻害が起きない
ためである。
【0038】続いて、第二段階として、凝乳酵素を作用
させた原料乳にTGを添加して作用させる。TGの添加
量は、通常の酵素−基質反応の見地から、原料乳中のタ
ンパク質1g当たり、0.1〜50ユニット、好ましく
は0.5〜20ユニットの範囲である。0.1ユニット
よりも少ない添加量では、TGにより期待される所期の
効果は得られず、また、50ユニットを越える添加量で
は、逆に反応が急激かつ過剰に進行することにより、カ
ードの品質に悪影響を及ぼすことがある。
【0039】このTG添加の段階では、既に述べたよう
に、原料乳は凝乳酵素を作用せしめてあるが低温に保持
されているために凝乳は起こらず、溶液状態を保ってい
る(凝乳待機状態)。従って、TGを原料乳中に確実に
均一に分散させることができるのである。
【0040】TGを添加して溶解させた後、続いて昇温
操作に入る。昇温後の原料乳の温度は、通常TGの酵素
作用が発現して架橋反応が起るのに好適な温度が好まし
いことはいうまでもない。昇温の速度は、実用上可能な
範囲であれば特に限定されるものではない。TGによる
架橋反応は、酵素反応であるために、反応量は温度と時
間に依存するが、反応混合物を、通常、25〜60℃、
好ましくは30〜50℃に10分〜3時間、好ましくは
20分〜1時間(昇温後からホエー分離操作に入るまで
の時間)保持することで本発明の所期の効果が十分に得
られる。以上、後出実施例1参照。
【0041】尚、本発明の第一段階である低温に保持し
た原料乳に凝乳酵素を添加する段階では凝乳は起きな
い。従って、この低温でTGを添加することにより、原
料中に均一にTGを分散させることができることは上に
説明した通りである。また、低温であるために、TGに
よるκ−カゼインの修飾が少ないために凝乳酵素の反応
を阻害しないことが考えられる。すなわち、低温であれ
ば凝乳酵素とTGを同時に添加することができるのであ
る。そして、昇温してTGの酵素作用を発現せしめる
と、凝乳が起るのである。以上、後出実施例2参照。
【0042】TGによる架橋反応に続く操作は、特に限
定されるものではなく、常法により、得られたカードを
カッテイングし、ホエー分離を行い、チーズカードとし
て各種ナチュラルチーズの原料として用いることができ
る。
【0043】以上述べたように、本発明によれば、原料
乳は低温下でレンネッティングを行うことにより、凝乳
酵素を作用せしめたのにもかかわらず溶液状態(凝乳待
機状態)を保持し、この原料乳にTGを添加し作用させ
ることにより、レンネッティグを何ら阻害することなく
チーズカードを調製することができる。そして、得られ
るチーズカードは、TGによりタンパク質が架橋されて
おり(架橋によりタンパク質の網目構造が形成されてい
る)、本来ホエーとして分離される成分(α−ラクトア
ルブミン、β−ラクトグロブリン、乳糖など)をそこに
保持できること、また、保水性の向上が起こることのた
めに、収率の向上されたものとなるわけである。
【0044】図1に上に説明した本発明によるチーズカ
ードの製造方法の概略を示す。
【0045】
【実施例】以下、検査例及び実施例により本発明を更に
詳しく説明する。なお、以下の検査例および実施例にお
いて、添加するTGの量は、乳タンパク質1g当りに添
加するユニット数として、ユニット/gと略記する。
【0046】検査例1:TGによるレンネッティングの
阻害 まず始めに、TG処理による凝乳性の低下について示し
た検査例を示す。
【0047】25℃及び37℃に恒温化した原料乳(6
3℃、30分殺菌)各1Lに対して、放線菌由来のTG
製剤(味の素社製、比活性1,000ユニット/g)を
0、2、5、8、10または20ユニット/gとなるよ
うに添加し、2時間TGによる酵素反応を行った。続い
て、75℃に達温するまで一旦加熱してTGを失活させ
た後、32℃まで冷却し、レンネット(クリスチャンハ
ンセン社製「StandardPlus 900」)を原料乳重量の0.
003%となるように添加し、その温度に1時間保持し
た。その後、凝固状態を観察し、凝固したものはカッテ
イングを行い、3,000rpmで10分遠心分離を行
い、カードとホエーを分離した。その結果を下記第1表
に示す。同表中、カード重量はホエーを除いた後のカー
ドの湿重量を表し、またカード収率はTG無添加の場合
のカード重量に対する相対値を表す。
【0048】
【表1】
【0049】第1表に示したように、37℃でTGによ
る酵素反応をさせた乳では、レンネットによる乳の凝固
反応は観察されなかった。一方、反応温度を25℃で行
ったものでは、TGの添加量が5ユニット/g以下では
凝固が認められた。しかし、5ユニット/g添加した場
合のものは、実際には遠心分離後の上清は、著しく白濁
しており、凝固反応が阻害されていることが示唆され
た。白濁している原因は、上清部分のタンパク質量が著
しく多いことから、凝固に関与できないカゼインが上清
に残っているためと思われる。2ユニット/gの場合
は、凝固が認められたが、TG無添加のものに比べて明
らかにゆるい凝固であった。これらの結果は、TGによ
る酵素反応が進むに従って凝固が起きにくくなることを
示しており、TGによるκ−カゼインの修飾により凝乳
酵素の反応が起きにくくなってくることを示唆してい
る。
【0050】検査例2:TG処理によるグリコマクロペ
プチドの生成抑制 次に、実際に凝乳酵素の反応生成物であるグリコマクロ
ペプチドの定量を試みた。
【0051】まず、原料乳(63℃、30分殺菌)50
mLに対して、塩化カルシウムを乳に対する重量比で
0.05%になるように添加し、30℃に恒温化した。
続いて、その原料乳に対して、TGを5ユニット/gに
なるように添加して1時間酵素反応をさせた。その後、
レンネットを原料乳重量の0.003%となるように添
加し、経時的に一部を取りだし、これを逆相高速液体ク
ロマトグラフィーに供した。得られたクロマトグラムか
ら、グリコマクロペプチドのピークを定量した。その結
果を図2に示す(TG処理あり)。また、比較のために
TGを添加しなかったことを除いては同様に行った。そ
の結果も図2に併示する(TG処理なし)。
【0052】図2から分るように、TGの存否に関わら
ず、原料乳中に生成するグリコマクロペプチドの量は、
時間の経過に伴い増加する傾向を示した。TG無添加の
場合(TG処理なし)、レンネット添加後、生成するグ
リコマクロペプチドの量は、10分程度まで急激に増加
し、約20分でほぼ最大に達した。一方、TGを添加し
た場合(TG処理あり)は、グリコマクロペプチドの増
加は、TG無添加の場合に比べて明らかに遅く、30分
後まで緩やかに増加していく傾向を示した。この結果
は、TGの添加により、明らかにグリコマクロペプチド
の生成が阻害を受けていることを示しており、TG処理
した原料乳の場合、凝乳酵素の作用を受けにくくように
なることを意味しているものである。
【0053】検査例3:低温レンネッティングによる凝
固抑制 次に、温度と乳の凝固状態について観察を行った。
【0054】原料乳(63℃、30分殺菌)1Lに対し
て塩化カルシウムを無添加もしくは0.05%になるよ
うに添加し、それぞれを10、15、25、32または
37℃に保持した。続いて、原料乳重量に対して、0.
003%となるようにレンネットを添加し、凝乳反応を
行い60分後の乳の凝固状態の観察を行った。結果を下
記第2表に示す。
【0055】
【表2】
【0056】第2表から分るように、塩化カルシウム添
加の場合は、15℃以下では乳の凝固は認められなかっ
た。一方、塩化カルシウム無添加の場合、25℃以下で
は乳の凝固は認められなかった。これらの結果より、凝
乳酵素のレンネットを添加作用させても低温では確かに
乳の凝固は抑制され、溶液状態のままであることを確認
した。
【0057】実施例1:TGによるチーズカードの収率
向上(図1の方法1) 原料乳(63℃、30分殺菌)1Lを15℃に保ち、レ
ンネットを原料乳の重量に対して0.003%になるよ
うに添加した。レンネット添加60分後に、TGを0、
2、5または10ユニット/gになるように添加し、よ
く攪拌後、32℃に昇温させ、この温度に60分保持し
てTGを作用させた。続いて、凝固した乳をカッティン
グし、3,000rpmで10分の遠心分離を行ってカ
ードとホエーに分離した。
【0058】得られたカードの湿重量を測定し、TG無
添加の場合の値に対する相対値を算出し(カード収
率)、その増加を観察した。また、カードを凍結乾燥に
より水分を除いて、カードの乾燥重量を測定し、さらに
TG無添加の場合に対する相対値(固形分収率)を算出
した。結果を後記第3表に示す。
【0059】その結果、同表から分るように、添加する
TGの濃度増加にしたがって、カードの湿重量および収
率ともに増加し、TG10ユニット/gの場合で、TG
無添加の場合に比べて17%の増加が観察された。ま
た、固形分収率も増加が認められた。これらの結果は、
低温レンネッティングとTGを組み合わせることによ
り、明らかにカード収率の向上が可能であることを示し
ている。また、この時、固形分の収率の増加も認められ
ることから、カード保水性の増加のみならず、乳糖など
の本来ホエーに排出される成分のカードへの取り込みが
起きている可能性が示された。
【0060】
【表3】
【0061】実施例2:TGによるチーズカードの収率
向上(図1の方法2) 原料乳(63℃、30分殺菌)1Lを15℃に保ち、原
料乳の重量に対してレンネットを0.003%、そして
TGを0、2、5または10ユニット/gになるように
同時に添加し、よく攪拌した。15℃に60分間保持し
た後、32℃に昇温させ、この温度に60分保持した。
続いて、凝固した乳をカッティングし、3,000rp
mで10分の遠心分離を行ってカードとホエーに分離し
た。
【0062】得られたカードの湿重量を測定し、TG無
添加の場合の値に対する相対値を算出し(カード収
率)、その増加を観察した。また、カードを凍結乾燥に
より水分を除いて、カードの乾燥重量を測定し、さらに
TG無添加の場合に対する相対値(固形分収率)を算出
した。結果を後記第4表に示す。
【0063】その結果、添加するTGの濃度増加にした
がって、カードの湿重量および収率ともに増加し、TG
10ユニット/gの場合で、TG無添加の場合に比べて
15%の増加が観察された。また、乾燥物重量も増加が
認められた。さらに、固形分収率の増加も認められた。
これらの結果は、実施例1(方法1)の場合とほぼ同じ
効果が期待できることを示している。固形分収率の増加
は、上記方法1の場合と同様に、カードの収率向上が保
水性の増加と乳糖などのカードへの取り込みを示唆する
ものである。
【0064】
【表4】
【0065】実施例3:低温レンネッティングを応用し
たフレッシュチーズの収率向上 原料乳(63℃、30分殺菌)5Lを85℃達温まで加
熱処理を行い殺菌した。15℃まで原料乳を冷却後、原
料乳の重量に対して乳酸菌スターター(クリスチャンハ
ンセン社「YoFlexY370」)を0.02%、レンネットを
0.003%、および塩化カルシウムを0.01%とな
るように添加し、よく攪拌混合した。続いて、TGを
0、2、5または10ユニット/gとなるように添加
し、これを21℃に26時間保持して発酵させた。その
後、凝固した乳を加温し、ホエー排出の効率化の目的で
55℃で2分間保持した。続いて、30℃まで冷却し、
カッティングを行った。カードをガーゼで回収し、冷蔵
庫内で一晩釣り下げ、ホエーを排出させた。得られたカ
ードにその重量の1%となるように食塩を添加し、よく
混練りし、フレッシュチーズとした。
【0066】得られたフレッシュチーズの重量および収
率(TG無添加の場合に対する相対値)、製造3日後の
離水および食感の評価を下記第5表に示す。その結果、
TG添加量の増加に従って、得られるフレッシュチーズ
の重量は増加し、TG10ユニット/gの添加により、
27%の収率向上が認められた。また、TG無添加のも
のでは3日間の保存により、離水が認められたが、TG
を添加することにより離水が抑えられた。食感について
は、TG無添加の場合は、ややぱさぱさしており、クリ
ーミー感に欠けたが、TGを添加することにより適度な
口当たりで、クリーミー感のあるものとなった。TG1
0ユニット/gの添加では、やや水っぽい食感となった
が、官能的には問題はなかった。
【0067】
【表5】
【0068】なお、前掲特開平8−173032号公報
においては、通常のレンネッティング温度(30℃付
近)でチーズカードを調製した例が記載されているが、
フレッシュチーズ(クワルク)の評価系において、TG
5ユニット/gの添加により収率13%増、また、チェ
ダーチーズの評価系において、TG10ユニット/gの
添加により収率19%増であったことが述べられてい
る。これらの結果と比較して、本発明の方法では、上記
第5表に示したように、TG5ユニット/gの添加で1
6%増、そして10ユニット/gの添加で27%増と、
明らかに高い収率を得ることができるのである。
【0069】
【発明の効果】本発明によれば、乳タンパク質にトラン
スグルタミナーゼが反応することによる凝乳酵素に対す
る反応阻害を回避でき、収率の向上したチーズカードの
製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】低温レンネッティングを利用したTG利用チー
ズカードの製造工程を例示する。
【図2】高速液体クロマトグラフィーによるグリコマク
ロペプチドの定量結果を示す(検査例2)。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】0〜25℃の低温に保持した原料乳または
    乳タンパク質の水溶液に凝乳酵素を添加し、15分〜6
    時間その温度に保持して凝乳酵素を作用させた後、トラ
    ンスグルタミナーゼを添加し、25〜60℃の温度に昇
    温し、10分〜3時間その温度に保持してトランスグル
    タミナーゼを作用させ、乳または乳タンパク質の水溶液
    を凝乳後、ホエーを分離することを特徴とするチーズカ
    ードの製造方法。
  2. 【請求項2】0〜25℃の低温に保持した原料乳または
    乳タンパク質の水溶液に凝乳酵素とトランスグルタミナ
    ーゼを同時に添加し、15分〜3時間その温度に保持し
    て主として凝乳酵素を作用させた後、25〜60℃の温
    度に昇温し、10分〜3時間その温度に保持して主とし
    てトランスグルタミナーゼを作用させ、乳または乳タン
    パク質の水溶液を凝乳後、ホエーを分離することを特徴
    とするチーズカードの製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1または2のいずれかに記載の製造
    方法により得られるチーズカードを使用して製造された
    ことを特徴とするチーズ。
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