本発明に係る原稿サイズ検知装置は、手作業で或いは原稿自動搬送装置で搬送されることで原稿台ガラス上に載置される原稿のサイズを検知する装置であり、複数の反射型光センサ(以下、単に光センサという)を備える。この原稿サイズ検知装置は、一般的に、原稿を光学的に読み取り画像データを出力する原稿読取装置(スキャナ装置)に具備される。そして、原稿読取装置において、原稿を読み取る範囲を限定するために、或いは原稿を読み取った後の変倍処理等の処理に用いるために、各光センサの出力結果の組み合わせによって原稿サイズを判定する。このように、本発明は、原稿サイズ検知装置を搭載した原稿読取装置としての形態も採り得、また原稿読取装置を搭載した複合機や単なるコピー機やファクシミリ装置などの画像形成装置としての形態も採り得る。
図1は、本発明の一実施形態に係る原稿サイズ検知装置を具備した原稿読取装置の構成例を説明するための図である。
図1で例示する原稿読取装置1は、その筐体10の上面に原稿台ガラス11が設けられ、内部には図示しないスキャナユニットが設けられており、原稿台ガラス11に載置された原稿Pの画像を読み取ることが可能になっている。
また、筐体10には、原稿押さえ白板(以下、OCマット14で例示)が原稿台ガラス11側に付加された原稿カバー13が、開閉可能に設けられている。原稿カバー13は、原稿を載せるときにリア側を支点に上下に開閉させる蓋状のものである。原稿押さえ白板としては、原稿台ガラス11を覆って原稿Pを押さえるための白いシートなど白い板状のものであればよく、OCマット14に限ったものではない。原稿Pは薄い用紙に限らず本などの厚い被読取媒体であることもあり、OCマット14は、原稿Pを押さえたときに原稿Pを保護する役目をする。
原稿読取装置1では、原稿Pが原稿台ガラス11上に載置され、一般的に原稿カバー13が閉じられた状態で画像読取処理が実行されるが、原稿カバー13が開けられたままの状態(図1で図示した状態)での画像読取処理も可能である。
また、筐体10の内部には原稿カバー閉状態検出用のスイッチ15が設けられ、原稿カバー13の閉状態又は開状態が検出可能となっている。スイッチ15で、閉状態から開状態を経て閉状態に戻ったことを検出することにより原稿サイズ検知装置を稼動させるような制御も行うことができる。スイッチ15は、図1で示す配置に限らず、閉状態又は開状態で原稿カバー13によりオン、開状態又は閉状態でオフされるような位置に設けておけばよく、また受光センサで構成してもよい。
そして、本発明に係る原稿読取装置1は、筐体10内部などに原稿サイズ検知装置が設けられる。この原稿サイズ検知装置は、複数の光センサ(ここでは3つの光センサ12a〜12cで例示)が、原稿台ガラス11の下方に所定の位置関係で配設されるとともに、サイズ判定部17aを有する制御部17を備える。
制御部17は、原稿サイズ検知装置の主制御部、すなわち原稿読取装置の主制御部又は副制御部に相当し、例えばマイクロコンピュータ等で構成できる。より具体的には、制御部17は、例えば原稿サイズ検知装置の全体若しくは原稿読取装置1の全体を制御するための制御プログラムや各種データを格納したROMやEEPROM、その制御プログラムを実行するためのCPU、並びに、その実行領域となるRAMなどによって構成することができる。上記各種データとしては、原稿サイズ判定に用いる後述する所定のしきい値を含んだパラメータの他に、後述する線形関係の判定のためのパラメータや調整のためのパラメータも含まれる。
各光センサ12a〜12cは、LED等の発光素子及びフォトトランジスタ等の受光素子でなる原稿有無検知用の光センサである。各光センサ12a〜12cは、それぞれ、原稿台ガラス11上の対応する位置での原稿の有無を、反射光の受光レベルと予め定められたしきい値の比較に基づいて検知する。ここで、これらの複数の所定のしきい値(この例では合計3つのしきい値)は固定値とする。
サイズ判定部17aは、各光センサ12a〜12cの出力結果の組み合わせによって、原稿を検知するとともに、その原稿のサイズの判定を行う。そのため、サイズ判定部17aは原稿サイズ検知部とも言える。この判定条件は、上述の所定の位置関係に依存する。なお、各光センサ12a〜12cは、移動可能に配設されてもよく、少なくともサイズ検知時に上述した所定の位置関係になればよい。
図1の例では、原稿台ガラス11上に載置された原稿Pが、光センサ12a,12bの発光素子からの光を反射し、その反射光は各々の受光素子で受光され、サイズ判定部17aでしきい値以上の受光レベルであることが検出され、原稿有りとの検知結果を出力する。一方で、光センサ12cの発光素子からの光は原稿台ガラス11を通過し、喩えいずれかで反射した場合でも(その他の外光を含んだ場合でも)、受光素子で検出される光量は少なく、しきい値未満となり、原稿無しとの検知結果を出力する。
これらの検知結果により、原稿Pが、原稿台ガラス11の端部から光センサ12bまでの距離と同端部から光センサ12cまでの距離との間の距離をもつサイズであると判定できる。図1では、光センサ12aが横置きB5(すなわちB5R)以上で原稿検知でき、光センサ12bが横置きA4(すなわちA4R)以上で原稿検知でき、光センサ12cが横置きB4以上で原稿検知できるように、それぞれ配設されているとする。その場合、上述の例では、原稿PがA4サイズであると判定できる。
また、本発明に係る原稿サイズ検知装置は、後述するようにOCマット14と原稿台ガラス11との角度を測定する必要があるため、角度検出部を備える。この角度検出部は、原稿カバー閉状態検出用のスイッチ15と角度検出センサ16とで構成する。スイッチ15によって閉状態を検出している間は、角度検出センサ16を稼動しないようにし、検出していない間、すなわち開状態である場合にのみ角度検出センサ16を稼動するようにする。このような制御は、制御部17が行えばよい。
角度検出センサ16は、例えば、原稿カバー13の支軸の側端部に特定角度間隔で設置した複数の受光素子で構成することができる。これにより、原稿カバー13によって遮光された受光素子の位置から角度を検知することができる。また、原稿カバーの角度検出には、原稿カバー13側に取り付けたジャイロセンサなどを用いることもできる。
図2を参照して、図1の原稿読取装置1における角度検出センサ16の代わりに具備可能な角度検出センサの構成例を説明する。図2で例示するように、OCマット14の角度を検出する角度検出センサとしては、原稿カバー13の回動角度に応じて抵抗値が変化する可変抵抗器を用いる。本例の角度検出センサは、原稿カバー13の支軸19の側端部に設けられる。ここでは直流電源16bに接続された抵抗16aが支軸19の周囲を周回するように配置される。また、抵抗16aに接触する可動片16cが原稿カバー13と一体的に回動し、上記可変抵抗器が構成される。
抵抗16aと可動片16cとは制御部17に接続される。ここでは可動片16cの位置を固定とし、抵抗16aが原稿カバー13と一体的に回動するようにしてもよい。そして原稿カバー13を開閉すると、抵抗16aに接触する可動片16cの位置がスライドして抵抗値が変化し、このときの電圧値を制御部17で検出する。制御部17では、電圧値に応じてOCマット14の角度を算出できるように、予め電圧値と上記角度との関係を記憶装置に記憶しておく。この記憶装置は後述の初期値記憶部18として使用する記憶装置でもよい。
そして、本発明に係る原稿サイズ検知装置は、その主たる特徴として、調整部17b及び初期値記憶部18を備える。
調整部17bは、複数の光センサ12a〜12cのそれぞれについての発光レベル、つまりそれぞれの発光素子の発光レベルを調整する。光センサ12a〜12cは、所定の発光レベル(発光輝度レベル)で発光素子から発光した光に対して受光素子で反射光を受光するものであるが、この所定の発光レベルが実際には経年変化により落ち、所定の発光レベルで発光しようとしてもそれに満たない発光レベルでしか発光できなくなってしまい、同一条件下でも受光レベルが落ちてしまう。調整部17bはその調整を行うものである。調整部17bは、図1で例示するように制御部17に設けること、すなわち調整プログラムとして組み込むことができる。
初期値記憶部18は、OCマット14と原稿台ガラス11との角度に対する、原稿無しの状態での反射光の受光レベルの初期値を、複数の角度(開閉角度)について光センサ12a〜12c毎に記憶した記憶装置である。ここで、初期値としては、原稿無しの状態で測定した値でもよいが、同機種による規定値でもよい。なお、初期値は基本的に光センサの配設位置によって変わるため、光センサによって異なっている。また、各光センサ12a〜12cの初期値は、原稿読取装置1の設置場所によっても変わるため、設置場所を変える度に測定して、更新してもよい。
本発明における調整部17bは、上述のように発光レベルの調整を実行するが、無条件で実行する訳ではなく、複数の光センサ12a〜12cの出力値と角度検出部による検出角度から各光センサ12a〜12cの原稿無しの状態を判別し、少なくとも、原稿無しとの判定がなされた状態で調整を実行する。そして、調整部17bは、原稿無し状態であるか否かの判定を上記初期値との比較により実行する。
より具体的には、調整部17bは、OCマット14の開動作又は閉動作時に光センサ12aで反射光の受光レベルを各角度で検知させ、検知された角度毎の反射光の受光レベルが示す関数が、初期値記憶部18に記憶された角度毎の初期値が示す関数(角度対初期値が示す関数)と線形関係にある場合にのみ、その光センサ12aの発光レベルの調整を実行する。換言すると、調整部17bは、各角度における「初期値記憶部18に記憶された初期値」から「検知された反射光の受光レベル」への写像が線形写像にあるか否かを判定し、(誤差も考慮して)線形写像にあると言える場合にのみ、その光センサ12aの発光レベルの調整を実行する。
発光レベルの調整について簡単に説明すると、調整は、OCマット14を利用して、つまり原稿カバー13の開閉動作での反射光を利用して実行される。さらに、発光レベルの調整は、上記線形関係を保って(原稿無しの状態が確実な段階で)実行するために、初期値と上記線形関係を満たすと判定された反射光の受光レベルに基づき実行する。このように、上記線形関係を満たすことが検知された受光レベルのうち、OCマット14を利用して反射光を得ることができる角度の受光レベルに基づき、調整が実行される。どのように調整するかに関し、主に、同一条件下での受光レベルを経年劣化によらず保つ(経年劣化する前後で保つ)ように発光レベルを調整すれば、上記所定のしきい値を変えずとも同様の原稿サイズ判定ができる。
ここで、開動作や閉動作は、スイッチ15の閉動作検出結果に基づき判定すればよい。また、上記判定は、開動作及び閉動作を一連の動作として行ったときに、双方の動作時の検知結果に基づき実行してもよい。また、検知させる角度はそのピッチを予め定めておいてもよいし、同ピッチに限らず予め定めた複数の角度で検知させるようにしてもよい。また、判定時に受光レベルを検知させる角度は、初期値記憶部18で初期値が記憶されている角度と同じでもよいが、異なってもよく、少なくとも関数として線形関係の有無が判定できればよい。
線形関係にある場合とは、Xθを原稿カバーの角度θに対するOCマット反射初期値とし、f(Xθ)を角度θに対する経年変化後に検知された受光レベルとすると、f(Xθ)=α・Xθ(但し、αは実数)を満たすこと、つまり写像f(Xθ)が線形であることを指す。なお、逆に、Xθが角度θに対して経年変化後に検知された受光レベルを指し、f(Xθ)が角度θに対するOCマット初期値を指すように捉えてもよい。より大局的に言うと、線形関係にある場合とは、θについての初期値の関数と経年変化後の関数が同様の変化傾向であることを指す。つまり、本発明では、両者の関数が同様の変化傾向であれば、正常動作ということで調整を行ってもよい(許可する)。無論、線形関係にあるか否かの判定にはある程度の誤差を許容して行うとよく、また、単に両者の値同士の比較により線形関係にあるか否かの判定を行ってもよい。
同様にして、光センサ12bについての各角度での検知結果から、角度対初期値が示す関数と線形関係にある場合にのみ、光センサ12bの発光レベルを調整する。光センサ12cについても同様である。上記線形関係にあるか否かの判定は、光センサ12a〜12cの全てについて1度の開動作又は閉動作時に実行してもよい。
また、基本的に、全ての光センサ12a〜12cについて判定を同時に行った場合でも、光センサ毎に判定結果が異なることがあるため、光センサ毎に調整がなされることになるが、1つの光センサに調整を行う際には他の光センサについても(差異があまりなくても)、一義的に同様の調整を実行してもよい。
また、上述のように個々の光センサ12a〜12cについて判定を行って、線形関係にあった場合にのみ、その光センサについて調整を実行すればよい。これは、線形関係にあるということは少なくともその光センサについては、調整を行ってもよい状況(光量補正に適した状況)にあることを指しているためである。但し、本発明では、全ての光センサについて線形関係にある場合にのみ、調整を実行するようにしてもよい。
以上説明したように、本発明では、原稿カバーを動作(開閉の角度が例えば0度から90度に変化して行く)させていく過程の中で発光素子からの光が原稿カバー13のOCマット14に反射された戻り光を検出し、その過程で検知された光センサ出力を、原稿無し状態で記録した初期値と対比する。本発明は、この対比により、両者が線形の関係であるか否か、つまり上記線形関係を満たすか否かにより、外乱光や誤って原稿が置かれていないか否かを検知する。そして、本発明では、原稿などが無く外乱光も無い正常な動作状態であれば、その光センサの発光レベルの調整(結果的に出力光量の調整になる)を行う。そして、上記線形関係を満たすことが検知された受光レベルのうち、OCマット14を利用して反射光を得ることができる角度の受光レベルに基づき、調整を行う。
本発明の原稿サイズ検知装置は、正常な動作状態で調整を行うため、光センサの経年劣化により外乱光やOCマット14を原稿と誤って検知してしまうといった誤作動を防ぐことができ、また、OCマット14を利用して調整(例えば同一条件下での受光レベルを経年劣化によらず保つように調整)しているため、光センサの経年劣化により原稿が有っても光センサで検知できないといった誤作動も防ぐことができる。
また、調整部17bは、初期値の記憶時から、若しくは初期値の記憶後に原稿サイズ検知装置の電源を投入した時から、所定期間経過後に、上記線形関係にあるか否かの判定を行うことが好ましい。これにより、上記判定を自動的に実行させ、その判定に基づき必要に応じて自動的に調整を実行することができるため、ユーザ操作による光量の校正が不要で、光センサの経年劣化による誤作動を未然に防止することが可能となる。上記所定期間は、発光素子の性能を鑑みて決定すればよく、所定期間も実際の年月の経過時間ではなく稼動時間を算出して代用してもよい。
若しくは、調整部17bは、所定のユーザ操作を受け付けたときに、上記線形関係にあるか否かの判定を行うようにしてもよい。これにより、ユーザやメンテナンス業者が適宜、判定を実行させ、その判定に基づき必要に応じて自動的に調整し、光センサの経年劣化による誤作動を防止することができる。
このように原稿読取装置1では、所定期間経過をトリガとするか、ユーザ操作をトリガとするかに拘わらず、判定の結果、線形関係にある場合には基本的にその発光レベルの調整を実行すればよいが、線形関係であっても差異があまりなく近似している場合には調整する必要性があまりないため、調整は実行しなくてもよい。このように、調整自体も関数の差異についてのしきい値を決め、閾値処理により実行することもできる。このように、少なくともその光センサの発光レベルの調整は、線形関係にある場合にのみ実行可能としておけばよい。
<原稿サイズ検知装置の回路構成例及び具体的な発光レベルの調整例>
図3は、本発明に係る原稿サイズ検知装置の主要部の回路構成例を示すブロック図である。図3で例示する主要部20は、図1で例示した原稿読取装置1に組み込まれるものである。
主要部20は、第1のセンサブロックa(22a)、第2のセンサブロックb(22b)、第3のセンサブロックc(22c)、A/D変換器24、スイッチ25、D/A変換器26、スイッチ27、スイッチ15及び角度検出センサ16でなる角度検出部、初期値記憶部18、並びにそれらを制御する制御部17を備える。制御部17は上述のようにサイズ判定部17a及び調整部17bを有する。
制御部17のROMやEEPROMには、原稿サイズ判定に用いるパラメータとして、各サイズについて、原稿カバー13と原稿台ガラス11との角度に対する光センサ出力値(受光レベル)の基準値(上記所定のしきい値)のデータや、必要に応じてOCマット反射光値のデータが記録保持される。特に、原稿サイズ検知を行うと決めた角度については少なくとも保持しておく。その他に、制御部17のROMやEEPROMには、線形関係の判定のためのパラメータや調整のためのパラメータなどを保持している。初期値記憶部18は角度対初期値を保持するが、上記ROMやEEPROMに含む構成とすることができる。
センサブロック22aは、原稿サイズ検知用の光センサ(原稿サイズセンサa)12aを有し、この光センサ12aは、LEDによる発光部とフォトトランジスタによる受光部とを有する。発光部での発光は、制御部17から出力される発光パルス信号(光センサ12aの場合、発光出力a)により制御される。センサブロック22aは、さらに、LEDへの印加電圧を調整するために基準電圧を調整できる電圧変換器28aを有する。受光部は、受光した光によって流れた電流を電圧値に変換し、スイッチ25に対してセンサ出力値(光センサ12aの場合、センサ出力a=Ri)として出力する。
センサブロック22b,22cは、それぞれ図1の光センサ12b,12cを有し、センサブロック22aと同様の構成をもち、それぞれのセンサ出力値をスイッチ25に出力する。
スイッチ25は、入力した受光出力切替え信号に基づき、センサブロック22a〜22cの中から、使用する受光出力を選択するために設けられている。制御部17は、そのスイッチ25に受光出力切替え信号を出力することで、光センサ12a〜12cから出力されたセンサ出力を順次切り替えさせ、A/D変換器24に入力させる。
A/D変換器24は、スイッチ25で選択された受光出力(選択したセンサブロック内の光センサのフォトトランジスタの出力)を、デジタル信号に変換して制御部17に出力する。A/D変換器24は、複数の光センサ12a〜12cの出力値をデジタル値に変換するために共通に使用される。制御部17では、A/D変換器24から入力したセンサ出力値を使用して、原稿サイズの検知処理や、上記線形関係の如何を判定するためのセンサ出力検知処理を実行する。
D/A変換器26は発光部の発光レベルの補正、つまり光量補正を行うために使用される。より具体的には、調整部17bが初期値記憶部18内の初期値(角度対初期値)が示す関数と現在の角度対受光レベル値が示す関数とを比較し、線形関係にあるか否かを判定する。そして、線形関係にある場合にのみ、調整部17bはD/A変換器26にデジタルの光量補正信号を出力する。この光量補正信号は、一例として両者の差に応じて決定すればよく、より具体的には上述した係数αなどに応じて決定すればよい。
D/A変換器26は、調整部17bから出力されたデジタルの光量補正信号を入力し、アナログ信号に変換し、電圧変換器28aに出力する。電圧変換器28aでは、その信号に基づきLEDに印加する基準電圧を補正する。D/A変換器26は、複数のセンサブロック22a〜22cへの光量補正信号をアナログ信号に変換するために共通に使用される。スイッチ27は、制御部17の調整部17bからの補正(調整)対象切替え信号に基づき、センサブロック22a〜22cの中から調整するLEDを含むセンサブロックを選択する。
ここで、基本的に、光センサ12a〜12cの発光レベルは出荷当初(初期値を記憶する段階で)、最大値をとるようにせず、経年変化による発光レベルの増加方向の調整に対応できるように余裕をもって決めておく。また、発光レベルの変更は、上述のように基準電圧を補正することによりLEDに流す電流を変更することで行えばよいが、回路構成を変更することでPWM調光により発光パルス信号のONデューティを変更することで平均的な発光レベルを変更することもできる。いずれの変更も、基本的に、経年変化に対して大きくする方向に光量が調整されることになる。
図4に示すフロー図を参照しながら、本発明に係る原稿サイズ検知装置における発光レベル調整処理の一例について説明する。
上述のように、所定期間の経過又は所定のユーザ操作の受付をトリガとし、そのトリガが有効な状態において初めて原稿カバー13が閉状態から開状態になったことをスイッチ15が検出したときに、制御部17の調整部17bが主となって次の処理を実行する。
まず、nを1とし(ステップS1)、n番目の光センサで受光する(ステップS2)。ステップS2では、0°〜X°まで所定ピッチで受光する。ここで、Xは予め0°〜90°の間のいずれかに決めておけばよい。
次に、受光した値を初期値記憶部18に記憶された原稿無し状態での(つまりOCマット14による反射光での)初期値と比較する(ステップS3)。この例では、比較対象の初期値も同じ範囲の同じ所定ピッチで保持されているものとする。ステップS3では、結果的に両者の関数が線形関係にあるか否かが比較できればよい。
一方が他方に対して線形関係にある場合(ステップS4でYESの場合)、OCマット14を利用した角度の検知結果を用いて、そのn番目の光センサについて、光量の補正、つまり発光レベルの調整を行う(ステップS5)。ステップS5の処理後、次の光センサについての処理のために、nをインクリメントする(ステップS6)。一方、ステップS4でNOであった場合、つまり上記線形関係を満たさない場合には、ステップS5の処理を経ず、つまりn番目の光センサについては光量補正を行わずに、そのままステップS6へ進む。
ステップS6の処理後、nが4より大きくなったか否か、つまり3番目の光センサまで処理が終了したか否かを判定し(ステップS7)、NOであればステップS2へ戻り、YESであれば処理を終了する。
このような処理の具体例について、図5を参照しながら説明する。図5は、本発明に係る原稿サイズ検知装置における、原稿カバーの角度に対する光センサの出力の例を示す図である。図5では、グラフの上側に原稿カバー13と原稿台ガラス11との角度の開き具合を模式的に示している。
初期値としては、例えば図5の実線で示す関数(但し、外乱光無し)に該当するようなデータが初期値記憶部18に記憶されているとすると、一点鎖線で示す関数のように、線形関係にある場合、光量補正が実行される。これは、外乱光がない場合のOCマット14の角度に対するOCマット14の反射値(初期値)は、発光部が経年劣化した場合の反射値と線形の関係にあることを利用している。そして、この場合に光量補正をしないままにした場合、上記所定のしきい値を超えることが少なくなる。図5の例では白原稿を置いた場合でもしきい値と一致する程度になってしまい、原稿が検知できない。
比較のために、図5では、外乱光有りの場合の初期値の関数についても図示している。この関数は、5°〜45°といった原稿サイズ判定を実際に実行するのに適した原稿カバー13(OCマット14)の角度より大きくなると、外乱光無しの場合と異なる関数になる。つまり、外乱光有りの場合には、原稿カバー13の開動作時のセンサ値が大きく、原稿カバー13が閉状態に近くなると急にセンサ値が小さくなり、上記適した角度より小さくなって初めて外乱光無しの場合とほぼ一致してくる。
なお、原稿カバー13の閉動作又は開動作時において、5°〜45°の間で原稿サイズ検知が行われる。その理由は、原稿カバー13が45°以上では外乱光の影響を受け易く、5°未満ではOCマット14からの反射の影響を受け易いからである。そして、基本的にはこのような角度の間のうちの1点で原稿検知を行えば済む。
上記線形関係を満たさない場合には、「原稿が原稿台ガラス11に載置されていないという判定」ができない場合であるため、光量補正はなされない。例えば、(1)外乱光がある場合で、且つ原稿カバー13の角度(開角度)が大きいときには、検知結果は外乱光有りの初期値について図5で示した形のようになり、記憶された外乱光無しの初期値と線形関係を満たさないような変化をもった関数を示すことになる。
また、(2)開動作又は閉動作の途中で白原稿又は黒原稿が置かれた場合には、白原稿又は黒原稿が置かれた角度より後については線形関係を満たさないような関数を示す。また、(3)開動作又は閉動作の途中で、検知してはいけないサイズ(隣の光センサで検出すべきサイズなど)の原稿の端を検知した場合には、原稿を検知した角度より後については線形関係を満たさないような関数を示す。上記(2),(3)については、原稿が載置された段階で図5の一点鎖線が図5の直線と異なる変曲点が存在するように変わってしまうことになる。
次に、発光レベルの調整について、具体例を挙げる。上述したように、上記線形関係を満たすことが検知された受光レベルのうち、原稿カバー13の開閉動作でのOCマット14を利用して反射光を得ることができる角度の受光レベルに基づき、同一条件下での受光レベルを経年劣化によらず保つように発光レベルを調整すれば、上記所定のしきい値を変えずとも同様の原稿サイズ判定ができる。
一方で、特許文献1に記載の技術では、発光素子の劣化に対してスレッシュを一点(原稿カバーの開閉位置のある点)での受光レベルの値を確認し、その結果に基づき補正を行うため、上記所定のしきい値を経年劣化とともに自動で低下させることになる。本発明では、しきい値を経年劣化とともに自動で低下させる特許文献1に記載の方式に比べ、OD値の高い黒原稿が置かれたとしても誤って補正をかけることがないし、検知してはいけないサイズの原稿端を検知したとしても誤って補正をかけることがないし、外乱光に対するマージンを維持することができる。
同一条件下での受光レベルを経年劣化によらず保つような調整の例を挙げる。
調整部17bは、調整の結果として、OCマット14と原稿台ガラス11との角度が所定角度のときに検知された反射光の受光レベルが、上記所定角度に対する初期値と一致するように、その光センサの発光レベルを調整すればよい。この調整は、受光レベルをフィードバックさせながら行ってもよいし、比較対象の差に基づき予め保持しておいた予測値を用いてもよい。
ここで、上記所定角度としては、5°〜45°の間のいずれかで例示したような原稿サイズ検知を行う角度を採用することが好ましい。つまり、上記所定角度は、OCマット14と原稿台ガラス11との隙間から蛍光灯等の外光が或る程度入り且つ光センサの受光素子への外光の影響が少ないような角度で、例えば10°、20°、30°、45°など適宜設定すればよい。これにより、実際の原稿サイズの判定を行う際の発光レベルを合わせることができるため、2つの値を合わせるように光量を上げるという簡単な補正で且つ正確な原稿サイズ判定が可能な光量調整が可能になる。
なお、上記所定のしきい値は、黒原稿を載置して黒原稿からの反射光として検出した受光レベル(センサ出力値A)と、OCマット14が所定角度のときにそのOCマット14からの反射光として検出した受光レベル(センサ出力値B)との間に、特にそれらの中間値(中央値)に設定されることが好ましい。例えば、図8の初期出力関係として例示したように、黒色原稿有りのときの出力電圧値が1.3V、所定角度をもつOCマット14からの初期の反射光による出力電圧値が0.5Vとすると、しきい値の初期値の最適値(中央値)は0.9Vとなる。また、上記所定角度は、OCマット14が周方向に可動する際に他の可動角度領域に比べて可動させ難くした可動角度範囲を設け、その範囲に含まれる角度と合わせるなどしてもよい。
代替案として、大局的に見て元の関係に最も近づくような調整を行ってもよい。そのため、例えば、上記所定角度が複数であると捉え、調整部17bは、調整の結果として、複数の所定角度についての受光レベルとその初期値との差の二乗和が最小になるように、その光センサの発光レベルを調整するなどすればよい。すなわち、OCマット14と原稿台ガラス11との角度が複数の所定角度のときに検知された反射光の受光レベルと、それら複数の所定角度のそれぞれに対する初期値との差の二乗和が最小になるように、その光センサの発光レベルを調整するなどすればよい。この調整も、受光レベルをフィードバックさせながら行ってもよいし、係数αに対して予め保持しておいた予測値を用いるなどしてもよい。
より簡単な具体例を挙げると、20°についての受光レベルとその初期値との差の二乗と、30°についての受光レベルとその初期値との差の二乗と、45°についての受光レベルとその初期値との差の二乗との和が、最小になるような発光レベルを選択すればよい。このような調整も、同一条件下での受光レベルを経年劣化によらず保つような調整である。
次に、ステップS2,S3におけるXで規定される角度の範囲について好ましい例を説明する。
上述した図5で例示したように、外乱光有りの場合の初期値の関数は、原稿サイズ判定を実際に実行するのに適した開角度(5°〜45°)より大きくなると、外乱光無しの場合と異なる関数になる。従って、調整部17bは、OCマット14と原稿台ガラス11との角度が45°以下の場合についての検知結果のみに基づいて、その光センサの発光レベルを調整することが好ましい。この45°以下の検知結果のみに基づいた調整は、OCマット14を利用した調整に該当する。これにより、外乱光に対して影響を受けなくなり、仮に蛍光灯の真下に原稿読取装置が置かれたとしても、光量補正を行えるようになり、外乱光の影響を無くした調整を行うことができる。
また、調整部17bは、OCマット14と原稿台ガラス11との角度が45°以下の場合についての検知結果のみに基づいて、上記線形関係にあるか否かの判定を行うようにしてもよい。この場合、調整を行うことは上記線形関係にあった場合であるため、次のいずれかのような処理が適用できる。第一の処理は、上記線形関係にあるか否かの判定だけは45°以下の場合についての検知結果のみについて実行し、実際の調整はそれ以外の検知結果も併せて参照しながら実行する。若しくは、判定及び調整のいずれの処理も45°以下の検知結果のみに基づいて実行するといった第二の処理を採用してもよい。
<しきい値の設定例1>
以上の説明では、発光レベルの調整は同一条件下での受光レベルを保つように実行することを前提にした。また、本発明に係る原稿サイズ検知装置は、複数の光センサ12a〜12cそれぞれに対応する複数のしきい値(この例では合計3つのしきい値)が固定値であることを前提として説明した。しかし、そのような調整しなくても、同時に上記所定のしきい値も連動させて変えることで、光センサの経年劣化による誤動作を防ぐことができる。このしきい値の調整は、OCマット14と原稿台ガラス11との角度が上記所定角度のときに、OCマット14を用いて行うことになる。
<しきい値の設定例2>
これら複数のしきい値を調整する他の方法として、特許文献1と同様に、上記発光レベルの調整と連動させずに、OCマット14と原稿台ガラス11との角度が上記所定角度のときに、OCマット14を用いて、複数のしきい値のうちの一部又は全部に対する調整を実行してもよい。但し、本発明に係る原稿サイズ検知装置では、経年変化に対応するために、ある程度、使用期間が経過した場合には、しきい値を元の値に戻してから発光レベルの調整を行うようにすればよい。そして、上記使用期間が再び経過するまでは上記しきい値調整部でのしきい値調整を行い、経過したときに同様に発光レベルの調整を行うようにすればよい。
<原稿有無検知用の光センサの他の配置例>
図6は、本発明の原稿読取装置における光センサの他の配置例を示す上面図である。原稿有無検知用の光センサの配置例としては図6のような配置も採用できる。すなわち、原稿台ガラス11上の位置合わせ用の原点(ここでは図6の左上)に対し、A5サイズ以上の縦置き原稿及びA4R以上の横置き原稿で塞がれるセンサa、B5サイズ以上の縦置き原稿及びB4以上の横置き原稿で塞がれるセンサb、A4サイズ以上の縦置き原稿及びA3以上の横置き原稿で塞がれるセンサcを、図6のように配置する。また、A5Rサイズ以上の横置き原稿及びA4以上の縦置き原稿で塞がれるセンサdを図6のように配置する。さらに、縦置きとしては原稿A4より大きい原稿に対する横置き用のセンサ群として、B5Rサイズ以上の横置き原稿で塞がれるセンサe、A4Rサイズ以上の横置き原稿で塞がれるセンサf、B4サイズ以上の横置き原稿で塞がれるセンサg、A3サイズ以上の横置き原稿で塞がれるセンサhを、図6のように配置する。
これらのセンサ群の検知結果の組み合わせにより、例えば、原稿Pを載置した結果、センサaで検出有り且つセンサbで検出無しであった場合、A5サイズ又はA4Rサイズと判定できる。併せて、センサfで検出有りであった場合にA4Rサイズと判定でき、検出無しであった場合にA5サイズと判定できる。図1で例示したように簡単な横置きの原稿対応の例のみを説明したが、このように原稿有無検知用の光センサの配置例は様々なものが適用できる。
<原稿読取装置の組み込み例>
上述した各実施形態に係る原稿サイズ検知装置を備えた原稿読取装置を組み込んだ画像形成装置の一例として、図7にその断面図を示す。図7で例示する画像形成装置は、大きく分けて、本発明に係る原稿読取装置に相当する画像読取部100と、画像形成部、給紙部、及び後処理装置から構成されている。
図7に示すように、画像読取部100は、透明の原稿載置台(原稿台ガラス)111と、原稿台ガラス111上に載置された原稿の画像を走査して読み取るための原稿画像読み取りユニット、すなわちスキャナユニット110と、OCマット114が付加された原稿カバー113と、原稿台ガラス111上へ自動的に原稿を供給するための両面対応自動原稿送り装置(RADF)120とから構成されている。RADF120は、原稿カバー113に取り付けられている。また、OCマット114は、RADF120用にベルト式に回転できるように設けられている。
スキャナユニット110は、原稿面上を露光するランプリフレクタアセンブリと、原稿からの反射光像を電気的画像信号に変換する光電変換素子(CCD)124に導くための第1反射ミラーを搭載した第1走査ユニット121と、第2,第3反射ミラーを搭載した第2走査ユニット122と、反射光像をCCD124上に結像するための光学レンズ体123とから構成される。第1走査ユニット121は原稿台ガラス111に沿って左から右へ一定速度Vで走行し、第2走査ユニット122はV/2の速度で同一方向に走行するように走査制御される。
これにより、画像読取部100では、RADF120とスキャナユニット110の関連した動作によって、原稿台ガラス111上に読み取るべき原稿を順次載置させながら、原稿台ガラス111の下面に沿ってスキャナユニット110を移動させて、原稿台ガラス111上に載置された原稿の画像を1ライン毎に順次CCD124に結像させて、原稿画像を読み取る。また、読取対象の原稿は、原稿カバー113を開けて原稿台ガラス111に載置することも可能となっている。
本発明に係る原稿サイズ検知装置は、光センサ12a〜12cに相当する光センサ112a〜112c、スイッチ15に相当するスイッチ115、角度検出センサ16に相当する角度検出センサ116、並びにそれらを制御する制御部17に相当する制御部(図示せず)として、画像読取部100に搭載されている。そして、原稿台ガラス111の下面に沿ってスキャナユニット110を移動させる前などに、光センサ112a〜112cによって原稿有無が検知され、原稿サイズが判定できる。判定された原稿サイズに基づき、スキャナユニット110の移動範囲を限定したり、また読み取った画像データの変倍処理などが実行される。
また、原稿画像をスキャナユニット110で読み取ることにより得られた画像データは、各種処理が施された後、図示しないメモリに一旦記憶され、出力指示に応じてメモリから画像データを画像形成部に出力して、感光体ドラム142上に可視画像として再現した後、用紙上に画像を転写してトナー像を形成する。
この画像形成部は、レーザ書き込みユニット(LSU)141及び画像を形成するための電子写真プロセス部140を備えている。LSU141は、メモリから読み出した画像データ又はPC等の外部機器から転送されてきた画像データに応じてレーザ光を出射する半導体レーザ、レーザ光を等角速度偏向するポリゴンミラー、等角速度偏向されたレーザ光が電子写真プロセス部140の感光体ドラム142上を等速度で走査するように補正するf−θレンズ等を有している。
電子写真プロセス部140は、周知の態様に従い、感光体ドラム142の周囲に帯電装置143、現像装置144、転写装置145、剥離装置146、クリーニング装置147、除電装置を配置し、さらに感光体ドラム142の下流側に定着装置148を配置して構成される。
給紙部は、第1〜3カセット131〜133、手差しトレイ135、及び大容量カセット134を有している。第1カセット131は、第1のトレイ及び第2のトレイを収容するタンデムトレイで、両トレイを装置本体から同時に引き出し可能となっている。第2カセット132,第3カセット133は、それぞれ第3のトレイ、第4のトレイを収容する。大容量カセット134は第5のトレイである。給紙搬送部136,137は、給紙部から感光体ドラム142と転写装置145との間の転写位置に用紙を搬送するために、給紙ローラ、搬送ローラ、レジストローラを備えている。これらの5つのトレイには、用紙がサイズ毎に積載されて収容されており、使用者が所望するサイズの用紙が収容されているカセット或いはトレイを選択すると、そのトレイ内の用紙束の上から1枚ずつ送り出され、給紙搬送部136,137の搬送経路を経由して順次電子写真プロセス部140へ向けて搬送される。
定着装置148より用紙搬送方向下流側には、用紙排出路149が設けられており、この用紙排出路149は後処理装置の排紙搬送路151と、両面複写のための再給紙搬送部150とに分岐している。
LSU141及び電子写真プロセス部140において、メモリから読み出された画像データは、LSU141によってレーザ光線を走査させることにより感光体ドラム142の表面上に静電潜像として形成され、現像装置144のトナーにより可視像化されたトナー像は給紙部から搬送された用紙の表面上に転写装置145により静電転写され、定着装置148によって定着される。
このようにして画像が形成された用紙は定着装置148から後処理装置へ送られ、或いは両面複写のための再給紙搬送部150へと選択的に搬送される。後処理装置に送られた用紙は、必要に応じてソート或いはステープル処理等の所定の処理が施され、第1排出卜レイ153又は第2排出卜レイ154にスタックされる。また、両面複写の再給紙搬送部150に送られた用紙は、ここで反転され再び電子写真プロセス部140に搬送されて、用紙の裏面に画像が形成され、定着後排出される。
後処理装置は、第1排出卜レイ153と第2排出卜レイ154が備えられている。第2排出卜レイ154は、画像形成部から排出された画像の形成されたシートを、後処理装置の側面上部に設けられた受け取り排紙搬送路151によって受け取り、シートがそのままの状態で排出される排出部である。第1排出卜レイ153は、ステープル,パンチ等選択的に装着される後処理手段152により後処理が成されたシートが排出される排出部である。後処理装置において、画像の形成されたシートは、使用者によって選択された第1排出卜レイ153又は第2排出卜レイ154から排出されるよう構成されている。
図7で例示する画像形成装置は両面印刷に対応しており、そのための構成について以下に説明する。画像が記録されたシートは、定着装置148を経て搬送ローラ155によりさらに上方搬送され、切換えゲート159を通過する。そして、シートの排出トレイが画像形成部の外装に備えられた積載トレイ157に設定されている場合は、反転ローラ156により積載トレイ157に排出される。一方、両面画像形成や後処理が指定されている場合には、一旦反転ローラ156により積載トレイ157に向けてシートを排出する。なお、この場合には、シートを完全に排出せず、シートを挟持させたまま反転ローラ156を逆転させる。そして、上記シートを逆方向、つまり両面画像形成や後処理のために選択的に装着されている再給紙搬送部150や後処理装置の装着されている方向に、反転搬送する。
このとき、切換えゲート159は、図の実線の状態(上向き)から破線の状態(下向き)に切換えられる。両面画像形成を行なう場合は、反転搬送されたシートは、別の切換えゲート158が上向き(破線)の状態で、再給紙搬送部150を通り、再び画像形成部に供給される。一方、後処理が成される場合は、再給紙搬送部150から別の切換えゲート158が下向き(実線)の状態で、後処理装置に搬送され、後処理が成されるようになっている。