JP2012068291A - 液晶表示装置の背面側偏光板及びそれが具備された液晶表示装置 - Google Patents

液晶表示装置の背面側偏光板及びそれが具備された液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】光散乱性を有するとともに、耐熱性と透湿性を有するバックライト側偏光膜保護フィルムが備えられた背面側偏光板、及び当該背面側偏光板が具備された液晶表示装置を提供する。
【解決手段】バックライトを備えた液晶表示装置の背面側偏光板であって、バックライト側の偏光膜保護フィルムが、その内部に、断面形状における最大径が0.05〜3μmの範囲内である空孔を1〜90%の範囲内の占有体積率で含有している光散乱性セルロースエステルフィルムであることを特徴とする液晶表示装置の背面側偏光板。
【選択図】図3

Description

本発明は、バックライトを有する液晶表示装置の背面側偏光板及びそれが具備された液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は、CRTに比べて低消費電力・薄型化が可能なことから、表示装置として普及し、需要も拡大している。近年では、携帯電話などのモバイル用途や壁掛けテレビとしての応用が盛んである。そのため、従来よりも液晶表示装置の薄型化の要望が高まっている。このような要請に対し、特許文献1に示されるような、液晶セルとバックライトの間に配置される背面側偏光板のバックライト側偏光板保護フィルム自体に光拡散性を付与することで、バックライトユニットの1つまたは複数の光拡散シートを省略し、部品点数を削減する技術が知られている。
特許文献2には、セルロースエステル樹脂とアクリル樹脂の混合溶液を用いて、溶液流延製膜法により光散乱性を有する偏光板保護フィルムが示されている。
特許文献3には、ポリエチレンテレフタラート(PET)フィルムを延伸し、内部に空孔を有するPETフィルムとし、背面側偏光板のバックライト側偏光板保護フィルム上に、粘着層を介して設ける技術が知られている。
また、液晶表示装置は、自ら発光する機能を持たないため、表示装置としてバックライトが必要となる。このバックライトには熱が生じるため、背面側偏光板のバックライト側偏光板保護フィルムには耐熱性が求められる。ここで、特許文献1に示される光拡散性偏光板保護フィルムは粒子を用いて光拡散性を付与しているため、熱がかかった際にマトリクス樹脂と散乱体の間で熱収縮差が大きく、光拡散性にムラが生じ、表示品質の低下が生じるという問題があった。
また、偏光板の偏光膜としては、ポリビニルアルコール系フィルムを延伸した後、ヨウ素染色したものが一般に用いられているが、この製造時に偏光膜の水が抜けきらず時間の経過と共に偏光膜が劣化する問題が知られている。特許文献2には光散乱性を付与する記載はあるが、偏光板製造時の水を抜けやすくし、偏光膜の劣化を防止させる機能は有していない。
また、特許文献3はPETフィルムを用いており、偏光板接着の際に接着層が別途必要となるため、偏光板製造時の水を抜けやすくし、偏光膜の劣化を防止させる機能は有していない。
特開2010−85627号公報 特許4115030号公報 特開2010−26454号公報
本発明は、上記問題・状況にかんがみてなされたものであり、その解決課題は、光散乱性を有するとともに、耐熱性と透湿性を有するバックライト側偏光膜保護フィルムが備えられた背面側偏光板、及び当該背面側偏光板が具備された液晶表示装置を提供することである。
本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.バックライトを備えた液晶表示装置の背面側偏光板であって、バックライト側の偏光膜保護フィルムが、その内部に、断面形状における最大径が0.05〜3μmの範囲内である空孔を1〜90%の範囲内の占有体積率で含有している光散乱性セルロースエステルフィルムであることを特徴とする液晶表示装置の背面側偏光板。
2.前記光散乱性セルロースエステルフィルムのJIS Z 0208に準拠して測定した透湿度が、温度25±0.5℃、相対湿度90±2%において、1000〜1500g/m・24hの範囲内であることを特徴とする前記第1項に記載の液晶表示装置の背面側偏光板。
3.前記光散乱性セルロースエステルフィルムが、その表面にフィルム内の前記空孔に依存した開口部を有しており、当該表面の算術表面粗さRaが50nm未満であり、当該表面がバックライト側を向いて配置されていることを特徴とする前記第1項または第2項に記載の液晶表示装置の背面側偏光板。
4.前記光散乱性セルロースエステルフィルムが、良溶媒と貧溶媒とからなる混合溶媒に樹脂を溶解したドープを無端支持体の上に流延し、ウェブを形成した後、前記無端支持体から剥離し、乾燥する工程を含む溶液流延法で製造され、かつ23℃における相対湿度が70%以上である工程を経て製造されることを特徴とする前記第1項から第3項までのいずれか一項に記載の液晶表示装置の背面側偏光板。
5.前記第1項から第4項までのいずれか一項に記載の液晶表示装置の背面側偏光板が具備されていることを特徴とする液晶表示装置。
本発明の上記手段により、光散乱性を有するとともに、耐熱性と透湿性を有するバックライト側偏光膜保護フィルムが備えられた背面側偏光板、及び当該背面側偏光板が具備された液晶表示装置を提供することができる。
偏光膜保護フィルムの拡大概略図 溶液流延法による偏光膜保護フィルムの製造装置例の概略図 液晶表示装置用バックライトユニットの構成の概略図
本発明の液晶表示装置の背面側偏光板は、バックライトを備えた液晶表示装置の背面側偏光板であって、バックライト側の偏光膜保護フィルムが、その内部に、断面形状における最大径が0.05〜3μmの範囲内である空孔を1〜90%の範囲内の占有体積率で含有している光散乱性セルロースエステルフィルムであることを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項5までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記光散乱性セルロースエステルフィルムのJIS Z 0208に準拠して測定した透湿度が、温度25±0.5℃、相対湿度90±2%において、1000〜1500g/m・24hの範囲内であることが好ましい。さらに、当該光散乱性セルロースエステルフィルムが、その表面にフィルム内の前記空孔に依存した開口部を有しており、当該表面の算術表面粗さRaが50nm未満であり、当該表面がバックライト側を向いて配置されていることが好ましい。
また、当該光散乱性セルロースエステルフィルムが、良溶媒と貧溶媒とからなる混合溶媒に樹脂を溶解したドープを無端支持体の上に流延し、ウェブを形成した後、前記無端支持体から剥離し、乾燥する工程を含む溶液流延法で製造され、かつ23℃における相対湿度が70%以上である工程を経て製造されることが好ましい。
本発明の液晶表示装置の背面側偏光板は、バックライトを備えた液晶表示装置に好適に用いることができる。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
(液晶表示装置の背面側偏光板の概要)
本発明の液晶表示装置の背面側偏光板は、バックライトを備えた液晶表示装置の背面側偏光板であって、バックライト側の偏光膜保護フィルムが、その内部に、断面形状における最大径が0.05〜3μmの範囲内である空孔を1〜90%の範囲内の占有体積率で含有している光散乱性セルロースエステルフィルムであることを特徴とする。
なお、本発明に係る「空孔」は、溶媒蒸発による発砲、中空粒子添加、発泡剤添加といった公知の技術を用いて形成することができる。特に溶媒蒸発による発砲が好ましく、特に良溶媒と貧溶媒からなる溶媒蒸発による発砲が特に好ましい。空孔の占有体積率は、フィルムの製膜条件、特に、良溶媒と貧溶媒とからなる混合溶媒の量とその組成、延伸工程、乾燥工程などの工程の条件等の制御によって調整することができる。
本発明の実施の形態を、図1を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。図1(a)は偏光膜保護フィルムとしての光散乱性セルロースエステルフィルム(以下において、適宜、「樹脂フィルム」又は「光学フィルム」という。)の拡大概略断面図である。図1(b)は図1(a)のTで示される部分の拡大概略図である。
図中、樹脂フィルム1は、厚さ方向(図中の矢印方向)で空孔2の密度が均一でも、厚さ方向(図中の矢印方向)で空孔2の密度が順次異なる部分を有していてもよい。なお、「密度が順次異なる」とは、厚さ方向(図中の矢印方向)で空孔2の密度が順次異なることをいう。
本発明において、厚さ方向(図中の矢印方向)で空孔2の密度が順次異なる部分を有している場合は、例えば、図1(a)において、Xは空孔2の密度が、0〜1個/μmの範囲で厚さ方向(図中の矢印方向)で順次異なる部分を示し、本願では、この部分を第1相という。密度が1個/μmを超える場合は、第1相と第2相の構成を有さなくなる。
Yは空孔2の密度が、2〜5000個/μmの範囲で厚さ方向(図中の矢印方向)で順次異なる部分を示し、本願では、この部分を第2相という。密度が5000個/μmを超える場合は、第2相の樹脂の割合が少なくなり、樹脂フィルム上から樹脂が脱落する場合がある。空孔2の密度は以下に示す方法で測定した値を示す。
〈空孔2の密度測定方法〉
走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:以下「SEM」と略す。)を使用し、樹脂フィルムの断面を倍率15000倍で測定し、樹脂中の空孔の数を測定し、密度を算出した。
第1相Xの空孔2の占有体積率は、樹脂フィルムの構成(第1相/第2相)を考慮し、0〜3%が好ましい。
第2相Yの空孔2の占有体積率は、樹脂フィルムの機能、第2相としての機能維持等を考慮し、3〜85%が好ましい。
空孔2の占有体積の割合、すなわち、占有体積率は以下に示す方法で占有体積を求め、以下に示す式から計算で求めた値を示す。
〈空孔の占有体積率の求める方法〉
個の空孔の体積の求め方
SEM(倍率15000倍)で撮影した樹脂フィルムの断面撮像から、空孔の最大直径を測定し平均値を求め、求められた最大直径の1/2を空孔の半径rとし使用した。求められた半径rを用い、球の体積を求める式(4πr/3)より計算で求めた。
一定体積中の空孔の体積=個の空孔の体積×一定体積中の空孔の数
占有体積率(%)=一定体積中の空孔の体積/樹脂フィルムの一定体積
本発明においては、樹脂フィルム1の厚さ方向(図中の矢印方向)で第2相Yの占める割合は、樹脂フィルムの機能(例えば、防眩性)、表面の平滑性等を考慮し、1〜85%の範囲内であることを要する。
また、空孔2の最大径は、空孔の分布の均一性、樹脂フィルムの光学性能の維持等を考慮、0.05〜3μm範囲内であることを要する。
空孔2の最大径(「大きさ」ともいう。)とは、断面形状における空孔2の最大径をいう。最大径は、SEMを使用し、樹脂フィルムの断面を撮影(倍率15000倍)で測定し、得られた撮像から空孔の最大直径を実測し求めた値を示す。
空孔2は樹脂フィルム1の表面では開口部2Aを有した状態となっており、樹脂フィルム1の内部では密封された状態の空孔となっている。開口部2Aの大きさは、空孔2の樹脂フィルム5の表面から位置と、空孔2の大きさにより異なるため一義的に規定することは困難である。空孔2の断面形状は特に限定はなく、例えば円、楕円等が挙げられる。
なお、「空孔に依存した開口部」とは、樹脂フィルム内部であれば、空孔として形成されるものが、表面近傍で形成されたため開口部を有することになったことをいう。
本発明において、図1に示される空孔の密度が異なる相を有する樹脂フィルムは以下の特徴を有している。
1.空孔が存在することで光を散乱させるため防眩性を有している。
2.空孔が存在することで光を散乱させるため光散乱シートとして使用することが可能である。
3.空孔が存在することで光を散乱させるため防眩性を有していることから液晶表示用部材への転用も可能である。
4.従来、光学用フィルムに防眩性を付与させるために、例えば面に凹凸を付ける加工処理工程を必要としたが製造段階で防眩性を有しているため、工程の簡略化、生産効率向上が可能となる。
<セルロースエステル>
本発明に係るセルロースエステルは、好ましくは、セルロースエステルのアシル総置換度が2.0〜2.90の範囲内であり、かつアシル基総炭素数が4.0〜90の範囲内であるセルロースエステルである。但し、アシル基総炭素数は、セルロースエステルのグルコース単位に置換されている各アシル基の置換度と炭素数の積の総和である。
さらに、脂肪族アシル基の炭素数は、セルロース合成の生産性、コストの観点から、2以上6以下が好ましく、2以上4以下がさらに好ましい。なお、アシル基で置換されていない部分は通常ヒドロキシル基(水酸基)として存在している。
β−1,4−グリコシド結合でセルロースを構成しているグルコース単位は、2位、3位及び6位に遊離のヒドロキシル基(水酸基)を有している。本発明におけるセルロースエステルは、これらのヒドロキシル基(水酸基)の一部又は全部をアシル基によりエステル化した重合体(ポリマー)である。アシル基置換度とは、繰り返し単位の2位、3位及び6位について、セルロースがエステル化している割合の合計を表す。具体的には、セルロースの2位、3位及び6位のそれぞれのヒドロキシル基(水酸基)が100%エステル化した場合をそれぞれ置換度1とする。したがって、セルロースの2位、3位及び6位のすべてが100%エステル化した場合、置換度は最大の3となる。
アシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ペンタネート基、ヘキサネート基等が挙げられ、セルロースエステルとしては、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースペンタネート等が挙げられる。また、上述の側鎖炭素数を満たせば、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートペンタネート等のように混合脂肪酸エステルでもよい。この中でも、特にセルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースプロピオネートが光学フィルム用途として好ましいセルロースエステルである。
セルローストリアセテート以外で好ましいセルロースエステルは炭素原子数2〜4のアシル基を置換基として有し、アセチル基の置換度をXとし、プロピオニル基又はブチリル基の置換度をYとした時、下記式(I)及び(II)を同時に満たすセルロースエステルを含むセルロースエステルである。
式(I) 2.0≦X+Y≦2.90
式(II) 0≦X≦2.5
この内、特にセルロースアセテートプロピオネートが好ましく用いられ、中でも0.1≦X≦2.5、0.1≦Y≦2.8であることが好ましい。アシル基で置換されていない部分は通常ヒドロキシル基(水酸基)として存在しているものである。アシル基置換度の測定方法はASTM−D817−96に準じて測定することができる。
本発明に係るセルロースエステルは、重量平均分子量Mwが50,000〜500,000のものが好ましく、より好ましくは100,000〜300,000であり、更に好ましくは150,000〜250,000である。
セルロースエステルの平均分子量及び分子量分布は、高速液体クロマトグラフィーを用い測定できるので、これを用いて重量平均分子量(Mw)、分子量分布を算出する。
測定条件は以下の通りである。
溶媒:メチレンクロライド
カラム:Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ:L6000(日立製作所(株)製)
流量:1.0ml/min
校正曲線:標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)
Mw=1000000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いることが好ましい。
本発明で用いられるセルロースエステルの原料セルロースは、木材パルプでも綿花リンターでもよく、木材パルプは針葉樹でも広葉樹でもよい。これらから作られたセルロースエステルは適宜混合して、或いは単独で使用することができる。
例えば、綿花リンター由来セルロースエステル:木材パルプ(針葉樹)由来セルロースエステル:木材パルプ(広葉樹)由来セルロースエステルの比率が100:0:0、90:10:0、85:15:0、50:50:0、20:80:0、10:90:0、0:100:0、0:0:100、80:10:10、85:0:15、40:30:30で用いることができる。
本発明では重合度の高いセルロースが好ましく、例えば、リンターパルプが好ましく、セルロースは、少なくともリンターパルプで構成されたセルロースを使用することが好ましい。セルロースの結晶化度の指標となるα−セルロース含有量は、90%以上(例えば、92〜100%、好ましくは90〜100%、さらに好ましくは990〜100%程度)である。
<添加剤>
本発明に係る偏光膜保護フィルムとしての光散乱性セルロースエステルフィルム(以下において、適宜、「光学フィルム」には、目的に応じて種々の添加剤を含有させることができる。以下において、本発明に用いるできる添加剤について説明する。
(糖エステル化合物)
セルロースエステルに加えられるポリエステル系樹脂として糖エステル化合物が挙げられる。
糖エステル化合物としては、例えば、ピラノース構造又はフラノース構造の少なくとも一種を1個以上12個以下有しその構造のOH基のすべてもしくは一部をエステル化したエステル化合物が挙げられる。
エステル化の割合としては、ピラノース構造又はフラノース構造内に存在するOH基の70%以上であることが好ましい。
前記糖エステル化合物の合成原料の糖の例としては、例えば以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、キシロース、あるいはアラビノース、ラクトース、スクロース、ニストース、1F−フラクトシルニストース、スタキオース、マルチトール、ラクチトール、ラクチュロース、セロビオース、マルトース、セロトリオース、マルトトリオース、ラフィノースあるいはケストース挙げられる。
この他、ゲンチオビオース、ゲンチオトリオース、ゲンチオテトラオース、キシロトリオース、ガラクトシルスクロースなども挙げられる。
これらの化合物の中で、特にピラノース構造とフラノース構造を両方有する化合物が好ましい。
例としてはスクロース、ケストース、ニストース、1F−フラクトシルニストース、スタキオースなどが好ましく、更に好ましくは、スクロースである。
前記ピラノース構造又はフラノース構造中のOH基のすべてもしくは一部をエステル化するのに用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることができる。用いられるカルボン酸は一種類でもよいし、二種以上の混合であってもよい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、オクテン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、酢酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、又はそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基、アルコキシ基を導入した芳香族モノカルボン酸、ケイ皮酸、ベンジル酸、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、又はそれらの誘導体を挙げることができ、より、具体的には、キシリル酸、ヘメリト酸、メシチレン酸、プレーニチル酸、γ−イソジュリル酸、ジュリル酸、メシト酸、α−イソジュリル酸、クミン酸、α−トルイル酸、ヒドロアトロパ酸、アトロパ酸、ヒドロケイ皮酸、サリチル酸、o−アニス酸、m−アニス酸、p−アニス酸、クレオソート酸、o−ホモサリチル酸、m−ホモサリチル酸、p−ホモサリチル酸、o−ピロカテク酸、β−レソルシル酸、バニリン酸、イソバニリン酸、ベラトルム酸、o−ベラトルム酸、没食子酸、アサロン酸、マンデル酸、ホモアニス酸、ホモバニリン酸、ホモベラトルム酸、o−ホモベラトルム酸、フタロン酸、p−クマル酸を挙げることができるが、特に安息香酸が好ましい。
ピラノース構造単位又はフラノース構造単位の少なくとも一種を1〜12個を有する化合物として、オリゴ糖のエステル化合物を適用することができる。
オリゴ糖は、澱粉、ショ糖等にアミラーゼ等の酵素を作用させて製造されるもので、該オリゴ糖としては、例えば、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖が挙げられる。
以下に、糖エステル化合物の一例を下記に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
モノペットSB:第一工業製薬社製、モノペットSOA:第一工業製薬社製。
これらの糖エステル化合物の添加量としては、前記重合体(A)とセルロースエステルの総質量に対して、0.5〜30質量%含むことが好ましく、特には、5〜20質量%含むことが好ましい。
(可塑剤)
本発明に係る光学フィルムは、可塑剤を含有させることができる。可塑剤としては特に限定されないが、好ましくは、多価カルボン酸エステル系可塑剤、グリコレート系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤及び多価アルコールエステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、アクリル系可塑剤等から選択される。そのうち、可塑剤を二種以上用いる場合は、少なくとも一種は多価アルコールエステル系可塑剤であることが好ましい。
多価アルコールエステル系可塑剤は2価以上の脂肪族多価アルコールとモノカルボン酸のエステルよりなる可塑剤であり、分子内に芳香環又はシクロアルキル環を有することが好ましい。好ましくは2〜20価の脂肪族多価アルコールエステルである。
本発明に好ましく用いられる多価アルコールは次の一般式(a)で表される。
一般式(a): Ra−(OH)
(但し、Raはn価の有機基、nは2以上の正の整数、OH基はアルコール性、及び/又はフェノール性ヒドロキシル基(水酸基)を表す。)
好ましい多価アルコールの例としては、例えば以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。アドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール等を挙げることができる。特に、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、キシリトールが好ましい。
多価アルコールエステルに用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることができる。脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸を用いると透湿性、保留性を向上させる点で好ましい。
好ましいモノカルボン酸の例としては以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数1〜32の直鎖又は側鎖を有する脂肪酸を好ましく用いることができる。炭素数は1〜20であることが更に好ましく、1〜10であることが特に好ましい。酢酸を含有させるとセルロースエステルとの相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いることも好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、又はそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基、メトキシ基或いはエトキシ基などのアルコキシ基を1〜3個を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、又はそれらの誘導体を挙げることができる。特に安息香酸が好ましい。
多価アルコールエステルの分子量は特に制限はないが、300〜1500であることが好ましく、350〜750であることが更に好ましい。分子量が大きい方が揮発し難くなるため好ましく、透湿性、セルロースエステルとの相溶性の点では小さい方が好ましい。
多価アルコールエステルに用いられるカルボン酸は一種類でもよいし、二種以上の混合であってもよい。また、多価アルコール中のOH基は、全てエステル化してもよいし、一部をOH基のままで残してもよい。
グリコレート系可塑剤は特に限定されないが、アルキルフタリルアルキルグリコレート類が好ましく用いることができる。アルキルフタリルアルキルグリコレート類としては、例えばメチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルメチルグリコレート、ブチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルオクチルグリコレート、エチルフタリルオクチルグリコレート、オクチルフタリルメチルグリコレート、オクチルフタリルエチルグリコレート等が挙げられる。
フタル酸エステル系可塑剤としては、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジシクロヘキシルテレフタレート等が挙げられる。
クエン酸エステル系可塑剤としては、クエン酸アセチルトリメチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル等が挙げられる。
脂肪酸エステル系可塑剤として、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル等が挙げられる。
リン酸エステル系可塑剤としては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等が挙げられる。
多価カルボン酸エステル化合物としては、2価以上、好ましくは2価〜20価の多価カルボン酸とアルコールのエステルよりなる。また、脂肪族多価カルボン酸は2〜20価であることが好ましく、芳香族多価カルボン酸、脂環式多価カルボン酸の場合は3価〜20価であることが好ましい。
多価カルボン酸は次の一般式(b)で表される。
一般式(b): Rb(COOH)(OH)
(但し、Rbは(m+n)価の有機基、mは2以上、6以下の正の整数、nは0以上、4以下の整数、COOH基はカルボキシル基、OH基はアルコール性又はフェノール性ヒドロキシル基(水酸基)を表す。)
好ましい多価カルボン酸の例としては、例えば以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸のような3価以上の芳香族多価カルボン酸又はその誘導体、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、テトラヒドロフタル酸のような脂肪族多価カルボン酸、酒石酸、タルトロン酸、リンゴ酸、クエン酸のようなオキシ多価カルボン酸などを好ましく用いることができる。特にオキシ多価カルボン酸を用いることが、保留性向上などの点で好ましい。
前記多価カルボン酸エステル化合物に用いられるアルコールとしては特に制限はなく公知のアルコール、フェノール類を用いることができる。例えば炭素数1〜32の直鎖又は側鎖を持った脂肪族飽和アルコール又は脂肪族不飽和アルコールを好ましく用いることができる。炭素数1〜20であることが更に好ましく、炭素数1〜10であることが特に好ましい。また、シクロペンタノール、シクロヘキサノールなどの脂環式アルコール又はその誘導体、ベンジルアルコール、シンナミルアルコールなどの芳香族アルコール又はその誘導体なども好ましく用いることができる。
多価カルボン酸としてオキシ多価カルボン酸を用いる場合は、オキシ多価カルボン酸のアルコール性又はフェノール性のヒドロキシル基(水酸基)をモノカルボン酸を用いてエステル化しても良い。好ましいモノカルボン酸の例としては以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
脂肪族モノカルボン酸としては炭素数1〜32の直鎖又は側鎖を持った脂肪酸を好ましく用いることができる。炭素数1〜20であることが更に好ましく、炭素数1〜10であることが特に好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸などの飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸などの不飽和脂肪酸などを挙げることができる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、又はそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸などの安息香酸のベンゼン環にアルキル基を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸などの2個以上の環をもつ芳香族モノカルボン酸、又はそれらの誘導体を挙げることができる。
これらのモノカルボン酸のうち、特に酢酸、プロピオン酸、安息香酸であることが好ましい。
多価カルボン酸エステル化合物の分子量は特に制限はないが、分子量300〜1000の範囲であることが好ましく、350〜750の範囲であることが更に好ましい。保留性向上の点では大きい方が好ましく、透湿性、セルロースエステルとの相溶性の点では小さい方が好ましい。
前記多価カルボン酸エステルに用いられるアルコール類は一種類でも良いし、二種以上の混合であっても良い。
前記多価カルボン酸エステル化合物の酸価は1mgKOH/g以下であることが好ましく、0.2mgKOH/g以下であることが更に好ましい。酸価を上記範囲にすることによってリターデーションの環境変動も抑制されるため好ましい。
(酸価)
本発明における酸価とは、試料1g中に含まれる酸(試料中に存在するカルボキシル基)を中和するために必要な水酸化カリウムのミリグラム数をいう。酸価はJIS K0070に準拠して測定したものである。
特に好ましい多価カルボン酸エステル化合物の例を以下に示すが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、トリエチルシトレート、トリブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート(ATEC)、アセチルトリブチルシトレート(ATBC)、ベンゾイルトリブチルシトレート、アセチルトリフェニルシトレート、アセチルトリベンジルシトレート、酒石酸ジブチル、酒石酸ジアセチルジブチル、トリメリット酸トリブチル、ピロメリット酸テトラブチル等が挙げられる。
ポリエステル系可塑剤は特に限定されないが、分子内に芳香環又はシクロアルキル環を有するポリエステル系可塑剤を用いることができる。ポリエステル系可塑剤としては、特に限定されないが、例えば、下記一般式(c)で表せる芳香族末端エステル系可塑剤を用いることができる。
一般式(c): B−COO−((G−O−)−CO−A−COO−)G−O−CO−B
(式中、Bはベンゼン環を表し他に置換基を有しても良い。Gは炭素数2〜12のアルキレン基又は炭素数6〜12のアリーレン基又は炭素数が4〜12のオキシアルキレン基、Aは炭素数2〜10のアルキレン基又は炭素数4〜10のアリーレン基を表し、また、m、nは繰り返し単位を表す。)
一般式(c)の化合物は、BCOOHで表されるベンゼンモノカルボン酸基、HO−(G−O−)Hで表されるアルキレングリコール基又はオキシアルキレングリコール基又はアリールグリコール基、HOCO−A−COO−Hで表されるアルキレンジカルボン酸基又はアリールジカルボン酸基とから合成されるものであり、通常のポリエステル系可塑剤と同様の反応により得られる。
前記ポリエステル系可塑剤の原料のベンゼンモノカルボン酸成分としては、例えば、安息香酸、パラターシャリブチル安息香酸、オルソトルイル酸、メタトルイル酸、パラトルイル酸、ジメチル安息香酸、エチル安息香酸、ノルマルプロピル安息香酸、アミノ安息香酸、アセトキシ安息香酸等があり、これらはそれぞれ一種又は二種以上の混合物として使用することができる。
前記ポリエステル系可塑剤の原料のアルキレングリコール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、2−メチル1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオール、2−エチル1,3−ヘキサンジオール、2−メチル1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール等があり、これらのグリコールは、一種又は二種以上の混合物として使用される。特に炭素数2〜12のアルキレングリコールがセルロースエステルとの相溶性に優れているため、特に好ましい。
また、上記芳香族末端エステルの原料の炭素数4〜12のオキシアルキレングリコール成分としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等があり、これらのグリコールは、一種又は二種以上の混合物として使用できる。
芳香族末端エステルの原料の炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸成分としては、例えば、コハク酸、マレイン酸、フマール酸、グルタール酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等があり、これらは、それぞれ一種又は二種以上の混合物として使用される。炭素数6〜12のアリーレンジカルボン酸成分としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸等がある。
前記ポリエステル系可塑剤は、数平均分子量が、好ましくは300〜1500、より好ましくは400〜1000の範囲が好適である。また、その酸価は、0.5mgKOH/g以下、ヒドロキシル(水酸基)価は25mgKOH/g以下より好ましくは酸価は0.3mgKOH/g以下、ヒドロキシル(水酸基)価は15mgKOH/g以下のものである。
(アクリル系重合体)
本発明に係る光学フィルムは、可塑剤として(メタ)アクリル系重合体を含有することもできる。
(メタ)アクリル系重合体は、芳香環を有さないエチレン性不飽和モノマーYaを重合して得られた重量平均分子量500以上3000以下の重合体Yであることが好ましい。
(メタ)アクリル系重合体としては、少なくとも分子内に芳香環とヒドロキシル基(水酸基)を有しないエチレン性不飽和モノマーXaと、分子内に芳香環を有さずヒドロキシル基(水酸基)を有するエチレン性不飽和モノマーXbとを共重合して得られた重量平均分子量3000以上30000以下の重合体X、及び芳香環を有さないエチレン性不飽和モノマーYaを重合して得られた重量平均分子量500以上3000以下の重合体Yの混合物であることがさらに好ましい。
前記重合体Xは下記一般式(X)で示され、前記重合体Yは下記一般式(Y)で示されることがさらに好ましい。
一般式(X)
−[CH−C(Rc)(CORd)−]−[CH−C(Re)(CORf−OH)−]−[Xc]
一般式(Y)
Ry−[CH−C(Rg)(CORh−OH)−]−[Yb]
(式中、Rc、Re、Rgは、H又はCHを表す。Rdは炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基を表す。Rf、Rhは−CH−、−C−又はC−を表す。RyはOH、H又は炭素数3以内のアルキル基を表す。Xcは、Xa、Xbに重合可能なモノマー単位を表す。Ybは、Yaに共重合可能なモノマー単位を表す。m、n、k、p及びqは、モル組成比を表す。ただしm≠0、n≠0、k≠0である。)
これらの可塑剤の添加量としては、前記重合体(A)とセルロースエステルの総質量に対して、0.5〜30質量%含むことが好ましく、特には、5〜20質量%含むことが好ましい。
(紫外線吸収剤)
本発明に係る光学フィルムは、紫外線吸収剤を含有することもできる。紫外線吸収剤は400nm以下の紫外線を吸収することで、耐久性を向上させることを目的としており、特に波長370nmでの透過率が10%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以下、更に好ましくは2%以下である。
前記紫外線吸収剤は特に限定されないが、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、トリアジン系化合物、ニッケル錯塩系化合物、無機粉体等が挙げられる。
例えば、5−クロロ−2−(3,5−ジ−sec−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、(2−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2,4−ベンジルオキシベンゾフェノン等があり、また、チヌビン109、チヌビン171、チヌビン234、チヌビン326、チヌビン327、チヌビン328、チヌビン928等のチヌビン類があり、これらはいずれもBASFジャパン社製の市販品であり好ましく使用できる。
本発明で好ましく用いられる紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤であり、特に好ましくはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、である。
この他、1,3,5−トリアジン環を有する化合物等の円盤状化合物も紫外線吸収剤として好ましく用いられる。
本発明におけるセルロースエステル溶液は紫外線吸収剤を二種以上含有することが好ましい。また、紫外線吸収剤としては高分子紫外線吸収剤も好ましく用いることができ、特に特開平6−148430号公報記載のポリマータイプの紫外線吸収剤が好ましく用いられる。
紫外線吸収剤の添加方法は、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコールやメチレンクロライド、酢酸メチル、アセトン、ジオキソラン等の有機溶媒あるいはこれらの混合溶媒に紫外線吸収剤を溶解してからドープに添加するか、又は直接ドープ組成中に添加してもよい。
無機粉体のように有機溶剤に溶解しないものは、有機溶剤とセルロースエステル中にディゾルバーやサンドミルを使用し、分散してからドープに添加する。
紫外線吸収剤の使用量は、紫外線吸収剤の種類、使用条件等により一様ではないが、光学フィルムの乾燥膜厚が30〜200μmの場合は、偏光板保護フィルムに対して0.5〜10質量%が好ましく、0.6〜4質量%が更に好ましい。
(酸化防止剤)
酸化防止剤は劣化防止剤ともいわれる。高湿高温の状態に液晶画像表示装置などが置かれた場合には、光学フィルムの劣化が起こる場合がある。
酸化防止剤は、例えば、光学フィルム中の残留溶媒量のハロゲンやリン酸系可塑剤のリン酸等により光学フィルムが分解するのを遅らせたり、防いだりする役割を有するので、前記光学フィルム中に含有させるのが好ましい。
このような酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の化合物が好ましく用いられ、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト等を挙げることができる。
特に、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。また、例えば、N,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン等のヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等のリン系加工安定剤を併用してもよい。
これらの化合物の添加量は、前記重合体(A)とセルロースエステルの総質量に対して質量割合で1ppm〜1.0%が好ましく、10〜1000ppmが更に好ましい。
(微粒子)
本発明に係る光学フィルムは、前記セルロースアシレート溶液の処理工程後に、微粒子を添加することができる。
該微粒子としては、無機化合物の例として、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。また、有機化合物の微粒子も好ましく使用することができる。有機化合物の例としてはポリテトラフルオロエチレン、セルロースアセテート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエチレンカーボネート、アクリルスチレン系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂、メラミン系樹脂、ポリオレフィン系粉末、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、あるいはポリ弗化エチレン系樹脂、澱粉等の有機高分子化合物の粉砕分級物もあげられる。あるいは又懸濁重合法で合成した高分子化合物、スプレードライ法あるいは分散法等により球型にした高分子化合物、又は無機化合物を用いることができる。
微粒子は珪素を含むものが濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。
微粒子の一次粒子の平均粒径は5〜400nmが好ましく、更に好ましいのは10〜300nmである。
これらは主に粒径0.05〜0.3μmの二次凝集体として含有されていてもよく、平均粒径100〜400nmの粒子であれば凝集せずに一次粒子として含まれていることも好ましい。
セルロースエステル中のこれらの微粒子の含有量は0.01〜1質量%であることが好ましく、特に0.05〜0.5質量%が好ましい。
二酸化珪素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
ポリマーの例として、シリコーン樹脂、フッ素樹脂及びアクリル樹脂を挙げることができる。シリコーン樹脂が好ましく、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(以上東芝シリコーン(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
これらの中でもアエロジル200V、アエロジルR972Vが光学フィルムの濁度を低く保ちながら、摩擦係数を下げる効果が大きいため特に好ましく用いられる。前記光学フィルムにおいては、少なくとも一方の面の動摩擦係数が0.2〜1.0であることが好ましい。
各種添加剤は製膜前の樹脂含有溶液であるドープにバッチ添加してもよいし、添加剤溶解液を別途用意してインライン添加してもよい。特に微粒子は濾過材への負荷を減らすために、一部又は全量をインライン添加することが好ましい。
添加剤溶解液をインライン添加する場合は、ドープとの混合性をよくするため、少量の樹脂を溶解するのが好ましい。好ましい樹脂の量は、溶剤100質量部に対して1〜10質量部で、より好ましくは、3〜5質量部である。
本発明においてインライン添加、混合を行うためには、例えば、スタチックミキサー(東レエンジニアリング製)、SWJ(東レ静止型管内混合器 Hi−Mixer)等のインラインミキサー等が好ましく用いられる。
(光散乱性セルロースエステルフィルムの製造装置と製造方法)
本発明の光散乱性セルロースエステルフィルムは、従来公知の製造装置、例えば、特開2008−296421号公報に開示されている各種装置を用いて製造することができる。
以下、本発明の実施の形態を、図2を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図2は、無端ベルト支持体を使用した溶液流延法による樹脂フィルムの製造装置の概略図であり、流延後、第1乾燥工程で予備乾燥し、その後テンター搬送した後、第2乾燥工程で本乾燥を行う無端ベルト支持体を使用した溶液流延法による樹脂フィルムの製造装置の概略図である。
図2中、1aは樹脂フィルムの溶液流延法の製造装置を示す。製造装置1aは、流延工程101と、第1乾燥工程102と延伸工程103と、第2乾燥工程104と、巻き取り工程105とを有している。
流延工程101は、鏡面の無端ベルト支持体101aと、樹脂を溶媒に溶解したドープ2aを、無端ベルト支持体101aに流延するダイス101bと、加熱装置101cとを有している。無端ベルト支持体101aはローラ101a1とローラ101a2とで保持され、回動(図中の矢印方向)が可能となっている。
3aは無端ベルト支持体101aにドープ2aが流延されたウェブを示す。4aは固化した状態のウェブを剥離する剥離ローラを示す。ウェブ3aの厚さは、巻き取り工程105で回収された樹脂フィルムの厚さが設定された膜厚になるように必要に応じて設定が可能となっている。
加熱装置101cは、無端ベルト支持体101aの上に流延されたドープ2aを無端ベルト支持体101aから剥離できる状態に溶媒を除去するために配設されている。
加熱装置101cは、乾燥箱101c1と、乾燥箱101c1に配設された第1加熱風供給装置101dと、第2加熱風供給装置101eと、排気管101fとを有している。第1加熱風供給装置101dは加熱風供給管101d1とヘッダー101d2とを有している。第2加熱風供給装置101eは加熱風供給管101e1とヘッダー101e2とを有している。
第1加熱風供給装置101d側の無端ベルト支持体101a上のウェブの温度及び第2加熱風供給装置101e側の無端ベルト支持体101a上のウェブの温度は、溶媒の蒸発時間に伴う搬送速度、溶媒蒸発に伴う発泡、所定の空孔の大きさ、空孔の密度の形成、生産性等を考慮し、−5℃〜70℃の範囲が好ましく、特に0℃〜60℃の範囲が好ましい。
第1加熱風供給装置101d及び第2加熱風供給装置101eから供給する加熱風の風圧は、溶媒蒸発の均一性、樹脂フィルム内の空孔の密度のムラ、空孔の大きさ等を考慮し、50〜5000Paが好ましい。
第1加熱風供給装置101dによる無端ベルト支持体101a上のウェブ3aへ供給する加熱風の温度は、一定の温度で乾燥してもよいし、無端ベルト支持体101aの移動方向で数段階の温度に分けて供給しても構わない。また、第2加熱風供給装置101eによる無端ベルト支持体101a上のウェブ3aへ供給する加熱風の供給も同じである。
本図に示す加熱装置101cは加熱風を使用した場合を示しているが、加熱手段としては特に限定はなく、この他に、例えば無端ベルト支持体101a上のウェブを赤外線ヒータで加熱する方法、無端ベルト支持体101aの裏面に温風を吹き付け裏面側から加熱する方法等が挙げられ、必要に応じて適宜選択することが可能である。
無端ベルト支持体101aの上にドープを流延した後、無端ベルト支持体101aからウェブ3aを剥離までの間での時間は作製する樹脂フィルムの膜厚、使用溶媒によって異なるが、無端ベルト支持体101aからの剥離性を考慮し、0.5〜5分の範囲が好ましい。
使用する無端ベルト支持体101aとしては、表面を鏡面仕上げしたものが好ましく、例えば鋳物で表面をメッキ仕上げした金属ベルトが好ましく用いられる。無端ベルト支持体101aの幅は1700mm〜2700mmが好ましい。流延する幅は、無端ベルト支持体101aの幅に対して、80%〜99%とすることが好ましい。
ウェブ3aを無端ベルト支持体101aより剥離する時のウェブ3aの全残留溶媒量は、無端ベルト支持体からの剥離性、剥離時の残留溶媒量、剥離後の搬送性、搬送・乾燥後に出来上がる樹脂フィルムの物理特性等を考慮し、30〜200質量%が好ましい。また、全残留溶媒量に対する良溶媒量の比率は、無端ベルト支持体からのウェブの剥離性、剥離時の残留溶媒量、剥離後の搬送性、搬送・乾燥後に出来上がる樹脂フィルムの物理特性等を考慮し10〜70%が好ましい。好ましくは5〜60%であり、更に好ましくは5〜30%である。尚、使用する溶媒に関しては後述する。
無端ベルト支持体101aより剥離した時から延伸工程での延伸開始時までのウェブ3aの残留溶媒量は、製品としての樹脂フィルムのカール、シワ等を考慮し、5〜50質量%が好ましい。
ドープ2aの樹脂フィルム形成用の樹脂の濃度は、濃度が高い方が金属支持体に流延した後の乾燥負荷が低減出来て好ましいが、樹脂フィルム形成用の樹脂の濃度が高過ぎると濾過時の負荷の増加、濾過精度の低下、空孔の形成の低下等が発生する。これらを両立する濃度としては、10〜35質量%が好ましく、更に好ましくは、15〜25質量%である。
無端ベルト支持体101aからウェブ4を剥離する際に、剥離張力及びその後の搬送張力によってウェブ3aはMD(Machine Direction)方向に延伸するため、本発明においては無端ベルト支持体101aからウェブを剥離する際は剥離及び搬送張力は50〜400N/mにすることが好ましい。
第1乾燥工程102は、乾燥風取り入れ口102bと排出口102cとを有する乾燥箱102aと、ウェブ3aを搬送する上部の搬送ローラ102dと下部の搬送ローラ102eとを有している。上部の搬送ローラ102dと下部の搬送ローラ102eとは上下で一組で、複数組から構成されている。第1乾燥工程102で延伸工程103に入る前のウェブ3aに含まれる溶媒量の調整が行うことが可能となっている。
乾燥温度は、延伸工程に入る時のウェブの残留溶媒量により異なるが、溶媒の蒸発に伴うウェブの表面への露結、残留溶媒量、伸縮率の調整、溶媒の発泡等を考慮し、20〜80℃の範囲で残留溶媒量により適宜選択して決めればよく、一定の温度で乾燥してもよいし、数段階の温度に分けて乾燥しても構わない。
本図に示す製造装置1aの場合、無端ベルト支持体101aより剥離し、延伸工程103で延伸開始時までのウェブ3aのMD方向の伸縮率は、出来上がった樹脂フィルムの弾性率、光学特性等を考慮し1%〜25%が好ましい。また、ウェブ4のTD(Transverse Direction)方向の伸縮率は、出来上がった樹脂フィルムの弾性率、光学特性等を考慮し、−1〜−25%が好ましい。
延伸工程103は、乾燥風取り入れ口103bと排出口103cとを有する外箱103aと、外箱103aの中に入れられたテンター延伸装置103dとを有している。テンター延伸装置103dに使用するテンターは特に限定はなく、例えば、クリップテンター、ピンテンター等が挙げられ、必要に応じて選択し使用することが可能である。テンター延伸装置103dでは、ウェブ4の搬送方向(MD方向)、或いは搬送方向と直角方向(TD方向)に必要に応じて延伸することが可能となっている。
なお、乾燥風取り入れ口103bと排出口103cとは逆であってもよい。延伸工程103における溶媒除去手段としては加熱風を使用した場合を示しているが、溶媒除去手段としては特に限定はなく、この他に、例えば赤外線が挙げられる。
延伸工程103で延伸開始時のウェブの全残留溶媒量は、スリキズ、収縮率、変形等を考慮し、10〜30質量%にすることが好ましい。また、全残留溶媒量に対する良溶媒量の比率は、搬送・乾燥後に出来上がる樹脂フィルムの物理特性等を考慮し、5〜50%が好ましい。好ましくは、5〜40%である。更に好ましくは、5〜30%である。
第2乾燥工程104は、乾燥風取り入れ口104bと排出口104cとを有する乾燥箱104aと、ウェブ3aを搬送する上部の搬送ローラ104dと下部の搬送ローラ104eとを有している。上部の搬送ローラ104dと下部の搬送ローラ104eとは上下で一組で、複数組から構成されている。第2乾燥工程104に配設される搬送ローラの数は、乾燥条件、方法、製造される光学用フィルムの長さ等により異なり適宜設定している。上部の搬送ローラ104dと下部の搬送ローラ104eとは駆動源によって回転駆動されない自由回転ローラとなっている。また、乾燥工程から巻き取り工程までの間には、全て自由回転する搬送ローラが用いられるわけではなく、通常、1本〜数本の搬送用駆動ローラ(駆動源によって回転駆動するローラ)の設置を必要とする。基本的に、搬送用駆動ローラは、その駆動で樹脂フィルムを搬送するのが目的であるので、ニップやサクション(エアーの吸引)などにより、樹脂フィルムの搬送と、駆動ローラの回転とを同期させる機構が付いている。
第2乾燥工程104では加熱空気、赤外線等単独または加熱空気と赤外線乾燥を併用しても構わない。簡便さの点で加熱空気で行うのが好ましい。本図は加熱空気を使用した場合を示している。乾燥温度は、乾燥工程に入る時のウェブの残留溶媒量により異なるが、乾燥時間、収縮ムラ、伸縮量の安定性等を考慮し、30〜180℃の範囲で残留溶媒量により適宜選択して決めればよく、一定の温度で乾燥してもよいし、3〜4段階の温度に分けて、数段階の温度に分けて乾燥しても構わない。
第2乾燥工程104での乾燥処理後の樹脂フィルムの残留溶媒量は、乾燥工程の負荷、保存時の寸法安定性伸縮率等を考慮し、0.01〜15質量%が好ましい。なお、本発明では流延工程で形成されたウェブが第2乾燥工程104で徐々に溶媒が除去され、全残留溶媒量が15質量%以下となったウェブを樹脂フィルムという。
巻き取り回収工程105は、巻き取り装置(不図示)を有し、第2乾燥工程104で設定した残留溶媒量とした光学用フィルム5を必要量の長さに巻き芯に巻き取る。105aは巻き芯に巻き取られたロール状の樹脂フィルムを示す。尚、巻き取る際の温度は、巻き取り後の収縮によるスリキズ、巻き緩み等を防止するために室温まで冷却することが好ましい。使用する巻き取り機は、一般的に使用されているものでよく、定テンション法、定トルク法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法などの巻き取り方法で巻き取ることができる。
巻き取り回収工程105で回収された樹脂フィルム5の伸縮率は、搬送・乾燥後に出来上がる樹脂フィルムの物理特性等を考慮し、MD方向の伸縮率が0〜20%で、TD方向の伸縮率が−3〜20%であることが好ましい。
図2に示される溶液流延法による製造装置を使用し、樹脂フィルムを製造する際の残留溶媒量(質量%)の値は、一定の大きさのウェブ(光学用フィルム)を115℃で1時間乾燥した時のウェブ(光学用フィルム)の質量をBとし、乾燥前のウェブ(光学用フィルム)の質量をAとした時、((A−B)/B)×100=残留溶媒量(質量%)で求めた値である。
図2に示される溶液流延法による製造装置を使用し、樹脂フィルムを製造する際の全残留溶媒量に対する良溶媒量の比率は、一定面積の試料を採取し、良溶媒と貧溶媒との共溶媒で抽出し、測定はヘッドスペースサンプラーを接続したヒューレット・パッカード社製ガスクロマトグラフィー5890型SERISIIとヘッドスペースサンプラーHP7694型を使用し、以下の測定条件で測定した値を示す。
ヘッドスペースサンプラー加熱条件:120℃、20分
GC導入温度:150℃
昇温:40℃、5分保持→100℃(8℃/分)
カラム:J&W社製DB−WAX(内径0.32mm、長さ30m)。
本発明におけるMD方向の伸縮率は、流延時の搬送速度に対する延伸開始時の搬送速度、もしくは流延時の搬送速度に対する巻き取り時の搬送速度により求めた値である。
また、TD方向の伸縮率は、流延時のウェブ幅に対する延伸開始時のウェブ幅、若しくは、流延時のウェブ幅に対する巻き取り時の樹脂フィルム幅により求めた値である。
図2に示される溶液流延法による製造装置を使用した樹脂フィルムの製造方法により製造される樹脂用フィルムの幅は、大型TVのように液晶表示装置への使用、偏光板加工時のフィルムの使用効率、生産効率等を考慮し、1000〜2400mmが好ましい。
また、膜厚は、液晶表示装置の薄型化、樹脂フィルムの生産安定化の観点等を考慮し、20〜70μmが好ましい。膜厚は平均膜厚を示し、幅方向に20〜200箇所を、ミツトヨ(株)製、接触式膜厚計により測定し、平均とした値を示す。なお、本発明では、厚さ20〜70μmの範囲を薄膜と定義する。
図2に示される製造装置に使用するドープ2aは、樹脂フィルム用の樹脂材料を良溶媒と、貧溶媒からなる混合溶媒を使用して作製されている。本発明では、使用する樹脂を単独で溶解するものを「良溶媒」、単独で膨潤するかまたは溶解しないものを「貧溶媒」とする。
図2に示される溶液流延法による製造装置を使用し、樹脂フィルムを製造する際の残留溶媒量(質量%)の値は、一定の大きさのウェブ(光学用フィルム)を115℃で1時間乾燥した時のウェブ(光学用フィルム)の質量をBとし、乾燥前のウェブ(光学用フィルム)の質量をAとした時、((A−B)/B)×100=残留溶媒量(質量%)で求めた値である。
図2に示される溶液流延法による製造装置を使用し、樹脂フィルムを製造する際の全残留溶媒量に対する良溶媒量の比率は、一定面積の試料を採取し、良溶媒と貧溶媒との共溶媒で抽出し、測定はヘッドスペースサンプラーを接続したヒューレット・パッカード社製ガスクロマトグラフィー5890型SERISIIとヘッドスペースサンプラーHP7694型を使用し、以下の測定条件で測定した値を示す。
ヘッドスペースサンプラー加熱条件:120℃、20分
GC導入温度:150℃
昇温:40℃、5分保持→100℃(8℃/分)
カラム:J&W社製DB−WAX(内径0.32mm、長さ30m)。
本発明におけるMD方向の伸縮率は、流延時の搬送速度に対する延伸開始時の搬送速度、もしくは流延時の搬送速度に対する巻き取り時の搬送速度により求めた値である。
また、TD方向の伸縮率は、流延時のウェブ幅に対する延伸開始時のウェブ幅、若しくは、流延時のウェブ幅に対する巻き取り時の樹脂フィルム幅により求めた値である。
図2に示される溶液流延法による製造装置を使用した樹脂フィルムの製造方法により製造される樹脂用フィルムの幅は、大型TVのように液晶表示装置への使用、偏光板加工時のフィルムの使用効率、生産効率等を考慮し、1000〜2400mmが好ましい。また、膜厚は、液晶表示装置の薄型化、樹脂フィルムの生産安定化の観点等を考慮し、20〜70μmが好ましい。膜厚は平均膜厚を示し、幅方向に20〜200箇所を、ミツトヨ(株)製、接触式膜厚計により測定し、平均とした値を示す。なお、本発明では、厚さ20〜70μmの範囲を薄膜と定義する。
図2に示される製造装置に使用するドープ2aは、樹脂フィルム用の樹脂材料を良溶媒と、貧溶媒からなる混合溶媒を使用して作製されている。本発明では、使用する樹脂を単独で溶解するものを良溶媒、単独で膨潤するかまたは溶解しないものを貧溶媒という。
ドープ2aを構成している溶媒中での貧溶媒の割合は、空孔の形成、ドープの搬送工程での樹脂の析出等を考慮し、20〜90質量%が好ましい。更に好ましくは、20〜50質量%である。
ドープ2aの全溶媒に対する溶質の割合は、ドープの搬送工程での樹脂の析出、流延速度、生産性等を考慮し、200〜1000質量%が好ましい。更に好ましくは、300〜800質量%である。
製膜されたフィルムの膜厚は、搬送中の張力による空孔径のバラツキ、溶媒除去時間の増加、生産性を考慮し、20〜200μmであることが好ましい。更に好ましくは30〜150μmである。という。
ドープ2aを構成している溶媒中での貧溶媒の割合は、空孔の形成、ドープの搬送工程での樹脂の析出等を考慮し、20〜90質量%が好ましい。更に好ましくは、20〜50質量%である。
ドープ2aの全溶媒に対する溶質の割合は、ドープの搬送工程での樹脂の析出、流延速度、生産性等を考慮し、200〜1000質量%が好ましい。更に好ましくは、300〜800質量%である。
製膜されたフィルムの膜厚は、搬送中の張力による空孔径のバラツキ、溶媒除去時間の増加、生産性を考慮し、20〜200μmであることが好ましい。更に好ましくは30〜150μmである。
(ドープ)
本発明に係るドープは、良溶媒と貧溶媒からなる混合溶媒が用いられ作製されている。例えばセルロースエステル系樹脂の場合、セルロースエステルのアシル基置換度によっては、良溶剤、貧溶剤が変わり、例えば、アセトンを溶剤として用いる時には、セルロースエステルの酢酸エステル(アセチル基置換度2.4)、セルロースアセテートプロピオネートでは良溶剤になり、セルロースの酢酸エステル(アセチル基置換度2.8)では貧溶媒となる。
使用する樹脂により、良溶剤及び貧溶剤は異なってくるので、一例としてセルロースエステル系樹脂の場合に付き説明する。
良溶媒としては、例えばメチレンクロライド、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、蟻酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン等を挙げることができるが、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物、ジオキソラン誘導体、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン等が好ましい有機溶媒(即ち、良溶媒)として挙げられる。
貧溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール等の炭素原子数1〜8のアルコール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸プロピル、モノクロロベンゼン、ベンゼン、シクロヘクサン、テトラヒドロフラン、メチルセルソルブ、エチレングリコールモノメチルエーテル等を挙げることができ、これらの貧溶媒は単独もしくは2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
次に、ドープの調製方法を、一例として、セルロースエステル系樹脂を使用した場合に付き述べる。ドープを調製する時の、セルロースエステル系樹脂の溶解方法としては、一般的な方法を用いることができる。加熱と加圧を組み合わせると常圧における沸点以上に加熱できる。溶剤の常圧での沸点以上で、且つ加圧下で溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら攪拌溶解すると、ゲルやママコと呼ばれる塊状未溶解物の発生を防止するため好ましい。また、セルロースエステル系樹脂を貧溶剤と混合して湿潤或いは膨潤させた後、更に良溶剤を添加して溶解する方法も好ましく用いられる。
加圧は窒素ガス等の不活性気体を圧入する方法や、加熱によって溶剤の蒸気圧を上昇させる方法によって行ってもよい。加熱は外部から行うことが好ましく、例えばジャケットタイプのものは温度コントロールが容易で好ましい。
溶剤を添加しての加熱温度は、高い方がセルロースエステルの溶解性の観点から好ましいが、加熱温度が高過ぎると必要とされる圧力が大きくなり生産性が悪くなる。好ましい加熱温度は45〜120℃であり、60〜110℃がより好ましく、70℃〜105℃が更に好ましい。また、圧力は設定温度で溶剤が沸騰しないように調整される。もしくは冷却溶解法も好ましく用いられ、これによって酢酸メチルなどの溶媒にセルロースエステル系樹脂を溶解させることができる。
次に、このセルロースエステル系樹脂溶液を濾紙等の適当な濾過材を用いて濾過する。濾過材としては、不溶物等を除去するために絶対濾過精度が小さい方が好ましいが、絶対濾過精度が小さ過ぎると濾過材の目詰まりが発生し易いという問題がある。このため絶対濾過精度0.008mm以下の濾材が好ましく、0.001〜0.008mmの濾材がより好ましく、0.003〜0.006mmの濾材が更に好ましい。
濾材の材質は特に制限はなく、通常の濾材を使用することができるが、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)等のプラスチック製の濾材や、ステンレススティール等の金属製の濾材が繊維の脱落等がなく好ましい。濾過により、原料のセルロースエステルに含まれていた不純物、特に輝点異物を除去、低減することが好ましい。
輝点異物とは、2枚の偏光板をクロスニコル状態にして配置し、その間にセルロースエステルフィルムを置き、一方の偏光板の側から光を当てて、他方の偏光板の側から観察した時に反対側からの光が漏れて見える点(異物)のことであり、径が0.01mm以上である輝点数が200個/cm以下であることが好ましい。より好ましくは100個/cm以下であり、更に好ましくは50個/m以下であり、更に好ましくは0〜10個/cm以下である。また、0.01mm以下の輝点も少ない方が好ましい。
ドープの濾過は通常の方法で行うことができるが、溶剤の常圧での沸点以上で、且つ加圧下で溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら濾過する方法が、濾過前後の濾圧の差(差圧という)の上昇が小さく、好ましい。好ましい温度は45〜120℃であり、45〜70℃がより好ましく、45〜55℃であることが更に好ましい。
濾圧は小さい方が好ましい。濾圧は1.6MPa以下であることが好ましく、1.2MPa以下であることがより好ましく、1.0MPa以下であることが更に好ましい。
<機能性層>
本発明に係る光学フィルムには、帯電防止層、バックコート層、反射防止層、易滑性層、接着層、防眩層、バリアー層等の機能性層を設けることができる。
〈ハードコート層〉
本発明に用いられるハードコート層は活性線硬化樹脂を含有し、紫外線や電子線のような活性線(活性エネルギー線ともいう)照射により、架橋反応を経て硬化する樹脂を主たる成分とする層であることが好ましい。
活性線硬化樹脂としては、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーを含む成分が好ましく用いられ、紫外線や電子線のような活性線を照射することによって硬化させて活性線硬化樹脂層が形成される。
活性線硬化樹脂としては紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂等が代表的なものとして挙げられるが、紫外線照射によって硬化する樹脂が機械的膜強度(耐擦傷性、鉛筆硬度)に優れる点から好ましい。
紫外線硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化型ウレタンアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、又は紫外線硬化型エポキシ樹脂等が好ましく用いられる。中でも紫外線硬化型アクリレート系樹脂が好ましい。
又はドコート層には活性線硬化樹脂の硬化促進のため、光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤量としては、質量比で、光重合開始剤:活性線硬化樹脂=20:100〜0.01:100で含有することが好ましい。
光重合開始剤としては、具体的には、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等及びこれらの誘導体を挙げることができるが、特にこれらに限定されるものではない。
又はドコート層には、無機化合物又は有機化合物の微粒子を含むことが好ましい。
無機微粒子としては、酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム、ITO、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。特に、酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム等が好ましく用いられる。
有機粒子としては、ポリメタアクリル酸メチルアクリレート樹脂粉末、アクリルスチレン系樹脂粉末、ポリメチルメタクリレート樹脂粉末、シリコン系樹脂粉末、ポリスチレン系樹脂粉末、ポリカーボネート樹脂粉末、ベンゾグアナミン系樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、又はポリ弗化エチレン系樹脂粉末等を添加することができる。
これらの微粒子粉末の平均粒子径は特に制限されないが、0.01〜5μmが好ましく、更には、0.01〜1.0μmであることが特に好ましい。また、粒径の異なる二種以上の微粒子を含有しても良い。微粒子の平均粒子径は、例えばレーザー回折式粒度分布測定装置により測定することができる。
紫外線硬化樹脂組成物と微粒子の割合は、樹脂組成物100質量部に対して、10〜400質量部となるように配合することが望ましく、更に望ましくは、50〜200質量部である。
これらのハードコート層はグラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、インクジェット法等公知の方法を用いて、ハードコート層を形成する塗布組成物を塗布し、塗布後、加熱乾燥し、UV硬化処理することで形成できる。
ハードコート層のドライ膜厚としては平均膜厚0.1〜30μm、好ましくは1〜20μm、特に好ましくは6〜15μmである。
UV硬化処理の光源としては、紫外線を発生する光源であれば制限なく使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。
照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、活性線の照射量は、通常5〜500mJ/cm、好ましくは5〜200mJ/cmである。
〈バックコート層〉
本発明に係る光学フィルムは、フィルムのハードコート層を設けた側と反対側の面に、カールやくっつき防止の為にバックコート層を設けてもよい。
バックコート層に添加される粒子としては無機化合物の例として、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、ITO、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。
バックコート層に含まれる粒子は、バインダーに対して0.1〜50質量%が好ましい。バックコート層を設けた場合のヘーズの増加は1.5%以下であることが好ましく、0.5%以下であることが更に好ましく、特に0.1%以下であることが好ましい。
バインダーとしては、ジアセチルセルロース等のセルロースエステル樹脂が好ましい。
〈反射防止層〉
本発明に係る光学フィルムは、ハードコート層の上層に反射防止層を塗設して、外光反射防止機能を有する反射防止フィルムとして用いることができる。
反射防止層は、光学干渉によって反射率が減少するように屈折率、膜厚、層の数、層順等を考慮して積層されていることが好ましい。反射防止層は、支持体よりも屈折率の低い低屈折率層、もしくは支持体よりも屈折率の高い高屈折率層と低屈折率層を組み合わせて構成されていることが好ましい。特に好ましくは、三層以上の屈折率層から構成される反射防止層であり、支持体側から屈折率の異なる三層を、中屈折率層(支持体よりも屈折率が高く、高屈折率層よりも屈折率の低い層)/高屈折率層/低屈折率層の順に積層されているものが好ましく用いられる。又は、二層以上の高屈折率層と二層以上の低屈折率層とを交互に積層した4層以上の層構成の反射防止層も好ましく用いられる。
反射防止フィルムの層構成としては下記のような構成が考えられるが、これに限定されるものではない。
光学フィルム/ハードコート層/低屈折率層
光学フィルム/ハードコート層/中屈折率層/低屈折率層
光学フィルム/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
光学フィルム/ハードコート層/高屈折率層(導電性層)/低屈折率層
光学フィルム/ハードコート層/防眩性層/低屈折率層
反射防止フィルムには必須である低屈折率層は、シリカ系微粒子を含有することが好ましく、その屈折率は、支持体であるセルロースフィルムの屈折率より低く、23℃、波長550nm測定で、1.30〜1.45の範囲であることが好ましい。
低屈折率層の膜厚は、5nm〜0.5μmであることが好ましく、10nm〜0.3μmであることが更に好ましく、30nm〜0.2μmであることが最も好ましい。
低屈折率層形成用組成物については、シリカ系微粒子として、特に外殻層を有し内部が多孔質又は空洞の粒子を少なくとも一種類以上含むことが好ましい。特に該外殻層を有し内部が多孔質又は空洞である粒子が、中空シリカ系微粒子であることが好ましい。
なお、低屈折率層形成用組成物には、下記一般式(OSi−1)で表される有機珪素化合物もしくはその加水分解物、或いは、その重縮合物を併せて含有させても良い。
一般式(OSi−1):Si(OR)
前記一般式で表される有機珪素化合物は、式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表す。具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン等が好ましく用いられる。
他に溶剤、必要に応じて、シランカップリング剤、硬化剤、界面活性剤等を添加してもよい。
<偏光板>
偏光板は一般的な方法で作製することができる。本発明に係る光学フィルムの裏面側をアルカリ鹸化処理し、処理した光学フィルムを、ヨウ素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光膜の少なくとも一方の面に、完全鹸化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせることが好ましい。
もう一方の面に当該光学フィルムを用いても、別の偏光板保護フィルムを用いてもよい。例えば、特開2003−12859号記載のリターデーションRoが590nmで0〜5nm、Rtが−20〜+20nmの無配向フィルムが一例として挙げられる。
また、他に面内リターデーションRoが590nmで、20〜70nm、Rtが70〜400nmの位相差を有する光学補償フィルム(位相差フィルム)を用いて、視野角拡大可能な偏光板とすることもできる。これらは例えば、特開2002−71907号の方法で作製することができる。又は、更にディスコチック液晶等の液晶化合物を配向させて形成した光学異方層を有している光学補償フィルムを用いることが好ましい。例えば、特開2003−98348号記載の方法で光学異方性層を形成することができる。
また、好ましく用いられる市販の偏光板保護フィルムとしては、KC8UX2MW、KC4UX、KC5UX、KC4UY、KC8UY、KC12UR、KC4UEW、KC8UCR−3、KC8UCR−4、KC8UCR−5、KC4FR−1、KC4FR−2、KC8UE、KC4UE(コニカミノルタオプト(株)製)等が挙げられる。
偏光板の主たる構成要素である偏光膜とは、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光膜は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムで、これはポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと二色性染料を染色させたものがあるがこれのみに限定されるものではない。
偏光膜は、ポリビニルアルコール水溶液を製膜し、これを一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理を行ったものが用いられている。偏光膜の膜厚は5〜30μm、好ましくは8〜15μmの偏光膜が好ましく用いられる。
該偏光膜の面上に、本発明に係る光学フィルムの片面を貼り合わせて偏光板を形成する。好ましくは完全鹸化ポリビニルアルコール等を主成分とする水系の接着剤によって貼り合わせる。
<液晶表示装置>
本発明に係る光学フィルムを用いて作製した偏光板を表示装置に組み込むことによって、種々の視認性に優れた画像表示装置を作製することができる。
本発明に係る光学フィルムは偏光板に組み込まれ、反射型、透過型、半透過型液晶表示装置又はTN型、STN型、OCB型、HAN型、VA型(PVA型、MVA型)、IPS型、OCB型等の各種駆動方式の液晶表示装置で好ましく用いられる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下に示す方法により樹脂フィルムとして空孔を有するセルロースエステルフィルムを製造した。
(ドープの調製)
〈微粒子分散液〉
微粒子(アエロジルR972V(日本アエロジル株式会社製)) 11質量部
(一次粒子の平均径16nm、見掛比重90g/リットル)
エタノール 89質量部
以上をディゾルバーで50分間攪拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。
〈微粒子添加液〉
メチレンクロライドを入れた溶解タンクに下記セルロースエステル樹脂を添加し、加熱して完全に溶解させた後、これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過した。濾過後のセルロースエステル溶液を十分に攪拌しながら、ここに上記微粒子分散液をゆっくりと添加した。更に、二次粒子の粒径が所定の大きさとなるようにアトライターにて分散を行った。これを日本精線(株)製のファインメットNFで濾過し、微粒子添加液を調製した。
メチレンクロライド 99質量部
セルロースアセテートプロピオネート(アセチル基置換度1.5、プロピオニル基置換度1.0、総アシル基置換度2.5、Mw=220000) 4質量部
微粒子分散液 11質量部
表1に示す様に良溶媒と貧溶媒との比率及び溶質量に対する全使用溶媒量の割合を変えた下記組成の主ドープを調製し101〜109とした。まず、加圧溶解タンクに良溶媒としてメチレンクロライド、貧溶媒としてエタノールを添加した。溶媒の入った加圧溶解タンクにセルロースアセテートプロピオネート樹脂を攪拌しながら投入した。これを加熱し、攪拌しながら、完全に溶解し、更に可塑剤及び紫外線吸収剤を添加、溶解させた。これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、主ドープを調製した。
主ドープを100質量部と微粒子添加液5質量部となるように加えて、インラインミキサー(東レ静止型管内混合機 Hi−Mixer、SWJ)で十分に混合しドープとした。
〈主ドープの組成〉
メチレンクロライド 表1参照
エタノール 表1参照
セルロースアセテートプロピオネート(アセチル基置換度1.5、プロピオニル基置換度1.0、総アシル基置換度2.5、Mw=220000) 100質量部
可塑剤:下記芳香族末端エステル 5質量部
可塑剤:トリメチロールプロパントリベンゾエート 5.5質量部
紫外線吸収剤:チヌビン109(BASFジャパン(株)製) 1質量部
紫外線吸収剤:チヌビン171(BASFジャパン(株)製) 1質量部
Figure 2012068291
Figure 2012068291
(セルロースアセテートプロピオネートフィルムNo.101〜107の製造)
準備したドープを図2に示す製造装置を使用し、準備した各ドープNo.101〜107を温度20℃で長さ60m、幅2500mm、表面を鏡面仕上げしたステンレススティール製の無端ベルトの上に流延速度30m/minで均一に流延し、剥離点でウェブを剥離(流延から剥離までの時間1.5分)し、第1乾燥工程、延伸工程、第2乾燥工程、巻き取り工程を経て、幅1500mm、厚さ80μm、長さ30000m、MD方向の延伸率(伸縮率)が−10%、TD方向の延伸率(伸縮率)が−1.5%の断面形状が図1に示す様なセルロースアセテートプロピオネートフィルムを以下に示す条件で3000m作製し偏光膜保護フィルムNo.101〜107とした。尚、第1乾燥工程は全長100m、第2乾燥工程は全長1000mとした。延伸工程は全長40mとした。延伸工程の一軸延伸装置はクリップテンターを使用した。
ウェブの厚さは、キーエンス(株)製のレーザー変位計を使用し、幅方向に10箇所、ウェブの流延方向に10箇所を測定し、平均値を計算で求めた値である。
製造条件を以下に示す。
流延工程の乾燥風の供給条件
ステンレス無端ベルト支持体上のウェブを乾燥するために第1供給装置より、温度35℃、風圧500Pa(風速29m/sec)の乾燥風を供給した。第2供給装置より、温度35℃、風圧500Pa(風速29m/sec)で乾燥風を供給した。
第1乾燥工程の乾燥条件
ステンレス無端ベルト支持体からの剥離張力は150N/mの設定値で行い、第1乾燥工程の乾燥温度50℃、時間2分、搬送速度30m/minとした。
ステンレス無端ベルト支持体より剥離したウェブの全残留溶媒量は100質量%とした。ステンレス無端ベルト支持体より剥離したウェブの残留溶媒量(質量%)の値は一定の大きさのウェブを115℃で1時間乾燥した時のウェブの質量をBとし、乾燥前のウェブの質量をAとした時、((A−B)/B)×100=残留溶媒量(質量%)で求めた値である。
延伸工程の延伸条件
テンター延伸装置はクリップテンターを使用し、温度120℃、巻き取り工程で回収したセルロースアセテートプロピオネートフィルムのTD方向の延伸率(伸縮率)が−1.5%になるようにTD方向の延伸を行った。延伸工程の温度120℃、時間1分、搬送速度30m/minとした。
延伸工程での延伸率は、以下に示す計算式より計算で求めた値を示す。
延伸率(%)=(延伸後のウェブの中央から端部までの幅/延伸前のウェブの中央から端部までの幅)×100
尚、ウェブの中央から端部までの幅はC型JIS1級の鋼製スケールで幅を測定した値を使用する。
第2乾燥工程の乾燥条件
第2乾燥工程の乾燥温度110℃、時間30分、搬送速度30m/minとした。
巻き取り工程
巻き取り機は、定テンション法を使用し、張力200N/mで巻き取った。
(セルロースアセテートプロピオネートフィルムNo.108の製造)
図2に示される製造装置の加熱風の温度を−10℃にした以外は上記偏光膜保護フィルムと同様にして、偏光膜保護フィルムNo.108を作製した。
(空孔を有するポリエチレンテレフタラートフィルムNo.109の製造)
特開2010−26454号公報の実施例1に準じて、空孔を有するポリエチレンテレフタラートフィルム(偏光膜保護フィルムNo.109)を作製した。
偏光膜保護フィルムの評価
作製した各偏光膜保護フィルムNo.101〜109につき、空孔の大きさ、空孔の占有体積を下記の方法で測定した結果を表2に示す。
空孔の占有体積の測定方法
以下の方法で空孔の占有体積を求めた。
個の空孔の体積の求め方
SEM(倍率15000倍)で撮影した樹脂フィルムの断面撮像から、空孔10個の最大直径を、C型JIS1級の鋼製スケールで実測し平均値を求め、求められた最大直径の1/2を空孔の半径rとし使用した。求められた半径rを用い、球の体積を求める式(4πr/3)より計算で求めた。
一定体積中の空孔の体積=個の空孔の体積×一定体積中の空孔の数
占有体積率(%)=一定体積中の空孔の体積/樹脂フィルムの一定体積
空孔の大きさの測定方法
SEM(倍率15000倍)で撮影した樹脂フィルムの断面撮像から、10個の空孔の最大直径をC型JIS1級の鋼製スケールで実測し、その平均値を空孔の大きさとした。
(粒子層を有するセルロースエステルフィルムNo.110の製造方法)
特開2010−102186号公報の実施例1に準じて、空孔を有する粒子層を有するセルロースエステルフィルム(偏光膜保護フィルムNo.110)を作製した。
《偏光板の作製》
作製した各偏光膜保護フィルムNo.101〜108、109、110を用いて偏光板を作製した。
厚さ、120μmのポリビニルアルコールフィルムを、一軸延伸(温度110℃、延伸倍率5倍)した。これをヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、水100gからなる水溶液に60秒間浸漬し、次いでヨウ化カリウム6g、ホウ酸7.5g、水100gからなる68℃の水溶液に浸漬した。これを水洗、乾燥し偏光膜を得た。
次いで、下記工程1〜5に従って偏光膜と各偏光膜保護フィルムNo.101、反対側の偏光板保護フィルムとして、コニカミノルタタックKC8UX−RHA(コニカミノルタオプト(株)製)を貼り合わせて偏光板を作製した。
工程1:50℃の1モル/Lの水酸化ナトリウム溶液に60秒間浸漬し、次いで水洗し乾燥して、鹸化されたセルロースエステルフィルムを得た。
工程2:前記偏光膜を固形分2質量%のポリビニルアルコール接着剤槽中に1〜2秒浸漬した。
工程3:工程2で偏光膜に付着した過剰の接着剤を軽く拭き除き、これを工程1で処理したセルロースエステルフィルムの上にのせて配置した。
工程4:工程3で積層した偏光板保護フィルムと偏光膜とセルロースエステルフィルム試料を圧力20〜30N/cm、搬送スピードは約2m/分で貼合した。
工程5:80℃の乾燥機中に工程4で作製した偏光膜と偏光膜保護フィルムNo.101とを貼り合わせた試料を2分間乾燥し、偏光板101を作製した。偏光膜保護フィルムNo.101は算術表面粗さRaの小さい面を偏光膜側にして貼り合せた。算術表面粗さRaはミツトヨ(株)製一次元表面粗さ計surftest SV3000を使用した。偏光膜保護フィルムNo.101の代わりに、偏光膜保護フィルムNo.102〜108、110を用いた以外は、上記と同様にして偏光板102〜108、110を作製した。
偏光膜110は粒子層が設けられている面とは反対側を偏光膜と貼り合せて作製した。
試料No.101の代わりに、コニカミノルタタックKC8UX−RHA(コニカミノルタオプト(株)製)を用いて偏光板を作製し、その上にアクリル系透明粘着材シート(厚さ15μm)を介して偏光膜保護フィルムNo.109を貼りつけて偏光板109を作製した。
偏光板の評価
作製した各偏光板No.101〜110につき、ランプイメージ消去性、正面輝度、偏光板変色防止性、耐熱性を下記の方法で測定した結果を表2に示す。
〈正面輝度とランプイメージ消去性の測定方法〉
以下の方法で正面輝度とランプイメージ消去性を求めた。
偏光板No.101〜110を図3に示した構成の液晶表示装置用バックライトユニットに装着した。光源11の上方に光入射面側から拡散板12、プリズムシート13、プリズムシート14、作製した各偏光板15の順で配設している。この場合において、作製した各偏光板15は、偏光膜保護フィルムNo.101〜110側がプリズムシート14側に来るよう重ね合わせている。なお、光源11としては、シャープ株式会社製液晶テレビ26インチ(2007年製)のバックライトを使用した。
このバックライトユニットを用いて、正面輝度測定とランプイメージ消去性の評価を行った。正面輝度は、コニカミノルタ製二次元色彩輝度計CA−2000を用いて測定した。また、冷陰極管のランプイメージ消去性について目視評価した。
正面輝度:偏光板がない状態からの輝度低下率を求め、以下のようにランク付けした。
◎:正面輝度低下−5%未満
○:正面輝度低下−5%以上−10%未満
△:正面輝度低下−10%以上−15%未満
×:正面輝度低下−15%以上
ランプイメージ消去性:
○:ランプイメージが見えにくい
△:ランプイメージがやや見える
×:ランプイメージがはっきり見える
〈偏光板変色防止性の評価〉
各々の偏光板の作製した各偏光膜保護フィルムNo.101〜110と反対側の面をアクリル系透明粘着材シートを介して透明ガラス板に貼りつけ、60℃、90%の条件下で1000時間の強制劣化後、偏光板変色防止性を目視評価した。
○:偏光膜の色味変化がほとんどない
△:偏光膜の色味変化がやや見える
×:偏光膜の色味変化がはっきり見える
〈耐熱性の評価〉
正面輝度とランプイメージ消去性の測定方法で作製したバックライトユニットを60℃90%RHで24時間保存し、バックライトを点灯して2時間後にムラの発生強度を目視評価した。
○:ムラがほとんどない
△:ムラがやや見える
×:ムラがはっきり見える
以上の評価結果を表2に示す。
Figure 2012068291
表2に示した結果から明らかなように、本発明の有効性が確認された。
ドープNo.109を用いた以外は偏光膜保護フィルムNo.101、偏光板No.101と同様にして、偏光膜保護フィルムNo.201、偏光板No.201を作製した。
偏光板の評価
作製した偏光板No.101と201につき、透湿度と耐熱性を測定した結果を表3に示す。透湿度は、JIS Z 0208に記載の方法に従い、温度25±0.5℃、相対湿度90±2%において、測定した。
評価結果を表3に示す。
Figure 2012068291
表3に示した結果から明らかなように、本発明の有効性が確認された。
図2に示される製造装置を使用し、流延工程の加熱風の温度を−5℃、加熱風の風圧を500Paに変え、流延工程を以下に変えた以外は上記偏光膜保護フィルムと同様にして、幅1500mm、厚さ80μm、長さ3000mのセルロースアセテートプロピオネートフィルム偏光膜保護フィルムNo.301を作製した。空孔の大きさは1.5μmであった。
(流延工程)
温度20℃のドープを、長さ60m、幅2500mm、表面を鏡面仕上げしたステンレススティール製の無端ベルトの上に流延速度30m/minで厚さ360μmで均一に流延し、剥離点でウェブを剥離(流延から剥離までの時間1.5分)した。
偏光膜保護フィルムを偏光膜保護フィルムNo.301に変えた以外は偏光板No.101と同様にして、偏光板No.301を作製した。
偏光板の評価
作製した偏光板No.201と301につき、偏光膜保護フィルムNo.201と301側の表面粗さと正面輝度を測定した結果を表4に示す。表面粗さは下記の方法で測定した。
〈表面粗さの評価〉
巻き終わりから5mの箇所から2mを採取し、表面をミツトヨ(株)製一次元表面粗さ計surftest SV3000を使用し、幅方向に10箇所、長さ方向に10箇所測定した算術表面粗さの平均値を計算で求めて算術表面粗さRaとした。
○:算術表面粗さRaが20nm未満
△:算術表面粗さRaが20nm以上50nm未満
×:算術表面粗さRaが50nm以上
評価結果を表4に示す。
Figure 2012068291
表4に示した結果から明らかなように、本発明の有効性が確認された。
以上の結果により、本発明の手段により、光散乱性を有するとともに、耐熱性と透湿性を有するバックライト側偏光膜保護フィルムが備えられた背面側偏光板、及び当該背面側偏光板が具備された液晶表示装置を提供することができることが分かる。
1 樹脂フィルム
2 空孔
2A 開口部
X 第1相
Y 第2相
1a 製造装置
2a ドープ
3a ウェブ
101 流延工程
101a 無端ベルト支持体
101b ダイス
101c 加熱装置
101c1 乾燥箱
101d 第1加熱風供給装置
101d1、101e1 加熱風供給管
101d2、101e2 ヘッダー
101e 第2加熱風供給装置
101f 排気管
102 第1乾燥工程
103 延伸工程
104 第2乾燥工程
105 巻き取り工程
11 光源
12 拡散板
13 プリズムシート
14 プリズムシート
15 偏光板

Claims (5)

  1. バックライトを備えた液晶表示装置の背面側偏光板であって、バックライト側の偏光膜保護フィルムが、その内部に、断面形状における最大径が0.05〜3μmの範囲内である空孔を1〜90%の範囲内の占有体積率で含有している光散乱性セルロースエステルフィルムであることを特徴とする液晶表示装置の背面側偏光板。
  2. 前記光散乱性セルロースエステルフィルムのJIS Z 0208に準拠して測定した透湿度が、温度25±0.5℃、相対湿度90±2%において、1000〜1500g/m・24hの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置の背面側偏光板。
  3. 前記光散乱性セルロースエステルフィルムが、その表面にフィルム内の前記空孔に依存した開口部を有しており、当該表面の算術表面粗さRaが50nm未満であり、当該表面がバックライト側を向いて配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液晶表示装置の背面側偏光板。
  4. 前記光散乱性セルロースエステルフィルムが、良溶媒と貧溶媒とからなる混合溶媒に樹脂を溶解したドープを無端支持体の上に流延し、ウェブを形成した後、前記無端支持体から剥離し、乾燥する工程を含む溶液流延法で製造され、かつ23℃における相対湿度が70%以上である工程を経て製造されることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の液晶表示装置の背面側偏光板。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の液晶表示装置の背面側偏光板が具備されていることを特徴とする液晶表示装置。
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