JP5531929B2 - 光散乱性フィルム、光散乱性偏光板、及び液晶表示装置 - Google Patents

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本発明は、耐熱性を有する光散乱性フィルム、当該光散乱性フィルムが具備された光散乱性偏光板に関する。さらに、当該光散乱性偏光板が、バックライトを有する液晶表示装置の背面側偏光板として具備されている液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は、CRTに比べて低消費電力・薄型化が可能なことから、表示装置として普及し、需要も拡大している。近年では、携帯電話などのモバイル用途や壁掛けテレビとしての応用が盛んである。そのため、従来よりも液晶表示装置の薄型化の要望が高まっている。このような要請に対し、特許文献1に示されるような、フィルムを延伸して得られた、内部に空孔を有するセルロースエステルフィルムを偏光膜保護フィルムとして用い、液晶セルとバックライトの間に配置される背面側偏光板のバックライト側偏光膜保護フィルム自体に光散乱性を付与することで、バックライトユニットの一つ又は複数の光拡散シートを省略し、部品点数を削減する技術が知られている。
しかし、特許文献1に示される光散乱性偏光膜保護フィルムは、リン酸系の可塑剤のトリフェニルホスフェートやビフェニルしフェニルホスフェートが用いられている。しかし、これらのリン酸系の可塑剤は、加熱によってリン酸エステルが分解し、リン酸が発生して、発生したリン酸がセルロースエステルを劣化させる問題があり、特にバックライトを有する液晶表示装置の背面側偏光板のバックライト側偏光膜保護フィルムとして用いた場合、バックライトの熱により、その問題が顕著に現れる。
また、特許文献1には、数平均分子量が1000である、分子量の大きなエステル系の可塑剤の使用も記載されている。しかし、本発明の発明者が検討した結果、フィルムを延伸して得られる空孔は、樹脂(ポリマー)の結晶部と非結晶部の引き裂きにより発生するものであり、このときに数平均分子量の大きな可塑剤を用いると、樹脂の結晶化が阻害される。このため、空孔形成が阻害され、十分な光散乱性を付与することができない。
特開2009−265633号公報
本発明は、上記問題・状況にかんがみてなされたものであり、その解決課題は、耐熱性を有するとともに十分な光散乱性を有する光散乱性フィルムと光散乱性偏光板を提供することである。さらに、当該光散乱性偏光板が、バックライトを有する液晶表示装置の背面側偏光板として具備されている液晶表示装置を提供することである。
本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.熱可塑性樹脂と可塑剤とを含有するフィルムを延伸して得られる形状異方性の空孔を内部に有する光散乱性フィルムであって、(1)前記熱可塑性樹脂としてセルロースエステルを含有し、かつ(2)前記可塑剤が、数平均分子量が600以下であり、水中25℃での第1酸解離定数pKaが2.2〜5.0の範囲内の酸からなるエステル系可塑剤であることを特徴とする光散乱性フィルム。
2.前記可塑剤の数平均分子量が、350〜600の範囲内であることを特徴とする前記第1項に記載の光散乱性フィルム。
3.前記延伸の際の、延伸倍率が60〜150%の範囲内であり、温度が、熱可塑性樹脂の結晶化温度をTcとしたとき、(Tc−20)〜Tc℃の範囲内であることを特徴とする前記第1項又は第2項に記載の光散乱性フィルム。
4.前記形状異方性の空孔の長軸平均方向とフィルム延伸方向とが、フィルム面内方向において平行であることを特徴とする前記第1項から第3項までのいずれか一項に記載の光散乱性フィルム。
5.前記第1項から第4項までのいずれか一項に記載の光散乱性フィルムが具備されていることを特徴とする光散乱性偏光板。
6.前記第1項から第4項までのいずれか一項に記載の光散乱性フィルムが、液晶表示装置のバックライト側偏光膜保護フィルムに配置されていることを特徴とする光散乱性偏光板。
7.前記第6項に記載の光散乱性偏光板が、バックライトを有する液晶表示装置の背面側偏光板として、具備されていることを特徴とする液晶表示装置。
本発明の上記手段により、耐熱性を有するとともに十分な光散乱性を有する光散乱性フィルムと光散乱性偏光板を提供することができる。さらに、当該光散乱性偏光板が、バックライトを有する液晶表示装置の背面側偏光板として具備されている液晶表示装置を提供することができる。
本発明においては、熱可塑性樹脂に比較的低分子量の可塑剤を添加することで、樹脂の結晶化近傍温度で高倍率延伸が可能となる。また、低分子の可塑剤とすることで、分子サイズが小さいことから、樹脂の結晶化を妨げず、樹脂中に部分的な結晶部を作製することができるので、延伸の際に樹脂の結晶部と非結晶部の間での引き裂きが生じ、気泡を発生させることができると推定される。
本発明の光散乱性フィルムの製造方法を実施する装置の一例の概略構成図 液晶表示装置用バックライトユニットの構成例を示す概念図
本発明の光散乱性フィルムは、熱可塑性樹脂と可塑剤とを含有するフィルムを延伸して得られる形状異方性の空孔を内部に有する光散乱性フィルムであって、(1)前記熱可塑性樹脂としてセルロースエステルを含有し、かつ(2)前記可塑剤が、数平均分子量が600以下であり、水中25℃での第1酸解離定数pKaが2.2〜5.0の範囲内の酸からなるエステル系可塑剤であることを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項8までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記可塑剤の数平均分子量が、350〜600の範囲内であることが好ましい。
本発明においては、前記延伸の際の、延伸倍率が60〜150%の範囲内であり、温度が、熱可塑性樹脂の結晶化温度をTcとしたとき、(Tc−20)〜Tc℃の範囲内であることが好ましい。また、前記形状異方性の空孔の長軸平均方向とフィルム延伸方向とが、フィルム面内方向において、平行であることが好ましい。
本発明の光散乱性フィルムは、光散乱性偏光板に好適に用いることができる。この場合、当該光散乱性フィルムが、液晶表示装置のバックライト側偏光膜保護フィルムに配置されている態様の光散乱性偏光板であることが好ましい。当該光散乱性偏光板は、バックライトを有する液晶表示装置の背面側偏光板として好適に用いることができる。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
(光散乱性フィルムの概要)
本発明の光散乱性フィルムは、熱可塑性樹脂と可塑剤とを含むフィルムを延伸して得られる形状異方性の空孔を内部に有する光散乱性フィルムであることを特徴とする。また、(1)前記熱可塑性樹脂としてセルロースエステルを含有し、かつ(2)前記可塑剤が、数平均分子量が600以下であり、水中25℃での第1酸解離定数pKaが2.2〜5.0の範囲内の酸からなるエステル系可塑剤であることを特徴とする。
〈空孔及びその形状〉
本発明に係る空孔は、形状異方性の空孔であり、本発明の光散乱性フィルムの内部に存在することを要するが、例えば、フィルム表面近傍に存在する空孔がフィルム表面まで貫通している空孔の形状、すなわち、空孔に依存した開口部を有する形状であってもよい。ここで、「空孔に依存した開口部」とは、樹脂フィルム内部であれば、空孔として形成されるものが、表面近傍で形成されたため開口部を有することになったものをいう。
また、前記空孔は、本発明の趣旨に反しない限り、前記空孔の一部に気体以外の他の成分を含んでいてもよく、例えば熱可塑性樹脂に用いられる樹脂と異なる組成の樹脂が含まれていたり、水や有機溶媒などが充填されていたりしてもよい。前記空孔は、空孔中に気体が充填されていることが屈折率を調節する観点から好ましく、空気が充填されていることがより好ましい。なお、特に固体成分が前記空孔に含まれている場合は、空孔中に、製膜時の揮散物やその他の粉末等が微量に固着している態様も含む。
本発明における「形状異方性」とは、外形形態が異方性を有していることをいう。このような異方性を持つ空孔は、楕円体や棒状体のように、外形に長い方向を持ち、その方向の長さを本願では空孔の長軸という。その外形には多少の凹凸を有していてもよい。形状異方性を有していると、散乱光の拡散度が大きくなり、バックライトのランプイメージを効率よく隠蔽できる。
本発明においては、前記形状異方性の空孔の長軸平均方向とフィルム延伸方向とが、フィルム面内方向において、平行であることが好ましい。すなわち、前記空孔の長軸は、フィルム延伸方向に対して平行方向に前記空孔の長軸平均方向が存在することが好ましい。
なお、「平行」とは、フィルム延伸方向に対して、前記空孔の長軸平均方向の傾きが、0±5°(すなわち、−5〜5°)の範囲内にあることをいう。
前記空孔の「長軸平均方向」及び「長軸平均長」は、任意の方向におけるフィルム断面を、例えば、電子顕微鏡で観察することにより決定することができる。また、前記空孔の長軸がフィルム面に水平方向に存在する場合は、空孔の「長軸の平均方向」及び「長軸平均長」は以下の方法によって決めることができ、本発明ではこの方法を用いる。
前記測定により決定したフィルムの延伸方向を0°とし、フィルム面内において0°方向から180°方向まで5°おきに、フィルム面に対して垂直に切断し、その各断面を、例えば電子顕微鏡で観察し、それぞれの断面において任意に空孔100個を選択し、それらの空孔100個の長軸の長さを測定し、平均値をそれぞれ求めた。前記フィルム断面において、最も前述の空孔100個の長軸の長さ(当該フィルム断面における空孔の横幅)の平均が長かった断面を決定し、その断面を切断した角度を、本発明における空孔の長軸の平均方向、すなわち「空孔の長軸平均方向」とした。また、そのときの角度における空孔100個の長軸の長さの平均を、本願における空孔の長軸平均長とした。以下、本願において、前記空孔の長軸平均長を「空孔の長軸の平均長a」ともいう。
次に、空孔のフィルム面内方向の短軸平均長は、以下の方法で求めることができる。前記フィルム断面を切断した角度のうちの長軸の平均方向を決めた角度から、フィルム面内方向に90°ずらした角度のフィルム断面中から任意に空孔100個を選択し、それら空孔100個の当該断面におけるフィルム面内方向に平行な軸の長さ(当該断面における空孔の横幅)を測定し、平均値を求めた。これを、前記空孔のフィルム面内方向の短軸平均長とした。以下、本願において、前記空孔のフィルム面内方向の短軸平均長を「空孔のフィルム面内方向の短軸平均長b」ともいう。
一方、空孔のフィルム膜厚方向の短軸平均長は以下の方法で求めることができる。膜厚方向の短軸平均長は、前記空孔の長軸の平均方向を決めた角度におけるフィルム断面において、任意の空孔100個を選択し、それら空孔100個の当該断面における膜厚方向に平行な軸の長さ(当該断面における空孔の縦方向の長さ)を測定し、平均値を求めた。これを、前記空孔のフィルム膜厚方向の短軸平均長とした。以下、本明細書中において、前記空孔のフィルム膜厚方向の短軸平均長を「空孔のフィルム膜厚方向の短軸平均長c」ともいう。
(空孔サイズ)
前記空孔のサイズは、0.02μm以上であるのが好ましく、0.1μm以上であるのがより好ましく、1μm以上であるのがさらに好ましい。空孔のサイズが大きいほど、光拡散性能が向上するので好ましいが、一方、全光透過率が低下する傾向がある。全光透過率維持の点では、前記空孔のサイズは、10μm以下であるのが好ましく、5μm以下であるのがより好ましい。
なお、「空孔のサイズ」とは、球相当直径をいうものとする。空孔のサイズを球相当径として半径rを決定して体積を求めた。球相当直径は、異方性形状である空孔の体積をVとしたとき、以下の式1で求められる。また、空孔のサイズは、電子顕微鏡によって測定することができる。
式1:球相当直径=2×(3×V/(4×π))(1/3)
ここで、空孔の体積Vは、前記で求めた前記空孔の長軸平均長a、前記空孔の面内方向の短軸平均長b、前記空孔の膜厚方向の短軸平均長cを用い、前記空孔を楕円体と仮定して、V=4/3×π×(a/2×b/2×c/2)より求めた。
(空孔の体積分率)
また、本発明のフィルムは、前記空孔の体積分率は、20〜70%であるのが好ましく、30〜60%であるのがより好ましく、40〜50%であるのがさらに好ましい。体積分率が高いほど拡散性を上げることができる。一方70%以下であれば、全光透過率が低下し難く、正面輝度を良好な範囲とすることができ、また、フィルムの強度も低下し過ぎない。気泡からなる第2ドメインの体積分率が前記範囲であると、光拡散性能及び強度の双方の点で好ましい。
なお、体積分率とは、全体積に対する空孔が占める体積であり、例えば、上記通りに測定した各空孔のサイズに基づいて算出することができる。
前記体積分率は、フィルム断面の電子顕微鏡写真における空孔面積とフィルム断面積から求めることができる。本発明においては、前記体積分率を前記空孔の長軸の平均方向を決定した角度における膜厚方向のフィルム断面(フィルム面に垂直方向に切断した断面)における、前記空孔の面積分率100点の平均値として求めた。
(熱可塑性樹脂を含有するフィルム基材)
本発明の光散乱性フィルムは、熱可塑性樹脂と可塑剤とを含むフィルムを延伸して得られるフィルムであり、熱可塑性樹脂として、少なくともセルロースエステルを含有することを特徴とする。本発明においては、セルロースエステルは必須であるが、熱可塑性樹脂と可塑剤とを含有するフィルムを延伸により空孔をフィルム内部に発生させることができる限りにおいて、セルロースエステル以外の熱可塑性樹脂を用いることができる。
なお、「熱可塑性樹脂」とは、ガラス転移温度又は融点まで加熱することによって軟らかくなり、目的の形に成形できる樹脂をいう。
熱可塑性樹脂としては、ヒドロキシメチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基等のヒドロキシアルキル基を含むアクリル酸、メタクリル酸、ないしはマレイン酸のエステルの重合体や共重合体ないしはそれらの架橋体、ポリアクリルアミドやその共重合体、アクリロニトリルの重合体や架橋重合体の加水分解物、アクリル酸やメタクリル酸の重合体やその共重合体ないしはそれらの架橋体等のポリアクリル系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリビニルアルコール及びその変成物、例えばカチオン化ポリビニルアルコール、シラノール化ポリビニルアルコール、スルホン化ポリビニルアルコールなど、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、澱粉−アクリロニトリル重合体の加水分解生成物、無水マレイン酸共重合体、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリエチレンポリアミド系樹脂、ポリアミドポリアミン系樹脂、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイド共重合体等のポリアルキレンオキサイド誘導体、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂などが挙げられる。
以下、本発明において必須であるセルロースエステルと好適に併用できる熱可塑性樹脂について詳細な説明をする。
<セルロースエステル>
本発明に係るセルロースエステルは、好ましくは、セルロースエステルのアシル総置換度が2.0〜2.90の範囲内であり、かつアシル基総炭素数が4.0〜90の範囲内であるセルロースエステルである。但し、アシル基総炭素数は、セルロースエステルのグルコース単位に置換されている各アシル基の置換度と炭素数の積の総和である。
さらに、脂肪族アシル基の炭素数は、セルロース合成の生産性、コストの観点から、2以上6以下が好ましく、2以上4以下がさらに好ましい。なお、アシル基で置換されていない部分は通常ヒドロキシル基(水酸基)として存在している。
β−1,4−グリコシド結合でセルロースを構成しているグルコース単位は、2位、3位及び6位に遊離のヒドロキシル基(水酸基)を有している。本発明におけるセルロースエステルは、これらのヒドロキシル基(水酸基)の一部又は全部をアシル基によりエステル化した重合体(ポリマー)である。アシル基置換度とは、繰り返し単位の2位、3位及び6位について、セルロースがエステル化している割合の合計を表す。具体的には、セルロースの2位、3位及び6位のそれぞれのヒドロキシル基(水酸基)が100%エステル化した場合をそれぞれ置換度1とする。したがって、セルロースの2位、3位及び6位のすべてが100%エステル化した場合、置換度は最大の3となる。
アシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ペンタネート基、ヘキサネート基等が挙げられ、セルロースエステルとしては、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースペンタネート等が挙げられる。また、上述の側鎖炭素数を満たせば、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートペンタネート等のように混合脂肪酸エステルでもよい。この中でも、特にセルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースプロピオネートが光学フィルム用途として好ましいセルロースエステルである。
セルローストリアセテート以外で好ましいセルロースエステルは炭素原子数2〜4のアシル基を置換基として有し、アセチル基の置換度をXとし、プロピオニル基又はブチリル基の置換度をYとした時、下記式(I)及び(II)を同時に満たすセルロースエステルを含むセルロースエステルである。
式(I) 2.0≦X+Y≦2.90
式(II) 0≦X≦2.5
この内、特にセルロースアセテートプロピオネートが好ましく用いられ、中でも0.1≦X≦2.5、0.1≦Y≦2.8であることが好ましい。アシル基で置換されていない部分は通常ヒドロキシル基(水酸基)として存在しているものである。アシル基置換度の測定方法はASTM−D817−96に準じて測定することができる。
本発明に係るセルロースエステルは、重量平均分子量Mwが50,000〜500,000のものが好ましく、より好ましくは100,000〜300,000であり、更に好ましくは150,000〜250,000である。
セルロースエステルの平均分子量及び分子量分布は、高速液体クロマトグラフィーを用い測定できるので、これを用いて重量平均分子量(Mw)、分子量分布を算出する。
測定条件は以下の通りである。
溶媒:メチレンクロライド
カラム:Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ:L6000(日立製作所(株)製)
流量:1.0ml/min
校正曲線:標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)
Mw=1000000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いることが好ましい。
本発明で用いられるセルロースエステルの原料セルロースは、木材パルプでも綿花リンターでもよく、木材パルプは針葉樹でも広葉樹でもよい。これらから作られたセルロースエステルは適宜混合して、或いは単独で使用することができる。
例えば、綿花リンター由来セルロースエステル:木材パルプ(針葉樹)由来セルロースエステル:木材パルプ(広葉樹)由来セルロースエステルの比率が100:0:0、90:10:0、85:15:0、50:50:0、20:80:0、10:90:0、0:100:0、0:0:100、80:10:10、85:0:15、40:30:30で用いることができる。
本発明では重合度の高いセルロースが好ましく、例えば、リンターパルプが好ましく、セルロースは、少なくともリンターパルプで構成されたセルロースを使用することが好ましい。セルロースの結晶化度の指標となるα−セルロース含有量は、90%以上(例えば、92〜100%、好ましくは90〜100%、さらに好ましくは990〜100%程度)である。
〈アクリル樹脂〉
本発明に用いることができるアクリル樹脂には、メタクリル樹脂も含まれる。樹脂としては特に制限されるものではないが、メチルメタクリレート単位50〜99質量%、及びこれと共重合可能な他の単量体単位1〜50質量%からなるものが好ましい。
共重合可能な他の単量体としては、アルキル数の炭素数が2〜18のアルキルメタクリレート、アルキル数の炭素数が1〜18のアルキルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸等のα,β−不飽和酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和基含有二価カルボン酸、スチレン、α−メチルスチレン、核置換スチレン等の芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のα,β−不飽和ニトリル、無水マレイン酸、マレイミド、N−置換マレイミド、グルタル酸無水物等が挙げられ、これらは単独で、あるいは二種以上を併用して用いることができる。
これらの中でも、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、s−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が好ましく、メチルアクリレートやn−ブチルアクリレートが特に好ましく用いられる。
アクリル樹脂としては、市販のものも使用することができる。例えば、デルペット60N、80N(旭化成ケミカルズ(株)製)、ダイヤナールBR52、BR80、BR83、BR85、BR88(三菱レイヨン(株)製)、KT75(電気化学工業(株)製)等が挙げられる。
〈環状オレフィン樹脂〉
本発明においては、環状オレフィン樹脂を用いることも好ましい。環状オレフィン樹脂としては、ノルボルネン系樹脂、単環の環状オレフィン系樹脂、環状共役ジエン系樹脂、ビニル脂環式炭化水素系樹脂、及び、これらの水素化物等を挙げることができる。これらの中で、ノルボルネン系樹脂は、透明性と成形性が良好なため、好適に用いることができる。
ノルボルネン系樹脂としては、例えば、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体若しくはノルボルネン構造を有する単量体と他の単量体との開環共重合体又はそれらの水素化物、ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体若しくはノルボルネン構造を有する単量体と他の単量体との付加共重合体又はそれらの水素化物等を挙げることができる。
これらの中で、ノルボルネン構造を有する単量体の開環(共)重合体水素化物は、透明性、成形性、耐熱性、低吸湿性、寸法安定性、軽量性などの観点から、特に好適に用いることができる。
ノルボルネン構造を有する単量体としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(慣用名:メタノテトラヒドロフルオレン)、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、及びこれらの化合物の誘導体(例えば、環に置換基を有するもの)などを挙げることができる。ここで、置換基としては、例えばアルキル基、アルキレン基、極性基などを挙げることができる。また、これらの置換基は、同一又は相異なって複数個が環に結合していてもよい。ノルボルネン構造を有する単量体は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
極性基の種類としては、ヘテロ原子、又はヘテロ原子を有する原子団などが挙げられる。ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、ハロゲン原子などが挙げられる。極性基の具体例としては、カルボキシル基、カルボニルオキシカルボニル基、エポキシ基、ヒドロキシル基、オキシ基、エステル基、シラノール基、シリル基、アミノ基、ニトリル基、スルホン基などが挙げられる。
ノルボルネン構造を有する単量体と開環共重合可能な他の単量体としては、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどのモノ環状オレフィン類及びその誘導体、シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエンなどの環状共役ジエン及びその誘導体などが挙げられる。
ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体及びノルボルネン構造を有する単量体と共重合可能な他の単量体との開環共重合体は、単量体を公知の開環重合触媒の存在下に(共)重合することにより得ることができる。
ノルボルネン構造を有する単量体と付加共重合可能な他の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテンなどの炭素数2〜20のα−オレフィン及びこれらの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセンなどのシクロオレフィン及びこれらの誘導体;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエンなどの非共役ジエンなどが挙げられる。これらの単量体は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、α−オレフィンが好ましく、エチレンがより好ましい。
ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体及びノルボルネン構造を有する単量体と共重合可能な他の単量体との付加共重合体は、単量体を公知の付加重合触媒の存在下に重合することにより得ることができる。
ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体の水素添加物、ノルボルネン構造を有する単量体とこれと開環共重合可能なその他の単量体との開環共重合体の水素添加物、ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体の水素添加物、及びノルボルネン構造を有する単量体とこれと付加共重合可能なその他の単量体との付加共重合体の水素添加物は、これらの重合体の溶液に、ニッケル、パラジウムなどの遷移金属を含む公知の水素添加触媒を添加し、炭素−炭素不飽和結合を好ましくは90%以上水素添加することによって得ることができる。
ノルボルネン系樹脂の中でも、繰り返し単位として、X:ビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジイル−エチレン構造と、Y:トリシクロ[4.3.0.12,5]デカン−7,9−ジイル−エチレン構造とを有し、これらの繰り返し単位の含有量が、ノルボルネン系樹脂の繰り返し単位全体に対して90質量%以上であり、かつ、Xの含有割合とYの含有割合との比が、X:Yの質量比で100:0〜40:60であるものが好ましい。このような樹脂を用いることにより、長期的に寸法変化がなく、光学特性の安定性に優れる光閉じ込めフィルムを得ることができる。
本発明に用いる環状オレフィン樹脂の分子量は使用目的に応じて適宜選定される。溶媒としてシクロヘキサン(重合体が溶解しない場合はトルエン)を用いるゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定したポリイソプレン又はポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で、通常20,000〜150,000である。好ましくは25,000〜100,000、より好ましくは30,000〜80,000である。重量平均分子量がこのような範囲にあるときに、フィルムの機械的強度及び成型加工性とが高度にバランスされ好適である。
環状オレフィン樹脂のガラス転移温度は、使用目的に応じて適宜選択されればよい。耐久性及び延伸加工性の観点から、好ましくは130〜160℃、より好ましくは135〜150℃の範囲である。
環状オレフィン樹脂の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は、緩和時間、生産性等の観点から、1.2〜3.5、好ましくは1.5〜3.0、さらに好ましくは1.8〜2.7である。
本発明に用いる環状オレフィン樹脂は、光弾性係数の絶対値が10×10−12Pa−1以下であることが好ましく、7×10−12Pa−1以下であることがより好ましく、4×10−12Pa−1以下であることが特に好ましい。光弾性係数Cは、複屈折をΔn、応力をσとしたとき、C=Δn/σで表される値である。
本発明において、環状オレフィン樹脂には、実質的に粒子を含まないことが好ましい。ここで、実質的に粒子を含まないとは、環状オレフィン樹脂からなるフィルムへ粒子を添加しても、未添加状態からのヘイズの上昇巾が0.05%以下の範囲である量までは許容できることを意味する。特に、脂環式ポリオレフィン樹脂は、多くの有機粒子や無機粒子との親和性に欠けるため、上記範囲を超えた粒子を添加した環状オレフィン樹脂フィルムを延伸すると、空隙が発生しやすく、その結果として、ヘイズの著しい低下が生じるおそれがある。
〈ポリカーボネート樹脂〉
本発明では、種々の公知のポリカーボネート樹脂も使用することができる。本発明においては、特に芳香族ポリカーボネートを用いることが好ましい。当該芳香族ポリカーボネートについて特に制約はなく、所望するフィルムの諸特性が得られる芳香族ポリカーボネートであれば特に制約はない。
一般に、ポリカーボネートと総称される高分子材料は、その合成手法において重縮合反応が用いられて、主鎖が炭酸結合で結ばれているものを総称するが、これらの内でも、一般に、フェノール誘導体と、ホスゲン、ジフェニルカーボネートらから重縮合で得られるものを意味する。通常、ビスフェノール−Aと呼称されている2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンをビスフェノール成分とする繰り返し単位で表される芳香族ポリカーボネートが好ましく選ばれるが、適宜各種ビスフェノール誘導体を選択することで、芳香族ポリカーボネート共重合体を構成することができる。
かかる共重合成分としてこのビスフェノール−A以外に、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフロロプロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等を挙げることができる。
また、一部にテレフタル酸及び/又はイソフタル酸成分を含む芳香族ポリエステルカーボネートを使用することも可能である。このような構成単位をビスフェノール−Aからなる芳香族ポリカーボネートの構成成分の一部に使用することにより芳香族ポリカーボネートの性質、例えば耐熱性、溶解性を改良することができるが、このような共重合体についても本発明は有効である。
ここで用いられる芳香族ポリカーボネートの粘度平均分子量は、10000以上、200000以下であれば好適に用いられる。粘度平均分子量20000〜120000が特に好ましい。粘度平均分子量が10000より低い樹脂を使用すると得られるフィルムの機械的強度が不足する場合があり、また400000以上の高分子量になるとドープの粘度が大きくなり過ぎ取扱い上問題を生じるので好ましくない。粘度平均分子量は市販の高速液体クロマトグラフィ等で測定することができる。
本発明に係る芳香族ポリカーボネートのガラス転移温度は200℃以上であることが高耐熱性のフィルムを得る上で好ましく、より好ましくは230℃以上である。これらは、上記共重合成分を適宜選択して得ることができる。ガラス転移温度は、DSC装置(示差走査熱量分析装置)にて測定することができ、例えばセイコー電子工業株式会社製:RDC220にて、10℃/分の昇温条件によって求められる、ベースラインが偏奇し始める温度である。
本発明において、上記芳香族ポリカーボネートを含むドープ組成物に用いる溶媒は、メチレンクロライド、及び炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコールを4〜14質量部含有する混合溶媒であることが好ましい。
上記炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコールの混合量は、好ましくは4〜12質量部である。このような混合溶媒を用い、従来よりも高い残留溶媒濃度でウェブを剥離することにより、ウェブ剥離時の強い静電気の発生を抑制し、これによりベルトが損傷したり、フィルムのスジやムラ、微小傷の発生を防止したりすることができる。
加えるアルコールの種類は用いる溶媒により制限される。アルコールと当該溶媒とが相溶性があることが必要条件である。これらは単独で加えても良いし、二種類以上組み合わせても問題ない。本発明におけるアルコールとしては、炭素数1〜6、好ましくは1〜4、より好ましくは2〜4の鎖状、或いは分岐した脂肪族アルコールが好ましい。具体的にはメタノール、エタノール、イソプロパノール、ターシャリ−ブタノールなどが挙げられる。これらのうちエタノール、イソプロパノール、ターシャリ−ブタノールはほぼ同等の効果が得られるが、メタノールはやや効果が低い。理由は明らかでないが溶媒の沸点、即ち乾燥時の飛び易さが関係しているものと推測している。それ以上の高級アルコールは、高沸点であるためフィルム製膜後も残留しやすくなるので好ましくない。
アルコールの添加量は慎重に選択されなければならない。これらのアルコールは芳香族ポリカーボネートに対する溶解性には全く乏しく、完全な貧溶媒である。従ってあまり多く加えることはできず、満足すべき剥離性が得られる最少量とすべきである。前述したようにメチレンクロライドに対して4〜14質量部、好ましくは4〜12質量部である。メチレンクロライド量に対しては、添加量が4〜14質量部の範囲であると、当該溶媒の樹脂に対する溶解性、ドープ安定性が向上し、剥離性改善の効果が大きくなる。
本発明はドープ組成物中、上記メチレンクロライドと脂肪族アルコールで構成されるが、他の溶媒を使用することもできる。その他残りの溶媒としては芳香族ポリカーボネートを高濃度に溶解し、かつアルコールと相溶性があること、さらに低沸点溶媒であれば特に限定はない。例えば、芳香族ポリカーボネートに対して溶解力のある溶媒として、塩化メチレン以外にクロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン系溶媒、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン等の環状エーテル系の溶媒、シクロヘキサノン等のケトン系の溶媒が挙げられる。
他の溶媒を使用する場合は特に限定はなく、効果を勘案して用いればよい。ここでいう効果とは、溶解性や安定性を犠牲にしない範囲で溶媒を混合することによる、たとえば溶液流延法により製膜したフィルムの表面性の改善(レベリング効果)、蒸発速度や系の粘度調節、結晶化抑制効果などである。これらの効果の度合により混合する溶媒の種類や添加量を決定すればよく、また混合する溶媒として一種又は二種以上用いてもかまわない。
好適に用いられる他の溶媒としてはクロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン系溶媒、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、エチレングリコールジメチルエーテル、メトキシエチルアセテートなどのエーテル系溶媒が挙げられる。
本発明に係るドープ組成物は、結果としてヘイズの低い透明な溶液が得られればいかなる方法で調製してもよい。あらかじめある溶媒に溶解させた芳香族ポリカーボネート溶液に、アルコールを所定量添加してもよいし、アルコールを含む混合溶媒に芳香族ポリカーボネートを溶解させてもよい。ただ先にも述べた様にアルコールは貧溶媒であるため、前者の後から添加する方法では樹脂の析出によるドープ白濁の可能性があるため、後者の混合溶媒に溶解させる方法が好ましい。
〈ポリエステル樹脂〉
本発明において用いることができるポリエステル樹脂は、ジカルボン酸とジオールを重合することにより得られ、ジカルボン酸構成単位(ジカルボン酸に由来する構成単位)の70%以上が芳香族ジカルボン酸に由来し、かつジオール構成単位(ジオールに由来する構成単位)の70%以上が脂肪族ジオールに由来する。
芳香族ジカルボン酸に由来する構成単位の割合は70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。
脂肪族ジオールに由来する構成単位の割合は70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。ポリエステル樹脂は、二種以上を併用してもよい。
前記芳香族ジカルボン酸として、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸等のナフタレンジカルボン酸、4,4′−ビフェニルジカルボン酸、3,4′−ビフェニルジカルボン酸等及びこれらのエステル形成性誘導体が例示できる。
ポリエステル樹脂には本発明の目的を損なわない範囲でアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸や安息香酸、プロピオン酸、酪酸等のモノカルボン酸を用いることができる。
前記脂肪族ジオールとして、エチレングリコール、1,3−プロピレンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール等及びこれらのエステル形成性誘導体が例示できる。
ポリエステル樹脂には本発明の目的を損なわない範囲でブチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール等のモノアルコール類や、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類を用いることもできる。
ポリエステル樹脂の製造には、公知の方法である直接エステル化法やエステル交換法を適用することができる。ポリエステル樹脂の製造時に使用する重縮合触媒としては、公知の三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等のアンチモン化合物、酸化ゲルマニウム等のゲルマニウム化合物、酢酸チタン等のチタン化合物、塩化アルミニウム等のアルミニウム化合物等が例示できるが、これらに限定されない。
好ましいポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリエチレン−1,4−シクロヘキサンジメチレン−テレフタレート共重合樹脂、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキレート樹脂、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート−テレフタレート共重合樹脂、ポリエチレン−テレフタレート−4,4′−ビフェニルジカルボキシレート樹脂、ポリ−1,3−プロピレン−テレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート樹脂等がある。
より好ましいポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリエチレン−1,4−シクロヘキサンジメチレン−テレフタレート共重合樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂及びポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート樹脂が挙げられる。
ポリエステル樹脂の固有粘度(フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン=60/40質量比混合溶媒中、25℃で測定した値)は、0.7〜2.0dl/gが好ましく、より好ましくは0.8〜1.5dl/gである。固有粘度が0.7以上であるとポリエステル樹脂の分子量が充分に高いために、これを使用して得られるポリエステル樹脂組成物からなる成形物が成形物として必要な機械的性質を有すると共に、透明性が良好となる。固有粘度が2.0以下の場合、成形性が良好となる。
<添加剤>
本発明に係る偏光膜保護フィルムとしての光散乱性フィルム(以下において、適宜、「光学フィルム」ともいう。)には、目的に応じて種々の添加剤を含有させることができる。以下において、本発明に用いるできる添加剤について説明する。
(糖エステル化合物)
本発明においては、セルロースエステル等の熱可塑性樹脂にポリエステル系樹脂として糖エステル化合物を含有させることができる。
糖エステル化合物としては、例えば、ピラノース構造又はフラノース構造の少なくとも一種を1個以上12個以下有しその構造のOH基のすべてもしくは一部をエステル化したエステル化合物が挙げられる。
エステル化の割合としては、ピラノース構造又はフラノース構造内に存在するOH基の70%以上であることが好ましい。
前記糖エステル化合物の合成原料の糖の例としては、例えば以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、キシロース、あるいはアラビノース、ラクトース、スクロース、ニストース、1F−フラクトシルニストース、スタキオース、マルチトール、ラクチトール、ラクチュロース、セロビオース、マルトース、セロトリオース、マルトトリオース、ラフィノースあるいはケストース挙げられる。
この他、ゲンチオビオース、ゲンチオトリオース、ゲンチオテトラオース、キシロトリオース、ガラクトシルスクロースなども挙げられる。
これらの化合物の中で、特にピラノース構造とフラノース構造を両方有する化合物が好ましい。
例としてはスクロース、ケストース、ニストース、1F−フラクトシルニストース、スタキオースなどが好ましく、更に好ましくは、スクロースである。
前記ピラノース構造又はフラノース構造中のOH基のすべてもしくは一部をエステル化するのに用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることができる。用いられるカルボン酸は一種類でもよいし、二種以上の混合であってもよい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、オクテン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、酢酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、又はそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基、アルコキシ基を導入した芳香族モノカルボン酸、ケイ皮酸、ベンジル酸、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、又はそれらの誘導体を挙げることができ、より、具体的には、キシリル酸、ヘメリト酸、メシチレン酸、プレーニチル酸、γ−イソジュリル酸、ジュリル酸、メシト酸、α−イソジュリル酸、クミン酸、α−トルイル酸、ヒドロアトロパ酸、アトロパ酸、ヒドロケイ皮酸、サリチル酸、o−アニス酸、m−アニス酸、p−アニス酸、クレオソート酸、o−ホモサリチル酸、m−ホモサリチル酸、p−ホモサリチル酸、o−ピロカテク酸、β−レソルシル酸、バニリン酸、イソバニリン酸、ベラトルム酸、o−ベラトルム酸、没食子酸、アサロン酸、マンデル酸、ホモアニス酸、ホモバニリン酸、ホモベラトルム酸、o−ホモベラトルム酸、フタロン酸、p−クマル酸を挙げることができるが、特に安息香酸が好ましい。
ピラノース構造単位又はフラノース構造単位の少なくとも一種を1〜12個を有する化合物として、オリゴ糖のエステル化合物を適用することができる。
オリゴ糖は、澱粉、ショ糖等にアミラーゼ等の酵素を作用させて製造されるもので、当該オリゴ糖としては、例えば、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖が挙げられる。
以下に、糖エステル化合物の一例を下記に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
モノペットSB:第1工業製薬社製、モノペットSOA:第1工業製薬社製。
これらの糖エステル化合物の添加量としては、前記重合体(A)とセルロースエステルの総質量に対して、0.5〜30質量%含むことが好ましく、特には、5〜20質量%含むことが好ましい。
(可塑剤)
本発明に係るセルロースエステルフィルムは、本発明の効果を得る上で、数平均分子量が600以下であるエステル系可塑剤が含まれることを要する。
数平均分子量が600より大きい場合には、セルロースエステルの結晶化が阻害され、結晶部と非晶部の引き裂きによる空孔形成が生じ難くなり、十分な光散乱性が得られない。
また、上記の範囲のうち、熱によるブリードアウトの観点から数平均分子量は350〜600であることがより好ましい。
また、本発明に係るセルロースエステル含有フィルムは、本発明の効果を得る上で、水中25℃での第1酸解離定数pKaが2.2〜5.0の範囲の酸からなるポリエステル系可塑剤を含有することを要する。
pKaが2.2未満の場合には、加熱により分解した際に、発生する酸の酸性度が強く、フィルム劣化が生じてしまう。また、pKaが5.0より大きい場合には、樹脂製造の際の重縮合時間が長くなるとこで、得られる樹脂のカルボキシル末端基量が増加し、樹脂の耐熱性が低下する問題がある。
酸解離定数は、公知の滴定法(ブレンステッドの定義に基づく酸解離定数の測定方法)によって求められる。
pKaが2.2以上の酸としては、例えば炭酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ステアリン酸、マロン酸、クロトン酸、オレイン酸、アクリル酸、アジピン酸、アスコルビン酸、安息香酸、クエン酸、グルタミン酸、グルタル酸、コハク酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、リンゴ酸、p−ヒドロキシ安息香酸などがある。
前記事項以外は、特に限定されないが、好ましくは、フタル酸エステル系可塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤及び多価アルコールエステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤等から選択される。
そのうち、可塑剤を二種以上用いる場合は、少なくとも一種は多価アルコールエステル系可塑剤であることが好ましい。
多価アルコールエステル系可塑剤は2価以上の脂肪族多価アルコールとモノカルボン酸のエステルよりなる可塑剤であり、分子内に芳香環又はシクロアルキル環を有することが好ましい。好ましくは2〜20価の脂肪族多価アルコールエステルである。
本発明に好ましく用いられる多価アルコールは次の一般式(a)で表される。
一般式(a): R−(OH)
但し、Rはn価の有機基、nは2以上の正の整数、OH基はアルコール性、及び/又はフェノール性ヒドロキシル基(水酸基)を表す。
好ましい多価アルコールの例としては、例えば以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
アドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール等を挙げることができる。
特に、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、キシリトールが好ましい。
多価アルコールエステルに用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることができる。脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸を用いると透湿性、保留性を向上させる点で好ましい。
好ましいモノカルボン酸の例としては以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数1〜32の直鎖又は側鎖を有する脂肪酸を好ましく用いることができる。炭素数は1〜20であることが更に好ましく、1〜10であることが特に好ましい。酢酸を含有させるとセルロースエステルとの相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いることも好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、又はそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基、メトキシ基あるいはエトキシ基などのアルコキシ基を1〜3個を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、又はそれらの誘導体を挙げることができる。特に安息香酸が好ましい。
多価アルコールエステルに用いられるカルボン酸は一種類でもよいし、二種以上の混合であってもよい。また、多価アルコール中のOH基は、全てエステル化してもよいし、一部をOH基のままで残してもよい。
以下に、多価アルコールエステルの具体的化合物を例示する。
Figure 0005531929
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フタル酸エステル系可塑剤としては、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジシクロヘキシルテレフタレート等が挙げられる。
クエン酸エステル系可塑剤としては、クエン酸アセチルトリメチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル等が挙げられる。
脂肪酸エステル系可塑剤として、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル等が挙げられる。
多価カルボン酸エステル化合物としては、2価以上、好ましくは2価〜20価の多価カルボン酸とアルコールのエステルよりなる。また、脂肪族多価カルボン酸は2〜20価であることが好ましく、芳香族多価カルボン酸、脂環式多価カルボン酸の場合は3価〜20価であることが好ましい。
多価カルボン酸は次の一般式(b)で表される。
一般式(b): R(COOH)(OH)
(但し、Rは(m+n)価の有機基、mは2以上の正の整数、nは0以上の整数、COOH基はカルボキシル基、OH基はアルコール性又はフェノール性ヒドロキシル基(水酸基)を表す)
好ましい多価カルボン酸の例としては、例えば以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸のような3価以上の芳香族多価カルボン酸又はその誘導体、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、テトラヒドロフタル酸のような脂肪族多価カルボン酸、酒石酸、タルトロン酸、リンゴ酸、クエン酸のようなオキシ多価カルボン酸などを好ましく用いることができる。特にオキシ多価カルボン酸を用いることが、保留性向上などの点で好ましい。
(紫外線吸収剤)
本発明の光散乱性フィルムは、紫外線吸収剤を含有することもできる。紫外線吸収剤は400nm以下の紫外線を吸収することで、耐久性を向上させることを目的としており、特に波長370nmでの透過率が10%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以下、更に好ましくは2%以下である。
前記紫外線吸収剤は特に限定されないが、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、トリアジン系化合物、ニッケル錯塩系化合物、無機粉体等が挙げられる。
例えば、5−クロロ−2−(3,5−ジ−sec−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、(2−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2,4−ベンジルオキシベンゾフェノン等があり、また、チヌビン109、チヌビン171、チヌビン234、チヌビン326、チヌビン327、チヌビン328、チヌビン928等のチヌビン類があり、これらはいずれもBASFジャパン社製の市販品であり好ましく使用できる。
本発明で好ましく用いられる紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤であり、特に好ましくはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、である。
この他、1,3,5−トリアジン環を有する化合物等の円盤状化合物も紫外線吸収剤として好ましく用いられる。
本発明におけるセルロースエステル溶液は紫外線吸収剤を二種以上含有することが好ましい。また、紫外線吸収剤としては高分子紫外線吸収剤も好ましく用いることができ、特に特開平6−148430号公報記載の樹脂タイプの紫外線吸収剤が好ましく用いられる。
紫外線吸収剤の添加方法は、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコールやメチレンクロライド、酢酸メチル、アセトン、ジオキソラン等の有機溶媒あるいはこれらの混合溶媒に紫外線吸収剤を溶解してからドープに添加するか、又は直接ドープ組成中に添加してもよい。
無機粉体のように有機溶剤に溶解しないものは、有機溶剤とセルロースエステル中にディゾルバーやサンドミルを使用し、分散してからドープに添加する。
紫外線吸収剤の使用量は、紫外線吸収剤の種類、使用条件等により一様ではないが、光散乱性フィルムの乾燥膜厚が30〜200μmの場合は、光散乱性フィルムに対して0.5〜10質量%が好ましく、0.6〜4質量%が更に好ましい。
(酸化防止剤)
酸化防止剤は劣化防止剤ともいわれる。高湿高温の状態に液晶画像表示装置などが置かれた場合には、光散乱性フィルムの劣化が起こる場合がある。
酸化防止剤は、例えば、光散乱性フィルム中の残留溶媒量のハロゲンやリン酸系可塑剤のリン酸等により光散乱性フィルムが分解するのを遅らせたり、防いだりする役割を有するので、前記光散乱性フィルム中に含有させるのが好ましい。
このような酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の化合物が好ましく用いられ、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト等を挙げることができる。
特に、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。また、例えば、N,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン等のヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等のリン系加工安定剤を併用してもよい。
これらの化合物の添加量は、前記重合体(A)とセルロースエステルの総質量に対して質量割合で1ppm〜1.0%が好ましく、10〜1000ppmが更に好ましい。
(微粒子)
本発明に係る光散乱性フィルムは、前記セルロースエステル溶液の処理工程後に、微粒子を添加することができる。
当該微粒子としては、無機化合物の例として、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。また、有機化合物の微粒子も好ましく使用することができる。有機化合物の例としてはポリテトラフルオロエチレン、セルロースアセテート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエチレンカーボネート、アクリルスチレン系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂、メラミン系樹脂、ポリオレフィン系粉末、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、あるいはポリ弗化エチレン系樹脂、澱粉等の有機高分子化合物の粉砕分級物もあげられる。あるいは又懸濁重合法で合成した高分子化合物、スプレードライ法あるいは分散法等により球型にした高分子化合物、又は無機化合物を用いることができる。
微粒子は珪素を含むものが、濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。
微粒子の一次粒子の平均粒径は、5〜400nmが好ましく、更に好ましいのは10〜300nmである。
これらは主に粒径0.05〜0.3μmの二次凝集体として含有されていてもよく、平均粒径100〜400nmの粒子であれば凝集せずに一次粒子として含まれていることも好ましい。
セルロースエステル中のこれらの微粒子の含有量は0.01〜1質量%であることが好ましく、特に0.05〜0.5質量%が好ましい。
二酸化珪素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
樹脂の例として、シリコーン樹脂、フッ素樹脂及びアクリル樹脂を挙げることができる。シリコーン樹脂が好ましく、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(以上東芝シリコーン(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
これらの中でもアエロジル200V、アエロジルR972Vが光散乱性フィルムの摩擦係数を下げる効果が大きいため特に好ましく用いられる。前記光散乱性フィルム(光学フィルム)においては、少なくとも一方の面の動摩擦係数が0.2〜1.0であることが好ましい。
各種添加剤は製膜前の樹脂含有溶液であるドープにバッチ添加してもよいし、添加剤溶解液を別途用意してインライン添加してもよい。特に微粒子は濾過材への負荷を減らすために、一部又は全量をインライン添加することが好ましい。
添加剤溶解液をインライン添加する場合は、ドープとの混合性をよくするため、少量の樹脂を溶解するのが好ましい。好ましい樹脂の量は、溶剤100質量部に対して1〜10質量部で、より好ましくは、3〜5質量部である。
本発明においてインライン添加、混合を行うためには、例えば、スタチックミキサー(東レエンジニアリング製)、SWJ(東レ静止型管内混合器 Hi−Mixer)等のインラインミキサー等が好ましく用いられる。
(光散乱性フィルムの製造装置と製造方法)
本発明の光散乱性フィルムの製造装置と製造方法は、従来公知の種々の態様を採り得るが、熱可塑性樹脂として、セルロースエステルのみを用いる例について説明する。
本発明に係るセルロースエステルフィルムの製造方法は、溶液流延製膜法に基づくものであり、すなわちセルロースエステルを含む溶液を金属支持体上に流延・乾燥し、フィルムを剥離した後、延伸工程を実施する。詳しくは、さらに乾燥工程および巻き取り工程を含むものである。
なお、本発明においては、熱可塑性樹脂と可塑剤とを含有するフィルムを延伸することにより形状異方性の空孔を内部に発生させることを特徴とする。
以下、図1を参照して、各工程について詳しく説明する。図1は、セルロースエステルフィルムの製造方法を実施する装置の一例の概略構成図である。
(流延工程)
流延工程で使用されるセルロースエステルを含む溶液は、後述する特定のセルロースエステルを溶媒に溶解させてなる溶液であり、以下、ドープと呼ぶものとする。
流延工程は、ドープを金属支持体1上に流延する工程であり、例えば、ドープを加圧型定量ギヤポンプを通してダイ2に送液し、図1に示すように、流延位置において金属支持体1上にダイ2からドープを流延する。ダイ2は、口金部分のスリット形状を調整でき、かつ膜厚を均一にし易い観点から、加圧ダイを用いることが好ましい。
加圧ダイには、コートハンガーダイやTダイ等が挙げられるが、何れも好ましく用いられる。製膜速度を上げるため、加圧ダイを金属支持体上に2基以上設け、ドープ量を分割して重層製膜してもよい。
膜厚を調整する方法として、例えば、流延されたドープ膜をブレードで膜厚を調節するドクターブレード法、あるいは逆回転するロールで膜厚を調節するリバースロールコーター法等を採用してもよい。膜厚の調節は、所望の厚さになるように、ドープ濃度、ポンプの送液量、ダイの口金のスリット間隙、ダイの押し出し圧力、金属支持体の速度等を適宜調整することにより行うことができる。
金属支持体1は、無限移送する無端のものが好ましく使用され、表面が鏡面となっているものがより好ましい。金属支持体の具体例として、例えば、ステンレスベルトあるいは回転する金属ドラム等が挙げられる。
(第1乾燥工程)
金属支持体1上での乾燥工程は第1乾燥工程であって、ウェブを支持体1上で加熱し、溶媒を蒸発させる予備乾燥工程である。ウェブとは、ドープを金属支持体1上に流延した以降のドープ膜を意味する。溶媒を蒸発させるには、例えば、図1に示すように、乾燥機3,4によりウェブ側及び金属支持体裏側から加熱風を吹かせる方法、支持体の裏面から加熱液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等を挙げることができる。それらを適宜選択して組み合わせる方法も好ましい。ウェブの膜厚が薄ければ乾燥が早い。金属支持体の温度は全体が同じでも、位置によって異なっていてもよい。金属支持体の温度は20℃以上で、溶媒が発泡しない温度に設定するのが好ましい。加熱風の温度は10〜80℃が好ましい。
第1乾燥工程においては、ウェブの剥離、ならびに剥離後の搬送性の観点から、残留溶媒量が70〜170質量%になるまで、ウェブを乾燥することが好ましい。
残留溶媒量をできるだけ多くして、後の剥離工程で剥離することにより、製膜速度を上げることができる方法の1つとして、残留溶媒量が多くとも剥離できるゲル流延法(ゲルキャスティング)を挙げることができる。ゲル流延法には、ドープ中にセルロースエステルに対する貧溶媒を加えて、ドープ流延後にゲル化する方法、あるいは支持体の温度を低めてゲル化する方法等がある。また、ドープ中に金属塩を加える方法もある。支持体上でゲル化させ、ドープ膜を強くすることによって、剥離を早め、製膜速度を上げることができる。
本明細書中、残留溶媒量は下記の式で表すことができる。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
ここで、Mはウェブまたはフィルムの所定の時点での質量、NはMのものを110℃で3時間乾燥させた時の質量である。特に第1乾燥工程において達成されるべき残留溶媒量を算出するときのMは剥離工程直前のウェブの質量である。
(剥離工程)
剥離工程は、金属支持体上で有機溶媒を蒸発させて、金属支持体が一周する前にウェブを剥離する工程である。金属支持体からウェブを剥離する位置のことを剥離点といい、また剥離を助けるロール5を剥離ロールという。
剥離されたフィルムは、図1に示すように第2乾燥工程9を経由して延伸工程6に送られてもよい。本発明においては、製膜速度の上昇の観点から、残留溶媒量が比較的多い時点で剥離を行い、その後フィルムは第2乾燥工程9を経由して延伸工程6に送られることが好ましい。
(第2乾燥工程)
第2乾燥工程9は、剥離されたフィルムを加熱し、溶媒をさらに蒸発させる乾燥工程である。乾燥手段は特に制限されず、例えば、熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等を用いることができる。簡便さの観点からは、例えば図1に示すように、千鳥状に配置したロール91でフィルムを搬送しながら、熱風等で乾燥を行うことが好ましい。乾燥温度は延伸工程に入る時のウェブの残留溶媒により異なるが、溶媒の蒸発に伴うウェブの表面への結露、伸縮率、溶媒の発泡等を考慮して、20〜80℃の範囲で3〜5段階の温度に分けて、徐々に高くしていくことが好ましい。
(延伸工程)
延伸工程は、フィルムを加熱下で少なくとも幅方向に延伸して保持する工程であり、図1中、6で示される。実際にセルロースエステルフィルムの連続製造ラインで採用される延伸工程6を延伸工程Aとして示し、当該延伸工程Aの延伸条件を決定するために試行される後述の基準延伸工程Sとは区別して表示するものとする。
延伸工程Aでは、通常、延伸・保持した後、緩和が行われ、すなわち本工程は、フィルムを幅手方向に延伸する延伸段階、フィルムを幅手方向に保持する保持段階およびフィルムを幅手方向に緩和する緩和段階をこれらの順序で実施する。
延伸段階では、加熱下でフィルムに幅手方向または幅手方向および搬送方向の両方向に張力を付与し、フィルムの延伸を行う。延伸方法は特に制限されず、従来から光学フィルムの製造方法の分野で公知の延伸方法を採用できる。幅手方向の延伸方法としては、例えば、ピンテンター法、クリップテンター法等が挙げられる。搬送方向の延伸方法としては、例えば、上流側と下流側とで搬送用駆動ロールの周速を異ならせる方法や、搬送張力を異ならせる方法等が挙げられる。
延伸段階における幅方向の延伸倍率は20%以上であり、好ましくは35%以上である。延伸倍率の上限は本発明の目的が達成される限り特に制限されず、例えば50%、通常は40%である。本明細書中、延伸倍率とは延伸によって延びた長さの元の長さに対する割合である。
搬送方向の延伸倍率は特に制限されず、例えば、0〜20%が好適である。
保持段階では、延伸段階で達成された延伸倍率での延伸を、延伸段階における延伸温度で保持する。
緩和段階では、延伸段階における延伸を保持段階で保持した後、延伸のための張力を解除することによって、延伸を緩和する。緩和は延伸段階における延伸温度以下で行えばよい。
(第3乾燥工程)
第3乾燥工程7は、延伸されたフィルムを加熱し、溶媒をさらに蒸発させる乾燥工程である。乾燥手段は特に制限されず、例えば、熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等を用いることができる。簡便さの観点からは、例えば図1に示すように、千鳥状に配置したロール71でフィルムを搬送しながら、熱風等で乾燥を行うことが好ましい。乾燥温度は40〜150℃の範囲で3〜5段階の温度に分けて、乾燥温度を徐々に高くしていくことが好ましく、更には、80〜140℃の範囲で行うことが、高い寸法安定性を実現する上で好ましい。
第3乾燥工程においては、残留溶媒量が0.4質量%以下になるまで、フィルムを乾燥することが好ましい。特に第3乾燥工程において達成される残留溶媒量を算出するときのMは第3乾燥工程直後のフィルムの質量である。
(巻き取り工程)
巻き取り工程8は得られたフィルムを巻き取って室温まで冷却する工程である。巻き取り機82は、一般的に使用されているものでよく、例えば、定テンション法、定トルク法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法などの巻き取り方法で巻き取ることができる。
セルロースエステルフィルムの厚さは、通常、20〜200μmであり、LCD等に使用される偏光板の薄肉化、軽量化が要望から、本発明では20〜60μmであることが好ましく、より好ましくは、30〜60μm、更に好ましくは35〜50μmである。
上述した流延工程から巻き取り工程までの各工程は、空気雰囲気下であってもよいし、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下であってもよい。また、各工程、特に乾燥工程や延伸工程は、雰囲気における溶媒の爆発限界濃度を考慮して実施する。
(ドープ)
ドープに含まれるセルロースエステルは、例えば、リンターパルプ、ウッドパルプ及びケナフパルプから選ばれるセルロースに、酢酸またはその無水物を常法により反応させて得られるものである。詳しくは、アセチル基の置換度が2.80〜3.00、好ましくは2.85〜3.00であり、かつプロピオニル基が実質的に置換されていないセルロースエステルが使用され、具体的にはセルローストリアセテートが使用される。セルロースエステルのアセチル基の置換度が小さすぎると、フィルムの機械的強度が低下するため、凸状押され故障が発生しやすくなる。また、溶解性が低下するために未溶解物が増加し、内部ヘイズが高くなる。
プロピオニル基が実質的に置換されていないとは、セルロースエステルがプロピオニル基を実質的に有さない、という意味であり、本発明は、プロピオニル基が置換されたセルロースエステルが不純物として微量で混入されることによって、セルロースエステル全体としてプロピオニル基の置換度0.10以下、特に0.05以下を有するセルロースエステルを使用することを妨げるものではない。
セルロースエステルは、アセチル基やプロピオニル基以外のアシル基を実質的に有さないことが好ましく、詳しくはアセチル基やプロピオニル基以外のアシル基、例えば、ブチリル基の置換度は0.10以下、特に0.05以下であることが好ましい。
セルロースエステルのアシル基の置換度の測定方法としては、ASTMのD−817−91に準じて実施することができる。これらのセルロースエステルの分子量は、数平均分子量として70,000〜300,000の範囲が、フィルムに成形した場合の機械的強度が強く好ましく、更に、80,000〜200,000がより好ましい。通常、セルロースエステルは反応後の水洗等の処理後において、フレーク状となり、その形状で使用されるが、粒子サイズとしては、平均粒径として0.05〜2.0mmの範囲とすることが、より溶解性を早める観点から好ましい。
ドープ中には、可塑剤、紫外線吸収剤、マット剤、酸化防止剤などの添加剤を含有させてもよい。
<機能性層>
本発明に係る光散乱性フィルムには、帯電防止層、バックコート層、反射防止層、易滑性層、接着層、防眩層、バリアー層等の機能性層を設けることができる。
〈ハードコート層〉
本発明に用いられるハードコート層は活性線硬化樹脂を含有し、紫外線や電子線のような活性線(活性エネルギー線ともいう)照射により、架橋反応を経て硬化する樹脂を主たる成分とする層であることが好ましい。
活性線硬化樹脂としては、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーを含む成分が好ましく用いられ、紫外線や電子線のような活性線を照射することによって硬化させて活性線硬化樹脂層が形成される。
活性線硬化樹脂としては紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂等が代表的なものとして挙げられるが、紫外線照射によって硬化する樹脂が機械的膜強度(耐擦傷性、鉛筆硬度)に優れる点から好ましい。
紫外線硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化型ウレタンアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、又は紫外線硬化型エポキシ樹脂等が好ましく用いられる。中でも紫外線硬化型アクリレート系樹脂が好ましい。
又はドコート層には活性線硬化樹脂の硬化促進のため、光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤量としては、質量比で、光重合開始剤:活性線硬化樹脂=20:100〜0.01:100で含有することが好ましい。
光重合開始剤としては、具体的には、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等及びこれらの誘導体を挙げることができるが、特にこれらに限定されるものではない。
又はドコート層には、無機化合物又は有機化合物の微粒子を含むことが好ましい。
無機微粒子としては、酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム、ITO、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。特に、酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム等が好ましく用いられる。
有機粒子としては、ポリメタアクリル酸メチルアクリレート樹脂粉末、アクリルスチレン系樹脂粉末、ポリメチルメタクリレート樹脂粉末、シリコン系樹脂粉末、ポリスチレン系樹脂粉末、ポリカーボネート樹脂粉末、ベンゾグアナミン系樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、又はポリ弗化エチレン系樹脂粉末等を添加することができる。
これらの微粒子粉末の平均粒子径は特に制限されないが、0.01〜5μmが好ましく、更には、0.01〜1.0μmであることが特に好ましい。また、粒径の異なる二種以上の微粒子を含有しても良い。微粒子の平均粒子径は、例えばレーザー回折式粒度分布測定装置により測定することができる。
紫外線硬化樹脂組成物と微粒子の割合は、樹脂組成物100質量部に対して、10〜400質量部となるように配合することが望ましく、更に望ましくは、50〜200質量部である。
これらのハードコート層はグラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、インクジェット法等公知の方法を用いて、ハードコート層を形成する塗布組成物を塗布し、塗布後、加熱乾燥し、UV硬化処理することで形成できる。
ハードコート層のドライ膜厚としては平均膜厚0.1〜30μm、好ましくは1〜20μm、特に好ましくは6〜15μmである。
UV硬化処理の光源としては、紫外線を発生する光源であれば制限なく使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。
照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、活性線の照射量は、通常5〜500mJ/cm、好ましくは5〜200mJ/cmである。
〈バックコート層〉
本発明に係る光散乱性フィルムは、フィルムのハードコート層を設けた側と反対側の面に、カールやくっつき防止の為にバックコート層を設けてもよい。
バックコート層に添加される粒子としては無機化合物の例として、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、ITO、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。
バックコート層に含まれる粒子は、バインダーに対して0.1〜50質量%が好ましい。バックコート層を設けた場合のヘイズの増加は1.5%以下であることが好ましく、0.5%以下であることが更に好ましく、特に0.1%以下であることが好ましい。
バインダーとしては、ジアセチルセルロース等のセルロースエステル樹脂が好ましい。
〈反射防止層〉
本発明に係る光散乱性フィルムは、光散乱性フィルムの透過率を高める目的で、ハードコート層の上層に反射防止層を塗設して、反射防止機能を設けてもよい。
反射防止層は、光学干渉によって反射率が減少するように屈折率、膜厚、層の数、層順等を考慮して積層されていることが好ましい。反射防止層は、支持体よりも屈折率の低い低屈折率層、もしくは支持体よりも屈折率の高い高屈折率層と低屈折率層を組み合わせて構成されていることが好ましい。特に好ましくは、三層以上の屈折率層から構成される反射防止層であり、支持体側から屈折率の異なる三層を、中屈折率層(支持体よりも屈折率が高く、高屈折率層よりも屈折率の低い層)/高屈折率層/低屈折率層の順に積層されているものが好ましく用いられる。又は、二層以上の高屈折率層と二層以上の低屈折率層とを交互に積層した4層以上の層構成の反射防止層も好ましく用いられる。
反射防止フィルムの層構成としては下記のような構成が考えられるが、これに限定されるものではない。
光散乱性フィルム/ハードコート層/低屈折率層
光散乱性フィルム/ハードコート層/中屈折率層/低屈折率層
光散乱性フィルム/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
光散乱性フィルム/ハードコート層/高屈折率層(導電性層)/低屈折率層
光散乱性フィルム/ハードコート層/防眩性層/低屈折率層
反射防止フィルムには必須である低屈折率層は、シリカ系微粒子を含有することが好ましく、その屈折率は、支持体であるセルロースフィルムの屈折率より低く、23℃、波長550nm測定で、1.30〜1.45の範囲であることが好ましい。
低屈折率層の膜厚は、5nm〜0.5μmであることが好ましく、10nm〜0.3μmであることが更に好ましく、30nm〜0.2μmであることが最も好ましい。
低屈折率層形成用組成物については、シリカ系微粒子として、特に外殻層を有し内部が多孔質又は空洞の粒子を少なくとも一種類以上含むことが好ましい。特に当該外殻層を有し内部が多孔質又は空洞である粒子が、中空シリカ系微粒子であることが好ましい。
なお、低屈折率層形成用組成物には、下記一般式(OSi−1)で表される有機珪素化合物もしくはその加水分解物、或いは、その重縮合物を併せて含有させても良い。
一般式(OSi−1):Si(OR)
前記一般式で表される有機珪素化合物は、式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表す。具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン等が好ましく用いられる。
他に溶剤、必要に応じて、シランカップリング剤、硬化剤、界面活性剤等を添加してもよい。
<偏光板>
偏光板は一般的な方法で作製することができる。本発明に係る光散乱性フィルムの裏面側をアルカリ鹸化処理し、処理した光散乱性フィルムを、ヨウ素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光膜の少なくとも一方の面に、完全鹸化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせることが好ましい。
もう一方の面に当該光散乱性フィルムを用いても、別の偏光膜保護フィルムを用いてもよい。例えば、特開2003−12859号公報記載のリターデーションRoが590nmで0〜5nm、Rtが−20〜+20nmの無配向フィルムが一例として挙げられる。
また、他に面内リターデーションRoが590nmで、20〜70nm、Rtが70〜400nmの位相差を有する光学補償フィルム(位相差フィルム)を用いて、視野角拡大可能な偏光板とすることもできる。これらは例えば、特開2002−71907号の方法で作製することができる。又は、更にディスコチック液晶等の液晶化合物を配向させて形成した光学異方層を有している光学補償フィルムを用いることが好ましい。例えば、特開2003−98348号記載の方法で光学異方性層を形成することができる。
また、好ましく用いられる市販の偏光膜保護フィルムとしては、KC8UX2MW、KC4UX、KC5UX、KC4UY、KC8UY、KC12UR、KC4UEW、KC8UCR−3、KC8UCR−4、KC8UCR−5、KC4FR−1、KC4FR−2、KC8UE、KC4UE(コニカミノルタオプト(株)製)等が挙げられる。
偏光板の主たる構成要素である偏光膜とは、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光膜は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムで、これはポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと二色性染料を染色させたものがあるがこれのみに限定されるものではない。
偏光膜は、ポリビニルアルコール水溶液を製膜し、これを一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理を行ったものが用いられている。偏光膜の膜厚は5〜30μm、好ましくは8〜15μmの偏光膜が好ましく用いられる。
偏光膜の面上に、本発明に係る光散乱性フィルムの片面を貼り合わせて偏光板を形成する。好ましくは完全鹸化ポリビニルアルコール等を主成分とする水系の接着剤によって貼り合わせる。
<液晶表示装置>
本発明に係る光散乱性フィルムを用いて作製した偏光板を表示装置に組み込むことによって、種々の視認性に優れた画像表示装置を作製することができる。
本発明に係る光散乱性フィルムは偏光板に組み込まれ、反射型、透過型、半透過型液晶表示装置又はTN型、STN型、OCB型、HAN型、VA型(PVA型、MVA型)、IPS型、OCB型等の各種駆動方式の液晶表示装置で好ましく用いられる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下に示す方法により空孔を有する光散乱性フィルムである偏光膜保護フィルムを製造した。
(ドープの調製)
〈微粒子分散液〉
微粒子(アエロジルR972V(日本アエロジル株式会社製)) 11質量部
(一次粒子の平均径16nm、見掛比重90g/リットル)
エタノール 89質量部
以上をディゾルバーで50分間攪拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。
〈微粒子添加液〉
メチレンクロライドを入れた溶解タンクに下記セルロースエステル樹脂を添加し、加熱して完全に溶解させた後、これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過した。濾過後のセルロースエステル溶液を十分に攪拌しながら、ここに上記微粒子分散液をゆっくりと添加した。更に、二次粒子の粒径が所定の大きさとなるようにアトライターにて分散を行った。これを日本精線(株)製のファインメットNFで濾過し、微粒子添加液を調製した。
メチレンクロライド 99質量部
セルローストリアセテート(アセチル基置換度2.88、総アシル基置換度2.88) 4質量部
微粒子分散液 11質量部
表1に示す様に可塑剤を変えた下記組成の主ドープを調製し、ドープNo.101〜107とした。まず、加圧溶解タンクに良溶媒としてメチレンクロライド、貧溶媒としてエタノールを添加した。溶媒の入った加圧溶解タンクにセルローストリアセテート樹脂を攪拌しながら投入した。これを加熱し、攪拌しながら、完全に溶解し、更に可塑剤及び紫外線吸収剤を添加、溶解させた。これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、主ドープを調製した。
主ドープを100質量部と微粒子添加液5質量部となるように加えて、インラインミキサー(東レ静止型管内混合機 Hi−Mixer、SWJ)で十分に混合しドープとした。
〈主ドープの組成〉
メチレンクロライド 475質量部
エタノール 25質量部
セルローストリアセテート(アセチル基置換度2.88、総アシル基置換度2.88) 100質量部
可塑剤:表1参照 10質量部
紫外線吸収剤:チヌビン109(BASFジャパン(株)製) 1質量部
紫外線吸収剤:チヌビン171(BASFジャパン(株)製) 1質量部
Figure 0005531929
Figure 0005531929
なお、表1に示した可塑剤組成の酸の酸解離定数は、25℃で、滴定法で測定した。
(偏光膜保護フィルムNo.101〜119の製造)
上記調製したドープNo.101〜107及び図1に記載の製造装置を用いて、偏光膜保護フィルムを製造した。
詳しくは、上記調製したドープ液を、加圧ダイ2を通して、ステンレスベルト製の支持体1の上に流延した(流延工程)。次いで、ステンレスベルトの温度を25℃に制御し、フィルムF側の乾燥機4からは45℃の風を10m/秒の風速で斜めにあて、ステンレスベルト側の乾燥機3からは、前半を40℃の風を10m/秒で垂直にあて、ウェブを乾燥した(第1乾燥工程)。乾燥したウェブを剥離ロール5にて剥離した(剥離工程)。
剥離したフィルムを乾燥工程9に導入して、110℃で乾燥した(第2乾燥工程)。乾燥工程9ではロール91を千鳥状に配置した装置を用いた。
乾燥したフィルムを延伸工程6に導入した後、乾燥工程7に導入した(第3乾燥工程)。延伸工程6では、表2に示すように所定の延伸温度で所定の延伸率(幅方向)を実施した。
このときのフィルム状態からフィルムの延伸適性を判断し、以下のようにランク付けを行った。結果を表2に示す。
○:フィルムに裂けが生じず、所定の延伸率の延伸が行えた
△:延伸途中でフィルム端部の一部に、わずかに裂けが生じた
×:延伸途中でフィルムが破断した
延伸達成後は30秒間保持した後に緩和した。延伸工程6においてフィルムには搬送方向に張力135Nが付与されており、当該方向の延伸率は1%であった。乾燥工程7ではロール71を千鳥状に配置した装置を用い、75℃で乾燥した。
次いで、巻き取り工程8で、フィルムを巻取り機81で巻き取り、最終的に20℃に冷却して、厚さ80μmの、内部に空孔を有する偏光膜保護フィルムNo.101〜119を得た。
(空孔の長軸平均方向の測定)
各偏光膜保護フィルムNo.101〜119を、延伸方向を0°として、面内において0°方向から180°方向まで5°おきに、フィルム面に対して垂直に膜厚方向に切断し、その各断面を走査型電子顕微鏡(S−4300、(株)日立製作所製)で撮影し、空孔の長軸の長さの平均が長かった断面を決定し、その断面を切断した角度を空孔の長軸平均方向として求めた。
(セルロースエステルの結晶化温度Tcの測定)
ドープNo.103を用いて、延伸工程を無くした以外は偏光膜保護フィルムNo.101と同様にして、未延伸のセルロースエステルフィルムを作製し、これと示差走査熱量計(DSC)を用いて、昇温速度10℃/minで測定してセルロースエステルの結晶化温度Tcを測定した。測定した結晶化温度Tcは185℃であった。
(球状の気孔含有フィルムの作製)
特開2002−116306号公報に記載されている発明の実施の形態に準じて、発泡剤を用いて、内部に球状の気孔を含むアクリル樹脂製の偏光膜保護フィルムNo.120を作製した。
《偏光板の作製》
作製した各偏光膜保護フィルムNo.101〜120を用いて偏光板を作製した。
厚さ、120μmのポリビニルアルコールフィルムを、一軸延伸(温度110℃、延伸倍率5倍)した。これをヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、水100gからなる水溶液に60秒間浸漬し、次いでヨウ化カリウム6g、ホウ酸7.5g、水100gからなる68℃の水溶液に浸漬した。これを水洗、乾燥し偏光膜を得た。
次いで、下記工程1〜5に従って偏光膜と偏光膜保護フィルムNo.101、反対側の偏光膜保護フィルムとして、コニカミノルタタックKC8UX−RHA(コニカミノルタオプト(株)製)を貼り合わせて偏光板を作製した。
工程1:50℃の1モル/Lの水酸化ナトリウム溶液に60秒間浸漬し、次いで水洗し乾燥して、鹸化された偏光膜保護フィルムNo.101、コニカミノルタタックKC8UX−RHAを得た。
工程2:前記偏光膜を固形分2質量%のポリビニルアルコール接着剤槽中に1〜2秒浸漬した。
工程3:工程2で偏光膜に付着した過剰の接着剤を軽く拭き除き、これを工程1で処理したセルロースエステルフィルムの上にのせて配置した。
工程4:工程3で積層したセルロースエステルフィルムNo.101と偏光膜とコニカミノルタタックKC8UX−RHA試料を圧力20〜30N/cm、搬送スピードは約2m/分で貼合した。
工程5:80℃の乾燥機中に工程4で作製した偏光膜保護フィルムNo.101と偏光膜とコニカミノルタタックKC8UX−RHAとを貼り合わせた試料を2分間乾燥し、偏光板101を作製した。
セルロースエステルフィルムNo.101の代わりに、偏光膜保護フィルムNo.102〜119を用いた以外は、上記と同様にして偏光板102〜119を作製した。
セルロースエステルフィルムNo.101の代わりに、コニカミノルタタックKC8UX−RHAを用いた以外は上記と同様にして両面にコニカミノルタタックKC8UX−RHAが貼りつけてある状態から、片側に市販の粘着層を介して偏光膜保護フィルムNo.120を貼りつけ、偏光板No.120を作製した。
偏光板の評価
作製した各偏光板No.101〜120につき、ランプイメージ消去性、耐熱性、を下記の方法で測定した。
〈ランプイメージ消去性の測定方法〉
以下の方法でランプイメージ消去性を求めた。
偏光板No.101〜120を図2に示した構成の液晶表示装置用バックライトユニットに装着した。光源11の上方に光入射面側から拡散板12、プリズムシート13、プリズムシート14、作製した各偏光板15の順で配設している。この場合において、作製した各偏光板15は、偏光膜保護フィルムNo.101〜120側がプリズムシート14側に来るよう重ね合わせている。なお、光源11としては、シャープ株式会社製液晶テレビ26インチ(2007年製)のバックライトを使用した。
このバックライトユニットを用いて、冷陰極管のランプイメージの消去性について目視評価し、以下のようにランク付けした。
ランプイメージ消去性:
◎:ランプイメージがほぼ見えない
○:ランプイメージが見えにくい
△:ランプイメージがやや見える
×:ランプイメージがはっきり見える
〈耐熱性の評価〉
ランプイメージ消去性の測定方法で作製したバックライトユニットを60℃90%RHで24時間保存し、バックライトを点灯して2時間後にムラの発生強度を目視評価した。
○:ムラがほとんどない
△:ムラがやや見える
×:ムラがはっきり見える
以上の評価結果を表2に示す。
Figure 0005531929
表2に示した結果から明らかなように、本発明の有効性が確認された。
以上の結果により、本発明の手段により、耐熱性を有するとともに十分な光散乱性を有する光散乱性フィルムと光散乱性偏光板を提供することができることが分かる。さらに、当該光散乱性偏光板が、バックライトを有する液晶表示装置の背面側偏光板として具備されている液晶表示装置を提供することができることが分かる。
1 金属支持体
2 ダイ
3、4 乾燥機
5 剥離ロール
6 延伸工程
7 乾燥工程(第3乾燥工程)
8 巻き取り工程
9 乾燥工程
10 液晶表示装置用バックライトユニット
11 光源
12 拡散板
13、14 プリズムシート
15 偏光板

Claims (7)

  1. 熱可塑性樹脂と可塑剤とを含有するフィルムを延伸して得られる形状異方性の空孔を内部に有する光散乱性フィルムであって、(1)前記熱可塑性樹脂としてセルロースエステルを含有し、かつ(2)前記可塑剤が、数平均分子量が600以下であり、水中25℃での第1酸解離定数pKaが2.2〜5.0の範囲内の酸からなるエステル系可塑剤であることを特徴とする光散乱性フィルム。
  2. 前記可塑剤の数平均分子量が、350〜600の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の光散乱性フィルム。
  3. 前記延伸の際の、延伸倍率が60〜150%の範囲内であり、温度が、熱可塑性樹脂の結晶化温度をTcとしたとき、(Tc−20)〜Tc℃の範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光散乱性フィルム。
  4. 前記形状異方性の空孔の長軸平均方向とフィルム延伸方向とが、フィルム面内方向において平行であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の光散乱性フィルム。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の光散乱性フィルムが具備されていることを特徴とする光散乱性偏光板。
  6. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の光散乱性フィルムが、液晶表示装置のバックライト側偏光膜保護フィルムに配置されていることを特徴とする光散乱性偏光板。
  7. 請求項6に記載の光散乱性偏光板が、バックライトを有する液晶表示装置の背面側偏光板として、具備されていることを特徴とする液晶表示装置。
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