JP2012067554A - ブロックマット用シート及び該シートを用いたブロックマット - Google Patents
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【解決手段】補強・接着糸として高強度低伸度フィラメントをタテ糸方向に入れた、透水性及び可撓性を有する土砂粒子不通過性の織物からなるブロックマット用シートにおいて、該織物のヨコ糸方向にも補強・接着糸が入れられており、該ヨコ方向の補強・接着糸の一部が、該タテ糸方向の補強・接着糸を含んで該織物の連続した5本以上のタテ糸と組織されていない糸飛び部分と組織された部分を交互に形成しており、該糸飛び部分を形成するヨコ方向の補強糸又は接着糸のクリンプ率が10%以下であること特徴とする前記ブロックマット用シート。
【選択図】図3
Description
しかしながら、かかる工法は手間を要し工期が長引き、また、コンクリートブロックの張り付けに熟練した専門工を必要とする等の欠点があった。
しかしながら、これらの方法では、シートの製造に特殊な織機や編機が必要であり、製造工程が煩雑になるとともに、費用負担も重くなるという問題がある。
ブロックマット用シートの製造時に、ループやパイル等を形成させるための専用の織機や編機を追加使用せず、通常の織機のみを使用して、ヨコ方向の補強糸又は接着糸(以下、単に「補強・接着糸」ともいう。)(シート幅方向の糸)の一部をたるませずに、タテ糸(シート長さ方向の糸)と組織しない糸飛び部分を形成させることで、このシートをコンクリートブロックと接着剤やモルタル等で接着固定した場合、タテ糸と組織しないヨコ方向の補強・接着糸の糸飛び部分が接着剤やモルタルと良く絡むようになる結果、コンクリートブロックと該シートとの間の接着力が高まりマット敷設時の安全性が向上される。
[1]補強・接着糸として高強度低伸度マルチフィラメントをタテ糸方向に入れた、透水性及び可撓性を有する土砂粒子不通過性の織物からなるブロックマット用シートにおいて、該織物のヨコ糸方向にもと補強・接着糸が入れられており、該ヨコ方向の補強・接着糸の一部が、該タテ糸方向の補強・接着糸を含んで該織物の連続した5本以上のタテ糸と組織されていない糸飛び部分と組織された部分を交互に形成しており、該糸飛び部分を形成するヨコ方向の補強・接着糸のクリンプ率が10%以下であること特徴とする前記ブロックマット用シート。
また、前記ブロックマットの敷設時にはコンクリートブロックの荷重が接着部に作用する。よって、敷設の安全性を確保するとともに、敷設後の精度を維持するために、コンクリートブロックとシートの間の接着には、高い接着強度が求められる。
しかしながら、従来使用されてきた繊維シートは、タテ方向のみに補強・接着糸が入れられた織編物であって、コンクリートブロックとの接着性が充分ではなかった。本発明に係るブロックマット用シートは、タテ方向に加え、ヨコ方向にも補強・接着糸を入れたことを特徴とする。
また、前記シートをブロックマットとして用いる場合、ブロックずれを小さくするために、タテ方向の耐引張破断伸び率は25%以下とするのが好ましい。
前記シートとコンクリートブロックとの接着性は、該ヨコ方向の補強・接着糸の糸飛び部分の長さが影響する。糸飛び部分の長さが、織物を構成するタテ糸5本未満では、平織組織に近いために接着性向上があまり期待できない。一方、糸飛び部分の長さがあまりに長いとシート剛性が低くなり、ブロックマットの製造時、シワ防止の為にシートをピンと張る操作が必要になる。本発明においては、シート自体の変形を小さくするため、ヨコ方向の補強・接着糸の糸飛び部分は、千鳥状、すなわち互い違いに配置することが好ましい。
接着固定には、通常、無機又は有機の接着剤、あるいはこれらが混合された接着剤が用いられる。無機接着剤としては、例えば、モルタル、コンクリート等の水硬性セメント組成物を用いることができる。有機接着剤としては、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、シリコン樹脂、エポキシアクリレート樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂を用いたもの、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂等の熱可塑性樹脂を用いたものや、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム等合成ゴムを用いたもの等を用いることができ、強度及び硬化性の優れたエポキシ樹脂が好ましく用いられる。
また、未硬化のコンクリートブロックにシートを接触させた後、該コンクリートブロックを硬化させることで、該コンクリートブロックを該シートに接着してもよい。
補強用ブロックは、地盤に接する下方が円錐状に形成され、上方が円柱状に形成される。補強用ブロックの材質は、下方の先端部は通常上方部分と同材質、もしくは軟弱地盤に硬い石等があり上方部分が欠ける恐れが懸念される時は、先端部以外の上方部分とで材質が異なる。具体的には、上方部分は圧縮力に強いコンクリートが用いられ、下方の先端部は引張力が強く弾性のある金属又は樹脂にて構成する。
かかる地盤補強用ブロックマットにも、前記したブロックマット用シートを使用することができる。
引張破断強さ及び耐引張破断伸び率の測定は、JIS L1096のラベルドストリップ法に求めた。
また、クリンプ率は、シート上に1m間隔で印しを付け、シートより測定糸を解き、初荷重下の印し間隔を読み、1mで除して求めた。
シートタテ方向に、透水機能の330デシテックスのポリエチレンモノフィラメントを26本、及び補強・接着糸としてポリエステル1100デシテックス192フィラメントの3本撚糸3本を繰り返して配置した。ポリエチレンモノフィラメントの織り込み本数は52本/インチ、ポリエステル補強・接着糸の織り込み本数は6本/インチだった。
さらに、ヨコ方向に透水機能の660デシテックスのポリエチレンモノフィラメントと補強糸・接着としてポリエステルの1100デシテックス192フィラメントを1本交互に繰り返して配置した。ヨコ糸の織り込み本数は25本/インチだった。このとき、当該ヨコ方向の補強・接着糸であるポリエステルマルチフィラメント糸は、タテ方向のポリエチレンモノフィラメント26本と補強・接着糸であるポリエステルマルチフィラメント糸を1本交互に織り込み組織を形成させた部分と、続けてタテ方向のポリエステルマルチフィラメント補強・接着糸3本、ポリエチレンモノフィラメント26本及びポリエステル補強糸3本の計32本を乗り越えるタテ糸と未組織の糸飛び部分を形成した部分を繰り返し形成した。該糸飛び部分は、織物のタテ方向に同じ位置に配列しても良いが、より接着面を均一化するための、次のヨコ方向の補強・接着糸としてのポリエステルマルチフィラメント糸の糸飛び部分とは千鳥配列とした。
得られたシートは、タテ方向の補強・接着糸が、ヨコ方向の糸を5本ごとに乗り越えたシートであり、タテ方向の引張破断強さは73kN/m、引張破断伸びは16.7%だった。また、前記タテ方向の補強・接着糸のクリンプ率は3.2%だった。一方、ヨコ方向の引張強さは47kN/m、引張破断伸びは11.5%で、ヨコ糸の補強・接着糸のクリンプ率は2.5%であった。また、このシートの網目の大きさは、シートヨコ方向で0.1〜0.4mm、シートタテ方向で0.4〜0.8mmであった。
実施例1記載のブロックマットシートでヨコ方向は同一のポリエステルマルチフィラメント及びポリエチレンモノフィラメントを1:1交互に配置して、更にヨコ方向の補強・接着糸のポリエステルマルチフィラメントもタテ糸の補強・接着ポリエステルマルチフィラメント及び透水機能のポリエチレンモノフィラメントとも全て平織に組織したシートでタテ方向の引張破断強さや伸び率及びクリンプ率は実施例1と同じで、ヨコ方向の引張破断強さは47kN/m、引張破断伸びは13.0%で、ヨコ糸の補強・接着糸のクリンプ率は3.5%であった。
セメント、細骨材、粗骨材及び水を配合したコンクリートを即時脱型・乾燥して、幅20cm、長さ20cm、高さ10cmの四角台形のコンクリートブロックを製造した。該コンクリートブロック1個あたりの重量は5kgであった。次に、当該ブロックを、幅1.5m、長さ8.8mの前記ブロックマット用シートの、糸飛び部分が形成されている面側に、シート幅方向に6個、長さ方向に40列配置した。個々のコンクリートブロックとシートの間に、エポキシ樹脂(主剤:硬化剤=2:1混合)5gを、コンクリートブロック面に4ヶ所圧着して接着硬化し、地表浸食防止用工ブロックマットを製造した。
上記方法で製造したブロックマットの、シート及びコンクリートブロックの接着界面の180°剥離接着強さを、引張試験機で測定した結果、接着剤幅1cm当たり158Nであった。
比較例1に記載のブロックマットシートを用いて、実施例2と同様の方法でブロックマットを製造した場合の、同一接着処方での180°剥離接着強さは、接着剤幅1cm当たり95Nであった。すなわち、実施例2に記載のブロックマットは比較例2に記載のブロックマットより接着強度が1.7倍高くなり、法面敷設作業でもマット吊り下げ操作を安全に行うことができた。
シートタテ方向に、330デシテックスのポリエチレンモノフィラメントを48本、及び補強・接着糸としてポリエステル1100デシテックス192フィラメントの3本撚糸8本を繰り返して配置した。ポリエチレンモノフィラメントの織り込み本数は48本/インチ、ポリエステル補強・接着糸の織り込み本数は8本/インチだった。一方、ヨコ方向に660デシテックスのポリエチレンモノフィラメント2本、と補強・接着糸としてポリエステルの1670デシテックス192フィラメント2本撚糸を1本交互に繰り返して配置した。ヨコ糸の織り込み本数は25本/インチだった。
ヨコ方向のポリエチレンモノフィラメントは、タテ糸と交互に織込んだ。ヨコ方向の補強・接着糸としてのポリエステル糸は、タテ方向のポリエチレンモノフィラメント24本と補強・接着糸ポリエステルフィラメント8本を1本交互に織り込み組織を形成さて、続いて、ポリエチレンモノフィラメント24本と補強・接着糸ポリエステルフィラメント8本の計32本を乗り越えるタテ糸と未組織の糸飛び部分を形成させ、組織部分と未組織部分を繰り返し形成した。該糸飛び部分は、織物のタテ方向に同じ位置に配列してもよいが、より接着面を均一化するための、次のヨコ方向のポリエステル糸の糸飛び部分とは千鳥配列とした。
得られたシートは、タテ方向の補強・接着糸がヨコ方向の糸を6本ごとに乗り越えたシートであり、タテ方向の引張破断強さは102kN/m、引張破断伸びは15.4%だった。また、前記補強糸のクリンプ率は3.8%だった。一方、ヨコ方向の引張強さは122kN/m、引張破断伸びは14.2%で、ヨコ方向の補強・接着糸のクリンプ率は3.1%であった。
実施例3に記載のブロックマットシート同様の糸及び折り込み本数で、ヨコ方向は同一のポリエステルマルチフィラメント及びポリエチレンモノフィラメントを1:1交互に配置して、更にヨコ方向の補強・接着糸のポリエステルマルチフィラメントもタテ糸の補強・接着ポリエステルマルチフィラメント及びポリエチレンモノフィラメントの4本は1本交互に織り込み組織を形成させ、続けてタテ方向のポリエステル補強・接着糸4本もしくは、ポリエチレンモノフィラメント4本単位で乗り越えるというタテ糸と未組織の糸飛び部分形成させ、交互組織形態と未組織形態を繰り返しを形成した。このシートのタテ方向の引張破断強さや伸び率及びクリンプ率は実施例3と同じで、ヨコ方向の引張破断強さは123kN/m、引張破断伸びは15.0%で、ヨコ糸の補強・接着糸のクリンプ率は4.0%であった。
1個が外径21cm、円錐高さ9cm、円柱2cmの円錐柱型枠をシート幅方向に8個、長さ方向に28個連接した型枠にコンクリートを型枠に注入して、コンクリートを振動させ表面を液状にした状態で上記シートを型枠に展開した。上方より加圧展圧でコンクリートをシートに含浸させ、16時間以上蒸気養生した後に、型枠よりコンクリートブロックを脱型した。このブロックマットについて、材齢14日目に180°剥離接着強さを引張試験機で測定した結果、ブロック表面20cm当たり1,000Nの剥離接着強さであり、上記シートのヨコ糸の未組織部分がコンクリート内へ巻き込まれているため、コンクリートの一部が破損するほどの強さを示した。
比較例3に記載のブロックマットシートで実施例4と同様の方法でブロックマットを製造及び180°接着剥離試験を行ったところ500Nの剥離接着強さであった。すなわち、実施例4に記載のブロックマットは比較例4に記載のブロックマットより剥離接着強度が2.0倍高くなり、法面敷設作業でもマット吊り下げ操作を安全に行うことができた。
2 ヨコ糸タテ糸未組織部分
3 タテ透水機能糸ポリエチレンモノフィラメント
4 タテ補強・接着糸ポリエステルマルチフィラメント
5 ヨコ補強・接着糸ポリエステルマルチフィラメント
6 ヨコ透水機能糸ポリエチレンモノフィラメント
10 ブロックマット用シート
20 補強用ブロック
21 上方部分
22 先端部
Claims (3)
- 補強・接着糸として高強度低伸度フィラメントをタテ糸方向に入れた、透水性及び可撓性を有する土砂粒子不通過性の織物からなるブロックマット用シートにおいて、該織物のヨコ糸方向にも補強・接着糸が入れられており、該ヨコ方向の補強・接着糸の一部が、該タテ糸方向の補強・接着糸を含んで該織物の連続した5本以上のタテ糸と組織されていない糸飛び部分と組織された部分を交互に形成しており、該糸飛び部分を形成するヨコ方向の補強・接着糸のクリンプ率が10%以下であることを特徴とする前記ブロックマット用シート。
- 請求項1に記載のブロックマット用シートにコンクリートブロックが接着・固定された地表浸食防止用工ブロックマット。
- 請求項1に記載のブロックマット用シートに補強用ブロックが接着・固定された地盤補強用ブロックマット。
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