JP2012066339A - 盛上げタップ - Google Patents

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Abstract

【課題】完全山部のガイド性を維持してピッチエラーを抑制しつつ、加工トルクを小さくして完全山部に溶着や凝着が生じることを抑制できる盛上げタップを提供すること。
【解決手段】第2完全山部32bのねじ山の頂に山払い加工が施され、第2完全山部32bのねじ山の外径が(D−(3/4)H)未満、即ち、めねじの有効径(寸法D2)と略同一寸法の下穴よりも小さく設定される。よって、めねじの塑性加工工程において、食付き部31による塑性変形によって被加工物に形成されるめねじと第2完全山部32bのねじ山との当接面積を小さくすることができる。よって、塑性変形により被加工物に形成されためねじと第2完全山部32bのねじ山との摩擦を小さくできるので、めねじの塑性加工工程における加工トルクを小さくして第2完全山部32bに溶着や凝着が生じることを抑制できる。
【選択図】図3

Description

本発明は、盛上げタップに関し、特に、完全山部のガイド性を維持してピッチエラーを抑制しつつ、加工トルクを小さくして完全山部に溶着や凝着が生じることを抑制できる盛上げタップに関するものである。
従来より、めねじの形成にはタップが使用される。このタップには、主に、下穴の表層部を削ることによってめねじを形成する切削タップと、下穴の表層部を塑性変形させることによってめねじを形成する盛上げタップとがある。
切削タップは、タッピング時に切り屑が発生するため、切り屑の除去作業を必要とし、また、仕上がり面が粗くなるという難点がある。これに対して、盛上げタップは、タッピング時に切り屑が発生せず、また、めねじの仕上がり面が滑らかであると共にその強度が高いという特徴を有し、従来から様々な分野で利用されている。
例えば、特開2006−068822号公報には、円柱状に形成されるシャンク部と、そのシャンク部の先端側に配設されテーパ状に形成される食付き部およびその食付き部に連設される完全山部を有するおねじ部と、そのおねじ部の外周面に凹設される油溝とを備えて構成される盛上げタップが開示されている。
特開2006−068822号公報(例えば、第1図など)
しかしながら、上述した従来の盛上げタップでは、めねじの塑性加工工程において、食付き部により塑性変形された被加工物のめねじ寸法は被加工物組織の内部残留応力によりねじの無い元の形状に戻ろうとするため、被加工物のめねじ寸法はタップ寸法より若干小さい寸法になる。めねじの形成途中では完全山部と形成されためねじとの摩擦により、加工トルクが大きくなり、完全山部に被加工物の溶着或いは凝着が生じやすくなるという問題点があった。一方、完全山部のねじ山の数を減少させると、加工トルクが小さくなることで完全山部への溶着や凝着を抑制できるが、完全山部のガイド性が十分に機能せず、ピッチエラーが生じやすくなるという問題点があった。
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、完全山部のガイド性を維持してピッチエラーを抑制しつつ、加工トルクを小さくして完全山部に溶着や凝着が生じることを抑制できる盛上げタップを提供することを目的としている。
課題を解決するための手段および発明の効果
請求項1記載の盛上げタップによれば、第2完全山部のねじ山の頂が山払い加工されると共に第2完全山部の外径が下穴の内径よりも小さく設定されるので、めねじの塑性加工工程において、食付き部による塑性変形によって被加工物に形成されるめねじと第2完全山部のねじ山との当接面積を小さくすることができる。よって、塑性変形により被加工物に形成されためねじと第2完全山部のねじ山との摩擦を小さくできるので、めねじの塑性加工工程における加工トルクを小さくして第2完全山部に溶着や凝着が生じることを抑制できるという効果がある。その結果、盛上げタップの工具寿命を長くすることができる。
さらに、第2完全山部のねじ山の頂が山払い加工されることにより、めねじの塑性加工工程において、第2完全山部のねじ山と被加工物に形成されるめねじとの間に隙間が形成されるので、その隙間にシャンク側から油溝を通じて塑性加工面へ供給されるタッピングオイルを行き渡らせることができる。これにより、タッピングオイルの潤滑効果によっておねじ部のねじ山と被加工物に形成されるめねじとの当接部分に生じる摩擦を小さくできるので、めねじの塑性加工工程における加工トルクを小さくしておねじ部に溶着や凝着が生じることを抑制できるという効果がある。
また、第1完全山部のねじ山の数を2山以上にすることで完全山部としてのガイド性を確保しつつ、第1完全山部のねじ山の数を4山以下にすることで第2完全山部のねじ山と被加工物に形成されるめねじとの当接面積を小さくできる。よって、めねじのピッチエラーを抑制して高精度のめねじを形成しつつ、めねじとの摩擦を抑制してめねじの塑性加工工程における加工トルクを小さくして完全山部に溶着や凝着が生じることを抑制できるという効果がある。
さらに、第1完全山部のねじ山の数が2山以上かつ4山以下にされると共に完全山部のねじ山の数が8山以上に設定され、第2完全山部の外径がめねじの内径よりも大きく設定されているので、第2完全山部のねじ山を被加工物に形成されるめねじに案内させることができる。よって、第2完全山部のガイド性を維持できるので、長いめねじを形成する場合や通り穴を形成する場合であっても、めねじの塑性加工工程におけるめねじのピッチエラーを抑制して高精度のめねじを形成できるという効果がある。
請求項2記載の盛上げタップによれば、ガイド部のねじ山の頂が山払い加工され、第2完全山部のねじ山の外径が(D−(3/4)H)未満に設定されるので、めねじの塑性加工工程において、食付き部による塑性変形によって被加工物に形成されるめねじと第2完全山部のねじ山との当接面積を小さくすることができる。よって、塑性変形により被加工物に形成されためねじと第2完全山部のねじ山との摩擦を小さくできるので、めねじの塑性加工工程における加工トルクを小さくして第2完全山部に溶着や凝着が生じることを抑制できるという効果がある。その結果、盛上げタップの工具寿命を長くすることができる。
さらに、第2完全山部のねじ山の頂が山払い加工されることにより、めねじの塑性加工工程において、第2完全山部のねじ山と被加工物に形成されるめねじとの間に隙間が形成されるので、その隙間にシャンク側から油溝を通じて塑性加工面へ供給されるタッピングオイルを行き渡らせることができる。これにより、タッピングオイルの潤滑効果によっておねじ部のねじ山と被加工物に形成されるめねじとの当接部分に生じる摩擦を小さくできるので、めねじの塑性加工工程における加工トルクを小さくしておねじ部に溶着や凝着が生じることを抑制できるという効果がある。
また、第1完全山部のねじ山の数を2山以上にすることで完全山部としてのガイド性を確保しつつ、第1完全山部のねじ山の数を4山以下にすることで第2完全山部のねじ山と被加工物に形成されるめねじとの当接面積を小さくできる。よって、めねじのピッチエラーを抑制して高精度のめねじを形成しつつ、めねじとの摩擦を抑制してめねじの塑性加工工程における加工トルクを小さくして完全山部に溶着や凝着が生じることを抑制できるという効果がある。
さらに、第1完全山部のねじ山の数が2山以上かつ4山以下にされると共に完全山部のねじ山の数が8山以上に設定され、第2完全山部のねじ山の頂は山払い加工が施されると共に、第2完全山部のねじ山の外径が、(D−(3/4)H−0.2H)以上に設定されるので、山払いされた後の第2完全山部のねじ山を被加工物に形成されるめねじに案内させることができる。よって、第2完全山部のガイド性を維持することができるので、長いめねじを形成する場合や通り穴を形成する場合であっても、めねじの塑性加工工程におけるめねじのピッチエラーを抑制して高精度のめねじを形成できるという効果がある。
請求項3記載の盛上げタップによれば、請求項1又は2に記載の盛上げタップの奏する効果に加え、第2完全山部は、すべてのねじ山がシャンクの軸方向視において同心円弧状に山払い加工されているので、第2完全山部の山払い加工時において、ねじ山が形成された材料をシャンクの軸回りに回転させつつ、第2完全山部が形成されるねじ山の頂を研削砥石により円筒研削することで、第2完全山部のねじ山の頂を山払い加工することができる。よって、第2完全山部の山払い加工を効率的に行うことができるという効果がある。
本発明の一実施の形態における盛上げタップの正面図である。 (a)は、図1のIIa−IIa線における盛上げタップの断面図であり、(b)は、図1のIIb−IIb線における盛上げタップの断面図である。 (a)は、軸心及びおねじ部の最大外径部を含む平面で切断した盛上げタップの断面図であり、(b)は、図3(a)のIIIb部を拡大して示したおねじ部の部分拡大図である。 加工トルク測定試験の試験結果を示すグラフである。
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、本発明の一実施の形態における盛上げタップ100の概略構成について説明する。図1は、本発明の一実施の形態における盛上げタップ100の正面図であり、おねじ部30が模式的に図示されている。
図1に示すように、盛上げタップ100は、円柱状に形成されるシャンク20と、そのシャンク20の先端側(図1左側)に配設されるおねじ部30とからなり、シャンク20を保持するホルダー(図示せず)を介して伝達される加工機械の回転力とねじのリードに合った送りとによって、被加工物の下穴にめねじを形成する用途に用いられる工具である。なお、盛上げタップ100によるめねじ加工は、マシニングセンター等による機械加工に限られず、手作業によって行われても良い。
シャンク20は、高速度工具鋼を材質として軸心Oを有する円柱状に形成され、その後端側(図1右側)には、断面略四角形状に形成されたシャンク四角部20aが設けられている。なお、シャンク20の材質は、高速度工具鋼に限られず、超硬合金から構成されてもよい。
おねじ部30は、被加工物に設けられた下穴内を螺進して、めねじを形成(塑性加工)するための部位であり、おねじ部30の外周面には、油溝40が軸心Oに対して略平行に凹設されている。また、おねじ部30は、めねじを塑性変形させる食付き部31と、その食付き部31に連設される完全山部32とを備えている。
食付き部31は、被加工物の下穴表層部に食い込み、被加工物を塑性変形させることによって、めねじを塑性加工成形するための部位である。完全山部32は、被加工物へのめねじの塑性加工工程において、めねじ表面の仕上げとガイド或いは自己案内性を向上させる部位であり、食付き部31に連設される第1完全山部32aと、その第1完全山部32aに連設される第2完全山部32bとを備えている。
第1完全山部32aは、谷底からの高さが略均一のねじ山が所定のリード角のうずまき線に沿って形成されている。第2完全山部32bには、第1完全山部32aと同一形状のねじ山を形成した後、すべてのねじ山の頂に山払い加工が施されており、この山払い加工によって谷底からの高さが略均一のねじ山が所定のリード角のうずまき線に沿って形成されている。即ち、第2完全山部32bは、山払い加工が施されている分、第1完全山部32aよりも外径が小さく設定されている。
油溝40は、めねじの塑性加工工程において潤滑効果を高めるための溝であり、タッピングオイルを塑性加工面に供給する。油溝40は、おねじ部30の先端側から後端側まで延在しつつ略直線状に形成されているので、おねじ部30のねじ山研削工程の後に、かかる油溝40の加工を容易に行うことができる。
なお、本実施の形態では、油溝40は、軸心Oに対して平行に設けられているが、必ずしもこれに限られるものではなく、スパイラル状に設けられてもよい。また、油溝40は、おねじ部30の先端側から後端側まで延在している必要はなく、おねじ部30の一部のみに設けられていてもよい。例えば、おねじ部30の先端側にのみ設けられていてもよい。
次に、図2を参照して、おねじ部30の構成について説明する。図2(a)は、図1のIIa−IIa線における盛上げタップ100の断面図であり、図2(b)は、図1のIIb−IIb線における盛上げタップ100の断面図である。なお、図2(a)及び図2(b)では、図面を簡素化して理解を容易とするため、おねじ部30をねじ山の谷底に沿って切断した断面図が図示されると共に、下穴Hoが2点鎖線で図示されている。
図2(a)及び図2(b)に示すように、おねじ部30は、シャンク20(図1参照)の軸心Oに垂直な断面が外方へ湾曲した8辺からなる略八角形状に形成されている。また、おねじ部30の外周面には、油溝40が後述する8つの逃げ部60上にそれぞれ断面視略半円状を有して凹設され、おねじ部30のねじ山には、径方向へ向けて突出したマージン部50が配設されている。なお、油溝40の断面形状は、特に限定されるものではなく、断面視略V字状に凹設されていてもよい。
マージン部50は、被加工物の下穴表層部に食い込み、螺進することにより被加工物を塑性変形させてめねじを塑性加工成形するための部位であり、軸心Oと略平行に位置して配設されると共に、これら各マージン50の間には、小径の逃げ部60が形成されている。即ち、おねじ部30のねじ山には、半径方向へ突き出すマージン部50と小径の逃げ部60とが、ねじの進み方向に沿って、即ち、所定のリード角のうずまき線に沿って交互にかつ軸心O周りに連なって形成されている。また、マージン部50は、第1完全山部32aに配設される第1マージン部51と、第2完全山部32bに配設される第2マージン部52とを備えている。
また、第2完全山部32bは、すべてのねじ山の頂が軸心O方向視において同心円弧状に山払い加工されている。よって、第2完全山部32bを形成する際、第1完全山部32aと同一形状のねじ山を研削加工した後、そのねじ山が形成された材料を軸心O回りに回転させつつ、第2完全山部32bが形成されるねじ山の頂を研削砥石により円筒研削することで、第2完全山部32bのねじ山の頂を山払い加工することができる。よって、第2完全山部32bの山払い加工を効率的に行うことができる。
なお、山払い加工後の第2完全山部32bの外径は、盛上げタップ100によるめねじ加工を行う際に予め被加工物に形成される下穴Hoの内径よりも小さくかつ被加工物に形成されるめねじの内径よりも大きく設定されている。また、本実施の形態では、下穴Hoの内径は、被加工物に形成されるめねじの有効径(即ち、完全山部32の有効径)と略同一に設定されている。
次に、図3を参照して、食付き部31及び完全山部32の詳細構成について説明する。図3(a)は、軸心O及びおねじ部30の最大外径部を含む平面で切断した盛上げタップ100の断面図であり、図3(b)は図3(a)のIIIb部を拡大して示したおねじ部30の部分拡大図である。
図3(a)及び図3(b)に示すように、食付き部31は、その外径が先端側(図3左側)へ向かうほど小径となるテーパ状に形成されている。なお、本実施の形態では、食付き部31のねじ山の数が2山とされているが、必ずしもこれに限られるものではなく、ねじ山の数は任意である。
第1完全山部32aは、被加工物の下穴表層部に塑性加工すべきめねじのねじ山と略同一形状に形成されている。これにより、めねじの塑性加工工程において、めねじ表面の仕上げとガイド或いは自己案内性を向上させることができる。なお、第1完全山部32aの外径を寸法D、被加工物に形成されるめねじの有効径を寸法D2とする。また、上述したように、本実施の形態では、寸法D2は、完全山部32の有効径にも相当する。
第2完全山部32bのねじ山の頂に山払い加工が施されることにより、山払い加工後の第2完全山部32bの外径である寸法D1は、被加工物に形成されるめねじの有効径である寸法D2よりも片側で寸法hだけ小さく設定されている(D1=D2−2h)。この寸法hは、完全山部32のとがり山の高さを寸法Hとすると、0よりも大きくかつ0.1H以下の範囲に設定されるのが好ましい。即ち、山払い後の第2完全山部32bのねじ山の高さが((5/8)H−(3/8)H−0.1H)=(0.15H)以上かつ((5/8)H−(3/8)H―0)=(0.25H)未満に設定され、これにより第2完全山部32bの外径は(D−(3/8)H×2−0.1H×2)=(D−(3/4)H−0.2H)以上かつ(D−(3/8)H×2−0)=(D−(3/4)H)未満に設定されるのが好ましい。
なお、(D−(3/4)H)は、めねじの有効径である寸法D2と同一であり、めねじの谷の径、めねじの有効径、めねじの内径、おねじの外径、おねじの有効径およびおねじの谷の径の各基準寸法は、JISB0101の基準山形に基づいて定められるものとする。また、本実施の形態における盛上げタップ100は、M16×1.5、寸法Dが16.000mm、寸法D2が15.026mm、完全山部32のとがり山の高さHが1.299mmに設定されている。この場合、寸法D1は14.766mm以上かつ15.026未満に設定されるのが好ましく、本実施の形態では、寸法D1が14.976mmに設定されている。
第2完全山部32bのねじ山の外径が(D−(3/4)H)未満、即ち、めねじの有効径(寸法D2)と略同一寸法の下穴Ho(図2(b)参照)よりも小さく設定されるので、めねじの塑性加工工程において、食付き部31による塑性変形によって被加工物に形成されるめねじと第2完全山部32bのねじ山との当接面積を小さくすることができる。よって、塑性変形により被加工物に形成されためねじと第2完全山部32bのねじ山との摩擦を小さくできるので、めねじの塑性加工工程における加工トルクを小さくして第2完全山部32bに溶着や凝着が生じることを抑制できる。その結果、盛上げタップ100の工具寿命を長くすることができる。
さらに、第2完全山部32bのねじ山の外径が(D−(3/4)H)未満、即ち、めねじの有効径(寸法D2)と略同一寸法の下穴Ho(図2(b)参照)よりも小さく設定されることにより、めねじの塑性加工工程において、第2完全山部32bのねじ山と被加工物に形成されるめねじとの間に隙間が形成されるので、その隙間にシャンク20(図1参照)側から油溝40(図1参照)を通じて塑性加工面へ供給されるタッピングオイルを行き渡らせることができる。これにより、タッピングオイルの潤滑効果によっておねじ部30のねじ山と被加工物に形成されるめねじとの当接部分に生じる摩擦を小さくできるので、めねじの塑性加工工程における加工トルクを小さくしておねじ部30に溶着や凝着が生じることを抑制できる。
また、第2完全山部32bのねじ山の外径が(D−(3/4)H−0.2H)以上に設定されるので、山払いされた後の第2完全山部32bのねじ山を被加工物に形成されるめねじに案内させることができる。即ち、めねじの有効径の基準寸法とめねじの内径の基準寸法との差が(1/4)Hであり、被加工物に形成されるめねじの有効径である寸法D2と第2完全山部32bの外径である寸法D1との差である寸法hが0よりも大きく0.1H以下に設定される。従って、山払い後の第2完全山部32bの外径は、めねじの内径の基準寸法よりも大きいので、めねじの塑性加工工程において、第2完全山部32bのねじ山を被加工物に形成されたねじ山に噛み合わせることができる。よって、第2完全山部32bのねじ山を被加工物に形成されためねじに案内させることができるので、めねじのピッチエラーを抑制して高精度のめねじを形成できる。
ここで、切削タップによるめねじ加工では、切り屑が発生するため、めねじの塑性加工工程において完全山部のねじ山と被加工物に形成されるめねじとの間に隙間が形成されると、その隙間に切り屑が入り込み、溶着や凝着が発生しやすくなる。そのため、完全山部のねじ山と被加工物に形成されるめねじとの隙間は小さいほうが好ましい。
これに対し、盛上げタップ100によるめねじ加工では、切り屑が発生せず、めねじの塑性加工工程において完全山部32のねじ山と被加工物に形成されるめねじのねじ山との間に隙間が形成されることで、完全山部32のねじ山と被加工物に形成されるめねじのねじ山との当接面積を小さくできるので、完全山部32のねじ山と被加工物に形成されるめねじのねじ山との摩擦を小さくできる。さらに、完全山部32のねじ山と被加工物に形成されるめねじのねじ山との間に隙間が形成されることで、その隙間にタッピングオイルを行き渡らせることができる。これにより、タッピングオイルの潤滑効果によっておねじ部30のねじ山と被加工物に形成されるめねじとの当接部分に生じる摩擦を小さくできる。従って、めねじの塑性加工工程における加工トルクを小さくしておねじ部30に溶着や凝着が生じることを抑制できる。
また、盛上げタップ100によるめねじの塑性加工工程において、食付き部31により塑性変形された被加工物のめねじが元の形状に戻ろうとするのに対し、第2完全山部32bの外径が下穴Hoの内径よりも小さく設定されることで、完全山部32のねじ山と被加工物に形成されるめねじのねじ山との当接面積の増加を抑制できるので、完全山部32のねじ山と被加工物に形成されるめねじのねじ山との摩擦を小さくでき、その結果、加工トルクを抑制することができる。
なお、本実施の形態では、完全山部32が14山で形成され、第1完全山部32aのねじ山の数が3山で構成されているが、必ずしもこれに限られるものではない。但し、完全山部32が8山以上で形成され、第1完全山部32aのねじ山の数が2山以上かつ4山以下に設定されることが好ましい。
第1完全山部32aのねじ山の数を2山以上にすることで完全山部32としてのガイド性を確保しつつ、第1完全山部32aのねじ山の数を4山以下にすることで完全山部32のねじ山と被加工物に形成されるめねじとの当接面積を小さくできる。よって、めねじのピッチエラーを抑制して高精度のめねじを形成しつつ、めねじとの摩擦を抑制してめねじの塑性加工工程における加工トルクを小さくして完全山部32(特に、第1完全山部32a)に溶着や凝着が生じることを抑制できる。
さらに、第1完全山部32aのねじ山の数が2山以上かつ4山以下にされると共に完全山部32のねじ山の数が8山以上に設定されるので、長いめねじを形成する場合や通り穴を形成する場合であっても、第2完全山部32bのねじ山を被加工物に形成されたねじ山を案内させることで、加工トルクを抑制しつつめねじの塑性加工工程におけるめねじのピッチエラーを抑制して高精度のめねじを形成できる。
ここで、第1完全山部32aの有効径を測定する際、最低でも3つ以上のねじ山が必要とされる。しかしながら、第2完全山部32bが形成される部分に第1完全山部32aと同一形状のねじ山を形成した後、第2完全山部32bの山払い加工を行う前に行うことで、第1完全山部32aのねじ山の数を2山とした場合であっても、第1完全山部32aの有効径の測定を行うことができる。
次に、図4を参照して、盛上げタップ100の加工トルク測定試験について説明する。図4は、加工トルク測定試験の試験結果を示すグラフである。加工トルク測定試験は、所定の条件で被加工物に穴あけ加工を行い、被加工物から盛上げタップを取り外すまでのトルクを測定する。
なお、加工トルク測定試験の詳細諸元は、被削材質:SCM440、硬さ:29〜31HRC、切削速度:10m/min、回転数:毎分200回転、下穴径:15.3mm、ねじ立て長さ:24mm、切削油剤:不水溶性、加工方向:縦である。
また、加工トルク測定試験には、本実施の形態で説明したローブ数8かつ油溝数8の盛上げタップ100(図1参照、以下「本発明品」と称す)と、本発明品と同じローブ数8かつ油溝数8の盛上げタップであって、8つのローブのうち、周方向に1つにおきに、計4つのローブに山払い加工した加工品と、本発明品と同じローブ数8かつ油溝数8であって、すべてのローブに山払い加工が施されていない従来品とを用いて行った。なお、本発明品と加工物および従来品との差異は、山払い加工の有無または山払い加工される位置のみであり、その他の材質、寸法等の構成は、本発明品と加工物および従来品とで同様である。
図4は、加工トルク測定試験の試験結果を示すグラフであり、図4(a)〜図4(c)が本発明品、図4(d)〜図4(f)が加工品、図4(g)〜図4(i)が従来品の盛上げタップの最大トルクを示している。なお、図4では、上述した3種類の盛上げタップについて行った各3回の試験結果を示し、左側(図4(a)、図4(d)及び図4(g))が1回目の試験結果、中央(図4(b)、図4(e)及び図4(h))が2回目の試験結果、右側(図4(c)、図4(f)及び図4(i))が3回目の試験結果をそれぞれ示している。また、図4に示すグラフは、縦軸がトルク(Nm)、横軸が時間(s)を表している。
図4に示すように、加工トルク測定試験の試験結果によれば、3回の試験における各試験の最大トルク値の平均値が、加工品は従来品と比べて0.3%減であったのに対し、本発明品は従来品と比べて12.6%減であった。また、従来品および加工品のトルク値は、めねじ加工が進むにつれて上昇するのに対し、本発明品のトルク値は、ほぼ横ばいであり、めねじ加工時の本発明品のトルクの平均値は、加工品や従来品のトルクの平均値よりも小さくなった。これは、加工品や従来品では、完全山部のねじ山の一部または全部のローブに先端側から後端側に亘って同一形状のねじ山が形成されている一方、食付き部31により塑性変形された被加工物のめねじが元の形状に戻ろうとするため、盛上げタップを進行させるにつれて完全山部のねじ山と被加工物に形成されるねじ山との当接面積が増加することで、トルク値がめねじ加工の進行と共に上昇し、その結果、めねじ加工時におけるトルクの平均値が高くなったと考えられる。これに対し、本発明品では、第2完全山部32b(図3参照)のすべてのねじ山の外径が上述した寸法になるように山払い加工が施されているため、盛上げタップ100の進行に伴って被加工物のめねじが元に戻ろうとしても、第2完全山部32bのねじ山と被加工物に形成されるめねじとの当接面積の増加を抑制でき、めねじ加工時のトルクをほぼ一定値に維持できることで安定しためねじ加工が可能になると共に、めねじ加工時におけるトルクの平均値が加工品や従来品と比べて小さくなったと考えられる。
さらに、本発明品は、加工品や従来品と比べて、被加工物にめねじを形成した後、盛上げタップを被加工物から取り外す際のトルクも小さくでき、めねじの品質を安定化させることができると共に、盛上げタップを被加工物から取り外す際に溶着や凝着が生じることを抑制できる。
以上の結果より、盛上げタップ100は、第2完全山部32bのすべてのねじ山が山払い加工されることで加工トルクを低減させることができると確認された。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記実施の形態では、第2完全山部32bのすべてのねじ山の頂がシャンク20の軸心O方向視において同心円弧状に山払い加工される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第2完全山部32のすべてのねじ山の頂がシャンク20の軸心O方向視において直線状に山払い加工されてもよい。なお、この場合の山払い加工は、軸心O方向に沿って各ローブ毎に行ってもよい。
100 盛上げタップ
20 シャンク
30 おねじ部
31 食付き部
32 完全山部
32a 第1完全山部
32b 第2完全山部
40 油溝
Ho 下穴
D 寸法(第1完全山部のねじ山の外径)
D1 寸法(第2完全山部のねじ山の外径)
H 完全山部のとがり山の高さ

Claims (3)

  1. 円柱状に形成されるシャンクと、そのシャンクの先端側に配設されテーパ状に形成される食付き部およびその食付き部に連設される完全山部を有するおねじ部と、そのおねじ部の外周面に凹設される油溝とを備え、前記おねじ部を被加工物に設けられた下穴の表層部に食い込ませることによりその下穴の表層部を塑性変形させてめねじを形成する盛上げタップにおいて、
    前記完全山部は、前記食付き部に連設される第1完全山部と、その第1完全山部から前記シャンク側の終端まで形成される第2完全山部とを備え、前記完全山部のねじ山の数が8山以上に設定され、
    前記第1完全山部は、ねじ山の数が2山以上かつ4山以下に設定され、
    前記第2完全山部は、ねじ山の頂が山払い加工されると共に、前記第2完全山部の外径が前記めねじの内径よりも大きくかつ前記下穴の内径よりも小さく設定されることを特徴とする盛上げタップ。
  2. 円柱状に形成されるシャンクと、そのシャンクの先端側に配設されテーパ状に形成される食付き部およびその食付き部に連設される完全山部を有するおねじ部と、そのおねじ部の外周面に凹設される油溝とを備え、前記おねじ部を被加工物に設けられた下穴の表層部に食い込ませることによりその下穴の表層部を塑性変形させてめねじを形成する盛上げタップにおいて、
    前記完全山部は、前記食付き部に連設される第1完全山部と、その第1完全山部から前記シャンク側の終端まで形成される第2完全山部とを備え、前記完全山部のねじ山の数が8山以上に設定され、
    前記第1完全山部は、ねじ山の数が2山以上かつ4山以下に設定され、
    前記第2完全山部は、ねじ山の頂が山払い加工されると共に、前記第1完全山部のねじ山の外径Dおよび前記完全山部のとがり山の高さHに対して、前記第2完全山部のねじ山の外径が(D−(3/4)H−0.2H)以上かつ(D−(3/4)H)未満であることを特徴とする盛上げタップ。
  3. 前記第2完全山部は、すべてのねじ山が前記シャンクの軸方向視において同心円弧状に山払い加工されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の盛上げタップ。
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