JP2012065147A - 可変指向性コンデンサマイクロホン - Google Patents
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Abstract
【課題】マイクロホンの入力感度ならびにS/Nを向上させることができる可変指向性コンデンサマイクロホンを提供すること。
【解決手段】第1と第2のコンデンサ型マイクロホンユニットが電気的に独立した状態で背中合わせに配置される。後側マイクロホンユニットにより得られる第2音声出力がインピーダンス変換されて前側マイクロホンユニットに供給される。前側マイクロホンユニットからは、当該ユニットにより得られる第1音声出力に、前記第2音声出力が加算された状態で出力を得ることができる。前側ユニットに加える成極電圧を一定にして、後側マイクロホンユニットに加える成極電圧の極性およびレベルを変化させることで、指向特性が変化する。
【選択図】図1
【解決手段】第1と第2のコンデンサ型マイクロホンユニットが電気的に独立した状態で背中合わせに配置される。後側マイクロホンユニットにより得られる第2音声出力がインピーダンス変換されて前側マイクロホンユニットに供給される。前側マイクロホンユニットからは、当該ユニットにより得られる第1音声出力に、前記第2音声出力が加算された状態で出力を得ることができる。前側ユニットに加える成極電圧を一定にして、後側マイクロホンユニットに加える成極電圧の極性およびレベルを変化させることで、指向特性が変化する。
【選択図】図1
Description
この発明は、前後に振動板を備えた可変指向性コンデンサマイクロホン、もしくはエレクトレットコンデンサマイクロホンに関し、特にマイクロホンの入力感度ならびにS/Nを向上させることができるコンデンサマイクロホンに関するものである。
指向性を可変できるマイクロホンとして、2つのコンデンサ型マイクロホンユニットを前後に背中合わせに配置したものが知られている。前記2つのマイクロホンユニットはそれぞれカージオイド特性を有し、各ユニットに加えるの成極電圧を加減することによって可変指向性を実現しており、これは特許文献1に開示されている。
一方、図6は非特許文献1において知られている前記した可変指向性マイクロホンユニットに適用可能な指向性切り換え回路の例を示している。これは、前後一対のマイクロホンユニット(Mic)のうち、前側ユニットの振動板(DiapB)には一定の成極電圧を印加し、後側ユニットの振動板(DiapA)に印加する成極電圧を切り換えることにより、マイクロホンの指向性を切り換えるようになされている。
図6に示す例では、+60Vの直流電源と−60Vの直流電源を備え、前側ユニットの振動板には常時+60Vの成極電圧が印加されている。前記+60Vと−60Vの電源は抵抗分割により、それぞれ中間の分圧電圧(+30V,−30V)が生成され、基準電位0Vも含めて5段階の電圧が生成されるようになされている。そして、前記5段階の成極電圧をスイッチで選択して後側ユニットの振動板に択一的に印加するように構成されている。なお、双方のユニットの共通固定電極(「バックプレート」ともいう)は基準電位点(0V)になされている。
図7は、前記スイッチを利用して後側ユニットの振動板に与える成極電圧を切り換えることによって得られるマイクロホンの指向特性の例を示す。図6に示すスイッチが接点“1”を選択すると、前側ユニットの振動板に加わる成極電圧が+60Vであるのに対し、後側ユニットの振動板に加わる成極電圧が−60Vとなり、前側ユニットの出力から後側ユニットの出力を減算した指向特性、すなわち双指向特性が得られる。
前記スイッチが接点“2”を選択すると、後側ユニットに加わる成極電圧が−30Vとなり、図7の「2」に示すようなハイパーカージオイド特性が得られる。また前記スイッチが接点“3”を選択すると、後側ユニットの成極電圧が0Vとなり、後側ユニットからの出力は発生しない状態となる。これにより、図7の「3」に示すようなカージオイド指向特性、すなわち前側のユニットのみからの出力が得られる特性となる。
前記スイッチが接点“4”を選択すると、後側ユニットの成極電圧が+30Vとなり、図4の「4」に示すようなワイドカージオイドの特性が得られる。さらに前記スイッチが接点“5”を選択すると、後側ユニットに加わる成極電圧が+60Vとなり、前側ユニットの出力に後側ユニットの出力が同相で加算された指向特性、すなわち無指向の特性が得られる。
Michael Gayford著「Condenser microphone with variable polar response」 Microphone Engineering Handbook(p32,Figure1.18)
ところで、非特許文献1に示された例においては、前側ユニットの出力に、後側ユニットの出力を加えるために両者の振動板は、コンデンサCによって交流結合されている。図8はこれを等価回路図によって示したものであり、図8に示す構成においては、バックプレート2から出力を取り出す構成にされている。
すなわち図8において、符号1aは前側ユニットを構成する振動板を示し、符号1bは後側ユニットを構成する振動板を示しており、0゜を指す矢印が集音軸を示している。そして、前記2つの振動板1a,1bは、コンデンサCにより交流結合されている。また、前記2つの振動板1a,1bの間にはバックプレート2が配置され、このバックプレート2に生成される出力がインピーダンス変換器として機能するバッファアンプ3を介して出力される。
図8における符号E1は、前側ユニットの振動板1aに抵抗R11を介して成極電圧を加えるための直流電源であり、符号E2は、前記E1と共に後側ユニットの振動板1bに対して抵抗R12を介して選択的に正負(±)の成極電圧を加える直流電源である。そして、SWは後側ユニットの振動板1bに加える成極電圧を選択するように動作する指向性の切り換えスイッチである。
前記スイッチSWの機能は、図3に基づいてすでに説明したとおり、aを選択すると無指向の特性が得られ、bを選択すると前側ユニットのみによるカージオイド特性が得られ、さらにcを選択すると双指向特性が得られる。
ところで、図8において前記スイッチSWをbに選択した場合においては、前記したとおり後側ユニットに加わる成極電圧が0Vとなるので、後側ユニットからは出力は発生せず、前側ユニットのみから出力が得られることでカージオイドの指向特性が得られる。この場合、前後の振動板1a,1bは前記したとおり、コンデンサCにより交流結合されているので、この状態を等価回路において示すと、図9のようになる。
すなわち、図9(A)において、符号Asは前側ユニットにより得られる音声出力であり、Caは前側ユニットの振動板1aとバックプレート2との間に形成される結合容量である。またCbは後側ユニットの振動板1bとバックプレート2との間に形成される結合容量である。
前記したとおり、後側ユニットに加わる成極電圧が0V(スイッチSWをbに選択)の場合においては、後側ユニットからの音声出力は発生せず、したがって前側ユニットにより得られる音声出力源Asに前記結合容量Caが直列接続された状態でバッファアンプ3に供給される。また後側ユニットからの音声出力は発生しないので、後側ユニットの振動板1bとバックプレート2との間に形成される結合容量Cbが、前記音声出力源Asと結合容量Caの直列回路に並列に接続され、前記容量Cbは音声出力源Asからみると負荷容量として動作することになる。
図9(A)に示す等価回路を書き代えると図9(B)に示すようになり、結果として音声出力源Asは、結合容量CaとCbにより交流分圧されてバッファアンプ3に供給されることになる。一般に結合容量CaとCbは、ほぼ同一の値になるため、音声出力レベルは半減することになる。これによりマイクロホンの感度は6dB低下し、S/Nもこれに応じて劣化することになる。これは、成極電源を持たないエレクトレットコンデンサマイクロホンにおいても同様のことが言える。
この発明は、2つのユニットを前後に背中合わせ状態に配置して指向性を可変できるようにしたコンデンサマイクロホン、もしくはエレクトレットコンデンサマイクロホンの前記した問題点に着目してなされたものであり、後側ユニットに出力がない場合において、後側ユニットが負荷容量として動作するのを防止し、マイクロホンの感度の低下、ならびにS/Nの劣化を防止することができる可変指向性コンデンサマイクロホンを提供することを課題とするものである。
前記した課題を解決するためになされたこの発明にかかるコンデンサマイクロホンは、第1と第2のバックプレートが互いに非導通状態で背中合わせに配置され、前記第1と第2のバックプレートにそれぞれ一定の間隔をおいて第1と第2の振動板が対向して配置されることにより、電気的に独立した二つのコンデンサ型マイクロホンユニットを前後に備えたコンデンサマイクロホンが利用され、前記第2マイクロホンユニットにより得られる第2音声出力をインピーダンス変換し、前記第1マイクロホンユニットの交流接地側に供給する第2インピーダンス変換器と、インピーダンス変換された前記第2音声出力に、前記第1マイクロホンユニットにより得られる第1音声出力を加算してなる音声出力を前記第1マイクロホンユニットの非交流接地側から引き出してインピーダンス変換し、マイクロホンの出力とする第1インピーダンス変換器と、前記一方のマイクロホンユニットに加える成極電圧に対して、前記他方のマイクロホンユニットに加える成極電圧を変化させることが可能な成極電圧選択手段とが具備され、前記成極電圧選択手段の操作により指向性を可変することを特徴とする。
この場合、好ましい一つの形態としては、前記一方のマイクロホンユニットに加える成極電圧が一定の電圧値になされ、前記他方のマイクロホンユニットに加える成極電圧が、前記成極電圧選択手段により正負の電圧極性が選択可能に構成される。また好ましい他の形態としては、前記一方のマイクロホンユニットに加える成極電圧が一定の電圧値になされ、前記他方のマイクロホンユニットに加える成極電圧が、前記成極電圧選択手段により複数の異なる電圧レベルに選択可能に構成される。
前記した課題を解決するためになされたこの発明にかかるエレクトレットコンデンサマイクロホンは、前記した成極電圧選択手段に代えて、前記第2音声出力の位相を調整することが可能な位相調整手段が具備され、前記位相調整手段の操作により指向性を可変することを特徴とする。
この場合、好ましい一つの形態としては、前記位相調整手段には、利得が“1”で入出力の位相が非反転の非反転増幅器と、利得が“1”で入出力の位相が反転する反転増幅器とが具備され、少なくとも前記非反転増幅器の出力、もしくは反転増幅器の出力が前記第1マイクロホンユニットの交流接地側に供給されるように構成される。
また、前記非反転増幅器の出力と反転増幅器の各出力をそれぞれ両端に受けるポテンションメータを備え、前記ポテンションメータの可変出力端子に得られる出力を、前記第1マイクロホンユニットの交流接地側に供給するように構成される場合もある。
そして、前記第1マイクロホンユニットの交流接地側が、前記第1の振動板になされ、前記第1マイクロホンユニットの非交流接地側が、前記第1のバックプレートになされた構成を好適に採用することができる。
この発明にかかる前記した構成の可変指向性コンデンサマイクロホンによると、電気的に独立した二つのコンデンサ型マイクロホンユニットが前後に背中合わせ状態に備えられ、第2マイクロホンユニットにより得られる第2音声出力がインピーダンス変換されて、第1マイクロホンユニットの交流接地側に供給され、第1マイクロホンユニットの非交流接地側から得られる第1音声出力に、前記第2音声出力が加わった出力をマイクロホンの出力として利用するようになされる。
これによれば、第1マイクロホンユニットおよび第2マイクロホンユニットに加える成極電圧のレベルおよび/または極性を異ならせることで、指向性を任意に選択することができる。また、エレクトレットコンデンサマイクロホンの場合においては、第2マイクロホンユニットから得られる音声信号を位相調整して第1マイクロホンユニットの交流接地側に供給することで、第1マイクロホンユニットの非交流接地側より、指向性を任意に選択した音声出力を得ることができる。
したがって、図6〜9に示した従来の可変指向性コンデンサマイクロホンのように、前後の振動板を交流結合することにより発生する問題点を解消することができ、感度ならびにS/Nを向上させたコンデンサマイクロホンを提供することができる。
以下、この発明にかかる可変指向性コンデンサマイクロホンについて、図に示す実施の形態に基づいて説明する。まず図1は成極電源を利用するコンデンサマイクロホンを用いた回路構成を示すものであり、図1に示す実施の形態においては、電気的に独立した二つのコンデンサ型マイクロホンユニットを前後に備えたコンデンサマイクロホンが用いられる。
このコンデンサマイクロホンは、第1と第2のバックプレート2a,2bが互いに非導通状態で背中合わせに配置され、前記第1と第2のバックプレート2a,2bにそれぞれ一定の間隔をおいて第1と第2の振動板1a,1bが対向して配置されている。なお図示例において、矢印で0゜を示す集音軸側を前側ユニットと称呼し、反対側を後側ユニットと称呼する。
図1において、符号SWは成極電圧選択手段を構成する選択スイッチ(指向性の選択スイッチ)であり、これはすでに説明した図8に示す例と同様にa〜cの被選択端子が備えられている。前記スイッチSWの端子bは、基準電位点(0V)に接続されており、端子a,b間には第1の成極電源E1が接続挿入され、また端子b,c間には第2の成極電源E2が接続挿入されている。
前記第1の成極電源E1の正極端子(+)は、抵抗R1を介して前側ユニットの振動板1aに接続されている。すなわち、この実施の形態においては、前側ユニットの振動板1aには、成極電源E1による一定の直流正電圧が成極電圧として印加されるように構成されている。これにより前記振動板1aは抵抗R1および成極電源E1を介して交流接地側を構成しており、前記第1のバックプレート2aが非交流接地側を構成することになる。
前記第2の成極電源E2は、前記第1の成極電源E1と共に、後側ユニットの成極電源を構成している。すなわち、スイッチSWが端子aを選択した場合には、前記第1の成極電源E1の直流正電圧が抵抗R2を介して、後側ユニットの振動板1bに供給される。またスイッチSWが端子bを選択した場合には、振動板1bには成極電圧は加わらず、スイッチSWが端子cを選択した場合には、振動板1bには前記第2の成極電源E2の直流負電圧が抵抗R2を介して印加される。
そして、第2の振動板1bはコンデンサC2を介して交流接地されており、したがって後側ユニットの振動板1bが交流接地側を構成し、第2のバックプレート2bが非交流接地側を構成している。
図1に示す構成においては、後側ユニットにおける第2のバックプレート2aに生ずる出力(第2音声出力)が、第2インピーダンス変換器4に供給されてインピーダンス変換される。この第2インピーダンス変換器4の入出力特性は、位相が同一であり、利得は“1”になされている。そして第2インピーダンス変換器4による出力は、前側ユニットの交流接地側である第1振動板1aに対してコンデンサC1を介して供給するように構成されている。
一方、前記した前側ユニットにおける第1のバックプレート2aには、前側ユニットによる音声出力(第1音声出力)が生成されると同時に、前記第2インピーダンス変換器4よりもたらされる前記第2音声出力が加算された状態で出力される。この加算出力はインピーダンス変換器として機能するバッファアンプ3を介してマイクロホン出力としてもたらされる。
図1に示した構成によると、スイッチSWによる端子a〜cの選択により、後側ユニットに加わる成極電圧の極性およびレベルが変えられ、これによりマイクロホンの指向性が選択できる。この作用はすでに説明した図6〜図8に示した例と同様であり、したがってその詳細な説明は省略する。
前記したコンデンサマイクロホンによると、従来例として図6〜9に示したコンデンサマイクロホンのように、前後の振動板を交流結合することにより発生する問題点を解消することができ、感度ならびにS/Nを向上させたコンデンサマイクロホンを提供することができる。
加えて、図1に示す構成によると、マイクロホン出力のS/N値は、前記第2インピーダンス変換器4と、第1インピーダンス変換器3による残留ノイズが寄与するものの、両者の残留ノイズはそれぞれ無相関であるために、ノイズ成分としては3dBの上昇にとどまる。これに対して、図1に示す構成によると、前後の振動板の交流結合がなされない分、信号レベルとして6dB上昇することになるため、相対的にさらにS/Nが3dB向上することになる。
なお、図1に示す実施の形態においては、成極電圧選択手段を構成するスイッチSWによる端子a〜cの選択は3段になされている。しかし、図6に例示したように正負の成極電圧をそれぞれ例えば抵抗分割して正負の中間レベルの成極電圧を生成し、これも選択対象とすることで、前記スイッチSWは複数の異なる電圧レベルも選択可能となり、図7に示した例と同様に5つの指向特性を選択することができる。
また、図2はポテンションメータを利用して、後側ユニットに印加する成極電圧が調整できる例を示す。なお図2においては、前側および後側ユニットの記載は省略し、成極電圧選択手段の構成部分を示している。ポテンションメータPmとしては、中間タップ付のものが用いられ、前記ポテンションメータPmの一方の端子と中間タップとの間に、第1成極電源E1が挿入接続され、ポテンションメータPmの中間タップと他方の端子との間に第2成極電源E2が挿入接続されており、前記中間タップは基準電位点に接続されている。
前記ポテンションメータPmの可変出力端子にもたらされる電圧を、抵抗R2を介して図1に示すように第2振動板に1bに加えるように構成することで、例えば図7に示した指向特性を連続的に選択することができる。
次に図3は、振動板にエレクトレットを用いたエレクトレットコンデンサマイクロホンに対して、この発明を適用した例を示す。なお、図3においてはすでに説明した図1に示す各部に相当する部分を同一符号で示しており、したがって詳細な説明は適宜省略する。図3に示す例においては、後側ユニットを構成する第2バックプレート2bに生成される第2音声出力は、第2インピーダンス変換器4によってインピーダンス変換される。
この図3に示す例においては、第2インピーダンス変換器4は、利得が“1”で入出力の位相が非反転の非反転増幅器4aと、利得が“1”で入出力の位相が反転する反転増幅器4bとが備えられている。そして、増幅器4aもしくは増幅器4bの出力が択一的に、位相調整手段を構成するスイッチSWにより選択され、コンデンサC3を介して前側ユニットを構成する第1振動板1aに加えられるように構成されている。
なお、図3に示す例においては、前記第1振動板1aは、抵抗R3を介して交流接地されている。また第2振動板1bも、抵抗R4およびコンデンサC4を介して交流接地されている。
図3に示す例においては、スイッチSWの端子aに対して、位相シフトされない状態のインピーダンス変換された第2音声出力が供給されている。またスイッチSWの端子bは基準電位点に設定されており、さらにスイッチSWの端子cに対しては、位相が反転された状態のインピーダンス変換された第2音声出力が供給されている。
したがって、位相調整手段として機能するスイッチSWが端子aを選択すると、位相シフトされない状態の第2音声出力が第1振動板1aに供給されることになる。一方、前側ユニットにおける第1のバックプレート2aには、前側ユニットによる音声出力(第1音声出力)が生成されると同時に、前記第2音声出力が同相で加算された状態で出力される。この加算出力は第1インピーダンス変換器として機能するバッファアンプ3を介してマイクロホン出力としてもたらされる。これによれば、第1音声出力と第2音声出力が同相で加算されるために、無指向性の特性を得ることができる。
また、スイッチSWが端子bを選択すると、第2インピーダンス変換器4からの第2音声出力は第1振動板1aには加わらず、前側ユニットによる第1音声出力のみが得られ、これにより前側ユニットが持つカージオイド特性が得られる。
さらにスイッチSWが端子cを選択すると、第2バックプレート2bに生成される第2音声出力が位相反転された状態で第1振動板1aに供給されることになる。これによれば、前側ユニットによって生成される第1音声出力に、位相反転された第2音声出力が加わることになり、結果として双指向特性を得ることができる。以上のとおり、図3に示すエレクトレットコンデンサマイクロホンを利用しても、図1に示した例と同様の作用効果を得ることができる。
図4は、前記スイッチSWを含む位相調整手段の異なる形態を示しており、これはスイッチSWによる指向特性の選択数を増大させたものである。なお図4においては、前側ユニットおよび後側ユニットの記載は省略している。図4に示す構成においては、非反転増幅器4aからの第2音声出力を抵抗R5,R6により分圧して端子a′に導出しており、反転増幅器4bからの第2音声出力を抵抗R7,R8により分圧して端子c′に導出している。これによれば、図7に示した例と同様な指向特性を得ることができる。
図5はポテンションメータを利用して、指向特性を連続的に選択できるように構成した例を示している。この図5に示す例においては、図3に示す第2バックプレート2bに生成される第2音声出力をBsとして示しており、この第2音声出力Bsは、非反転増幅器4aによってインピーダンス変換される。このインピーダンス変換された出力は抵抗Rsを介して反転増幅器4bに供給される。
この反転増幅器4bは、フィードバック抵抗Rfを備えた例えばオペアンプにより構成されており、前記非反転増幅器4aの出力端と、反転増幅器4bの出力端との間には、ポテンションメータPmの両端子が接続されている。そして、ポテンションメータの可変出力端子はコンデンサC3を介して、図3に示すように前側ユニットを構成する第1振動板1aに接続されている。
図5に示すポテンションメータPmを用いた構成によると、ポテンションメータの可変出力端子を前記非反転増幅器4aの出力側に設定すると、第2音声出力の非反転出力が得られ、前記可変出力端子を反転増幅器4bの出力側に設定すると、第2音声出力の反転出力が得られる。これによれば、例えば図7に示した指向特性を連続的に選択することができる。
1a 第1振動板
1b 第2振動板
2a 第1バックプレート
2b 第2バックプレート
3 第1インピーダンス変換器
4 第2インピーダンス変換器
4a 非反転増幅器
4b 反転増幅器
C1〜C4 コンデンサ
E1 第1成極電源
E2 第2成極電源
Pm ポテンションメータ
R1〜R8 抵抗
SW 選択スイッチ
1b 第2振動板
2a 第1バックプレート
2b 第2バックプレート
3 第1インピーダンス変換器
4 第2インピーダンス変換器
4a 非反転増幅器
4b 反転増幅器
C1〜C4 コンデンサ
E1 第1成極電源
E2 第2成極電源
Pm ポテンションメータ
R1〜R8 抵抗
SW 選択スイッチ
Claims (7)
- 第1と第2のバックプレートが互いに非導通状態で背中合わせに配置され、前記第1と第2のバックプレートにそれぞれ一定の間隔をおいて第1と第2の振動板が対向して配置されることにより、電気的に独立した二つのコンデンサ型マイクロホンユニットを前後に備えたコンデンサマイクロホンが利用され、
前記第2マイクロホンユニットにより得られる第2音声出力をインピーダンス変換し、前記第1マイクロホンユニットの交流接地側に供給する第2インピーダンス変換器と、
インピーダンス変換された前記第2音声出力に、前記第1マイクロホンユニットにより得られる第1音声出力を加算してなる音声出力を前記第1マイクロホンユニットの非交流接地側から引き出してインピーダンス変換し、マイクロホンの出力とする第1インピーダンス変換器と、
前記一方のマイクロホンユニットに加える成極電圧に対して、前記他方のマイクロホンユニットに加える成極電圧を変化させることが可能な成極電圧選択手段とが具備され、
前記成極電圧選択手段の操作により指向性を可変することを特徴とする可変指向性コンデンサマイクロホン。 - 前記一方のマイクロホンユニットに加える成極電圧が一定の電圧値になされ、前記他方のマイクロホンユニットに加える成極電圧が、前記成極電圧選択手段により正負の電圧極性が選択可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載された可変指向性コンデンサマイクロホン。
- 前記一方のマイクロホンユニットに加える成極電圧が一定の電圧値になされ、前記他方のマイクロホンユニットに加える成極電圧が、前記成極電圧選択手段により複数の異なる電圧レベルに選択可能に構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載された可変指向性コンデンサマイクロホン。
- 第1と第2のバックプレートが互いに非導通状態で背中合わせに配置され、前記第1と第2のバックプレートにそれぞれ一定の間隔をおいて第1と第2の振動板が対向して配置されることにより、電気的に独立した二つのコンデンサ型マイクロホンユニットを前後に備えたコンデンサマイクロホンが利用され、
前記第2マイクロホンユニットにより得られる第2音声出力をインピーダンス変換し、前記第1マイクロホンユニットの交流接地側に供給する第2インピーダンス変換器と、
インピーダンス変換された前記第2音声出力に、前記第1マイクロホンユニットにより得られる第1音声出力を加算してなる音声出力を前記第1マイクロホンユニットの非交流接地側から引き出してインピーダンス変換し、マイクロホンの出力とする第1インピーダンス変換器と、
前記第1と第2のマイクロホンユニットは、エレクトレットコンデンサマイクロホンであり、前記第2音声出力をインピーダンス変換する第2インピーダンス変換器には、第2音声出力の位相を調整することが可能な位相調整手段とが具備され、
前記移相調整手段の操作により指向性を可変することを特徴とする可変指向性コンデンサマイクロホン。 - 前記位相調整手段には、利得が“1”で入出力の位相が非反転の非反転増幅器と、利得が“1”で入出力の位相が反転する反転増幅器とが具備され、少なくとも前記非反転増幅器の出力、もしくは反転増幅器の出力が前記第1マイクロホンユニットの交流接地側に供給されるように構成したことを特徴とする請求項4に記載された可変指向性コンデンサマイクロホン。
- 前記非反転増幅器の出力と反転増幅器の各出力をそれぞれ両端に受けるポテンションメータが備えられ、前記ポテンションメータの可変出力端子に得られる出力が、前記第1マイクロホンユニットの交流接地側に供給されるように構成したことを特徴とする請求項5に記載された可変指向性コンデンサマイクロホン。
- 前記第1マイクロホンユニットの交流接地側が、前記第1の振動板になされ、前記第1マイクロホンユニットの非交流接地側が、前記第1のバックプレートになされていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載された可変指向性コンデンサマイクロホン。
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