JP2012065036A - 弾性境界波装置の製造方法 - Google Patents

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典生 谷口
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Abstract

【課題】高い周波数精度で弾性境界波装置を製造し得る弾性境界波装置の製造方法を提供する。
【解決手段】IDT電極14が形成されている第1の媒質11の上に、第2の媒質12を形成し、さらに、第2の媒質12の上に、第3の媒質13と同じ材料からなる犠牲層15を形成する。犠牲層15が形成された状態でIDT電極14によって励振される弾性境界波の周波数特性を測定する。測定された周波数特性と、予め定められている周波数特性の設計値とを比較する。比較工程において、測定された周波数特性と、予め定められている周波数特性の設計値とに差がある場合は、犠牲層15を除去した後に、当該差に応じて、第2の媒質12の厚みを調整する。一方、測定された周波数特性と、予め定められている周波数特性の設計値とが一致している場合は、第2の媒質12の厚み調整を行わない。
【選択図】図1

Description

本発明は、弾性境界波装置の製造方法に関する。特に、本発明は、3媒質型の弾性境界波装置の製造方法に関する。
近年、例えば共振子やフィルタとして、弾性波を利用した弾性波装置を利用することが提案されている。弾性波装置には、弾性表面波を利用した弾性表面波装置や弾性境界波を利用した弾性境界波装置がある。弾性表面波装置では、圧電基板の表面に形成されているIDT電極で励振された弾性波が圧電基板の表面を伝搬することによって、各種機能が実現されている。弾性表面波装置において実現される機能は、この弾性表面波の特性によって決定される。このため、例えば、圧電基板の表面状態が変化し、伝搬する弾性表面波の特性が変化してしまうと、得られる特性も変化してしまう。従って、弾性表面波装置には、外乱に弱いという問題がある。
このような問題を解決するために、従来、弾性表面波装置では、圧電基板の表面を覆う保護材を設けることが提案されている。しかしながら、保護材を設けると、弾性表面波装置が大型化してしまうという問題がある。
一方、弾性境界波を利用した弾性境界波装置では、弾性境界波は、圧電基板の上に形成されている誘電体層に実質的に閉じ込められて伝搬する。このため、弾性境界波装置では、保護材を設けるまでもなく、外乱に因る特性変化が少ない。従って、弾性境界波装置は、小型化に有利であるというメリットがある。
その反面、弾性境界波装置には、製造工程において、周波数特性の調整が困難であり、製造される弾性境界波装置の周波数特性のばらつきを小さくすることが困難であるという問題がある。このような問題に鑑みて、例えば下記の特許文献1には、小さな周波数特性のばらつきで弾性境界波装置を製造し得る方法として、以下のような弾性境界波装置の製造方法が記載されている。すなわち、まず、表面にIDT電極が形成されており、圧電体からなる第1の媒質の上に、IDT電極を覆うように第2の媒質を形成する。次に、第2の媒質の膜厚を調整することにより、弾性表面波の音速を調整する。その後、第2の媒質の上に第3の媒質を形成し、第1〜第3の媒質からなる所謂3媒質型の弾性境界波装置を製造する。
WO 2005/093949 A1号公報
特許文献1に記載の弾性境界波装置の製造方法では、弾性境界波装置において使用する弾性境界波とは異なる弾性表面波の音速を調整することにより、製造される弾性境界波装置の周波数特性のばらつきを抑制しようとしている。しかし、実際には、音速調整に用いる弾性表面波と、弾性境界波装置において使用される弾性境界波との違いを考慮した上で音速調整を行う必要がある。すなわち、第3の媒質を形成する前後における周波数特性の変化を考慮した上で音速調整を行う必要がある。従って、特許文献1に記載の弾性境界波装置の製造方法では、周波数特性のばらつきを十分に抑制し、高い周波数精度で弾性境界波装置を製造することは困難である。
なお、特許文献1には、第2の媒質の膜厚を調整することにより、弾性境界波の音速を調整することも記載されている。このため、例えば、第2の媒質を、弾性境界波が励振される程度にまで厚く形成し、励振された弾性境界波の音速を調整することも考えられる。しかしながら、その場合であっても、励振される弾性境界波は、第2の媒質の表面に比較的大きなエネルギー分布を有するため、音速調整工程において励振される弾性境界波と、第3の媒質が第2の媒質の上に形成されることにより、第2の媒質に閉じ込められて伝搬する、弾性境界波装置において利用される弾性境界波とでは、特性が異なる。従って、特許文献1に記載の弾性境界波装置の製造方法では、弾性境界波が励振される程度に第2の媒質を厚く形成した場合であっても、高い周波数精度で弾性境界波装置を製造することは困難である。
本発明は、係る点に鑑みてなされたものであり、その目的は、高い周波数精度で弾性境界波装置を製造し得る弾性境界波装置の製造方法を提供することにある。
本発明に係る弾性境界波装置の製造方法は、圧電体からなる第1の媒質と、第1の媒質の上に形成されているIDT電極と、第1の媒質の上に、IDT電極を覆うように形成されており、誘電体からなる第2の媒質と、第2の媒質の上に形成されており、誘電体からなる、第2の媒質よりも音速が速い第3の媒質とを備える弾性境界波装置の製造方法に関する。本発明に係る弾性境界波装置の製造方法では、IDT電極が形成されている第1の媒質の上に、第2の媒質を形成し、さらに、第2の媒質の上に、第3の媒質と同じ材料からなる犠牲層を形成する。犠牲層が形成された状態でIDT電極によって励振される弾性境界波の周波数特性を測定する。測定された周波数特性と、予め定められている周波数特性の設計値とを比較する。比較工程において、測定された周波数特性と、予め定められている周波数特性の設計値とに差がある場合は、犠牲層を除去した後に、当該差に応じて、第2の媒質の厚みを調整する。一方、測定された周波数特性と、予め定められている周波数特性の設計値とが一致している場合は、第2の媒質の厚み調整を行わない。調整工程の後に、第3の媒質を形成する。
本発明に係る弾性境界波装置の製造方法のある特定の局面では、比較工程において、測定された周波数特性と、予め定められている周波数特性の設計値とが一致していると判断され、調整工程において第2の媒質の厚み調整を行わなかった場合に、第3の媒質形成工程において、犠牲層の上に、さらなる誘電体膜を形成することにより、犠牲層とさらなる誘電体膜との積層体からなる第3の媒質を形成する。この場合、第3の媒質を形成するのに要する時間が短くなる。従って、弾性境界波装置の製造時間を短縮すると共に、製造工程を簡略化することができる。
本発明に係る弾性境界波装置の製造方法の他の特定の局面では、比較工程において、測定された周波数特性と、予め定められている周波数特性の設計値とが一致していると判断され、調整工程において第2の媒質の厚み調整を行わなかった場合に、第3の媒質形成工程において、犠牲層を一旦除去した後に、第3の媒質を形成する。この場合、第2の媒質の膜質を改善することができる。従って、高性能な弾性境界波装置を製造することができる。
本発明に係る弾性境界波装置の製造方法の別の特定の局面では、第1の媒質として、LiTaO基板またはLiNbO基板を用いる。第1の媒質としてLiTaO基板を用いた場合は、低損失な弾性境界波装置を製造することができる。第1の媒質としてLiNbO基板を用いた場合は、例えば、広い帯域を有するフィルタ装置としての弾性境界波装置を製造することができる。
本発明に係る弾性境界波装置の製造方法のさらに他の特定の局面では、第2の媒質を酸化ケイ素により形成する。この場合、周波数温度係数(TCF:Temperature Coefficient of Frequency)の絶対値が小さな弾性境界波装置を製造することができる。
本発明に係る弾性境界波装置の製造方法のさらに別の特定の局面では、第3の媒質及び犠牲層を窒化ケイ素により形成する。この場合、TCFの絶対値が小さな弾性境界波装置を製造することができる。
本発明では、第3の媒質と同じ材料からなる犠牲層を形成した状態で周波数特性を測定し、その結果に基づいて第2の媒質の厚みを調整するため、高い周波数精度で弾性境界波装置を製造し得る。
本発明の一実施形態において製造する弾性境界波装置の略図的平面図である。 図1の線II−IIにおける略図的断面図である。 弾性境界波装置の製造方法を説明するための略図的断面図である。 弾性境界波装置の製造方法を説明するための略図的断面図である。 弾性境界波装置の製造方法を説明するための略図的断面図である。 電極指幅と周波数特性との関係を表す模式的なグラフである。
以下、本発明を実施した好ましい形態について、図1に示す所謂3媒質型の弾性境界波装置1の製造方法について説明する。まず、本実施形態における弾性境界波装置1の製造方法を説明する前に、弾性境界波装置1の構成について、図1及び図2を参照しながら説明する。
図2に示すように、弾性境界波装置1は、圧電体からなる第1の媒質11を備えている。第1の媒質11は、例えば、LiNbO基板やLiTaO基板などの適宜の圧電基板により構成することができる。第1の媒質11をLiNbO基板により構成することにより弾性境界波装置1の広帯域化を図ることができる。一方、第1の媒質をLiTaO基板により構成することにより、例えばフィルタ装置を構成している弾性境界波装置1の低損失化を図ることができる。
第1の媒質11の表面11aの上には、互いに間挿し合っている一対のくし歯状電極を有するIDT電極14が形成されている。IDT電極14は、例えば、Al,Pt,Au,Ag,Cu,Ni,Ti,Cr及びPdからなる群から選ばれた金属、もしくは、Al,Pt,Au,Ag,Cu,Ni,Ti,Cr及びPdからなる群から選ばれた一種以上の金属を含む合金により形成することができる。また、IDT電極14は、例えば、上記金属または合金からなる複数の導電膜の積層体により構成することもできる。
第1の媒質11の表面11aの上には、第2の媒質12が形成されている。さらに第2の媒質12の上に、第3の媒質13が形成されている。これら第2及び第3の媒質12,13によってIDT電極14が覆われている。
第3の媒質13は、第2の媒質12よりも音速が速い。また、第2及び第3の媒質12,13のそれぞれは、誘電体からなる。本実施形態では、具体的には、例えば、第2の媒質12が酸化ケイ素からなり、第3の媒質13が窒化ケイ素からなる。第2の媒質12を酸化ケイ素により形成し、第3の媒質13を窒化ケイ素により構成することにより、弾性境界波装置1のTCFの絶対値を小さくすることができる。すなわち、弾性境界波装置1の周波数温度特性を改善することができる。
第2及び第3の媒質12,13のそれぞれの厚みは、特に限定されない。第2の媒質12の厚みは、例えば、弾性境界波の波長に対して10%〜90%程度とすることができる。第3の媒質13の厚みは、例えば、弾性境界波の波長に対して30%〜300%程度とすることができる。なお、弾性境界波の波長は、IDT電極指の周期のことである。
次に、本実施形態における弾性境界波装置1の製造方法について、図3〜図5を主として参照しながら説明する。
まず、圧電体からなる第1の媒質(圧電基板)11の上に、IDT電極14を形成する。IDT電極14の形成方法は、特に限定されない。IDT電極14は、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法やスパッタリング法などの薄膜形成方法により形成することができる。
次に、図3に示すように、第1の媒質11の上に、第2の媒質12を形成する。第2の媒質12の形成方法は、特に限定されない。第2の媒質12は、例えば、CVD法やスパッタリング法などの薄膜形成方法により形成することができる。なお、第2の媒質12は、狙いとする設計厚みとなるように成膜してもよいし、意図的に設計厚みよりも厚く形成してもよい。
次に、図4に示すように、第2の媒質12の上に、犠牲層15を形成する。この犠牲層15は、第3の媒質13と同じ材料により形成する。犠牲層15の形成方法は、特に限定されない。犠牲層15は、例えば、CVD法やスパッタリング法などの薄膜形成方法により形成することができる。もっとも、犠牲層15は、後の工程において形成する第3の媒質13の形成方法と同じ形成方法で形成することが好ましい。
なお、犠牲層15の厚みは、特に限定されないが、弾性境界波の波長に対して0.5%〜50%であることが好ましく、3%〜25%であることがより好ましい。
次に、図4に示すように、犠牲層15が形成された状態で、IDT電極14に電圧を印加して弾性境界波を励振する。そして、その励振された弾性境界波の周波数特性を測定する。ここで、弾性境界波の周波数特性とは、例えば、音速、共振周波数、反共振周波数などのことをいう。
次に、測定された周波数特性と、予め定められている周波数特性の設計値とを比較する(比較工程)。その結果、測定された周波数特性と、予め定められている周波数特性の設計値とに差があるか否かを判断する。
測定値と設計値とに差があると判断された場合は、犠牲層15を除去した後に、測定値と設計値との差に基づいて、その差が小さくなるように第2の媒質12の厚みを調整する。差が小さくなるようにするために第2の媒質12を厚くした方がよい場合は、第2の媒質12の上から、さらに薄膜形成することにより、第2の媒質12を厚くする。一方、差が小さくなるようにするために第2の媒質12を薄くした方がよい場合には、犠牲層15を除去した後に、第2の媒質12の一部分を除去する。この第2の媒質12の一部分を除去する工程は、犠牲層15の除去工程と連続して行うことが好ましい。例えば、図4,図5に示す領域Aを除去することにより第2の媒質12を薄くする。このように第2の媒質12の膜厚を調整した後に、第3の媒質13を形成する(第3の媒質形成工程)。なお、第3の媒質13の形成方法は、特に限定されない。第3の媒質13は、例えば、CVD法やスパッタリング法などの薄膜形成方法により形成することができる。
一方、測定値と設計値とに差がない場合は、第2の媒質12の厚みの調整を行わない。この場合は、例えば、犠牲層15の上に、さらなる誘電体層を形成することにより、そのさらなる誘電体層と犠牲層15との積層体からなる第3の媒質13を形成してもよい。また、例えば、犠牲層15を一旦除去した後に、第3の媒質13を形成してもよい。
ところで、例えば、犠牲層15を形成しない状態で、周波数特性の評価を行うことも考えられる。しかしながら、この評価工程において励振される弾性波は、第2の媒質の表面にもエネルギー分布を有している。従って、第2の媒質の上に、第3の媒質を形成した後に励振される、第3の媒質の表面にエネルギー分布を実質的に有さず、第2の媒質に閉じ込められて伝搬する弾性境界波と、評価工程で励振される弾性境界波とでは、周波数特性が異なる。このため、この場合は、評価対象とする弾性境界波と、第2の媒質の厚みを調整することなく第3の媒質を形成したときに励振されるであろう弾性境界波との周波数特性との差を考慮して第2の媒質の厚み調整量を決定しなければならない。
以下、このことについて、具体例を用いてより具体的に説明する。例えば、まず、IDT電極14の電極指の幅(以下、「電極指幅」とする。)が、狙いの電極指幅からずれた場合を考える。
図6は、電極指幅と周波数特性との関係を表す模式的なグラフである。図6において、実線で示すグラフが、犠牲層を形成したときに励振される周波数特性を表している。破線で示すグラフが、犠牲層を形成していない状態で励振される周波数特性を表している。実線で示すグラフと破線で示すグラフとでは、犠牲層の有無が異なるだけで、第2の媒質の厚み等の他のパラメータは共通である。なお、図6は、単に説明の理解を補助するためのグラフであり、図6に示すグラフが、実際の傾向と合致しているとは必ずしもいえない。
図6に示すように、電極指幅が変化すると、周波数特性が変化する点では、犠牲層がある場合と犠牲層がない場合とで共通している。しかしながら、電極指幅が変化したときの周波数特性の変化量に着目すると、犠牲層がある場合と、犠牲層がない場合とでは、必ずしも同じであるとはいえない。すなわち、図6に例示するように、犠牲層がある場合と、犠牲層がない場合とで、電極指幅が変化したときの周波数特性の変化量が異なる場合がある。
周波数特性を変化させるファクターは、電極指幅以外にも多数存在する。例えば、電極指の厚みによっても周波数特性が変化する。ここで、電極指の厚みに関しても、電極指幅と同様のことがいえ、犠牲層がある場合と、犠牲層がない場合とで、電極指の厚みが変化したときの周波数特性の変化量が異なる場合がある。
例えば、犠牲層がある場合と、犠牲層がない場合とにおける、各ファクターが変化したときの周波数特性の変化量の差が等しい場合は、評価対象とする弾性境界波と、第2の媒質の厚みを調整することなく第3の媒質を形成したときに励振されるであろう弾性境界波との周波数特性との差を考慮して第2の媒質の厚み調整量を決定することは、それほど困難なことではない。
しかしながら、実際は、各ファクターによって、ファクターの変化したときの周波数特性の変化量の差が異なる。例えば、図6に示す犠牲層がある場合のグラフの傾きと、犠牲層がない場合のグラフとの傾きの差は、犠牲層がある場合の電極指の厚みに対する周波数特性を表すグラフの傾きと、犠牲層がない場合の電極指の厚みに対する周波数特性を表すグラフの傾きとの差とは異なる。このため、測定された周波数特性と、周波数特性の設計値との差が同じであっても、電極指幅が設計値と異なっているときと、電極指の厚みが設計値と異なっているときとでは、調整しなければならない第2の媒質の厚みが異なる。よって、周波数特性のばらつきを少なくするためには、どのようなファクターのずれによって周波数特性のずれが生じているのか、第2の媒質の厚みをどのように補正すれば、周波数特性のずれの原因となっているファクターの種類に関わらず、周波数特性のばらつきを公差内におさめることができるのかなどを考慮した上で、第2の媒質の厚みを調整しなければならない。
それに対して本実施形態では、第3の媒質13と同じ材料からなる犠牲層15を形成した状態で弾性境界波を励振させ、その弾性境界波の周波数特性を評価する。そうすることにより、この評価工程において、例えば、第2の媒質12の厚み調整を行わずにそのまま第3の媒質13を形成したときに励振される弾性境界波の周波数特性と周波数特性の差が少ない弾性境界波を励振させることができる。
まず、このことを、下記の表1を参照しながら具体的に説明する。
表1は、犠牲層の厚みを、弾性境界波の波長に対して0%〜100%としたときの、第3の媒質が形成された状態における電極指幅が変化した場合の周波数特性の変化量(すなわち、図6に示すグラフの傾き)x1と、犠牲層が形成された状態における電極指幅が変化した場合の周波数特性の変化量x2との差(=x1−x2、以下、「シフト量の線幅依存性」とする。)を表している。
Figure 2012065036
上記表1に示すように、犠牲層を形成しなかった実験例1では、シフト量の線幅依存性が大きかった。この結果から、評価工程において測定した周波数特性と、周波数特性の設計値との差から、第2の媒質の厚みの調整量を決定することが困難であることが分かる。一方、犠牲層を形成した実験例2〜10では、シフト量の線幅依存性が実験例1よりも小さかった。特に、犠牲層の厚みが、弾性境界波の波長に対して0.5%以上である場合には、シフト量の線幅依存性がより小さくなり、弾性境界波の波長に対して25%以上である場合には、シフト量の線幅依存性が実質的にゼロとなった。この結果から、犠牲層15を形成した上で周波数特性の評価を行うことによって、各ファクターによる周波数特性の変化態様が第3の媒質13を形成した後と実質的に同じ状態で周波数特性の評価を行うことができることが分かる。従って、第2の媒質12の厚みの調整量をより正確に決定することができる。その結果、周波数特性の製造ばらつきを小さくでき、高い周波数精度で弾性境界波装置1を製造することができる。
1…弾性境界波装置
11…第1の媒質
11a…第1の媒質の表面
12…第2の媒質
13…第3の媒質
14…IDT電極
15…犠牲層

Claims (6)

  1. 圧電体からなる第1の媒質と、前記第1の媒質の上に形成されているIDT電極と、前記第1の媒質の上に、前記IDT電極を覆うように形成されており、誘電体からなる第2の媒質と、前記第2の媒質の上に形成されており、誘電体からなる、前記第2の媒質よりも音速が速い第3の媒質とを備える弾性境界波装置の製造方法であって、
    前記IDT電極が形成されている第1の媒質の上に、前記第2の媒質を形成し、さらに、前記第2の媒質の上に、前記第3の媒質と同じ材料からなる犠牲層を形成する工程と、
    前記犠牲層が形成された状態で前記IDT電極によって励振される弾性境界波の周波数特性を測定する工程と、
    前記測定された周波数特性と、予め定められている周波数特性の設計値とを比較する比較工程と、
    前記比較工程において、前記測定された周波数特性と、予め定められている周波数特性の設計値とに差がある場合は、前記犠牲層を除去した後に、当該差に応じて、前記第2の媒質の厚みを調整する一方、前記測定された周波数特性と、予め定められている周波数特性の設計値とが一致している場合は、前記第2の媒質の厚み調整を行わない調整工程と、
    前記調整工程の後に、前記第3の媒質を形成する第3の媒質形成工程と、
    を備える、弾性境界波装置の製造方法。
  2. 前記比較工程において、前記測定された周波数特性と、予め定められている周波数特性の設計値とが一致していると判断され、前記調整工程において前記第2の媒質の厚み調整を行わなかった場合に、前記第3の媒質形成工程において、前記犠牲層の上に、さらなる誘電体膜を形成することにより、前記犠牲層と前記さらなる誘電体膜との積層体からなる前記第3の媒質を形成する、請求項1に記載の弾性境界波装置の製造方法。
  3. 前記比較工程において、前記測定された周波数特性と、予め定められている周波数特性の設計値とが一致していると判断され、前記調整工程において前記第2の媒質の厚み調整を行わなかった場合に、前記第3の媒質形成工程において、前記犠牲層を一旦除去した後に、前記第3の媒質を形成する、請求項1に記載の弾性境界波装置の製造方法。
  4. 前記第1の媒質として、LiTaO基板またはLiNbO基板を用いる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の弾性境界波装置の製造方法。
  5. 前記第2の媒質を酸化ケイ素により形成する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の弾性境界波装置の製造方法。
  6. 前記第3の媒質及び前記犠牲層を窒化ケイ素により形成する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の弾性境界波装置の製造方法。
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