JP2012063226A - 電気泳動用カセット、そのパッケージ、および電気泳動方法 - Google Patents

電気泳動用カセット、そのパッケージ、および電気泳動方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ダイレクトブロッティング法をより好適に実施するための器具を提供すること。
【解決手段】電気泳動法によりサンプルを特定の方向に分離するための分離媒体117を収納するための電気泳動用カセットであって、分離されたサンプルを転写するための転写膜130と、転写膜130を保持するとともに、分離媒体117の特定の方向における端面に対して摺動するように転写膜130の移動を規定する転写膜ガイド121aおよび121bと、を備えている電気泳動用カセット100を提供する。
【選択図】図7

Description

本発明は、生体由来サンプルの解析技術に関するものであり、特に、電気泳動の際に用いる電気泳動用カセットに関するものである。
生体由来サンプルを解析するため、タンパク質や核酸などを性質の違いを利用して分離し、分離したサンプルを解析および同定するための手法および装置が開発されている。
分離手法としては、ゲル電気泳動、キャピラリー電気泳動、液体クロマトグラフィーなどが知られており、その簡易さおよび分離能の高さから、ゲル電気泳動が広く利用されている。特に、タンパク質を分離解析するためのゲル電気泳動としては、陰イオン系界面活性剤であるドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を用いたSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動が広く利用されている。
また、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分離したタンパク質を解析し、同定するための手法として、ウエスタンブロッティング法がよく知られている。ウエスタンブロッティング法は、ゲル中の分離したタンパク質を転写膜に吸着させて固定し、抗体を利用した抗原抗体反応に基づいてタンパク質を特定する手法である。
以上のように、サンプル中のタンパク質を解析する手法として、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動、ウエスタンブロッティング法は、特異性、検出感度の観点で優れた分析技術として生化学的分野で広く利用されている。
また、電気泳動および転写膜への転写に要する時間を短縮し、簡易に転写を進めるための技術として、ダイレクトブロッティング法と呼ばれる方法がある(特許文献1)。
この方法は電気泳動を行う際に、電気泳動の進行方向の下流に位置するゲル端面に転写膜を直接接触させ、当該転写膜を動力によって移動させながら電気泳動を進める手法であり、電気泳動と転写を同時かつ自動的に進めることができる。
また、ダイレクトブロッティング法の利用用途を広げる技術として、特許文献2に記載の電気泳動分離用のゲルカセット、および特許文献3に記載の彎曲したフレーム付き膜が知られている。特許文献2には、ダイレクトブロッティング装置の電気泳動部分、すなわちサンプル導入口、ゲル、サンプル排出口から構成されるパーツに関して、保存性の向上、およびダイレクトブロッティング装置へのセットの簡易化等を目的とした技術が記載されている。また、特許文献3には、ダイレクトブロッティングを行う時、転写膜にシワやたわみがあると、転写が上手くいかないという課題点に着目した技術であって、転写膜を枠に固定し、転写膜を張った状態を維持させる技術が記載されている。
米国特許公報5234559号明細書 特表平9−501774号公報(平成9年2月18日公開) 特表平9−501239号公報(平成9年2月5日公開)
しかし、従来技術に係る器具を用いてダイレクトブロティング法を実施する場合、実験毎に、別々に保管されている電気泳動用部品(例えば、特許文献2に記載のもの)および転写膜(例えば、特許文献3に記載のもの)のそれぞれに下準備を施し、主装置に組み込む必要がある。このとき、電気泳動用部品および転写膜のアライメント(位置合わせ)の精度によっては、転写結果の再現性が低下する場合がある。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、ダイレクトブロッティング法をより好適に実施するための器具を提供することを主たる目的とする。
本発明に係る電気泳動用カセットは、上記課題を解決するために、電気泳動法によりサンプルを特定の方向に分離するための分離媒体を収納するための電気泳動用カセットであって、分離されたサンプルを転写するための転写膜と、該転写膜を保持するとともに、該分離媒体の該特定の方向における端面に対して摺動するように該転写膜の移動の経路を規定する転写膜ガイドと、を備えていることを特徴としている。
上記の構成によれば、電気泳動の進行方向の下流に位置する分離媒体端面に対して転写膜が摺動可能な状態で、電気泳動用カセットと転写膜とが一体化されているため、そのままダイレクトブロッティング法を実施することが可能であり、ユーザは手作業で電気泳動用カセットと転写膜とを組み合わせる必要がなく、ダイレクトブロッティング法を用いた実験等を容易に準備することができる上、電気泳動用カセットと転写膜との間の位置的ずれが原因の実験結果の再現性低下を簡便に防止することができる。また、電気泳動用カセットと転写膜とが一体化されているため、コンパクトに保存することができる。
本発明に係る電気泳動用カセットでは、上記転写膜が、疎水性のPVDF膜またはニトロセルロース膜であることが好ましい。
上記の構成によれば、転写膜が、分離媒体において分離されたサンプル、特に生体由来のタンパク質等のサンプルを好適に吸着し、転写を首尾よく行うことができる。
本発明に係る電気泳動用カセットでは、上記転写膜ガイドが、上記転写膜に摺接するスリット構造を有していることが好ましい。
上記の構成によれば、転写膜は、スリット構造から摩擦力を受けることによって、撓み、シワ等が伸ばされる。これによって、サンプルの転写膜への転写をムラ無く行うことができる。
本発明に係る電気泳動用カセットは、曲面部を有しており、上記転写膜ガイドによって規定される上記転写膜の移動の経路は、該曲面上を摺動する部分を含んでいることが好ましい。
上記の構成によれば、転写膜が曲面部上を摺動することによって、曲面部がローラーのように働き、撓み、シワ等が伸ばされる。これによって、サンプルの転写膜への転写をムラ無く行うことができる。
本発明に係る電気泳動用カセットのパッケージは、本発明に係る電気泳動用カセットが液体とともに密閉されていることを特徴としている。
上記の構成によれば、分離媒体を保湿し、分離媒体の劣化を抑制することができる。
また、一般に、転写膜を使用する際には、使用前に、緩衝液で濡らした状態に処理しなければならない。具体的には、乾燥した状態の転写膜を一度、エタノールまたはメタノールで濡らし、その後、10〜30分間、緩衝液に浸して濡らす作業が必要である。
これに対し、上記の構成によれば、転写膜をあらかじめ液体で濡らした状態で密閉することにより、使用者は、使用ごとに転写膜を濡らす必要がなく、より簡便にダイレクトブロッティング法を実施することができる。
本発明に係る電気泳動用カセットのパッケージでは、上記液体が、純水または電気泳動用緩衝液であることが好ましい。
上記の構成によれば、転写膜が好適に前処理された状態で電気泳動用カセットを保存することができる。
本発明に係る電気泳動方法は、本発明に係る電気泳動用カセットのパッケージから、上記電気泳動用カセットを取り出す工程と、上記電気泳動用カセットを用いてダイレクトブロッティング法を実施する工程と、を包含していてもよい。
上記の方法によれば、ダイレクトブロッティング法を実施する際、前処理工程を省略することができる。
本発明に係る電気泳動用カセットによれば、ユーザは手作業で電気泳動用カセットと転写膜とを組み合わせる必要がなく、ダイレクトブロッティング法を用いた実験等を容易に準備することができる上、電気泳動用カセットと転写膜との間の位置的ずれが原因の実験結果の再現性低下を簡便に防止することができる。
本発明の一実施形態に係る電気泳動用カセットに組み込まれる分離チップの概略構造を示す図であり、(a)は分離チップの分解斜視図を示し、(b)は分離チップの斜視図を示す。 本発明の一実施形態に係る電気泳動用カセットの筐体の概略構造を示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係る電気泳動用カセットが備える転写膜ガイド121の形状のバリエーションを示す図である。 本発明の一実施形態に係る電気泳動用カセットの概略構造を説明するための図であり、(a)は、筐体と分離チップとを組み合わせたものの斜視図を示し、(b)は、筐体と分離チップとを組み合わせたもの断面図を示し、(c)は、転写膜の斜視図を示し、(d)は、筐体と分離チップと転写膜とを組み合わせた電気泳動用カセットの断面図を示す。 本発明の一実施形態に係る電気泳動用カセットの概略構造を説明するための図であり、(a)は、電気泳動用カセットを構成する分離チップおよび筐体の斜視図を示し、(b)は、電気泳動用カセットの断面図を示す。 本発明の一実施形態に係る電気泳動用カセットが密閉されたパッケージの概略構造を示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る電気泳動用カセットが組み込まれたダイレクトブロッティング法を実施する電気泳動用装置の断面図を示している。 本発明の一実施形態に係る電気泳動用カセットが組み込まれた電気泳動要素内が密閉されたパッケージの概略構造を示す断面図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る電気泳動用カセット100に組み込まれる分離チップ110の概略構造を示す図である。図1(a)は分離チップ110の分解斜視図を示し、図1(b)は分離チップ110の斜視図を示す。
分離チップ110は、蓋部材111と基盤112とを重ね合わせることによって構成される。基盤112の両端にはスペーサ115が設けられており、蓋部材111と基盤112とが重ね合わさった状態で、蓋部材111と基盤112との間に空間が形成され、この空間に分離媒体117が充填される。なお、分離チップ110には、分離媒体117が露出する開口部116および118が設けられている。
分離媒体117としては、例えば、タンパク質の電気泳動に用いるポリアクリルアミドゲルを用いることができるが、これに限定されず、分子ふるい効果をもつアガロースゲルを用いてもよいし、ナノピラーと呼ばれる超微細柱を上記空間内に立てる構成であってもよい。
蓋部材111を用いることにより、分離媒体117の変形、乾燥等を防ぐことができる。また、蓋部材111にサンプル導入口113を形成することにより、分離媒体117へのサンプルの導入を容易にすることができる。なお、サンプル導入口113は、開口部116が設けられている側とは反対側に設けられることが好ましい。
蓋部材111および基盤112の素材としては、例えば、親水性の表面を有するガラスを好適に用いることができるが、これに限定されず、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、PET樹脂、塩ビ樹脂、セラミック等の絶縁性材料を用いることができる。
また、分離媒体117を形成する際に、サンプル導入口113を塞ぐサンプル導入口用蓋114を用いてもよい。サンプル導入口用蓋114の素材としては、例えば、加工が容易なアクリル樹脂を好適に用いることができるが、これに限定されず、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、PET樹脂、塩ビ樹脂、セラミック等の絶縁性材料を用いることができる。
図2は、電気泳動用カセット100の筐体120の概略構造を示す斜視図である。筐体120は、分離チップ110を収納し、さらに緩衝液を貯める緩衝液槽として機能するものであり、上部に開口部122が、側面下部に開口部123が設けられている。
筐体120にはまた、転写膜130を保持し、転写膜130の移動の経路を規定するための転写膜ガイド121aおよび121bが設けられている。なお、転写膜ガイドの個数は、2つに限定されず、1つでもよく、3つ以上でもよい。
図3は、転写膜ガイド121aの形状のバリエーションを示す図である。図3では、図2における黒矢印の方向から電気泳動用カセット100を観察した様子を示す。
図3(a)に示すように、転写膜ガイド121aは、転写膜130の横幅と同じかそれ以上の横幅を有するスリット構造を有していてもよい。
また、図3(b)に示すように、転写膜ガイド121aは、転写膜130の両端を把持するための爪構造を有していてもよい。また、図3(c)に示すように、転写膜ガイド121aは、転写膜130の両端を把持するための上向きの爪構造を有していてもよい。
また、図3(d)に示すように、転写膜ガイド121aは、転写膜130の横幅と同じかそれ以上の横幅を有するスリット構造であって、転写膜130が当該スリット構造を通るとき摩擦が生じる程度の隙間を有するスリット構造を有していてもよい。図3(d)に示すスリット構造では、転写膜ガイド121aは、転写膜130に摺接し、転写膜130に対して摩擦力をかけることにより、転写膜130のシワ、弛み等を伸ばすことができる。
また、図3(e)に示すように、転写膜ガイド121aは、転写膜130に摺接するように設けられたローラαを備えていてもよい。この場合も、図3(d)に示す場合と同様に、ローラαが転写膜130に対して摩擦力をかけることにより、シワ、弛みを伸ばすことができる。また、ローラαが回転することにより、転写膜130の移動を円滑にすることができるため、摩擦力が強過ぎることによって転写膜130が破けることを防止することができる。
転写膜ガイド121bの形状についても、転写膜ガイド121aと同様の形状を採ることができる。なお、転写膜ガイド121aおよび121bの形状は一致していてもよく、互いに異なるものであってもよい。また、転写膜ガイド121aおよび121bにおける転写膜130の進行方向に沿った幅は、特に限定されない。
筐体120の素材としては、例えば、加工が容易なアクリル樹脂を好適に用いることができるが、これに限定されず、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、PET樹脂、塩ビ樹脂、金属、カーボン素材等を用いることができる。
図4は、電気泳動用カセット100の概略構造を説明するための図である。図4(a)は、筐体120と分離チップ110とを組み合わせたものの斜視図を示し、図4(b)は、筐体120と分離チップ110とを組み合わせたもの断面図を示し、図4(c)は、転写膜130の斜視図を示し、図4(d)は、筐体120と分離チップ110と転写膜130とを組み合わせた電気泳動用カセット100の断面図を示す。なお、図4(b)および(d)における切断面は、図4(a)における点線に準じる。
図4(a)および(b)に示すように、分離チップ110は、筐体120に収納される。このとき、分離チップ110の開口部116が、筐体120の開口部123から外部に露出するように分離チップ110を配置する。その結果、分離媒体117は、筐体120の開口部123から外部に露出する。これにより、転写膜130を、分離媒体117の端面に対して当接させながら移動させる(摺動させる)ことができる。
なお、筐体120の開口部123は、分離チップ110によって塞がれていることが好ましい。これにより、後述するように、筐体120を陰極側の緩衝液槽として好適に使用することができる。
図4(c)に示すように、転写膜130は、シート形状を有しており、公知のタンパク質ブロッティング用転写膜であるPVDF膜(ポリフッ化ビニリデン膜)や、疎水性の膜であって、タンパク質と結合力の高いニトロセルロース膜、ナイロン膜等を使用することができるが、これらに限定されず、目的のサンプルを吸着することができる膜であれば好適に用いることができる。
図4(d)に示すように、転写膜130は、転写膜ガイド121aおよび121bに挿入され、電気泳動用カセット100に一体化される。転写膜130は、ダイレクトブロッティング法を行うとき、図中矢印の方向に、分離媒体117の端面に対して当接しながら移動する(摺動する)ことにより、転写膜130に分離媒体117において分離した生体サンプルが転写される。転写膜130の移動は、例えば、転写膜130の端部131を引っ張ることによって行われ得る。
このとき、転写膜130は、左右にぶれないように移動することが重要である。もし、転写膜130が曲がって移動した場合、転写膜130上の生体サンプルの転写像は影響を受け、曲がった像が形成され、結果の再現性が悪化する。
さらに、上記転写像の変形を防ぐためには、転写膜130が移動するとき、転写膜130に撓みおよびシワが発生しないことが望ましい。図5は、撓みおよびシワの発生をより抑制するための変形例に係る電気泳動用カセット100’の概略構造を説明するための図である。図5(a)は、電気泳動用カセット100’を構成する分離チップ110および筐体120の斜視図を示し、図5(b)は、電気泳動用カセット100’の断面図を示す。
図5(a)および(b)に示すように、電気泳動用カセット100’の筐体120’は、筐体120に対し、転写膜ガイド121cをさらに備え、また、転写膜ガイド121aと転写膜ガイド121cとの間に曲面部124を備えている。このような構成をとることにより、転写膜130は、曲面部124上を摺動する。これにより、撓み、シワ等のある転写膜130をローラーで伸ばすような効果を得ることができ、ダイレクトブロッティングを実施中に、転写膜130の撓みおよびシワを矯正することができる。
続いて、電気泳動用カセット100を、安定した状態で保管するための仕様について説明する。図6は、電気泳動用カセット100が密閉されたパッケージ150の概略構造を示す断面図である。図6に示すように、パッケージ150は、電気泳動用カセット100を、純水141を含んだ袋140に真空パックすることによって構成されている。
電気泳動用カセット100を保管するとき、最も劣化が進むのが早いのは分離チップ110内のポリアクリルアミド等の分離媒体117である。ポリアクリルアミド等は、乾燥、高熱、空気中の酸素、光、物理的衝撃等により劣化し得る。
このような劣化要因から分離媒体117を守るためには、パッケージ150内を高湿度に保つために、純水141を封入するとともに、酸素にさらされることを防ぐために、空気を抜いた状態で密閉することが有効である。また、光、特に紫外線からのダメージを防ぐため、遮光可能な素材の袋140を利用すること、高熱になること、温度変化を防ぐため、4℃の低温で保存することが望ましい。
以上のように保管することにより、電気泳動用カセット100を長期間、安定した状態で保管することができる。
またさらに、純水141を封入した袋140で電気泳動用カセット100を密閉することにより、通常、実験前に実験者が作業しなければならない転写膜130の前処理工程を省略することができる。
パッケージ150を用いない場合、転写膜130は実験前に純水、陽極バッファー(緩衝液)等で濡らすための前処理が必要である。例えば、転写膜130としてPVDF膜を使用した場合、PVDF膜は疎水性であるため、乾燥した状態において、陽極バッファーで濡らすことはできない(転写膜130の表面が液体をはじいてしまい、転写膜130内部に液体が染み込まない)。そこで、転写膜130をメタノールまたはエタノールで浸し、転写膜130の表面を濡らした後、純水または陽極バッファーに浸す必要がある。
この転写膜130の前処理は、正常なダイレクトブロッティングを進めるために重要な工程である。前処理が不十分であった場合や、前処理後の経過時間が長く、転写膜130が乾燥した場合、濡れていない部分が生じることがある。転写時に転写膜130に濡れていない部分があった場合、その部分における転写が阻害される。そのため、転写膜130は一様に濡れていることが好ましい。転写膜130における濡れの程度を一様にするためには、なるべく長い時間、純水または陽極バッファーに浸すことにより前処理を実施し、かつ、前処理が終わったら、間をおかず、すぐにダイレクトブロッティングを始めることが好ましい。
これに対し、パッケージ150を用いることにより、装置にセットする直前まで、純水または陽極バッファーに浸り、転写膜130全面が一様に濡れた状態で保管されている電気泳動用カセット100を用いることができる。電気泳動用カセット100は、パッケージ150から取り出した時点で、転写膜130は十分に前処理された状態であり、実験にそのまま利用することができる。
なお、袋140に封入する液体は、純水以外であってもよく、例えば、電気泳動用の緩衝液等であってもよい。
最後に、パッケージ150を用いたダイレクトブロッティング法の実施について説明する。図7は、電気泳動用カセット100が組み込まれたダイレクトブロッティング法を実施する電気泳動用装置10の断面図を示している。
(電気泳動用カセット100の電気泳動用装置10への組み込み)
まず、パッケージ150から電気泳動用カセット100を取り出し、電気泳動用装置10にセットする。電気泳動用装置10は加工が容易な非導電性の素材、例えばアクリル素材等で形成されている。
従来、分離媒体117を含む分離チップ110と転写膜130とは、電気泳動用装置10に別々にセットする必要があったが、本発明の転写膜一体型の電気泳動用カセット100を用いれば、一回の作業で済む。
転写膜130と分離チップ110とを摺接する操作は、ダイレクトブロッティング法の実施工程の中で、最も慎重な操作が必要であり、例えば、転写膜130と分離チップ110との接着面に微細な異物、気泡等が混入した場合、転写膜130と分離媒体117端面との間に隙間が生じる可能性がある。接着面に隙間が生じることは、ダイレクトブロッティング法で致命的であり、分離チップ110から排出されたタンパク質が転写膜130に転写される前に拡散してしまい、ぼやけた形に転写される、または転写されないなどの不具合が生じる。
以上のように、分離チップ110と転写膜130とは、実験毎に実験者が手作業で厳密に接着する必要があり、本発明のように、予め一体化しておく方が、不具合が生じにくい。なお、転写膜130と分離チップ110とを接着せず、その他の手法により組み合わせる場合についても同様である。
続いて、転写膜130の端部131を転写膜用の移動アーム14に取り付ける。この移動アーム14は、予めプログラムされた移動速度で、転写膜130を機械的に移動させるようなものを用いることが好ましい。
(緩衝液の注入)
開口部118が開口する電気泳動用カセット100内の緩衝液槽15に陰極バッファーを注入し、開口部116が開口する電気泳動用装置10の筐体11内の緩衝液槽16に陽極バッファーを注入する。陰極バッファーおよび陽極バッファーは、導電性を有する任意の緩衝液を用いることができるが、電気泳動に利用可能な緩衝液として、例えば、Tris/グリシン系緩衝液、酢酸緩衝溶液、炭酸ナトリウム系緩衝液、CAPS緩衝液、Tris/ホウ酸/EDTA緩衝液、Tris/酢酸/EDTA緩衝液、MOPS、リン酸緩衝液、Tris/トリシン系緩衝液等の緩衝液を用いることができる。
(電極の配置)
陰電極12を緩衝液槽15内に配置し、陽電極13を緩衝液槽16内に配置する。陰電極12および陽電極13は、金属などの導電性を有する材料から形成される。陰電極12および陽電極13を形成する材料としては、例えば電極のイオン化を抑制する観点から白金が好ましい。
(サンプル導入)
続いて、分離チップ110のサンプル導入口用蓋114を開け、サンプル導入口113から、精製、SDS処理等の前処理が施されているサンプルを導入する。サンプルは液体をピペットマンで定量して導入することができる。また、二次元電気泳動を行う場合は、等電点電気泳動を行った後のIPGゲルをサンプル導入口113に差し込み、導入してもよい。
用語「サンプル」または「試料」は当該分野において標本、調製物と同義で用いられ、本明細書中で使用される場合、「生物学的サンプル」またはその等価物が意図される。「生物学的サンプル」は、供給源としての生物材料(例えば、個体、体液、細胞株、組織培養物もしくは組織切片)から得られる、任意の調製物が意図される。生物学的サンプルとしては、体液(例えば、血液、唾液、歯垢、血清、血漿、尿、滑液、および随液)および組織供給源が挙げられる。好ましい生物学的サンプルは、被験体サンプルである。好ましい被験体サンプルは、被験体から得た皮膚病変部、喀痰、咽頭粘液、鼻腔粘液、膿、または分泌物である。
本明細書中で使用される場合、用語「組織サンプル」は、組織供給源より得られた生物学的サンプルが意図される。哺乳動物から組織生検および体液を得るための方法は当該分野で周知である。本明細書中で使用される場合、用語「サンプル」としては、上記生物学的サンプルおよび上記組織サンプル以外に、上記生物学的サンプルおよび上記組織サンプルより抽出したタンパク質サンプル、ゲノムDNAサンプルおよび/または総RNAサンプルも挙げられる。
なお、一般的に、サンプルは生体から取り出した後に精製および調整をしてから利用する。例えば、タンパク質サンプルをポリアクリルアミド電気泳動する場合には、電気泳動の前に、タンパク質サンプルをSDSと反応させる必要がある。
(電気泳動)
サンプル導入後、陰電極12と陽電極13との間に電流を流すことで電気泳動がスタートする。このとき、移動アーム14をあらかじめプログラムした速度で移動させることによって、転写膜130を分離チップ110のサンプル排出面(分離媒体117の端面)と直接摺接させながら、転写膜130を移動させることができる。これにより、分離媒体117中において、特定の方向(開口部118から開口部116へ向かう方向)に上記サンプルを分離し、分離したサンプルを順次転写膜130の異なる部位へと転写することができる。
なお、電気泳動用カセット100を組みこんだ状態の電気泳動用装置10全体をパッケージングして保管することも可能である。図8は、電気泳動用カセット100を組みこんだ電気泳動用装置10を袋20で密閉し、保存可能にしたパッケージ30の概略構造を示す断面図である。図8に示すような状態で保存することにより、実験前に、実験者が電気泳動用カセット100を電気泳動用装置10へ組み込む作業を省略することができる。すなわち、実験者は、パッケージ30から電気泳動用装置10を取り出すだけで、電気泳動用カセット100を組みこんだ電気泳動用装置10を準備することができる。なお、パッケージ30も、パッケージ150と同様、液体を含ませた状態でパッケージングしてもよい。
本発明は、生体サンプル、化学的サンプル等の解析およびその解析器具の製造分野において利用可能である。
10 電気泳動用装置
11 筐体
12 陰電極
13 陽電極
14 移動アーム
15、16 緩衝液槽
20、140 袋
30、150 パッケージ
100、100’ 電気泳動用カセット
110 分離チップ
113 サンプル導入口
116 開口部
117 分離媒体
120、120’ 筐体
121a、121b、121c 転写膜ガイド
122、123 開口部
130 転写膜
141 純水

Claims (9)

  1. 電気泳動法によりサンプルを特定の方向に分離するための分離媒体を収納するための電気泳動用カセットであって、
    分離されたサンプルを転写するための転写膜と、
    該転写膜を保持するとともに、該分離媒体の該特定の方向における端面に対して摺動するように該転写膜の移動の経路を規定する転写膜ガイドと、を備えていることを特徴とする電気泳動用カセット。
  2. 上記転写膜が、疎水性のPVDF膜またはニトロセルロース膜であることを特徴とする請求項1に記載の電気泳動用カセット。
  3. 上記転写膜ガイドが、上記転写膜に摺接するスリット構造を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の電気泳動用カセット。
  4. 上記転写膜ガイドが、上記転写膜に摺接するローラ構造を有していることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の電気泳動用カセット。
  5. 曲面部を有しており、
    上記転写膜ガイドによって規定される上記転写膜の移動の経路は、該曲面上を摺動する部分を含んでいることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の電気泳動用カセット。
  6. 請求項1〜5の何れか1項に記載の電気泳動用カセットが密閉されていることを特徴とする電気泳動用カセットのパッケージ。
  7. 上記電気泳動用カセットが、液体とともに密閉されていることを特徴とする請求項6に記載の電気泳動用カセットのパッケージ。
  8. 上記液体が、純水または電気泳動用緩衝液であることを特徴とする請求項7に記載の電気泳動用カセットのパッケージ。
  9. 請求項6〜8の何れか1項に記載の電気泳動用カセットのパッケージから、上記電気泳動用カセットを取り出す工程と、
    上記電気泳動用カセットを用いてダイレクトブロッティング法を実施する工程と、を包含していることを特徴とする電気泳動方法。
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