JP2012062983A - ピストンリング - Google Patents
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Abstract
【課題】オイル消費量を低減でき、組付性も優れるピストンリングを提供する。
【解決手段】合口17を有する樹脂製リング12と金属製リング13が一体成形されたピストンリング10であって、前記金属製リング13が樹脂製リング12の合口17付近を除く外周面14の凹溝15に一体配置し、前記樹脂製リング12の外周面14が前記金属製リング13の部分において前記金属製リング13の外周面18よりも内周側で、金属製リング13の軸方向幅が外周に向かって小さくされた部分に配置している。前記樹脂製リング12の背面に樹脂製リング12を半径方向外方に押圧するコイルエキスパンダ11を有している。
【選択図】図1
【解決手段】合口17を有する樹脂製リング12と金属製リング13が一体成形されたピストンリング10であって、前記金属製リング13が樹脂製リング12の合口17付近を除く外周面14の凹溝15に一体配置し、前記樹脂製リング12の外周面14が前記金属製リング13の部分において前記金属製リング13の外周面18よりも内周側で、金属製リング13の軸方向幅が外周に向かって小さくされた部分に配置している。前記樹脂製リング12の背面に樹脂製リング12を半径方向外方に押圧するコイルエキスパンダ11を有している。
【選択図】図1
Description
本発明は、樹脂製リングと金属製リングが一体成形されたピストンリングに関する。
従来2ピースタイプのピストンリングとして、上下レールが一体構造のコイルエキスパンダ付き金属製組合せオイルリングが使用されている。コイルエキスパンダによりレール部をシリンダボア内壁に押し付け、そのレール部によりボア内壁に付着しているオイルを掻き落とすことにより、シリンダ壁の油膜厚をコントロールしている。しかしながら、金属製オイルリングでは下記の問題がある。すなわち、金属製オイルリングではシリンダボアの曲率変化に対応できる変形が小さいため、シリンダボアが大きく変形した時に追従できず、オイル消費量が増す。また、金属製オイルリングでは、使用時の熱膨張を考慮して合口隙間が設定され、使用時、リング合口部に隙間が生じるため、合口隙間を通じたオイル消費が存在する。
特許文献1は、樹脂製リングと金属製リングとからなり、内周側にコイルエキスパンダを装着し、樹脂製リングと金属製リングが外周摺動面を構成している組合せオイルリングを記載している。この組合せオイルリングは、樹脂製リングを有しているため、シリンダボアが変形した時に追従しやすいことから、前述の金属製組合せオイルリングに比較してオイル消費量を減少できる。また、樹脂製リングの合口隙間を金属製リングの合口隙間よりも小さくしているため、前述の金属製組合せオイルリングに比較して合口隙間を通じたオイル消費量を減少できる。
しかしながら、特許文献1では、樹脂製リングの外周面に環状溝が形成され、環状溝に配置された金属製リングが前記環状溝と同形状で同じ大きさであるため、衝撃等が加わった場合、金属製リングが樹脂製リングから離脱する可能性がある。また、樹脂製リングと金属製リングが外周摺動面を構成しているため、耐摩耗性が低くなる。また、外周摺動面の軸方向幅も大きくなるため、面圧が低くなり、オイル掻き効果が低減する。また、シリンダに装着する際、金属製リングが周方向にずれて樹脂製リングの合口隙間を塞ぐように配置すると、合口拡張のための拡張爪やリングばさみが合口隙間に挿入できず、組付困難となる場合がある。
本発明の目的は、オイル消費量を低減でき、組付性も優れるピストンリングを提供することである。
本発明は、合口を有する樹脂製リングと金属製リングが一体成形されたピストンリングであって、前記金属製リングが樹脂製リングの合口付近を除く外周面の凹溝に一体配置し、前記樹脂製リングの外周面が前記金属製リングの部分において前記金属製リングの外周面よりも内周側で、金属製リングの軸方向幅が外周に向かって小さくされた部分に配置していることを特徴とする。
前記樹脂製リングの背面に樹脂製リングを半径方向外方に押圧するコイルエキスパンダを有していることが好ましい。
シリンダ挿入時、前記樹脂製リングの合口隙間が閉じられることが好ましい。
前記金属製リングが軸方向に間隔をおいて2本、前記樹脂製リングに一体成形されていることが好ましい。
前記金属製リングにCrめっき、PVD又はDLCの表面処理が施されていることが好ましい。
本発明のピストンリングによれば、樹脂製リングを使用していることにより、シリンダボアの変形に追従しやすい。樹脂製リングの外周面が金属製リングの部分において金属製リングの外周面よりも内周側にあり、金属製リングが外周摺動面を形成するため、耐摩耗性に優れ、樹脂製リングと金属製リングを摺動面とした場合に比べてシリンダボアに対する面圧を高くすることができる。これらにより、オイル消費量の減少を図ることができる。樹脂製リングの合口隙間をシリンダ挿入時に閉じるようにすれば、更にオイル消費量の低減を図ることができる。
樹脂製リングの外周面が金属製リングの軸方向幅が外周に向かって小さくされた部分に配置している、すなわち、金属製リングの軸方向幅が外周に向かって小さくされた箇所に樹脂が回りこんで樹脂製リングと金属製リングが一体成形されているため、金属製リングが樹脂性リングから外れることがない。
金属製リングが配置する凹溝は樹脂製リングの合口付近には形成されていないため、金属製リングが周方向にずれて樹脂製リングの合口隙間に配置することがない。その結果、樹脂製リングの合口隙間が自由状態で金属製リングで塞がれることがないため、シリンダへの組付性に優れる。
前記金属製リングが軸方向に間隔をおいて2本、前記樹脂製リングに一体成形されていれば、ピストンリングがシリンダボアに対して2点の接点を持つことができるので、ピストンリングが傾きにくくなり、姿勢が安定する。
以下、本発明の好適な実施形態を図面を参照しながら説明する。
図1において、シリンダ1内のピストン2の外周面3に形成されているオイルリング溝4にピストンリング10が装着されている。ピストンリング10は、背面にピストンリング10を半径方向外方に押圧するコイルエキスパンダ11を有している。
ピストンリング10は、合口を有する樹脂製リング12と金属製リング13が一体成形された構成を有している。樹脂製リング12は矩形断面のリングにおいて外周面14に断面円弧状の凹溝15を軸方向に間隔をおいて一対有し、内周面に断面円弧状のコイルエキスパンダ溝16を有している。
前記凹溝15は、図2及び図3に示されているように、樹脂製リング12の合口17付近を除く外周面14の全周にわたって形成されている。すなわち、凹溝15の周方向における一対の端面は合口17まで延びておらず、合口17の手前位置に配置し、合口17に開口していない。一対の凹溝15にはそれぞれ断面円形の金属製リング13が一体配置されている。
樹脂製リング12の外周面14は金属製リング13の部分において金属製リング13の外周面18よりも内周側で、金属製リング13の軸方向幅が外周に向かって小さくされた部分に配置している。したがって、金属製リング13の外周面18は樹脂製リング12から突出して外周摺動面を構成し、シリンダ1の内周面5と接触してシリンダ1の内周面5上のオイルを掻き取る。金属製リング13にはCrめっき、PVD又はDLCなどの表面処理が施されている。樹脂製リング12の凹溝15が形成されていない合口部分の外周面は金属製リング13の外周面18と面一あるいは少し内周側とされる。
樹脂製リング12の内周面のコイルエキスパンダ溝16にコイルエキスパンダ11が装着されており、ピストンリング10を半径方向外方に押圧付勢する。コイルエキスパンダ11は線材をコイル状に巻き、更にリング状に形成したものである。ピストンリング10はコイルエキスパンダ11によって半径方向外方に押圧付勢されることにより、金属製リング13の外周面18がシリンダ1の内周面5に押接される。
上側の金属製リング13の外周面18でシリンダ1の内周面5から掻き取ったオイルは、樹脂製リングに形成されているオイル孔(図示せず)を通ってピストンリング10の内周側に移動し、ピストン2のオイルリング溝4の底面6に形成されている複数のオイル逃し孔(図示せず)を通ってオイルパンに落とされる。また、下側の金属製リング13の外周面でシリンダ1の内周面5から掻き取ったオイルは、そのままオイルパンに落とされる。
上記のピストンリング10によれば、樹脂製リング12を使用していることにより、シリンダ1の内周面5の変形に追従できる。金属製リング13の外周面18が摺動面を構成しているため、耐摩耗性に優れ、シリンダ内周面5に対する面圧を高くすることができる。これらにより、オイル消費量の減少を図ることができる。樹脂製リング12の合口17の隙間はシリンダ1挿入時に閉じられるので(図2及び図3参照)、更にオイル消費量の低減を図ることができる。
樹脂製リング12の外周面14が金属製リング13の軸方向幅が外周に向かって小さくされた部分すなわち金属製リング13の断面中心よりも外側の円弧面上に配置している。このように、金属製リング13の軸方向幅が外周に向かって小さくされた箇所に樹脂が回りこんで樹脂製リング12と金属製リング13が一体成形されているため、金属製リング13が樹脂性リング12から外れることがない。
金属製リング13が配置する凹溝15は樹脂製リング12の合口17付近には形成されていないため、金属製リング13が周方向にずれて樹脂製リング12の合口17隙間に配置することがない。その結果、樹脂製リング12の合口17隙間が自由状態で金属製リング13で塞がれることがないため、合口拡張のための拡張爪やリングばさみを容易に合口隙間に挿入できるため、シリンダ1への組付性に優れる。
前記金属製リング13が軸方向に間隔をおいて2本、樹脂製リング12に一体成形されているので、ピストンリング10がシリンダ1の内周面5に対して2点の接点を持つことができるので、ピストンリング10が傾きにくくなり、姿勢が安定する。
図4は本発明の別の実施形態を示している。本実施形態は上記実施形態とは樹脂製リングの凹溝の断面形状と金属製リングの断面形状を異にする。他の構成は上記実施形態と同じである。本実施形態においては、金属製リング13は断面八角形のリングである。
一対の凹溝15にはそれぞれ断面八角形の金属製リング13が一体配置されている。金属製リング13は断面八角形を形成する八面のうち、対向する一対の平行な二面がピストンリング10の軸方向に平行になるようにして凹溝15に配置されている。樹脂製リング12の外周面14は金属製リング13の部分において金属製リング13の外周面18よりも内周側で、金属製リング13の軸方向幅が外周に向かって小さくされた部分に配置している。したがって、金属製リング13の外周面18は樹脂製リング12から突出して外周摺動面を構成し、シリンダ1の内周面5と接触してシリンダ1の内周面5上のオイルを掻き取る。
樹脂製リング12の外周面14が金属製リング13の軸方向幅が外周に向かって小さくされた部分すなわち金属製リング13の断面中心よりも外側の傾斜面上に配置している。このように、金属製リング13の軸方向幅が外周に向かって小さくされた箇所に樹脂が回りこんで樹脂製リング12と金属製リング13が一体成形されているため、金属製リング13が樹脂性リング12から外れることがない。他の作用効果については上記実施形態で説明した作用効果と同じである。
図5は本発明の更に別の実施形態を示している。本実施形態は最初の実施形態とは樹脂製リングの凹溝の断面形状と金属製リングの断面形状を異にする。他の構成は最初の実施形態と同じである。本実施形態においては、金属製リング13は断面正方形のリングで、4つの角部はそれぞれ円弧状の面取り19が施されている。
一対の凹溝15にはそれぞれ断面正方形の金属製リング13が一体配置されている。金属製リング13は断面正方形を形成する四面のうち、対向する一対の平行な二面がピストンリング10の軸方向に平行になるようにして凹溝15に配置されている。樹脂製リング12の外周面14は金属製リング13の部分において金属製リング13の外周面18よりも内周側で、金属製リング13の軸方向幅が外周に向かって小さくされた部分に配置している。したがって、金属製リング13の外周面18は樹脂製リング12から突出して外周摺動面を構成し、シリンダ1の内周面5と接触してシリンダ1の内周面5上のオイルを掻き取る。
樹脂製リング12の外周面14が金属製リング13の軸方向幅が外周に向かって小さくされた部分すなわち外周側に向かって軸方向幅が小さくなる面取り19部分に配置している。このように、金属製リング13の軸方向幅が外周に向かって小さくされた箇所に樹脂が回りこんで樹脂製リング12と金属製リング13が一体成形されているため、金属製リング13が樹脂性リング12から外れることがない。他の作用効果については最初の実施形態で説明した作用効果と同じである。
1・・シリンダ、2・・ピストン、3・・ピストン外周面、4・・オイルリング溝、5・・シリンダ内周面、6・・リング溝底面、10・・ピストンリング、11・・コイルエキスパンダ、12・・樹脂製リング、13・・金属製リング、14・・外周面、15・・凹溝、16・・コイルエキスパンダ溝、17・・合口、18・・外周面、19・・面取り。
Claims (5)
- 合口を有する樹脂製リングと金属製リングが一体成形されたピストンリングであって、前記金属製リングが樹脂製リングの合口付近を除く外周面の凹溝に一体配置し、前記樹脂製リングの外周面が前記金属製リングの部分において前記金属製リングの外周面よりも内周側で、金属製リングの軸方向幅が外周に向かって小さくされた部分に配置していることを特徴とするピストンリング。
- 前記樹脂製リングの背面に樹脂製リングを半径方向外方に押圧するコイルエキスパンダを有していることを特徴とする請求項1記載のピストンリング。
- シリンダ挿入時、前記樹脂製リングの合口隙間が閉じられることを特徴とする請求項1又は2記載のピストンリング。
- 前記金属製リングが軸方向に間隔をおいて2本、前記樹脂製リングに一体成形されていることを特徴とする請求項1,2又は3記載のピストンリング。
- 前記金属製リングにCrめっき、PVD又はDLCの表面処理が施されていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のピストンリング。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2010209010A JP2012062983A (ja) | 2010-09-17 | 2010-09-17 | ピストンリング |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2012062983A true JP2012062983A (ja) | 2012-03-29 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN107255053A (zh) * | 2013-06-07 | 2017-10-17 | 株式会社理研 | 活塞环用原料 |
-
2010
- 2010-09-17 JP JP2010209010A patent/JP2012062983A/ja active Pending
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